反貧困にかかわる政策の公開質問

北海道知事選挙 立候補予定者からのご回答

 

 

2023年3月22日

反貧困ネット北海道

代表 松本伊智朗(北海道大学教授)

 

 

反貧困ネット北海道では、きたる北海道知事選に立候補を予定されている方々(3月1日時点で当会で把握できた方々)に、反貧困にかかわる政策の公開質問を行いました。趣旨や公開質問状は下記をご参照ください。

 

■反貧困ネット北海道ウェブサイト

https://hanhinkondo.wixsite.com/website

■反貧困ネット北海道「北海道知事選挙と札幌市長選挙の立候補予定者に公開質問状を送りました」

https://roudou-navi.org/2023/03/03/20230301_hanhinkonnethokkaido/

 

立候補予定者から、3月22日17時の時点で当会に到着していたご回答を公開します。

「引用スタイル」で囲んでいる部分が当会からの質問です。

ご回答の掲載順は、ご回答の到着順によります。

質問ごとに分けた回答ではない場合には、一括でのご回答と判断させていただきました。

 

選挙の準備で大変お忙しいところ、私どもの質問にご回答をいただいたことに心より感謝申し上げます。私どもも、反貧困の取り組みに、より一層力を入れていきます。

なお、未着のご回答につきましても、到着次第公開をさせていただきたいと思います。

【追記】2023年3月27日に到着したご回答を追加しました(2023年3月27日)。

 

 

 

目次

【1】生活保護制度

(1)2023年は生活保護基準の5年ごとの見直しの年です。2022年12月末に厚生労働省から発表された新基準は、現在の物価高騰をまったく考慮していないものでした。1973年~1974年のオイルショックの時には、生活保護基準の引き上げが年度内で複数回行われました。その頃よりも物価上昇率が高い現状においては、生活保護基準は大幅に引き上げるべきではないでしょうか。どうお考えかお聞かせください。

 

池田まきさんの回答

現行の生活保護制度には、あらためて言うまでもなく、制度設計上も制度運用上も、多数の問題点が指摘され、議論もされてきているところです。

(1)に関しては、同様の考えです。前回の改定時には衆議院委員会にて問題を指摘しました。また、生活保護の引き下げに歯止めをかける法案(子ども底上げ法案)を策定し筆頭提出者として提出しました。

 

門別よしおさんの回答

是非そうすべきだと思います。

 

鈴木直道さんの回答

長期間に及ぶ物価高騰は、生活保護利用者にとって、生活する上で大きな不安になっていると考えています。安心して自立に向けた生活ができるよう、物価高騰の影響を考慮した適切な生活保護基準の設定について、国に対し積極的に働きかけていきます。

 

 

(2)生活保護法第1条では、「日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること」とされています。法律では国の責任ということが明記されていますが、ご承知の通り生活保護を利用する事には未だに抵抗を覚える方がいるのが現実です。どうお考えかお聞かせください。

 

池田まきさんの回答

(2)に関しては、法定受託事務でありながら実施機関の負担が大きく専門性がないことの問題意識は池田の政策研究テーマであり、「無知による水際」「悪意のない沖やり」の指摘も承知しています。「法の解釈と運用」を憲法擁護義務からも国と同様に地方行政も課せられており、「生活保護は権利である」ということ、また自立助長という観点から大学進学や自動車免許取得など時代に見合った憲法第25条を実践すべきと考えます。また、道の責務を明確にし、介護・福祉バックアップセンターを設けることを公約の一つに掲げておりまず。この枠組みを活用し、総合振興局・振興局及び実施機関である中核市へ不適正な事例が起きないようアウトリーチによる助言指導も行いたいと考えています。

 

門別よしおさんの回答

そのような雰囲気を窓口から改善すべきです。当然の権利として誰でも近づきやすい行政であることが重要です。

 

鈴木直道さんの回答

すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活が保障されており、保護を必要とする方々にためらうことなく申請を行っていただき、確実に保護が実施されることが重要と考えています。こうした考え方については、ホームページや市町村の広報誌を通じて、道民の皆様にお伝えするなど、制度利用へのためらい解消に取り組んでいきます。

 

 

(3)生活保護制度を利用したくてもしないという方々の多くが、自動車保有と使用が出来なくなるため生活保護利用をためらっているのが現状です。国民の7割以上が保有する自動車を、生活保護利用者が日常生活で使用できないのは、(憲法)法の下の平等に違反していると思われます。また、障害者にとっては、自動車は自分の足に相当しています。使用禁止は、移動の自由の侵害ではないでしょうか。どうお考えかお聞かせください。

 

池田まきさんの回答

(3)に関しては、これまでにも議論されている問題であること承知しています。

その上で、①自立助長として解釈と運用を個別ケースごとに厚労省へ道からかけあうパイプ役を担うこと、②その事例を集約し経済効果の数字をあげること(自立支援プログラム創設または高校授業料が生業扶助創設までの自立効果を示したような)、実施機関から地域の特性(広域性、公共交通網の不足、就職や通院、通学など)が自立助長と最低生活保障となることを粘り強く訴え積み上げることが必須と考えます。また、道としての独自策も検討すべきと考えます。(補足性の原理)また、生活保護受給者のみならず、広く北海道の課題として「交通確保条例(仮称)」を「すべての人の移動の権利」と位置づけ公約に掲げています。

 

門別よしおさんの回答

自動車社会です。とりわけ北海道は絶対に必要なものと認識します。

 

鈴木直道さんの回答

生活保護は、利用できる資産、能力、その他あらゆるものを生活の維持のために活用することを要件とされています。国は、自動車の保有について原則的に認めておらず、一般世帯とのバランスや維持費などの課題を踏まえつつ、慎重に検討する必要があるとする一方、障がいのある方が公共交通機関を利用できず、通勤や通院に利用する場合などは、一定の要件のもとで、保有が認められていますので、福祉事務所において、丁寧な相談対応に取り組んでいきます。

 

 

【2】生活困窮者の自立支援、野宿者・住まい

 2020年4月「札幌市無料宿泊所の設備及び運営の基準に関する条例」「北海道無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準を定める条例」が施行され3年が経過します。貧困ビジネスを排除し生活に困窮されている方々が安全で安心できる住まいをつくるにはどうしたらよいかという観点から以下の質問をさせてください。

 

(1)条例では事業者に対して無料低額宿泊所としての届出をすることを課しておりますが、北海道、札幌市ともに届出件数が非常に少ないのが現状です。この要因をどのように分析し、どのような対策を考えているのか教えてください。

 

池田まきさんの回答

(1)に関しては、無料定額宿泊所が少なく12年前は驚きました。今から無料定額宿泊所を増やすよりも、多様な「居住確保」を権利とし、既存のホテルや居宅なども含め個別のニーズにマッチすることが前提かと思いますし、その資源は地域ごとにできると思っています。また、ケアが必要な方など支援サービスの確保など、調整機能も保障ができることが同時に求められると思います。

 

門別よしおさんの回答

そのような監視、監督、監査、調査はこの支援を遠ざけます。支援を受けている方への聞き取り調査や事業者の点検確認を適切なものにするにはどうしたらよいか、事業者の皆さんとの意見交流会などを行い、適度な間合いの取れた行政監督を目指せたらやりやすくなるものと思います。監視カメラの使用の合意があれば双方が安心できます。

 

鈴木直道さんの回答

国の調査では、届出に対する強制力がないことや届出のメリットがないことが挙げられており、見届けに対する罰則や運営の在り方についての国の検討状況を注視するとともに、引き続き、市町村などと連携し、未届施設に対する届出の提出についての働きかなどに取り組んでいきます。

 

 

(2)届け出のあった無料低額宿泊所のうち一定の要件を満たす場合は日常生活支援住居施設(以下、日住)として認定され、行政が日常生活に支障のある生活保護受給者の支援を委託することができるようになりました。一方、これまでは日常生活に支障がある方には救護施設等の保護施設が対応してきました。お伺いしたいのは、北海道ではこうした要支援の生活保護受給者に対して、今後日住を拡充して対応するという意向なのか、それとも保護施設における支援を基本に置いて日住はあくまで補助的な位置づけとして考えるのか、方向性とその理由を含めてお聞かせください。

