川村雅則ゼミナール『北海学園大学 学生アルバイト白書2022(連載10)』

川村雅則ゼミナール『北海学園大学 学生アルバイト白書2022(連載9)』の続きで、連載9で紹介したアンケート調査の結果を取りまとめたものです。1部と2部のゼミ生それぞれが、自分の所属(部)の分をまとめ、川村がそれを一本化しました。ゼミ生たちは現在、「結果の考察と、問題解決に必要な取り組み・政策」(仮)を作成中です。まずは、淡々と取りまとめたアンケート調査の結果をどうぞお読みください。

なお、誤字脱字や内容上の誤りなどをみつけましたらその都度訂正をしていきます。大きな訂正を行いましたら注記します。(2022年10月24日記)

 

 

 

■調査の概要

北海学園大学の学生(以下、学園大生)を対象に、アルバイトや学費負担・奨学金利用などに関するアンケート調査を、2022年度も実施しました。

調査の問題意識

調査の問題意識や内容は、連載1連載9に記載したとおりです(連載9にはアンケート調査票そのものを掲載しています)。

第一に、調査の問題意識をかいつまんで紹介すると、一つ目に、初期に比べると落ち着いたようにみえる学生の就業(アルバイト)機会・勤務時間数の確保状況を明らかにすることです。業種による違いはあるかと思いますが、果たして、アルバイト状況は回復したのかどうか、です[1]。勤務状況の現状を調べて過去との比較を行いたいと思います。

なお、就業機会等との関連でいうと、対面授業が再開されたことでアルバイトをしづらくなったという声が聞かれましたので、その点を尋ねたほか、働きやすさや働きづらさに関する質問もしてみました[2]

二つ目に、ワークルールに反するような経験の有無や実態を尋ねました。

とりわけコロナ初期では、就業機会の喪失に伴う休業手当の不支給問題がクローズアップされましたが、この問題が落ち着きをみせる中で今度は、勤務シフトに関する問題[3]や、いわゆる残業時の賃金の支払い時間(以下、賃金の支払い単位)をめぐる問題[4]が、学生たちにも発生していることが聞き取り調査を通じて明らかになりました。

年次有給休暇についても、制度に関する理解こそ広まっているようですが、自分のアルバイト先でとれるかどうかは別次元の問題のようです。こうしたワークルールに反するような経験の有無などを今回の調査でも尋ねました。

三つ目に、学費負担や生活状況を詳しく把握するため、関連する質問を少し改善したほか、アルバイト収入の使途についても尋ねました。

調査の内容

第二に、以上をふまえた調査の内容は、以下の3つに大きく分かれます。

Ⅰ 回答者の属性など:所属の部、学年、所属の学部、性別、住まい、通学に関すること

Ⅱ アルバイトに関すること:2022年度前期のアルバイト状況と対面授業以降にともなう変化、現在のアルバイト実施状況と業種・業態、勤続期間、勤務時間数、賃金(賃金の支払い単位など含む)、アルバイトをする理由と収入の使途、シフト制の運用状況や問題、ワークルールに反するような経験・問題状況など

Ⅲ 学費負担、奨学金利用に関すること:学費負担・学費の原資、高等教育の修学支援新制度の認知・利用状況、給付型奨学金及び日本学生支援機構による貸与型奨学金の利用状況、コロナ下での家族内での仕事や収入の変化、奨学金収入やアルバイト収入がなかった場合の修学継続の可能性など

 

なお、調査の問題意識や内容は、以上のように整理されますが、焦点をしぼった調査というよりは、例年と同じく、学生の現状を広く明らかにすることにつとめた調査となります。ただ今回は、回答者の負担を減らすために、過去2年の調査に比べて調査内容を少なくしました[5]

 

調査の方法と調査の時期

第三に、調査の方法は、インターネット上で回答を行う、ウェブアンケート調査です。本学のイントラネット(G-PLUS)で学生に対して調査の依頼文と調査票を配信しました。

第四に、調査の時期は、調査票等を配信したのが2022年9月29日9時で、回答を締め切ったのが10月5日8時です。回答数は436件、そのうち有効回答数は431件でした。学生の在籍者数は2022年 5月 1日現在、7,966人とのことです(北海学園大学ウェブサイトの「定員数・学生数」より)から、5.4%の回収率です。

なお、一つ目に、本調査では、アルバイトに関しての悩みやお困りのこと、学費負担や生活に関するご苦労や困っていることなどがもしあれば、自由に書いてもらいました。その一部を本文中で紹介しています(回答者に振った番号と所属の部情報も掲載)。

二つ目に、本調査の改善課題なども注釈に書いています。これから調査に取り組む学生の皆さんには参考にしていただけると幸いです。

 

[1] 但し、同一人物を対象に縦断的な調査を行っているわけではありませんから、明らかにできることには限界があるかと思います。学生自身に尋ねるのとは別の方法でを明らかにする必要があると考えています(例えば、アルバイト求人に関するデータを入手するなどが考えられます)。

[2] 但し後者は、連載9で指摘したとおり、見切り発車的な設計になっています。

[3] 勤務シフト制をめぐる問題は、休業手当の不支給問題とも関わっています。労働組合「首都圏青年ユニオン」が顧問弁護団と共同で作成・発表した「シフト制労働黒書」や、厚生労働省による通知(「いわゆる「シフト制」について」、「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」)などを参照。

[4]  例えば、「すかいらーくが支払いへ 賃金、5分未満の切り捨て分 パートら9万人に16億円」『朝日新聞』朝刊2022年6月9日付、「着替え時間の賃金未払い、是正勧告 厚労省ガイドラインでは労働時間 「まいどおおきに食堂」運営会社」『朝日新聞』朝刊2022年7月15日付など参照。

[5] しかしながら、後述のとおり、回答数は減っています。過去に比べると、調査への協力をお願いする声かけ(教員への声かけ、学園大生の友人・知人への声かけ)が不足していたかもしれません。反省課題です。

 

 

■調査の結果

Ⅰ.あなたの属性

Ⅰでは回答者の属性などを聞きました。

 

表Ⅰ-1 所属の部

単位:人、%

全体
431 100
1部(昼間部) 289 67.1
2部(夜間部) 142 32.9

 

有効回答は431人です。表Ⅰ-1のとおり、所属の部別にみると、1部の回答者数が289人(67.1%)で、2部の回答者数が142人(32.9%)です。

 

表Ⅰ-2 学年

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
1年生 148 34.3 105 36.3 43 30.3
2年生 115 26.7 75 26.0 40 28.2
3年生 104 24.1 67 23.2 37 26.1
4年生 64 14.8 42 14.5 22 15.5

 

表Ⅰ-2のとおり、学年別の回答者数をみると、1部でも2部でも「1年生」が最も多いです。1部では、「1年生」が全体の3分1を超えて(36.3%)、「2年生」と「3年生」が4人に1人前後(26.0%、23.2%)を占めます。残りの14.5%が「4年生」です。

2部では、「1年生」と「2年生」が3割前後を占める(30.3%、28.2%)ほか、「3年生」が26.1%を占めます。「4年生」からの回答は、1部同様に少なく、15.5%にとどまります。

 

表Ⅰ-3 所属の学部

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
経済学部 133 30.9 84 29.1 49 34.5
経営学部 103 23.9 74 25.6 29 20.4
法学部 98 22.7 58 20.1 40 28.2
人文学部 55 12.8 31 10.7 24 16.9
工学部 42 9.7 42 14.5

 

所属の学部をみます。なお、「工学部」は1部のみの設置であり、2部には設置されていません。

結果は、表Ⅰ-3のとおり、1部でも2部でも「経済学部」が最も多いです。とくに2部では全体の3分1を占めます。

1部では、「経済学部」、「経営学部」、「法学部」がそれぞれ2割を超えて多く(29.1%、25.6%、20.1%)、「工学部」、「人文学部」が少ないです(14.5%、10.7%)。

2部では、「経済学部」、「法学部」、「経営学部」の順に2割を超えています(34.5%、28.2%、20.4%)。

 

表Ⅰ-4 性別

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
男性 179 41.5 115 39.8 64 45.1
女性 252 58.5 174 60.2 78 54.9

 

表Ⅰ-4のとおり、1部でも2部でも「女性」からの回答が多いです(60.2%、54.9%)。

 

表Ⅰ-5 住まい

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
実家・親元で暮らしている 299 69.4 227 78.5 72 50.7
「実家・親元」以外で暮らしている 131 30.4 62 21.5 69 48.6
無回答 1 0.2 1 0.7

 

表Ⅰ-5のとおり、回答者の住まいは、1部では「実家・親元で暮らしている」が約8割(78.5%)を占めるのに対して、2部では50.7%にとどまります。代わりに、「「実家・親元」以外で暮らしている」のが48.6%を占めます(1部では21.5%)。

住まいに関するこの調査結果は、後述の生活関連(アルバイト収入の使途など)の回答をみる際に、念頭におく必要があります。

 

