安田真幸「(緊急レポート:第4弾)厚労省との第2回懇談会報告とその後の厚労省見解の再変更 「会計年度任用職員全員が対象人数 ⇒ 公募の対象となる人数」 ⇒「会計年度任用職員の本当に離職する人(「離職確定者」)が対象」!?」

会計年度任用職員の不安定な雇用(任用)をめぐる問題について、関係者の取り組みによる前進・成果と、一方での、その後の、厚生労働省による見解の後退などが、緊急レポートとして報告されてきました(下記の「緊急レポート」を参照)。

緊急レポート第3弾から厚労省見解がさらに後退した、という報告が安田真幸さん(連帯労働者組合・杉並)から、残念ながら今回寄せられました。

ただ──第3弾のときにも書きましたが──ただ、それでも、関連する制度は、労働組合の取り組みに十分に活かせます。まずはお読みください。

 

山下弘之「(緊急レポート:第1弾)総務省『新通知』、厚生労働省『大量離職通知書』を活かす」『NAVI』2023年1月18日配信

安田真幸「(緊急レポート:第2弾)会計年度任用職員全員が対象!!-ほとんどの自治体に「大量離職通知書」の提出義務!」『NAVI』2023年2月11日配信

安田真幸「(緊急レポート:第3弾)厚労省が見解を変更!? ─「会計年度任用職員全員が対象人数 ⇒ 公募の対象となる人数」!?」『NAVI』2023年3月7日配信

 

 

 

緊急レポート:第4弾

厚労省との第2回懇談会報告とその後の厚労省見解の再変更

「会計年度任用職員全員が対象人数 ⇒ 公募の対象となる人数」

⇒「会計年度任用職員の本当に離職する人(「離職確定者」)が対象」!?

安田真幸

 

前回の「緊急レポート第3弾」で、「全員が対象人数」から「公募対象となる人数」へと厚労省見解が変更されたことから、再度の面談を求めることをお知らせした。今回は3月15日に行われた第2回厚労省との懇談会とこの間の国会や各地での取り組みの進展の報告、その後の厚労省見解の再変更について報告します。

※私たちの作成した「懇談会要旨〔資料1を参照〕」について厚労省との確認に時間がかかったことに加え、厚労省の見解再変更などの予想外の展開があったため、この報告が遅れてしまったことをお詫びします。込み入ったやり取りで、分かりにくいところもあるかと思いますが、お読みいただければ嬉しいです。

 

1 2回目の厚労省との懇談会

 ① 3月15日厚労省との第2回懇談会

前回(2月6日)と同様に大河原衆院議員の立ち合いで、1時間弱の厚労省職安局首席指導官室との懇談会を持った。私たちは前回の録音から起こした「全員が対象」とのやりとりを文書で示し、厚労省の確認を求めた。厚労省はこの文書内容を確認した上で、以下の追加説明=修正回答がなされた。

a) (再就職先が決まっていても)任用関係が切れている場合は離職となる、との考え方は変わっていない。

b) ただ2月6日の懇談の際にも、「更新」という話があったように、例えば3年の期間が首長の裁量として設定できるのであれば、その間は更新で離職とはならない。

c) 今後の自治体に対する周知の方法と併せて、こうした整理について、労働局に対し通知し、周知を図っていきたい。

私たちはb)に関して、「会計年度職員は1年任期が法定されており、3年の期間設定はできない」と主張したが、議論はかみ合わずに終わった。厚労省の考え方は、「公募を経ない再度の採用は更新として扱えるので対象とはならない」、「再度の公募に応じなければ働き続けられない場合は、離職を伴うので対象となる」というものだ、と私たちは理解した。つまり前回の「会計年度任用職員は(毎年離職する仕組みなので)全員が対象となる」を再検討して変更し、今回の回答に至ったのだ。