 

池田まきさんの回答

(2)に関しては、その運用を是とする考えはありません。

 

門別よしおさんの回答

現状の把握と支援を受けている方や支援している者たちとの意思の交流の場が必要だと思います。尊厳と人権を尊重したうえで一定数の日住を整備、確保し常にふさわしい対応が出来る状態を備えるべきと思います。

 

鈴木直道さんの回答

道内の保護施設等には、近年、居室に空きがあり、希望に応じて利用が可能な状況となっています。また、生活に支援が必要な方は、市町村などと連携し、様々な福祉制度の利用について助言を行っており、可能な限り住み慣れた自宅での生活を送っていただくよう取り組んでいます。こうした中で、日常生活支援住居施設に関しては、生活に困っている方を支える制度の一つとして、設置等に関する手引きを作成し、ホームページで周知しており、今後とも、設置などについて相談がある場合は、助言を行っていきます。

 

 

【3】女性の貧困(ひとり親家庭、中年・単身世帯)

(1)3年に及ぶコロナ禍とその後の物価高騰により、ひとり親世帯は減収と家計費負担増により大変厳しい状況です。

2018年の北海道のひとり親世帯等実態調査報告で、受診を控えたことがある世帯が母子父子世帯ともに49%と、半数が受診控えがあると回答しています。これは他の都府県と比べて、ひとり親医療費助成が親は入院時のみの助成しかないことが大きく影響しています。北海道においても、ひとり親の通院についても医療費助成を導入するべきと考えますがいかがでしょうか。

 

池田まきさんの回答

(1)に関しては当然です。同時に子どもの一時預りなど同時に発生するニーズへの緊急サポート支援策が必要と考えます。

 

門別よしおさんの回答

裕福な方なら必要はないと思いますが、多くがそのような取り決めがあると助かるはずです。そのような取り決めがあること、必要なら気軽に相談できることを該当する家庭などに郵送し、認知を広める形で導入できればと思います。

 

鈴木直道さんの回答

医療制度は、道内では全ての市町村が実施しておりますが、地域で格差が生じないよう、全国一律の医療費助成制度を早期に実現すべきものと考えています。これまでも国に対して要望してきたところですが、今後も、あらゆる機会を通じて要望を行って行きます。

 

 

(2)困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が2024年4月から施行されます。その中でも特に見落とされているのが、40代以降の単身女性の支援です。

この国の社会保障、税制は世帯単位のため、そこから外れている単身者、特に非正規雇用が多く収入が低い女性単身者が困窮します。就労支援や職業訓練も年齢が高いと希望をしても受けられないことも多くあります。40代から60代向けの就労支援が必要と考えます。また、子育て世帯への住居費支援などは実施している自治体もありますが、中年単身女性は民間賃貸住宅居住者が多く、収入が低ければ住居費の負担が大きく余裕がありません。住宅支援として民間住宅借り上げなどによる、住居費助成として、みなし公営住宅などを拡充することが必要と考えますが、いかがでしょうか。

 

池田まきさんの回答

(2)に関しては、大きな負担となっている方への住居費支援は必要と考えます。公営住宅の活用もあると思いますが、あまりにも不便な場所や老朽化が激しい住宅などにならないように配慮が必要であると考えます。

 

門別よしおさんの回答

貧困対策はそもそも国の政策の失敗です。積極的にこれらの方に支援を差し出し、安心してもらうべきでしょう。海外並みに時給が2500円くらいの景気になれば問題は少なくなっていくと思います。それまでは国の責任として、支援を実施すべきです。

 

鈴木直道さんの回答

資格取得に向けた職業能力開発機会の提供や、それぞれの産業分野における女性活躍の促進など、女性の就業機会の拡大に向けて取り組んでいます。また、住宅セーフティネット制度を通じて、低額所得者など住宅の確保に特に配慮を必要とする方々への賃貸住宅の供給促進に取り組んでいます。

 

 

【4】保育

(1)職員配置基準の見直しについての世論が高まり、新年度より開始の子ども家庭庁において定員121人以上の保育所で4.5歳児25:1配置とした場合の加算が予算化されました。しかし、基準の引上げではないこと、対象施設が少ないこと、多くの保育現場では0.1.2.3歳児に基準以上の保育士を配置していることから不十分と捉えています。子どもの豊かな育ちを保障するために、どのような措置が必要とお考えかお聞かせください。

 

池田まきさんの回答〔(1)~(3)への一括回答〕

日本の保育士の配置基準は他の先進諸国と比較しても異常ともいえる低基準で、4.5歳児の30:1は70年以上も変わっていないものであり、その見直しの必要性は論を待たないものでした。同時に、高度な専門性をもった職にも関わらず全産業の平均賃金をはるかに下回る賃金や厳しい労働実態の中で、保育士の確保そのものが困難になる悪循環も抱えてきました。他のケア労働と同様、とにかく処遇改善による安定した保育士の確保と配置基準の見直しが不可欠です。

人材の確保にあたって無資格者を担い手にすることは保育の質の低下が懸念されます。感染症対策等、国や道の通知、自治体からの行政指示への対応など幅広い知識・技術・専門性のもとに業務を進めていくためにも、有資格者の確保が何よりも大切と考えています。

また国は他にも、居室面積基準や指導監査における実地検査要件、看護師等のみなし配置に関する要件などの規制緩和を進めようとしていますが、保育の質と安全の低下につながるものであり、反対です。

 

門別よしおさんの回答

共働き世帯が多い今の社会体制、本来子育ては親、特に母親の声やぬくもり、まなざしが大切です。しかし、経済状況や他の関係でそうしたいと思いながらも出来ない、お母さん、お父さんの思いに応えられるように適した人材の育成と十分な配置を考慮すべきです。

 

鈴木直道さんの回答

現行の基準を上回る人員を配置している保育所等の実態を踏まえると、配置基準の見直しは喫緊の課題であり、その実現に向けて、国に要請する必要があると考えています。

 

 

(2)この間、国は保育労働者の賃上げを実施してきたとしていますが、人件費単価の引上げではなく加算方式でとどまっており、なおかつ物価高騰の影響をふまえると、この間の加算は十分な引上げとはいえません。独自の職員処遇が必要ではないでしょうか。この点についてどうお考えかお聞かせください。

 

池田まきさんの回答〔(1)~(3)への一括回答〕

 

門別よしおさんの回答

是非、公務員のようなレベルが最低限保証されるような待遇を引き上げるべきです。こどもたちが大好きというその方の人柄に甘えて、黙認してはならないと思います。

 

鈴木直道さんの回答

保育士の平均賃金は全職種より低水準であり、今後の人材確保に向けて更なる改善が必要と考えています。保育所の運営実態や地域の実情に応じた公定価格の設定について、引き続き、国に要望していきます。

 

 

(3)国は保育体制強化事業として、保育士資格を持たない「保育支援者」などの配置を予算化しています。保育現場では、本来有資格者の確保・定着で保育労働者の業務軽減や安心安全な保育を行うことが最善と捉えていますが、無資格者の拡大についてのお考えをお聞かせください。

 

池田まきさんの回答〔(1)~(3)への一括回答〕

 

門別よしおさんの回答

適材な方はおられると思います。大いに拡大してもよろしいと思います。しかし、問題や事故や犯罪に注意が必要ですのでふさわしい配慮が必要でしょう。

 

鈴木直道さんの回答

共働き世帯の増加といった保育ニーズの多様化など待機児童を完全に解消するまでには至っていません。国では、保育ニーズへの対応と保育士への負担軽減を図りながら、保育の受け皿を確保するための一つの方策として配置特例を継続しており、道においても、保育士の確保に取り組みながら、配置特例を活用して受け皿の整備に努めていきます。

 

 