表Ⅰ-6 現在(夏場)の通学に要する時間

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
10分未満 71 16.5 35 12.1 36 25.4
10分~20分未満 49 11.4 30 10.4 19 13.4
20分~30分未満 52 12.1 36 12.5 16 11.3
30分~60分未満 142 32.9 103 35.6 39 27.5
60分程度 76 17.6 56 19.4 20 14.1
それ以上 40 9.3 29 10.0 11 7.7
無回答 1 0.2 1 0.7

 

通学の負担を把握するため、表Ⅰ-6のとおり、通学に要する時間を調べてみました。

1部では、「30分~60分未満」が最も多く35.6%となっています。この値を含めた、30分以上かけて通学している回答者は全体の3分の2(65.0%)を占めます。1時間以上に限定しても、3割(29.4%)に及びます。

それに対して2部では「10分未満」が4分の1(25.4%)など、30分未満で全体の半数(50.1%)を占めます。先にみた、住まい(表Ⅰ-5)の違いが反映しています。表は示していませんが、1部と2部をあわせた「実家・親元」群131人では、半数(51.9%)が「10分未満」の時間で済んでいます。

但し2部でも、1時間以上が21.8%を占めていることは、負担を考える上で注意すべき点である。

 

表Ⅰ-7 通学の費用負担の有無及び負担者

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
かからない 128 29.7 76 26.3 52 36.6
かかる(親負担) 120 27.8 98 33.9 22 15.5
かかる(自己負担) 127 29.5 72 24.9 55 38.7
かかる(親負担+自己負担) 50 11.6 37 12.8 13 9.2
かかる(その他負担) 6 1.4 6 2.1

 

表Ⅰ-7のとおり、通学に要する経済的な負担と誰が負担しているかを尋ねました。

1部では、まず、誰が負担するかはともかく、「かかる」という回答が合計で73.7%と全体の4分の3を占めます。そのうち最も多いのは、「かかる(親負担)」です。「かかる(親負担+自己負担)」(12.8%)もあわせると、46.7%です。それに対して自己負担は、「かかる(自己負担)」と「かかる(親負担+自己負担)」の合計で37.7%です。

2部では、まず、短時間の通学群が多いことからも、「かからない」が全体の3分の1強(36.6%)を占めます。また、1部と異なり、「かかる」という中では、「かかる(自己負担)」が38.7%と最も多いこと(「かかる(親負担+自己負担)」を足し合わせると47.9%を占めること)が特徴です。

   

 

 

Ⅱ.アルバイトのこと

Ⅱでは、アルバイトのことを尋ねました。

現在のアルバイトのことを尋ねる前に、オンライン授業から対面授業への移行にともなうアルバイト生活での変化を明らかにするため、まずは、2022年度前期開始前にアルバイトをしていたかどうかを尋ねました。

 

表Ⅱ-1 2022年度の前期開始前のアルバイトの実施状況

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
固定のバイトをしていた 288 66.8 184 63.7 104 73.2
単発のバイトをしていた 10 2.3 8 2.8 2 1.4
していなかった 133 30.9 97 33.6 36 25.4

 

結果は(表Ⅱ-1)、1部では、「固定のバイトをしていた」63.7%と、「単発のバイトをしていた」2.8%を合わせると全体の3分の2ほどを占めます。2部ではさらにその値は高くなり、「固定のバイトをしていた」だけで7割以上(73.2%)を占めました。

なお、第一に、アルバイトを「していなかった」のは、1部で33.6%、2部で25.4%ですから、2部ではアルバイトをしている学生の多いことがわかります。

第二に、1年生(浪人生を除けば当時高校3年生)はアルバイトを「していた」割合は低いのですが、それでも1部と2部とでは差がありました。表は示していませんが、1部の1年生では、105人中37人(35.2%)が「していた」であるのに対して、2部の1年生では、「していた」は43人中22人(51.2%)です。

 

表Ⅱ-2 対面授業が開始されたことにともなう勤務状況や収入の変化【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
298 100.0 192 100.0 106 100.0
勤務回数や勤務時間数を減らした 111 37.2 74 38.5 37 34.9
勤務時間帯や曜日を変更した 112 37.6 77 40.1 35 33.0
アルバイトを辞めたり変えたりした 28 9.4 15 7.8 13 12.3
アルバイト収入が減った 72 24.2 48 25.0 24 22.6
むしろ勤務回数や勤務時間数が、以前よりも増えた 16 5.4 8 4.2 8 7.5
以上のような変化はとくにない 92 30.9 57 29.7 35 33.0

 

では、当時アルバイトをしていた学生に、対面授業への移行にともなう勤務状況や収入の変化はみられたでしょうか。変化として考えられる内容の有無を尋ねてみました(表Ⅱ-2)。

結果は、1部では、「勤務時間帯や曜日を変更した」(40.1%)、「勤務回数や勤務時間数を減らした」(38.5%)がそれぞれ4割前後で多い。これらの数値ほどではないが、「アルバイト収入が減った」も4人に1人の割合です(25.0%)。勤務の変化と収入の変化の差異については、一日の時間数を増やすなどで対応したことが考えられます(聞き取り調査結果を参照)。

1部より割合は低いものの、2部でも、「勤務回数や勤務時間数を減らした」(34.9%)、「勤務回数や勤務時間数を減らした」(33.0%)の順に多いです。「アルバイト収入が減った」も22.6%みられます。

なお、第一に、「以上のような変化はとくにない」は1部、2部ともに3割前後でした。

第二に、学年別にみると、回答者数は少ないですが、履修する授業の数が少ない4年生で「以上のような変化はとくにない」が相対的に多い(1部では52.8%、2部では45.0%)。学部による違いの検討は別の機会に行います。

続いて、現在のアルバイトについてみていきましょう。

 

 

表Ⅱ-3a 現在のアルバイト実施状況【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
固定のアルバイト1つのみしている 260 60.3 169 58.5 91 64.1
固定のアルバイトをかけもちでしている 53 12.3 37 12.8 16 11.3
固定のアルバイトと単発のアルバイトをかけもち 44 10.2 33 11.4 11 7.7
単発のアルバイトのみをしている 12 2.8 9 3.1 3 2.1
アルバイトをしているが、他にも探している 43 10.0 26 9.0 17 12.0
アルバイトをしていないが、探している 34 7.9 26 9.0 8 5.6
アルバイトをしておらず、探してもいない 34 7.9 19 6.6 15 10.6

 

表Ⅱ-3b 現在バイト(就業の有無)

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
アルバイトをしていない 68 15.8 45 15.6 23 16.2
アルバイトをしている 363 84.2 244 84.4 119 83.8

 

まず現在のアルバイトの実施状況を尋ねてみました。

表Ⅱ-3aを整理した表Ⅱ-3bのとおり、「アルバイトをしていない」(「アルバイトをしていないが、探している」、「アルバイトをしていないが、探してもいない」の合計)は、1部では15.6%、2部では16.2%にとどまります。残りが「アルバイトをしている」ことになります。

表Ⅱ-3aに戻って、回答で多いのは、1部でも2部でも、「固定のアルバイト1つのみしている」で、それぞれの割合は58.5%、64.1%です。

ここで留意したいのは「かけもち」の割合です。「固定のアルバイトをかけもちでしている」が1部、2部ともに1割程度みられ、「固定のアルバイトと単発のアルバイトをかけもち」もあわせると1部では4人に1人の割合(24.2%)、2部ではそれよりは低いものの2割弱(19.0%)になります。加えて、「アルバイトをしているが、他にも探している」(すでにかけもちをしている者を含む)が1部で9.0%、2部で12.0%みられます。

 

表Ⅱ-4 かけもちで働いている理由【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
91 100.0 66 100.0 25 100.0
いろいろなアルバイトを経験したいため 41 45.1 35 53.0 6 24.0
時間をもてあましているため 8 8.8 7 10.6 1 4.0
経済的に苦しいのでお金を稼ぎたいため 30 33.0 17 25.8 13 52.0
経済的に苦しいわけではないがお金を稼ぎたいため 48 52.7 41 62.1 7 28.0
その他 7 7.7 4 6.1 3 12.0
無回答 1 1.1 1 4.0

 

もちろん、経済的困窮だけがかけもちの理由ではありません。

表Ⅱ-4のとおり、かけもちで働いている理由として、1部では「経済的に苦しいわけではないがお金を稼ぎたいため」が62.1%、「いろいろなアルバイトを経験したいため」が53.0%と、この2つが半数以上を占めています。

それに対して2部では、「経済的に苦しいのでお金を稼ぎたい」割合が高くて、かけもち群の半数以上を占めていました(52.0%)。また1部でもその割合は25.8%みられます。

なお、経済的な困窮は、アルバイトをかけもちをしているかどうかだけにあらわれるのではなく、アルバイトの時間数そのものもみる必要があります。

 

表Ⅱ-5 現在のアルバイトの業種・業態【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
飲食店 145 39.9 95 38.9 50 42.0
小売店 135 37.2 97 39.8 38 31.9
接客・サービス 26 7.2 15 6.1 11 9.2
教育・保育関連 30 8.3 27 11.1 3 2.5
倉庫・物流・ドライバー 4 1.1 3 1.2 1 0.8
オフィスワーク 29 8.0 15 6.1 14 11.8
肉体労働 25 6.9 13 5.3 12 10.1
アミューズメント・レジャー・イベント・レンタル 41 11.3 29 11.9 12 10.1
その他 3 0.8 2 0.8 1 0.8
無回答 2 0.6 2 1.7