 ② 第2回懇談会後の「懇談会要旨」文書の確認を求める

私たちは「懇談会要旨」を作成し、大河原事務所を通して厚労省の確認を求めところ、いくつかの変更を求められた。そこで懇談会参加者で対応を相談したところ、どうしても譲れないところが1ヶ所あった。2月6日の厚労省回答について、原案で「会計年度任用職員全員が対象となる」とあるところに「離職する会計年度任用職員全員が対象となる」と「離職する」との文言が追加されたことである。懇談会参加者として「これでは意味が曖昧になる」、「離職者を定義するときに、『離職する』と同義反復で表すのでは読み手が混乱する」でまとまり、私たちから修正案を二つ提出して厚労省に再検討を依頼することとなった。

 ③ 見解変更への評価

厚労省の見解変更を受けて、私たちの評価は二分した。

ひとつは「会計年度任用職員制度は毎年任用が切れる制度なのだから全員を対象とするべき。この制度の廃止に向けて取り組むべき」。もう一つは「公募を経ない再度の任用を「更新」とすることを追求する立場から見解変更を受け入れてもよい。毎年公募や3年ごとの公募を繰り返す自治体が明白となってよい」というものである。今後の取組を進めるうえで、議論を深めたい。

 

2 国会・自治体議会での質疑

 ① 参院での質疑

2022年11月14日の参院行政監視委員会での伊波洋一議員の質疑で「大量離職通知」問題が取り上げられている。(下記の動画参照)

  https://www.youtube.com/watch?v=0jTHnoBbvJU

  3:07:47頃からが伊波議員の質疑です。

年が明けた3月9日には倉林明子議員が参院厚生労働委員会で取り上げ、突っ込んだやり取りが行われた。

京都府での「3年公募制」により、年度末には313人が雇止めされる具体例を挙げ、厚労省からの答弁として「制度の趣旨に照らして、雇用の安定を図る観点から、ハローワークから地方自治体に対して制度の趣旨や通知書の提出の意義も含めて働きかけを行って、積極的に幅広く提出いただけるよう取り組んでいきたい」を引き出している。

特筆すべきは倉林議員が「会計年度任用職員制度は、労働者の職業の安定と経済的社会的地位向上を図る労働施策総合推進法の目的に逆行している」、「会計年度任用職員制度は構造的に不安定雇用を拡大する」、「無期雇用の転換、まずはこれをやって、退職手当などの処遇の改善は急務」と指摘されたことである。大きく力づけられる締めくくりとなった。(下記の動画参照)

  https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv//detail.php?sid=7278

  「発言者一覧」から倉林さんのところをクリックしてください。

4月5日には田村智子議員が決算員会で、会計年度任用職員問題の最後に取り上げ、総務省に対して自治体への周知と再就職支援の取組を求めた。総務省は「周知については厚労省と相談よく相談する」、「他に応募可能な求人の紹介をマニュアルにも記載している」旨の答弁をしている。(下記の動画参照)

  https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7339

  「発言者一覧」から田村さんのところをクリックしてください。

 ② 東京の杉並区議会での質疑

3月6日の杉並区議会予算特別委員会で、新城せつ子議員が取り上げ、杉並区の姿勢を質している。新城さんは約30年にもわたり非正規自治体公務員問題に取り組んでこられた方である。(下記の動画参照)

http://suginami.gijiroku.com/voices/g07_Video2_View.asp?SrchID=8163

1:30:48頃からが会計年度任用職員問題、1:46:05頃から大量離職通知問題

 

3 各団体/各地での取り組み

 ① はむねっと「1789アンケート」でも

昨年末、はむねっとでは全国1789自治体の首長と議長、人事委員会もしくは公平委員会宛に「緊急要望書」を郵送した。その要望項目に「大量離職通知の提出」が盛り込まれている。

  https://nrwwu.com/topics/1985/

この大量離職通知に関して、北海道石狩市、愛知県多治見市、大阪府大東市、兵庫県宝塚市、沖縄県名護市から、「法に従い通知する」旨の回答が寄せられている。

  https://nrwwu.com/topics/2033/

 ② 自治労連四国ブロックの総務省要請

自治労連四国ブロックが3月2日の総務省への要請の中で、大量離職通知問題を取り上げていることが知らされた。

厚労省も同席したやり取りでは、「次年度が公募・非公募のどちらであっても、今の理屈ではすべての会計年度任用職員が一会計年度で任期満了になるので、すべての会計年度任用職員が大量離職通知の対象に含まれるということか?」、「これまで各地方公共団体が(大量離職通知を)提出をしている実績はほとんどない。愛媛労働局にも確認したが、今まで数年で数件はあったとのことだった。」、「年度末で雇い止め、はい終わりですと冷遇されているケースが非常に多く、この年度末にもそこが懸念されている。この制度の趣旨を正しく理解いただけるような周知をはかっていただきたい。」など、ポイントを突いたやりとりが行われている。心強いことである。

