川村雅則「(シリーズ)自治体議員に聞く、なくそう!官製ワーキングプア(1)神代知加子さんに聞く」

地方自治体が提供するサービス(公共サービス)を担う人たちが雇用・生活問題に直面しています。いわゆる官製ワーキングプア問題です。この問題の解決のためには、自治体の労働組合の力はもちろんですが、議員の力が欠かせない、と考えます。総務省調べによれば、2021年12月31日現在の北海道における地方議会議員の人数は、合計で2351人(内訳は、道議会議員99人、市議会議員709人、町村議会議員1543人)です。問題の解決にご奮闘されている議員からお話を伺い「教材」化することを試みたいと思います。

ご登場いただくお一人目は、この間、なくそう!官製ワーキングプア北海道集会でご報告いただくなど、我々と交流のあった、神代知花子(くましろちかこ)石狩市議会議員(以下、くましろさん)です。

本稿は、2022年4月10日にオンラインで行ったくましろさんからの聞き取りと、くましろさんからご提供いただいた資料そして関係する石狩市の条例・規則などをあわせて整理しました。前半で石狩市の会計年度任用職員制度の概略をまとめ、後半では、くましろさんの議会での取り組みをまとめました。整理した内容はくましろさんにご確認いただいていますが、残っているかもしれない誤りは、筆者の責任によるものです。誤字脱字や内容上の軽微な誤りなどをみつけましたらその都度訂正をしていきます。大きな訂正を行いましたら注記します。どうぞお読みください。

 

出所:『いしかり市議会だより』第198号(2019年5月1日発行。発行:石狩市議会発行、編集:議会広報編集委員会)より転載。

 

 

石狩市の会計年度任用職員制度

石狩市の非正規公務員数、職種

川村:今日はよろしくお願いします。

さっそくですが、全国の自治体等を対象に総務省が2020年に行った調査(以下、総務省2020調査)[1]から石狩市のデータを抜き出してみました。2020年4月1日が基準日です。

 

表1 石狩市の非正規公務員数及び非正規公務員割合

非正規職員(人) 正職員(人) 非正規職員割合(%)
合計 短期間・短時間勤務者を除く 合計 合計 短期間・短時間勤務者を除く
石狩市 254 207 457 35.7 31.2

出所:総務省2020調査と総務省「地方公共団体定員管理調査」より筆者作成。

 

表1のとおり、非正規職員は254人、そのうち短期間・短時間勤務者を除くと207人です。正職員は合計で457人ですから、非正規職員割合は、前者を使うと35.7%、後者でも31.2%です。

非正規職員の内訳は、会計年度任用職員が251人、特別職非常勤職員が3人、臨時的任用職員が0人です。

会計年度任用職員251人の男女別の内訳は、男性が70人、女性が181人。女性割合が72.1%です。

 

表2 職種別にみた石狩市の非正規公務員数

合計 一般事務職員 技術職員 医師 医療技術員 看護師等 保育士等 給食調理員 技能労務職員 教員・講師 図書館職員 その他
うち事務補助職員 うち看護師 うち保健師 うち保育所保育士 うち清掃作業員 うち義務教育 うち義務教育以外 うち生活相談員 うち放課後児童支援員
人数(人) 251 101 61 1 0 7 12 6 6 4 0 5 44 6 4 4 0 24 49 2 0
割合(%) 100.0 40.2 24.3 0.4 0.0 2.8 4.8 2.4 2.4 1.6 0.0 2.0 17.5 2.4 1.6 1.6 0.0 9.6 19.5 0.8 0.0

出所:総務省2020調査より筆者作成。

 

職種別の人数は表2のとおりで、「一般事務職員」への分類が101人と多くを占めている(そのうち事務補助職員が61人)ほか、「その他」が49人、「技能労務職員」が44人と続いています。図書館職員も24人と1割ほどを占めています。

 

表3 会計年度任用職員の職種名称、人数(合計、男女別)、配置所属

職種名称 人数 性別 配置所属
事務補助員 41 37 4 総務課、行政管理課、契約課、企画課、秘書広報課、企業連携推進課、農政課、林業水産課、税務課、納税課、環境課、福祉総務課、障がい福祉課、高齢者支援課、地域包括ケア課、子ども家庭課、保健推進 課、新型コロナウイルス感染症対策課、国民健康保険課、都市整備課、水道営業課、下水道課、会計課、厚田支所地域振興課、浜益支所地域振興課、総務企画課、文化財課、市民図書館、議会事務局
軽作業員 7 5 2 聚富保育園、はまます保育園、厚田支所地域振興課、厚田支所市民福祉課、浜益支所市民福祉課
賦課徴収嘱託員(国・道税徴収経験有) 5 0 5 納税課
賦課徴収嘱託員(国・道税徴収経験無) 5 4 1 納税課
使用料・保険料等徴収嘱託員 3 3 0 建築住宅課、水道営業課
窓口業務専任職員 27 22 5 総務課、企画課、商工労働観光課、税務課、広聴・市民生活課、市民課、障がい福祉課、高齢者支援課、国民健康保険課、会計課、厚田支所市民福祉課
消費生活相談員 2 2 0 消費生活センター
介護相談員 1 1 0 高齢者支援課
家庭生活支援相談員 3 1 2 福祉総務課
生活保護面接相談員 1 0 1 福祉総務課
生活保護就労支援員 1 0 1 福祉総務課
家庭児童相談員 2 2 0 子ども相談センター
母子・父子自立支援員 2 2 0 子ども相談センター
子ども発達支援センター相談支援専門員 2 2 0 子ども発達支援センター
子ども発達支援センター指導員 4 4 0 子ども発達支援センター
保育士 5 5 0 聚富保育園、厚田保育園、はまます保育園
専任手話通訳者・要約筆記者 3 3 0 障がい福祉課
保健師 2 2 0 保健推進課
保健指導員 4 4 0 保健推進課
介護事業所指導嘱託員 1 1 0 高齢者支援課
看護師 4 4 0 保健推進課、浜益国民健康保険診療所
栄養士 1 1 0 学校給食センター
管理栄養士 1 1 0 子ども家庭課
農業経営アドバイザー 1 0 1 農政課
子育てコンシェルジュ 2 2 0 子ども政策課
生活支援コーディネーター 1 1 0 浜益支所市民福祉課
公共土木施設等管理指導員 1 0 1 下水道課
防災・施設維持管理業務員 1 0 1 厚田支所地域振興課
庁舎・施設維持管理業務員 1 0 1 浜益支所地域振興課
海浜植物等保護地区監視員 1 0 1 石狩浜海浜植物保護センター
医事業務員 1 1 0 浜益国民健康保険診療所
医事・調剤業務員 3 3 0 浜益国民健康保険診療所
調理員 5 5 0 厚田保育園、浜益国民健康保険診療所
歯科衛生士 4 4 0 保健推進課
海浜植物保護センター専門員 1 1 0 石狩浜海浜植物保護センター
海浜植物保護センター補助員 1 0 1 石狩浜海浜植物保護センター
健診医 7 2 5 保健推進課、聚富保育園、厚田保育園、浜益支所市民福祉課
内部公益通報外部窓口員 1 0 1 行政管理課
地域おこし協力隊員 4 1 3 厚田支所地域振興課、浜益支所地域振興課
家庭児童相談ケースアドバイザー 1 1 0 子ども相談センター
診療所放射線診療室長 1 0 1 浜益国民健康保険診療所庶務課
庁舎管理人 8 0 8 総務課
学校教育主事 2 0 2 学校教育課
教育支援主事 2 0 2 教育支援課
学校事務生 14 14 0 総務企画課、厚田生涯学習課
エキスパートサポーター 5 0 5 学校教育課
ICT支援員 1 0 1 学校教育課
生涯学習推進アドバイザー 1 1 0 社会教育課
青少年育成支援アドバイザー 3 2 1 教育支援課
特別支援教育相談員 2 2 0 教育支援課
司書 21 20 1 市民図書館
司書補 4 4 0 厚田生涯学習課、浜益生涯学習課
スクールソーシャルワーカー 3 3 0 教育支援課
学校公務補 23 0 23 総務企画課、厚田生涯学習課
学校公務補兼運転技術員 2 0 2 浜益生涯学習課
英語指導助手 2 2 0 総務企画課、厚田生涯学習課
カウンセラー 1 0 1 教育支援課
合計 258 175 83

出所:石狩市作成資料(くましろさん提供)。

 

くましろ:会計年度任用職員の細かい職種一覧と、人数、そして、職員のそれぞれがどこに配置されているかをまとめた資料があります(表3)。2021年4月1日時点のデータです。

 

川村:ありがとうございます。これは具体的な職種が分かって貴重ですね。

 

5年公募制が採用された石狩市会計年度任用職員

 

川村:会計年度任用職員制度は、民間の非正規雇用制度に比べても雇用(任用)の不安定さが特徴です。石狩市では、公募制は5年おきに行われるのでしたよね。

 

第2条 会計年度任用職員は、職務の遂行に必要な知識及び技能を有する者のうちから、選考により任命権者が任用する。

2 前項の選考は、公募によるものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、公募によらないことができる。

(1) 前年度に設置されていた職種又は当年度に設置されている職種に任用されていた者を当該職種と同一と認められる職種に従事する者として任用の選考の対象とする場合において、面接、当該職種におけるその者の勤務実績等に基づき、能力の実証を行うことができると任命権者が認める場合

(2) おおむね3か月未満で完了する業務に係る職種の者を任用する場合

3 前項ただし書の規定による公募によらない選考の実施は、任用しようとする会計年度任用職員の事務を主管する部長(以下「主管部長」という。)が決定する。

4 第2項第1号に該当する場合における公募によらない任用(次項において「公募によらない再度任用」という。)は、4回を上限とする。

5 公募によらない再度任用は、次に掲げる要件のいずれにも該当する者について行うことができる。

出所:石狩市会計年度任用職員の任用等に関する規則より転載。

 

くましろ:はい。5年公募制です。

 

川村: 3年公募制であれば、2022年度末に向けた、雇い止めを許さない取り組みの準備が今すぐ必要になりますが、5年公募制であればまだ時間的な余裕はありますから、他の自治体の経験なども踏まえて議会で取り上げていくことができますね。

ちなみに、20年度から21年度、あるいは、21年度から22年度に切り替わる際に、雇い止めにあった方はおられるのですか。

 

くましろ:その点については、職員課で把握、集約がされていないのです。何人の人数枠で求人をかけるのか、ということしか集約がされておらず、雇い止めなどの情報は各所管任せになっています。

ただ、5年を超える職員が何人いるか、ということについては情報を調べたようです。つまり、5年を超えてもなお同じ人が継続で働いているというケースが何人いるか、という情報ですね。270人中55人ぐらいいる、と言っていました。

 

川村:なるほど。今のは、会計年度任用職員以前の勤務も含めてですね。

 

くましろ:はい。

 

川村:そもそも、会計年度任用職員制度が導入される際には、公募が行われたのでしたか?

