山下弘之「緊急レポート:総務省『新通知』、厚生労働省『大量離職通知書』を活かす」

2022年11月から12月にかけて、会計年度任用職員制度をめぐる大きな動きがあった。

一つ目は、雇用不安をもたらしていた総務省事務処理マニュアルQ&A「再度の任用」部分を修正・追加する通知を総務省が発出したこと。

二つ目は、厚生労働省が「一定期間内に相当数(30人以上)の職員が離職することとなる場合、離職する前に厚生労働大臣に対して『大量離職通知書』を提出することが義務付けられている」というリーフレットを作成、自治体に対して周知したこと。

これらについて簡単にレポートしたい。

 なお、2は、なくそう!官製ワーキングプア東京集会実行委員の安田真幸さんからのレポートです。

 

出所:総務省「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル(第2 版)の修正等について(令和4 年12 月23 日)」別紙2より。

 

 

1.総務省事務処理マニュアルQ&Aの修正・追加について

2022年12 月 23 日、総務省は自治体宛てに「会計年度任用職員制度の適正な運用等について」と「『会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル(第2版)』の修正等について」を通知・助言した。

注目したいのが後者である。

同通知「別紙2」では、事務処理マニュアルQ&Aにある【再度の任用】について、問6-2を次のように変更、問6-6を追加した。下線は筆者。

 

《変更》

問6-2 会計年度任用職員について、再度の任用が想定される場合であっても、必ず公募を実施する必要があるか。

○ 再度の任用が想定される場合の能力実証及び募集についても、各地方公共団体において、平等取扱いの原則及び成績主義を踏まえ、地域の実情等に応じつつ、適切に対応されたい。

○ なお、会計年度任用職員の採用に当たっては、任期ごとに客観的な能力実証を行うことが必要である。

○ また、選考においては公募を行うことが法律上必須ではないが、できる限り広く募集を行うことが望ましい。例えば、国の期間業務職員については、平等取扱いの原則及び成績主義を踏まえ、公募によらず従前の勤務実績に基づく能力の実証により再度の任用を行うことができるのは、同一の者について連続2回を限度とするよう努めるものとしている。その際の能力実証の方法については、面接及び従前の勤務実績に基づき適切に行う必要があるとされている。

 

《追加》

問6-6 各地方公共団体においては、問6-2に記載された、公募によらず従前の勤務実績に基づく能力の実証により再度の任用を行うことができるのは原則2回までとする国の取扱いと同じ取扱いをしなければならないか。

○ 具体の取扱いについては、各地方公共団体において、平等取扱いの原則及び成績主義を踏まえ、地域の実情等に応じつつ、適切に対応されたい。

 

総務省の事務処理マニュアルQ&Aで「国の期間業務職員」の取り扱いをわざわざ助言したことから、あたかも「公募によらず再度の任用ができるのは、2回(3年)まで」が制度上必須であると思い込まされた(思い込んだ)自治体の多くが、今までの運用を改悪、会計年度任用職員数十万人が公募・選別にさらされる事態になった。

これら3年目から4年目に向かう会計年度任用職員の来年度への「再度の任用」をめぐって、雇用・生活不安や運用改悪への反発、公共サービス継続への危惧などを労働団体はじめ様々な団体やマスコミなどが取り上げ、国会でも追及されてきた。

なくそう官製ワーキングプア東京集会実行委員会有志による総務省・厚労省・男女共同参画局との懇談会や公務非正規女性全国ネットワーク(通称:はむねっと)の緊急院内対話集会なども展開されてきた。

これらの動きを受けた総務省が事務処理マニュアルQ&Aを修正・追加して責任回避したものと思われる。

「平等取扱いの原則及び成績主義を踏まえ、地域の実情等に応じつつ、適切に対応されたい」という回答自体は総務省が一貫して述べてきたものだが、「国の取扱いと同じ取扱いをしなければならないか」との「問」を追加させて、その回答に「地域の実情等に応じつつ、適切に対応されたい」と明確にした。要するに「イヤイヤ、2回(3年)なんて助言していませんよ。国の期間業務職員の例を紹介しただけで、あとは自治体で考えてね」としたわけだ。

いずれにしても、自治体に責任が押し付けられたことは明らかである。

自治体交渉での「事務処理マニュアルの修正・追加」通知の積極的活用が期待される。

 

◆詳しくは、以下の総務省HP 会計年度任用職員制度等 通知等 をご覧ください。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/koumuin_seido/kaikeinendo_ninyou.html

関連の掲載記事は、以下の二つです。特に、「『会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル(第2版)』の修正等について」の「別紙2」P21~23をぜひ御参照ください。

・ 会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知)(令和4年12月23日総行公第151号・総行給第84号) 別添1(概要) 別添2(詳細) 別添3 参考1(集計表)

・ 会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル(第2版)の修正等について(令和4年12月23日総行公第148号・総行給第82号・総行福第358号・総行安第49号) 別紙1 別紙2 別紙3 別紙4-1 別紙4-2

 

 

2.厚生労働省による「大量離職通知書」提出義務の自治体周知について

山下弘之さんから、「総務省新通知が出された」との一報を受けて、久しぶりに厚労省ホームページをチェックしてみました。

「再就職援助計画」と「大量離職届・大量離職通知」のページが新しくなっていました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/other36/index.html

 

① 新たに、通知書の様式とパンフレットとが掲載されていました。

上記の新しくなったページの下の方に、以下の案内があります。

・「大量離職届・大量離職通知書」様式ダウンロード

・<国または地方公共団体の方へ>

・離職する職員の再就職のために~「大量離職通知書」について~[PDF形式:871KB]

 

② 特に国・自治体向けリーフレットは初めて見るものなので、厚労省職安局に電話して聞いてみました。

・「昨年11月頃にリーフレットを作成した」、「書式を「大量離職通知書」としたのは省令の規定に従ったもの」とのことでした。

・自治体への周知についても、「厚労省のシステムを介して全国の自治体にお知らせしてある」、「都道府県労働局からも各自治体に通知するよう指示している」とのことでした。

 

厚労省として、いろいろと検討していたことがわかりました。

「3年公募制」などにより多数の離職者が生まれることは、「1ヶ月前までに届け出なければならない」ほど、地域の雇用に大きな影響を与えることなのです。このことを国・自治体の人事担当者に認識させていくことが重要です。

「公募制」をやめさせるために活用していきたいですし、「離職者には「再就職の援助」を行うことが雇用主の義務である」ことを国・自治体に徹底させていきたいものです。

 

 

山下弘之さんの投稿記事

安田真幸さんの投稿記事

NPO法人官製ワーキングプア研究会「会計年度任用職員に対する「3年目公募」の中止を通知してください」

NPO法人官製ワーキングプア研究会「首長の皆さん、議員の皆さんへのメッセージ(2022年9月)」

川村雅則「北海道及び道内市町村で働く624人の会計年度任用職員の声(2022年度 北海道・非正規公務員調査 中間報告)」

 

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