安田真幸「(緊急レポート:第5弾(最終))厚労省との7/6第3回懇談会報告 「会計年度任用職員全員が対象人数 ⇒ 公募の対象となる人数 ⇒ 「会計年度任用職員のうち、実際に職を失い再就職先が必要な人が対象」で最終確定しました!!」

緊急レポート:第5弾(最終)

厚労省との7/6第3回懇談会報告

「会計年度任用職員全員が対象人数 ⇒ 公募の対象となる人数 ⇒ 「会計年度任用職員のうち、実際に職を失い再就職先が必要な人が対象」で最終確定しました!!

 

安田真幸(連帯労働者組合・杉並)

 

 

 前回の「第4弾(2023.4.13)」で「③ 5月までには発出される予定の「新たな通知」に注目を!!」とお知らせしました。

しかし、待ちかねていた「新たな通知」が発出されたのは6月末でした。厚労省と総務省との最終調整に時間がかかったものと推測しています。

 

1 厚労省と総務省の「新たな通知」

 ⑴ 厚労省通知(資料1)

6月27日付の厚労省職業安定局から各都道府県労働局職業安定局長にあてた通知では、「大量離職通知書」提出を全ての自治体に対して周知するよう、指示している。その要旨は以下のとおりである。

① 各職業安定所(ハローワーク)から、年度末に向けて「計画的に」自治体の人事担当部局への周知を徹底すること。

② 対象となる「離職者」には、任期満了後に再度任用されるものは含まれず、選考等の結果により「離職することが確定したもの」は含まれること。

③ 提出義務を負わない「30人未満」であっても「一定規模の離職が予定」されている場合はハローワークに情報提供を依頼すること。

④ 今後の情勢によっては、集計を指示する可能性があること。

⑤ あわせて、改訂された国・自治体向けのリーフレットが添付されている。

・ただし理由は不明だが、厚労省HPの“「再就職援助計画」と「大量離職届・大量離職通知書」”ページのリーフレットは以前のままである。

 

 ⑵ 総務省事務連絡(資料2)

厚労省通知の翌日、6月28日に総務省から都道府県の人事担当課と市町村担当課、指定都市の人事担当課などに「事務連絡」が発出された。「大量離職通知書を提出いただいているところですが・・・」と言い訳をした上での要旨は以下のとおりである。

① 上記の厚労省通知を添付したうえで、「適切な対応」を自治体に求めていること。

② 詳細については、各ハローワークに問い合わせることを促していること。

③ 末尾で、自治法に基づく「技術的助言」であることに言及したうえで、労働施策総合推進法の該当条文を添付していること。

 

 

2 7/6 第3回厚労省懇談会報告

当初5月に予定されていた厚労省と総務省の「新たな通知」が6月末に発出された。直ちに厚労省の担当者に連絡。厚労省新通知の内容確認のために、7月6日に「厚労省との懇談会」を持つことができた。

 「懇談会の要旨(資料3)は、厚労省との確認に時間がかかり、約1ヶ月後にようやく確定することができた。以下は厚労省とのやりとり内容についての個人的見解である。

⑴ 確定した事項

① 対象となる「離職者」の範囲は「実際に職を失い再就職先が必要な人」として確定された(P1<経過について>-③、P3<追加質問>-①②、を参照)

・具体的には、定年退職者(再任用が決まった人を除く)+再任用退職者+有期雇用職員(任期付き職員・臨時的任用職員・会計年度任用職員など)で期間満了退職者、となります。

会計年度任用職員に絞ると、公募に再応募し不合格となった人に加え、(様々な理由で)期間満了で退職した人、が対象となります。

② 提出時期は「1ヶ月前」で確定(P3<追加質問>-③を参照)

・懇談会当日は「次年度雇用が確定した時点」との回答でした。

・しかし、後日の「補足回答」で、「1ヶ月前」と修正されました。

・施行規則で「少なくとも1ヶ月前」とされているので当然のことではありますが、離職者が未確定の場合の具体的な記入方法については詰め切れていません。

 

⑵ 不満が残る事項

① 「一般論として、再就職先の確保欄が空欄であることについて制度上問題はない」との補足回答がありました。(P4<追加質問>-⑥)

・「再就職援助措置」とともに、空欄であることは大きな問題です。

(ただし、この回答では、「再就職援助措置」について空欄とすることまでは含んでいない、とも読めます。)

・「制度上問題はない」との回答は、雇用主としての(再就職先確保に努力する)責務をないがしろにしかねません。

・「記載漏れ」として記入を促すことはできるはずだと思いますし、今後の課題です。

② 理化学研究所の大量離職届(資料4)