 

くましろ:そうなんです。まず、制度導入の際に一律で公募が実施されました。それまで働いていた職員の方々も、一律で公募に応募をすることになりました。

但し、職員のそれまでの勤務経験はゼロにはせず、公募に合格さえすれば、例えば○年働いていた人の経験は、その後も引き継がれるというかたちになりました。この点は、制度導入前に議会で確認をしました。

また従来は、経験がまったく評価されていませんでしたが、会計年度任用職員制度の導入にあわせて、勤務経験(年数)が給与に反映される制度(以下、経験給制度)[2]も新たにできましたので、この点はよかったと思います。

 

川村:なるほど。会計年度任用職員制度が導入されるときには一律で公募制が採用されたけれども、過去の勤務経験は継続して評価の対象になることが確認された、そして、5年目でまた公募をクリアすれば働き続けることは可能である、というわけですね。公募制で、総務省が助言する3年より長い年数が確保されている点は評価できますね。

 

短い勤続期間での離職の理由

川村:先ほど、5年超が55人とのことでしたが、これはいつの数値ですか。

 

くましろ:今年の3月議会の答弁ですから、2022年3月現在のデータです。

 

川村:55人というのは少ない印象です。ご本人の希望で5年ないし5年以内で辞められたのか、それとも、2020年度の制度導入時に落ちてしまったのかは分かりませんが、勤続5年超が全体の約5分の1とは少なくないでしょうか。

 

くましろ:もしかしたら制度導入時に落とされたり、あきらめて受けなかった方もいるかもしれませんが、そこは調べられていないです。

 

川村:なるほど。いずれにせよ、5年公募制ですから、今後は、不合理な理由で落とされるケースが出ないようにチェックをしていくことがさしあたりの課題ですね。

ちなみに、公募制は職種による違いはありますか。例えば、人手の確保が難しいから、といった理由で5年公募制を経ずとも継続で雇われることが可能な職種の存在ですね。

 

くましろ:職種による違いはあるのですが、今ご指摘された内容と逆で、5年ではなく、毎年、公募制を採用している職種もあるんです。同じ人を継続で雇う意思はあるのに、毎年公募をかけているんですね。そういう事例があることを、とある部の課長と話しているときにたまたま知りまして、そのことを議会でも取り上げました。不要な公募をわざわざ採用する必要はないことが各担当課に周知されているのか確認をしてください、と。

 

川村:そうなのですか。ちなみに、今取り上げたケースでは、なぜ毎年公募がされているのですか。

 

くましろ:これまでもそうだったから、というのが課長の回答でした。

結局、採用機会の平等性という点でこれまでそうしてきたのを継続していることなのではないかと思います。平等性を確保しているということを形だけでも示す必要がある、と思っておられるのかもしれません。

 

川村:勤務実績に基づく能力実証が認められているのにおかしな話ですね。

 

くましろ:この件を知ったのは本当に偶然で、私が知っている職員さんの職に関する公募が出ていたので、「あの方、辞められるんですか」と課長に聞いたら、いえ、公募を出すだけですと、回答されまして。

 

川村:なるほど。石狩市だけが特殊なことをしているわけではありませんが、厳しい採用試験をくぐりぬけてきた正職員の自分たちとは違って非正規公務員はそのような制度設計でもおかしくない、むしろ、そのような制度が必要である、とでも思われているのでしょうかね。こうした作業に正職員の労力が使われている、という点でも、私には違和感がありますが[3]

 

くましろ:ちなみに、5年超の職員数の人数を洗い出すことは何も特殊な作業は要らないと思います。というのも、職員に経験給を支給しているわけですから、その情報を使えばよいのではないでしょうか。

 

川村:あぁ、なるほどそのとおりですよね。

自らの意思で辞めているのかどうかはさておき、まずは会計年度任用職員の勤続年数の整理をした上で、なぜこのような年数分布になるのか──例えば、短い年数で離職をしている職員が多いのはなぜか、などが検証されるとよいですね。

 

勤務時間と給与制度

川村:石狩市では、会計年度任用職員の勤務時間数はどうなっていますか。

 

くましろ:フルタイムが38時間45分で、パートタイムが週29時間です。ほとんどの方が29時間で設定されていますが、一部の職種では、極端に短い時間に設定されています。それは仕事内容によるものですね。

ちなみに、週20時間以上の勤務で社会保険の適用になります。

 

川村:会計年度任用職員の賃金について教えていただけますか。

 

表4 会計年度任用職員及び正職員の賃金に関する総括表(2021年度予算ベース)/単位:万円

職員数(人) 給与費 共済費 合計
報酬 給料 職員手当等
会計年度任用職員 合計 223 40,059 0 6,722 46,780 7,165 53,946
1人当たり 180 0 30 210 32 242
(参考)正職員 合計 428 0 160,266 97,934 285,200 57,256 315,456
1人当たり 0 374 229 666 134 737

注1:単位は、千円から万円に変更。
注2:正職員428人のうち28人は再任用短時間勤務職員。
出所:石狩市作成資料(「令和4(2022)年度 予算委員会予算説明書」。くましろさん提供)より筆者作成。

 

くましろ:まずこちらの表4が総括表になります。今年の3月の予算委員会で配布された「令和4(2022)年度 予算委員会予算説明書」内の数値です。正職員と会計年度任用職員で分けて整理されています。

会計年度任用職員の1人当たりの数値でみると、基本となる報酬は180万円、表では「職員手当等」に分類された一時金が30万円で、年収は合計で約210万円になります。

 

川村:経済的な自立は困難な収入水準ですね。

賃金制度はどうなっているのですか。

 

くましろ:各職種とも、「職種別基準表」のいずれかに位置づけられていて、「基礎号俸」と上限の号俸(「上限号俸」)とが定められています。例えば、事務補助員であれば1級1号俸が基礎号俸で、上限は1級の13号俸ということになります。また、具体的な金額には、行政職給料表が使われています。

 

(給料及び基本報酬)
第3条 フルタイム会計年度任用職員の給料の額は、月額で定めるものとし、石狩市職員の給与に関する条例(昭和41年条例第20号。以下「給与条例」という。)の適用を受ける職員として給与条例第6条第1項の規定を適用した場合にその者に適用される給料表の2級における最高の号俸の給料月額を超えない範囲内において、その職務の複雑、困難及び責任の度に基づき、給与条例の適用を受ける職員との権衡及び職務の特殊性を考慮して、規則で定めるところにより決定する。
2 パートタイム会計年度任用職員の基本報酬の額は、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める額とする。
(1) 月額で定める場合 同一の職務に従事させるフルタイム会計年度任用職員として任用した場合における前項の規定により決定された給料月額(以下次号及び第3号において「基準月額」という。)に、当該パートタイム会計年度任用職員について定められた1週間当たりの勤務時間を38時間45分で除したものを乗じて得た額
(2) 日額で定める場合 〔略〕
(3) 時間額(時間を単位とする額をいう。以下同じ。)で定める場合 〔略〕

出所:石狩市会計年度任用職員の給与等に関する条例より。

 

川村:なるほど。

基準表は、「石狩市会計年度任用職員の給与の決定及び支給等に関する規則」に記載されたもの(表5-1)と、「石狩市教育委員会会計年度任用職員の任用、給与、勤務時間、休暇等に関する規則」に記載されたもの(表5-2)ですね。

行政職給料表は、会計年度任用職員は1級の配置が多いようですから、1級の号俸と給料月額だけを取り出してみました(表6)。

 

表5-1 職種別基準表

職種 学歴免許等 基礎号俸 上限号俸
職務の級 号俸 職務の級 号俸
事務補助員 高校卒 1 1 1 13
軽作業員 高校卒 1 1 1 13
賦課徴収嘱託員(国・道税徴収経験あり) 大学卒 1 25 2 47
賦課徴収嘱託員(国・道税徴収経験なし) 高校卒 1 1 1 47
税務窓口相談員 高校卒 1 1 1 22
使用料・保険料等徴収嘱託員 高校卒 1 1 1 47
窓口業務専任職員 高校卒 1 1 1 37
消費生活相談員 大学卒 1 25 1 47
事務員(東京事務所) 高校卒 1 1 1 81
介護相談員 大学卒 1 25 1 92
家庭生活支援相談員 大学卒 1 25 1 42
生活保護面接相談員 大学卒 1 25 1 81
生活保護就労支援員 大学卒 1 25 1 37
家庭児童相談員 大学卒 1 25 1 37
母子・父子自立支援員 大学卒 1 25 1 37
子ども発達支援センター相談支援専門員 大学卒 1 25 1 37
子ども発達支援センター指導員 大学卒 1 25 1 37
保育士 短大卒 1 15 1 37
専任手話通訳者・要約筆記者 大学卒 1 25 2 64
保健師 大学卒 1 25 2 38
保健指導員 大学卒 1 25 2 38
介護事業所指導嘱託員 大学卒 1 25 1 67
看護師 大学卒 1 25 1 55
看護師兼機能訓練指導員 大学卒 1 25 1 37
栄養士 高校卒 1 1 1 28
管理栄養士 短大卒 1 15 1 37
就業アドバイザー 高校卒 1 1 1 13
農業経営アドバイザー 大学卒 1 25 2 68
土地専門員 大学卒 1 25 1 67
子育てコンシェルジュ 大学卒 1 25 1 37
生活支援コーディネーター 大学卒 1 25 1 37
運転業務員 高校卒 1 1 1 47
公共土木施設等管理指導員 高校卒 1 1 1 37
防災・施設維持管理業務員 高校卒 1 1 1 37
庁舎・施設維持管理業務員 高校卒 1 1 1 35
海浜植物等保護地区監視員 高校卒 1 1 1 22
医事業務員 高校卒 1 1 1 13
医事・調剤業務員 高校卒 1 1 1 22
診療所調理員 高校卒 1 1 1 19
歯科衛生士 高校卒 1 1 1 13
海浜植物保護センター専門員 大学卒 1 25 1 81
海浜植物保護センター補助員 高校卒 1 1 1 22
検診介助員 高校卒 1 1 1 13
除雪作業員(氷柱除雪作業員) 高校卒 1 1 1 75
牧野従事作業員 高校卒 1 1 1 93

