川村雅則「自治体議員になったつもりで非正規公務員問題を市長に質問してみました(思考実験)その2」

シリーズ、「自治体議員になったつもりで非正規公務員問題を市長に質問してみました(思考実験)」のその2です思考実験、架空の議会活動です。ご笑覧ください。なお、誤字脱字や内容上の誤りなどをみつけましたらその都度訂正をしていきます。大きな訂正を行いましたら注記します。(2024年2月2日記)

 

 

「自治体議員になったつもりで非正規公務員問題を市長に質問してみました(思考実験)その2」『NAVI』2024年2月2日配信

川村雅則(北海学園大学)

 

 

はじめに

昨年末(2023年11月26日)に、「自治体議員になったつもりで非正規公務員問題を市長に質問してみました(思考実験)」を『北海道労働情報NAVI』(以下、NAVI)で配信しました

その後、(1)NPO法人官製ワーキングプア研究会主催の連続講座(の第1回目、1月15日)で報告をしました。当日に配布したレジュメと資料は下記のとおりです。

川村雅則「官製ワーキングプア研究会2023年度連続講座レジュメ」川村雅則「(暫定版)総務省・会計年度任用職員制度等の2023調査データの集計」(いずれも『北海道労働情報NAVI』2024年1月15日配信)。

(2)『月刊ガバナンス』2024年2月号に「ディーセントワーク概念からみた会計年度任用職員制度」を投稿しました

(3)日本労働弁護団北海道ブロック主催で2024年1月29日に開催された学習会(「無くせ非正規!目指せ無期雇用!!非正規雇用問題を考える会」)で発言しました。

これらの活動を経ながら、市長への代表質問(思考実験)のその2をまとめました。議会活動の参考になさってください。

なお、議場では、ヤジばかりではなくエールもあると現役議員より伺いましたので、盛り込んでみました。

 

 

○○年△△月××日 ◇◇会派 札幌市長への代表質問

 

〔議長:それでは、次の質問に移ります。○番、かわむらまさのりくーん〕

 

はい!

 

〔テクテクと登壇席へ。緊張を解くため深呼吸。一呼吸置いて、質問を開始〕

 

 

市長!

年度末が近づいてきました。

本市の会計年度任用職員制度では、3年公募制に加えて、同じ部で働くことのできるのは原則3年までという「同一部3年ルール」が設けられています。本市の制度の詳細は、川村(2021)や川村(2023)などをご参照ください。

当該の会計年度任用職員の皆さんにとっては、雇用不安にさいなまれる時期です。国際労働機関であるILOの提唱するディーセントワークの観点からも見過ごすことはできません! その立場から、市長に質問をさせていただきます!

 

〔「おいおい、ディーセントワークってなんだよー」「横文字使えばいいってもんじゃないよー」〕

 

あ、失礼しました。

ディーセントワークについて簡単に説明をしておきます[1]

ディーセントワークは国際労働機関であるILOが提唱している言葉で、働きがいのある人間らしい仕事と訳されています。もう少し言うと、「働きがいのある人間らしい仕事、より具体的には、自由、公平、安全と人間としての尊厳を条件とした、全ての人のための生産的な仕事」です。

単に雇用があればよいというのではなく、雇用の質にも注目した大変重要な考え方で、SDGsの目標の一つにも掲げられています。SDGs未来都市に選定された札幌市も目指すべき目標ではないかと考えております。

では、仕切り直しで質問に入っていきます。

 

[1] 詳しくは、ILO駐日事務所のウェブサイトの説明をご参照ください

 

 

 

俎上に上がらぬ会計年度任用職員制度

市長!

私、最近、本市の雇用に関わる大変素晴らしい新聞報道を目にしました。

 

〔「なんだなんだー」「また褒め殺しかー」〕

 

こちらの記事です。

まず一つ目は、「働きやすいまち 考える 市推進協初会合 人手不足解消探る」2023年12月15日付です。もう一つは、「札幌版 政労使会議発足へ 賃上げ、4月にも議論 既存の協議会活用」2024年1月20日付──いずれも『北海道新聞』朝刊の記事です。

前者では、「雇用環境の改善などを考える「市働きやすいまち推進協議会」の初会合を開き、経済や労働界の関係者らと人手不足の解消などに向けて意見交換した。」と書かれていて、「市はかつてない人口減少局面にある。質の高い雇用創出と魅力的なまちづくりに取り組みたい」という副市長の挨拶が取り上げられています。

副市長の言われる「質の高い雇用」──まさに! 雇用の「質」は、今後の雇用政策において重要なポイントだと思います。ディーセントワークに通ずる考えです。

後者の記事では、労使間の協議に対して、「市は企業の経営を助ける各種補助制度を充実させることなどによって賃上げを側面支援」するというスキームが紹介されています。

 

図表1 札幌版政労使会議のイメージ

出所:『北海道新聞』2024年1月20日付。

 

これはもう! 長年私たちが求めてきた公契約条例にも共通する考えではないでしょうか。いかなる基準を満たす際に補助制度が受けられるのか記事からはまだ分かりませんが、大変期待をしているところです。

 

ところで、市長! ずばり伺います。

働きやすいまちづくり、というこうした素晴らしい取り組みの中で、市長自身が任命権者である会計年度任用職員の制度問題は、なぜかすっぽり抜け落ちているように思われるのですが、いかがでしょうか。

 

