川村雅則「自治体の新たな非正規公務員制度問題(2022年度反貧困ネット北海道連続学習会)」

コロナは私たちの暮らしを支えるエッセンシャルワーカーの存在を浮き彫りにしました。彼らの働く分野の一つが、国や自治体など公務の分野です。彼らは、①非正規公務員として、②公共民間労働者として、不安定な雇用、低い賃金・労働条件で私たちの暮らしを支えています。

反貧困ネット北海道では、自治体における公務非正規問題をテーマにしたオンラインの連続学習会を2022年7月から開始しました(主催団体は反貧困ネット北海道で、「札幌市公契約条例の制定を求める会」が後援)。

公共サービスの拡充、再生という課題も意識しながら、格差・貧困の温床である公務非正規問題をみんなで共有し、問題解決に取り組むことが学習会の目的です。

2022年7月7日(木)18時から行われた第1回学習会の報告内容と報告者は以下のとおりです。

■自治体の新たな非正規公務員制度(会計年度任用職員制度)問題

川村雅則さん(北海学園大学教授、反貧困ネット北海道副代表)

■石狩市の非正規公務員問題と問題解決に向けた議員活動

神代知花子(くましろちかこ)さん(石狩市議会議員)

 

学習会が、この問題に取り組む労働組合や自治体議員はもちろんのこと、当事者の皆さんとつながっていく機会になれば嬉しく思います。

(反貧困ネット北海道事務局)

 

【前置き】

本稿は、川村による当日の報告に加筆したものです。川村は、この間、様々な媒体に同じテーマで原稿を書いています。(1)公務非正規問題については、2021年12月16日、静岡県労働研究所(所長:中澤秀一・静岡県立短期大学部准教授)が主催するオンライン研究会で報告した「官製ワーキングプア問題と、労働組合・労働研究に求められること──北海道の経験から」を、(2)非正規公務員問題に限定するなら、拙稿「新たな非正規公務員制度と、ディーセントワーク実現に向けて」『月刊全労連』第302号(2022年4月号)を、それぞれご参照ください。本稿では、学習会当日は時間の都合で省略した部分などを、(1)(2)などで補っています。

なお、この問題の第一人者である上林陽治氏(公益財団法人地方自治総合研究所研究員、2022年度から立教大学特任教授)の『会計年度任用職員白書 2020』が制度の問題や会計年度任用職員の現状を知る上で必読の文献です。

 

 

■企画開催にあたっての問題意識

当団体における企画の趣旨は冒頭に書いたとおりですが、それをうけて、私自身は、深刻な非正規公務員問題の解決には「3つの再生」が必要であると考えます。

第一に、公共部門の再生です。住民の暮らしを守るはずの公共サービスがここまで削減され、劣化させられています。担い手が非正規化されてきた問題(公務非正規問題)の解決には、公共部門を再生していくことが欠かせません。

第二に、労働組合の再生です。非正規雇用問題の解決に労働組合が取り組まなければ、と言われてもう長い年数が経っています。労働組合による非正規問題の取り組みは、しかしながら思うように進んでいないようです。労組の再生が必要です。

第三に、今回強調したいのは議会の再生です。端的に言います。公務非正規の問題がこれだけ指摘されていながら、地方議会は、この問題に向き合っているでしょうか。確かに、公務員の削減など国からの圧力は強く、また執拗です。しかし地方議会にも出来ることはあるでしょう。問題が見えていないのでしょうか。我々には逆に、議員・議会の姿が見えない、と言わざるを得ません。議会の再生あるいは議会機能の強化を求めます。

以上の「再生」を意識しながら話を進めたいと思います。

 

 

■公務非正規の範囲

1)2つの公務非正規問題

ここで公務非正規の範囲を確認しておきます。

まず一つは、本日扱う非正規公務員です。2020年度から新たに導入された会計年度任用職員制度(以下、新制度とも呼ぶ)を扱います。

もう一つは、第2回以降の学習会で扱う、自治体の仕事を担っている民間労働者(公共民間労働者)です。建設工事、委託業務、指定管理、物品調達の仕事に従事している労働者が想定されますが、加えて、補助金事業に従事している労働者の存在も視野に入れたいと思います。

この点は、私たち自身、取り組みの中で強く意識するようになったことです。具体的な例としては、学童保育を念頭においています[1]。学童保育という事業は、直営(非正規公務員)であっても、民間委託・指定管理であっても、そして、補助金事業であっても、子どもの発達や住民の暮らしを支えているという点では、一緒ではないでしょうか。まだまだ十分に研究ができていませんが、補助金事業も意識していきたいと思います。

 

2)公務非正規の規模

図表1 札幌市の公務非正規の規模

出所:当日の配付資料より。

 

札幌市の数値を例に、公務非正規の規模をイメージしていただこうと思います[2]

非正規公務員数の人数にあわせて、2021年4月1日時点における札幌市の正規公務員数は22868人です。政令市である札幌市は教員の人数も多く、22868人の内訳は、一般行政7396人、教育10160人、消防1841人、そして、公営企業等会計3471人です。

それに対して同じ時期の非正規公務員数は、臨時職員が516人、特別職非常勤職員が141人で、会計年度任用職員が4008人です。全国どの自治体でも、会計年度任用職員制度の導入に伴い、臨時職員と特別職非常勤職員は限定的な採用になり、多くは会計年度任用職員に移行しました。

第二に、公共民間労働者の規模をみていきましょう。と言いたいところですが、公共民間労働者数については、自治体では基本的に把握はされていないと思います。ですからここでは代替指標として、件数や予算規模を示します。指定管理の導入された施設数のみが2022年3月18日現在の数値で、その他は、いずれも2020年度の値です。

すなわち、建設工事が1347件・1044億円、工事関連業務が774件・46億円、役務が2185件・461億円、指定管理が427施設・259億円、物品調達が833件・87億円です。補助金事業の件数や金額については資料照会をしたことがありません。

情報がこうしてほとんどない中で、指定管理導入施設で働く職員数が把握されています。3962人です。そのうちおよそ6割にあたる、2476人が非正規職員です。

皆さんも、問題に取り組むにあたって、どの位の規模の問題を扱うのか概略を把握されるとよいと思います。

 

強調したいのは、今回の企画の対象である公務非正規のみならず、正規の公務員を含めた、公共サービスの担い手全体を視野に入れる必要がある、ということです。コロナ下で問題が顕著にあらわれたとおり、公務員の過重労働が人減らしの中で続いています。

関連して言うと、条例という点では、公契約条例の制定に力を入れてきましたし、これからもその予定ですが、対象の範囲を考えると、「公共サービス基本法」の条例版が必要であると思っています[3]。公共サービスに従事する全ての人々を視野に入れるという趣旨です。

