沈黙は罪 差別に便乗するな
労働組合専従になって25年、私は100を超す労働組合を作ってきた。
使用者が組合の結成を妨害することは、不当労働行為として禁じられているが、弾圧や妨害は常だ。そんな時、欠かすことができないのが都道府県に設けられた労働委員会制度だ。
公益委員、使用者委員、労働者委員の三者構成で、団結権侵害の有無を審査し救済命令を発する。
この制度のお陰で、生まれたての組合がどれだけ助かったかわからない。その委員会がいま、労働者委員の選任問題で揺れている。
労働者委員とは、組合側に寄り添い事件解決にあたる重要なポストだ。
その選任に際し、不当労働行為の痛みを誰よりも知る活動家が排除される一方、どちらかといえば労使協調で不当労働行為には縁のない方々が任命される異常事態が20年以上続いている。
その背景には任命権者である道が、全労連系(共産党系)を排除し、7名の労働者委員の全てを、連合系(民主党系)に独占させるというたくらみがある。
職場に組合が複数並存する場合、一方を差別的に扱うことは不当労働行為に当たり、労働委員会で審査する事案にはそのようなケースも含まれる。
現在の労働者委員の選任は、正にそれだ。裁判所も過去二度にわたって、「この任命は知事の裁量権の乱用で違法」と判断したほどだ。
私たちの組合は連合系だ。だからと言ってライバル組織が差別扱いされることに沈黙することは、これに加担し民主主義を自ら否定するのと同じだ。
2015年1月30日 毎日新聞(北海道版)掲載 Re:北メールより
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