川村雅則ゼミナール『北海学園大学 学生アルバイト白書2022(連載4)』

連載4は、ちょっと脱線して、私が授業で行った簡易なアンケート調査結果の紹介です。ゼミで行った調査活動ではありませんが、ゼミでの学生たちとの議論も参考になっていることから、本稿のタイトルは、川村雅則ゼミナール『北海学園大学 学生アルバイト白書2022(連載4)』としました。どうぞお読みください。

 

川村雅則ゼミナール『北海学園大学 学生アルバイト白書2022(連載1)』

川村雅則ゼミナール『北海学園大学 学生アルバイト白書2022(連載2)』

川村雅則ゼミナール『北海学園大学 学生アルバイト白書2022(連載3)』

 

 

■はじめに

筆者が担当する講義(「労働経済論」)を受講する学生を対象に、アルバイトの状況や奨学金の利用状況など(以下、学生アルバイト等)を尋ねる簡易なアンケート調査を2022年7月、8月に行いました。本稿はその結果を報告するものです。

調査の目的が、コロナ禍で流動的な・安定しない学生アルバイト等の現状を把握することにあるのはもちろんですが、調査結果を授業教材として活用することで、アルバイトや学費負担の問題を学生たちがより身近に感じ、解決策を具体的に考えてもらうことをねらいにしています。また北海学園大学では、後期には受講生自身に調査活動に取り組む予定ですから、調査活動の見本にしてもらうこともねらいです。

以上のような問題意識で行った、対象が限定された、簡易なアンケート調査ですが、学生のアルバイト等の現状を知る一助になるかと思います(同業の皆さんには、教育実践として参考になれば幸いです)。どうぞお読みください。

 

 

 

■調査の概要

調査の対象は、筆者が勤務する北海学園大学(以下、学園大)の「労働経済論」受講生と、非常勤講師でお邪魔している北海商科大学(以下、商科大)の「労働経済論」受講生です。

調査の時期は、学園大では2022年7月の最終週、商科大では夏季休暇中である2022年8月中旬(集中講義)です。

内容は、大きく以下の3つです。

(1)属性:学年、性別、住まい。

(2)アルバイトのこと:アルバイトの実施状況、勤続期間、働き方・勤務時間や賃金・収入に関すること、時間外労働の計算単位、コロナ禍での休業(勤務減)の発生状況と手当の支給状況、アルバイトの目的など。

(3)学費負担や奨学金の利用状況:学費負担者・学費の原資、日本学生支援機構による貸与型奨学金の利用状況など。

調査で用いた設問をそのまま本文に掲載して、結果をその下に示します。

 

 

■有効回答数と回答者の属性

学園大(昼間部)から82人、学園大(夜間部)から31人、商科大から37人、合計で150人の有効回答が得られました。

 

問 あなたの学年を教えてください。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
150 100.0 82 100.0 31 100.0 37 100.0
2年生 108 72.0 67 81.7 17 54.8 24 64.9
3年生 23 15.3 12 14.6 4 12.9 7 18.9
4年生 19 12.7 3 3.7 10 32.3 6 16.2

 

問 あなたの性別を教えてください。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
150 100.0 82 100.0 31 100.0 37 100.0
男性 101 67.3 62 75.6 25 80.6 14 37.8
女性 49 32.7 20 24.4 6 19.4 23 62.2

 

問 住まいを教えてください。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
150 100.0 82 100.0 31 100.0 37 100.0
実家・親元で暮らしている 106 70.7 58 70.7 19 61.3 29 78.4
「実家・親元」以外で暮らしている 43 28.7 23 28.0 12 38.7 8 21.6
無回答 1 0.7 1 1.2 0 0.0 0 0.0

 

第一に、筆者の担当する講義は2年生から受講できるので、学年は、回答者の「全体」では「2年生」が7割と多くなっています。

第二に、性別は、「全体」では「男性」がおよそ3分の2、「女性」がおよそ3分の1です。但し、大学別にみると状況が異なり、学園大では、「男性」が7、8割であるのに対して、「商科大」では「女性」が6割強となっています。

第三に、住まいは、「実家・親元で暮らしている」が「全体」では7割です。「学園大(夜間部)」ではその値が6割強にまで下がり、代わりに、「『実家・親元』以外で暮らしている」が4割弱を占めます。

 

 

