川村雅則「札幌市会計年度任用職員制度における「同一部3年ルール」の例外について」

札幌市会計年度任用職員制度における「同一部3年ルール」の例外について

拙稿「札幌市の会計年度任用職員制度の現状──2021年調査に基づき」『北海道自治研究』第634号(2021年11月号)にまとめたとおり、札幌市の会計年度任用職員は原則として同一部での再度の任用は原則3年となった(同一部3年ルール)。ただし、例外が三つあり、次のように整理されている。①同一部の考え方の例外、②任用限度の例外、③公募の例外である。これらの情報を追加で札幌市よりご提供いただいた。例外の種類(①~③)ごとに、件数や考え方などを簡単にまとめた上で、具体的な職種(職名)を示す(2022年1月7日記)。

 

 

例外の種類①について

例外が適用されている職場は「保育所」、「学校」、「図書館」の3つ。該当する職種は23職種で、職場別では「保育所」が10件、「学校」が12件、「図書館」が1件となっている。

ただし、当該例外の考え方は厳密には“職”ではなく、“勤務場所”に着目した整理であるため、全庁共通の職種である「事務員」や「自動車運転手」が同一部内で任用替えを行う場合においても、当該考え方が適用となる。つまり例えば、子育て支援部で任用されてA保育所で3年働いた事務員や自動車運転手が、その後、A保育所以外の保育所で同じ職で継続して働く場合には、当該考え方が適用されていることになる。

なお、“勤務場所”に着目した整理であるため、例えば、A保育所で3年働いた「事務員」が「自動車運転手」に職種を変更しても、A保育所で引き続き働くことはできない。

 

表 番号・職名・任用部・例外とする考え方

番号 職名 任用部 例外とする考え方
1 保育士(保育園) 子育て支援部 保育所
2 保育士(休日保育) 子育て支援部 保育所
3 保育補助員(週15.5時間) 子育て支援部 保育所
4 保育教諭 子育て支援部 保育所
5 保育教諭補助員(週15.5時間) 子育て支援部 保育所
6 看護師(保育園) 子育て支援部 保育所
7 栄養士(保育園) 子育て支援部 保育所
8 調理員(保育園、週29時間) 子育て支援部 保育所
9 調理員(保育園、週24時間) 子育て支援部 保育所
10 保育士保育士・幼稚園教諭(子育て支援総合センター) 子育て支援部 保育所
11 看護師(学校) 学校教育部 学校
12 図書情報専門員 中央図書館 図書館
13 介護員 学校 学校
14 校務助手 学校 学校
15 幼稚園事務員 学校 学校
16 指導改善研修指導員 学校 学校
17 教職員相談室相談員 学校 学校
18 非常勤講師A 学校 学校
19 非常勤講師B 学校 学校
20 栄養士(学校) 学校 学校
21 保育士(幼稚園) 学校 学校
22 用務員 学校 学校
23 拠点校調理員 学校 学校

出所:札幌市提供資料より作成。

 

 

例外の種類②について

該当する職種は50職種で、例外とする考え方の分類は、多い順に、「人材確保が困難であると認められるため」が32件、「週当たり勤務時間が15時間30分未満の職であるため」が12件、「全国一律の取扱いを求められている職であるため」が4件、「条例等で委嘱を受けている職であるため」が2件となっている。

 