 

 

■本日の報告の内容と留意点

1)報告の内容

さて、本日の私の役割は、公務非正規のうち、新たな制度が導入された非正規公務員問題の概略をお伝えして、くましろさんのお話しにつなげることです。

私の報告では、以下のことをお伝えできればと思います。

第一に、非正規公務員が増大し、様々な公共サービスの担い手となっていること。

第二に、2020年度から導入された新たな非正規公務員制度である会計年度任用職員制度下でも、任用条件は厳しいこと。のみならず、雇用安定、均等待遇という点では、民間の非正規制度よりも新制度は劣ること。雇用安定の面では、むしろ逆行していることを伝えます。

第三に、問題解決の一翼を担うべき地方議会はこの問題に向き合っているでしょうか、という提起をします。この提起は、総体としてみるとであって、くましろさんのように、問題に精力的に取り組んでおられる議員が存在することは言うまでもありません。だからこそ本日は、くましろさんの実践にふれていただき、議員にはここまでのことができるのだと知っていただきたかったという思いがあります。なお、時間の都合で労働組合の取り組みには本日は触れられません。

報告の全体を通じて、とりわけ議員や労働組合の皆さんに申し上げたいのは、自らのマチの非正規公務員問題を調べる作業から始めましょうということです[4]。くましろさんを本日の講師にお招きしたのは、くましろさんの議会活動実践がその見本になると思ったからです。

あわせて強調したいのは、民間企業・労働者調査に比べると情報収集が容易である、ということです。民間企業を訪問して、御社の労働者の労働条件情報をください、といっても門前払いにあうでしょう。ところが、非正規公務員など公務員の場合にはそのようなことはありません。このアドバンテージを最大限活かしましょう。

2)収集すべき情報

まず新制度の理解にあたって、総務省が自治体に出した事務処理マニュアルをみておきましょう(総務省「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルの改訂について」2018年10月18日)[5]。但し、マニュアルに書かれている内容は、非正規公務員の実態に照らして、批判的に読む必要があるのは言うまでもありません。

次に、一般的には、会計年度任用職員制度に関連する条例などがあげられます。ただ、条例だけをみてもなかなか分かりづらいと思います。ですからまずは、各自治体の担当課から、非正規公務員の任用に関する基礎情報の聞き取りと資料提供をお願いすることをお勧めします。私たちもこれまで、札幌市をはじめ各地方都市の非正規公務員制度を調べてきましたが、いずれも、担当課からレクチャーをいただいています。条例には、必要に応じてあたればよいと思います。

なお、担当課からは内規や事務処理手続きに関する書類などもご提供いただきましょう。条例には掲載されていない重要なことが内規には掲載されていることがあります。札幌市の場合には、後で触れる「同一部3年ルール」がそれです。

三つ目に、他の自治体と比較を行いたい際には、総務省による調査データが便利です。総務省は、不定期で、全国の各自治体等に非正規公務員の人数や任用条件などを照会しています。最新は、2020年4月1日基準日です(以下、総務省2020調査[6])。同調査で回収された非正規公務員に関する基礎データは色々と活用できます。当然、皆さんの自治体も回答していますから、まずはこのデータをみてみるとよいと思います。

最後に、可能であれば、当事者への聞き取りやアンケート調査も実施していただきたいと思います。もちろんその際には、我々研究者にも声をかけてください。

 

3)制度やデータをみる際の問題意識

非正規公務員に関する制度やデータをこれからみていくわけですが、会計年度任用職員制度は複雑です。しかし、問題を難しく考える必要はありません。民間を含め、非正規雇用問題をみる際の私なりのポイントを述べておきます。

第一に、有期雇用の濫用問題です。仕事に期限がないなら雇用には期限を設けずに雇うべきではないでしょうか。しかし、半年や一年、短いケースでは数か月という期間で契約を結び、更新を繰り返すことが行われています。民間非正規分野では、問題を是正する法改定(2012年労働契約法の改定)が行われましたが、非正規公務員の新制度下では、この点はどうなったでしょうか。安心して働き続けられる制度になったでしょうか。

第二に、賃金をめぐる問題です。

一つは、低すぎる賃金という、水準問題です。最低賃金引き上げ運動・最低生計費の試算[7]で掲げられているとおり、時給1500円を一つの目安に考えるとよいと思います。

最低生計費を将来的にクリアしたとしても、留意すべきもう一つは、仕事に見合ったものかどうか、です。こんなに専門性の高い仕事をしているのに、こんなに負担の大きな仕事をしているのに、という視点です。職務分析に基づく賃金の設定という発想を強めていくことになるかと思います。

賃金問題とは、水準の問題とその背景にある決定基準をめぐる問題ということになるかと思います。

第三に、ジェンダーの視点です。非正規公務員には女性が多く、そして、彼女たちの賃金水準は非常に低いです。しかし、その低さを問題視できないのは、彼女たちが夫に養われることを前提にしているからではないでしょうか。日本は、政治や経済などの領域で男女の格差が大きく、国際的にもジェンダーギャップ指数が低い国であり続けています。ジェンダー平等の視点をあらゆる政策に導入することが必要です。自治体で働く職員についてこの点はどうなっているでしょうか。

最後に、労働条件決定は労使対等の立場で、ということです。この点はそもそも公務員の場合には、労使対等の雇用関係ではなく、任命権者の意思が優先される公法上の「任用」関係という考えが支配的見解であります。ですから、民間であれば覆すことのできるような雇い止めが行われても、撤回させることができません。期待権に基づく損害賠償を支払わせることができる程度です。

しかし、そもそもこうした現状は合理的に説明が可能なのでしょうか。現行制度を変えるためにも、民間であれば問題になるような実態の有無をまずは調べていくことが必要です。

なお、会計年度任用職員の権利を守るため、人事委員会・公平委員会に関する実践的な研究活動も開始されており、私も勉強をしなければと思っています。

 

 

■ケア職を中心に女性が多数を占める非正規公務員

前置きが長くなりました。新制度下の非正規公務員をみていきましょう。札幌市のデータと総務省2020調査データを使います。

1)道内と札幌市の非正規公務員規模

短期間・短時間勤務者を含めると、非正規公務員の人数は、全国で112.6万人に達します。図表2は、北海道に限定して、非正規職員、正職員、非正規職員割合、非正規職員の女性割合を団体区分別に整理したものです。総務省2020調査に基づくデータです。

 