 ③ 新宿ハローワークから杉並区・中野区・新宿区に要請文書が送付される

杉並区への働きかけを継続する中で、3月15日ころに新宿ハローワークから杉並区に提出を促す通知が郵送されてきたことが分かった。新宿ハローワークに確認したところ、管轄内の3区(杉並区・中野区・新宿区)に送った、とのことだった。

注目すべきは「離職者の範囲」の説明として【「定年退職者」、「定年後の再雇用終了者」に加え、「会計年度任用職員」については更新を除き一般公募選考により選考を行う者は、「離職者」となります。】と記載されていることである。

 ④ 東京都と特別区人事・厚生事務組合に情報公開請求

2~3月にかけて、大量離職通知問題の現状解明のために情報公開請求に取り組んだ。結論的に言えば、東京都・特別区人厚組合ともに、a)過去に提出したことも検討したこともない、b)提出義務を知った後も検討すらしていない、ことが明らかとなった。

4月5日に東京都と面談した際には「新宿ハローワークから提出依頼があった」、「検討し始めているが、疑問点が多々ある」との説明だった。新宿ハローワークが、東京都にも提出依頼をしていたことが分かった。東京都・23区への働きかけが今後の課題である。

 

4 エッ?! と驚く 厚労省見解の再変更

新宿ハローワークからの通知に示された【「定年退職者」、「定年後の再雇用終了者」に加え、「会計年度任用職員」については更新を除き一般公募選考により選考を行う者は、「離職者」となります。】で厚労省見解は確定した、と個人的には受け止めていた。しかし、その後の「懇談会要旨」文書の確認のやり取りの中で、厚労省見解がさらに後退したことが判明した。

 ① 「離職確定者(離職することが確定し、再就職先が必要な人)」に限定!?

「懇談会要旨」の確認が厚労省の都合で遅れているうちに、4月に入ってしまった。4月5日に人事異動で新任の担当者となった人から、はむねっとのメンバーに電話が入った。担当が変わったことと共に、【前回の懇談会の後「離職者」の整理を行い、本当に離職する(離職が確定した)方について提出してもらうこととなった】と再度の見解変更が伝えられた。この大幅な見解後退には皆が驚いた。

その後のはむねっとのメンバーによる電話でのやり取りを含めると、担当者からは、「ハローワークの支援体制を整えるためにも、1か月前には大量離職通知を届けるよう、総務省を通じて各自治体に通知するよう調整中」、「30人未満についても、把握するよう、別途働きかけたい」、「通知は、4~5月に発出予定」、との追加説明もあったとのことだった。

懇談会参加者で直ちにズームで相談し、見解変更の説明と、疑問点の解明のための直接の面談を求めることにした。

 ② 総務省が自治体周知に協力!!

これまで総務省はこの問題について、「厚労省の所管」という無関与方針(?)で、自治体への周知に協力してこなかった。総務省がこの姿勢を変更したことも驚きだった。年度末の大量雇止めについて新聞報道が続き、国会でも大量離職通知問題が取り上げられてきたことが姿勢変更の背景にありそうだ。

厚労省の見解で進むと膨大な「離職者」数となる。総務省が「離職者数を絞り込む」ことに注力しようとしても不思議ではない。おそらく「離職確定者への再就職あっせんが法の趣旨なのだから、対象を絞るべき」というような主張をしたように推測される。このために、自治体への周知に協力する方向転換しつつ厚労省との協議を進めてきた、とするのは邪推だろうか?