表 番号・職名・任用部・例外とする考え方

番号 職名 任用部 例外とする考え方
1 防災行政無線管理員 危機管理対策部 人材確保が困難であると認められるため
2 国際部国際交流員 国際部 全国一律の取扱いを求められている職であるため
3 専門調査員 オンブズマン事務局 条例等で委嘱を受けている職であるため
4 日直専門員 地域振興部 週当たり勤務時間が15時間30分未満の職であるため
5 アイヌ生活相談員 市民生活部 人材確保が困難であると認められるため
6 アイヌ文化交流センター活動促進員 市民生活部 人材確保が困難であると認められるため
7 文化部国際交流員 文化部 全国一律の取扱いを求められている職であるため
8 就労支援アドバイザー 総務部 人材確保が困難であると認められるため
9 言語聴覚士(身体障害者更生相談所) 障がい保健福祉部 人材確保が困難であると認められるため
10 視力障害者福祉推進員 障がい保健福祉部 人材確保が困難であると認められるため
11 心理判定員 障がい保健福祉部 人材確保が困難であると認められるため
12 心理療法士1種(週7時間45分) 障がい保健福祉部 人材確保が困難であると認められるため
13 心理療法士1種(週15時間30分) 障がい保健福祉部 人材確保が困難であると認められるため
14 臨床検査技師(子ども発達支援総合センター) 障がい保健福祉部 人材確保が困難であると認められるため
15 放射線技師(子ども発達支援総合センター) 障がい保健福祉部 人材確保が困難であると認められるため
16 言語聴覚士(子ども発達支援総合センター) 障がい保健福祉部 人材確保が困難であると認められるため
17 心理療法士2種 障がい保健福祉部 人材確保が困難であると認められるため
18 第三者行為求償事務専門員 保険医療部 人材確保が困難であると認められるため
19 看護師(区健康・子ども課B) 保健所 週当たり勤務時間が15時間30分未満の職であるため
20 臨床心理技術者 保健所 人材確保が困難であると認められるため
21 不妊専門カウンセラー 保健所 週当たり勤務時間が15時間30分未満の職であるため
22 1種栄養士 保健所 週当たり勤務時間が15時間30分未満の職であるため
23 歯科衛生士 保健所 週当たり勤務時間が15時間30分未満の職であるため
24 と畜検査員 保健所 人材確保が困難であると認められるため
25 保育補助員(週12時間) 子育て支援部(保育園) 週当たり勤務時間が15時間30分未満の職であるため
26 保育教諭補助員(週12時間) 子育て支援部(認定こども園) 週当たり勤務時間が15時間30分未満の職であるため
27 心理療法士 児童相談所 人材確保が困難であると認められるため
28 児童生活指導員(昼間・夜間) 児童相談所 週当たり勤務時間が15時間30分未満の職であるため
29 児童生活指導員(昼間) 児童相談所 人材確保が困難であると認められるため
30 児童生活指導員(夜間) 児童相談所 人材確保が困難であると認められるため
31 児童虐待対応支援員 児童相談所 人材確保が困難であると認められるため
32 児童虐待対応支援員(休日夜間) 児童相談所 人材確保が困難であると認められるため
33 調理員(児童相談所-日額) 児童相談所 週当たり勤務時間が15時間30分未満の職であるため
34 児童心理司 児童相談所 人材確保が困難であると認められるため
35 子どもの権利調査員B 子どもの権利救済事務局 条例等で委嘱を受けている職であるため
36 観光・MICE推進部国際交流員 観光・MICE推進部 全国一律の取扱いを求められている職であるため
37 中央卸売市場水産物部専門検査員 中央卸売市場 人材確保が困難であると認められるため
38 中央卸売市場青果部専門検査員 中央卸売市場 人材確保が困難であると認められるため
39 消防音楽隊講師 総務部 週当たり勤務時間が15時間30分未満の職であるため
40 消防学校舎監 総務部 人材確保が困難であると認められるため
41 運航安全管理者 総務部 人材確保が困難であると認められるため
42 アイヌ教育相談員 学校教育部 人材確保が困難であると認められるため
43 学校司書 学校教育部 週当たり勤務時間が15時間30分未満の職であるため
44 部活動指導員 学校教育部 週当たり勤務時間が15時間30分未満の職であるため
45 外国語指導助手 学校教育部 全国一律の取扱いを求められている職であるため
46 スクールカウンセラー(スーパーバイザー) 学校 人材確保が困難であると認められるため
47 区選挙管理委員会事務局事務員 選挙管理委員会事務局 人材確保が困難であると認められるため
48 期日前投票事務従事者 選挙管理委員会事務局 人材確保が困難であると認められるため
49 投票事務従事者 選挙管理委員会事務局 人材確保が困難であると認められるため
50 開票事務従事者 選挙管理委員会事務局 人材確保が困難であると認められるため

出所:札幌市提供資料より作成。

 

 

例外の種類③について

該当する職種は18職種で、いずれも「公募によってはその職に適格性を有する者を任用することができないと判断されるため」という考え方に基づいて判断している。

 

表 番号・職名・任用部・例外とする考え方

番号 職名 任用部 例外とする考え方
1 防災行政無線管理員 危機管理対策部 公募によってはその職に適格性を有する者を任用することができないと判断されるため
2 交通事故相談員 広報部
3 生活保護特別指導員 総務部
4 就労支援アドバイザー 総務部
5 不妊専門カウンセラー 保健所
6 と畜検査員 保健所
7 少年育成指導員 子ども育成部
8 子どもの権利調査員B 子どもの権利救済事務局
9 中央卸売市場水産物部専門検査員 中央卸売市場
10 中央卸売市場青果部専門検査員 中央卸売市場
11 散乱等防止指導員 環境事業部
12 不法投棄監視指導員 環境事業部
13 アスベスト飛散防止監視指導員 環境事業部
14 放置自転車撤去指導員 総務部
15 消防音楽隊講師 総務部
16 消防学校舎監 総務部
17 アイヌ教育相談員 学校教育部
18 指導改善研修指導員 学校

出所:札幌市提供資料より作成。

 

 

なお、以上の例外となった職は、分類①②③のいずれにおいても、旧臨時・非常勤職員制度下の任用形態とは関係がない。すなわち、例外となった職には、旧制度下で、臨時的任用職員として任用されていた職もあれば、第1種非常勤職員あるいは第2種非常勤職員(容易職、困難職)として任用されていた職など、様々である。

 

同一部3年ルールは、拙稿に書いたとおり、「二〇一七改定法の趣旨や法改定に対して出された附帯決議、あるいは、「公共サービス基本法」に定められた「公共サービスの実施に従事する者の労働環境の整備」の観点などからも乖離しているのではないか。正職員の雇用(任用)はいわゆるジェネラリスト型で会計年度任用職員はジョブ型と考えたとき、後者にとって異動(部の異動)は不可欠なのだろうか。当該労働者の雇用・生活保障という観点からはもちろんのこと、経験や知識の蓄積を通じた行政サービスの質保証という観点からも、検証が必要である。」(注は略)と筆者は考えている。

 

 

 

(関連記事)

川村雅則「札幌市の会計年度任用職員制度の現状──二〇二一年調査に基づき」

 

 

Print Friendly, PDF & Email
>北海道労働情報NAVI

北海道労働情報NAVI

労働情報発信・交流を進めるプラットフォームづくりを始めました。

CTR IMG