北海道の大学・高専関係者有志アピールの会「(緊急声明)「人道的休戦」を求める国連総会決議(2023年10月27日採択)に賛同し、 私たちは、パレスチナ・ガザでの即時停戦を求める」

2023年11月16日

(緊急声明)

「人道的休戦」を求める国連総会決議(2023年10月27日採択)に賛同し、

私たちは、パレスチナ・ガザでの即時停戦を求める

 

北海道の大学・高専関係者有志アピールの会

                         共同代表

                            姉崎洋一・北海道大学名誉教授(教育学)

(事務局長)

                荒木 肇・北海道大学名誉教授(農業生産学)

                   大屋定晴・北海学園大学経済学部教授(社会経済学)

                 加藤幾芳・北海道大学名誉教授(原子核物理学、

                      元・日本学術会議連携会員)

              唐渡興宣・北海道大学名誉教授(経済学)

                笹谷春美・北海道教育大学名誉教授(社会学、

                  元・日本学術会議連携会員)

               山口博教・北星学園大学名誉教授(経済学)

 

 

1 ガザの事態──国際人道法違反はハマスにもイスラエルにも許されない

 

2023年10月7日、イスラエルが長年、占領・封鎖してきたパレスチナ自治区内のガザ地区から、ハマス(イスラーム・スンニ派原理主義・民族主義組織「イスラーム抵抗運動」)の軍事部門は越境攻撃を行なった。およそ1200人のイスラエル人が殺害され、またさまざまな国籍の一般市民が200人以上、依然としてガザ地区に人質として拉致されていると報じられている。

 だが、その後のイスラエル軍の「報復」によるガザ空爆と一部地上侵攻とともに、中東聖公会が運営するアル・アハリ病院等が爆撃され、11月14日のガザ保健省の発表では11320人のパレスチナ人が殺された。そのうち、未成年の子どもが4650人、女性が3145人だとされている。

 武器を持たない「市民」――女性、高齢者、そして子ども――を殺害しているという意味では、ハマスもイスラエル軍も国際人道法に反しており、正当化されえない。とはいえ、その被害のあまりの格差、とりわけ乳幼児を含む子どもたちの大量殺傷は人道上の道理に反しており、イスラエルの「自衛」報復は容認できるものではない、とする国際世論も高まっている。双方の国際法違反を同一に並べられない状況が起こりつつある。

 今回の事態の背景には、欧米諸国や旧ソ連の介在による1948年の「イスラエル建国」以来、イスラエル政府がパレスチナの人々の土地を奪い、追い出してきた歴史がある。イスラエルとパレスチナの間では、アラブ諸国を巻き込んでの数度の戦争が交わされ、1967年以降は、イスラエルによってパレスチナ領は軍事占領された。パレスチナ人はヨルダン川西岸地区とガザ地区とに分断され、その他のパレスチナ人は、世界各地に「流浪の民」(デイアスボラ)となっている。1993年にはパレスチナ・イスラエル間での「オスロ合意」があったが、それも遵守されず、イスラエルはパレスチナ領での入植活動を拡大させている。

 2007年からはガザ地区が軍事的に封鎖され、イスラエルとハマスの圧倒的軍事力の差を前提とした非対称戦争が続けられてきた。2008年以降、イスラエル軍はガザに幾度も侵攻しており、2014年の侵攻では、ガザ地区の死者は2251人、負傷者は約11000人にものぼった。

 ハマスが支配するガザ地区には約220万人が住んでおり、イスラエルによる軍事封鎖以降、「天井のない牢獄」とも呼ばれている。日常的圧政と市民的自由を奪われ、その状況下での空爆と地上侵攻は、子どもや老人、障がい者、入院患者、そして5500人以上の出産を控える妊婦さえも巻き込むものであり、単なる「テロ掃討」作戦とはなりえない。グローバル・サウス諸国からは、イスラエルによる「虐殺」「民族浄化」の懸念さえも聞かれる。

 

2 平和を求める国際社会とそれに逆行する米国等一部諸国──日本の混乱した対応

 