図表2 団体区分別にみた非正規職員、正職員、非正規職員割合、非正規職員の女性割合/単位:人,%

非正規職員 正職員 非正規職員割合 非正規職員の女性割合
数値A 数値B 数値A 数値B 数値A 数値B
自治体群 29,536 46,503 135,674 17.9 25.5 75.8 67.9
北海道 1,782 6,316 63,051 2.7 9.1 66.3 45.5
札幌市 3,260 4,361 22,631 12.6 16.2 74.0 70.8
市群 12,913 18,622 29,506 30.4 38.7 79.0 74.1
町村群 11,581 17,204 20,486 36.1 45.6 74.1 68.5

注:非正規職員の数値Aは、任用期間が6か月以上又は6か月以上となることが明らかであり、かつ1週間当たりの勤務時間が19 時間25分以上の職員。数値Bにはそれ以外の、短期間、短時間勤務者も含む。
出所:総務省2020調査及び総務省「地方公共団体定員管理調査」より作成。

 

女性が多い非正規公務員ですが、具体的には、どのような仕事に従事しているのでしょうか。総務省2020調査データを使えば簡単に分かります。以下の図表3は札幌市のデータです。

 

図表3 職種別にみた、札幌市の会計年度任用職員数、女性職員数及び女性割合(2020年4月1日)/単位:人,%

一般事務職員 技術職員 医師 医療技術員 看護師等 保育士等
うち看護師 うち保健師 うち保育所保育士
合計人数 731 5 27 538 266 132 64 139 95
女性人数 656 3 13 421 266 132 64 135 95
女性割合 89.7 60.0 48.1 78.3 100.0 100.0 100.0 97.1 100.0
給食調理員 技能労務職員 教員・講師 図書館職員 その他 合計
うち義務教育 うち義務教育以外
合計人数 61 581 673 537 135 87 734 3,842
女性人数 61 327 334 222 112 82 505 2,803
女性割合 100.0 56.3 49.6 41.3 83.0 94.3 68.8 73.0

出所:総務省2020調査より作成。

 

まず合計の4分の3が女性です。人数は少ない医師や技術職員のほか、技能労務職員と教員・講師で女性の割合が相対的に低いです。逆に、保育士等はほとんどが女性であるほか、図書館職員も9割を超えています。看護師等は100%が女性です。

なお、第一に、この図表では職種の分類が大ぐくりです。それぞれの職種ごとに、仕事内容や労働条件を調べることが必要です。

参考までに、札幌市から提供された詳細な職種一覧を「参考資料」として掲載しておきます。「職種」の名称は管理のためにつけられたものであって、例えば同じ職種名でも、求められる資格や勤務条件などの違いによって異なる職種として整理されていることに留意してください。数値は2021年4月1日現在のもので、括弧内は人数です。

第二に勤務時間を述べると、札幌市の場合、会計年度任用職員(2021年4月1日)は、フルタイム型が106人、パートタイム型が3902人、合計で4008人です。フルタイム型とは週の勤務時間が38時間45分で、パートタイム型は30時間が中心です。後者の内訳は、30時間未満が44職種・1331人、30時間が177職種・2543人、30時間超が2職種・28人と伺っています。

 

2)『広報さっぽろ』の職員募集にみる問題

学生の皆さんにはちょっと取っつきづらい話だったかもしれません。こちらはどうでしょうか。皆さんは『広報さっぽろ』を目にすることはありますか。私はいつも「札幌市からのお知らせ」部分に掲載されている職員募集情報をみます。

以下は2022年2月号の画像です。以前に使ったのを更新していないだけで、この月が何か特別だったわけではありません。「預かり保育士」、「調理員」、「児童相談所職員」が募集されています。ところどころに、「更新あり」「最長3年」とみえますね。

 

図表4 『広報さっぽろ』における職員募集情報

出所:『広報さっぽろ』第743号(2022年2月号)より。レイアウトは変更している。

 

余談的な話になりますが、前者の「更新あり」という表現については、本来は、「再度の任用」という表記が使われなければなりません。総務省がそう説明しているのです[8]。しかし、市民には分かりづらいという判断の下で、更新あり、と表記しているのだそうです[9]。何を申し上げたいかというと、正確に書こうとすると逆に理解が難しくなるほど無理のある制度だということです。

後者の「最長3年」とはどういう意味でしょうか。3年で仕事がなくなるから「最長3年」までしか勤めることができないのでしょうか。そうではありません。雇用安定に逆行するこの点をみていきましょう。

 

■新制度下における雇用安定からの逆行

1)厳格化された会計年度ごとの任用

新制度の主要な問題の一つが、雇用安定に逆行するような制度設計になっていることです。

民間では、2012年の労働契約法改定で、有期雇用の濫用を禁止するための無期転換制度が出来ました(2013年度施行)。無期雇用転換を回避しようとする動きが広がり、定着している問題は強調しなければなりませんが、制度はできました。

それに対して公務非正規では、一会計年度内での任用であることが強調され、毎年、条件付採用期間が設けられています。そして、総務省の助言に従い、すでに働いている職員を公募に応じさせることが一定の期間ごとに行われます。それが3年という期間になります。

下の図表5は、以上の民間と公務の制度設計の違いを示したものです。

 

図表5 民間非正規と公務非正規の雇用(任用)制度設計の違い

注:公務におけるaの墨塗箇所は、条件付採用期間(試用期間)。bの点線は勤務実績に基づく能力実証が認められた箇所。cの実線は、公募制による能力実証が必要とされる箇所。
出所:筆者作成。

 

1年で仕事がなくなるわけでもないのに、非常に厳格な任用制度です。また、このような能力実証が民間で果たして一般的に行われているでしょうか。コスト面から考えても無駄なことではないでしょうか。「民間ではおよそあり得ない」と申し上げたい。

ところで、その上で、ここで強調したいのは、条件付採用期間を設けることは制度上避けられないけれども、公募制の導入は自治体の意思で回避できることです。実際、公募制を導入していない自治体もあります。そして、一年ごとの任用であるとはいえ、65歳までの任用継続の保障を労働組合との間で合意している自治体もあります。回避できぬ制度設計と、回避できる(自治体にゆだねられている)制度設計があるのです。

ですから調べていただきたいのは、下記のことです。

  • 公募制を導入する哲学はいかなるものかの批判的な検証
  • 公募制はどの位の期間・頻度で行われることになったのか
  • 部署や職種ごとに異なる運用は行われていないか
  • 公募制の期間に限らず、毎年度ごとに、再度の任用がされずにいわゆる雇い止めが行われたケースは存在しないか

 

 