※この主張は一見もっともらしく思えるが、法制度の趣旨や実態を踏まえたものとは思えない。法の趣旨は「大量離職の発生を前もって把握し、再就職先の確保を準備して備えておく」ことにあると理解している。言わば「安全網」を張るわけである。法律では「1ヶ月以上前」を義務付けているが、状況把握は可能な限り早い方がよいはずだ。まず、離職者を広く把握しておいて準備し、最終的に離職が確定した人に再就職先をあっせんする方法がより適切である。

 「定年退職者」の場合は、再任用が予定されていても離職者として事前に把握し、再任用から外れた人に再就職をあっせんする仕組みとなっている。一層不安定な会計年度任用職員についても同様に対処するべきだ。

 実態的にも、1ヶ月以上前の提出段階では離職者が確定していない自治体も少なくない。公募にさらされる当事者の重圧を考えればなおさらである。

 ③ 5月までには発出される予定の「新たな通知」に注目を!!

残念ながら厚労省との面談はまだ行われていない。電話のやり取りで今のところの対象者は以下のように考えられる。

a)「定年退職者」

b)「定年後の再任用退職者」

c)会計年度・臨時職員・任期付き任用職員で「期間満了で離職が確定した者

しかしこの間の二転三転から見て、何が起きるか予断を許さないことが悲しい教訓となっている。発出される予定の「新たな通知」を見てみないと確定はできない。注目していきたい。

※議論の中で、「公募受験を潔しとせずに辞めていく人は公募制度の犠牲者である。しかし自己都合退職として扱われ、対象から外される危険性がある」との提起がなされた。厚労省に質したところ、「(自己都合であっても)期間満了退職者は元々対象となっている」とのことだった。

 公募を潔しとしない人のほかにも、職場の状況(イジメや過酷な労働環境など)により退職せざるを得ない人もいる。これらの人たちは「自己都合退職」として扱われるべきではない。雇用保険支給の際の基準を参考にして、検討する必要のある課題である。

 

5 個人的な振り返りと今後の取組方向

 ① 振り返り

  •  大量離職通知問題に精力的に取り組み、厚労省との懇談や電話でのやり取りを積み重ねる貴重な経験を積み、教訓を得ることができた。
  •  この問題が国会でも取り上げられ、自治労連四国ブロックなどが独自に取り組みを進めていることは心強い。この北海道情報ナビに記事を掲載いただけたことも大きい。
  •  あとはこの間の取組を踏まえ、「3年公募問題」への取組をさらに強め、2024年度に「5年公募」を迎える都内各自治体にも生かしていきたい。

 ② 今後の取組方向

a) 厚労省の新通知を受けて、経過と実務的な説明を求める

・「離職=任用が切れること」、「更新は離職とならない」との厚労省が示した二つの指標からすると、最低限「公募対象人数」に帰結するしかないはず(公募は「任用が切れる」ことが前提となっているはず)。

・どのような経過と理由で「離職確定者」となったのかがポイントとなる。

b) 対象者の最終確定

・「定年退職者」と「再任用退職者」、会計年度・臨職・期限付き任用職員の「離職確定者」を合計すると、30人超の自治体は結構な数になりそうだ。常勤職員が1,000人以上のところは「定年退職者」と「再任用退職者」だけでも30人を超える可能性が高い。

・ちなみに杉並区は常勤3,562人だが、概数で「定年退職者」は100人(定年延長の関係で2023年度はゼロ)、「再任用退職者」は50人、会計年度任用職員は2,337人で「離職確定者」は不合格者20人+年度末退職者50人=70人、合計270人で軽く30人を超える。

・提出の際には「事業所」単位をどこで取るか?も焦点となる。

・多くの臨時教員(全国で9万人?)を抱える都道府県・政令市教育委員会に対しても注目する必要がある。

c) 「再就職援助体制」の実質を自治体に確保させる

・このためには労組の取組が欠かせない。労組への働きかけや議会・マスコミの活用も必要となる。

・新通知に基づき、2022年度末段階で本来必要だった大量離職通知提出を求める。2023年度末に確実に提出させていくのためにも欠かせない取り組みである。

d) 労働施策総合推進法の活用

・厚労省には「不安定雇用の是正」、「関係機関への要請」を求めていく。

・自治体には「自治体の施策」として、模範的使用者であるべきことを求めていく。

e) ILO「雇用政策条約」の活用

・今年は日本政府が「雇用政策条約」について年次報告書が提出する年である。11月には専門家委員会で審議される。追加の情報提供を行い、国際的にも訴えていきたい。来年2月には審議結果が公表される予定で、専門家委員会の見解を活用できる可能性がある。