昨年末に、総務省による「令和5〔2023〕年度会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査」(以下、2023総務省調査。同様に、2020年に行われた調査を2020総務省調査)の結果が公表されました[2]。いわゆる非正規公務員問題は、本市に限らず全道的、全国的な課題でもありますので、少しだけ数値を紹介させてください。

パネルを用意しました。こちらをご覧ください。

 

図表2 任用根拠別にみた全国の臨時・非常勤職員数(2023年、2020年)/単位:人、%

2023年 2020年
A B A B
会計年度任用職員 968,277 661,901 306,376 901,469 622,306 279,163
臨時的任用職員 85,314 76,044 9,270 74,727 68,498 6,229
特別職非常勤職員 165,749 4,780 160,969 149,550 3,669 145,881
総数 1,219,340 742,725 476,615 1,125,746 694,473 431,273

注1:2023年の数値は2023総務省調査より、2020年の数値は2020総務省調査より。
注2:Aは任用期間が6か月以上かつ1週間当たりの勤務時間が19時間25分(常勤職員の半分)以上の職員、Bは任用期間が6か月未満又は1週間当たりの勤務時間が19時間25分未満の職員。
出所:2023総務省調査より作成。

 

まず、同調査によれば、全国の会計年度任用職員は96万8277人。2020年から6万7千人ほどが増えたようです。会計年度任用職員が公共サービスの担い手としてなくてはならない存在として増え続けていることをあらためて感じます。

 

〔「ほほー、100万人を超えるんだー」「報道で見聞きしているけれども、こうしてあらためてみるとすごい人数だね。」「市民には誰が正規で誰が非正規かは分からないねー」議場ザワつく〕

 

次に、北海道及び道内市町村については、本日のメインである会計年度任用職員に限定して、その人数を整理してみました。

まだ作業中なものですから、暫定的なものとしてご了承ください(「(暫定版)総務省・会計年度任用職員制度等の2023調査データの集計」『NAVI』2024年1月15日配信)。

 

図表3 北海道及び道内市町村における会計年度任用職員数/単位:人

2023年 (参考)2020年
総数 フルタイム パートタイム
総数 任用期間が6か月以上(a) 任用期間が6か月未満(x) 総数 任用期間が6か月以上かつ1週間当たり19時間25分以上(b) 任用期間が6か月未満又は1週間当たり19時間25分未満(y)
北海道 6,495 15 15 0 6,480 1,858 4,622 3,124
札幌市 3,586 109 103 6 3,477 2,672 805 3,842
市群 17,791 2,002 1,810 192 15,789 11,793 3,996 16,699
町村群 15,393 3,257 3,239 18 12,136 8,202 3,934 15,400
合計 43,265 5,383 5,167 216 37,882 24,525 13,357 39,065

注:「一部事務組合」の分は除く。
出所:2023総務省調査及び2020総務省調査より作成。

 

参考までにこまごまと数値を掲載していますが、一番左の「総数」部分をご覧ください。「北海道」は6495人、「札幌市」は3586人、「市群」は17791人、「町村群」は15393人でした。「一部事務組合」の分は割愛しています。

2020年総務省調査の結果(図表右端)からの増減の背景などは調べ切れていません。「北海道」で非常に人数が増えています。人数の多い「任用期間が6か月未満又は1週間当たり19時間25分未満(y)」のほとんど(4,622人中4354人)が「教育部門」の職員です。本市(「札幌市」)の職員数が減少している背景も後日にあらためて調べたいと思います。

 

[2] 総務省「会計年度任用職員制度等」のページから、2023年12月27日に発出された通知や調査の結果などを参照。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/koumuin_seido/kaikeinendo_ninyou.html

 

 

法の狭間から浮上して位置付けられた先は?

さて、会計年度任用職員など非正規公務員は、かつて法の狭間に落ちた存在と言われてきました。

公務員だけれども正規の公務員のような保護を受けることはできない「非正規」の公務員であること、一方で、非正規労働者であるけれども民間の非正規雇用者のような保護を受けることはできない非正規の「公務員」であること、によります。それが、2020年度からの新制度(会計年度任用職員制度)で適切に位置付けられた──そのような言われ方をすることがありますが、誤った評価だと私は思います。

 

〔「おー、きたよ、きたよ」「いよっ、待ってました!」〕

 

なぜなら、新制度は、雇用安定に逆行しているからであります!

こちらもパネルを用意しましたのでご覧ください。

 

図表4 民間と公務の非正規制度の比較

注1:①は民間の無期転換制度、②は5年雇い止め問題、③は会計年度任用職員の制度を図示したもの。
注2:③のaの墨塗箇所は、条件付採用期間(試用期間)。/bの点線は勤務実績に基づく能力実証が認められた箇所。/cの実線は、公募制による能力実証が必要とされる箇所。
出所:筆者作成。

 

様々なところで繰り返し述べていますので、詳細は省きますが、①は無期転換制度が設けられた民間の非正規雇用制度。それに対して、③は会計年度任用職員の任用制度をまとめたものです。①と③の格差を皆さんにもぜひ理解していただきたいのです。

ちなみに②は、無期転換が設けられたにも関わらず、法の趣旨を無視して行われている5年雇い止め問題をまとめた図です。

そうそう。5年雇い止めと言えば、地球に優しいけれども非正規労働者には優しくないPタゴニアのケースが本市でも話題になっています[3]が、ちなみに本市は、Pタゴニアと契約などしていませんよね?