■アルバイトのこと

アルバイトに関して質問をしました。かけもちで働いている学生には、メインのアルバイトについて回答してもらいました。但し、勤務時間数や収入などは合計した数値を回答してもらいました。

 

問 現在、アルバイトをしていますか。【複数回答可】

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
150 100.0 82 100.0 31 100.0 37 100.0
「固定」のアルバイトを1つのみしている 96 64.0 53 64.6 14 45.2 29 78.4
「単発」のアルバイトのみをしている 7 4.7 6 7.3 1 3.2 0 0.0
「固定」のアルバイトを「かけもち」でしている 11 7.3 5 6.1 3 9.7 3 8.1
「固定」のアルバイトと「単発」のアルバイトを「かけもち」でしている 13 8.7 6 7.3 3 9.7 4 10.8
アルバイトをしているが、他にも探している 7 4.7 6 7.3 0 0.0 1 2.7
アルバイトをしていないが、探している 7 4.7 4 4.9 2 6.5 1 2.7
アルバイトをしておらず、探してもいない 15 10.0 6 7.3 9 29.0 0 0.0

 

現在のアルバイト状況(就業状況)を複数回答可で尋ねました。結果は、「全体」では、「「固定」のアルバイトを1つのみしている」が3分の2弱を占めています。

今回の調査で特徴的であったのは、「アルバイトをしておらず、探してもいない」学生が「学園大(夜間部)」で3割を占めたことです。理由は不明です。

なお、「アルバイトをしているが、他にも探している」に回答した7人のうち3人が、現在のアルバイト状況には無回答(回答漏れ)でした。

さて、以下では、128人のアルバイト関連の調査結果をみていきます。なお、アルバイトをしていない学生22人には、「■学費負担・奨学金利用」の項目まで飛んでもらいました。

 

問 現在のアルバイトの業種・業態は次のどれですか。かけもちで働いている方はあてはまる全てに☑をつけてください。【複数回答可】。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
128 100.0 72 100.0 20 100.0 36 100.0
飲食店 59 46.1 34 47.2 5 25.0 20 55.6
小売店 42 32.8 23 31.9 5 25.0 14 38.9
接客・サービス 19 14.8 9 12.5 7 35.0 3 8.3
教育・保育関連 5 3.9 5 6.9 0 0.0 0 0.0
倉庫・物流・ドライバー 5 3.9 1 1.4 1 5.0 3 8.3
オフィスワーク 9 7.0 4 5.6 4 20.0 1 2.8
肉体労働 7 5.5 4 5.6 3 15.0 0 0.0
アミューズメント・レジャー・イベント・レンタル 7 5.5 5 6.9 1 5.0 1 2.8
その他

 

現在のアルバイトの業種・業態を尋ねました。かけもちの場合には、複数回答可です。但し同じ業種・業態でかけもちをしている場合(例えば、飲食店と飲食店)には、その結果は示されない設計になっています。

調査票では、以下のとおり、それぞれの回答選択肢の後ろに具体的な内容を記しました。

結果は、「飲食店」と「小売店」が多く回答されました。回答者「全体」では、46.1%、32.8%です。但し「学園大(夜間部)」では、「接客・サービス」が35.0%と最多でした。

のっぺらぼうなアルバイトがあるわけでなく、これらの業種・業態と働き方や労働条件などを結びつけながら調べさせること、就活でいうところの「業界研究」が課題です。

 

飲食店(居酒屋、バー、ファストフード、ファミレス、専門料理店、食堂、ビアガーデン、カフェ・喫茶店など)

小売店(コンビニ、スーパー、百貨店、専門店、衣服小売、ドラッグストアなど)

接客・サービス(ガソリンスタンド、ホテル、受付、冠婚葬祭関連、旅行・トラベルなど)

教育・保育関連(塾講師、家庭教師、保育など)

倉庫・物流・ドライバー(配送・配達、仕分け、宅配、ウーバーイーツなどオンラインの注文・配達の仕事など)

オフィスワーク(コールセンター、テレアポ、事務職など)

肉体労働(引っ越し、警備・交通誘導、製造ライン、イベント設営、自動車整備、その他肉体労働)

アミューズメント・レジャー・イベント・レンタル(パチンコ・パチスロ、映画館、CD・書籍レンタル、ネットカフェ、カラオケ、ダーツ・ビリヤード、ジム・スポーツクラブ、イベント・コンサート、キャンペーンなど)

その他

 