【5】学童保育

(1)学童保育は、保育園のように保護者が労働等で不在となる小学生児童の放課後や長期休みを保護者に代わる大人のもと集団で生活する中で適切な育成支援によって子どもの持つ成長発達の権利を保障し保護者の就労等を保障する事業です。児童館、こども食堂、学習支援の場などとは目的を異にし、対象となる児童にとっては必要で欠くべからざる環境です。生活を共にする家庭のように固定された子ども集団のなかでともに遊ぶこと、おやつや昼食をときには調理する主体ともなるような生活経験を育みます。

これまで厚生労働省管轄だった学童保育(放課後児童健全育成事業)は、新年度以降のこども家庭庁の仕組みのなかでは、「こどもの居場所づくり」の範疇で考えられるようですが、そのことについてどうお考えでしょうか。

 

池田まきさんの回答〔(1)(2)への一括回答〕

ご指摘のとおり、学童保育は単なる子どもの居場所ではなく、授業の終了後に適切な遊びや生活の場として子どもの健全な育成を図る保育事業であり、子どもの権利と保護者の就労を保障するものです。

この間、共働き家庭の増加によって放課後児童クラブの需要が拡大し待機者も増加してきた中で、国の認可基準が職員の要件が「従うべき基準」から「参酌すべき基準」に変更されるなどの緩和がされました。受け入れ増を急ぐ自治体の要望があったとはいえ、解釈によっては「無資格者が一人で保育をしてもよい」となり基準の改悪と言わざるをえません。

また現在進められている新・放課後子ども総合プランに基づく、放課後児童クラブと放課後子ども教室との一体化もしくは連携が、新年度から発足する子ども家庭庁のもとでどのようになっていくかも、放課後児童クラブが目指してきた保育が単なる居場所として質の低下にならないように注視しなければならないと考えています。

そもそもこの間、子どもの命と安全を守るための学童保育の質の確保のためには、適正な基準と財政措置、放課後児童支援員の資格を「認定」から「国家資格」としてキャリアアップと処遇改善をはかることなどが求められていました。子ども家庭庁が発足して総合的に「こどもまんなか社会」づくりをすすめるのであれば、こうした制度の整備が不可欠ではないかと考えます。

 

門別よしおさんの回答

こどもたちの心の必要に応えるような仕組みを現場の方の意見も大切にして行っていただきたいと思います。

 

鈴木直道さんの回答

国においては、放課後居場所緊急対策事業の内容を拡充して、受け皿の確保に努めており、道内おいても、共働き世帯などの保護者の方々に安心して子育てをしていただき、子どもたちを健全に育成していくため、こうした国の事業を活用しながら、放課後や週末等に子どもたちが安心して過ごせる環境づくりを進めていくことが必要と考えています。

 

 

(2)小学生が学校よりも長い時間を過ごす場で、保護者と連携して子どもを育てることで、家庭が困難を抱えた場合の支えになったり適切な支援につなぐソーシャルワークも担うことができますが、学童保育(放課後児童クラブ)は、国の補助基準において算定条件が低く見積もられ現場の指導員の処遇が十分ではないため、慢性的な人材不足という課題を抱えています。

子どもたちを育成支援する人材を確保すると同時に子どもたちの受ける育成支援の質の向上を図るため、どのような政策をお考えでしょうか。

 

池田まきさんの回答〔(1)(2)への一括回答〕

 

門別よしおさんの回答

社会の不景気が子供の育成に影響を与えています。育成支援を国や行政が考えるのは傷口に絆創膏を仮に貼るようなものであることを認識し、親が子供の教育にしっかりと向き合えるような経済支援や結婚、妊娠、出産、子育てを切れ目なくサポートするような支援体制を考えてもらいたいと思います。

 

鈴木直道さんの回答

放課後児童支援員は、子どもの健全な育成を支援する重要な役割を担っており、必要な人材の確保を推進する上で、処遇の改善など勤務環境の整備が必要であり、放課後児童健全育成事業の実施主体である市町村が支援員の賃金改善のために実施する事業に対して補助を行うとともに、関係団体と連携し、賃金改善の条件となる研修会を開催するなど、人材の確保と質の向上に取り組んでいます。また、令和4年2月には、支援員の収入を3%(月額9,000円程度)引き上げるための事業を創設したほか、新たな職員の養成に必要な研修事業を実施していくとともに、国の「新・放課後子ども総合プラン」に基づき、放課後児童クラブにおいても多様な体験ができるよう、放課後子ども教室との一体的な支援に取り組んでいきます。

 

 

【6】子ども・子育て家族の貧困

現在北海道では、子どもの貧困対策推進計画(子どもの貧困対策計画)を策定されており、施策の進展が期待されるところです。この推進に関連して、以下の点についてお考えをお聞かせください。

 

(1)子どもの貧困対策推進計画にあげられる施策のうち、北海道として特に重点的に進めて行くべきことがらは何だとお考えでしょうか。

 

池田まきさんの回答〔(1)(2)への一括回答〕

特にひとり親家庭・子どもの貧困への経済支援、孤独・孤立に対応したアウトリーチ、居場所づくりが重要と考えます。また、計画の策定・推進には、おっしゃるとおり、子ども、保護者の参画が必須だと思います。

こうした認識のもと、【3】の回答に加え、子ども一人ひとりの権利と最善の利益を保障するため「子どもオンブッド」の仕組みづくり、ソーシャルワーカーなど調整役の配置を促進し、関係機関が連携して困りごとを抱える人がアウトリーチ型(伴走型、訪問型)の支援を受けられる仕組みづくり、家庭の状況によらず大学や専門学校など高等教育を受けられるよう、道独自の給付型奨学金制度の創設などに取り組みたいと考えます。

 

門別よしおさんの回答

保護者も道も限界を感じています。防衛費を増額するより子供支援に政府は十分な予算を投入して安心できる環境を整えるべきです。

 

鈴木直道さんの回答

現在策定している「第二期北海道子どもの貧困対策推進計画」においては、「相談支援」「教育の支援」「生活の支援」「保護者に対する就労支援」「経済的支援」を中心とする施策に重点的に取り組むこととしております。子ども貧困対策を進めるにあたって、親の妊娠・出産期から子どもの社会的自立まで成長段階に応じて切れ目のない必要な施策を実施することや、支援を要する緊急度の高い子どもに対して優先的に施策を講じることに配慮するとともに、対象となる子どもに対する差別や偏見を助長することのないよう十分留意し施策を進めていきます。

 

 

(2)計画の策定、推進に際しては、貧困当事者である子ども、保護者の参画が重要であると思われますが、この点をどのように進めて行くお考えでしょうか。

 

池田まきさんの回答〔(1)(2)への一括回答〕

 

門別よしおさんの回答

これ以上親たちの負担が増えないように国の体制の見直しを求めます

 

鈴木直道さんの回答

計画の策定・推進に当たっては、有識者、子どもやひとり親への支援団体、関係機関及び当事者であった方々に参画をいただいている「北海道子どもの貧困対策ネットワーク会議」において、子どもの貧困の実態把握や効果的な支援方策のあり方などを検討しています。また、子どもの未来づくり審議会への中高生の参画やユースプランナー制度による大学生との意見交換の実施により若者世代の意見を直接聞く取組を進めています。

 

 

【7】医療・介護

 コロナは、医療・介護現場で働く労働者を疲弊させています。それは、長年の医療・介護政策を反映したものであり、問題の解決には、医療や介護に対する公的な支出の増大が不可欠であると考えます。また、利用者に対して負担をさらに求めていくことは、医療機関の受診抑制や介護の利用抑制がもたらされることが懸念されます。

 

(1)2023年5月より、新型コロナウイルス感染症が2類から5類へ変更されます。このことによる医療現場や介護現場への影響や対策をどうお考えでしょうか。

また、医療現場や介護現場でのクラスターを予防するためには頻回なPCR検査や、受診・入院制限や利用制限による減収補填が必要であると考えますが、いかがでしょうか。

 