違法ではないからといって、法の趣旨に反した脱法行為をするような企業や過労死を発生させた企業などとは契約しないことも、自治体のこれからの契約行政として非常に重要なポイントであると私は考えております。

逆に──発注者である本市の自覚が何よりもまずは求められますが、そのことを前提に──公共サービスの質改善に不可欠な当該業務に従事する労働者の賃金・労働条件の改善を、本市とともに取り組んでいただけるような企業に対する支援の仕組み作りが必要で、公契約条例はまさにそういった、

 

〔議長:あー、議員、議員。また思いっきり脱線していますよ。予定されていた質問に話を戻してください。〕

 

〔議場失笑〕

 

ぬぉーっと。大変申しわけありません。

公契約条例に対する熱い思いがつい。

申しわけありません。話を戻します。

 

[3] パタゴニアユニオン「パタゴニア日本支社に非正規スタッフへの無期転換逃れ撤回を求めます」『NAVI』2023年3月16日配信「「無期転換逃れ」問う パタゴニア元パート、雇い止め撤回求め提訴へ」『朝日新聞』2024年1月30日 19時00分

 

 

再度の任用は更新にあらず

こちらのパネルをあらためてご覧ください。③の部分です。

法の狭間から引き上げられたとはいえ、とんでもないところに引き上げられてしまった。

お分かりいただけますでしょうか? 任用は、会計年度ごとであって、なおかつ、多くの自治体では、総務省の助言に従い、一定期間ごとに公募制が導入されていることをこの図は示しています。試用期間に該当する条件付採用期間(図表中のa)が毎年設けられています。無期転換制度など望むべくもないことです。

ところで、図表中のbの線を越えて職員が働き続ける/自治体が任用することは、民間の「更新」概念とは異なり、再度の任用であって、新たな職に就いたと解釈されています。更新とは異なる、と説明されているんですね。

もっとも、更新とは異なるだなんて、求職してくださる市民にも説明が難しいものですから、市の広報における求人情報でも、「更新あり」と書かれていることは、市長もご存じですよね。今日はこちらもパネルにして持ってきました。ご覧ください。

 

資料 『広報さっぽろ』に記載されている会計年度任用職員の求人情報

出所:『広報さっぽろ』2024年1月号p.20より。但し、赤丸は引用者。

 

まず感想を述べさせていただきたいのですが、会計年度任用職員の方々が様々な仕事で私たちの暮らしを支えてくださっていることをあらためて感じます。今回の求人では、資格や経験を要する職が多いですね。

さて、その上で、「更新あり」と書かれていますが、更新ではありませんよね? だからこそ、先の図表でみたとおり、試用期間にあたる条件付採用期間が毎回設けられているわけですよね? 仮に、任用をめぐるトラブルが当事者との間で生じた際には、更新概念に基づき対応をされるわけではありませんよね?

制度設計したのは総務省ですが、労働者の雇用安定の権利が徹底して排除された仕組みになっていることと、任命権者である自治体の側も説明が困難になる本当におかしな制度だとつくづく思います。

 

〔「話が細かいぞー」「総務省の制度に従ってちゃんとやっているんだから、いいじゃないかー」というヤジ。議場ザワつく。〕

 

え? なんですか? 総務省の制度に従ってちゃんとやっているからいい? いや、その仕組みが仕事の性格などと合っていないでしょ、と説明しているのに、分かってもらえないなー、ブツブツ。

ではヤジを飛ばした皆さんに逆にお聞きしますが、例えば、会計年度任用職員に対して労働安全衛生法に基づく雇い入れ時健康診断は毎回実施されているのでしょうか。

労働安全衛生法上は、雇い入れる労働者に対しては、雇い入れ時の健康診断と定期健康診断が必要になるわけですが、毎回新たな職に就く、と説明されるのであれば、毎年、雇い入れ時健康診断の実施が必要になると思うのですが、いかがでしょうか[4]

念のため言えば、私は、そうすべきだと言いたいのではありません。まず、無理のある制度だと言いたいです。次に、無理のある制度をまわしていこうとすればひずみが生じます。それが今みてきたようなことです。

その上で、私が一番申し上げたいのは、総務省がおかしな制度をつくったからといって、自治体側はそれに粛粛と従うだけでよいのか、ということです。この点はあとであらためて言及します。

 

[4] この点は全国的にどう対応されているのかは私も調べていないので分かりません。雇い入れ時健診も定期健診も一緒に行っているのではないだろうか、というのが関係者の推測です。

 

 

会計年度任用職員の離職の実態や背景を調べなくてよいのか

2022年度末の本市の会計年度任用職員の離職者数は561人でした。

ところで、前回数字を誤って質問してしまいました。後で紹介する本市の「大量離職通知書」には実際の離職者数が記載されているものだとてっきり思い込んでしまい、2つの異なる数値を同一のものとみなしてしまいました。この点についてまずはお詫び申し上げます[5]

 

〔「おいおいおーい。数字はしっかり調べろよ-」「質問するならちゃんと調べなきゃだめじゃないかー」「キホンのキでしょー」議場騒然〕

 

〔議長:ちょちょちょっと、皆さん静粛にしてください。どうぞ静粛にお願いします。議員も、ダメじゃないですか。質問に際しては情報をしっかり調べるようにしてくださいね。〕

 

はい、本当に申しわけありません。

この点はこの場を借りてあらためてお詫び申し上げます。

そして、皆さんがおっしゃるとおり、しっかり調べることを肝に銘じます。

離職問題を含め、会計年度任用職員の現状をしっかり調べます!

頑張ります!

 

〔議長: (あー、議員、なんだか違うスイッチが入ったようですが、まあいいですかね。) では、議員、質問を続けてください。〕

 

はい!