問 現在のアルバイトの勤続期間はどの位ですか。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
128 100.0 72 100.0 20 100.0 36 100.0
働き始めたばかり 3 2.3 3 4.2 0 0.0 0 0.0
1,2か月 13 10.2 10 13.9 0 0.0 3 8.3
3~6か月 18 14.1 14 19.4 2 10.0 2 5.6
6か月~1年未満 27 21.1 16 22.2 4 20.0 7 19.4
1~2年未満 41 32.0 22 30.6 8 40.0 11 30.6
2~3年未満 12 9.4 4 5.6 4 20.0 4 11.1
3年以上 14 10.9 3 4.2 2 10.0 9 25.0
(再掲)6か月以上 73.4 62.5 90.0 86.1

 

問 現在のアルバイトはシフト制ですか。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
128 100.0 72 100.0 20 100.0 36 100.0
シフト制(自由シフト制、固定シフト制) 115 89.8 66 91.7 17 85.0 32 88.9
完全な固定勤務制 8 6.3 3 4.2 1 5.0 4 11.1
単発のバイト 1 0.8 1 1.4 0 0.0 0 0.0
登録型派遣 3 2.3 2 2.8 1 5.0 0 0.0
無回答 1 0.8 0 0.0 1 5.0 0 0.0

 

問 1週間の勤務時間数はどの位ですか。かけもちで働いている方は、合計してお答えください。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
128 100.0 72 100.0 20 100.0 36 100.0
5時間未満 6 4.7 4 5.6 0 0.0 2 5.6
5~10時間未満 27 21.1 18 25.0 5 25.0 4 11.1
10~15時間未満 21 16.4 14 19.4 0 0.0 7 19.4
15~20時間未満 38 29.7 20 27.8 8 40.0 10 27.8
20~25時間未満 22 17.2 12 16.7 3 15.0 7 19.4
25~30時間未満 9 7.0 3 4.2 1 5.0 5 13.9
30~35時間未満 3 2.3 1 1.4 1 5.0 1 2.8
35時間以上 1 0.8 0 0.0 1 5.0 0 0.0
無回答 1 0.8 0 0.0 1 5.0 0 0.0
(再掲)15時間以上 57.0 50.0 70.0 63.9
     20時間以上 27.3 22.2 30.0 36.1

 

第一に、調査対象が2年生以上ということもあって、すでに半年(6か月以上)働いている学生が「全体」の4分の3を占めています。

第二に、9割近くが「シフト制(自由シフト制、固定シフト制)」で働いています(回答選択肢の後ろに「※勤務シフトに入るかどうかを一定の期間ごとに決める働き方」と付記)。コロナ禍で浮き彫りになったシフト制に関する問題を学生たちに伝える必要があります(参考、首都圏青年ユニオン・首都圏青年ユニオン顧問弁護団「シフト制労働黒書」)。

第三に、勤務時間数を尋ねました。いずれも現在の時間数を尋ねていますが、商科大では、「2022年8月現在」の、つまり夏休みに入ってからの時間数を尋ねたことになります。結果をみる際に注意してください。

結果は、年間で40単位を取得するのに必要な授業時間数である「週15時間」以上働く者が半数を超えています(57.0%)。20時間以上働く者に限定しても27.3%を占めます。

なお、「20時間以上」を基準にみると、商科大、学園大(夜間部)、学園大(昼間部)の順に割合は多いです(36.1%、30.0%、22.2%)。上記のとおり、夏休み期間中の勤務時間数を尋ねたことが反映しているかもしれません。

過去の調査結果と比較することで、学生たちのアルバイト時間数がどの位回復しているか/いないかを確認する必要があります(参考、)。

 

 

問 平時の1か月のアルバイト収入はどの位ですか。かけもちで働いている方は、合計してお答えください。なお、ここでのアルバイト収入からは、交通費支給分は除きます。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
128 100.0 72 100.0 20 100.0 36 100.0
2万円未満 4 3.1 3 4.2 0 0.0 1 2.8
2万円以上4万円未満 16 12.5 12 16.7 0 0.0 4 11.1
4万円以上6万円未満 31 24.2 19 26.4 1 5.0 11 30.6
6万円以上8万円未満 43 33.6 25 34.7 9 45.0 9 25.0
8万円以上10万円未満 21 16.4 9 12.5 5 25.0 7 19.4
10万円以上12万円未満 10 7.8 3 4.2 3 15.0 4 11.1
14万円以上 3 2.3 1 1.4 2 10.0 0 0.0
(再掲)6万円以上 60.2 52.8 95.0 55.6
   8万円以上 26.6 18.1 50.0 30.6