出所:石狩市会計年度任用職員の給与の決定及び支給等に関する規則より。

 

表5-2 職種別基準表(教育委員会)

職種 学歴免許等 基礎号俸 上限号俸
職務の級 号俸 職務の級 号俸
事務補助員 高校卒 1 1 1 13
軽作業員 高校卒 1 1 1 13
学校教育主事 大学卒 1 25 1 53
教育支援主事 大学卒 1 25 1 53
学校事務生 高校卒 1 1 1 5
栄養士 高校卒 1 1 1 28
管理栄養士 短大卒 1 15 1 37
エキスパートサポーター 大学卒 1 25 1 37
ICT支援員 高校卒 1 1 1 37
生涯学習推進アドバイザー 大学卒 1 25 1 37
青少年育成支援アドバイザー 大学卒 1 25 1 37
特別支援教育相談員 大学卒 1 25 1 37
司書 短大卒 1 15 1 37
司書補 高校卒 1 1 1 18
スクールソーシャルワーカー 大学卒 1 25 1 67
学校公務補 高校卒 1 1 1 37
学校公務補兼運転技術員 高校卒 1 1 1 45
資料館管理人 高校卒 1 1 1 18
検診介助員 高校卒 1 1 1 13
除雪作業員(氷柱除雪作業員) 高校卒 1 1 1 75

出所:石狩市教育委員会会計年度任用職員の任用、給与、勤務時間、休暇等に関する規則より。

 

表6 行政職給料表(1級の号俸と給料月額)/単位:円

号俸 給料月額 号俸 給料月額 号俸 給料月額
1 146,100 31 192,200 61 226,800
2 147,200 32 193,900 62 227,800
3 148,400 33 195,500 63 228,600
4 149,500 34 196,900 64 229,400
5 150,600 35 198,400 65 230,100
6 151,700 36 199,900 66 230,800
7 152,800 37 201,200 67 231,700
8 153,900 38 202,500 68 232,700
9 154,900 39 203,700 69 233,400
10 156,300 40 205,000 70 234,000
11 157,600 41 206,300 71 234,500
12 158,900 42 207,600 72 235,200
13 160,100 43 208,900 73 236,000
14 161,600 44 210,200 74 236,600
15 163,100 45 211,300 75 237,200
16 164,700 46 212,600 76 237,700
17 165,900 47 213,900 77 238,400
18 167,400 48 215,200 78 239,100
19 168,900 49 216,300 79 239,800
20 170,400 50 217,400 80 240,300
21 171,700 51 218,400 81 240,800
22 174,400 52 219,500 82 241,500
23 177,000 53 220,600 83 242,200
24 179,600 54 221,600 84 242,900
25 182,200 55 222,500 85 243,500
26 183,900 56 223,500 86 244,200
27 185,500 57 223,800 87 244,900
28 187,200 58 224,600 88 245,600
29 188,700 59 225,400 89 246,100
30 190,400 60 226,100 90 246,600
91 246,900
92 247,300
93 247,600

出所:石狩市職員の給与に関する条例より。

 

川村:表5-1にあげられた45の職種について集計をしてみますと、基礎号俸は、45職種のうち全てが1級に位置づけられていて、号俸は、1号が22件、15号俸が2件、25号俸が21件ですね。金額は、146100円、163100円、182200円。以上はフルタイムの場合ですから、週29時間勤務の場合には、4分の3を乗じた数値になり、約11万円、約12.2万円、約13.7万円です。

上限の最高額は、「農業経営アドバイザー」2級の68号俸、28万4千円です。人数の多い事務補助員は1級13号俸止まりですから、160100円で、4分の3を乗じると、約12万円ですね。また私が関心ある保育士は1級37号俸、201200円まで。同じく司書も1級37号俸までですね。いずれも、4分の3を乗じると約15万1千円ですね。

 

くましろ:議会でも強調していることですが、会計年度任用職員の賃金水準や昇給上限の引上げが必要です。

 

休暇制度と育児休業

表7 会計年度任用職員に対する休暇制度の「有給」対応割合

国の非常勤職員に整備されている「有給」の休暇 団体数 割合 国の非常勤職員に整備されている「無給」の休暇 団体数 割合
公民権行使 790 99.4% 産前 17 2.1%
官公署出頭 788 99.1% 産後 16 2.0%
現住居の滅失等 765 96.2% 保育時間 60 7.5%
出勤困難 784 98.6% 子の看護 164 20.6%
退勤途上の危険回避 710 89.3% 短期介護 106 13.3%
忌引 794 99.9% 介護休暇 6 0.8%
結婚 774 97.4% 介護時間 7 0.9%
夏季 769 96.7% 生理日の就業困難 93 11.7%
妊娠疾病 90 11.3%
公務上の傷病 174 21.9%
私傷病 163 20.5%
骨髄等ドナー 87 10.9%

注:数値は「有給」で対応している団体数。「有給」のほかは、「無給」と「措置なし」。「措置なし」はわずかである(但し、「退勤途上の危険回避」では「措置なし」は10.4%)。
出所:総務省2020調査から筆者作成。

 

川村:休暇制度についてお伺いします。

その前に表7は、総務省2020調査から作成したもので、年次有給休暇以外の休暇の取り扱いに対する市区(回答団体数795件)からの回答です。全国的には、国の非正規公務員の制度にあわせた対応がとられたようですが、石狩市でもやはり同様でしょうか。

 

くましろ:休暇制度については、国の非正規公務員よりも進んでいた部分については、後退しないようにした、と市からは回答をもらっています。例えば、生理休暇や子の看護休暇、有給病気休暇などです。

 

川村:石狩市の状況は、「石狩市会計年度任用職員の勤務時間、休暇等に関する規則」に掲載されていますね(表8)。

 

表8 石狩市の会計年度任用職員の「有給」で処理されている休暇

1 公民権行使休暇 6 忌引休暇 11 感染症休暇
2 官公署出頭休暇 7 妊産婦通院休暇 12 災害休暇
3 結婚休暇 8 妊娠障害休暇 13 災害時出勤困難休暇
4 生理休暇 9 妊娠通勤緩和休暇 14 災害時退勤休暇
5 子の看護休暇 10 夏季休暇 15 有給病気休暇

備考
1 本表第3項及び第6項に掲げる場合で遠隔地に赴くときは、期間の欄の日数に旅行のために要する日数を加算することができる。
2 特別休暇(本表各項(第10項を除く。)に掲げる場合における休暇をいう。)の期間が週休日又は休日若しくは代休日に当たるときは、その日は当該特別休暇の期間に含めるものとする。
3 本表第4項及び第8項の休暇の単位は1日又は1時間とし、同表第5項及び第15項の休暇の単位は1日、1時間又は15分とする。
一部改正〔令和3年規則17号〕
出所:石狩市会計年度任用職員の勤務時間、休暇等に関する規則より(項目と備考のみ転載)。

 

くましろ:はい。また、追加情報となりますが、第一に、今年の3月議会には、国の制度改定[4]をうけて、非常勤職員の育児休業等の取得要件の緩和の条例改正が行われています。それまでは1年以上の在任期間が要件でしたが、撤廃となりました。

第二に、同じく今年3月の令和4年度予算委員会で、休暇に関する質疑で、次のような市からの回答を得ています。

 

「年次有給休暇の取得単位は、以前から正職員同様、一日1時間または15分単位として取得できる。不妊治療通院のための休暇は、1年度につき5日間、体外受精は10日間まで取得できる。取得しやすいよう名称希望があり、名称は「出生サポート休暇」とし、正職員とともに設立する。出産休暇については、これまで非正規職員は無給であったところ、有給に改正する。配偶者出産休暇、配偶者出産時育児休暇は、なかった。年度管理とすすめているので、4月1日を施行日として取り進めている。」

 

従来、非正規公務員の皆さんは、基本的には子どもを産む際に辞めていたと思うんですね。つまり、年度ごとの更新を繰り返すような働き方をする非正規公務員の皆さんは、出産時に育休の取得が可能であっても、多くは復職を諦めて辞職していたのではないかと思います。

(補足すると、従来の取得要件としては、1年以上の勤務実績があること。産後休暇翌日から、育休は最大1年間が支給可能。取得事例は、数件と聞いていました。)

しかし今回、令和3年度の3月議会で、非正規職員の育休の取得の要件となっていた、1年以上の勤務実績を撤廃したことにより、働き始めの年でも最大1年間(条件によってはそれ以上も)の育休を取得しやすくなったわけです。

 

川村:それは前進ですね。

 

くましろ:ただ一方で、正職員の場合には、育休を取得することで代替職員がすぐに配置されるのに対して、会計年度任用職員の場合には、そういう代わりの職員が配置されないんです。

 

川村:え? それでは残った職員の皆さんが困ると思うのですが。

 

くましろ:そうなんです。当事者の方は、休まれたら困るなという職場の空気の中で育児休業制度を使うことになりますから、それは問題である、ということで主張しています。

 

川村:育休は取ってもいいですよ、でも、あなたの仕事は残りの職員でこなしますよ、さあどうぞ、と言われて取得できるほど、メンタルの強い人はそういないのではないでしょうか。

 

くましろ:結局は、無言の圧力で辞めることになってしまうのではないかと危惧します。

 

川村:制度に加えて、実態を調べなければなりませんね。

 

くましろさんの議会活動・取り組み

 

石狩市の条例・規則に基づきながらくましろさんからヒアリング。

直近3年間の取り組み(資料)

川村:石狩市の会計年度任用職員制度の説明をしていただきました。ここからは、くましろさんの議会での活動などについてご紹介いただけますでしょうか。

 

くましろ:直近3年間ぐらいのものを時系列で準備しました。

令和元(2019)年度は、制度の導入にあたって。令和2(2020)年度は、制度導入後の状況や制度内容の確認など。そして令和3(2021)年度は、制度改定に向けた問題提起や今後の方針などを質問しています。

