川村雅則「指定管理者制度が導入された施設における雇用・労働実態(2011,12年調査)」

自治体の仕事に従事するのは公務員だけではありません。民間事業者・労働者が数多く働いています。例えば、道路など建設工事(公共工事)を思い浮かべていただければそのことが分かるでしょう。また自治体は、様々な仕事を民間事業者に委託しています。それから、自治体は、「公の施設」の管理運営を民間事業者にゆだねています。皆さんが普段使っている市のスポーツ施設やコミュニティ施設などがこれらに該当します。建物・施設は自治体の所有ですが、運営は民間団体です。今回はこの「指定管理者制度」[1]が導入された施設で働く人たちの雇用、労働をみていきます。過去にまとめた調査結果をベースにしています。

 

「北海道における失業・不安定就業問題(Ⅳ)指定管理者分野における雇用・労働『北海学園大学経済論集』第59巻第3号(2011年12月号)

「北海道における失業・不安定就業問題(Ⅴ)指定管理者制度が導入された施設で働く人たちの雇用・労働」『北海学園大学経済論集』第60巻第4号(2013年3月号)

 

 

指定管理者制度概論

指定管理者制度とは

2003年地方自治法の一部改定によって導入された指定管理者制度の目的は、「多様化する住民ニーズにより効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ること」[2]にあった、とされています。ここでいう公の施設とは、「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」で、レクレーション・スポーツ施設、産業振興施設、基盤施設、文教施設、社会福祉施設など多岐にわたります。

 

  • レクリエ─ション・スポ─ツ施設:競技場、野球場、体育館、テニスコ─ト、プ─ル、スキ─場、ゴルフ場、海水浴場、国民宿舎、宿泊休養施設等
  • 産業振興施設:産業情報提供施設、展示場施設、見本市施設、開放型研究施設等
  • 基盤施設:駐車場、大規模公園、水道施設、下水道終末処理場、ケ─ブルテレビ施設等
  • 文教施設:県・市民会館、文化会館、博物館、美術館、自然の家、海・山の家等
  • 社会福祉施設:病院、特別養護老人ホ─ム、介護支援センタ─、福祉・保健センタ─等

 

従来の管理委託制度に比べると、どのような違いがあるのでしょうか。

第一に、管理委託制度では、特定の業務の委託に限定されていて、施設の管理権限や責任は設置者である自治体が有していたのに対して、指定管理者制度では、当該施設の管理を行う者(指定管理者)は、施設全般の管理を包括的に行い、行政処分に該当する使用の許可も行うことができるようになりました。

第二に、従来は、自治体による出資法人、公共団体、公共的団体のみにしか認められていなかった施設の管理業務が、制度の導入によって、株式会社やNPO法人など民間業者にもひろく開放されたことです。

 

指定管理者制度の導入状況

総務省の調査から、全国の指定管理者制度の導入状況をみてみましょう[3]

 

表 施設内容区分別にみた施設数の推移

2006年9月2日現在 2009年4月1日現在 2012年4月1日現在 2015年4月1日現在 2018年4月1日現在
レクリエーション・スポーツ施設 11,330 13,742 14,602 15,178 15,215
産業振興施設 6,096 7,138 7,169 6,655 6,514
基盤施設 18,798 22,101 23,046 25,914 26,437
文教施設 13,260 13,717 15,102 15,910 15,563
社会福祉施設 12,081 13,324 13,557 13,685 13,234
合計 61,565 70,022 73,476 77,342 76,963

注:種別については複数回答可。本文の数値と異なる。2006年9月2日現在は、文教施設ではなく「文化施設」と表記。

 

第一に、指定管理者制度が導入されている施設数は合計76,268施設で、内訳は、都道府県で6,847施設、指定都市で8,057施設、市区町村で61,364施設となっています。

第二に、4割(合計30,802施設)の施設で民間企業等(株式会社、NPO法人、学校法人、医療法人等)が指定管理者になっています。都道府県では2,617施設(38.2%)、指定都市では3,734施設(46.3%)、市区町村では24,451施設(39.8%)です。

第三に、指定期間は、「3年未満」が1.5%、「3年」が15.0%、「4年」が5.5%、「5年」が71.5%、「5年超」が6.5%です。

第四に、指定管理者の公募が行われているかどうかをみると、公募ありの施設割合は、都道府県で64.3%、指定都市で68.0%、市区町村で44.9%です。

 

