職場近代化へ一歩(毎日新聞<北海道版>掲載 Re:北メールより)

職場近代化へ一歩

道央圏の工場で2ヵ月前に組合を結成した時の経緯を振り返りたい。

私は会社の経営者に組合結成を通知し、「組合員を威圧するようなことは不当労働行為だ。やめて欲しい」とクギを刺した。

ところが私が立ち去ったあと副社長は「首謀者の机を取り上げろ」と指示した。これは分かりやすい不当労働行為。こういう場面をうまく使いながら、生まれたての組合をしっかり固めるのだ。

私は会社に「警告書」をファックスした。

驚いた会社側は組合役員の机を元の位置に戻した。しかし、労働条件の改善を求めた団交にはなかなか応じない。

やがて会社側の弁護士が「団体交渉の開催場所は社外。交渉人数も制限する」と条件を付けてきた。こうなると、開催条件で折り合いがつかない限り団交できない。

そのことを現場の組合員らに説明したら、皆「冗談じゃない」と怒り出した。

この怒りを活動のエネルギーに変えるべく、組合として臨時大会を開き、ストライキを構えるか否かの無記名投票を実施した。

その結果、90%以上の賛成でスト権が確立された。今度はそれを背景に会社に団交開催を迫った。

 

先日、約50名の組合員が見守るなか、会社の会議室で初の団交があった。

すぐに賃金が上がったわけではないが、始業時間前の朝礼や会議は、就業時間内に変更されることになった。非公開だった会社の収支も開示される予定だ。

職場の近代化がやっと始まった。これこそが、腹をくくって団結した成果だ。

 

2015年7月10日 毎日新聞(北海道版)掲載 Re:北メールより

 

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