定例会以外では、総務常任委員会で確認などをしています。

令和元年度の9月議会のときには、職員組合との交渉が行われていたために制度内容がまだ決まっておらず、詳しい内容は聞けませんでした(資料1を参照)。

それが12月議会のときには、制度もかたまっていて(資料2を参照)、例えば、公募制の期間が3年ではなく、5年であることなどが組合の要求が通って決まっていました。

また働き方については、パートタイムではなくフルタイムの任用を求めましたが、結局、フルタイムで配置されることになった職種はゼロでした。後でもふれますが、全国的にも問題になっている退職金の支給を回避するためではないかと考えています[5]

会計年度任用制度開始後の適切な運用がなされているかという質問は、令和3年度の「令和2年度決算委員会」で確認しています(資料3を参照)。

また、令和4年1月20日には総務省から「会計年度任用職員制度の適正な運用等について」という通知が出されています。それぞれの項目について適切な運用がなされているか、また、今後の検討はどのようになされているかなどを令和4年度予算委員会で確認しています。

なお、令和2年度は、コロナ感染の状況がひどくなったために、それに関連した質問をすることになって、会計年度任用職員制度に関する細かな質問は出来ていないんですよ。

 

川村:なるほど。

 

パートタイム扱いへの疑問

くましろ:令和4年度予算委員会では、石狩市でも、勤務時間数をフルタイムより若干少なく設定することでパートタイム扱いにする職種がみられること、具体的には、「地域おこし協力隊」と、令和4年度から採用される「集落支援員」という職種で、このことを指摘しています。

彼らはタイムカードを朝に押して、仕事が終わってからまたタイムカードを押しに戻ってきます。正職員が8時45分から17時15分の勤務であるのに対して、彼らは、それよりは短いとはいえ、9時~17時の働き方なんです。「集落支援員」は、地域おこし協力隊と違って繰り返しの任用に制限もありません。

 

川村:石狩市の会計年度任用職員では、全員が週29時間にそろえられているのではなく、29時間を超えて働いている方もおられるのですね。そして、微妙な勤務時間数──このケースで言えば、1日30分だけ短く設定されている、それは退職金支給を回避するものではないか、というわけですね。

 

くましろ:そうなんです。これらの職は、他の自治体では、フルタイムで働いているケースもあります。厚田区、浜益区を選んで仕事に従事してくれても、結局、期間が終了したら退職金もないまま辞めて行かざるを得ない。次のビジョンも描けない雇い方に、人は来ません。

 

川村:なるほど。

 

制度の内容や水準におけるそもそもの問題

川村:会計年度任用職員制度が導入され、全体としてどのような状況にある、と整理できるでしょうか。市の側はどう回答されていますか。

 

くましろ:結局石狩市では、勤務時間が短くなった分だけ収入が減ったケースはあるものの、年2.6か月分の一時金が支給されることになったわけだから、収入全体でみれば改善されている、というのが市の認識なのです。

もちろんそれは事実ではあるのですが、そもそもの収入水準の低さや、職種に応じた賃金が支給されていない点や、さらに広げると、やはり任用期間が1年ごとであって雇い止めの不安が解消されていないことなど、そういった点は何もまだ着手されていないではないか、と私は考えています。

ですから、石狩市としては十分にやっている、と言われてもそれは違うでしょ、と言わざるを得ない。そもそも、扶養範囲の賃金で設定されている職はないのに、低賃金でいいという発想は許されないと私は一貫して主張しています。

会計年度任用職員制度が導入された今、職員を対象にしたアンケート調査を実施したい[6]ところなのですが、担当の職員課も非常に少ない人数で仕事をこなしており、大変そうなんですね。

この2年間は、職員のコロナ感染や相談業務対応、国家公務員の非正規職員に準ずる条例改正や、新規採用の確保に終始していて、会計年度任用職員の勤務実態の把握など、そういったところまでは手を広げられないのが実情なのかと。とはいえ、それで会計年度任用職員制度が抱える問題がいつまでもないがしろにされるのは、どうかと思いますし、とにかく、問題提起を続けなければと思っています。

 

川村:担当の職員さんにしてみたら、総務省の助言を基準に考えたら石狩市は十分に対応しているではないか、という思いになるのでしょうけれども、実態に即して考えると、問題は多いと言わざるを得ない。それは、総務省が設計した会計年度任用職員制度がいかにひどいか、を示しています。自治体が必要とする恒常的な仕事で働き続けることがなぜできないのか。

 

学校現場の多様な就業形態

くましろ:今後の課題の一つが、教育委員会部局の会計年度任用職員の実態を明らかにすることです。さらには、会計年度任用職員以外にも、有償ボランティアなどが活用されている実態があるのです。

例えば、「特別支援教育支援員」[7]があげられます。彼らは、担任の先生のフォロー役として新一年生の教室に配置されたり、特別支援学級に配置されます。特別支援教育支援員は、障害や特性など難しい児童・生徒の指導をマンツーマンで任される状況も多く、本来であれば指導ができる資格などを有した会計年度任用職員として雇われるべきですが、そのような人材がいないこと、予算確保できないことを理由に、資格要件なし・短時間の有償ボランティア(時給1000円程度)で採用されている実態があります。この職は文部科学省の制度なのですが、財源は市の一般財源です。

北海道でも、「学習指導員」[8]という職種を配置しており、石狩市では教室登校できない児童の指導などに当たっています。こちらは道費で対応される職種ですが、特別支援教育支援と同様に資格要件なし、短時間・有償ボランティアです。札幌市も同様の状況と思いますが、スクールカウンセラーの雇用実態も有償ボランティアで責任は重いと聞き及んでいます。

学校現場では、学級担任も非正規教員が担い、学習指導補助から部活動まで外部の力に頼らなければ回していけない状況なのですが、ただ、そこで雇われている職種の任用の在り方や労働条件などはごちゃごちゃなようで、子どもの教育に関わる労働環境をちゃんと考える必要があると思うんですね。私も、今回当事者の方からご相談をいただいて、初めてこのような実態を知り、教育予算が本当に妥当なものか疑問を持ち始めました。

 

川村:多様な雇われ方、というか、雇われていない職種もあるようですから、多様な就業形態が学校現場で広がっているのですね。お話しを伺っていて私も勉強しなければならないなと感じました。

 

くましろ:ほかには、非正規公務員だけでなく、皆さん(「札幌市公契約条例の制定を求める会」)が取り組んでいる公契約条例との関係で、民間委託の実態なども調べなければと思っています。石狩市でも、従来の行政改革に加えてDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されています[9]。実態把握が必要です。

 

くましろさんの問題意識

川村:最後に、あらためて、くましろさんの問題意識をお話しいただいてよろしいでしょうか。

 

くましろ:私は大学を卒業して最初に就職した会社を辞めてからは、一度も正職員で働く機会がありませんでした。

非正規として低賃金のまま30代後半~40代後半となったロストジェネレーションと言われる世代が社会的に孤立していることが問題視されていますが、私自身、頼れる家族もない非正規単身女性がどのような暮らしをしているか身をもって知っています。大卒程度では何者にもなれず、社会人になって大きな借金をして福祉や教育を学び直した女性に開かれた道は、非正規公務員しかないのが実態なのです。このように努力して学び経験を重ねてきた女性を使い捨てるような、ストレートに言えば「クソな」社会構造を変えていくために、議員になったというのが私の思いです。

 

川村:ありがとうございました。

くましろさんは、非正規公務員の問題に精力的に取り組んでおられます。こうした取り組みをされている議員の存在は、当事者にとってはもちろんですが、我々研究者にとっても、心強いですし、励みにもなります。このテーマに取り組む議員や現場労働者・労働組合そして研究者のネットワークを北海道でも作って、情報や経験の交流などを図っていきたいですね。頑張りましょう。

 

 

 

資料

資料1,2は石狩市議会会議録検索サイトより。資料3は議会事務局作成(くましろさん提供)。必要に応じて改行などを行った。

 

資料1 令和元(2019)年度9月定例会 一般質問

 

神代知花子

会計年度任用職員制度について伺います。

来年度(2020年度)からスタートする会計年度任用職員制度は、民間の同一労働同一賃金実現に向けた正規職員と非正規職員の不合理な待遇格差の解消や無期雇用転換と相まって、公務サービスにおける臨時・非常勤職員が地方行政の非常に重要な担い手であることから、その適正な任用、勤務条件の適正な確保に向けた法改正です。

国の法律の付帯決議では、現在任用されている職員が会計年度任用職員に移行する場合は不利益を生じさせないことなどが明記され、各自治体に周知されています。この法改正は、処遇改善の契機と期待される一方で、現在の臨時・非常勤職員にとって本当に不利益を生じさせないものとなるかは、各自治体の公務サービスのあり方をどう考えるか、制度設計にかかっていると言えます。

この間、制度設計のために最大限のご尽力をしてくれていることは知るところではありますが、石狩市の行政サービスの質の確保と、臨時・非常勤職員の待遇改善、雇用安定の観点から、最重要と思われることについて絞って進捗のお考えを確認させていただき、検討すべき意見がありましたら、ぜひご検討していただきたいと思います。

現在、現職の非常勤職員より、全職員向けの説明会には参加したが、未定のことが多く、自身の処遇がどうなるのか具体的に見えてこない、不安は解消しなかったとの声が届いています。それもそのはず、制度の大枠についても、各職の標準報酬についても12月議会の上程に向け、現在、検討中だからです。

しかしながら、4月時点で臨時職員56名、非常勤職員170名の方々が、次年度も継続して雇用されるかに確信がもてない状況におかれているのです。幾ら制度変更とはいえ、同じ思いで机を並べる同僚に対し、とてもひどい扱いをしていると言えます。12月議会にかける前に、交渉相手となっている労働組合はもちろんでありますが、労働組合は非正規職員を当事者として組織していないのだから、部局として、直接、丁寧な説明を行うべきことが最低限必要と考えます。

一つ目の質問は、臨時・非常勤職員に就く当事者や職員組合との合意形成や妥結の進捗を伺います。

二つ目は、財源についてです。

会計年度任用職員制度の適正かつ円滑な導入に向け、期末手当の支給など、制度改正に伴う適正な勤務条件の確保に必要となる地方団体の財政需要の増加について、地方財政計画の歳出に確実に計上することを求めるべきと考えます。単純に計算しても、会計年度任用職員に移行する人数は、臨時職員56名、非常勤職員170名です。その方たちの期末手当2.6カ月分、多大な予算が必要となります。その原資確保の見通しは立っているのでしょうか。