2)札幌市における「同一部3年ルール」

ところで、会計年度任用職員の任用条件を明らかにする際には、条例だけでなく、行政内で使われている内規も集めましょう。

拙稿ですでに言及しているところですが、札幌市では、同一部で働くことのできる年数を、原則として、3年としています(以下、「同一部3年ルール」)。総務省が助言した3年という期間に、札幌市は独自のルールをさらに上乗せして設けた、ということになります。「札幌市会計年度任用職員の任用に関する要綱」によれば、次のとおりです。

 

(再度の任用)

第6条 部長は、会計年度任用職員の任用期間の満了後、引き続き当該会計年度任用職員を任用する必要があり、かつ、当該会計年度任用職員の勤務成績が良好な場合は、再度の任用をすることができる。

2 前項に基づく同一部での再度の任用は、当初任用日から三年に達する日の属する年度の末日を限度とする。ただし、人材の確保が困難であるとして設置要綱に特別の定めがある職についてはこの限りではない。

3 前項の規定により任用の限度に達した者は、その後一年間同一部で任用できないものとする。

出所:札幌市会計年度任用職員の任用に関する要綱より。下線は報告者。

 

なぜこのようなルールを設けたか、聞き取りで伺ったところ、「同じ職員が長期間職場にいればノウハウが蓄積できるというメリットがある一方で、どうしてもマンネリ化や士気の低下に繋がる恐れがあることや応募者に広く門戸を開くという趣旨を踏まえ」てのことだと回答されました。本人の雇用・生活の安定という観点からはもちろんですが、行政サービスの質保証という観点からも、問題ではないのでしょうか。議会ではどのような審議がされたのでしょうか。

なお、「原則」と述べましたとおり、「同一部3年ルール」には例外が設けられているのですが、それは要綱には書かれていません。別の資料[10]にまとめていますのでそちらも参考にしてください。

 

今年度(2022年度)は、導入・実施を総務省が助言した3年公募制の3年目にあたります。3年を待たずに公募制を早々に実施している自治体もありますが、少なからぬ自治体で公募制が今年度に発動されることを考えると、各自治体の現状をとらえ、発信していくことが必要ではないでしょうか。

 

 

■賃金をめぐる問題

1)賃金水準はいくらか

図表6 道内各自治体等における会計年度任用職員の、職種ごとの1時間当たり換算額/単位:件,%

事務補助職員 看護師 保健師 保育所保育士 給食調理員 清掃作業員
215 100.0 125 100.0 100 100.0 132 100.0 141 100.0 101 100.0
1000円未満 142 66.0 2 1.6 0 0.0 27 20.5 73 51.8 68 67.3
1000円台 27 12.6 4 3.2 2 2.0 40 30.3 30 21.3 17 16.8
1100~1299円 38 17.7 33 26.4 24 24.0 50 37.9 32 22.7 8 7.9
1300円以上 8 3.7 86 68.8 74 74.0 15 11.4 6 4.3 8 7.9
平均値(円) 997 1,537 1,471 1,112 1,029 1,007
中央値(円) 940 1,391 1,368 1,088 993 938
教員・講師(義務教育) 教員・講師(義務教育以外) 図書館職員 消費生活相談員 放課後児童支援員
149 100.0 41 100.0 124 100.0 29 100.0 102 100.0
1000円未満 13 8.7 2 4.9 70 56.5 4 13.8 33 32.3
1000円台 11 7.4 2 4.9 18 14.5 4 13.8 30 29.4
1100~1299円 29 19.5 18 43.9 25 20.2 10 34.5 28 27.5
1300円以上 96 64.4 19 46.3 11 8.9 11 37.9 11 10.8
平均値(円) 1,575 1,436 1,045 1,338 1,092
中央値(円) 1,429 1,286 972 1,228 1,055

出所:拙稿「道内の会計年度任用職員等の臨時・非常勤職員の任用実態──総務省2020年調査の集計結果に基づき」『北海道自治研究』第626号(2021年3月号)に掲載した表3-10を加工。

 

任用の次は賃金です。総務省2020調査で道内各自治体等のデータを整理しました(図表6)。事務補助職員の件数が自治体数よりも多いのは、一部事務組合の結果を含むことによります。

結果は、例えば、なり手不足の背景として低い賃金が指摘されている「保育所保育士」では時給1000円未満の自治体が20.5%存在します。平均で1112円です。

ここで、時給と、月収・年収の関係をイメージしておきたいと思います。1年間=365日を週休2日制で祝日は一切とらずに週40時間勤務で働くと仮定します。税・社会保険料などは考慮しません。計算式は、365日÷7日×40時間÷12か月=月173.8時間、年2085.7時間です。

現在の北海道の最低賃金額889円では、月15.5万円、年185.4万円です。政府・与党が早期の実現をうたう1000円でも、月17.4万円、年208.6万円に過ぎません。1250円では、月21.7万円、年260.7万円、そして、労働界で浸透してきた1500円になって年収300万円(月26.7万円、年312.9万円)にようやく到達します。

そのことを確認した上で、先の図表を再度みてください。現在の非正規公務員の賃金水準がいかに低いかが理解できるのではないでしょうか。コロナ下で疲弊している看護師や保健師のほか、教員・講師で平均値がようやく1500円前後に達するという水準です(中央値ではより低い)。皆さんの自治体ではどうでしょうか。

ただ問題は、これでよいと多くの関係者が思っていることではないでしょうか。そこに、非正規公務員は被扶養者であり、賃金は低くてよいのだという発想が根強くあるのではないでしょうか。そうでなければ、議会でももっと問題視されて然るべきではないでしょうか。

 

2)経験に伴う加算はあるか

水準のチェックとあわせて、経験に伴う加算があるかどうかのチェックもお願いします。つまり経験を重ねることで賃金が上がっていくかどうかです[11]

札幌市の場合には、会計年度任用職員は4種類の給料表のいずれかに配置されています。事務補助職は3号俸、標準職と専門職には8号俸、現業職は12号俸までの給料表が設けられています。それぞれの金額は図表7のとおりです。

 

図表7 給料表種別にみた号俸と給料月額

事務補助職(別表1) 標準職(別表2) 専門職(別表3) 現業職(別表2)
号俸 給料月額(円) 号俸 給料月額(円) 号俸 給料月額(円) 号俸 給料月額(円)
1 147,400 1 179,500 1 231,900 1 152,500
2 152,500 2 185,700 2 238,500 2 158,000
3 158,000 3 191,700 3 245,100 3 164,900
4 197,900 4 252,100 4 172,000
5 204,100 5 259,500 5 179,500
6 210,100 6 266,500 6 185,700
7 216,300 7 273,200 7 191,700
8 222,900 8 279,600 8 197,800
9 203,600
10 208,700
11 214,000
12 219,100