 

現在のアルバイトの業種・業態を尋ねました(表Ⅱ-5)。表中では省略していますが、調査票では、下記のように例示をしました。

 

飲食店(居酒屋、バー、ファストフード、ファミレス、専門料理店、食堂、ビアガーデン、カフェ・喫茶店など)

小売店(コンビニ、スーパー、百貨店、専門店、衣服小売、ドラッグストアなど)

接客・サービス(ガソリンスタンド、ホテル、受付、冠婚葬祭関連、旅行・トラベルなど)

教育・保育関連(塾講師、家庭教師、保育など)

倉庫・物流・ドライバー(配送・配達、仕分け、宅配、ウーバーイーツなどオンラインの注文・配達の仕事など)

オフィスワーク(コールセンター、テレアポ、事務職など)

肉体労働(引っ越し、警備・交通誘導、製造ライン、イベント設営、自動車整備、その他肉体労働)

アミューズメント・レジャー・イベント・レンタル

その他

  

 

 

さて、結果は、1部でも2部でも「飲食店」と「小売店」の多いことが共通しています。1部では、38.9%、39.8%、2部では、42.0%、31.9%です。ほかに、「アミューズメント・レジャー・イベント・レンタル」もそれぞれ1割前後でみられます。

1部の特徴としては、2部と比べて、「教育・保育関連」の割合が高いことです(11.1%)。回答者の仕事(自由記述)をまだ整理していませんが、この選択肢には塾講師や家庭教師が含まれます。学習塾や家庭教師が実施される時間帯(夕方以降・夜)との関係が、1部での「教育・保育関連」の高さと関係していることが考えられます。

それに対して2部での特徴は、「オフィスワーク」と「肉体労働」がそれぞれ1割強を占めていることです(11.8%、10.1%)。

 

以下の項目では、一部(アルバイト収入など)を除き、メインのアルバイトについて回答してもらいました。

 

表Ⅱ-6 現在のアルバイトの勤続期間

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
働き始めたばかり 15 4.1 10 4.1 5 4.2
1、2か月 18 5.0 11 4.5 7 5.9
3~6か月 92 25.3 61 25.0 31 26.1
6か月~1年未満 61 16.8 43 17.6 18 15.1
1~2年未満 98 27.0 68 27.9 30 25.2
2~3年未満 41 11.3 30 12.3 11 9.2
3年以上 35 9.6 20 8.2 15 12.6
無回答 3 0.8 1 0.4 2 1.7

 

現在のアルバイトの継続期間を尋ねました。

結果は(表Ⅱ-6)、1部では、「1~2年未満」が最多(27.9%)で、次に多かったのが「3~6か月」でした(25.0%)。2部でも、「1~2年未満」と「3~6か月」に回答が分布しています(25.2%、26.1%)。

なお、年次有給休暇の取得の要件でもある半年以上の勤続者の割合は、1部では66.0%、2部では62.2%です。

 

   

表Ⅱ-7 夏休み明け現在の、1週間の勤務時間数

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
5時間未満 23 6.3 16 6.6 7 5.9
5~10時間未満 63 17.4 46 18.9 17 14.3
10~15時間未満 76 20.9 59 24.2 17 14.3
15~20時間未満 108 29.8 74 30.3 34 28.6
20~25時間未満 58 16.0 34 13.9 24 20.2
25~30時間未満 19 5.2 11 4.5 8 6.7
30~35時間未満 8 2.2 3 1.2 5 4.2
それ以上 6 1.7 1 0.4 5 4.2
無回答 2 0.6 2 1.7
(再掲)15時間以上 54.8 50.4 63.9
(再掲)20時間以上 25.1 20.1 35.3

 

次に、1週間の勤務時間数をみます。調査を行った時期が夏休み明けであったことから、夏休み期間中の実態が回答されないよう、「夏休み明け現在」と記して勤務時間数を尋ねました。

5時間刻みで尋ねたところ、結果は(表Ⅱ-7)、1部では、「15~20時間未満」が最も多く全体の30.3%を占めました。次に多いのが「10~15時間未満」(24.2%)で、「5~10時間未満」、「20~25時間未満」がその後に続きます(18.9%、13.9%)。

2部でも1部同様に、「15〜20時間未満」が最多で28.6%でした。但し2部では、全体的に、1部よりも長い勤務時間数が多く選択されており、次に多いのは「20~25時間未満」でした(20.2%)。

表の下部で計算した「(再掲)15時間以上」や「(再掲)20時間以上」をみても、2部では、長時間群が多くなっています。20時間以上に限定しても、35.3%です(1部との間で10ポイント以上の差がついています)。

 

表Ⅱ-8 「夏休み期間」の、1か月のアルバイト収入 ※かけもちの場合には合計

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
2万円未満 18 5.0 15 6.1 3 2.5
2万円以上4万円未満 44 12.1 31 12.7 13 10.9
4万円以上6万円未満 70 19.3 52 21.3 18 15.1
6万円以上8万円未満 103 28.4 69 28.3 34 28.6
8万円以上10万円未満 69 19.0 43 17.6 26 21.8
10万円以上12万円未満 32 8.8 22 9.0 10 8.4
12万円以上14万円未満 8 2.2 5 2.0 3 2.5
14万円以上 16 4.4 6 2.5 10 8.4
無回答 3 0.8 1 0.4 2 1.7

 

次は1か月のアルバイト収入です。普段の(夏休み期間中ではない)月の収入を尋ねることも可能でしたが、記憶がより鮮明であると思われた夏休み期間の金額を尋ねました。かけもちで働いている場合には、収入を合計してもらいました。

結果は(表Ⅱ-8)、1部でも2部でも「6万円以上8万円未満」が最多で(28.3%、28.6%)、その前後になだらかな山が形成されています。但し、1部では「4万円以上6万円未満」が21.3%で続くのに対して、2部では「8万円以上10万円未満」が21.8%と次に多いです。

なお、2部では、「14万円以上」という高額の選択肢にも8.4%の回答がみられます。

 

表Ⅱ-9 普段と比べた際の「夏休み期間」中のアルバイト量

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
普段とほとんど変わらなかった 119 32.8 80 32.8 39 32.8
普段より少し長めに働いた 94 25.9 70 28.7 24 20.2
普段の1.5倍ほど長く働いた 61 16.8 44 18.0 17 14.3
普段の1.5倍よりも長く働いた 30 8.3 18 7.4 12 10.1
普段よりも逆に、短く働いた 44 12.1 20 8.2 24 20.2
そもそも、夏休みからバイトを始めた 12 3.3 11 4.5 1 0.8
無回答 3 0.8 1 0.4 2 1.7

 

夏休み期間中は普段よりも長くアルバイトをしているのか(いないのか)を尋ねてみました。

結果は(表Ⅱ-9)、最多は、1部でも2部でも「普段とほとんど変わらなかった」で、それぞれ32.8%と同数でした。

但しどちらの部でも、「普段の1.5倍ほど長く働いた」や「普段の1.5倍よりも長く働いた」が合計で4分の1ほどを占めています。すなわち、1部では25.4%(内訳は、18.0%、7.4%)、2部では24.4%(14.3%、10.1%)です。これに「普段より少し長めに働いた」を足し合わせると、1部では半数を超えます(54.1%。2部では44.5%)。

なお2部では、「普段よりも逆に、短く働いた」が20.2%と高い割合を示している。実家・親元以外で暮らしている学生が帰省をしたことによるものかと考え、住まいの種類とクロス集計を行ってみたが、住まいの違いによる結果の違いはみられませんでした。

   

 

表Ⅱ-10 現在(9月時点)の時給

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
889円(9月時点の最低賃金) 45 12.4 33 13.5 12 10.1
890~899円 32 8.8 21 8.6 11 9.2
900~949円 124 34.2 86 35.2 38 31.9
950~999円 66 18.2 45 18.4 21 17.6
1000~1049円 43 11.8 26 10.7 17 14.3
1050~1099円 10 2.8 7 2.9 3 2.5
1100円以上 42 11.6 25 10.2 17 14.3
無回答 1 0.3 1 0.4
(再掲)1000円以上 26.2 23.8 31.1

 

この調査はちょうど最低賃金の改定の直前に行われましたが、調査では、現在(9月時点)の時給を尋ねました。

結果は(表Ⅱ-10)、1部でも2部でも「900〜949円」でした(35.2%、31.9%)。次に多かったのが「950〜999円」で、1部では18.4%、2部では17.6%です。9月時点の最低賃金である「889円」は、1部では13.5%、2部では10.1%で、889円まで範囲を広げると、それぞれ22.1%、19.3%を占めました。

ただ一方で、1000円以上も、1部では23.8%、2部では31.1%を占めます。とくに2部では、「1100円以上」が14.3%と高い割合でみられました。

仕事による違いが考えられますが、業種・業態とのクロス集計などは別の機会に行います。

 