なお、札幌市の指定管理者導入施設は400を超えています(2021年4月1日時点で420施設)

指定管理者制度が導入されている施設にはどのようなものがあるのか、また、自分が使ったことのある施設がないかを調べてみましょう。

 

指定管理者制度導入効果(札幌市の例)

札幌市では、行財政改革の一環として指定管理者制度が2006年4月から本格的に導入されています。

当時のパンフレット(「スリムな市役所へ──札幌市の行財政改革」2010年9月発行)によれば、400超の施設に指定管理者制度を導入することで、市民サービスの向上のほか、4年間(2006~2009年度)で約66億円の財政削減効果のあったことが説明されています。財政削減は具体的にどのような手法で実現をしたのか、気になるところです。

 

資料 札幌市の行財政改革

出所:札幌市「スリムな市役所へ──札幌市の行財政改革」2010年9月より転載。

 

ちなみに、やや古いパンフレットを紹介しているのには理由があります。

パンフレット発行からおよそ1年半後に「公契約条例」(注)案が札幌市によって札幌市議会に上程されています。そのことの整合性、すなわち、指定管理者制度導入による財政削減の実績を掲げることと、一方で、公契約の適正化を通じた適正な賃金の支払い実現をねらう公契約条例の制定を目指したこととは果たして整合するのかどうかということを、以下でみる、筆者が実施した調査結果などもふまえて、考えてもらいたいのです。

ここで紹介する調査は2つです。1つは、施設の長(一部は事業者)を対象に2011年に行った調査で、もう1つは、児童会館施設の指定管理者とそこで働く人たちを対象に2012年に行った調査です。どちらの調査も聞き取りとアンケートを併用しました。ここでは、アンケート調査の結果を中心にみていきます。

(注)公契約条例については、連合による公契約条例のパンフレット(「公契約条例をつくろう/公契約条例で地域の活性化」2016年2月発行)を参照。

 

 

2011年調査(施設長調査)

 

2011年4月1日時点で、札幌市には、418の指定管理者制度導入施設(136事業)がありました。全ての施設に調査票を送付し、有効回答106件を得ました(但し、市営住宅や自転車等駐車場など、施設ごとの回答がなじまないと思われた事例は、宛先を事業者としました)。

なお、この有効回答の中には、指定管理を行っている複数の施設について事業者単位で一括して回答されたケースも含みます。また有効回答は、設問によって異なります。以下、雇用、労働に関する結果を中心にみていきましょう(結果は当時のもの)。

 

第一に、雇用形態ごとに回答していただいた職員数(平均で17.9人)を全施設分足し合わせてみたところ、全体の雇用量は1897人となりました。

しかし、正規雇用は3割に過ぎません。残りは非正規雇用です。非正規雇用は、フルタイム型の非正規雇用、パートタイム型の非正規雇用(以上、直接雇用。以下、それぞれをフルタイム型、パートタイム型と略す)に加えて、派遣労働者(間接雇用)を選択肢で示しました。

結果は、次のとおりです。「正規職員」550人・29.0%、「フルタイム型」513人・27.0%、「パートタイム型」824人・42.9%、「派遣職員」20人・1.1%となりました。

 

表 雇用形態別にみた、全回答施設の労働者の年収(税込み)分布

全体 100万円未満 ~149万円 ~199万円 ~249万円 ~299万円 ~349万円 ~399万円 400万円以上 200万円未満割合(再掲) 250万円未満割合(再掲) 300万円未満割合(再掲)
正規 489 2 3 12 48 32 55 48 289
100.0 0.4 0.6 2.5 9.8 6.5 11.2 9.8 59.1 3.5 13.3 19.8
フルタイム型 452 24 30 83 113 174 12 11 5
100.0 5.3 6.6 18.4 25.0 38.5 2.7 2.4 1.1 30.3 55.3 93.8
パートタイム型 749 622 96 27 3 0 0 0 1
100.0 83.0 12.8 3.6 0.4 0.0 0.0 0.0 0.1 99.5 99.9 99.9

出所:川村(2011)より。

 

第二に、雇用形態別に回答していただいた年収(税込み)を整理してみました(表)。

正規雇用こそ「400万円以上」が6割を占めていますが(もっとも、正規雇用でも300万円未満が2割を占めている点には留意が必要です)、フルタイム型の非正規雇用ではほとんどが年収300万円未満でした。さらに、200万円未満に限っても、30.3%が該当します。そして、パートタイム型の非正規雇用では、100万円未満割合が83.0%を占めました。扶養されることが前提になっているのでしょうか。