出所:拙稿「札幌市の会計年度任用職員制度の現状──2021年調査に基づき」『北海道自治研究』第634号(2021年11月号)の表3-5を転載(但し、注釈などは割愛)。

 

なおこの金額は、フルタイム(38時間45分)の会計年度任用職員の金額ですから、例えば週30時間勤務の場合には、30/38.75が乗じられることになります。

この金額、最高額はどう評価できるでしょうか。仕事や経験に見合った給料表といえるでしょうか。

当事者はどう評価しているのか、その声を聞いてみたいと強く思います。

 

3)均等待遇から乖離した新制度

関連して申し上げておきたいのは、新制度における均等待遇からの乖離です。ここでもやはり、民間非正規制度と比べて劣る制度設計になっています。

誤解のないよう先に言えば、民間部門でも十分に実効性ある法制度は実現していません。しかし労働組合の皆さんたちが、労働契約法第20条や、後(のち)にパートタイム労働法と統合されて出来上がったパートタイム・有期雇用労働法を活用して、非正規雇用者の処遇改善を前進させてきました。基本給の是正や退職金の支給こそ認められなかったとはいえ、賃金格差是正裁判において、非正規雇用者に対する手当支給を実現させたことはそのあらわれです。手当の場合には、不支給の不合理性はみえやすいですし、パ・有労働法に設けられた、格差に対する使用者側の説明責任も運動に活かせるものです。

ところが会計年度任用職員制度では、勤務時間数で異なる処遇体系が法で認められ、常勤職員に比べて勤務時間数が1分でも短ければ、期末手当のみの支給だけが容認されたパートタイム型に位置付けられることとなりました。よって新制度導入時には、フルタイム労働からパートタイム労働への置き換えも進みました。皆さんのマチではどうでしょうか。退職金などの支給を回避するための不合理な勤務時間数の設定などは存在しないかの確認が必要です[12]

 

以上のとおり、先にみた、雇用安定から逆行する制度に加えて、賃金・処遇面では、時間数が少しだけ短いことをもって格差を制度的に容認する──ここでも、「民間ではおよそあり得ない」状況がみられることを確認しておきます。

そのことを踏まえ、まずは、会計年度任用職員に準備された広義の賃金・処遇面について調べていただきたいと思います。

 

 

■非正規公務員のおかれた状況から市政を点検してみる

さて、非正規公務員問題をみていると市政の矛盾がみえてきます。

 

1)公共サービス・担い手の状態は持続可能か

例えば、内閣府の調べ[13]によれば、SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)の取り組みの推進を掲げた自治体が急増しているそうです。2030年までに、17のゴール・169のターゲットという包括的、野心的な目標の現を掲げた、あのSDGsです。カラフルなロゴ・アイコンを目にするのは日常的になりました。

図表8 SDGsのロゴ・アイコン

出所:国際連合広報センターのウェブサイトより。

 

5番目の目標にはジェンダー平等が掲げられているほか、8番目の目標にはディーセントワーク(働きがいも経済成長も)などまで網羅されています。

札幌市もまたSDGsに取り組んでいるそうで、「SDGs未来都市」に選定されたとウェブサイトで公開されていました[14]

私自身は、SDGsの考えを十分に理解できているわけではありませんが、なぜ今SDGsが必要なのか問題発生の根本原因や構造まで掘り下げて考えることができるなら有益な教材になり得るのではないか、うわべだけ取り繕ったSDGsウォッシュにならなければそれでよいのではないか、と捉えています[15]

では、公共サービスの担い手たる会計年度任用職員に対し札幌市が準備した制度は、SDGsの観点からみてどう評価されるのでしょうか。

 

2)男女共同参画の取り組み

もう一つは、男女共同参画の取り組みです。1999年に施行された男女共同参画社会基本法を根拠に、各自治体においても、条例の制定、基本計画の策定が行われていると思います。ここ札幌市でも、第4次の男女共同参画さっぽろプラン(2018~2022年度)[16]が進展中です。いわゆる女性活躍推進法を根拠とする計画なども包含されていると書かれています。

しかしそのプランには、私の見落としでなければ、会計年度任用職員のことなどは書かれていません。まるで彼らは存在しないかのごとくです。基本目標の一つに掲げられた「男女の多様な働き方の推進」には、雇用等における男女共同参画を推進するための環境整備、女性の経済的自立の推進、女性の活躍に取り組む企業への支援があげられています。何かこう、ずれているというか、自らの足元の問題を避けている気がしてなりません。

 

図表9 男女共同参画さっぽろプラン

  • 第4章:基本施策
  • あらゆる分野で男女共同参画の視点を反映させるための環境づくり
  • 男女の多様な働き方の推進
  • 男女の人権の尊重
  • 女性に対するあらゆる暴力の根絶
  • 男女共同参画の視点に基づく教育・学習の充実

 

揚げ足を取るつもりはありません。もしかしたら札幌市は、非正規公務員や公共民間労働者は除外しているのかもしれません。しかしそれは、「誰一人取り残さない」というSDGsの考えからは逸脱しているでしょう。

公務非正規問題に関して、札幌市は、使用者であり発注者であることの自覚を求めたいと思います。

そしてそれは、首長・行政機関に対する監視役たる議員・議会においても同様ではないでしょうか。この点にふれたいと思います。

 

 

■問題解決の一翼を担う地方議会の実際

1)議員・議会への期待と実際

図表10 二元代表制の仕組み・関係

出所:札幌市市議会ウェブサイト(「市議会の概要」)より。

図表11 地方議員・議会の役割

出所:札幌市市議会ウェブサイト(「よくわかる市議会ガイド」)より。

 

私たちは自らの声を市政に反映させるために、首長と議会議員を選挙で直接選びます。こうした二元代表制の下で議員・議会に求められているのは、先ほど述べた首長・行政機関に対する監視機能、市政の課題に対する調査・研究機能、そして、政策の立案・形成機能などではないでしょうか(後でみる議会基本条例を参照)。

私たちは民間人・団体として、権限や資金も十分ではないという制約下にあっても、ほそぼそとながらも、時間と労力をかけて、公務非正規をめぐる問題を可視化してきました。それに対して議員は、膨大な行政データに容易にアクセスができて、しかも、担当職員からの手厚い説明も受けられる──研究者からみると、じつにうらやましいポジションであるといつも思っています。

 

図表12 都道府県議に対する考え方

出所:「地方議員への不信感浮き彫り 全国調査 「報酬多額」「人数多すぎ」6割」『北海道新聞』朝刊2022年2月3日付より。

 