表Ⅱ-11 現在の時給は自分の働きや仕事内容・責任に見合っているか

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
十分見合っている 173 47.7 118 48.4 55 46.2
やや見合っていない 145 39.9 97 39.8 48 40.3
全く見合っていない 29 8.0 19 7.8 10 8.4
わからない 16 4.4 10 4.1 6 5.0

 

上でみた現在の時給は、自分の働きや仕事内容・責任に見合っていると考えられているかどうかを尋ねてみました。

結果は(表Ⅱ-12)、1部でも2部でも、「十分見合っている」が最も多い結果となりました(48.4%、46.2%)。

但し、残りは、「やや見合っていない」が39.8%、40.3%、「全く見合っていない」が7.8%、8.4%のほか、「わからない」が4.1%、5.0%ですから、回答者の半数弱は、「見合っていない」と考えているようです(但し、「まあ見合っている」を選択肢に設けるべきだったかもしれません)。

なお、表は示しませんが、一部を除き、時給額の高さと関連がみられ、時給が高いほど「十分見合っている」という割合が高くなります。「十分見合っている」は、「889円」では45人中12人(26.7%)であるのに対して、「1100円以上」では42人中30人(71.4%)です。

 

表Ⅱ-12 賃金(時間外労働、残業)の支払い単位は何分か

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
1分単位で支払われている 148 40.8 98 40.2 50 42.0
5分単位で支払われている 18 5.0 12 4.9 6 5.0
10分単位で支払われている 12 3.3 6 2.5 6 5.0
15分単位で支払われている 71 19.6 48 19.7 23 19.3
30分単位で支払われている 22 6.1 12 4.9 10 8.4
わからない 77 21.2 56 23.0 21 17.6
その他 11 3.0 10 4.1 1 0.8
無回答 4 1.1 2 0.8 2 1.7

 

賃金の支払い単位をめぐる問題が社会的にも話題になっていたことをうけて、聞き取り調査に続き今回のアンケート調査でも、アルバイト先での賃金の支払い単位を尋ねました。

結果は(表Ⅱ-12)、1部でも2部でも、「1分単位で支払われている」が最多でした(40.2%、42.0%%)。

もっとも、「5分単位で支払われている」、「10分単位で支払われている」、「15分単位で支払われている」、「30分単位で支払われている」を足し合わせると、1部では32.0%、2部では37.8%と多いです(「15分単位」がどちらの部でも2割程度と最多です)。

なお、残業の経験がないのか、支払い単位が「わからない」が1部では23.0%、2部では17.6%みられました。賃金の支払い単位を知らずに働いている学生が一定数いることには留意が必要です。

 

表Ⅱ-13 対面授業に切り替わったことでの「通学費用」以外での支出増の状況

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
とくに増えていない 187 51.5 116 47.5 71 59.7
増えた(5千円未満) 66 18.2 48 19.7 18 15.1
増えた(5千円~1万円未満) 61 16.8 49 20.1 12 10.1
増えた(1万円~1万5千円未満) 22 6.1 13 5.3 9 7.6
増えた(1万5千円~2万円未満) 12 3.3 10 4.1 2 1.7
増えた(2万円以上) 14 3.9 7 2.9 7 5.9
逆に、減った 1 0.3 1 0.4

 

対面授業に切り替わったことでの「通学費用」以外での支出増の状況を尋ねました(この質問は、アルバイト学生に限定する必要はなく、Ⅲで尋ねるべきでした)。

結果は、1部でも2部でも「とくに増えていない」が最多でした(47.5%、59.7%)。

一方で、「増えた(5千円未満)」が1部で19.7%、2部で15.1%、「増えた(5千円〜1万円未満)」が1部で20.1%、2部で10.1%です、「増えた」という回答者は合わせると、1部では半数を超え(52.0%)、2部でも4割(40.3%)を占めます。

 

表Ⅱ-14 アルバイトをする理由(学費・生活費を得るためか、遊ぶ・趣味等に使うお金を得るためか)

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
遊び・趣味等に使うお金を稼ぐため 89 24.5 79 32.4 10 8.4
どちらかといえば遊び・趣味等に使うお金を稼ぐため 97 26.7 78 32.0 19 16.0
どちらかといえば学費・生活費等を稼ぐため 39 10.7 20 8.2 19 16.0
学費・生活費等を稼ぐため 66 18.2 23 9.4 43 36.1
どちらも半々 72 19.8 44 18.0 28 23.5

 

アルバイトする理由やアルバイト収入の使途についてみていきます。

まずアルバイトをする理由を「学費・生活費を得るため」か「遊ぶ・趣味等に使うお金を得るため」かで分けて尋ねたところ(表Ⅱ-14)、1部では、後者が多く、2部では前者が多い、という結果になりました。

すなわち、1部では、「遊び・趣味等に使うお金を稼ぐため」が32.4%、「どちらかといえば遊び・趣味等に使うお金を稼ぐ」(32.0%)もあわせると全体の3分の2を占めます。

それに対して2部では、「学費・生活費等を稼ぐため」が36.1%で最も多く、「どちらかといえば学費・生活費等を稼ぐため」(16.0%)まで含めると半数を超えています(それでも、どちらかといえばを含むと合計で17.6%は、学費・生活費等を稼ぐために働いています。

なお、「どちらも半々」は1部では18.0%、2部では23.5%です。

 

表Ⅱ-15a アルバイト収入の使途【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
遊興費・交際費・飲み会 252 69.4 177 72.5 75 63.0
趣味・娯楽費 297 81.8 206 84.4 91 76.5
大学の授業料 97 26.7 44 18.0 53 44.5
教科書代や通学費 178 49.0 103 42.2 75 63.0
衣料費 256 70.5 168 68.9 88 73.9
生活費・食費 191 52.6 108 44.3 83 69.7
通信費・スマホ代 98 27.0 53 21.7 45 37.8
部活やサークルの費用 77 21.2 61 25.0 16 13.4
資格や免許の取得に要する費用 135 37.2 86 35.2 49 41.2
就職活動に要する費用 61 16.8 39 16.0 22 18.5
貯金 247 68.0 170 69.7 77 64.7
その他 5 1.4 1 0.4 4 3.4

 

では次に アルバイト収入の使途についてみていきます。

結果は(表Ⅱ-15a)、1部でも2部でも、最多は「趣味・娯楽費」です(84.4%、76.5%)。関連して、「遊興費・交際費」も72.5%、63.0%を占めます。また、「貯金」が多いこと(69.7%、64.7%)や「衣料費」が多いこと(68.9%、73.9%)が共通しています。

但し2部では、表Ⅱ-14の結果から推測されるとおり、「生活費・食費」が69.7%で多い(1部では44.3%)ほか、「教科書代や通学費」が63.0%(同42.2%)、そして、「大学の授業料」が44.5%(同18.0%)と多いことも特徴です。

なお、部活・サークルの加入者割合を反映してか、1部では、「部活やサークルの費用」が25.0%で1部の倍となっています。

 

表Ⅱ-15b そのうち最も金額の大きなもの

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
遊興費・交際費・飲み会 64 17.6 48 19.7 16 13.4
趣味・娯楽費 90 24.8 73 29.9 17 14.3
大学の授業料 51 14.0 27 11.1 24 20.2
教科書代や通学費 17 4.7 9 3.7 8 6.7
衣料費 22 6.1 17 7.0 5 4.2
生活費・食費 59 16.3 24 9.8 35 29.4
通信費・スマホ代 7 1.9 6 2.5 1 0.8
部活やサークルの費用 4 1.1 4 1.6
資格や免許の取得に要する費用 9 2.5 7 2.9 2 1.7
就職活動に要する費用 2 0.6 1 0.4 1 0.8
貯金 36 9.9 28 11.5 8 6.7
その他 1 0.3 1 0.8
無回答 1 0.3 1 0.8

 

表Ⅱ-15aのうち最も金額の大きなもの1つを選んでもらいました(表Ⅱ-15b)。

1部では、「趣味・娯楽費」が最多(29.9%)で、次いで、「遊興費・交際費」(19.7%)、「貯金」(11.5%)と続きます。

それに対して 2部では、「生活費・食費」が最も多く(29.4%)、次に多いのは、「大学の授業料」で5分の1(20.2%)を占めます。「趣味・娯楽費」は三番目です(14.3%)です。

以上の結果をみると、1部では、アルバイト収入を趣味・娯楽などのプライベートに使用できている者の割合が高く、2部では、生活費や学費関連に使用している者の割合が高いとあらためて理解できます。

但し、2部との比較では上のような整理になりますが、1部においても、「大学の授業料」が11.1%のほか、「生活費・食費」が9.8%みられることには留意が必要です。

関連する自由記述を紹介します(生活に関わることにもふれられています)。

 

73/1部 交通費に月2万5千円かかっています。奨学金が月3万円。アルバイト代は全て学費に使うため、月にかかる飲食代や雑費などを5千円内でやりくりしています。学食は高くて利用したことがありません。毎回の昼食はお弁当をつくるか、100円~150円で抑えています。交通費の負担をなんとか軽くする方法はありませんでしょうか?一人暮らしは出費が余計に多くなるため、できません。