この点で参考になるのが、研究員の「10年雇止め問題」で大きく揺れた理研の「大量離職届」です。情報公開で入手した資料によれば、「⑦再就職援助措置」と「⑧再就職先確保の状況」は共に空欄となっていました。

しかし、追加請求で入手した決裁書には(空欄であることに対して)朝霞公共職業安定所から「氏名・住所」の提出を求められた旨の記載があります。不十分ではあっても、朝霞ハローワークがそれなりに理研に働きかけたことが分かります。

③ 下記の⑶にある、「② 注目すべき内部通達・通知など」にのっとった「助言・指導」をハローワークに求めていきたいものです。

 

⑶ 法改定の経過と通達・通知など

① 「大量離職」に関わる法改定の経過

・1966年の雇用対策法制定時は、「50人以上」の場合で「事後届け出」だった。

・1973年の法改正に伴い、「事後届け出」が「少なくとも1ヶ月前」とされた。

・1978年の法改正により、「50人以上」が「30人以上」と改められた。

② 注目すべき内部通達・通知など(資料5)

・1992年12月1日「雇用情勢の変化に対応した雇用対策の推進について(労働省職安局長通達)」では、「(事業主に対して)安易な解雇等を行わないよう必要な助言、指導を行うこと」、「特に、高年齢者、障害者、パートタイム労働者、期間工、日系人をはじめとする外国人等、比較的立場の弱い者に雇用調整の影響が集中することのないよう、充分指導されたい」、「やむを得ず離職者が発生する場合には、離職前の段階から十分な職業相談を行い、早期の再就職が図られるよう努めること」とした上で、「大量離職届」の周知徹底を求めている。

・翌1993年の「雇用対策の一層の推進について」との労働事務次官通知でも、「雇用調整の動きがみられる場合は、安易な雇用調整を行わないよう事業主指導を徹底するとともに・・・」と繰り返し述べている。

 

⑷ 首都圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)の労働局に情報開示請求!

2022年度末に「大量離職通知書」を提出した自治体はどの程度あったのだろうか? たびたび提出を促してきた杉並区では、管轄する新宿ハローワークからの文書による「提出要請(資料6)を受けても頑なに提出をしてこなかった。東京都にも新宿ハローワークから同様に文書による「提出要請」が送られたにもかかわらず、提出されていない。これらのことから、ほとんどの自治体が提出していない可能性が高いと判断していた。

しかし北海道から「札幌市・旭川市で提出されている。」との貴重な情報が寄せられた。このことを契機として首都圏の各労働局へ「2022年度に提出された大量離職通知書」を情報開示請求することとした。8月14日付で請求書を郵送し、1ヶ月後の9月中旬には開示される予定である。

 

まだ検討を深めなければならない点が多々ありますが、今はこの程度でご容赦ください。

 「離職者の範囲」は大きく後退しましたが、関与を避けてきた総務省が自治体に「大量離職通知書」の提出を促すに至ったことは、各地・各団体や国会議員の方などの取り組みの大きな成果と思っています。

 大量離職通知書により明らかになった、自治体の雇用主としての責務である「再就職の援助のための措置」を求めつつ、安易に雇用を打ち切らないよう、この年度末に向けて、各自治体への働きかけを強めていきたいものです。

 

 

 

(一連の報告)

山下弘之「(緊急レポート:第1弾)総務省『新通知』、厚生労働省『大量離職通知書』を活かす」『NAVI』2023年1月18日配信

安田真幸「(緊急レポート:第2弾)会計年度任用職員全員が対象!!-ほとんどの自治体に「大量離職通知書」の提出義務!」『NAVI』2023年2月11日配信

安田真幸「(緊急レポート:第3弾)厚労省が見解を変更!? ─「会計年度任用職員全員が対象人数 ⇒ 公募の対象となる人数」!?」『NAVI』2023年3月7日配信

安田真幸「(緊急レポート:第4弾)厚労省との第2回懇談会報告とその後の厚労省見解の再変更 「会計年度任用職員全員が対象人数 ⇒ 公募の対象となる人数」 ⇒「会計年度任用職員の本当に離職する人(「離職確定者」)が対象」!?」

安田真幸「(緊急レポート:第5弾(最終))厚労省との7/6第3回懇談会報告 「会計年度任用職員全員が対象人数 ⇒ 公募の対象となる人数 ⇒ 「会計年度任用職員のうち、実際に職を失い再就職先が必要な人が対象」で最終確定しました!!」

 

 

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