ところが残念ながら、議員・議会に対して世間の目は厳しい。例えば図表12は北海道新聞の記事[17]からの引用ですが、議員の人数は多すぎる、議員の報酬は多額だという意見への賛同が多く、逆に、議員は忙しいという見解には否定的です。

本稿のテーマである非正規公務員問題などに引き寄せて言えば、これらの問題は議会で果たしてどのような議論がされているのかという疑問が、私自身にもあります。

 

2)地方議会における議員の属性の偏り

図表13 議員の属性の偏り──北海道及び全国の、男女別議員数/単位:人,%

北海道 全国
県議 89 11 100 2,340 303 2,643
市区議 575 139 714 15,634 3,164 18,798
町村議 1,385 171 1,556 9,591 1,217 10,808
合計 2,049 321 2,370 27,565 4,684 32,249
86.5 13.5 100.0 85.5 14.5 100.0

出所:地方公共団体の議会の議員及び長の所属党派別人員調等(令和2年12月31日現在)より作成。

 

図表14 全国の年齢別議員割合

注:両端の年齢階級は、「40歳未満」と「70歳以上」に集約した。
出所:地方議会・議員に関する研究会『報告書(参考資料)』2017年7月より転載。

 

この問題を考えた際に、地方議会の議員の属性には偏りが大きいと思います。図表13、14のとおり、北海道及び全国の自治体議員の9割弱という多数が男性であって、年齢は、市議会議員では半数が60歳以上です。

男性だったら、高齢だったら、という決めつけはもちろん適当ではありません。ただ、専業主婦世帯が中心だった時代を生きた現在の男性高齢者の多くには、もしかしたら、女性の非正規公務員とは、扶養の範囲内で働くことを希望し、職場では男性労働者の補助として働く存在にみえているのかもしれないと思いました。

政治の分野におけるジェンダーギャップの改善が必要だと思います。

 

3)議会基本条例と議会の実際

一方で、議会の役割強化をうたった「議会基本条例」には至極まっとうなことが書かれています。議会基本条例は栗山町で2006年に全国で初めて制定された条例です。私自身、公契約条例づくりに関わる中で、こうした議会のあり方などに関心をもつようになりました[18]

どんなことが書かれているか。札幌市議会基本条例(2013年2月26日)[19]を例にみていきます(皆さんも、自らのマチの条例をご覧になってください)。

 

前文にはこう書かれています。

「市政課題が複雑高度化する中で、本市議会が、多くの権限と責任を担う政令指定都市の議会として、市長その他の執行機関に対する監視及び評価並びに政策の立案及び提言など議会が果たすべき機能を最大限に発揮していく」

 

そして、議員の活動原則についてはこうです。

(1)多様な市民意見と市政の課題を的確に把握し、市政全体を見据えた広い視点及び長期的展望を持って、公正かつ誠実に職務を遂行すること。

(2)自らの議会活動及び議会における意思決定等の過程について、市民に分かりやすく説明すること。

(3)政策の立案及び提言に係る能力の向上を図るため、常に研さんに努めること。

(4)議会が言論の府であることを踏まえ、議員相互間の討議を活発に行うこと。

 

いずれもまっとうな内容だと思います。こうした理想像が実現されたら、と強く思います。

ちなみに、札幌市議会基本条例が制定されたのは公契約条例案が札幌市で継続審議扱いになっていた年です。私はこの議会基本条例を当時みた際に、条例に書かれていることと議会の実際とのギャップに正直、複雑な思いでした。

今日でもそれは同じです。深刻な公務非正規問題が「発見」されているのに対して議会ではどのような審議がされ対策が講じられているのだろうか、議員相互間での討議など果たして行われているのだろうか、と。

もっとも、この議論を締めくくる際に強調したいのは、議会不要論・スリム化論に走るのではなく、議会に期待されている役割が現実のものになるような取り組みや、議員との連携を強めていく必要性です。実際、この後のくましろさんのご報告を聞いていただければ分かるとおり、情熱をもってこの問題に取り組んでいる議員さんは存在するのです。そうした議員をみつけて連携を強化していきましょう。全国で3万人を超える地方議員への働きかけをもっともっと強めていきましょう。

 

 

■ディーセントワーク・シティの実現を

ディーセントワークと書きました。国際労働機関であるILOが提唱している考えで、厚生労働省は「働きがいのある人間らしい仕事」と訳しています[20]

働く人々の幸せ実現の都市を目指すことを提起したい[21]。条例で言えば、先にあげた公共サービス基本条例、公契約条例の制定のほか、中小企業振興条例を念頭においています。地元の企業と労働者にやさしいまちづくりです[22]

本日の企画の主催団体は反貧困ネット北海道で、後援団体は札幌市公契約条例の制定を求める会です。しかしこのテーマでは、NPO法人官製ワーキングプア研究会という団体が豊富な経験・実績を有しています。私も今期(2022年度)から、理事の末席に加わることになりました。ぜひこれらの団体へのご入会を、と呼びかけたいと思います。

本日の企画には、会計年度任用職員当事者の方々にもご参加いただいております。当事者の皆さんにも、ぜひ私やくましろさんとSNSなどを通じてつながっていただければと思います。

 

くましろさんの「前座」ということで、お話しをさせていただきました。

拙い話でありましたが、ご静聴をありがとうございました。

 

 

【注】

[1] コロナ下における民間学童保育の体験は、札幌市公契約条例の制定を求める会で2021年に行った連続学習会での記録を参照。宇夫佳代子「学童保育指導員の働き方と労働の実態」林亜紀子「民間共同学童保育と自治体の役割」などを参照。

[2] 非正規公務員の規模は、拙稿「札幌市の会計年度任用職員制度の現状──2021年調査に基づき」『北海道自治研究』第634号(2021年11月号)を参照、公共民間の規模は、『建設政策』第202号(2022年3月号)から連載をしている「札幌市の公共調達等に関するデータ」を参照。

[3] 同法第11条(公共サービスの実施に従事する者の労働環境の整備)では次のようにうたわれている。「国及び地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする。」

[4] この提起については、拙稿「公務非正規運動の前進のための労働者調査活動」『住民と自治』通巻第704号(2021年12月号)を参照。

[5] 総務省「会計年度任用職員制度等」のページに各種の資料が掲載されています。

[6] 総務省「会計年度任用職員制度等に関する調査結果(施行状況の概要等)」2020年12月21日

[7] 労働組合と協力して最低生計費の調査・研究活動を全国各地で展開している中澤秀一氏(静岡県立大学短期大学部准教授)の論考を参照。

[8] 自治体からの質問に対して総務省は次のように回答しています。「ここでいう「任期の更新」とは、会計年度任用職員の勤務実績を考慮した上で、当該会計年度内において同一の者が同一の職に引き続き任用されるものと解され、任用が中断した後、改めて任用することは更新ではない。一方、再度の任用とは「新たに設置された職」に競争試験又は選考による客観的な能力の実証を経て改めて任用されるというものであり、その点で「任期の更新」と異なる。」