81/2部 学費、生活費(家賃含む)を自費で負担するとかなり生活が苦しい。

117/2部 学費は固定されているため負担が大きいのは確かだが、ある程度計算ができる。しかし、後期になり教科書購入や世界情勢の影響で食料の値上げが経済的にも精神的にも負担や不安になっている。

158/1部 生活費の一部、通信費、交際費はもちろん自分のアルバイト代負担なので、これから就活が本格化してシフトに入る時間が減ると考えると少し不安な気持ちになります。

236/2部 教科書代が高いので、買った月の生活が少し苦しくなる。

273/2部 学費自体は二部で安く、月々4万円借りているから、ほとんどの学費は奨学金でまかなえているが、交通費が月に1万3千円かかると4年で1年の学費に相当するほか、教科書代の他に、コロナ禍では自主学習で図書館も満足に使えないため、勉学に励もうと意欲を見せるほどに、図書代はかさみ、そのほかネット回線やpc機材、オフィス系列のソフト等々、奨学金では、学費以外のなにも解決することはできなかった。また奨学金の家計内収入の上限が生計者二人の合算なのも、結局、兄弟の学費や月々の交通費に食事代、祖父母等の親族の面倒を見ているのにも、費用がかさむが、そういった面については一切顧みてもらえないので、非常に難儀している。

324/2部 学費自払いは気にしていないが、昼食代・通信費・衣類費・資格費等も全て自己負担なので生活が厳しい。

365/2部 全部自分負担なので返済のことも考えて貯金もしたいが対面が増えるとバイトも減らさざる得ないので厳しいです。

 

ところで、回答者の負担は大きくなりますが、収入と費目・使途別の支出を金額で把握できれば貴重なデータになると思います。

とくに家賃負担や水道光熱費なども発生する一人暮らしの学生の場合、仕送り、アルバイト収入、奨学金など、どのような収入で日々の生活を送っているのでしょうか(過去の調査では、「仕送り」のない一人暮らし学生の少なくないことが明らかになっています)。別の機会に把握ができればと思います。

 

表Ⅱ-16 現在のアルバイトはシフト制か

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
シフト制(自由シフト制、固定シフト制) 324 89.3 216 88.5 108 90.8
完全な固定勤務制 24 6.6 16 6.6 8 6.7
単発のバイト 8 2.2 6 2.5 2 1.7
登録型派遣 7 1.9 6 2.5 1 0.8

 

今回の調査では、シフト制に関する質問に力を入れました(調査票では、シフト制という言葉には、「勤務シフトに入るかどうかを一定の期間ごとに決める働き方」と説明を入れました)。

さて、まず、現在のアルバイトはシフト制かを尋ねたところ(表Ⅱ-16)、1部でも2部でも、「シフト制」が圧倒的に多く、1部で88.5%、2部で90.8%を占めています。「完全な固定勤務制」は1部で6.6%、2部で6.7%と1割未満にとどまっています。

以下は、シフト制が採用されている学生への質問結果です。

 

表Ⅱ-17a シフトが組まれる周期

単位:人、%

全体 1部 2部
324 100.0 216 100.0 108 100.0
1週間ごと 59 18.2 37 17.1 22 20.4
2週間・半月ごと 67 20.7 46 21.3 21 19.4
1か月ごと 192 59.3 130 60.2 62 57.4
その他 6 1.9 3 1.4 3 2.8

 

第一に、シフトが組まれる周期を尋ねました。

結果は、1部でも2部でも、「1か月ごと」が最多でした(60.2%、57.4%)。残りは「1週間ごと」と「2週間・半月ごと」ですが、1部では「2週間・半月ごと」が21.3%、「1週間ごと」が17.1%で、2部では「1週間ごと」も「2週間・半月ごと」もほぼ同数です(20.4%、19.4%)。

 

表Ⅱ-17b シフトには希望した通りに入ることができるか

単位:人、%

全体 1部 2部
324 100.0 216 100.0 108 100.0
ほぼ希望通りに入ることができる 267 82.4 177 81.9 90 83.3
希望通りに入れないことがときどきある 45 13.9 32 14.8 13 12.0
希望通りに入れないことが多い 10 3.1 6 2.8 4 3.7
希望通りに全く入れない 1 0.3 1 0.9
無回答 1 0.3 1 0.5

 

第二に、シフトには希望した通りに入れるかを尋ねました(表Ⅱ-17b)。

結果は、1部でも2部でも、「ほぼ希望通りにシフトに入ることができる」が8割を超えています(81.9%、83.3%)。

残りで多いのは、「希望通りに入れないことがときどきある」(14.8%、12.0%)で、「希望通りに入れないことが多い」と「希望通りに全く入れない」は合計で1部で2.8%、2部で4.6%にとどまります。

 

表Ⅱ-17c シフトに関する問題状況の有無【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
324 100.0 216 100.0 108 100.0
急にシフトに入れられる 44 13.6 29 13.4 15 13.9
入れないことをすでに伝えているのにシフトに入れないかどうか問い合わせの連絡がくる 58 17.9 42 19.4 16 14.8
シフト希望を多く出さないと、シフトに入れてもらえない 15 4.6 8 3.7 7 6.5
シフトの決まるのが遅い 118 36.4 81 37.5 37 34.3
シフトに入れるか入れないかで、スタッフ間で差別的な扱いがある 7 2.2 3 1.4 4 3.7
すでに決まっていたシフトが取り消しにされることがある 24 7.4 17 7.9 7 6.5
その他 5 1.5 2 0.9 3 2.8

 

第三に、聞き取り調査結果を参考に、シフトに関する問題状況をあげて、該当するものを選択してもらいました(表Ⅱ-17c)。

結果は、1部でも2部でも、「シフトの決まるのが遅い」をあげた者が多かったです。1部では37.5%、2部では34.3%です。次いで多かったのが「入れないことをすでに伝えているのにシフトに入れないかどうか問い合わせの連絡がくる」で、1部で19.4%、2部で14.8%です。そして、「急にシフトに入れられる」が1部で13.4%、2部で13.9%でした。

 

表Ⅱ-17d シフトに関する総合的な評価

単位:人、%

全体 1部 2部
324 100.0 216 100.0 108 100.0
非常に満足している 94 29.0 64 29.6 30 27.8
まあ満足している 166 51.2 110 50.9 56 51.9
少し不満がある 45 13.9 35 16.2 10 9.3
非常に不満がある 14 4.3 5 2.3 9 8.3
どちらともいえない 5 1.5 2 0.9 3 2.8

 

以上をふまえて、最後に、シフトに関する総合的な評価を尋ねました(表Ⅱ-17d)。

1部でも2部でも、「まあ満足している」が半数を占め(50.9%、51.9%)、「非常に満足している」(29.6%、27.8%)を含めると、全体の8割が満足しているという結果になりました。

言い換えると、不満があるの合計は2割程度ということになりますが、2部では、そのうち「非常に不満がある」が8.3%と1部(2.3%)よりも多いです。

なお、第一に、表Ⅱ-17bや表Ⅱ-17cとの関連性(問題があるほど評価が低いこと)は予想されることです。表は示しませんが、実際、例えば、「ほぼ希望通りに入ることができる」群では「非常に満足している」が34.1%であるのに対して、「希望通りに入れないことがときどきある」群での同割合は6.7%にとどまり、大きな差がみられます。

 

表Ⅱ-17e シフトの周期別にみたシフトに関する総合的な評価

単位:人、%

1週間ごと 2週間・半月ごと 1か月ごと
59 100.0 67 100.0 192 100.0
非常に満足している 18 30.5 19 28.4 57 29.7
まあ満足している 25 42.4 35 52.2 102 53.1
少し不満がある 9 15.3 9 13.4 25 13.0
非常に不満がある 6 10.2 4 6.0 4 2.1
どちらともいえない 1 1.7 0 0.0 4 2.1

 

第二に、1部と2部をあわせて、表Ⅱ-17a(シフトが組まれる周期)との関連性を検討したところ(表Ⅱ-17e)、関連はとくにみられませんでした。すなわち、「1週間ごと」群でも「2週間・半月ごと」群でも「1か月ごと」群でも、例えば、「非常に満足している」の割合は、3割前後です。少なくとも今回の調査結果からは、周期が短ければ評価が高いという関連性はみられないようです。

 

55/2部    人が足りなくて目を疑うようなシフトを入れられたりする。

60/1部 シフトを代わってくれと頼まれることが多く、学業が疎かになりそう。

99/1部    人手不足+学生アルバイトが多いため、シフト的に人が足りないところや、次のシフトの人が遅れるためもう1時間働いてほしい等の願いを一番下っ端の自分から先に聞かれるので、入りたてで断りにくい。また、他の従業員とのシフトの関係で、急に「この日もともとあなたのシフトは13時からだけど、急に他の子の出れる時間帯が変わっちゃって、その子の出れる時間の関係上、17時からにします」がある。

398/2部    コロナにかかった人と同居して、濃厚接触になった人がいても、その人の陰性を確認されれば、仕事に復帰するため、その人とは一緒に仕事をしたくないと思っても、人数不足だからと言われシフトの変更ができず、感染への恐怖があること。

