寝ている場合じゃない
中小企業では正社員であっても年収300万~400万円前後の労働者が多数を占め、介護現場では月4~5回の夜勤に就いても年収200万円代の正社員も珍しくない。
契約社員やパートのほとんどは、いつかクビにされるのではという不安を常に抱える有期契約だ。
最近相談を受けた次のケースは特に過酷だ。
全国チェーンの靴や衣料品販売などでは、オーナー店長制度が広がっている。店や商品はあくまでも会社が所有しており、オーナー店長には仕入の裁量権限すらもない。彼らは単に労働力を提供するだけの実態にある。
しかし会社は、委託契約を結ばせることで彼らを独立した経営者として扱う。
365日休まず営業することが義務付けられるため、中には1年以上も休みを取れなない店長も存在する。しかしどんなに働いても自己責任とされ、会社は労働基準法違反等に問われることはない。
法の規制をかいくぐるという点では、まさに「脱法ドラッグ」と同じだ。
この20年の間で、雇用の劣化は一気に加速し、それに呼応して我が国における自殺者数は年3万人代で高止まりしている。
生きて行くのがやっと、という労働者が増えているのに、「賃金が上がった」「雇用が増えた」と叫ぶ国家指導者は、かつての負け戦を、勝ったと言い続けた大本営と同じだ
皆が投票に行かなければ、この状況がさらに悪化するのは間違いない。家で寝ている場合ではない。
2014年12月5日 毎日新聞(北海道版)掲載 Re:北メールより
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