先ほどの数字ですが、短期間での離職が予想をこえて発生していることが特徴でした。2022年度1年を働いて離職したのが156人、21・22年度の2年を働いて離職したのが110人、そして20・21・22年度の3年を働いて離職したのが295人、計561人でした。

会計年度任用職員のこうした離職の背景に、市の雇い方をめぐる問題はないでしょうか。まさに、しっかり調べなくてよいのでしょうか!

 

〔「なるほど、そうきたかー。いいぞー」「そうだそうだ、調べなきゃだめじゃないかー」議場沸く〕

 

 

前回の質問で言及した、正規職員を対象とした例の離職対策・調査活動[6]

会計年度任用職員をこの事業の対象から除いたことに私は前回の質問で異議を唱えましたが、とはいえ、調査そのものは、これはこれで進めていただきたい。その上で、会計年度任用職員についても、離職の実態や背景をしっかり調べるべきではないでしょうか。

入札情報によれば、この事業にはおよそ1千460万円(契約金額)がかかっています[7]

いえ、調査・研究にお金がかかることは私も承知しています。

ましてや、「仕様書」によれば、今回の事業は「本市組織の強み・弱みを可視化すると共に、その結果に基づいた組織改革に資する支援を行い、本市の組織としての魅力を高め、有為な人材の確保・育成・定着に繋げ、職員力・組織力を向上させることで、市民サービスの向上を目指すもの」でありますから、成功を願っています。

ただ一方で、くどいようですが、だからこそ、会計年度任用職員を対象から外したことには疑問があります。そして、先に述べたような離職を会計年度任用職員に発生させておきながら、理由を調べたり何も対応しないことには、違和感を覚えます。

正規職員と非正規職員とでは、そもそも任用の考え方は違うと答弁されるのでしょうけれども、それこそ、市民サービスの向上という観点からも、人事労務管理面でのこうした格差は妥当なのでしょうか。

 

ちなみに、会計年度任用職員の現状や意識などの把握は、自前の調査でも可能です。

私も以前に、ウェブアンケート調査でそれを試みたことがあります。北海道及び道内市町村で働く624人の会計年度任用職員(有効回答)の回答[8]の一部をご紹介します。

雇用不安部分だけ取り上げると、「非常に不安がある」195人(31.3%)、「不安がある」247人(39.6%)、「あまり不安はない」153人(24.5%)、「まったく不安はない」24人(3.8%)、無回答5人(0.8%)です。自由記述も一部転載します。

 

制度が変わっても書面を渡されるだけで常に不安がつきまとう。こんな所に10年以上も勤務した事を後悔しています。職員は護られても非正規は今後更新もないと突然言い渡されました。自立も困難な状況で他にバイトを掛け持ちし精神的にも一杯一杯。市役所はこんな人の使い方しか出来ないのだと残念な気持ちです。

経験による専門性〔が〕必要な職であるにも関わらず、会計年度任用職員制度になってから雇用期間が3年上限となり、公募により継続できる可能性もあるが、確定ではないため、本人も周囲も不安定さを感じている。

毎年来年度の雇用の心配をしなければいけないのが辛いです。シングルマザーで大変なので、せめてその不安だけでもなくしてほしいです。

来年も雇ってもらえるかが心配です。何年も一生懸命働いていても、非正規職員というだけで、自分の意志とは関係なく退職させられるかもしれない不安はいつもあります。

雇用期間が切れる前に教えてもらえないのが困る。一度更新があったが、1ヶ月前に告知とあるが、到底そうはならず、更新日に初めて知らされた。先の見通しがつかなくて困っている。

病気になった時が不安。病休を使って治らなければ、やめるしかなくなる。正職員なら病休も長期間とれるのに。非正規の割合の方が多いので、使い捨ての雇用だと感じている。

 

〔「むぅーーー、こんな不安な思いで働いていたら、私たち市民へのサービスにも影響が出るんじゃないだろうか?」「そもそも、雇用の質がどうのこうのと言うなら、こうした状況を放置しておくのは問題じゃないの?」議場ザワつく。〕

 

〔「いやいや、こんなウェブアンケート、回答率もわからないし、そもそも会計年度任用職員以外が回答しているかもしれないじゃないか」「心配性な人だけが回答しているから高い訴えなんじゃないの?」「本市はまったく問題ないかもしれないじゃない?」議場さらにザワつく〕

 

いずれのご意見もありがとうございます。

おっしゃるとおりで、こうした調査の手法の問題点や限界は、私も十分に自覚しております。

ですから、そういった調査が可能な立場にある首長・行政が、本市の会計年度任用職員全員を対象にした調査を行えばよろしいんじゃないですか。

あ、いや、ちょっと待ってくださいよ。

市長にその気がないのであれば、我々議会で行ってもいいのではないでしょうか。行政への監視機能が求められる我々で政務活動費を使って調査を実施する! というのはいかがでしょうか。地域の課題、行政の課題を調べて、政策提案するという点でもふさわしい事業になります。

よしっ。○○会派の皆さん、□□会派の皆さん、どうですか? △△会派の皆さんも、保守の立場からでもこうした状況が放置されているのはまずいと思いませんか? 一緒に調査事業を立ち上げませんか? 私、この仕事の事務局を引き受け

 

〔議長:あー、議員、議員。また暴走していますよ。今は市長への質問の場面です。議員同士の打ち合わせは別の場所で行ってください。〕

 

ぬぉーっと、またやってしまいました。申しわけありません。

このような場面で、議会基本条例に掲げられた「議員相互間の討議」を実践しようとしてしまうとは。。。まことに失礼しました。

 

〔議長:殊勝な心がけではありますが、議員、TPOですよ、TPO。TPOに気をつけてください。〕

 

大変申しわけありません。

 

〔「でも、議員、ナイスな提案だぞー」「議員、私も参加しますよ。自前の調査活動にぜひ取り組みましょう」拍手〕

 

市民の皆さん、議員の皆さん、ありがとうございます!