413/1部    人手が足りているはずなのに新たに何人か雇っているために、自分のシフトが少なくされていて、全然稼げないこと。やはり昼間に入れない学生は必要とされていないのかと考え、モヤモヤしている…。ダブルワークを考えたが、学業に支障をきたすのではないか。

 

表Ⅱ-18 現在のアルバイト先では学生アルバイトが有給休暇を使うことはできるか

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
できる 152 41.9 93 38.1 59 49.6
できない 77 21.2 54 22.1 23 19.3
わからない 131 36.1 95 38.9 36 30.3
無回答 3 0.8 2 0.8 1 0.8

 

ワークルールの理解状況やアルバイト先の現状を知るのに、本調査では、アルバイト先では学生アルバイトが(年次)有給休暇を使うことができるかどうかという質問を設けました[6]

結果は(表Ⅱ-18)、1部では、「できる」は約4割(38.1%)にとどまり、「わからない」が同じく約4割(38.9%)のほか、「できない」が22.1%という結果でした。

2部では、「できる」が5割(49.6%)を占めて、1部よりよい結果であったものの、3割(30.3%)が「わからない」と回答し、「できない」も19.3%です。

 

表Ⅱ-19 今年度(2022年度)のアルバイトにおいて、以上にみてきた以外の、問題状況や体験の有無【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
求人情報に書かれていたのと仕事内容や労働条件が異なる 40 11.0 23 9.4 17 14.3
休憩が取れなかったりカットされる 20 5.5 11 4.5 9 7.6
仕事の量が多かったり負担が大きい 79 21.8 48 19.7 31 26.1
慢性的に人手不足である 155 42.7 92 37.7 63 52.9
忙しいとあがらせてもらえない 40 11.0 23 9.4 17 14.3
急な早上がりを指示されることがある 42 11.6 29 11.9 13 10.9
ノルマを課されたり、買い取りをさせられる 2 0.6 2 0.8
仕事上のミスを弁償させられる 4 1.1 3 1.2 1 0.8
本来支払われるべき休業手当が支給されなかった 3 0.8 1 0.4 2 1.7
職場内での嫌がらせ・暴言・セクハラがある 18 5.0 9 3.7 9 7.6
客からの嫌がらせ・暴言・セクハラがある 41 11.3 22 9.0 19 16.0
客からのクレーム対応をさせられる 34 9.4 22 9.0 12 10.1
仕事で怪我や火傷などを経験した 40 11.0 23 9.4 17 14.3
以上のような問題状況や経験はとくにない 104 28.7 74 30.3 30 25.2
その他 8 2.2 6 2.5 2 1.7
無回答 29 8.0 24 9.8 5 4.2

 

アルバイト先での、以上にみてきた以外の問題状況や経験の有無について尋ねました。

結果は(表Ⅱ-19)、まず、1部でも2部でも、「問題状況や経験はとくにない」と回答した者は多くありません(1部では30.3%、2部では25.2%)。無回答を問題なしと解釈しても、1部では約4割、2部では約3割にとどまります。言い換えれば、問題を訴えたり経験があった者が多いということになります。以下で結果をみていきますが、訴えの割合が高かった2部の結果を中心に紹介します。また、今後の調査の課題などにも言及します。

第一に、「慢性的に人手不足である」の割合が高いです。とくに2部では、5割を超えています(52.9%。1部では37.7%)。働き方や仕事量に関連する問題は他にもみられ、2部では「仕事の量が多かったり負担が大きい」が26.1%(1部で19.7%)のほか、「忙しいとあがらせてもらえない」が14.3%(同9.4%)です。

第二に、「客からの嫌がらせ・暴言・セクハラがある」が、2部では16.0%(1部では9.0%)のほか、「客からのクレーム対応をさせられる」が同じく2部では10.1%(同9.0%)みられるなど、カスタマーハラスメントの存在も浮き彫りになりました。接客の最前線に立つ学生アルバイトの保護が必要ではないでしょうか。

ところで、第三に、「急な早上がりを指示されることがある」が1割前後(11.9%、10.9%)みられるのに対して、その分の休業手当は果たして支給されているでしょうか。そもそも、支給されるものである、という認識がない可能性が高いのではないでしょうか(そうなると、「本来支払われるべき休業手当が支給されなかった」の訴えの低さも検証の余地がありそうです)。

第四に、賃金の不払い経験は過去の調査でも多くなかった[7]ので、本調査では割愛したのですが、表Ⅱ-12(賃金の支払い単位の結果)をみると、賃金の不払いがどのようなものであるのかが正しく認識されていなかった可能性がある(つまり、賃金は1分単位で支払われるものであることが認識されていなかった)のではないでしょうか。質問内容を検討の上、詳細に調べる必要性を感じます。

自由記述の中から、アルバイト先での経験や、ワークルール教育の必要性を感じさせる問題状況などを記します。

 

136/1部    塾バイトでコマ代は支払われているが、準備時間や片付けの時間は支払われない(賃金が高いため、実質労働時間で割っても最賃にはならないが、求人に1200円以上の高時給と書いていたのは嘘になると思う)。

208/1部    求人の時点ではいいなと思ったバイトでも、調べてみると評判があまりよくないことが多く、怪しいバイトもあるのでなかなか新しいアルバイトに怖くて応募できません。見分ける方法などを身につけなければならないと感じています。

231/2部    飲食店業なので、急に休業したり早上がりさせられたりで金銭的に苦しくなってきている。

232/2部   無理な要望を押し付けてくるなどといった客がいること。

238/1部    働き始めは他店舗よりも時給が高かったが、最低賃金が引き上がっても時給が上がることは無いので、他店舗との差が縮まってしまっている。同じ割合で増額してほしい。

256/1部   休憩中レジが混んだら行かないといけない。

269/1部    給料が少なく、学費がかなり高いため支払うのが困難である。

293/1部    4年間続け、週に4回、1日8時間(たまに9時間)働き、ほかのアルバイトの人よりもやる事がある(納品管理や商品開発、新人研修の教育など)が、時給が10円ほどしか上がらず、また有給などもない点。自分の仕事量に対する給料が見合ってないと感じてる。また、コロナ感染時の休業手当、突然の店舗休業による手当などが全くない、若しくは自分自身で国に申込まないといけない為、負担が大きい。

317/2部   来店してくる客がかなりの確率でとても厄介客なこと。

374/2部    酔っ払いを相手にする仕事のため精神的苦痛がかなり多い。生活費学費等、諸費用を賄うためにはこの仕事が最も時給的にもいいため辞めるに辞めれない。

377/1部   有給休暇がどのくらい働いたら取れるのか分かりません。

417/1部   〔略〕でのバイトで15分前には出勤するよう命じられていて、既定のシフトの時間前から働くことになるにも関わらず、その分のお給料は支払われていないのが嫌だなと思っています。また規定シフトの時間を過ぎての労働に対してもお給料が支払われていないため、困っています。15分単位で切り捨てという感じの出退勤の打刻方法はダメなんじゃないかなと思っているけれど、店長に言い出すことができないのでモヤモヤしています。

 

なお、これらの他にも「辞めさせてもらえない」「辞めたいが切り出しづらい」や「時給を上げて欲しい」などの回答が散見されました。

 

表Ⅱ-20 現在のアルバイト先は働きやすいか、働きづらいか

単位:人、%

全体 1部 2部
363 100.0 244 100.0 119 100.0
非常に働きやすい 104 28.7 72 29.5 32 26.9
まあ働きやすい 190 52.3 130 53.3 60 50.4
少し働きづらい 33 9.1 19 7.8 14 11.8
非常に働きづらい 4 1.1 3 1.2 1 0.8
働きやすい面もあれば働きづらい面もある 32 8.8 20 8.2 12 10.1

 

現在のアルバイト先は働きやすいか、働きづらいかを尋ねました。

結果は(表Ⅲ)、多くは働きやすいと回答しています。「まあ働きやすい」が1部でも2部でも約5割を占めています(53.3%、50.4%)。「非常に働きやすい」(29.5%、26.9%)まで含めると、8割前後を占めます。

残りが働きづらさを感じている(「働きやすい面もあれば働きづらい面もある」を含む)者となります。

では、学生たちはどのような点に働きやすさ、働きづらさを感じているでしょうか。自由に記述してもらいました。この結果については現在分析中なので割愛します。

なお、Ⅱの最後に、アルバイトに関して悩みやお困りのことが何かあれば自由に記述してもらいました。すでに本文中で紹介しているとおりです。

 

[6] 昨年までは、休業手当の支給状況を尋ねていましたが、少し落ち着いたようなので、今年は割愛しました。但し、後でみるとおり、早上がりさせられる場合の所得補償は適切に処理されていない可能性が高(く、学生自身にも正しく認識されていないのではない可能性が高)いと思われます。関連して、例えばパート・アルバイトを対象として、実質的失業の存在を明らかにした野村総合研究所による調査結果を参照(2020年12月29日発表)。同調査では、プレスリリースのタイトルどおり、「コロナによりシフト減少中のパート・アルバイト女性の6割近くが「短時間休業でも休業手当を受け取れること」を知らないと回答」しています。