[9] 川村雅則「札幌市の会計年度任用職員制度の現状──2021年調査に基づき」『北海道自治研究』第634号(2021年11月号)の注釈7を参照。

[10] 同一部3年ルールの「例外」については、拙稿「札幌市会計年度任用職員制度における「同一部3年ルール」の例外について」(『北海道労働情報NAVI』配信記事)にまとめました。

[11] 理論的には、職務給の下で賃金が上がらない(大幅に上昇しない)という制度設計になることも、将来的にはあり得るかもしれませんが、今の非正規公務員の賃金水準はあまりに低すぎますし、生活を保障する社会保障制度も極めて不十分です。そもそも職務分析に基づく賃金水準ではありません。

[12] NHK「15分時短のパート公務員 自治体の4割に 総務省が見直し求める」『NHK政治マガジン』2022年2月6日

[13] 内閣府が都道府県及び市区町村を対象に行った、SDGsの取り組みに関するアンケート調査によれば、2021年度の結果は、「推進している」が66%で、2018年度の8%から急増している。詳細は、「内閣府地方創生SDGs に関する全国アンケート調査」を参照。

[14] 札幌市「国連「持続可能な開発目標(SDGs)」の推進」より。

[15] SDGsについては、高橋真樹(2021)『日本のSDGs──それってほんとにサステナブル?』大月書店のほか、ハンディな南博・稲場雅紀(2020)『SDGs──危機の時代の羅針盤』岩波書店、蟹江憲史(2020)『SDGs(持続可能な開発目標)』中央公論新社、などを参照。

[16] 札幌市「男女共同参画さっぽろプラン」

[17] 全国の都道府県議会、市議会、町村議会の3議長会による、地方議会に関するアンケート結果を紹介した「地方議員へ不信感浮き彫り/全国調査「報酬多額」「人数多すぎ」6割」『北海道新聞』朝刊2022年2月3日付。

[18] ハンディな、辻陽(2019)『日本の地方議会──都市のジレンマ、消滅危機の町村』中央公論新社、相川俊英(2017)『地方議会を再生する』集英社のほか、タイトルに魅了される神原勝(2019)『議会が変われば自治体が変わる【神原勝・議会改革論集】』公人の友社や、加藤幸雄(2009)『分権と自治の扉をひらく議会基本条例の考え方』自治体研究社、寺島渉(2019)『地方議会改革の10年』自治体研究社などがおすすめ。雑誌『世界』で連載されている片山善博氏(元鳥取県知事、元総務大臣)の「片山善博の「日本を診る」」も具体例に基づく話で勉強になる。

[19] 札幌市議会「札幌市議会基本条例」

[20] 厚生労働省「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)について」

[21] 当日はあえて使わなかったスローガンが、「冬期五輪の招致よりもディーセント・ワーク・シティの実現を」です。五輪招致に賛同する市民の皆さんにも、まだまだ知られていない公務非正規問題や、札幌市における使用者責任・発注者責任について理解が得られるよう取り組みをしていきたいと考えています。なお、コロナ下でも強行された五輪の性格を理解する上では、ジュールズ・ボイコフ氏(パシフィック大学政治学教授)による次の書籍が参考になりました。(2018、中島由華訳)『オリンピック秘史──120年の覇権と利権』早川書房、(2021、井谷聡子、鵜飼哲訳)『オリンピック反対する側の論理──東京・パリ・ロスをつなぐ世界の反対運動』作品社。

[22] これらは絵空事ではありません。隣国である韓国やソウル市の経験が参考になります。NPO法人官製ワーキングプア研究会の理事長である白石孝編(2018)『ソウルの市民民主主義──日本の政治を変えるために』コモンズや、インターネット上で読むことのできる上林陽治「市民の人権を守る地方自治体の労働政策──韓国・ソウル市の取り組み」『北海道自治研究』第584号(2017年9月号)などを参照。

 

 

 

参考資料 札幌市における会計年度任用職員の職種と人数

1年次前期研修医(14)

2年次前期研修医(11)

3年次後期研修医(4)

栄養士(学校)(2)

栄養士(保育園)(1)

看護師(欠員代替)(1)

管理工(9)

機械工(フルタイム)(1)

自動車運転手(2)

整備工(欠員代替)(1)

清掃業務員(欠員代替)(8)

精算等専門員(1)

調理員(学校)(8)

保育士(医療保育専門)(1)

保育士(保育園)(35)

用務員(フルタイム)(6)

理学療法士(1)

1種栄養士(5)

アイヌ教育相談員(1)

アイヌ生活相談員(2)

アイヌ文化交流センター活動促進員(4)

アスベスト飛散防止監視指導員(2)

オンブズマン事務局相談員(2)

スクールカウンセラー(312)

スクールカウンセラー(スーパーバイザー)(7)

セミナーハウスつきさむ相談員(1)

セラピスト(1)

と畜検査員(1)

ボランティアコーディネーター(1)

まちづくりセンター支援員(159)

メディカルアシスタント(10)

ラウンドメッセンジャー(2)

リハビリテーション指導員(1)

リハビリテーション助手(2)

ろうあ者相談員(10)

安全管理員(1)

移植コーディネーター(1)

医療看護師(医療品質総合管理部)(1)

医療看護師(看護部)(56)

医療看護師(地域連携センター)(7)

医療看護師(薬剤部)(1)

医療事務員(医療品質総合管理部)(1)

医療事務員(地域連携センター)(2)

医療事務員(臨床研修センター)(2)

医療政策推進員(1)

医療相談員(経営管理部)(7)

医療相談員(地域連携センター)(5)

医療秘書(53)

医療秘書業務指導員(1)

運航安全管理者(1)

栄養士(学校)(3)

栄養士(区健康・子ども課2種)(10)

栄養士(子ども発達支援総合センター)(3)

栄養士(事務局)(1)

栄養士(病院)(7)

栄養士(保育園)(2)

栄養士(保健所)(1)

家庭児童相談員(10)

介護員(13)

介護扶助点検指導員(3)

外国語指導相談員(JET-ALT)(21)

外国語通訳翻訳員(1)

学校司書(97)

学校図書館情報センター専門員(1)

学習指導員(4)

感染症総合対策推進員(1)

感染症対策員(保健所)(9)

看護師(学校)(10)