 

では、ちょっと元気をいただいたところで、、、市長! ずばり伺います。

会計年度任用職員も公共サービスの重要な担い手です。彼らの離職──文字どおりの大量離職──を真摯にうけとめて、彼らが日常の仕事で感じていること、働きづらさ、ニーズなどを調べて、「職員力・組織力を向上させることで、市民サービスの向上を目指す」必要はないのでしょうか。

働きやすいまちづくりを目指す本市として、正規職員と非正規職員を徹底して分けた対応をする理由はなんでしょうか。

答弁を求めたいと思います。

 

[5] 川村雅則「(お詫び)札幌市の会計年度任用職員の離職者数の訂正」『NAVI』2024年1月10日配信。

[6] 「「働きがい」数値化へ 札幌市職員8000人調査 職場環境など施策検討 増える離職者対策も」2023年11月9日付。

[7] 札幌市「入札等告示(令和5年度札幌市組織改革支援業務)(公募型企画競争)」より。入札等結果一覧も参照。

[8] 川村雅則「北海道及び道内市町村で働く624人の会計年度任用職員の声(2022年度 北海道・非正規公務員調査 中間報告)」『NAVI』2023年1月5日配信。会計年度任用職員の現状については、ほかにも、当事者団体である、公務非正規女性全国ネットワーク(通称、はむねっと)非正規公務員VOICESによる貴重な調査を参照。

 

 

再度任用における公募は自治体の判断でやめることができる

会計年度任用職員の方々が従事している仕事は期間限定のものではありません。仕事の期間や仕事の性格などを踏まえても、総務省によってつくられた新制度は本当に不適切だと思います。

このような制度に、自治体も一緒になって追随する必要はありません。

会計年度ごとの任用という基本設計は、変えることはできませんが、公募はなくすことができます。そもそも公募は義務ではありませんでした。

そして、現場からの強い批判を背景に、総務省自身も、地域の実情等に応じて適切に対応するように、とあらためて通知を出しています。先ほどのパネルの続きをご覧ください。③から③’への移行をここで私は提起しています。

 

図表5 再度任用における公募は自治体の判断でなくすことが可能

注:a、b、cは図表4に同じ。
出所:筆者作成。

 

そして、実際、2023総務省調査によれば、全国的にも、そして、北海道でも、公募を行わずに再度任用を行う自治体が増えているようです。

まず、全国の数値をご紹介すると(調査では「公募の実施に関する基準がない団体」と表記)、都道府県では残念ながらゼロ件、指定都市では1件(前回調査でも1件。広島市)、市区では93件(前回調査では90件)、町村では167件(前回調査では134件)です。

 

次に、北海道及び35市の状況を整理してみました。

自治体に直接話を伺ったわけではなく、あくまでも総務省調査への回答を整理しただけという点にはご留意ください。こちらのパネルをご覧ください。

 

図表6 2023総務省調査にみる北海道及び35市の公募制の実施状況/単位:件、%

合計 合計 合計
北海道 9 0 9 0 留萌市 8 8 0 0 千歳市 9 0 9 0
札幌市 14 0 14 0 苫小牧市 11 8 0 3 滝川市 11 0 0 11
函館市 12 0 12 0 稚内市 10 0 10 0 砂川市 11 0 11 0
小樽市 14 0 0 14 美唄市 11 0 11 0 歌志内市 10 10 0 0
旭川市 13 0 13 0 芦別市 13 0 13 0 深川市 8 0 8 0
室蘭市 11 0 11 0 江別市 13 0 4 9 富良野市 10 0 10 0
釧路市 14 0 14 0 赤平市 11 0 0 11 登別市 11 0 11 0
帯広市 11 0 11 0 紋別市 9 0 9 0 恵庭市 10 0 10 0
北見市 11 0 11 0 士別市 13 3 0 10 伊達市 10 0 0 10
夕張市 8 8 0 0 名寄市 12 0 0 12 北広島市 9 0 9 0
岩見沢市 13 0 13 0 三笠市 12 11 0 1 石狩市 9 0 9 0
網走市 11 0 11 0 根室市 14 0 0 14 北斗市 7 0 7 0

注1:対象は、部門×職種。
注2:①毎回公募を行い再度任用する/②公募を行わない回数等の基準を設けている/③毎回公募を行わず再度任用する。
出所:「(暫定版)総務省・会計年度任用職員制度等の2023調査データの集計」『NAVI』2024年1月15日配信より作成。

 

小樽市、赤平市、名寄市、根室市、滝川市、伊達市では、回答したいずれの「部門×職種」でも、「③毎回公募を行わず再度任用する。」が選択されています。

苫小牧市、江別市、士別市、三笠市では、一部の職種で「③毎回公募を行わず再度任用する。」が選択されています。

繰り返しになりますが、個々の自治体に直接話を伺うことが課題であることにはご留意ください(後述のとおり、根室市の事情はすでに把握済み)。

 

市長! いかがでしょうか。本市もこうした動きに続きませんか!