[7] 例えば、「これまでのアルバイトでの悩みや困った経験など」を複数回答可で尋ねた2019年調査(対象は1部生)によれば、「賃金の不払いがある(深夜割増、残業割増の不払いを含む」は3.2%でした(『白書』p13)。

 

 

 

Ⅲ.学費負担・奨学金利用の状況

Ⅲでは、学費負担や奨学金利用の状況について尋ねました。以下、結果をみていきます。

 

表Ⅲ-1 2020年度から開始された高等教育の修学支援新制度の認知状況

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
知っている 267 61.9 174 60.2 93 65.5
知らない 163 37.8 114 39.4 49 34.5
無回答 1 0.2 1 0.3

 

授業料の減免と給付型奨学金で構成される高等教育の就学支援新制度が2020年度から開始されています(制度の詳細については、文部科学省「高等教育の修学支援新制度」などを参照)。

まずはこの制度について知っているかどうかを尋ねました。

結果は(表Ⅲ-1)、1部では、「知っている」が60.2%にとどまり、「知らない」が39.4%でした。2部では、「知っている」の割合が1部より高く3分の2程度を占めます(65.5%)が、残りの3分の1強(34.5%)は「知らない」です。

 

表Ⅲ-2a 学費負担・学費の原資【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
親の収入 346 80.3 259 89.6 87 61.3
高等教育の修学支援新制度(授業料の減免、給付型奨学金) 82 19.0 46 15.9 36 25.4
その他の給付型奨学金 35 8.1 22 7.6 13 9.2
貸与型奨学金(返済を必要とする奨学金) 152 35.3 95 32.9 57 40.1
自分自身のアルバイト収入 105 24.4 47 16.3 58 40.8
その他 11 2.6 6 2.1 5 3.5

 

学費負担・学費の原資が何であるかを尋ねました。昨年(2021年)の調査では、「奨学金」を一つにまとめて尋ねましたが、今年は、「高等教育の就学支援新制度(授業料の減免、給付型奨学金)」、「その他の給付型奨学金」、「貸与型奨学金(返済を必要とする奨学金)に分けました(以下、括弧内の説明は省略します)。

結果は(表Ⅲ-2a)、1部では、「親の収入」が9割(89.6%)という高さでした。2部でも「親の収入」が最多であるものの、その割合は6割(61.3%)にまで下がります。

「親の収入」以外をみると、1部では、「貸与型奨学金」が32.9%、「自分自身のアルバイト収入」が16.3%、「高等教育の修学支援新制度」が15.9%などが1割を超えているのに対して、2部では、「貸与型奨学金」と「自分自身のアルバイト収入」が約4割を占める(40.1%、40.8%)ほか、「高等教育の修学支援新制度」が4分の1を占めている(25.4%)ことが特徴です。

 

表Ⅲ-2b そのうち主な学費負担・学費の原資

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
親の収入 282 65.4 218 75.4 64 45.1
高等教育の修学支援新制度(授業料の減免、給付型奨学金) 40 9.3 22 7.6 18 12.7
その他の給付型奨学金 4 0.9 2 0.7 2 1.4
貸与型奨学金(返済を必要とする奨学金) 66 15.3 39 13.5 27 19.0
自分自身のアルバイト収入 31 7.2 3 1.0 28 19.7
その他 7 1.6 4 1.4 3 2.1
無回答 1 0.2 1 0.3

 

表Ⅲ-2aであげられた回答から主な一つのみをあげてもらいました(表Ⅲ-2b)。ここでも1部と2部とでは大きな違いがみられました(なお、調査票では「主な」と表現しましたが、「最大の」とすべきでした)。

すなわち1部では、「親の収入」が4分の3(75.4%)を占め、「貸与型奨学金」が13.5%、「高等教育の修学支援新制度」が7.6%と続きます。

それに対して、2部では、「親の収入」が45.1%にとどまり、「貸与型奨学金」と「自分自身のアルバイト収入」が約2割(19.0%、19.7%)で続くほか、「高等教育の修学支援新制度」が12.7%でした。

なお、1部の結果について補足すると、第一に、2部に比べると低いものの、1部においても、「貸与型奨学金」を主な学費負担・学費の原資とする者が1割を超えます。

第二に、「自分自身のアルバイト収入」を主な(最大の)学費負担・学費の原資とするものは1部では1.0%でしたが、表Ⅱ-15aや表Ⅱ-15bでみたとおり、1部でも、アルバイト収入を「大学の授業料」や「教科書代や通学費」にあてているものは少なくありませんでした。

 

表Ⅲ-3 高等教育の修学支援新制度の利用状況

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
利用していない 323 74.9 228 78.9 95 66.9
利用している(区分は、第Ⅰ区分・住民非課税世帯) 42 9.7 22 7.6 20 14.1
利用している(区分は、第Ⅱ区分) 19 4.4 13 4.5 6 4.2
利用している(区分は、第Ⅲ区分) 10 2.3 4 1.4 6 4.2
利用している(区分は、分からない) 31 7.2 17 5.9 14 9.9
無回答 6 1.4 5 1.7 1 0.7

 

高等教育の修学支援新制度の利用状況を尋ねました。

結果は(表Ⅲ-3)、1部では、「利用していない」が78.9%、利用しているの合計が19.4%で、同じく2部では、「利用していない」が66.9%で、利用しているの合計が32.4%でした[8]

次に、同制度は、利用できる区分が所得水準によって決まりますが、1部では、「利用している(第1区分・住民税非課税世帯)」が7.6%であるのに対して、2部では、同区分が14.1%です。

 

表Ⅲ-4 給付型奨学金の利用状況【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100 289 100 142 100
給付型の奨学金は受けていない(利用していない) 272 63.1 199 68.9 73 51.4
北海学園奨学金 44 10.2 31 10.7 13 9.2
自治体の奨学金 4 0.9 1 0.3 3 2.1
民間団体の奨学金 1 0.2 1 0.3
日本学生支援機構の「旧来型」の給付型奨学金(修学支援新制度移行者は除く) 39 9 23 8 16 11.3
修学支援新制度の給付型奨学金 60 13.9 29 10 31 21.8
その他
無回答 29 6.7 18 6.2 11 7.7
(再掲)利用している計 30.2 24.9 40.8

 

奨学金の利用状況についてみていきます。まず、返済が不要な給付型の奨学金の利用状況を尋ねました。

結果は(表Ⅲ-4)、まず、「給付型の奨学金は受けていない(利用していない)」が、1部では約7割(68.9%)であるのに対して、2部では、約半数(51.4%)でした。言い換えれば、2部では利用者が多いことになります。

利用している給付型奨学金の種類をみると、1部では、「北海学園奨学金」が10.7%、「修学支援新制度の給付型奨学金」が10.0%、「日本学生支援機構の「旧来型」の給付型奨学金(修学支援新制度移行者は除く)」が8.0%となっています[9]

2部では、「修学支援新制度の給付型奨学金」が21.8%と多く、ほかは1部と同じく、「北海学園奨学金」が9.2%、「日本学生支援機構の「旧来型」の給付型奨学金(修学支援新制度移行者は除く)」が11.3%となっています。

 

表Ⅲ-5 日本学生支援機構による「貸与型」奨学金の利用状況

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
利用していない 248 57.5 174 60.2 74 52.1
利用している(第一種のみを利用している) 69 16.0 42 14.5 27 19.0
利用している(第二種のみを利用している) 60 13.9 39 13.5 21 14.8
利用している(第一種と第二種を併用している) 28 6.5 15 5.2 13 9.2
利用しているが、内容が分からない 19 4.4 14 4.8 5 3.5
無回答 7 1.6 5 1.7 2 1.4
(再掲)利用している計 40.8 38.1 46.5

 

次に、日本学生支援機構による「貸与型」奨学金の利用状況を尋ねました。

結果は(表Ⅲ-5)、1部では、「利用していない」が約6割(60.2%)、利用しているの合計が38.1%で、2部では、「利用していない」が半数強(52.1%)、利用しているの合計が46.5%です。1部でも2部でも、給付型奨学金(表Ⅲ-4)より貸与型奨学金の利用が多いですが、とくに1部ではその差が大きく開いています(24.9%に対して38.1%。2部では、40.8%に対して46.5%)。

無利子型の第一種と有利子型の第二種の利用状況をみると、1部でも2部でも「利用している(第一種のみを利用している)」が最多で(1部では14.5%、2部では19.0%)、「利用している(第二種のみを利用している)」が続きます(同13.5%、14.8%)。

加えて2部では、「利用している(第一種と第二種を併用している)」も1割程度を占めます(9.2%。1部では5.2%)。

 

表Ⅲ-6 第一種奨学金と第二種奨学金の利用合計金額(月額)

単位:人、%

全体 1部 2部
176 100.0 110 100.0 66 100.0
2~3万円台 35 19.9 19 17.3 16 24.2
4~5万円台 58 33.0 33 30.0 25 37.9
6~7万円台 26 14.8 17 15.5 9 13.6
8~9万円台 12 6.8 11 10.0 1 1.5
10~11万円台 14 8.0 9 8.2 5 7.6
それ以上(12万円以上) 13 7.4 7 6.4 6 9.1
金額はわからない 16 9.1 12 10.9 4 6.1
無回答 2 1.1 2 1.8
(再掲)8万円以上 22.2 24.5 18.2