 

さて、第三に、非正規雇用者の労働条件を尋ねました(n=82)。

まず、給与の支払いは、フルタイム型では、「月給制」を採用している施設が59.8%で最多であるものの、日給月給制も25.6%を占めます。そして、3分の2(67.5%)の施設で昇給が一切ない(「一切の昇給はない」)と回答されています。

これらをパートタイム型についてみると、まず給与の支払いは、「時給制」が76.8%で、「一切の昇給はない」が78.8%となっています。

 

以上のような雇用、労働条件の背景には何があるでしょうか。聞き取りでは、委託料(指定管理料)の低さに加えて、事業年数が4年(当時)で、安定的な仕事の見通しが立たないことなどが聞かれました。この点をみてみましょう。

第四に、委託料は十分かを四択で尋ねたところ(n=92)、「十分」が1件(1.1%)、「まあ十分」が17件(18.5%)、「やや不十分」が43件(46.7%)、「まったく不十分」が31件(33.7%)でした。

その上で、「やや不十分」、「まったく不十分」と回答された施設長に、その理由(委託料が不十分だという理由)についても複数回答可で尋ねてみました。結果は(n=74)、「職員の雇用・労働条件の維持や改善が困難」が81.1%、「施設の修繕費の確保が困難」が78.4%、「職員の適切な配置が困難」と「必要備品の確保や備品の修繕費の捻出が困難」がそれぞれ70.3%、そして、「事業・サービス内容の維持や改善が困難」が63.5%となりました。

 

関連する自由記述を幾つか紹介します。

正規職員の離職者が増えた。指定管理期間があるため新規採用が難しい(安定性がないため)。正規職員の基本給を10%削減した。業務が多忙となり超勤と休日出勤が増加。将来の雇用不安。正規職員採用試験の実施を要望。【文教/体育】

職員数が減ったため超過勤務や休日出勤が増えた。体調不良を訴える職員が増えた。指定管理費のうちの人件費の割合が増えてくると職員は異動させられることになる。職員の数が減少し、委託料の少なさおよび指定管理期間の短さから新規採用計画が立てられない。職員減および業務量の増加から労働時間が増えたり休みが取りづらくなっている。【文教/体育】

臨時職員や非常勤職員から賃金の件や、正規職員として今後雇用してもらえるのかという不安を相談される(将来の結婚、所帯、子育てに対する設計が立てられない不安)。【福祉】

4年毎の公募入札による指定管理者制度そのものへの疑問、不安等。文化財の管理、案内説明及び保守という専門的知識や技術が維持されないことへの疑問があるとともに、指定管理者に選定されなかった場合の雇用への不安がある。収支の悪化による給料の減額や開館日の拡大による影響について、潜在的な不満がある。【文教/体育】

正規職員が減少し、非正規職員が増加した(ワーキングプアの増)。管理職員の減。次期指定管理者に選定されるかどうかなどがまったく未知数のため正職員であっても指定期間(4年)ごとの有期雇用のような、極めて不安定な立場であり、長期的視野に立った、運営方針や職員育成等の計画の策定の弊害になっている。【文教/体育】

 

 

 

2012年調査(労働者調査)

 

市内児童会館施設の指定管理者である財団法人A協会(以下「A協会」)で働く人たちの雇用を調べました(結果は当時のもの)。

 

児童会館の運営・開館状況

協会からの聞き取りと提供された資料によれば、かつては市の直営だった児童会館は、施設の管理運営が「A協会」(の前身)に徐々に委託され、最終的には、2006年度に、管理運営委託方式から指定管理者制度方式に移行。2011年度末現在で、児童会館104館を運営しています。

日曜祝日と年末年始を除いて開かれている児童会館は、年々利用者数が減少しているとはいえ、全館で延べ240万人の利用があります(1日1館当たり78人の利用です)。多い館では、1日に100人超に利用されています。

中高生の夜間利用のほか、「子育てサロン」など時代の要請にあわせた事業も増えています(両事業は、指定管理者制度の導入と同じ時期に開始されました)。

当然、そのための職員配置や職員の専門性が求められるところでありますが、実際には、指定管理料は、2期目には大きく削減されました。

協会では経費節減を進めていますが、支出の8割弱は「人件費」なので、おのずと限界があります。

 