三つ目は、特別職から一般職へ移行する職はあるのでしょうか。これは特別非常勤職から会計年度任用職員へ移行するという意味です。その移行に伴う任用条件の整備など教えていただければと思います。

四つ目は、報酬についてです。現在、各職種の適正な報酬の見直しを図っていると説明を受けていますが、現在の臨時職員は、日給6,700円でフルタイム勤務しています。時間当たりに直すと835円と北海道の最低賃金基準です。非常勤職員の中で最も低い低賃金層なのは、月収15万円で時間当たりに換算すると約1,200円となっています。このように臨時と非常勤の職員の間にも大きな格差があることがわかります。

最低生活費を保障する水準としては時給1,500円、早急に改善するために最賃1,000円が目指される状況にあります。石狩市として、その職員に保障されるべき賃金水準をどう設定するべきなのか、この機会に立ち返り、適正な報酬を再設定していただけるよう望んでいます。

また、パートタイム型の会計年度任用職員にも期末手当が支給されることになっていますが、基本給について、時間当たりの金額が引き下げられるようなことがあってはならないと考えます。

まず、一つ目、お聞きしたいのは、臨時・非常勤職員の現在の報酬ベースの年収に対して、会計年度任用職員に移行後は、最低でも報酬は維持され、期末手当分が純増すべきと考えますが、どうお考えか伺います。

次に、現行の臨時職員のうち、事務員である35名は全てフルタイム勤務でありますが、これらの職員が会計年度パートタイムに移行する際、労働時間数が減った分、年収は下がるのか、臨時職員の処遇に関するお考えについて伺います。

そして、今回、総務省のマニュアルに沿って石狩でも昇給の上限が設けられると聞いていますが、一般職の給与表をベースとした会計年度任用職員の給与表を設けて、経験年数によりいわゆる昇給があることというのは評価できます。しかし、正職員の給与を超えないものとして定められている上限は、1級25号俸、大卒初任給の給料基準とうかがっています。

しかしながら、この低い給料基準では、再度の任用を繰り返しても、昇給できる余地は少なく、昇給ベースもスズメの涙であります。また、既に基準報酬が1級25号俸を超えている非常勤職もあります。そのようなことから、給与報酬水準の上限を設ける合理的な必要性はないと考えますが、いかがでしょうか。

五つ目は、休暇についてです。正規・非正規関係なく、忌引きや子育て、病気などで休まざるを得ないことがあるにもかかわらず、正規職員は有給で休暇を取れるのに、非正規職員は無給で休暇をとることしかない、また、休暇自体が取ることができないなど、その格差がとても大きく、今後も是正に取り組みたいと思っています。今回の制度マニュアルに示されている全国標準化、これは国の非正規職員を基準としていますが、そうすることで休暇など条件が引き下げられることがないか伺います。

六つ目は、再度の任用についてです。現在、石狩市では、来年度のスタート時に原則全ての非常勤職員が一度雇止めとなり公募するとお聞きしました。

これは、法案の趣旨、現在任用されている職員が会計年度任用職員などに移行する場合は不利益を生じさせないことに反し、雇止めを行い雇用不安を増大させるようなものです。他自治体の考え方を聞き取り調査いたしましたが、新規の職を設定する以外で、全職員を雇止めする考えなのは石狩だけであったと認識しています。本来、国家公務員法における平等取り扱いの原則とは、差別的な取り扱いを禁止することを指しており、人事院の働く機会は国民に広く平等に与えなければならず、同一人が繰り返し任用更新されることは不平等との説明は多くの問題があると考えます。国の事務マニュアルどおりではなく、現状の地方自治体の職員のスキルや経験を流出させないためにも、人事考課などを用いた能力実証をもって、雇用の継続が図られるよう取り計らうべきと考えます。また、再度の任用についても、国に準じ、2回までを検討していると聞いていますが、制限を設けない、これまでの年限の5年を担保するために4回までとする自治体が多い中、再度検討していただきたいと強く考えるところですが、公募の必要についてのお考え方を伺います。

七つ目は、フルタイム移行の職種の検討状況について伺います。会計年度任用職員の賃金・処遇は、勤務時間数によって非常に差別的な制度設計となっています。常勤職員よりも勤務時間数が1分でも短ければパートタイムと位置づけられ、その賃金・処遇は低コストで済むものとなっています。だからといって、石狩市には、本来、フルタイムで任用すべき職種を、コストの安くあがるパートタイムで任用することのないよう求めたいところです。これまでフルタイム任用していた人たちは、フルタイム勤務すべきではないでしょうか。また、その職のその人しか担当していない業務の場合、パートタイム勤務とすることで、来庁した市民に対応できず、後日、再度の来庁を頼むようなことがあります。パートタイムでシフトを組む合理的な理由がありません。正規職員で代替できないような業務を担う非常勤の職については、フルタイム移行の検討をするべきと考えますがいかがでしょうか。

八つ目に制度設計と採用など、今後のスケジュールについて伺います。

 

 

◎総務部長・選挙管理委員会事務局長(併)

初めに、当事者や職員組合との合意形成などについてお答えいたします。

本市といたしましては、会計年度任用職員制度の導入は、臨時・非常勤職員にとりまして大きな影響があるものと認識しているところでございまして、本年8月5日・8日の2日間にわたりまして計3回、臨時・非常勤職員の方だけではなく、常勤職員も含む全職員向けに職員説明会を実施し、この制度の概要等について周知を図ったところでございます。

今後におきましても、引き続き丁寧な対応に心がけてまいります。

また、職員組合との協議の進捗につきましては、本年6月14日に会計年度任用職員制度の導入について正式協議の申し入れを行い、現在、勤務条件や任用条件等について事務協議を重ねているところでございます。

次に、財源の見通しについてでありますが、現時点において、会計年度任用職員の財源措置につきましては、国からは具体的に示されておりませんが、来年度の地方財政計画において、一定の方向が示されると考えておりますので、今後、その動向を注視してまいりたいと考えております。

次に、特別職から一般職に移行する職についてでございますが、会計年度任用職員制度の導入に当たりましては、国から示されている会計年度任用職員制度の導入に向けた事務処理マニュアル、このマニュアルにもとづきましてさまざまな検討を行っているところでございます。

この中においては、特別職の非常勤職員は、専門的な知識経験等を有する者が、市に対しその知識経験等にもとづいて助言、調査、診断等を行う職に限定され、特別職から一般職へ移行する職の例が挙げられているところでございます。

このうち、本市においては、地域おこし協力隊員などがその職に該当するものと考えられているところでございます。また、これの職につきましては、今後、各所管と具体の勤務条件等を検討してまいりたいと考えております。

次に、会計年度任用職員の報酬等についてでありますが、本市といたしましては、制度の円滑な導入を図る観点から、臨時・非常勤職員の報酬等につきましては、現行水準を基本に検討しているところであり、また、制度の導入により期末手当の支給が可能となりますことから、年収ベースでは向上するものと考えております。

なお、詳細につきましては、ただいま御尋ねの臨時職員の給与水準も踏まえて、職員組合との協議、あるいは他市との状況なども踏まえまして、慎重に判断してまいります。

また、報酬等の上限を設けることにつきましては、国のマニュアルにおきましては、会計年度任用職員の担う業務の内容や責任の程度については、常勤職員と異なる設定とすべきとし、報酬等の水準に一定の上限を設けるべきとされているところでございます。

次に、休暇等についてでありますが、国のマニュアルでは、国の非常勤職員との権衡を踏まえ整備することとされているところでありますが、現在の水準を基本としながら、職員組合との協議や近隣自治体との状況を踏まえ慎重に判断してまいります。

次に、再度の任用における公募についてでありますが、国のマニュアルでは、会計年度任用職員の募集に当たっては、公平の原則や機会の均等を確保する観点から、応募者や市民に対し説明責任が果たせるよう、ホームページ等により広く募集する必要があるとしております。

なお、これまで本市における非常勤職員の募集は、毎年公募することを原則としてまいりましたが、国の非常勤職員においては、2回まで公募によらず、従前の勤務実績にもとづく能力実証により再度の任用ができるとしていることを踏まえ、本市においてもこのような再度の任用ができる制度について検討しているところでございます。

なお、公募を行うということは、再度の任用に制限を加えるものではなく、現在任用されている方が改めて応募し、再度任用されることについてはあり得るものでございます。

次に、フルタイムの会計年度任用職員についてでありますが、本市といたしましては、毎年度実施される各部とのヒアリングの中で、それぞれの職場における業務の量や必要となる人数を把握する中で会計年度任用職員が担うべき業務であって、さらに一週間当たりの標準的な勤務時間が常勤職員と同一のものが必要とされる場合においては、フルタイムの会計年度任用職員とされるものと考えております。

ただいま議員の御質問のような、例えば高度な知識・資格を有する職員についても、ただいま申し上げた観点から常勤職員、再任用職員の配置も含め、フルタイムの会計年度任用職員の配置について検討すべきものと考えております。

最後に、今後のスケジュールについてでありますが、これまで本年9月に関係条例を提案することを目途としてまいりましたが、現に勤務されている臨時・非常勤職員に対し丁寧な対応を行うとともに、さらに職員組合とも十分な協議を行うための時間を確保するため、関係条例の提案時期を見直し、第4回定例会とし、会計年度任用職員制度の円滑な導入を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 

 

神代知花子

お答えをお聞きする中では、担当課の方たちも現状を踏まえて、国のマニュアルどおりではいかないところがたくさんこれまでもあったというところを鑑みて、これから制度を深めていくというようなことをお伝えいただいているので、今お答えしていただいたことで考えると、幅が広過ぎて、最悪な条件から一番譲歩していただいたというところの答えが一個も見あたらなかったので、ちょっと納得できてはいません。ですので、もう少し再質問で深めたいと思います。

会計年度任用職員の、今、非正規がおかれている状況というのを考えていただくと、必ずしも家庭の主婦が補完的な給料を得たいがために勤めているだけではないと思います。ですので、その職に対して、どういった報酬が必要なのか、7割が女性ですけども、夫の収入の補完のために働いているわけではないのです。そういうことを鑑みますと、女性の雇用に関しても石狩市がどういうふうに考えているかということを示していくことになると思うのです。

また、これは私たちにも大きく関係してくるのですけれども、非常勤と臨時の標準報酬というのは、民間委託の基準の報酬の算定するときの基準報酬になっています。ですので、どんどん石狩市の業務をアウトソーシングしていくときに貧困層の人たちをたくさん生むようなことがないように、まずは内部の非常勤職員から処遇改善をすることが大切だと私は考えます。