<参考:独立系4労組による「雇用政策条約」に関する情報提供文書(2022.9.1)>
https://02ae0dfd-85c4-4441-9442-311a084091f6.filesusr.com/ugd/f64231_450f3fded78b4c3fa4af546e9038953d.pdf

 

 

引き続き、ぜひ各地での取り組みの検討と情報の共有をお願いします。

 

 

 

資料1 厚生労働省との懇談会の要旨(厚生労働省確認済み)

2023年3月15 日

非正規公務員の雇用安定を考える懇談会
(連絡先)hiseiki.koumu@gmail.com
〔電話番号・略〕( はむねっと・渡辺)

<確認事項>
1 大量離職通知の対象となる会計年度任用職員の取り扱いについて
① 2 月 6 日の懇談で、大量離職通知書については、「会計年度任用職員全員が対象となる」と厚生労働省から回答がなされたことを、改めて確認した。
② この 2 月 6 日の回答確認を踏まえたうえで、今回、厚生労働省から次の 3 点について説明があった。
a) (再就職先が決まっていても)任用関係が切れている場合は離職となる、との考え方は変わっていない。
b) ただ 2 月 6 日の懇談の際にも、更新という話があったように例えば3年の期間が首長の裁量として設定できるのであれば、その間は更新で離職とはならない。
c) 今 後の自治体に対する周知の方法と併せて、こうした整理について、労働局に対し、通知し周知を図っていきたい。

2 提出単位について
① 「任命権者ごと」である。
② 「人事・労務、給与の支払い状況などの組織の一体性」を考慮して判断する。
③ 目安としては雇用保険適用申請の際の「事業所」が参考となる。

3 厚労省から労働局への通知について
① 2022 年 11 月の通知文書および 2023 年 2 月のメールによる通知について、大河原議員に情報提供する。
② 今後の検討を踏まえて発出する通知についても、同様に大河 原議員に情報提供する。

 

<要望に対する回答>
1 厚生労働省から各自治体あてに、大量離職通知書の提出を促す通知を出してほしい
A 来年度に向けて、ハローワークを通じ、すべての自治体に対し、大量離職通知書に係る周知を計画的に行うことを考えている。

2 本来、今年度内に提出義務がある。この 3~ 4 月に通知を出してほしい
A 時期については、年度末か年度当初を念頭に置いて検討しているところである。

3 大量離職通知書の提出状況について、全国集計してほしい
A 大量離職通知の制度趣旨からすれば厚生労働省が全国集計する性質のものではない。
大量離職通知制度が適正に運用されているか、ということであれば、何らかの方法を考えてみたい。

以上

 

資料2 大量離職通知にかかわる厚生労働省との懇談経過について

 

2023年2月6日

厚労省懇談で、大量離職通知の対象者は「会計年度任用職員全員が対象となる」との回答を得た。

→各方面に周知し、組合交渉等でも当局に提出を促すなどに活用

2月28日

東京労働局への訪問で、厚労省から「公募対象者」とメール通知があったことを確認。当日、厚労省担当者に「全員が対象ではなかったか」と電話確認したところ、「説明が上手くなく認識の違い」と回答があった。

→対象者について「認識の違い」と回答されたままでは、誤解を招きかねないため再度の懇談会を大河原議員に設定してもらった。

3月15日

厚労省担当者と「会計年度任用職員の任用が毎年切れるということなので、会計年度任用職員全員が離職者として対象となる」、「更新であれば対象とならない」の2点を再確認した。また、2022年11月の各自治体への通知内容と、2023年2月の各労働局への通知メールの提供を依頼し了承された。

3月19日

この懇談会要旨を作成し、20日に厚労省に提出し確認を求めた。

3月23日

厚労省から届いたいくつかの修正の中に、「離職する会計年度任用職員全員が対象となる」と、冒頭に「離職する」が加わえられたものがあった。また、文書提供は決済中との返事があった。