池田まきさんの回答

(1)に関しては、2類から5類への変更によって、季節性インフルエンザと同様に軽症となるものではありません。保健所業務の軽減にはなりますが、変異ウイルスのため、医療機関では、個人防護やゾーニング・コロナ病床の設置などの負担は継続の可能性があります。新型コロナ感染症に係る診療報酬上の取扱いも当面は継続されると思いますが、今後は病院経営にも負担となりますので、病院運営の支援も検討します(今後の中医協の議論を注視)。

 

門別よしおさんの回答〔(1)(2)への一括回答〕

医療の適正化とは主にお金に左右されているとしましたら、国は財源をもって安定運営を行うように努力すべきです。国民を大切に思い、支え、助けたいなら縮小統合はありえません。また地方や小さな集落も国の事業で最低限の医療体制を維持すべきです。

 

鈴木直道さんの回答

5類への移行後においては、一般医療の枠組みの中で、コロナ患者を含めた発熱患者の方々が、適切に医療を受けられることが重要であり、これまでの取組を踏まえつつ、国の方針に基づき、入院医療等に係る移行計画の策定を進めるとともに、医師会等の関係団体と緊密に連携し、コロナ患者の受入医療機関への支援なども行いながら、道民の皆様が安心して医療を受けられるよう、医療提供体制の円滑な移行に向け取り組んでいきます。また、高齢者施設等への支援について、国は、集中的検査や看護職員の派遣への補助など、高齢者施設等に対する各種の政策・措置は当面継続方向で検討されており、道としても、国の方針に基づき、地域の実情に即した具体的な対応に係る準備を進めていきます。

 

 

(2)新型コロナウイルス感染症により医療供給体制のひっ迫が明らかになりましたが、新興感染症や大規模災害から命をまもる医療政策について、どのようにお考えでしょうか。とくに国は都道府県ごとの医療適正化を名目に、病床を削減する「地域医療構想」を推進していますが、北海道の公立・公的医療機関の縮小統廃合についてどのようにお考えか、お聞かせください。

 

池田まきさんの回答

(2)に関しては、新興感染症が第8次医療計画に記載されることになるので、より医療機関との連携が密接となる計画としたいと思います。大規模災害では医療機関だけではないが、BCPの作成や災害拠点病院の災害訓練など、いつあるか分からない災害に対応する準備を進める考えです。

 

門別よしおさんの回答〔(1)(2)への一括回答〕

 

鈴木直道さんの回答

医療・患者の視点に立って、良質で適切な医療を効率的かつ継続的に提供できるよう、「北海道医療計画」に基づき、二次医療圏ごとの地域方針を策定し、がんや脳卒中などの5疾病、救急医療や災害医療などの5事業及び住宅医療それぞれに係る医療連携体制の構築に向け取り組んでいます。公立・公的医療機関については、救急、小児、周産期などの政策医療を担ってきたことに加え、感染症への対応においては、各圏域の医療を支える中核として重要な役割を担っていただいており、地域のご意見を丁寧に伺いながら、それぞれの地域の将来を見据え、公立・公的・民間の区別なく、地域における医療機関の医療機能分化と連携について一層議論を深め、地域医療の確保に取り組んでいきます。

 

 

(3)介護保険財政における国の負担割合を引き上げること。そのための財源は負担能力に応じて国の責任で確保するべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、ケアプランの有料化や、介護保険利用料の原則2割負担、要介護1・2の訪問介護と通所介護(デイサービス)を、介護保険給付から「地域支援事業」に移行することについてどのようにお考えでしょうか。

 

池田まきさんの回答〔(3)(6)への一括回答〕

(3)(6)に関して、介護保険財政については、財政とサービスのセットで考える必要があります。そもそも保険制度として機能していません。当初の理念が果たせるよう介護保険制度と社会保障制度としての施策が機能するよう抜本的な見直しが必要と考えます。当面は国の負担割合増を求めること、調整交付金の増額にむけて、取り組みを進めていきたいと思います。

必要な介護サービスが経済的理由で受けられない状況はあってはならないし、必要な介護サービスが提供できない状況にあってもいけませんので、こうした観点から様々な方策を検討したいと考えます。

 

門別よしおさんの回答

国がしっかりと対処すべきです。国民はもう出せない方の方が圧倒的に多いと思います。

 

鈴木直道さんの回答

高齢者人口の増加に伴い介護費用の増大が見込まれる中、介護保険料の上昇を抑えつつ制度が持続できるよう、国に対し、給付と負担のバランスについて十分な検討を行った上で、国の負担割合の引き上げなど抜本的な見直しを行うよう要望しています。また、高齢者の利用ニーズの増加に対応した支援の充実が求められる中、要介護者やご家族を支えるサービスの在り方については、利用者の視点に立って、慎重に議論されるべきと考えています。

 

 

(4)道内でも医療・介護従事者の不足が深刻で、事業所の閉鎖や事業の縮小、新たな事業ができない地域増えています。その解決のためには大幅な賃上げや労働条件の改善が必要です。北海道として、独自の施策についてお考えをお聞かせください。

 

池田まきさんの回答

(4)に関しては、医師や看護師等の医療技術者及び介護職の確保対策を進め、市町村における人材確保を支援したいと考えます。また、関係する団体や養成機関をはじめ官民が協調し、地域偏在をなくす仕組みづくりなど、人材不足の解消を総合的に進めたいと思います。

高齢者施設等における感染症のまん延など、緊急に医療や介護人材の応援が必要な事態に備えるため、「北海道医療・介護バックアップセンター」(仮称)を創設して迅速な支援を実施したいと考えます。

 

門別よしおさんの回答

今までどんな対策をしてきたのでしょうか。人口減少、少子化、限界集落、廃線、現場の声、道民の声をしっかりと聴き、北海道の財源を見つめなおし、求められる内容に即した予算配分が出来るようにしてほしいです。

 

鈴木直道さんの回答

医療従事者の勤務環境改善に向けては、専門のアドバイザーによる相談対応や医療機関への個別支援など、医療機関の主体的な取組を支援しているほか、医師の労働時間短縮に向けたICT機器の整備などに要する経費への支援を行っています。介護事業者の勤務環境改善に向けては、相談支援のほか、介護事業所における就労環境の改善等につながる取組に関する認証評価制度の実施などに取り組んでいます。

 

 

(5)道内でも、高すぎる国保料や一部負担金の負担などで、経済的理由による受診抑制が起きています。手遅れで亡くなる方もいます。

協会けんぽと比較しても高すぎ、今後も値上げが予想される国保料について、北海道として独自の軽減策についてお考えをお聞かせください。

また、保険料を負担できない18歳以下の子どもの均等割の軽減について、北海道として独自の軽減策をお考えかお聞かせください。

保険料を一定期間滞納すると10割負担となる資格証明書が発行されます。それについてのご意見をお聞かせください。

市町村が行う一部負担金の減免制度の周知や対象拡大が必要です。北海道として、市町村に対する財政措置について考えをお聞かせください。

 

池田まきさんの回答

(5)に関しては、国保の安定的かつ持続的運営ができるように、国庫負担割合の引き上げがなどを求めたいと考えます。均等割保険料軽減措置は、対象となる子どもの範囲が未就学児に限定され、その軽減額も5割となっていることから、対象範囲及び軽減割合の充実を求めていきます。保険料の滞納などについては、相談しやすい窓口や広報活動が必要と考えます。

 

門別よしおさんの回答

なぜ人々がそのような窮状になるのかの検討と分析が大切です。どんな政治家や行政の気持ちの友わない政策も根本的な解決にはらならないでしょう。心も含めた声を聞くことが大切です。

 

鈴木直道さんの回答

①国保は、他の医療保険と比べて、加入者の年齢構成が高く、所得水準が低いことから、今後の医療費などの増加に耐えうる財政基盤を確立するため、国に対して財政支援の更なる拡充を求めるとともに、市町村と連携して医療費適正化や収納率向上対策などに取り組むほか、給付金の抑制を目的とした基金の活用についても、市町村の意見を伺いながら、効果的な活用を図っていきます。

②子どもの均等割保険料の軽減措置については、対象となる子どもの範囲が未就学児に限定されていることから、対象範囲及び軽減割合の拡大について、国に要請していきます。

③資格証明書の交付については、市町村が関係法令に基づき実施しており、引き続き、可能な限り滞納者との接触を図り、個別の事情の把握に努めるとともに、きめ細かな納付相談を実施するなど、適正な事務の執行について助言に努めていきます。