それぞれに再質問を考えてきたのですが、ポイントだけで強く要求したいところだけ伺っていきたいと思います。

まず、フルタイム移行の件なのですけれども、何度も言っていますが、本来であればフルタイム常駐すべき専門性を持った職であるのに、待遇を下げるためにパートタイムにされていないかという考えが私の中ではあります。フルタイム勤務というのは、非常勤であれ責任性が伴うとともに、正規職員採用に転換していく可能性を示唆する職というふうになっていくと思います。今後、10年有資格職の資格者が、専門職採用されていく流れをつくっていくためには、フルタイム勤務で雇用できる非常勤職というのを設定していく必要があると考えます。有能な人材確保の観点から社会人採用にも専門職求人を設けて、今後、移行できるような希望を非常勤に与えていただきたいと希望しています。

その中でお答えいただきました地域おこし協力隊の部分なのですけれども、こちらの方たちの募集要項を見ました。そうすると、1週間当たり29時間以上38時間45分以内というところなので、フルタイムなのかパートタイムなのかわからない勤務時間の中で働いています。しかしながら、土曜日、日曜日の夜間の勤務もありますと書いています。

こうなりますと、もはやフルタイムで勤務していただくという立場になっていただくのがいいのではないかと考えます。ですので、1年で辞めていくということを考えていない3年の繰り返しの任用を考えているのであれば、会計年度のフルタイムに移行するべきと考えますが、また、退職手当も該当になってきますので、そのあたりをお答えいただければと思います。

二つ目は、再任用について伺います。石狩市では、これまで任用期間について5年の上限がありました。しかも、採用が困難な職種に限っては、それ以上の任用を行い、現在、171名中、56名が5年を超えて任用されています。まず、こうした上限を設けていたことや、任命権者の裁量で設定を変更していたことをどうお考えになるのでしょうか。2020年の4月にあえて雇止め、公募をする理由はどのようなものでしょうか。ほかの自治体では公募制をとらないところもあります。

また、これまで5年の上限に任用していた経験を鑑みると、少なくとも2020年4月時点で5年に満たないものは公募を経ずにそのまま会計年度任用職員に移行すべきだと考えますが、いかがでしょうか。既に雇われた者は、そう理解して働いている方もいるのではないでしょうか。また、これまでに勤務実態にもとづき4回更新まで認められていた事実を踏まえると、新制度でも4回更新・5年公募が最低限維持されるべき条件と考えます。2回更新・3年公募は労働条件の切り下げになると考えますが、いかがでしょうか。

総務省マニュアルに条件を合わせるということは、これまでの石狩市の任用は不適切であったと評価されても仕方がないということです。さらに言えば、そのように2回・3年で公募を経るという煩雑な仕事を行うことが、住民が求めていることなのでしょうか。

皆さんたち自治体職員・正職員が労力をかけて行うべき仕事なのでしょうか。

再度の任用が想定される場合の公募の必要性はないと考えますが、お答えをお願いします。

 

 

◎総務部長・選挙管理委員会事務局長(併)

まず、専門的非常勤職員のフルタイムの移行についてということでございますけれども、本市の会計年度任用職員の制度設計に当たりまして、フルタイムの会計年度任用職員の設置についても対応できるようなつくりにしたいと考えているところでございます。

ただし、現時点でどの職をフルタイムにするかについては、来年度の職員配置などを検討しまして、業務の性質、勤務時間の要件などをもとに判断をしてまいりたいというふうに考えております。

また、次に、地域おこし協力隊員をフルタイムの会計年度任用職員に転換すべきという御質問でございますが、現在の地域おこし協力隊の皆様をフルタイムにするかどうかと、会計年度任用職員にするかどうかということにつきましては、地域おこし協力隊制度の趣旨、あるいは各支所とのヒアリングを踏まえまして、先ほど申し上げた検討内容をもとに適切に判断してまいりたいと考えております。

また、任用期間の制限と、また、その例外についてでございますけれども、繰り返しになりますけれども、国のマニュアルにおきましては、採用に当たっては、応募者や市民に対し説明責任が果たせるようホームページ上で公開するなど、でき得る限り広く募集を行うこととされておりまして、このことは地方公務員法の平等取り扱いの原則を踏まえてのことでございまして、これは基本であるというふうに考えております。

ただし、例えば、市が就任を依頼している有資格者など、公募がなじまないというケースもあると認識しておりまして、これまでもこういった事業については、個別の判断を要するという形で取り扱ってきたこともございますので、こういった部分につきましては、新しい制度においても同様の考え方があり得るのかというふうに考えているところでございます。

 

 

神代知花子

それぞれお答えいただきました。

平等取り扱いの原則という考え方ですが、結局、その採用を長期に正規を勤めさせないというところで公募にかける、でも、結果的には長く勤めている方を再度任用するということが起こっているわけですと考えると、なぜそのような立場に非正規職員を追い詰めなければいけないのか、しかも3年というとても経験がのってきて、これからを見据えてベテランに入っていく域に公募するわけです。

そういったストレスを、正規職員の方たちはどのようなことがあってもそのような立場におかれることはないので想像できないかもしれないですけれども、本当に来年の暮らしをどう立てていくかというところで皆さん悩んでいらっしゃると思うのです。

なので、そのあたりを9月議会で他自治体はほとんど条例がかかってきますから、他自治体の取り扱いを見ながら大事に今働いている方たちを扱っていただきたいということを要望いたします。

 

 

 

資料2 令和元(2019)年度12月定例会 一般質問

 

神代知花子

会計年度任用職員について伺います。

臨時・非常勤職員の処遇改善を議会で取り組み、今年で5年目となります。

少しでも当事者の方の思いを代弁できたらという気持ちで今回も質問してまいります。

今回、国の法改正で、ほとんどの臨時・非常勤職員が会計年度任用職員へ移行しますが、その制度移行に伴い、臨時・非常勤職員にもボーナスが支給されるなどの給与にかかわる大枠を定めた条例が今議会には提案されています。

しかしながら、それぞれの職種の細かい賃金体制や、公募によらない再度の任用回数、休暇などを定める規則はまだ決まっておらず、それは、来年4月の制度スタートまで引き続き正職員組合との交渉を経て策定が継続するとのことです。

先行する他自治体の中には、人件費が膨らまないようボーナスは支払っても月収を下げることで年収では変わらなくするなど、法改正の趣旨に反する動きが見られています。

そのようなことがないよう、今後も動向を注視し、最後まで議会でしっかりとした処遇の改善を求めていきたいと考えています。

また、今回の法改正で、一番大きな影響を受けるのが当事者である現職の臨時・非常勤職員です。

その人数は、今年度4月1日で226名、これまで8月に一度制度の大枠の説明会はなされましたが、自分が来年度も同じ職につくことが出来るのかすら未確定のまま現在まで来ています。来年度からの生活の見通しが立たないというのは、正職員にはあり得ないひどい取り扱いです。前回の議会質問で強く求めた公募によらない再度の任用の回数を、最低でもこれまでの5年年限を保障する4回にすること。現職の経験と実績を評価し、制度開始時に現職も含めて一律公募にかけるのをやめること。その未確定であった部分がどのようになったのか、このたびの質問では確認させていただきたいと思います。当事者である臨時・非常勤職員の皆さんにしっかりと確定事項が伝わり、少しでも不安が解消できるよう明快な答弁を求めます。

それでは、順次、質問してまいります。

一つ目、正規職員組合と部局との妥結内容を具体的に伺います。

その内容は、当事者である臨時・非常勤職員にしっかりと届いているでしょうか。

二つ目、現職の臨時・非常勤職員は、会計年度任用職員に移行後、継続して勤務できるのか、それとも公募にかけられるのか不安な状態でいます。

これまで、臨時・非常勤職員で公募によらない再任用がなされていた職と、公募がなされる職があると聞いていましたが、その詳細を伺います。

また、その所管ごとの判断は継続されると考えてよいのでしょうか。

さらに、1月広報での公募は目前であります。各担当所管の長が該当者への面談により制度説明、次年度の意向調査などをしっかりとり行われるよう案内をし、公募する職種について、行政管理課が取りまとめているのか伺います。

三つ目です。

各職の基準報酬額などが決まる規則はまだ提示できないと聞きました。

そのような状態で、現場の方への説明や求人情報を提示することは可能なのでしょうか。

今後、どのようなスケジュールで規則が決まるのか伺います。

四つ目、臨時・非常勤職員が公務サービスにおいてこれまで果たしてきた意義と、会計年度任用職員移行後もその処遇を改善していく考えはあるか、これは市長に伺います。

以上です。

 

 

◎市長

ただいまの御質問のうち、4点目の会計年度任用職員移行後もその処遇を改善する考えがあるか市長に問うという部分について、私からお答えをいたします。

近年、多様化・高度化する行政ニーズに対応するためには、非常勤職員などの方々の専門的知識と多様な勤務形態が不可欠であり、行政運営の重要な担い手として欠かすことのできない存在であると認識をしております。また、会計年度任用職員の処遇につきましては、制度への移行後におきましても、近隣自治体の状況や社会情勢などの変化等を踏まえ適切に対応してまいる考えであります。

 

 

◎総務部長・選挙管理委員会事務局長(併)

初めに、会計年度任用職員制度に関する職員組合との協議の主な内容についてお答えいたします。まず、任用条件や勤務条件のうち、給与につきましては、現行ベースを基本とし、さらに、一定の条件のもと、期末手当を本則で年間2.6月の割合で支給すること。

休暇につきましては、現在の非常勤職員等に付与されている休暇を継続し、国の非常勤職員の休暇についても付与すること。

非常勤職員等の任用につきましては、これまで、原則、毎年公募としてまいりましたが、従前の勤務実績にもとづき、能力実証により、公募によらない再度の任用の回数を4回までとすること。

さらに、現在の臨時職員の職がパートタイム会計年度任用職員の職に移行し、勤務時間が短くなることについては、現在、採用されている方に対し丁寧に周知するとともに、現場に混乱が生じないよう、常勤職員に対しても周知徹底することとしております。

これら協議の結果につきましては、職員組合から組合員等に周知が図られているものと承知しておりますが、市といたしましても、関係条例案の可決をいただいた場合、速やかに常勤職員及び非常勤職員等に対し詳細な周知を行い、制度の円滑な導入に努めてまいります。