 

問 アルバイトの時給はおいくらですか。メインのバイトの、あなたが働いているメインの時間帯の時給をお答えください。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
128 100.0 72 100.0 20 100.0 36 100.0
889円 19 14.8 8 11.1 3 15.0 8 22.2
890~899円 9 7.0 6 8.3 0 0.0 3 8.3
900~949円 35 27.3 20 27.8 4 20.0 11 30.6
950~999円 23 18.0 12 16.7 5 25.0 6 16.7
1000~1099円 27 21.1 17 23.6 4 20.0 6 16.7
1100~1199円 9 7.0 5 6.9 3 15.0 1 2.8
1200円以上 5 3.9 4 5.6 1 5.0 0 0.0
無回答 1 0.8 0 0.0 0 0.0 1 2.8
(再掲)950円以上 50.0 52.8 65.0 36.1
  1000円以上 32.0 36.1 40.0 19.4

 

問 現在のアルバイト先では、時間外労働に対する賃金は、何分単位でカウント・支給されていますか。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
36 100.0 36 100.0
1分単位でカウント・支給されている 18 50.0 18 50.0
1分超から15分未満の単位でカウント・支給されている 3 8.3 3 8.3
15分単位でカウント・支給されている 6 16.7 6 16.7
30分単位でカウント・支給されている 1 2.8 1 2.8
それ以上(30分を超える時間)の単位でカウント・支給されている 1 2.8 1 2.8
分からない 7 19.4 7 19.4

注:商科大のみで尋ねた。

 

第一に、月のアルバイト収入は、「6万円以上」が60.2%、「8万円以上」が26.6%です。とくに「学園大(夜間部)」で収入の多い者が多くみられます(それぞれの値は、95.0%、50.0%)。

第二に、時給は、北海道の最低賃金にあたる「889円」が14.8%です。899円まで範囲を広げると、およそ5分の1(21.9%)がそこに含まれます。

逆に、相対的に高い金額、例えば、1000円以上の割合は32.0%です。大学・部別に1000円以上の割合をみると、「学園大(夜間部)」、「学園大(昼間部)」、「商科大」の順です(40.0%、36.1%、19.4%)。

第三に、該当する幾つかの労働事件が報道されていたことをうけて、時間外労働に対する賃金が何分単位でカウント・支給されているかを尋ねてみました(但し、学園大の調査時には思いつかず、質問は商科大のみで行っています)。

結果は、「1分単位」は半数にとどまりました(50.0%)。次が「分からない」です(19.4%)。残りで最も多いのが「15分単位」で16.7%です。次が「1分超から15分未満の単位」8.3%です(10分単位でしょうか)。大事な点ですから、今後のアンケート調査でも調べてみたいと思います。

 

問 大学では、今年度から対面授業が主になりました。そのことに伴い、アルバイト生活・勤務上での変化は何かあったでしょうか。あてはまる全てに☑をつけてください。【複数回答可】。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
128 100.0 72 100.0 20 100.0 36 100.0
勤務回数や勤務時間数を減らした 35 27.3 19 26.4 8 40.0 8 22.2
勤務時間帯や曜日を変更した 53 41.4 34 47.2 6 30.0 13 36.1
アルバイトを辞めたり変えたりした 5 3.9 4 5.6 1 5.0 0 0.0
アルバイト収入が減った 16 12.5 9 12.5 1 5.0 6 16.7
以上のような変化はとくにない 52 40.6 26 36.1 10 50.0 16 44.4

 

この設問は、ゼミで学生たちが話していたのをうけて設けた質問です。

結果は、まず、「以上のような変化はとくにない」が40.6%です。

残りをみると、「勤務回数や勤務時間数を減らした」が27.3%、「勤務時間帯や曜日を変更した」が41.4%と多いです。中には、「アルバイトを辞めたり変えたりした」もわずかではありますが(3.9%)みられます。対面授業に移行したことで、少なからぬ影響がアルバイトに及んだことが示唆されます。