 

ちなみに、近年ではどの業種においても人手不足が本当に深刻ですが、公務職場でも、正規職員を含めて、人手不足が深刻だと報じられています[9]

もちろん、公務職場における人手不足は事実だとは思うのですが、ただ、こと会計年度任用職員について、一般論としていえば、雇用(任用)は1年ごとですからね/継続で雇われる場合も雇用「更新」ではありませんからね/そして一定期間ごとに公募に応募してもらいますからね──こんなことを面接の際に言われていたら、そうでなくとも人手不足のご時世なのに、人が集まらないのも、さして驚くべきことではないように思うのですが、いかがでしょうか[10]

 

[9] 例えば、「道内人口減 自治体も人手不足深刻 事務職が給食調理/住宅建築確認廃止」『北海道新聞』朝刊2024年1月9日付。「コモンエイジ・公共のかたち:/8 都道府県職員、採用難(その1) 大阪・兵庫以外、予定数割れ」『毎日新聞(東京朝刊)』2024年1月16日付。

[10] 人手不足でなければこうした雇い方は容認される、というわけではない。念のため。

 

 

 

人事評価制度の活用を検討してはどうか

いや、本市ではやはり、任用を希望する方々への機会の均等な付与、既存の職員のマンネリ化・モラルや士気の低下の回避のためには、3年公募も同一部3年ルールも必要である──市長はそういうお立場でしょうか。

しかしながら、そもそも、常勤職員に比べれば簡易とはいえ、会計年度任用職員にも人事評価制度が行われているではありませんか[11]。本市においても、しっかりした人事評価制度が行われていると伺っていますよ。該当部分を転載[12]するとこうです。

 

「そもそも旧・臨時・非常勤職員制度時代から人事評価は行われていて、その評価結果は人事管理等に活用されてきた。今回の制度改定では、人事評価に基づいて再度任用を可能とすることが明確にされたので、今までよりも、より一層厳格な人事評価が行われることになった。人事評価は、S、A、B、C、Dという五段階に分けられることになった。Bランク以上が勤務成績が良好との位置づけで、再度の任用が可能な目安になる。」

 

このような人事評価が行われているのに、公募制で屋上屋を架す必要はあるのでしょうか。経済性、効率性の観点からは「およそ民間ではあり得ない」ようにも思うのですが、いかがでしょうか。

市長! ずばり伺います。

人事評価制度をもって公募制に代えるということはできないでしょうか。

 

ただ、、、そう提案しておきながらちょっと気になることがあります。

これは本市のことではなく、あくまで一般論ですが、公募と引き換えに人事評価制度を活用することになった場合、人事評価制度が悪用されて、例えば、逆に、当事者にとって評価制度が重圧になったり、あるいは、市にとって目障りな職員などが排除されることに制度が使われないだろうか、という点が心配です。正職員と違って会計年度任用職員は、実効性ある権利保障システムがないに等しいですからね。

そういう意味では、なんのための人事評価制度なのか、人事評価制度は人材育成のために用いられるべきである、という基本に立ち返る必要がありますよね。うん、そうだな。

そして結局は、職場の労働組合次第というか、労働組合が職場をしっかり規制するなりチェックするなりできているかどうかにかかわっているんだよなー。いまだ非正規職員を迎え入れることをしていない労働組合ではちょっと、心配だな、ブツブツ

 

〔議長:議員、議員。また一人の世界に入っていますよ。大丈夫ですか?〕

 

〔「何を一人でブツブツ言ってんだ-」「質問をしろよ、質問をー」議場ザワつき始める〕

 

あ、申しわけありません。

つい考え事を。

申しわけありません。では、続けたいと思います。

 

[11] 総務省マニュアルによれば、「地方公務員法上、会計年度任用職員は、常勤職員と同様、任期の長短にかかわらず、あるいは、フルタイムかパートタイムかにかかわらず、人事評価の対象となります。会計年度任用職員については、任期ごとに客観的な能力の実証を行った上で任用することが求められます〔略〕。再度の任用を行う場合の客観的な能力実証に当たり、前の任期における人事評価結果を判断要素の一つとして活用することが考えられます。このほか、人事評価結果を研修などの人材育成に活用することも想定されます。」以上、総務省マニュアル(2017年8月23日)より。

[12] 川村(2021)から、札幌市の「人事評価」の一部を転載。

 

 

ブルシット・ジョブとしての公募関連業務?

唐突ですが、ここで、こちらの本も使いながら質問をさせてください。

 

https://www.iwanami.co.jp/book/b515760.html

 

この本の著者で、アメリカの人類学者であるデヴィッド・グレーバーは、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態をブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)と名付けました。詳細は、デヴィッド・グレーバー(2020)をご参照ください。

念のため言えば、彼によってとりあげられているのは仕事そのものであって、当該業務に従事している人ではありません。私も、個人を攻撃するつもりはまったくありません。

で、会計年度任用職員の公募関連業務の話を聞いていると、私はついこの単語を思い出してしまうんですよ。

つまり、仕事が別になくなるわけでもなく、当事者に対する人事評価制度が毎年行われてもいるのに、一定期間ごとに、既存の職員に対する雇い止めが行われ、その仕事に対する求人活動が行われ、筆記や面接など応募者に対する能力実証が行われ、採用手続きへと進んでいく。当然、採用する自治体側には、業務が発生し、その業務を遂行する人手が必要になる。しかも、採用の時期・年度はそれぞれズレていきますから、当該業務は毎年発生することになります。