次に、非常勤職員等の公募に関すること及び各所管における非常勤職員等への面談などについてお答えいたします。

国のマニュアルでは、会計年度任用職員の募集に当たっては、市民に対し説明責任が果たせるよう、ホームページ等により広く募集する必要があるとしております。これは、地方公務員法の平等取扱いの原則や、機会の均等を図る観点を踏まえてのことであり、私どもといたしましても基本と考えております。

ただし、これまでも、職務の特殊性などにより人員の確保が著しく困難であるケースや、市が就任を依頼している有資格者など、公募がなじまないケースについては、各所管において、石狩市非常勤職員取扱要綱にもとづき、実態に即した個別の対応を行っているものであり、このような取り扱いにつきましては、会計年度任用職員制度への移行後においても例外的にあり得るものと考えております。

また、制度の周知に関しては、これまで全課を対象とした非常勤職員等の実態把握ヒアリングの際に合わせて行ってきており、また、臨時・非常勤職員だけでなく、常勤職員を含む全職員向けの職員説明会を実施し、制度の概要等について周知を図ってきております。

さらに、各所管においては、翌年度の募集に関して、面談などにより意向確認などがなされているものと考えておりますけれども、いま一度、各所管に対しては、必要な周知を図ってまいります。

最後に、関係規則の制定スケジュールについてお答えいたします。

勤務条件など、制度の主要部分の方向性につきましては、既に決定をしており、これにもとづき募集事務の準備を進めているところでございます。

ただし、今後、これらの内容を盛り込み、規則が成案に至るまでには数多くの法務的な確認作業が必要であり、時間を要することとなりますことから、4月1日の施行に向け遺漏のないよう準備を進めてまいります。

 

 

神代知花子

まず、組合がかなり頑張ってくれて、大きな部分で、私が求めていた、これでは現状の非常勤の仕組みを維持することができないということの部分では、大きく前進したということがわかって、安心しているところです。ただ、それを、当事者の方がわからない状態で来年度の公募にかけられるというようなことがないようにということの趣旨を込めて再質問をさせていただきたいと思います。

市長の答弁がありました。

これまでのように、人件費削減のために正規職員を減らし、臨時・非常勤職員をふやし、補完的業務に短時間または短期間で従事するために、正規職員と同様の適正処遇を図る必要はないとされてきた時代は終わりました。任期の定めのない正規職員を中心とする公務運営の原則は崩され、会計年度任用職員は、一般職の地方公務員とされ、公務上の義務、規律、人事評価が適用されます。ますます、本格的、恒常的業務を担うこととなります。他自治体では、公募によらず再度の任用ができる回数に制限を持たないことで妥結を勝ち取った自治体もあります。

会計年度ごとの任用であっても、その職が存在する限りは、正規職員同様その人が勤め続けられるよう、臨時・非常勤職員の雇用の安定、貴重な人材を守るという確固たる姿勢を市長には持っていただきたいと希望しています。自分の職務への専門性を生かすべく経験を積み上げた臨時・非常勤職員にとって、5年目には公募にかけられ、自分の職務上の存在価値を横並びにはかられるというストレスをわかっていらっしゃるでしょうか。

再質問の一つ目は、どの職種で採用困難を理由に公募によらない再度の任用の繰り返しが行われてきているか、行政管理課では取りまとめていないと聞きました。

しかしながら、今後、それぞれの職種の必要性がフルタイムかパートタイムか、そして適正な報酬額はいかほどかということを決めていかなければなりませんが、その前提となる再度の任用状況を取りまとめていないというのは余りにも根拠が心もとないと思います。

今回、公募にかかる臨時・非常勤職員は、基本的には現職が退職するために募集されるものだと考えますが、そのために、担当所管と現職職員がどのような面接を行い判断されたものか報告してもらう必要があるのではないでしょうか。

再質問の二つ目です。

これまでは、5年の期間内では公募によらない再度の任用が担当所管ごとの判断で繰り返されていたのに、来年度の会計年度任用制度開始を機に、現職を退職に追い込むような不当な取り扱いはなされていないでしょうか。

現場の裁量で公募する、しないの判断を任せるので、果たして現職の雇用を守れるのでしょうか。

再質問の三つ目は、現職の臨時・非常勤職員が、新年度継続して任用される場合、その公募によらない再度の任用の回数は、リセットされたところからスタートするのでしょうか。

例えば、今年度3年目の方は、来年度の採用から1回目と数えていいのでしょうか。

 

 

◎総務部長・選挙管理委員会事務局長(併)

まず、1点目、再度の任用状況の集約ということでございますけれども、募集や任用、さらにそれに関連する面談などの内容につきましては、一義的には、臨時・非常勤を雇用している各職場において判断されるものということで考えておりまして、総務部局といたしましては、全てを掌握することなく、必要に応じて個別に対応しているところでございます。

いずれにいたしましても、今回、制度の移行に伴いまして、各職場においても、具体の内容について十分理解していただくことが必要になりますので、こういったことについての庁内周知については、しっかり行っていきたいというふうに考えております。

次に、公募と任用に関して幾つか御質問いただいておりますけれども、まず、公募についての考え方でございますけれども、先ほど申し上げたとおり、公募するということについては、平等性や雇用機会の均等、さらには、任用の透明性などといったことから公募を行うことが原則でありまして、このことについては、これまでもそうでありましたし、新制度においても変わらないものでございます。

ただし、会計年度任用職員制度に移行後は、これまで採用困難なケースに例外的に認められてきた公募によらない再度の任用につきまして、採用困難なケースに限らず4回まで能力の実証のみで再任用できることと、拡大しているということでございます。

ただし、この拡大措置につきましては、会計年度任用職員として、任用後の制度ということになりますので、現在の非常勤職員等の方から適用させることはできないと考えております。

なお、公募することと、任用されないということについては、別なことでございまして、能力の実証によって再度の任用は可能でございますので、公募することが退職に追い込む不当な扱いということには当たらないというふうに考えております。

 

 

神代知花子

今後もチェックしていきたいと思うのですが、本来であれば、今回の確定事項というのは、当事者にあきあじという、その妥結事項がニュースになったものが渡るべきなのですけども、もともと正規職員組合との妥結内容になりますので、臨時・非常勤がそれを手にすることはないわけです。

そして、また、今、ここにいらっしゃる部長職、課長職の方たちも正職員組合には属していないということを考えますと、行政管理課が、しっかりとこれから面談される各所管長に対してお伝えしていただいて、本当に、当事者の方たちがしっかりと判断できるような形を整えていただきたいということを切に希望いたします。

 

 

 

資料3 令和3(2021)年10月「令和2年度決算委員会」

 

神代知花子

大項目の一つ目、令和2年度にスタートした会計年度任用職員制度の導入状況について伺います。

一つ目、総務省調査では、回答した約4分の1の自治体が制度改正前よりも給与水準が下がった職種があると回答しています。石狩市の臨時・非常勤職員は、会計年度任用職員制度移行後、期末手当の支給対象者で給与水準が下がった職種はあるのか。人件費は、総額で幾ら増額し、期末手当分は純増しているのか伺います。

二つ目、会計年度任用制度は、正規職員との均等、権衡を考えたとき、あくまで処遇改善のスタートラインに立ったにすぎないと考えています。その7割、8割が女性です。自治体は、女性を家計の補助的に働く雇用や人件費の調整弁として見直しており、公務において女性差別や、まともに働いても生活できないワーキングプアという格差を生んでいる現実を直視すべきです。基幹的職員、専門的職員を会計年度任用職員が担う現状を鑑みたときに、労組に加入しない会計年度任用職員の処遇改善は自治体の責務と考えますが、持続的に質の高い公務サービスを提供するため、会計年度任用職員の昇給上限や経験給の引上げ、任用回数や任用年数の制限を設けないとしながら、毎年度、一律公募される不安定な雇用環境の改善などについて取り組んでいく考えを伺います。

三つ目、これまでの予算・決算の場では、臨時・非常勤職員の人件費総額について、各所管の人件費に振り分けられているので、全体で把握していないとの回答がありましたが、財政部所管では、これまでも非常勤の人件費と臨時職員の物件費として数字は取りまとめていました。今回、臨時職員が会計年度の人件費に換算されたことで、会計年度任用職員全体の人件費は、前年比10%ほど増額になったのではないかと財政部にはうかがっています。これまで正規職員を減らし、非正規職員を増やしてきたコスト削減評価を市はいまだにしていませんが、次年度の行政改革大綱改定や定員適正化計画作成に合わせ、正規職員だけではなく、様々な働き方の職員のバランスを相対的な人件費から検討されるべきと考えますがいかがでしょうか。

大項目の二つ目です。職員の健康管理と配置、育成の考えについて伺います。

一つ目、令和2年度は、新型コロナまん延を受けて、本来業務以外のイレギュラーの対応に追われるなど職員に大きな負担がかかったと考えています。令和2年度に1カ月以上の長期病気休暇を取得した職員はいるでしょうか。また、時間外労働の動向はいかがでしょうか。

二つ目、職員健康管理業務の取組内容と実績について伺います。また、新型コロナ禍で相談内容にどのような傾向があったか伺います。

三つ目、公務非正規女性全国ネットワーク、通称はむねっとの緊急調査アンケート結果から、非正規職員の声を届ける場がないと孤立感がますます深まっている状況が窺われます。非正規職員の相談窓口としてどんなことが活用されていますでしょうか。コロナ禍で発生する休暇の取得やワクチン接種の優先度などの処遇の取扱いは、正規・非正規で格差はないか伺います。

四つ目、職員の育成の考え方として、市費での研修受講は正規職員のみでしょうか。専門的職種に従事する会計年度任用職員の研修費は含まれているでしょうか。また、人事異動やその配置に伴って、繰り返しの任用で長期化する非正規職員が現場実務を正規職員にレクチャーする状況が今もあります。職場によっては、3年目以降からの経験から発展していく職種もあり、正規職員の異動の多さが与える現場の非正規職員の負担も大きいと考えています、育成と配置の考え方について伺います。

 

 