ただ一方で、これらの結果と比較すると、「アルバイト収入が減った」は12.5%にとどまります。やや意外です。勤務回数は減ったが一日の時間数を増やした、とか、収入が減るほどの大幅な勤務減ではなかったことなどが考えられますが、次回の調査ではより深く尋ねてみたいと思います(前期も終わりましたから、もう落ち着いたでしょうか)。

 

問 少し昔からの体験をお伺いします。2020年4月以降、コロナを理由に、お店が休業したり、勤務シフト・勤務時間数が減らされたりゼロになる、という経験をしましたか。 複数の経験をされている場合には、あてはまる全てに☑をつけてください。  【複数回答可】

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
128 100.0 72 100.0 20 100.0 36 100.0
経験をした(2020年度から今年度にかけて) 47 36.7 25 34.7 12 60.0 10 27.8
そのような経験はない 81 63.3 47 65.3 8 40.0 26 72.2

注:調査票では、2020年度、2021年度、2022年度と分けて経験を尋ねたが、集計では合算した。

 

問 上の問いで「経験をした」に回答した方にお聞きします。その際に休業手当は支給されましたか。複数の経験をされている場合には、あてはまる全てに☑をつけてください。【複数回答可】

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
47 100.0 25 100.0 12 100.0 10 100.0
休業手当が支給された 25 53.2 11 44.0 7 58.3 7 70.0
休業手当ではないが、別の手当が支給された 3 6.4 2 8.0 1 8.3 0 0.0
有給休暇の使用で処理された 3 6.4 0 0.0 3 25.0 0 0.0
とくに何も支給されなかった 18 38.3 13 52.0 1 8.3 4 40.0

 

問 上の問いで、「休業手当が支給された」に回答した方にお伺いします。平均給与の何割が支給されましたか。複数の経験がある場合には、あてはまる全てに☑をつけてください。【複数回答可】

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
25 100.0 11 100.0 7 100.0 7 100.0
10割(満額)が支給された 4 16.0 3 27.3 1 14.3 0 0.0
8~9割 8 32.0 1 9.1 3 42.9 4 57.1
6~7割 10 40.0 4 36.4 4 57.1 2 28.6
4~5割 3 12.0 2 18.2 0 0.0 1 14.3
それ以下 3 12.0 1 9.1 1 14.3 1 14.3
(再掲)6割以上 78.6 72.7 88.9 75.0

 

休業手当に関することを尋ねてみました。

第一に、2020年度から今年度(2022年度)にかけて、コロナを理由に、お店が休業したり、勤務シフト・勤務時間数が減らされたりゼロになる、という経験をしたかどうかを尋ねました。実際の調査票では、各年度ごとに尋ねましたが、集計では3年度分を合算しています。

結果は、「経験をした」が36.7%で、「そのような経験はない」が63.3%です。アルバイト経験の長い4年生で「経験をした」が多いです。表は設けていませんが、学年別にみると、「4年生(n=15)」で53.3%、「3年生(n=19)」で36.8%、「2年生(n=94)」で34.0%です。

第二に、「経験をした」47人に尋ねた、休業手当の支給の有無です。

結果は、「休業手当が支給された」が53.2%である。大学・部による差があり、「学園大(昼間部)」ではその値は44.0%にとどまり、代わりに「とくに何も支給されなかった」が52.0%を占めています(「全体」では38.3%)。

第三に、平均給与(平均賃金)の何割が支給されたかを、「休業手当が支給された」25人に複数回答可で尋ねました。

結果は、平均給与の6割以上が支給されたという回答が回答者の8割弱を占めます(延べ数で計算しています)。

 

問 あなたがアルバイトをするのは、学費・生活費を得るためか、遊び・趣味等に使うお金を得るためか、どちらに分類されるでしょうか。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
128 100.0 72 100.0 20 100.0 36 100.0
遊び・趣味等に使うお金を稼ぐため 51 39.8 33 45.8 1 5.0 17 47.2
どちらかといえば遊び・趣味等に使うお金を稼ぐため 38 29.7 16 22.2 12 60.0 10 27.8
どちらかといえば学費・生活費等を稼ぐため 12 9.4 10 13.9 2 10.0 0 0.0
学費・生活費等を稼ぐため 7 5.5 1 1.4 2 10.0 4 11.1
どちらも半々 19 14.8 12 16.7 3 15.0 4 11.1
無回答 1 0.8 0 0.0 0 0.0 1 2.8
(再掲)学費・生活費等計 14.8 15.3 20.0 11.1

 