児童会館で働く職員

A協会の職員数は、無期雇用の常勤職員として、「主任指導員」が152人、「指導員」が385人です。加えて、有期雇用の職員として、「フレックススタッフ(週19時間以下のパートタイム労働者)」304人、「臨時職員」139人、「サポートスタッフ」22人が働いています。

「指導員」の勤務には週33時間勤務とフルタイム(週38時間45分)勤務とがあります。人数的には前者が多いですが、事業拡充にともない後者を増やしているとのことです。

児童会館における一般的な職員配置は、館長職である「主任指導員」が1人、「指導員」が2人のほか、利用者数が増える午後から夜にかけて、「フレックススタッフ」が2人配置されます。館長は1館に1人の配置なので、アキが生じない限り、「指導員」の昇格はありません。

 

児童会館での業務内容

「主任指導員」には会館全体の管理責任が課されていますが、主たる業務においては、指導員との間に大きな違いはないといいます。しかし、賃金・処遇面では両者に大きな違いがあります。「主任指導員」の賃金水準は札幌市一般行政職の給与表を参考に決められているのに対して、「指導員」は札幌市の非常勤職員の給与に準じています(昇給はありますが、年に1000円で、しかも勤続10年以降はその昇給額も減ります)。

 

収入と暮らしの状況

労働者アンケートの結果をみていきます。「指導員」に注目します(回収数は190人。但し、設問によって有効回答は異なります)。

 

表 雇用形態別にみた年収・主たる家計支持者の割合・暮らしの状況                                単位:%

主任指導員 指導員 フレックススタッフ 臨時職員 サポートスタッフ
a.2011年の年収額・税込み(累計値) n=56 n=172 n=83 n=17 n=30
200万円未満 0.0 22.7 98.8 88.2 96.7
250万円未満 0.0 68.0 98.8 88.2 100.0
300万円未満 7.1 97.1 98.8 88.2 100.0
b.主たる家計支持者の割合 n=60 n=189 n=121 n=45 n=37
86.7 54.0 9.9 46.7 48.6
c.暮らしの状況のDI n=59 n=188 n=121 n=45 n=37
▲ 16.9 ▲ 63.8 ▲ 34.7 ▲ 60.0 ▲ 54.1

注1:bは、家計の主たる支持者・主な収入源で、「あなた自身の収入」と回答した割合。
注2:cは、五段階の選択肢のうち、「大変ゆとりがある」「ややゆとりがある」の合計から、「大変苦しい」「やや苦しい」の合計を差し引いた値(残りは「普通」)。

 

「指導員」の年収は、200万円未満が22.7%で、250万円未満まで範囲を広げると全体の3分の2(68.0%)がそこにおさまります。一方で、家計の主たる支持者・主な収入源を尋ねたところ、「あなた自身の収入」をあげた者は、54.0%と半数を超えます。

暮らしの状況DI(「大変ゆとりがある」「ややゆとりがある」の合計から、「大変苦しい」「やや苦しい」の合計を差し引いた値)では、▲63.8でした。暮らしの厳しさが示されています。

自由記述を紹介します。いずれも「指導員」からの声です。

 

子ども達の人数に対して、職員数が少なく、週休や年休で1人でも職員がいないと厳しいため、有給休暇が取りにくい。女性/20歳代

指定管理者制度により将来が不安。また、求められる業務と賃金の割合があっていない気がする。男性/30歳代

とにかく仕事の量、内容に対しての職員数が少ない。休みをとったら迷惑がかかると思ってしまう環境。女性/40歳代

賃金が低く報われない。子どもをつくることが不安で出来ない。生活していくのが厳しいです。賃金をなんとかしてください。やりがいのある仕事をさせてもらっていると感じます。好きな仕事と生活を天秤にかけなければいけないのは辛いです。男性/30歳代

早朝、夜間の勤務が多く不規則であり、体力的に非常に厳しい状態です。また一日のうち、休憩時間がほとんどとれていない状況なので、心身ともに消耗する日々です。例えば12時~19時の勤務の際は45分の休憩時間が含まれていますが、現状ではとれていません。札幌市の公共施設で働いている私たちが金銭的にも体力的にも厳しい状態であることを知り、改善を望みます。どうぞよろしくお願いします。女性/30歳代

 

 

まとめに代えて

 

上記の二つの調査の結果は、地元の新聞で当時、下記の見出しで報じられました。

 