 今回、国際連合(国連)安全保障理事会(安保理)は事態を重く見て、数度の停戦決議を試みたが、いずれも理事国の一致を見ず、否決された。

 安保理が機能しない中、国連総会特別緊急会合は10月27日、ヨルダンが提出した「敵対的な行為の停止につながる人道的休戦」を求める決議を採択した。投票した179カ国のうち121カ国が賛成し、その中にはNATOに加盟するベルギー、フランス、ノルウェー、スペイン等も含まれている。しかし、イスラエルとともにアメリカをはじめとする14カ国が反対し、日本を含む45カ国が棄権した。

 この決議に反対したイスラエル(ネタニヤフ政権)、米国(バイデン政権)等の動きは、報復を武力で示し、ハマスを壊滅させる目的で、空爆と地上侵攻を止めずにいる。その際、無辜の民を死傷させることを厭わないなど、国際人道法などを無視するものとなっている。

 日本の対応も、安保理では停戦に賛成したが、総会で棄権するなど、混乱した。今では、これまでの中東に関する独自外交の立場を捨てて、米国に反対しないだけの立場を取ったように見える。報道によれば、岸田文雄首相は11月1日の国会答弁で、ガザ攻撃の法的評価は控えるとして、国際法違反の認識は示さなかった。そして11月3日上川陽子外務大臣はイスラエルを訪問し、ハマスのテロ行為を非難したものの、「戦闘の人道的休止」(一時的中断)しか訴えなかった。他のG7諸国と同様に、イスラエルの「自衛権」だけを認め、イスラエル国内含め、世界から湧き上がる「イスラエルの無差別攻撃停止、即時停戦」は主張していない。こうした日本政府の姿勢は、世界平和に貢献しているとは言い難く、ロシアのウクライナ侵攻を「国際人道法違反」と非難した過去の経緯から見れば、国際的な二重基準(ダブルスタンダード)と言わざるをえない。

 

3 北海道の大学・高専関係者有志アピールの会は次のことを求める

 

 私たちは、政府がそれまでの憲法解釈を勝手に変更し、投げ捨てた、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定(2014年7月)に反対した。立憲主義、平和主義・民主主義・個人の尊厳の実現を目指し、安全保障関連法の廃止、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定の撤回、9条改憲阻止を主張した。大学の自治と学問の自由を侵害する諸法制に反対し、軍事研究総動員、科学・技術の軍事化、軍学共同に異議を呈し、日本学術会議の新規会員6名の任命拒否に抗議し、即時撤回、任命を求めた。私たちは、ウクライナに侵攻したロシア軍の撤兵、国連憲章の順守を訴え、そして大軍拡・大増税に反対する活動等を展開してきた。

 この間、世界の動きは、「新しい戦前」、第三次世界大戦の危惧を感じさせるものとなっている。そうであるが故に、平和、協力、協調にもとづく世界秩序がいっそう喫緊に求められる。これ以上、イスラエル、パレスチナ、とりわけガザ地区において、子どもをはじめとする市民の犠牲を出させてはならない。

 私たちは、反ユダヤ主義やイスラーム恐怖症など、民族、信条、人種などを理由にして、諸個人を差別・分断・排斥しようとするいかなる思想・風潮にも反対する。そして日本国内および世界各地において人道的休戦・即時停戦を求める諸団体・諸個人の行動に私たちは強く連帯する。

 私たちは、国際交流・共同研究を阻害するあらゆる軍事行動の即時中止を求める。「人道的休戦」を求める国連総会決議(2023年10月27日採択)に賛同し、パレスチナ・ガザ地区における即時停戦、人質の解放、人道支援の供給、そしてガザ完全封鎖の解除を求める。さらにはパレスチナ人の合意のないままでのイスラエルの入植拡大政策に反対し、イスラエル・パレスチナの平和的共存への諸措置を求める。

 日本政府には、こうした方向での外交努力を即時とるよう強く求める。

以上

 

 

 

(北海道の大学・高専関係者有志アピールの会)

集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に反対する-戦争をさせない、若者を再び戦場に送らないために-北海道の大学・高専関係者有志アピール運動をすすめる会の略称。集団的自衛権の行使を容認する閣議決定(2014年7月1日)に反対し、同年8月発足。教職員(OB・OG含め)、院生、学生、生協職員などの大学関係者、市民ら20数人で事務局を構成。

 

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