しかも、本市の場合にはさらに上乗せして、原則として部の変更(職によっては就業場所の変更)が行われる。結果として、既存の職員が採用されようが新規の職員がされようが、職場の人間関係もイチから作っていくことになる──関係者のお話を伺うと、公募関連の業務や職場で起きていることは、こんな感じになると思うのですが、よろしいでしょうか。間違いないでしょうか。

繰り返しになりますが、会計年度任用職員は、公共サービスの担い手です。その彼らの雇用不安を惹起し、尊厳や就労意欲を傷つけ、果てにはメンタル不全にまで追い詰める──公募関連業務は、ブルシット(無意味で、不必要で、しかも有害)の度合いが相当に高い業務なのでは? とつい思ってしまうのですが、私の認識は間違っていますでしょうか。

市長! ずばりお伺いします。

市長はこの点についていかがお考えでしょうか。

 

この点に関わってもう一つ私が危惧しているのは、公務職場にはまだまだゆとりがある、と市民に誤解されかねないことです。この点は本当に危惧しています。

いや、公務員の皆さんが忙しいのは私も承知しています。

それこそ、地方行政改革で職員が減らされた一方で、行政重要は増大・多様化しています。また、公務員の勤務時間制度・規制には「穴」があって、災害や公務の臨時の必要がある場合には上限規制なく働かせることができてしまう。コロナ禍ではそれが濫用され、職員の皆さんが疲弊したことは、現場からの報告や研究論文で指摘されていることです。参考文献にも多くの本をあげておきましたのでご参照ください[13]

 

ですから、公務員の忙しさについては、理解しているつもりです。

であればこそ、このような負担を増やすようなことはやめて、一丸となって公共サービスに従事する体制をつくるべきではないか、と申し上げたい。

本市の3年公募や同一部3年ルールに対して、現場からはとくに異論などはあがっていないと伺っていますが、本当なのでしょうか。現場からの声の把握に私たちもつとめたいと思います。

 

[13] この問題に詳しい山口真美氏(弁護士、三多摩法律事務所)を講師に、昨年11月15日(水)には、厚生労働省主催で「過労死等防止対策推進シンポジウム(北海道会場)」を開催もしました。山口(2023)も参照。

 

 

 

2023年度末の大量離職通知書の提出は遵法精神にのっとって

さて、市長!

3年公募制や同一部3年ルールに賛成の立場か反対の立場かはいったんさておきましょう。

ただ、これらの制度の分だけ高い割合で発生することが懸念される離職への対応、すなわち、労働施策総合推進法第27条に基づく大量離職通知書制度の適正な運用は、きちんと行うよう市長に対して私は強く求めます。

昨年度(2022年度)末、本市では、実際の離職者数ではなく、公募にかけられた離職者数が届け出られていました。

いえ、誤解しないでください。このとき記載された数字のことを問題視するつもりはまったくありません。と申しますのも、民間企業における離職のケースと異なり、自治体の離職の範囲を、制度設計者である厚生労働省自身が明確にしていなかったことなどから、自治体もどう対応したものかよく分かっていなかったという事情があるようですから。

実際私も、北海道労働局に対して情報開示請求を行ったり、幾つかの自治体に照会をしてみたのですが、まず、前者の結果では、本市と同じく、届出が出されていたケースでは、いずれも本市同様に、実際の離職者数ではなく公募にかけられた離職者数が記載されていました。

また、後者の、幾つかの自治体への照会の結果では、条件に該当していなかったので作成・提出していなかったケースもあれば、条件に該当していても通知書を作成・提出していないケースもあって、しかも後者の中には、通知書作成・提出の意思がない(!)というケースもあって、正直申し上げて驚きました。

こうした事実こそが、会計年度任用職員(非正規公務員)の離職は軽視されてきたことの証左ではないかとも思います。

しかしそれは、本来、任命権者として許されないことでしょう。そして、厚生労働省が対象範囲などを明確にし、総務省との調整を終えて、離職者数が30人以上となる場合、1か月以上前に大量離職通知書を提出しなければならないことが2023年度に入って確定されたわけですから、もう言い訳はできません。

 

というわけで、、、市長!

会計年度ごとの任用制度や一定期間ごとの公募制に賛成か反対かは問いません。どちらの立場であっても、関連する情報の整理は、政策(任用政策)を評価・検証する上で不可欠の作業です。1千うん百万のお金をかけて調査をせよ、とかそんなことを申し上げているわけではありません。今年度末も相当数の離職者の発生が予想される中で、法に則って最低限のことをしてください、民間企業に率先垂範する立場にある自治体として法令遵守をよろしくお願いします、と申し上げているだけです[14]。厚生労働省や総務省からの通知を知らなかったとか、そういうのはナシです。

念のため、詳細は、下記の安田(2023)をご覧ください。前回は空白であった、離職者に対する再就職支援(「⑦再就職の援助のための措置」)の記載もきちんと行うことを求めます。

 

安田真幸「(緊急レポート:第5弾(最終))厚労省との7/6第3回懇談会報告 「会計年度任用職員全員が対象人数 ⇒ 公募の対象となる人数 ⇒ 「会計年度任用職員のうち、実際に職を失い再就職先が必要な人が対象」で最終確定しました!!」『NAVI』 2023年8月25日配信。

 

図表7 大量離職通知書における「再就職の援助のための措置」「再就職先の確保の状況」記入欄

出所:大量離職通知書の一部を転載。

 

[14] 川村雅則「北海道及び道内35市に対して大量離職通知書の提出を要請しました」『NAVI』2024年1月24日配信

 