「指定管理施設を実態調査/官が生むワーキングプア」『北海道新聞』朝刊2012年2月21日付

「市の仕事で貧困悲痛/指定管理者の例賃金 制度見直しの声も」『北海道新聞』朝刊2012年9月6日付

 

指定管理者制度には、政府からも懸念が出されていました。

例えば、以下は当時の総務大臣の閣議後記者会見の一部です。

「何かですね、指定管理者制度が導入されてから今日までの自治体のこの制度の利用の状況を見てみますと、コストカットのツールとして使ってきた嫌いがあります。もちろんそれは全く否定するものではありませんけれども、指定管理者制度というのは、一番のねらいは、行政サービスの質の向上にあるはずなのです。〔中略〕ところが、そっちの方よりも、むしろ、外注することによって、アウトソースすることによって、コストをいかにカットするかというところに力点が置かれてきたような印象を持っております。特に、私などが懸念していますのは、本来、指定管理になじまないような施設についてまで、指定管理の波が押し寄せて、現れてしまっているという。」

出所:片山総務大臣閣議後記者会見より(2011年1月5日)(国立国会図書館インターネット資料収集保存事業サイトで閲覧可能)。

 

目的がコスト削減に傾斜していったことに対して、運用改善通知が発出されるにも至っています[4]

 

二つの調査からおよそ10年が経ちました。状況に果たして変化はあったでしょうか。

問題の解決には、発注者である自治体の役割が大きいです。公契約条例の制定を求めて私たちが活動を続けているのは、そのような理由によります。

最後に、札幌市から提供されたデータを紹介しておきます。指定管理者制度が導入された施設の雇用、賃金データです。

 

資料 札幌市の調査にみる、施設内容区分ごとにみた指定管理者制度導入施設の雇用形態別人数及び時間当たり平均賃金(2017年度)

施設内容区分 代表例 全体 正規職員 非正規職員
1 レクリエーション・スポーツ施設 農業体験交流施設、区体育館、温水プール、ジャンプ競技場等 851人 188人 663人
1,103円 1,859円 888円
2 産業振興施設 産業振興センター、コンベンションセンター等 86人 39人 47人
1,387円 1,837円 1,013円
3 基盤施設 都市公園、駐車場、市営住宅等 354人 78人 276人
1,095円 1,530円 968円
4 文教施設 区民センター、地区センター、芸術の森、コンサートホール、青少年科学館、生涯学習センター等 871人 234人 637人
1,079円 1,437円 948円
5 社会福祉施設 老人福祉センター、養護老人ホーム、健康づくりセンター、児童会館、保育所等 1,608人 766人 842人
1,189円 1,352円 1,040円
全体 3,770人 1,305人 2,465人
1,140円 1,465円 967円

注1:2017年4月1日において指定管理者の職員であった者の2017年度中の賃金について作成。
注2:次の者については、時間当たり平均賃金を算出するに当たり賃金が捕捉できない等の理由により対象から除外している。派遣労働者。勤務時間の定めのない職員。
注3:それぞれの時間当たり平均賃金は、賞与や諸手当を除くいわゆる基本給を基礎に算出したものである。
資料:札幌市提供資料より。
出所:川村雅則「公契約条例に関する調査・研究(Ⅲ)札幌市の取り組み・資料の整理」『北海学園大学経済論集』第67巻第2号(2019年9月号)より。

 

 

 

(参考文献)

坂田期雄(2006)『民間の力で行政のコストはこんなに下がる──「公」と「民」とのサ─ビス・コスト比較』時事通信出版局

成田頼明(2009)『指定管理者制度のすべて──制度詳解と実務の手引き【改訂版】』第一法規株式会社

松村享(2017)『自治体職員のための図解でわかる外部委託・民営化事務ハンドブック』第一法規

 

 

[1] 指定管理者制度については、成田(2009)を参照。

[2] 総務省自治行政局長「地方自治法の一部を改正する法律の公布について(通知)」2003年7月17日。

[3] 総務省「公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果」(2019年5月17日)

[4] 総務省「指定管理者制度の運用について」2010年12月28日

 

 

(関連記事)

川村雅則「民間委託における清掃労働者の労働実態(2011年)」

川村雅則「道内建設季節労働者はいま──2019年度アンケート・聞き取り調査の結果より」

佐藤陵一「区役所の清掃業務──建交労組合員の働き方が物語ること」

三苫文靖「ALTの現場で何が起きているか(2021年度第2回札幌市公契約条例の制定を求める会連続学習会の記録)」

 

 

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