看護師(区健康・子ども課A)(21)

看護師(区健康・子ども課B)(45)

看護事務補助員(看護部)(21)

看護補助員(62)

看護補助員(夜間)(2)

議会図書室奉仕員(1)

教育研究員(21)

教職員相談室相談員(2)

区選挙管理委員会事務局事務員(11)

健康企画推進員(1)

健康指導員(2)

健康相談員(1)

言語障がい幼児相談指導員(2)

言語聴覚士(子ども発達支援総合センター)(1)

言語聴覚士(身体障害者更生相談所)(1)

交通事故相談員(2)

公園業務員(円山動物園)(2)

公共ます窓口相談員(2)

公文書館専門員(6)

広聴相談員(1)

広報連絡員(2)

校務助手(302)

国際交流員(7)

国保重症化予防栄養指導員(2)

国保重症化予防保健指導員(2)

国保特定保健指導員(1)

国保保健指導員(2)

国民年金員(20)

札幌市就学相談員(2)

札幌市生徒指導相談員(3)

散乱等防止指導員(3)

算数にーごープロジェクト講師(222)

算数にーごープロジェクト講師(専任講師)(26)

子どもの権利相談員(7)

子どもの権利調査員(B)(2)

子ども安心ホットライン電話相談員(11)

子育てサポーター(10)

視能訓練士(5)

視力障害者福祉推進員(3)

試験検査助手(衛生研究所)(5)

試験検査助手(下水事業推進部)(3)

試験検査助手(水質管理センター)(2)

試験検査助手(保健所)(1)

歯科衛生士(歯科保健推進)(1)

歯科衛生士(病院)(3)

歯科衛生士(保健所-週10.5時間)(12)

事務員(750)

事務員(緊急雇用創出事業-週17.5時間)(1)

児童虐待対応支援員(2)

児童虐待対応支援員(休日夜間)(6)

児童心理司(児童相談所)(4)

児童生活指導員(昼間)(8)

児童生活指導員(昼間・夜間)(20)

児童生活指導員(夜間)(17)

時間講師(その他)(3)

時間講師(高校改革後補充)(1)

時間講師(高校年間講師)(62)

時間講師(主幹教諭)(29)

時間講師(体育実技補助員)(2)

時間講師(病気休暇)(6)

自動車運転手(140)

自動車運転手(特殊車両-中央卸売市場)(4)

社会教育指導員(1)

社会福祉法人・施設監査調査員(2)

手話通訳者(2)

就労支援アドバイザー(1)

就労支援相談員(29)

宿泊療養施設管理員(1)

初任者研修講師(拠点校)(64)

初任者研修講師(教科指導)(9)

初任者研修講師(従来)(69)

助産師(4)

少年育成指導員(14)

消防音楽隊講師(1)

消防学校舎監(4)

情報提供窓口管理員(2)

食品衛生監視員(2)

心理検査員(1)

心理相談員(6)

心理判定員(2)

心理療法士1種(子ども発達支援総合センター)(2)

心理療法士2種(子ども発達支援総合センター)(2)

心理療法士(児童相談所)(10)

診療報酬明細書点検員(保福総務部)(1)

診療放射線技師(4)

図書情報専門員(79)

清掃業務員(欠員代替)(1)

生活保護債権管理員(3)

生活保護特別指導員(3)

税務証明員(2)

専門調査員(3)

相談支援リーダー(10)

測量資料閲覧受付員(2)

第三者行為求償事務専門員(2)

地域開発状況調査員(1)

地域活動推進員(1)

地下鉄駅業務員(4)

中央卸売市場水産物部専門検査員(3)

中央卸売市場青果部専門検査員(3)

中国残留邦人等支援相談員(1)

聴力検査員(1)

調理員(はるにれ)(3)

調理員(学校)(4)

調理員(児童相談所)(5)

調理員(児童相談所-日額)(3)

調理員(保育園-週24時間)(32)

調理員(保育園-週29時間)(8)

都市計画道路縦覧受付員 (1)

東京事務所連絡員(1)

動物解説専門員(3)

動物飼育業務員(9)

道路管理台帳閲覧受付員(2)

特定廃棄物指導員(4)

特定非営利活動法人審査員(2)

特別支援教育巡回相談員(9)

難病請求審査員(3)

日直専門員(37)

認可外保育施設巡回指導員(5)

認知症地域支援推進補助員(5)

博物館活動促進員(2)

不登校対策相談指導員(26)

不動産登記員(管財部)(1)

不動産登記員(道路認定課)(3)

不動産登記員(用地管理課)(3)

不動産登記関係調査員(1)

不妊専門カウンセラー(3)

不妊専門相談センター相談員(4)

不法投棄監視指導員(4)

部活動指導員(55)

福祉補助員(88)

文化財保護指導員(1)

文書取扱員(6)

保育コーディネーター(10)

保育士(区健康・子ども課)(10)

保育士(子ども発達支援総合センター)(4)

保育士(子育て支援総合センター)(10)

保育士(児童相談所)(3)

保育士(保育園)(2)

保育士(幼稚園)(15)

保育補助員(63)

保育料徴収指導員(3)

保健センター窓口員(10)

保健師(24)

保健師(欠員代替)(4)

母子・婦人相談員(18)

母子保健相談員(11)

放射線技師-子ども発達支援総合センター(1)

放射線補助員(3)

放置自転車撤去指導員(1)

防災行政無線管理員(1)

埋蔵文化財調査技能員(5)

盲人相談員(1)

薬剤師(2)

薬剤助手(7)

幼児教育研究員(3)

幼児教育支援員(5)

幼稚園事務員(9)

用品庫管理員(1)

用品出納補助員(1)

用務員(パートタイム)(4)

用務員(拠点校)(10)

用務員(代替)(23)

里親対応専門員(1)

臨床検査技師(医療品質総合管理部)(1)

臨床検査技師(検査部)(20)

臨床検査技師(子ども発達支援総合センター)(1)

臨床検査技師(耳鼻咽喉科・甲状腺外科)(2)

臨床心理技術者(54)

臨床心理士(3)

臨床心理判定員(17)

霊園作業員(1)

保険サービス員(72)

 

 

赤は100人以上。

緑は50人以上。

紫は20人以上。

注:2021年4月1日現在。括弧内は人数。「職種」の名称は管理のためにつけられたものであり、求める資格や勤務条件などがそれぞれの職ごとに整理されている。

資料:札幌市提供資料より作成。

出所:拙稿「札幌市の会計年度任用職員制度の現状──2021年調査に基づき」『北海道自治研究』第634号(2021年11月号)より転載。

 

 

 

 

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