④国では、入院療養に係る一部負担金減免に対し、減免額の2分の1を市町村に支援していますが、外来療養に関しては国による支援がないことから、道において、一部負担金減免を実施した場合に減免額の2分の1を交付しており、平成30年度から令和2年度に交付実績があった市町村に対し、当面の間、財政支援を継続することとしています。

 

 

(6)介護保険制度当初、基準介護保険料(本人は非課税)は一人当たり月5000円が限界と言われていました。しかし、道内でも6割の市町村が月5000円を超えています。2024年度からの保険料の見直しではさらに値上げが予想されます。北海道として独自に保険料に軽減することについてお聞かせください。

介護利用料が高いため、経済的理由で必要な介護制度を利用できず制限している方も少なくありません。北海道として独自に利用料を軽減することについて考えをお聞かせください。

 

池田まきさんの回答〔(3)(6)への一括回答〕

 

門別よしおさんの回答

見直しが必要です

 

鈴木直道さんの回答

介護保険制度は、国民の共同連帯の理念に基づき、被保険者が相互に保険料を負担し合う社会保険制度の考え方によって成り立っており、高齢者の増加に伴い、保険料も増加しています。一方で、保険料の多段階設定など、低所得者に対する配慮が行われているほか、低所得者の第1号保険料の軽減措置の完全実施、高額介護サービス費による軽減措置、社会福祉法人等による利用者負担軽減制度などの対策が講じられています。また、国に対し、給付と負担のバランスや国・地方の負担のあり方などについて十分検討を行い必要な制度改正を行うことや、利用者負担についても恒久的な対策の確立とともに必要な財政措置を講じることなどについて要望しています。

 

 

【8】障害者福祉

(1)障害者施設、職員による人権侵害の問題について

北海道では昨年12月に西興部村の障害者支援施設で職員による利用者への虐待が発覚し、同じく12月に江差町では利用者の結婚や同棲の条件に不妊手術が提案されていたことが報道されています。こうした福祉施設やその職員による人権侵害ともいえる事案が発生する要因をどのように捉えているのか、そしてどのような対策が必要だと考えているのか、考えをお聞かせください。

 

池田まきさんの回答〔(1)~(3)への一括回答〕

福祉施設での虐待や人権侵害は決して許されないことです。道も、障害者虐待防止法や北海道障がい者条例などに基づいて、各種の施策に取り組んでいると承知していますが、こうした事案の背景にある根強い偏見や人権意識の希薄さの克服は本当に簡単ではありません。

施設での虐待防止には、一義的には施設関係者の人権意識や支援技術の向上などの人材育成や、行動指針や虐待防止マニュアルの作成と徹底などが必要なのは当然ですが、職員の意識とスキルの向上のために不可欠なのは、低賃金と仕事の厳しさをはじめとした労働環境の改善・整備です。誇りとやりがいをもって、安心して働き続けられる条件の中でよりよいサービスも実現されます。福祉・介護・看護・保育などケア労働の処遇改善はすでに社会的な要請になり、国もやっと着手しましたが全く不十分なのが実態です。この抜本的な改善を国に求めるとともに、自治体としての支援のあり方も検討する必要があると考えています。

道の責務として道庁内に「北海道医療・介護バックアップセンター」(仮称)を創設して、迅速な支援を実施することを公約の一つに掲げております。不適切事例などが起きた場合には、当該スタッフを現場から外し、道からの支援スタッフが先頭に立って現場に入り、施設運営や利用者サービスに支障をきたさないように支援することを想定しています。

また、施設内の問題としてだけでなく、社会全体に効率や生産性を優先して共生を後回しにする風潮が広がってきたことも大きな問題です。「北海道人権条例」(仮称)を制定して、障害者に限らず、あらゆる差別や偏見をなくして、すべての人の尊厳が守られ、安心して暮らせる北海道づくりを進めていきたいと考えます。

障害種別による格差の問題はご指摘のとおりだと思います。障害に応じた必要な配慮を提供することが基本であり、入院や交通費負担の重さによって必要な治療・通院が妨げられることは問題です。まずは国の制度改正を求めるとともに、自治体としても事業者と連携した対策を検討すべきと考えます。すべての人の移動の権利を保障すべく「北海道交通確保条例」を制定し、交通手段を確保します。

 

門別よしおさんの回答

利用者の方もお世話する方も様々なストレス下にあるでしょう。誰が悪いと決める前に、何が、なぜ、起こったのか、いつからか、行政の指導はどうだったのか、利用者さんも含めそのストレスの原因を共に考える機会を作るべきでしょう。

 

鈴木直道さんの回答

福祉施設における入所者の方々への虐待については、重大な人権侵害であると認識しています。現在、施設における虐待防止に向けた実態調査を実施しており、調査結果を踏まえて、虐待につながる環境や場面、その発生要因や背景、勤務環境や人材の確保・育成などに関する課題を分析し、虐待の兆候を早期に察知し未然に防止するための実効性のある対策を検討することが必要と考えています。また、結婚や出産、子育てを含め、どのような暮らしを送るかについて、障がいのある方の希望に沿って、丁寧に支えていくことは重要です。現在、グループホームの事業者や利用者の方々を対象とした実態調査を実施しており、調査結果を踏まえて、障がいのある方の意思決定の支援に対する取組を推進することが必要と考えています。

 

 

(2)福祉施設事業所職員の慢性的な人材不足について

障害者福祉事業所職員の人手不足は深刻です。職員のなり手不足の原因には、賃金の低さ、労働条件の厳しさ、将来性の不透明感等が挙げられています。国は2012年から処遇改善加算などを創設し対応していますが問題は未だに解消していません。現に起きているこの事態を一刻も早く改善するために、北海道として独自の財源措置を行う等対応すべきと考えますが、その点についての見解をお聞かせください。

 

池田まきさんの回答〔(1)~(3)への一括回答〕

 

門別よしおさんの回答

そう思います。守らなければならない人々です。

 

鈴木直道さんの回答

人材確保は喫緊の課題であり、国に対しては、給与水準の確保や配置基準の見直しなど施設職員の勤務環境改善について要望しています。道としても、将来の人材確保につなげていくため、小中学生などに福祉の仕事を知っていただく体験学習等を実施するほか、介護ロボットの導入による職員の身体的負担の軽減や業務の効率化などを進めています。

 

 

(3)制度の中に、障害種別による格差が生じている状況について

2006年障害者自立支援法(現在:障害者総合支援法)により、3障害一元化が進められることになりましたが、いまだに制度の中に差別が残されています。これに関わって以下の点について質問させてください。

①重度障害者医療助成制度

現在の制度では、身体障害者や知的障害者は入院にかかる費用も助成の対象であるのに対して精神障害者の場合は入院費用が対象となっていません。障害者差別解消法では国や自治体による差別を禁止していますが、精神障害者に対するこの状況をどう考えているか、自治体独自の財源措置をして対策することについてのお考えをお聞かせください。

②運賃割引制度

札幌市では市営地下鉄と電車については精神障害者にも4年前から半額助成を行っていますが、大手バス会社は運賃割引を行っていません。また、北海道においても各民間交通事業所の判断で運賃割引が行われており、多くは精神障害者を対象としていません。こうした状況をどう考えているか、財政等の支援を行うなどの対策の可能性を含めてお聞かせください。

 

池田まきさんの回答〔(1)~(3)への一括回答〕

 

門別よしおさんの回答

①これも同じく原因の根本を調査し、そのような患者さんが増える要因から無くしていかなければなりません。差別やコンプレックス、いじめや虐待などの実態はなくなるような社会教育が必要です。並行してこれらの方の実情に見合った支援は行うべきだと思います。

②なくすよう努力すべきだと思います。なぜ割引をしないのかお聞きしたいと思います。

 