学費・生活費を得るためか、遊び・趣味等に使うお金を得るためかという軸で、アルバイトをする理由を尋ねてみました。

結果は、「遊び・趣味等に使うお金を稼ぐため」が最多で39.8%です。「どちらかといえば遊び・趣味等に使うお金を稼ぐため」まで含めると、全体の7割(69.5%)を占めます。

「学園大(夜間部)」では状況はやや異なり、「どちらかといえば遊び・趣味等に使うお金を稼ぐため」が最多の60.0%で、「学費・生活費等を稼ぐため」と「どちらかといえば学費・生活費等を稼ぐため」が合計で20.0%を占めます。例年の傾向です(むしろ今回の調査では、学費・生活費等への「傾斜」が少ないぐらいです)。

 

 

問 アルバイトでの悩みや困った経験の内容を、可能な範囲で、教えてください。

アルバイトでの悩みや困った経験について、自由記述で回答してもらいました。結果は以下のとおりです。

 

  • 残業の常態化。/接客・サービス
  • 15分単位でしか給料が払われない。/飲食店
  • 業務量に対して講師(従業員)の数が絶対的に不足しているため、上司(一般的な店舗における店長)含めて完全にキャパオーバーである。従業員を増やしてもらいたい。/教育・保育関連
  • 1度に長い時間働けない(1日5時間程度)なので稼ぎづらい。/飲食店
  • 本人の了承なく店舗移動をされ、夜間シフトを半ば強制的に入れられる。/飲食店
  • 一年ほど勤務しているが、有給は出るのかどうか。/倉庫・物流・ドライバー
  • 有休の使い方が分からない。/小売店
  • やりがいがないためバイトを行うのが苦痛。お金よりも時間の方が惜しいと考えるほど。/小売店
  • 扶養の関係で上限があり、決まった給料しか稼ぐことができない。/接客・サービス
  • 有休が何日あるか確認することができる機会が少なく、現在何日あるか知らない。そういった透明性は確保されるべきではないのか。/小売店
  • 二人しか社員のいない職場で〔頼りにならない〕社員しか雇われておらず、シフトや雰囲気についてでモメることになった。/オフィスワーク
  • 従業員が少なく、一人一人の負担が大きい(特に店長)。/小売店
  • 一人体制のため、休憩がとれないことや、トイレに行けないときもある。また、分からないことがあったときにも、一人だと聞ける人がいないため困ることがある。交通費支給と求人票には書かれていたが、大学まで行く定期が通っている間は、支給しないと言われた。/飲食店
  • 人手不足の為に古株である私に全て皺寄せがいくこともある。/小売店
  • お菓子教室のアルバイトをしているのですが、人手が足りなくて急に明日きて欲しいなどと連絡が来ることが多々あります。/飲食店、小売店
  • 交通費支給と掲載されていたのにもかかわらず、支給はないと説明され、支給がなかった。/飲食店、 倉庫・物流・ドライバー
  • 所定時間外の労働に給料が支払われない。/飲食店
  • 従業員が少ないため、ある程度の仕事ができる自分の負担が大きいこと。/飲食店
  • 夜勤メインなので生活リズムが壊れてることが今の悩みです。/飲食店

 

忙しさ・労働負担をめぐる問題が多くみられるようです。求人情報(交通費支給)をめぐる問題・ルールや有給休暇制度などもしっかり教える必要があるようです。

 

 

■学費負担・奨学金利用

学費負担や奨学金の利用状況などについてみていきます。

 

問 あなたの学費を負担してくださっている方や学費の原資についてお聞きします。あてはまる全てに☑をつけてください。【複数回答可】

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
150 100.0 82 100.0 31 100.0 37 100.0
親の収入 127 84.7 73 89.0 23 74.2 31 83.8
日本学生支援機構による「貸与型」奨学金 59 39.3 32 39.0 10 32.3 17 45.9
高等教育の修学支援新制度(給付型奨学金+学費の減免) 15 10.0 7 8.5 6 19.4 2 5.4
日本学生支援機構による「給付型奨学金」(高等教育の修学支援新制度は除く) 8 5.3 3 3.7 4 12.9 1 2.7
その他の「給付型」奨学金(北海学園、自治体、民間団体、その他) 6 4.0 2 2.4 4 12.9 0 0.0
自分自身のアルバイト収入 17 11.3 10 12.2 5 16.1 2 5.4
その他 1 0.7 0 0.0 1 3.2 0 0.0
無回答 2 1.3 1 1.2 1 3.2 0 0.0