3月24日

3月15日の懇談で、2月6日に「全員が対象」との回答があったことを再確認したにもかかわらず、あえて「離職する」を追加したことについて質問を行った。

4月4日

厚労省から人事異動により担当者が変わったこと、質問の回答について大河原議員に説明があった。議員からは「直接はむねっとに連絡するよう」厚労省の新担当者に依頼した。

4月5日

厚労省新担当者から電話を受けた。厚労省からは、懇談会の後「離職者」の整理を行い、本当に離職する(離職が確定した)方について提出、全国すべてについて把握するのは負担が大きい等の説明を受けた。渡辺からは、厚労省の見解が「全員」から「離職確定者」に代わった(懇談会で確認した内容が変わった)ということなら、あくまで懇談会の要旨なので、その後変更があったということが明らかになるようにしてほしい旨伝え、懇談会参加メンバーとも諮り改めて電話することとした。

4月6日

渡辺から、厚労省担当者に電話。厚労省からは、「5月までには総務省を通じ通知を予定している。懇談会要旨を「全員」で確定すると、現場が混乱する」等の返事があった。渡辺からは、離職確定者にすると「3月に入ってから公募という例もあり、再就職支援が間に合わない」、「公募に応募せず辞めた人が自己都合退職と扱われ、対象から外されるのではないか」等の実情を話し、要旨の確定と約束された文書の受け取りのため、直接会ってお話したい旨を伝え、7日の電話を約した。

4月7日

厚労省担当者から、電話を受けた。

・懇談会要旨については、皆さんの団体の意向で公表されることは構わない。

・今回の「離職者」の整理は、「期間満了による離職者」のうち、公募を受けて再度の任用となった人は含まないということ。(後段の詳細説明の①②参照)

・11月に労働局に通知した文書は提供する。今年2月の労働局担当者へのメールについては提供について精査中。

 

(厚労省からの説明を含むやり取り内容詳細)

① 「離職」という考え方を整理した。

要旨の<確認事項>1-①「会計年度任用職員全員が対象となる」の冒頭に「離職する」を追加したのは、1-②-b)の「例えば3年の期間が首長の裁量として設定できるのであれば、その間は更新で離職とはならない」との整合性で入れた。

② 「公募に応募せず辞めた人が自己都合退職と扱われ、対象から外されるのではないか」については、「雇用期間満了による離職者」にあたるので、元々報告の対象となっている。

厚労省ホームページの「対象となる離職者の属性」の表に「雇用期間満了による離職者は対象(ただし6ヶ月以内の雇用期間満了者のものは対象とならない)」とある。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/other36/index.html

③ その上で、要旨の確定だが、団体の意向で公表される内容なので、厚労省がとやかく言う筋合いではない。①の意味で厚労省として「離職する」を追加したということなので、削除して公表してもらって構わない。

④ ハローワークの支援体制を整えるためにも、1か月前には大量離職通知を届けるよう、総務省を通じて各自治体に通知するよう調整中。(30人未満についても、把握するよう、別途働きかけたい)通知は、4~5月に発出予定。

⑤ 電話では意思疎通も難しいので、意見交換会の開催について要望したところ、「現在、総務省等と調整中でもあり、即答できないが早めに開催できるよう調整する。また、文書提供も含め、随時必要な連絡を行う。」との返答だった。

 

以上

 

 

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2022年度反貧困ネット北海道連続学習会の記録

第1回 川村雅則「自治体の新たな非正規公務員制度問題(2022年度反貧困ネット北海道連続学習会)」

同上  神代知花子「石狩市の非正規公務員問題と問題解決に向けた議員活動(2022年度反貧困ネット北海道連続学習会)」

第3回 吉田雅人「会計年度任用職員制度導入後の実態(2022年度反貧困ネット北海道連続学習会)」

第4回 川村雅則「会計年度任用職員制度の公募制問題と、総務省調査にみる北海道及び道内35市の公募制導入状況」

同上  坂本勇治「根室市の会計年度任用職員制度と労働組合の取り組み(2022年度反貧困ネット北海道連続学習会)」

 

 

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