鈴木直道さんの回答

①入院療養中心から地域生活中心へとする国の基本的考え方を踏まえ、通院医療費のみを対象としていますが、社会情勢の変化などを踏まえつつ、事業の実施主体である市町村からのご意見なども伺いながら、具体的な課題等の分析を行い、障がいのある方々健康保持と適切な医療の確保が図られるよう、制度の安定的な運営及び見直し等に努めます。また、精神障がいのある方も含めた全国一律の公費負担医療制度の創設について、国に要望しています。

②精神障がいのある方の社会参加を促進するため、公共交通機関の運賃割引制度について、精神障がいのある方も対象としていただくことが必要と考えており、JRやバス協会などの交通事業者へ要請を行うほか、社会復帰に向けて地域活動支援センター等に通所するための交通費助成を行っている市町村に対し、その経費の1/2の補助を実施しています。

 

 

【9】学費・奨学金問題

(1)学費・奨学金問題が深刻です。国公立大学の授業料は年間約53 万円、私立大では100 万円を超えます。新たな奨学金制度を創設する、現在行っている奨学金制度を充実させる(貸与制から給付制への変更、給付制枠の拡大)などの対策や現在返済に苦しんでいる方への支援策(返済の負担を軽減する税制支援など)が必要と考えます。学費の高負担や奨学金返済負担の軽減のため、北海道としてどのような支援策・対策を実施すべきだとお考えですか。

 

池田まきさんの回答〔(1)(2)への一括回答〕

格差と貧困が拡大し自己責任を強調する風潮が社会に広がってきた中で、経済格差が教育格差に、そして人生選択に大きな影響を与えており、とりわけ高等教育の学費と奨学金返済の高負担は深刻な問題です。

道内においても、地元出身者への返還免除の奨学金や地域の担い手確保と合わせた奨学金返還支援制度などの自治体の取り組みもあります。しかし本来なら国において、教育の機会均等の確保に向けて大学などの高等教育までの無償化に向けたプランが策定され、実現に向けた取り組みが進められなければならないと考えます。

当面、国に対して、給付型の拡大などの奨学金制度の改革を求めるとともに、道独自としても給付型奨学金制度の創設に向けた検討を急ぎたいと思います。

高等教育以前についても、子どもと家庭への支援の充実が必要であり、「北海道子ども・子育てアクションプラン」(仮称)を策定し、市町村の声を聞いて、保育料、学校給食費 、高校生までの医療費等の実質無料化を計画的に実現します。また、ひとり親家庭をはじめ生活困窮世帯への経済的・社会的支援を拡充しなければなりません。

返還支援事業の参加企業の拡大などの課題は、各自治体の制度や実情などを踏まえながら、どのような対策が可能か市町村とともに検討していきたいと考えます。

 

門別よしおさんの回答

適切な就学支援を行うべきです。

 

鈴木直道さんの回答

高等教育に係る教育費の負担軽減のため、日本学生支援機構の奨学金における貸与条件の緩和や枠の拡大、国による修学支援制度における給付額の引き上げや支援対象者の拡充など、制度の充実について、機会あるごとに国に対し要望しています。

 

 

(2)地元企業就職者への返還給付支援策として、たとえば、札幌圏奨学金返還支援事業などが制度化されていますが、対象となる認定企業が少ない状況にあります。この背景には、企業に対して半額の寄付を求める等、企業側の負担の問題も大きいと考えられますが、企業側の負担軽減により対象となる認定企業を拡大するため、北海道としてどのような対策を実施すべきだとお考えですか。

 

池田まきさんの回答〔(1)(2)への一括回答〕

 

門別よしおさんの回答

国や道が財源をもって適切な支援を行い、自助、共助はなくしていくべきです。

 

鈴木直道さんの回答

国の奨学金返還支援制度(地方公共団体への財政措置)については、令和2年に若者の地域定着に向けた運用改善が図られ、市町村においては、「地元産業界等からの出捐や、出捐がない場合における地元産業界等との連携は必須としない」とされるなど、市町村が活用しやすい制度となったところであり、国の制度等の市町村への情報提供などを進めています。

 

 

【10】雇用・労働(総論)

(1)不安定な雇用で働く人たちが北海道内にも札幌市内にも数多くいます。加えて、最低賃金における都道府県別未満率と影響率(令和3年)では、未満率は全国加重平均が1.7%であるのに対して北海道は2.5%、影響率は全国加重平均16.2%であるのに対して18.0%と、最低賃金に近い賃金水準で働いている労働者が多くなっています。

このような憂慮すべき事態について、現状認識や必要だと考える政策についてお聞かせください。

 

池田まきさんの回答〔(1)(3)への一括回答〕

まず基本的な認識を述べさせていただきますと、労働権は、憲法がその尊重を謳う基本的人権(社会権)によって、誰もが保障される権利です。特に資本主義社会における個人の生活保障あるいは社会保障制度の体系において、労働はその根幹をなす分野です。国には国民に対し、将来に不安のない職場で、誇りをもって働ける、そのような労働の機会・場を保障する義務があり、失業者や悪質な労働条件で働く労働者を放置することは、国の憲法違反と考えます。

その上で、近年の労働政策の問題点は、非正規雇用の急速な拡大に端的に表れているように、不安定雇用と低賃金を内実とする「雇用の質の劣化」です。これについては、国、自治体、企業などが協力し、雇用の質を向上させる取り組みを緊急かつ継続的に進めていく必要を感じています。

(1)(3)に関しては、現行の最低賃金制度のあり方に関わると思いますが、同制度は家計補助労働を基準として構想された制定経緯が災いして、ご指摘のとおり、北海道も含め、未だ十分な賃金水準を達成しているとは思えませんので、制度のあり方を抜本的に見直す必要を感じています。

 

門別よしおさんの回答

北海道民生活応援給付金を形にしたいと思います。

 

鈴木直道さんの回答

最低賃金は、労働者の皆様の生活の安定に向けた労働条件のセーフティネットとして重要な役割を果たしており、その遵守が重要である一方、その引き上げは、厳しい状況にある道内の中小企業の経営に少なからず影響を与えることが懸念されます。最低賃金が遵守されるよう、周知徹底を図ることに加え、中小企業が賃金の支払い能力を高めることができるよう経営の安定化に向け、支援機関による経営相談や制度融資などによる支援に取り組むとともに、国に対し、最低賃金の引き上げを図る企業への助成制度の拡充を求めていきます。

 

 

(2)求職中であっても憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するには、国が行っている求職者支援制度の月10万円の生活支援給付金では大幅に不足します。自治体による独自加算を行うことについて、考えをお聞かせください。

 

池田まきさんの回答

(2)に関しては、求職者支援制度のあり方に関わると思いますが、厚生労働省(ハローワーク)所管の事業として実施されており、生活支援給付金を自治体が直接に独自加算するというよりは、他の独自制度によって側面支援していく方が、少なくとも当面は現実的ではないかと思います。

あわせて、求職者支援制度は、貧困者の自立支援・就労支援を趣旨としていることから、自治体の実施する生活困窮者自立支援制度との連携、あるいは二重行政の解消を進めていくことが重要ではないかと思います。

 

門別よしおさんの回答

北海道民生活応援給付金を形にしたいと思います。

 

鈴木直道さんの回答

求職者支援制度は、雇用保険を受給できない求職者が、無料の求職者支援訓練を受講できることに加え、職業訓練受講手当(月10万円)、通所手当及び寄宿手当を内容とする職業訓練受講給付金が支給される国の制度であり、支給額の増額等については、必要に応じ、国に要望していきます。

 

 

(3)北海道も札幌市も、インバウンドを経済の重要な柱に位置づけていますが、そのインバウンドを支える観光、レジャー、宿泊、飲食などのサービス業は、全業種の中でもとくに非正規雇用の割合が高く、最低賃金近傍・連動した求人が多数を占めています。インバウンドを支えているこうした産業や労働者に対する見解と対策をお聞かせください。

 

池田まきさんの回答〔(1)(3)への一括回答〕

 

門別よしおさんの回答

働き方が壊され、安定雇用や十分な収入は見込めない時代、政府の積極財政が必要です。国はそれを30年怠ってきました。知事はそのことを政府に求めるべきです。

 