 

貸与型奨学金利用者に対して、その利用金額(月額)を尋ねました。第一種と第二種を足し合わせた金額です。

結果は(表Ⅲ-6)、4年間(48か月分)で400万円近く(384万円)の金額になる月8万円以上という基準でみたところ、1部では24.5%、2部では18.2%が該当しました。利用者割合は2部で多かった(表Ⅲ-5)のに対して、8万円以上利用者は2部で多いです。

但し、10万円以上でみると1部では14.5%で、2部では16.7%と2部の割合が高いです。

なお、高額の利用者以外でみると、1部も2部も「4~5万円台」が最多であることは共通していますが、2部では、「2~3万円台」と「4~5万円台」で全体の6割強(62.1%)を占めています(1部では47.3%)。

なお、サンプル数が少なくなるので参考情報として掲載するにとどめますが、2部では、実家・親元以外群で、高額利用者の割合が高いという結果でした(8万円以上利用者割合が、実家・親元群の6.7%に対して、実家・親元以外群では28.6%)。

 

表Ⅲ-7 コロナ下での、自分を含む家族内での仕事や収入が減った経験【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
家族では仕事や収入が減った者はいない 269 62.4 188 65.1 81 57.0
親など学費負担者の仕事や収入が減った 82 19.0 53 18.3 29 20.4
学費負担者以外の家族の仕事や収入が減った 20 4.6 11 3.8 9 6.3
あなた自身(自分自身)のアルバイト収入が減った 52 12.1 34 11.8 18 12.7
その他 13 3.0 6 2.1 7 4.9
無回答 22 5.1 16 5.5 6 4.2

 

コロナ下での、自分を含む家族内での仕事や収入が減った経験について尋ねました。

結果は(表Ⅲ-7)、1部でも2部でも、「家族では仕事や収入が減った者はいない」が最多でした(65.1%、57.0%)。

それに対して、「親など学費負担者の仕事や収入が減った」は2割前後です(1部では18.3%、2部では20.4%)。「あなた自身(自分自身)のアルバイト収入が減った」も1割強(1部では11.8%、12.7%)みられました[10]

なお、念のため言えば、「家族では仕事や収入が減った者はいない」と回答した者は、自分自身のアルバイト収入も減っていない者です(ですから、「あなた自身(自分自身)のアルバイト収入が減った」にも回答していません)。

 

表Ⅲ-8 コロナ下での家族全体の収入の変化

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
収入が大きく増えた 1 0.2 1 0.7
収入が増えた 11 2.6 8 2.8 3 2.1
とくに変化はない 317 73.5 218 75.4 99 69.7
収入が減った 85 19.7 56 19.4 29 20.4
収入が大きく減った 9 2.1 3 1.0 6 4.2
無回答 8 1.9 4 1.4 4 2.8

 

次にコロナ下での家族全体の収入の変化を尋ねました。

結果は(表Ⅲ-8)、1部でも2部でも、最多は「とくに変化はない」です。1部では全体の4分の3(75.4%)、2部では7割(69.7%)を占めました。

一方で、「収入が減った」と回答した者が2割前後でみられます(1部では19.4%、2部では20.4%)。2部では、「収入が大きく減った」(4.2%)まで含めると全体の4分の1が収入が減ったことになります。

 

表Ⅲ-9 奨学金収入やアルバイト収入がなかった場合、学費負担者からの支出だけで修学の継続は可能か

単位:人、%

全体 1部 2部
431 100.0 289 100.0 142 100.0
十分に可能である 184 42.7 146 50.5 38 26.8
修学の継続は不自由になる 103 23.9 70 24.2 33 23.2
修学の継続は困難になる 138 32.0 69 23.9 69 48.6
無回答 6 1.4 4 1.4 2 1.4

 

最後に、奨学金収入やアルバイト収入がなかった場合、学費負担者からの支出だけで修学の継続は可能かを尋ねました。

結果は(表Ⅲ-9)、1部では「十分に可能である」が半数(50.5%)を占め、「修学の継続は不自由になる」と「修学の継続は困難になる」が同程度(24.2%、23.9%)で続くのに対して、2部では、まず、「十分に可能である」は26.8%にとどまり、「修学の継続は困難になる」が約半数(48.6%)で最多となっています(残りの23.2%は「修学の継続は不自由になる)」。

表Ⅲ-2a(学費負担・学費の原資)でみたとおり、「親の収入」を学費の原資にあげる者が6割にとどまり、「自分自身のアルバイト収入」や「貸与型奨学金」をあげる者がそれぞれ4割だった2部では、学費負担者からの支出だけでは修学の継続が厳しい世帯が多い(この設問自体が適切ではない世帯が多い)と言えます。

 

52/1部 母子家庭で妹がおり、親からの援助を貰わずに、かつ学業優先で奨学金で生活している。アルバイトをすることも考えたが、学業不振などで奨学金が打ち切られると授業料負担などが高額になり大学に通えなくなるので、ヘタに長期アルバイトなどを始めることが出来ないでいる。

115/1部 貸与奨学金を借りているが、今後返済できるかが不安。通学も片道2000円弱なので、オンライン授業に絞って授業を受けている。そのため、受けたい授業を断念したことがある。

141/2部 奨学金の利用が、学費以外の部分にあてられることが多い。

179/1部 弟の高校入学と私の大学入学が同時に来るタイミングでパートタイマーの母の収入がコロナでほぼ0になったときは困りました(現在は別のパートで働いているので収入あります)。

195/1部 親がコロナ禍で病気になったため収入が全く無いのにも関わらず、給付型奨学金の対象者に入らなかった。募集している人数が少なすぎると思います。家庭が経済的に苦しくても勉学をしたいと本気で考えている学生にもっと目を向けて助けて欲しいです。

231/2部 飲食店業なので給料が安定してなく、次の学費が支払えるのか怪しい。

234/2部 学費のほとんどを奨学金で賄うため、将来のことを考え学費が安い2部に入学しましたが、選べるサークルの少なさ等により1部に比べると友人ができにくく、学生生活が充実しづらい環境であるなと感じる。学費が少しでも安ければ、給付型の奨学金がもう少し充実していれば、私もお金のことを考えずに行きたい大学・学部に行けたのに、と感じることが多々あります。大学4年間の差だけでなく、奨学金の返済は社会人になってしばらく続くので、親が全額学費を払ってくれる家庭で生まれ育った人との差は一生開いていくのだと感じ、羨ましさを感じます。この状況がもう少し改善されればいいなと思います。

252/2部 給付の奨学金をもらえないのがきつい。共働きな以上非課税にはならない、けどギリギリ非課税じゃないっていう世帯が1番きつい。

278/1部 親の負担を少しでも減らしたい。

373/2部 家族や自分がケガや病気で働けなくなったら、修学はほぼ不可能になる。奨学金を利用できなくなった場合も同じ。

374/2部 学費支給者として親の名前はあるものの、仕送りや実際の負担はなく、全てを自分のお金+奨学金で賄っている。親からの支援は入学してから1度もなく、学費や生活費のために働いているが、アルバイトであるため、体調不良になった際の保障がない。そのため、肉体的にも精神的にもかなり辛い状況。生活や勉学のために働かなければならないが、働けば勉学のための時間が確保できず、無理をすれば体調を崩しかねない。以上のような状況であるため、中退を検討しているのが現状である。

401/2部 常にぎりぎりの状態で生活しているため、収入がなくなったときのことを考えると不安になる。

413/1部 学費が高く、将来貸与型奨学金を借りなければならないので困っている。給与型の所得のハードルが高いと思う。学費を払うのがギリギリの世帯でも給与型奨学金を貰うことができないために、困っている世帯が多いのではないかと思う。

 

 

 

[8] 利用しているとこの質問で回答した合計人数(102人)と、表Ⅲ-2aで「高等教育の修学支援新制度」をあげた人数(82人)とが合致しません。高等教育の修学支援新制度を利用していながら学費負担・学費の原資(表Ⅲ-2a)として回答しないことは考えにくいです。また、後述の表Ⅲ-4に回答された数値も異なります。いずれかの数値に誤りがあるかもしれませんが、ここではそのまま取り扱います。

[9] 「日本学生支援機構の「旧来型」の給付型奨学金(修学支援新制度移行者は除く)」に回答した者の中に、移行者あるいは新制度利用者が含まれている可能性があります。ここではそのまま取り扱います。

[10] 表Ⅱ-2では、2022年度前期・対面授業導入時に限ってのことではありますが、「アルバイト収入が減った」かを尋ねています。そこでの人数(72人)に対してここでの回答者数はやや少ない(52人)点を指摘しておきます。

 

「結果の考察と、問題解決に必要な取り組み・政策」(仮)は、できあがり次第、公開予定。

 

 

 

川村雅則ゼミナール『北海学園大学 学生アルバイト白書2022』(連載1~連載9)

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