 

問 上の問いで回答したうち、主な学費負担者・原資はいずれになりますか。一つだけ選んでください。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
150 100.0 82 100.0 31 100.0 37 100.0
親の収入 111 74.0 63 76.8 18 58.1 30 81.1
日本学生支援機構による「貸与型」奨学金 24 16.0 13 15.9 4 12.9 7 18.9
高等教育の修学支援新制度(給付型奨学金+学費の減免) 8 5.3 3 3.7 5 16.1 0 0.0
その他の「給付型」奨学金(北海学園、自治体、民間団体、その他) 2 1.3 1 1.2 1 3.2 0 0.0
自分自身のアルバイト収入 2 1.3 1 1.2 1 3.2 0 0.0
その他 1 0.7 0 0.0 1 3.2 0 0.0
無回答 2 1.3 1 1.2 1 3.2 0 0.0

 

学費負担者や学費の原資について尋ねました。

第一に、複数回答可で尋ねた場合、「親の収入」が非常に多く84.7%です。次に多いのが「日本学生支援機構による「貸与型」奨学金」で39.3%を占めます。

ほかには、「高等教育の修学支援制度(給付型奨学金+学費の減免)」が10.0%、「自分自身のアルバイト収入」が11.3%です。大学・部別にみると、「学園大(夜間部)」では、後二者が多いです(19.4%、16.1%)。

第二に、これらの中から1つのみを選択してもらったところ、「親の収入」が全体の4分の3(74.0%)を占めて最大です。次は、大きく離れて、「日本学生支援機構による「貸与型」奨学金」が16.0%で続いています。

但し、「学園大(夜間部)」では、前者の値が58.1%にとどまり、次に多いのが「高等教育の修学支援制度(給付型奨学金+学費の減免)」で16.1%です。

 

問 日本学生支援機構による「貸与型」の奨学金を利用していますか。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
150 100.0 82 100.0 31 100.0 37 100.0
利用していない 89 59.3 49 59.8 20 64.5 20 54.1
利用している(第一種のみを利用している) 26 17.3 17 20.7 5 16.1 4 10.8
利用している(第二種のみを利用している) 16 10.7 6 7.3 1 3.2 9 24.3
利用している(第一種と第二種を併用している) 9 6.0 4 4.9 2 6.5 3 8.1
利用しているが、内容が分からない 8 5.3 5 6.1 2 6.5 1 2.7
無回答 2 1.3 1 1.2 1 3.2 0 0.0

 

問 上の問いで「利用している」と回答した方にお聞きします。第一種奨学金と第二種奨学金の利用合計金額(月額)を教えてください。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
59 100.0 32 100.0 10 100.0 17 100.0
2~3万円台 8 13.6 6 18.8 0 0.0 2 11.8
4~5万円台 19 32.2 11 34.4 5 50.0 3 17.6
6~7万円台 6 10.2 4 12.5 0 0.0 2 11.8
8~9万円台 7 11.9 4 12.5 2 20.0 1 5.9
10~11万円台 7 11.9 3 9.4 1 10.0 3 17.6
それ以上(12万円以上) 1 1.7 0 0.0 0 0.0 1 5.9
金額はわからない 10 16.9 3 9.4 2 20.0 5 29.4
無回答 1 1.7 1 3.1 0 0.0 0 0.0
(再掲)8万円以上 25.4 21.9 30.0 29.4

 

学生支援機構による貸与型奨学金の利用状況を尋ねました。

第一に、利用している学生が合計で約4割(39.3%)でした。「第一種のみ」の利用が最も多いです。

なお、貸与型奨学金を「利用していない」学生が「学園大(夜間部)」では、「全体」よりも若干多いです(64.5%)。

第二に、利用しているという59人に尋ねた貸与月額は、「4~5万円台」が最も多く32.2%です。4年間で400万円近く(384万円)になる月8万円以上利用している学生は、利用している学生のうち4人に1人(25.4%)を占めます。

 