鈴木直道さんの回答

観光産業は、宿泊業、飲食業をはじめ運輸業、小売業などにも影響が及ぶ裾野の広い産業であり、本道経済の活性化を図る上で重要な役割を担っています。人材の確保、定着を図るためには、働きやすい環境の整備促進に加え、非正規雇用労働者の処遇改善などが重要と考えており、処遇改善に取り組む企業に専門家を派遣するといった支援を行っています。

 

 

【11】技能実習生

(1)技能実習生への支援の必要性

技能実習生は産業や地域を支える不可欠の存在です。コロナ前は1万人を超える技能実習生が北海道で働いていました。

その一方で、賃金未払い、ハラスメント行為、強制帰国等、技能実習生への権利侵害が指摘されてきました。近年では、技能実習生の妊娠出産問題が社会問題化していることはご承知のことかと思います。

技能実習制度と実態が乖離していることは、周知の事実であり、早急な改善が求められています。政府においても見直しの議論は進められていますが(「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」)、技能実習生への権利保護および多民族・共生社会実現をする上では、彼らが実際に働き生活する場である北海道が積極的な受け入れ態勢を図る必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 

池田まきさんの回答〔(1)~(5)への一括回答〕

人口減少および労働者人口の減少への対策として、近年、入管法が改正(新たな在留資格の創設)されたことにより、国内各地で暮らす外国人労働者やその家族が増え、彼らを住民として受け入れる地域の住民や企業、自治体の意識や態勢のあり方が問われています。もっとはっきり言えば、道内外の現状を見る限り、こうした現状に住民も企業も自治体も多くがまだ十分には対応しきれてはおらず、文化や慣習などの違いに起因する日本人住民との軋轢・摩擦の発生、相談窓口の未整備や実態把握の遅れなど公的支援の不足、労働現場での差別・暴力の発生といった重大な問題が山積し、多文化共生社会の実現にはほど遠い現状にあると思います。

日本の技能実習制度は、ご指摘のとおり、すでにILOからもくり返し見直しを求める勧告が出されている劣悪な制度であり、国レベルで昨年からようやく見直しに向けた議論が始まったところです。この国レベルでの議論の行方を注視しつつも、実習生自身の悩みや相談事、実習生の人権・諸権利の侵害状況、社会保障制度の適用状況、実習先・住居の環境などを中心に、道内の実態を継続的に調査・把握することは道および道内市町村の責務と考えます。

各種の行政サービスや各種権利の周知などは、すでに道内市町村でも取り組みが始まっているように、行政情報の各母国語での周知や通訳を含めた相談窓口の設置などを具体化し、地域で人種や民族や国籍による差別のない多文化共生社会づくりをめざすことが大切と考えます。

 

門別よしおさんの回答

それも大切ですが、まずは道民のやる気、気力を増大させる声かと政策が必要です。

 

鈴木直道さんの回答

全道各地の様々な産業で活躍されている実習生の方々が、その能力を発揮するためには、人権が尊重されることはもとより、より良い就労・生活環境の整備に努めていくことが重要です。道では、外国人材の雇用に関する理解を深めるセミナー等の開催や、管理団体を通じ、外国人を雇用する事業主の方々への法令等遵守の徹底を要請しています。また、札幌出入国在留管理局や北海道労働局、外国人技能実習機構札幌事務所等を構成員とする連携会議において、外国人材を巡る現状、課題、各機関の取組を共有するほか、国に対し、実習生の受入企業等に対する監督指導の強化を求めています。

 

 

(2)債務奴隷化を撲滅するために

技能実習生のほとんどは、母国で多額の借金(母国での年収の3倍~5倍)をして日本に訪れます。その結果、職場で深刻な人権侵害に遭遇しても、強制帰国を恐れて声をあげることができない状況にあります。このことは国際的にも非難されており、政府も一部問題事例を把握しているものの、抜本的な改善は行われておりません。

こうした技能実習生の債務奴隷化をどうお考えかお聞かせください。

 

池田まきさんの回答〔(1)~(5)への一括回答〕

 

門別よしおさんの回答

決してあってはならず、道としても調査を行い、救済を行うべきです。

 

鈴木直道さんの回答

技能実習生が来日前に母国の送出機関や仲介業者に費用を支払うための借金の返済に追われ、様々な問題に繋がっている可能性も踏まえ、入国に当たっての費用負担など、手続きの透明性確保について、国において、相手国と調整することが必要と考えています。

 

 

(3)技能実習生の妊娠・出産・育児に関する権利等の周知について

技能実習生に対する、妊娠・出産・育児に関する権利等の周知が徹底されておらず、技能実習生は出産費用や産休時の収入等に不安を持っています。政府による啓発活動等では対応が不十分で、ほとんどの実習生は、権利等を認識しておりません。

札幌市においては、「さっぽろ子育て情報サイト」にて、妊娠・出産・育児に関する情報発信が行われていますが、実習生が母国語で情報にアクセスすることはできません。今後、実習生をはじめ、各在留資格で働く外国人労働者が増加することが想定され、それに伴い妊娠・出産・育児をめぐる問題も増加するものと考えられます。

このような問題をどうお考えかお聞かせください。

 

池田まきさんの回答〔(1)~(5)への一括回答〕

 

門別よしおさんの回答

受け入れたのなら、しっかりとした情報援助と支援を実施すべきです。恥ずかしいと思います。

 

鈴木直道さんの回答

外国人が安心して働き暮らすためには、日本語の習得や生活習慣等への理解が重要です。道では、8か国語で対応する北海道外国人相談センターで、外国人からの相談対応を実施しているほか、必要に応じて所管官庁への連絡や、労働や生活への支援を行う団体等の紹介を行うなど、技能実習生を含めた本道に在留する外国人に対する支援を行っています。

 

 

(4)公共工事における暴力事案について

全国的に技能実習生への暴力事案が多発しています。とりわけ土木・建設現場で働く実習生に対する暴力事案に関する相談が後を絶ちません。公共工事においても、多くの技能実習生が働いており、暴力事案の潜在化していることが懸念されます。

北海道が発注する公共工事で起こり得る、技能実習生への暴力事案に関し、どのような見解をお持ちか、また、暴力事案の防止策についてどのような具体的な施策をお考えか、お聞かせください。

 

池田まきさんの回答〔(1)~(5)への一括回答〕

 

門別よしおさんの回答

とても痛ましく、こちらもつらくなります。なぜそのようなことが平然と行われるのか不思議です。人権を尊重する環境をつくり、相談窓口を設けたり視察などを行い状況を把握するように出来ると良いと思います。

 

鈴木直道さんの回答

国では、労働関係法令の違反が疑われる実習実施者に対し、所管官庁による監督指導や、外国人技能実習機構による実習実施者への実施研修を行うなど、適正な労働条件、安全衛生の確保と、技能実習制度の適正化を図っています。道内では、土木や建設に関する公共工事の現場における技能実習生への暴力等について報告されていませんが、建設業者団体に対して外国人技能実習生等の従事状況など施行体制の的確な把握に努めることや、建設工事従事者の安全及び健康への配慮について指導しており、国に対しても、安心して実習できる環境の整備などについて要請しています。

 

 

(5)行政サービスへのアクセスについて

技能実習生は、労働者であると同時に市民・生活者でもあります。しかしながら、実習生が各種行政サービスに容易にアクセスする体制が整っていません。各種行政サービスの通訳の配置やネット上の情報への母国語でのアクセス体制は、不十分です。

多文化共生を推進する北海道として、今後どのような方法でこうした行政サービス・情報にアクセスできるようにするのか、また、多文化共生を実現するための街づくり・インフラ整備について、お考えのところをお聞かせください。

 

池田まきさんの回答〔(1)~(5)への一括回答〕

 

門別よしおさんの回答

その方々の言語通じる窓口の開設やコニュニティーの場を作りたいと思います。

 