 

 

議会でも議論を始めよう

議場にお集まりの議員の皆さん、そして、市民の皆さん。

ここでお詫びを申し上げなければなりません。

私も、本市の会計年度任用職員制度のことや、職員の方々が従事している仕事の内容、あるいは、現行制度下でどのような思いで働いておられるのか、などなどを調べ切れているわけではまったくありません。

以下より、本市における会計年度任用職員の職名一覧をご覧ください。ほんとうに様々な仕事で私たち市民の暮らしを支えてくださっているんだということが分かります。

■本市における会計年度任用職員の職名一覧

もっともっと調べなければならない。

私自身も、当事者や関係者の皆さんから情報を集めて、議会活動に活かしていきたいと思います。

以下から、ぜひ情報をお寄せください。

■あなたのマチの会計年度任用職員に関する情報(任用制度、任用・労働条件、お仕事や職場のこと)のご提供のお願い

 

皆さん。

総務省が作った制度によってもたらされている、会計年度任用職員へのこうした理不尽に対して、自治体(首長・行政、議会)にもできることはあります。

先ほどもみたとおり、再度任用における公募をやめるなど、舵を切った自治体もあります。

労働組合がイニシアティブをとって制度や状況を改善してきた根室市の事例[15]をこの間、ご紹介してきました。また、川村(2018)で少し言及したことがありますが、同じ政令市でも広島市は本市と状況がずいぶんと異なることをこの間伝え聞いています。本市のためにも、近々、広島市を調査で訪問してお話を伺ってくる予定です。

繰り返し申し上げたいのは、自治体にもできることはある、ということです。

市長(や労働組合)の意向はさておいて、二元代表制の一翼を担う議会は議会で、この問題にしっかり向き合いませんか。公共サービスの担い手をこのように扱うことは市民サービスにとってもマイナスである、と市民による取り組みも始まっています[16]。議員は、手をこまねいていてよいのでしょうか。議会基本条例の精神にのっとって、議員相互間で討議を図っていきませんか。私たちもまた、働きやすいまちの実現に向けて汗を流しましょう!

 

最後に一言。

こうした私の質問スタイルを「攻撃的」に感じるかたも、もしかしたらおられるかもしれません。議会の品位を落とさぬよう、気をつけたいとは思います。お気づきのことがあればどうぞご指摘ください。

同時に、市民の暮らしのために働いている人たちをぞんざいに扱う、ディーセントワークの概念と真っ向からぶつかる任用制度の「暴力性」にも目を向けていただきたい。そして、NO!の声を一緒にあげていただきたい。そのことを最後に申し上げて、私の質問を終えます。

ご清聴をありがとうございました。

〔拍手〕

[15]坂本勇治「根室市の会計年度任用職員制度と労働組合の取り組み(2022年度反貧困ネット北海道連続学習会)」『NAVI』2022年11月26日配信

[16] 「年度末は雇い止めのピンチ!ベテラン「非正規公務員」の経験が失われるのは「市民の損失」と決死の訴え」『東京新聞』朝刊2024年1月23日。なお、この取り組みにも参加されているジャーナリストの竹信三恵子氏が、公共サービスの受益者でもある地域住民など幅広いステイクホルダー(利害関係者)を巻き込んだ非正規公務員運動を提起されています。竹信(2021)を参照。

 

 

参考文献・資料

  • 川村雅則(2018)「非正規公務員問題に対する労働組合の取り組みはどこまで進んだか」『生活協同組合研究』第512号(2018年9月号)pp.37-44

川村雅則「非正規公務員問題に対する労働組合の取り組みはどこまで進んだか(2018年)」

  • 川村雅則(2021)「札幌市の会計年度任用職員制度の現状──2021年調査に基づき」『北海道自治研究』第634号(2021年11月号)pp.2-21

川村雅則「札幌市の会計年度任用職員制度の現状──二〇二一年調査に基づき」

  • 川村雅則「札幌市非正規公務員(会計年度任用職員)調査報告」『北海学園大学経済論集』第71巻第1号(2023年6月号)pp.17-37

川村雅則「札幌市非正規公務員(会計年度任用職員)調査報告」

  • 地方公務員昇任試験問題研究会(2021)『完全整理 図表でわかる地方公務員法 第3次改訂版』学陽書房
  • デヴィッド・グレーバー(酒井隆史監訳)(2020)『ブルシット・ジョブ──クソどうでもいい仕事の理論』岩波書店
  • 鳥羽稔(2020)『人材の多様化に対応!労働法制の適用範囲がよくわかる自治体の人事労務管理』第一法規出版
  • 竹信三恵子(2022)「「支えの公務」回復へ新多数派づくり──非正規公務員運動強化への試論」『季刊自治と分権』第89号(2022年10月号)pp.67-81
  • 晴山一穂、早津裕貴編著(2023)『公務員制度の持続可能性と「働き方改革」──あなたに公共サービスを届け続けるために』旬報社
  • 前浦穂高著、全日本自治団体労働組合・衛生医療評議会監修(2023)『コロナ禍の教訓をいかに生かすか──医療従事者の働き方の変化から考える』ぎょうせい
  • 山口真美(2023)「職員のいのちと健康を守るとりくみと労働基準法三三条問題」『労働法律旬報』第2027号(2023年3月号)pp.17-23
  • 山谷清志、藤井誠一郎編著(2021)『地域を支えるエッセンシャル・ワーク──保健所・病院・清掃・子育てなどの現場から』ぎょうせい

 

 

 

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