○行政管理課職員担当課長

職員担当部分についてお答えいたします。

まず、会計年度任用制度についてということで、期末手当の支給対象者の給与水準が下がったかどうか、職種があるかどうか、また、総体的な人件費の状況についての御尋ねがありました。会計年度任用職員制度の開始が昨年度から始まったわけですが、期末手当の支給対象者で給与水準が下がった人たちというのは、制度上は2.6カ月分の期末手当が当たること、実際には、制度開始に伴いまして、期間率の反映がありましたので、令和2年度は1.69カ月分だったのですが、それから、正職員の給与表を使われたことから年収ベースではそのような職種はございません。しかし、勤務時間も、非常勤職員、臨時職員が、会計年度任用職員になるに当たって、統一したことにより、月収に影響が出た職種というのは事務補助があります。今、言った期末手当のほか、1カ月の空白期間がなくなったということによって、月収に減額の影響が出たのですけれども、年収では増収になっております。

それと、会計年度任用職員制度に伴う財政的支出について説明させていただきます。財政課で取りまとめている石狩市会計決算資料により説明させていただきますと、9ページ、ファイルのページ数で言いますと、11ページの物件費の内訳の1行目にあります賃金が以前の制度である臨時職員分の賃金となります。それが、7,000万円何がしが、支出科目廃止に伴い、皆減となっております。

同じ資料の10ページ、ファイルのページで言いますと、12ページの人件費の内訳の2の委員等報酬、こちらに内数として会計年度任用職員分、旧制度で言いますところの非常勤職員、臨時職員分が合算されております。委員等報酬の内数ですので、内訳を財政課にも確認しましたところ、旧非常勤職員分につきましては、令和元年分で約3億1,500万円程度、令和2年度分で4億2,500万円程度となっておりまして、1億1,000万円増加しております。

先ほどの臨時職員分の賃金約7,000万円が増加している部分と、それから4,000万円部分が期末手当額分となっていますので、期末手当分は増えているというような状況にございます。

続きまして、会計年度任用職員の雇用環境の改善についての御質問がありましたけれども、労働条件については、会計年度任用職員制度によって地方公務員に明確に位置づけられております。正職員と同様に地方公務員法の適用となりまして、地方公務員法17条に規定されます情勢適用の原則を踏まえることとなります。昨年度、今年度もそうですけれども、人事院勧告で非常勤職員、会計年度任用職員に触れられておりますので、国の動向を身守りつつ、今後においても処遇に反映していきたいと考えております。

続きまして、定員適正化計画に対する反映の仕方です。定員適正化計画における定員という定義は、正職員を意味しているところになります。しかし、定員適正化計画については、これまでも自治体の職員が専門性の高い市民サービスへの対応、それから、新たな行政需要というものが出てきますので、それに対応することが求められているという昨今の状況と、一方では、少子高齢化の進展が将来的には財政環境の悪化を招くことも想定されていますので、それを踏まえて定員適正化計画を策定しております。今年度の計画策定にあっては、会計年度任用職員などの再任用も含めて、正職員以外の職員についても盛り込んだ上で組織運営のための必要な人員、方向性を見いだすこととなる予定でございます。

次は、大きく二つ目の健康管理の御質問の中にありました正職員の時間外勤務についてお答えいたします。

令和2年度の時間外につきましては、新型コロナウイルス対策に関連する課については、時間外が増えたと把握しておりますが、全職員の一人当たりの年間時間にならしますと122時間となり過去3年度の平均との対比で25%減となっております。要因として考えられるのは、新型コロナということはあったものの、人事異動、時間外勤務をその判断要素としておりますので、人事異動でその影響が表れたということと、それから、新型コロナウイルスがありまして、道民・市民皆必要な外出に限るということもありまして、職員も速やかに時間内業務遵守を念頭に業務に当たっていたものと推察されております。

それと、職員の育成の在り方、考え方ということで、会計年度任用職員も含めてという御質問がありました。本市では、人材育成基本方針に沿って、正職員ですけれども、新規採用時から計画的なジョブローテーションを行うこととしております。こちらは、毎年の定期人事異動の際の方針においても、新規採用職員は一定の年数の間、異なる分野で早期に経験を積ませるため、おおむね3年をめどとして計画的な異動するとしていますし、その他の職員についても、適材適所の配置をと規定していますので、人事異動ということを念頭に置いております。正職員の異動については、市民サービスや新たな行政需要に対応するため行政運営上必要となるものと考えておりますので、組織として必要なことであり、異動者が業務を把握する方法としては、法令などに当たるほか、他の職員から業務の一部を教わることは受容すべきものと考えております。

それと、研修についてですけれども、研修については、市主催の全体研修などについては、正職員と同様に会計年度任用職員についても案内しております。また、各所管で必要となるものについては、各課で予算要求するなどして対応することが基本となります。これは、正職員・会計年度任用職員の区別をするものではありませんので、各所管において適切に対応しているものと考えております。

 

 

○行政管理課健康管理担当課長

私からは、神代委員の質問のうち、職員の健康管理業務や、職員の休職及びコロナ禍における職員の処遇の取扱い等についてお答えいたします。初めに、職員の病気休暇の取得状況ですが、令和2年度の職員の1カ月以上の病気休暇を取得した職員は14名おります。

このたびの新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関連して、突発的な対応や臨機応変な対応が求められると同時に、新たな業務負荷もかかりまして恒常的な時間外が続いた部署もありましたが、コロナに関連した業務負荷や時間外等を要因とした1カ月以上の病気休暇を要した職員はおりません。

次に、職員の健康管理の取組と実績、コロナ禍の相談内容や傾向についてお答えいたします。まず、職員の健康管理につきましては、健康診断やストレスチェック、健康相談などを実施しており、その実績については、健康診断は、対象職員数674名に対し、受診者が640名、受診率は95.1%です。ストレスチェックは、対象者数659名に対して、ストレスチェックを受けた者620名、その率は94.1%となっております。

職員の相談数は、月に延べ20件から30件の相談や対応をしておりますが、令和2年度は、コロナに関する相談や対応が増え、感染が拡大している時期は、日に10件前後となることがありました。

相談内容についてですが、職員や家族の体調、受診可能な医療機関について、また、同居家族の対応や休みの取り方、職場における感染予防対策等、多岐にわたっており、札幌市や石狩管内で感染が拡大している時期に並行して職員からの相談数も増える傾向にありました。

次に、会計年度任用職員の相談窓口とコロナ禍における職員の処遇の取扱いについてですが、日頃の職員の健康管理は、全職員を対象としておりますので、正職員に限らず、再任用、会計年度任用職員からの相談も随時受けております。産業医面談、職員の定期健康相談を毎月お知らせしているほか、健康診断後の保健指導の御案内、ストレスチェック実施後の相談や面談について、メールや文書等で繰り返し周知しており、実際に、会計年度任用職員からのメールや電話、対面での相談など対応しております。

コロナ禍における職員の処遇についてですが、職員・家族が発熱等の症状がある、また、新型コロナウイルス感染症に感染した際、濃厚接触となった、またはワクチン接種後の副反応が出たなど、新型コロナウイルス感染症の発生に伴う休暇等について、正職員と同様の職務専念義務免除等の取扱いとなっており、ワクチンの接種を含めまして、コロナ禍における職員の処遇につきましては、正規・非正規職員に格差なく対応しております。今後もいろいろ工夫を凝らして、職員が気軽に相談できる環境となりますよう努めてまいります。

 

 

神代知花子

新型コロナ禍と同時に、会計年度任用職員制度が始まったというところもありまして、どこかの段階で一度会計年度任用職員の実際の処遇改善につながっているかということを確認したいと思っていましたので、石狩市は、適正に純増しているということが確認できてよかったと思っています。今後も地方公務員法の扱いの中での非正規職員というところで、今後も処遇改善について取り組んでいただけるようお願いしたいと思います。

また、新型コロナの関係でのかなり相談業務が増えているということを、今回、私も初めて対応する中で知りまして、業務多忙によって体調を崩す方がいらっしゃるのかと思ったら、そういうことよりも、その職場で感染にどういう対応したらいいかというところを、一挙に相談を受けていたということを知りまして、そういった体制も2年目になりますので、今後も職員の方たちが戸惑わないような形でリードしていただければと思いました。

これからも、その都度、確認させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 

 

 

[1] 総務省「会計年度任用職員制度等に関する調査結果(施行状況の概要等)」2020年12月21日

北海道及び道内市町村のデータをまとめた川村雅則「道内の会計年度任用職員等の臨時・非常勤職員の任用実態──総務省2020年調査の集計結果に基づき」『北海道自治研究』第626号(2021年3月号)も参照。

[2] 石狩市会計年度任用職員の給与等に関する条例によれば、第5条(給料及び基本報酬の支給)に、「〔略〕給料及び基本報酬の計算については、給与条例の適用を受ける職員の例による。」とある。そして、石狩市職員の給与に関する条例の第7条によれば、「第7条 職員の昇給は、規則で定める日に、同日前1年間におけるその者の勤務成績に応じて、行うものとする。2 前項の規定により職員を昇給させるか否か及び昇給させる場合の昇給の号俸数は、同項に規定する期間の全部を良好な成績で勤務した職員の昇給の号俸数を4号俸とすることを標準として規則で定める基準に従い決定するものとする。〔以下、略〕」とある。

[3] 川村(2021)によれば、北海道及び道内市町村180件のうち「毎回公募を行い再度任用する」と回答していたのは91件だった(残りは、「公募を行わない回数等の基準を設けている」が55件、「毎回公募を行わず再度任用する」が34件)。しかしながら、石狩市のように、職種によって異なる対応をしているケースもあることを考えると、「毎回公募」を部分的にでも採用している自治体はさらに増える可能性がある(石狩市は総務省調査で、「公募を行わない回数等の基準を設けている」と回答していた)。

[4] 総務省「人事院規則19-0(職員の育児休業等)の一部改正等について(令和4年4月1日施行の非常勤職員の育児休業・介護休暇等の取得要件の緩和等関係)」(総行公第14号)2022年2月17日。同文書は、総務省「通知・通達」検索ページよりダウンロードできる。

[5] 「15分時短のパート公務員 自治体の4割に 総務省が見直し求める」『NHK NEWS WEB』2022年2月6日 4時56分

[6] 過去に石狩市で行われたアンケート調査結果を紹介した、くましろさんによる、なくそう!官製ワーキングプア北海道集会での報告(「石狩市非正規職員待遇改善に関する取り組み」)を参照。

[7] 文部科学省「特別支援教育支援員とは」

[8]北海道「学習指導員、スクール・サポート・スタッフの配置について」

[9] 石狩市「行政改革・DX推進課」など参照。

 

 

(関連記事)

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