鈴木直道さんの回答

道では、多言語により相談対応を行うワンストップ窓口「北海道外国人相談センター」や、道内各地で開催する「移動相談会」などを通じて、行政サービスをはじめ様々な困りごとを解決できるよう対応するとともに、身近な行政サービスを行う市町村に対して、外国人が理解しやすい、「やさしい日本語」の使い方や重要性について啓発・普及を行っています。

 

 

【12】公共サービスの担い手の雇用

コロナで浮き彫りになったエッセンシャルワーカーの主な一つが、非正規公務員や、自治体発注の仕事で働く民間労働者など、公共サービスに従事する人たちです。公共サービスの質を維持・改善するためにも、自治体は、使用者として、また、発注者として、この官製ワーキングプア問題にどう向き合うのか問われています。

 

(1)自治体が任用する非正規公務員問題への対応

新たな非正規公務員制度として2020年度から始まった会計年度任用職員制度には、雇用安定に逆行するほか、勤務時間数による賃金・処遇格差の法認など、多くの問題がみられます。

なかでも、現在働いている者が一定期間ごとに雇い止めされて、働き続けることを希望する場合には公募に応じなければならないのは、「パワハラ公募」などと批判されています。公募制は義務づけられたものではなく、総務省も、「地域の実情等に応じつつ、適切に対応されたい。」と2022年12月23日の通知で伝えています。

会計年度任用職員制度をめぐる問題にどう対応するのか、また、公募制は今後も続けるのか、考えをお聞かせください。

 

池田まきさんの回答

(1)に関して、会計年度任用職員制度は、各自治体における長年の独自解釈の積み重ねによって、曖昧化、複雑化していた臨時・非常勤職員の任用根拠を法的に整備したこと、期末手当が支給できるようになったこと、などの面で一定の前進はありましたが、ご指摘のとおり、自治体によっては、同制度導入を機に任用更新ルールが改悪(短縮)されたり、週あたりの労働時間が短縮されたりしたところも相当数あり、多くの会計年度任用職員にとっては総じて労働条件が改善したとは言えない現状にあることは承知しています。

そもそも雇用の原則は「期間の定めのない直接雇用」であることを基本として踏まえた上で、当事者の声を聞き各職場の実態を把握しながら、会計年度任用職員をはじめ臨時・非常勤等職員の雇用の安定と待遇改善を進めていくことが重要だと考えます。

 

門別よしおさんの回答

この点ではわたくしの理解が及んでいません。実態を調査し、不公平感や屈辱感がなくなるような体制を作ることが望ましく思います。

 

鈴木直道さんの回答

会計年度任用職員の募集・任用に当たっては、希望する方に対して均等な機会を提供する必要性などに鑑み、できる限り広く募集を行うことが基本と考えており、公募によらない再度の任用は連続2階までとしています。なお、引き続き、意欲のある方については、連続2階に達した場合であっても、応募して任用されることは可能な旨、周知に努めています。

 

 

(2)自治体が発注する仕事で働く民間労働者への対応

競争入札の過度な促進などを背景に、公共工事や委託事業、指定管理の発注価格が抑制され、結果として現場の低賃金・労働条件につながっています。

国も、問題解決のための取り組み(例えば、いわゆる「担い手三法」の制定・改定や公共工事設計労務の引き上げ)を進めていますが、自治体においても、公契約(の適正化)条例を制定するなど、「先導的にこの問題に取り組んでいくことで、地方公共団体の締結する契約が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することができるよう貢献」(公契約条例を初めて制定した千葉県野田市の同条例の前文)することが求められているのではないでしょうか。

こうした問題への認識と対応策をどうお考えか、また、公契約条例を制定する意思はあるかどうか、考えをお聞かせください。

 

池田まきさんの回答

(2)に関して、公共サービスの質の確保、地域経済の活性化、地域における適正な賃金水準の確保による住民の福祉増進、公正な競争の確保による企業の健全な発展に寄与することを目的として「公契約条例」の制定をめざします。

 

門別よしおさんの回答

この点も勉強不足ですが、公共事業の発注において様々な団体を経由して、結果的に一番届いてほしい人たちにお金が届かないのは問題です。その仕組みを調べ必要な改善を行いたいと思います。

 

鈴木直道さんの回答

道では、賃金などの労働条件については、法定労働条件の範囲内において、個々の労使当事者間で自主的に取り決められるべきものと考えており、適正な賃金の支払いや労働条件の明示、労働災害の防止などについて十分な配慮がなされるよう受注者に文書での要請を行うことなどにより、適正な労働条件の確保に努めています。また、国と連携して関係法令や各種支援制度の周知を図るなど、労働者が安心して働ける職場環境づくりに取り組んでいきます。

 

 

 

(参考)反貧困ネット北海道で準備した参考資料

【1】生活保護制度

細川久美子「新型コロナウィルスによる生活の困窮と私たちの活動」

https://roudou-navi.org/2021/04/08/20200616_hanhinkonnethokkaido/

【2】生活困窮者の自立支援、野宿者・住まい

近藤紘世「コロナ禍の路上生活者と労福会の支援活動」

https://roudou-navi.org/2021/04/11/20200818_hanhinkonnethokkaido/

小川遼「新型コロナによる住居喪失者への影響と対応の現在」

https://roudou-navi.org/2021/04/13/20200818_hanhinkonnethokkaido-2/

【3】女性の貧困(ひとり親家庭、中年・単身世帯)

平井照枝「新型コロナウイルス感染症の影響による収入とくらしについて」

https://roudou-navi.org/2021/04/03/20200616_hanhinkonnethokkaido-2/

シングルマザー調査プロジェクトチーム「シングルマザーの居住貧困―コロナ禍の「ステイホーム」の現実」

https://note.com/single_mama_pj/n/n314829c3dbe6

わくわくシニアシングルズ「2022年 中高年シングル女性の生活状況実態調査結果」

https://seniorsingles.webnode.jp/

シングルマザーサポート団体全国協議会「ひとり親家庭の物価高による影響調査(2022年11月)」

https://www.single-mama.com/wp/wp-content/uploads/2022/11/bukkadakachosa.pdf

【4】保育

岡秀子「緊急事態宣言からこれまでの保育現場のこと」

https://roudou-navi.org/2021/04/06/20200917_hanhinkonnethokkaido-2/

【5】学童保育

林亜紀子「コロナで学童保育の現場 指導員の仕事・働きはどうなった」

https://roudou-navi.org/2021/04/05/20201124__hanhinkonnethokkaido-2/

【7】医療・介護

川村雅則ゼミナール「大学生が学んだ、新型コロナウイルス感染拡大の下での看護労働の現状」

https://roudou-navi.org/2022/01/20/20220120_kawamuramasanori/

田村優実「コロナ禍における介護事業者・労働の実態と取り組み」

https://roudou-navi.org/2021/04/15/20201020_hanhinkonnethokkaido/

【8】障害者福祉

片山和恵「障害者福祉における新型コロナウィルス感染症の影響」

https://roudou-navi.org/2021/04/16/20201020_hanhinkonnethokkaido-2/

【9】学費・奨学金問題

北海道労働者福祉協議会「「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査の結果・電話相談の概要」の報告」

http://hokkaido-roufukukyo.net/report/?p=1386

【10】雇用・労働(総論)

出口憲次「コロナ禍の労働相談と課題」

https://roudou-navi.org/2021/04/02/20200714__hanhinkonnethokkaido/ 

【11】技能実習生

鈴木一「ベトナム人技能実習生への解雇争議を闘って」

https://roudou-navi.org/2021/04/07/20201124__hanhinkonnethokkaido/

三苫文靖「花畑牧場ベトナム人労働者ストライキ報復事件」『季刊労働者の権利』第346号(2022年夏号)pp.121-128

【12】公共サービスの担い手の雇用

川村雅則「自治体の新たな非正規公務員制度問題(2022年度反貧困ネット北海道連続学習会)」

https://roudou-navi.org/2022/07/31/20220707_hanhinkonnethokkaido/

川村雅則「公契約条例の制定で自治体を変える」

https://roudou-navi.org/2022/12/22/20230115_kawamuramasanori/

 

 

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