問 奨学金やアルバイト収入がなくなった場合、あなたは、修学の継続は可能ですか。

単位:人、%
全体 学園大(昼間部) 学園大(夜間部) 商科大
150 100.0 82 100.0 31 100.0 37 100.0
十分に可能である 75 50.0 38 46.3 14 45.2 23 62.2
可能であるが、修学の継続は不自由になる 43 28.7 25 30.5 9 29.0 9 24.3
修学の継続はできなくなる 24 16.0 14 17.1 6 19.4 4 10.8
無回答 8 5.3 5 6.1 2 6.5 1 2.7

 

最後に、奨学金やアルバイト収入がなくなった場合の修学継続の可能性を尋ねた。結果は、半数は「十分に可能である」と回答しています。残りは、「可能であるが、修学の継続は不自由になる」が28.7%、「修学の継続はできなくなる」が16.0%でした。

 

(参考) 奨学金・修学支援新制度・アルバイト収入を学費の原資として回答した者(複数回答可)と、その他の者における就学継続の可能性

単位:人、%
奨学金・修学支援新制度・アルバイト収入群 その他群
80 100.0 68 100.0
十分に可能である 22 27.5 53 77.9
可能であるが、修学の継続は不自由になる 34 42.5 9 13.2
修学の継続はできなくなる 22 27.5 2 2.9
無回答 2 2.5 4 5.9

注:「奨学金・修学支援新制度・アルバイト収入」群とは、奨学金・修学支援新制度・アルバイト収入を学費の原資(複数回答可)として回答したもの。

 

(参考) 奨学金・修学支援新制度・アルバイト収入を学費の原資として回答した者(1つのみ)と、その他の者における就学継続の可能性

単位:人、%
奨学金・修学支援新制度・アルバイト収入群 その他群
36 100.0 112 100.0
十分に可能である 3 8.3 72 64.3
可能であるが、修学の継続は不自由になる 16 44.4 27 24.1
修学の継続はできなくなる 16 44.4 8 7.1
無回答 1 2.8 5 4.5

注:「奨学金・修学支援新制度・アルバイト収入」群とは、奨学金・修学支援新制度・アルバイト収入を学費の原資(1つのみ)として回答したもの。

 

ところで、当然の結果ではありますが、学費の原資で下記のいずれか、つまり、奨学金・修学支援新制度・アルバイト収入をあげた者(複数回答可であげた者、1つのみ選択であげた者)と、それ以外の者とで比較したところ、前者で、「修学の継続はできなくなる」が多かったです。

 

「日本学生支援機構による「貸与型」奨学金」

「高等教育の修学支援新制度(給付型奨学金+学費の減免)」

「日本学生支援機構による「給付型奨学金」(高等教育の修学支援新制度は除く)」

「その他の「給付型」奨学金(北海学園、自治体、民間団体、その他)」

「自分自身のアルバイト収入」

 

 

問 学費負担や生活に関するご苦労や困っていることなどを自由にお書きください。

 

以下の自由記述が回答されました。

 

  • 大学費用は必需品なのでいくら上げても需要量は変わらない気がする。
  • 生活リズムが崩れ、よく腹痛が起こる。
  • 〔学費が〕高い。
  • 学費や遠征費の負担は苦労続きでしたが、4年生で学費の支払いもあと1回であるため、内定さえもらうことができれば楽になります。
  • SNS活動をしており〔その収入で〕何とか生活出来ているが、学費負担は凄く大きく、まだまだ親に頼っている部分があるので、なるべく早く留年を回避したいので〔留年を回避して?〕頑張ります!
  • 実家暮らしの場合は、家賃などの支出がないのでどちらかと言うと資金が貯まりやすいので、何か困った時に解決しやすいですが、一人暮らしの場合、自分の生活費やそれ以外の出費も全て自分一人でしなければいけないので、講義がフルで入っていた時期のアルバイト生活は、肉体的にも精神的にも疲労が今よりも溜まりやすくなっていました。ただ、どれだけアルバイトをしなければいけないかという状況は人によって違うので、自分よりも大変な状況にある学生はたくさんいたと思います。もうすでに4年の折り返しなので私は大丈夫ですが、そういった状況にある学生たちに、なにか多少の補助があればもう少し楽な生活を送れていたのかな、と思うところはあります。
  • 奨学金を借りている身分で言いづらいことだが、卒業時に-600万円スタートは結構キツイものがある。

 

 

卒業時数百万円の借金を背負って社会人生活がスタートすることが常態化した日本──今回の調査結果も参考にしながら、アルバイト問題・ワークルールや学費負担・奨学金利用について授業で学びを深めていきたいと思います。

 

 

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