川村雅則ゼミナール『北海学園大学 学生アルバイト白書2023(連載4)』2023年12月11日

 

『北海学園大学 学生アルバイト白書2023』の連載1連載2連載3に続く本稿(連載4)では、アンケート調査の結果をご報告します。

結果の考察やより深い分析などにはまだ着手できておらず、まずは、単純集計の結果を報告するにとどまるものであることをご了解ください。

ゼミでの作業の都合上や授業で使う都合上、公開をしましたが、今週いっぱいは「てにをは」など細かい修正作業が発生すると思います。表の番号もまだつけていません。ご了承ください(2023年12月11日17時記)。

 

 

調査の概要

北海学園大学に在籍する全ての学生──1部(昼間部)・2部(夜間部)、全ての学部、全ての学年──を対象にして、アルバイトの実態やワークルールの認知・理解状況に関するウェブアンケートを実施しました。

今年度の調査の趣旨と内容

例年の調査項目である、学生アルバイトの実態(働き方や賃金、アルバイト先での様々な経験など)に加えて、ワークルールを私たち学生自身がどの位知っているか、ということに焦点をあてました。アルバイト問題の解決には、ワークルールの理解が欠かせないと考えたからです。

調査の内容・構成は以下のとおりです。

Ⅰ.あなたのこと(属性):

所属の部、学年、学部、性別、住まい

Ⅱ.アルバイトのこと、基本的な労働条件:

アルバイトの種類、アルバイトの勤続期間、シフト制か、勤務状況(勤務日数、労働時間数)や賃金(時給、月のアルバイト収入)、最初のアルバイトを始めた時期、ワークルールの認知状況、ワークルールを知った手法・契機

Ⅲ.ワークルールの認知状況をまじえながら、労働条件の各論やアルバイト先での経験など:

雇用契約時の書面受け取り状況、求人情報と実際が違った経験の有無及びその内容、有給休暇制度の利用状況、給料の支払われ方、給料の支払い単位時間、残業の発生状況、賃金の未払い、シフトに関すること、早上がりやシフトカットの経験と休業手当の支給状況、アルバイトにともなう学校生活・日常生活の困難の発生状況、休憩時間の取得状況、解雇や雇い止めの経験とその理由、アルバイトを辞めた経験とその理由、辞める際のトラブル経験、ハラスメント経験、研修・教育の実施状況と困った経験、ノルマや仕事のミスに関するトラブル経験、労働条件等を改善したいと思った経験と実際、ワークルールを学ぶ必要性を感じているか、現在のアルバイト先での総合的な満足度、などに加えて、ワークルールの認知状況(労働条件明示義務、有給休暇制度、割増賃金、賃金の支払い、休業手当制度、休憩時間)

 

調査の方法

(1)北海学園大学のイントラネットを使い、在籍する学生に対して調査の依頼を行いました。11月13日(月)8時20分に配信を行い、締め切りは、11月18日(土)朝8時としました。11月17日(金)18時に、回答に対するお礼と、再度のご協力願いのお知らせを配信しました。

イントラネットの記録によれば、7731人に配信が行われています。

(2)川村の担当授業である「労働経済論」で調査への協力を呼びかけました。

なお、「労働経済論」の履修生は、ワークルールの理解度がその他の学生に比べて高いのではないかと思われます。(但し、同授業の履修生とそうでない者の区別はできませんから、)同授業の履修生である「経済学部」の学生とそれ以外の学部の学生とを分けて集計・分析してみる必要があると思われます。

(3)川村の親しい教員に個別にお願いをしました。

 

有効回答と集計・分析の対象など

414人から回答が得られました。そのうち無回答の多かった4人を除く410人を有効回答としました。

調査では、現在アルバイトをしているかどうかを尋ねていますが、その結果は、以下のとおりです。

(a)現在アルバイトをしている 368人
(b)現在アルバイトはしていないが、過去にしていた 29人
(c)現在アルバイトをしておらず、過去にも全くしていない 13人

 

本稿では、(a)「現在アルバイトをしている」者368人(「1部」280人、「2部」88人)を集計・分析の対象とします。理由は以下のとおりです。

まず調査票が「現在アルバイトをしている」者向けの内容となっていることです。(b)「現在アルバイトをしていないが、過去にしていた」者には、「現在のアルバイト」という箇所を「過去のアルバイト」に読み替えて回答してくださるよう、お願いをしました。また、(c)「現在アルバイトをしておらず、過去にも全くしたことがない」者には、アルバイト経験に関する設問はとばして、ワークルールに関する設問のみに回答してくださるようお願いをしました。

しかし、(a)と(b)をまぜて集計をすることは適当ではないと考えます。よって(b)(や(c))は補足的に扱うことにします。

 

この間の作業と本稿の記述

川村が行った集計作業の結果に基づき、1部、2部のそれぞれで報告をまとめてきました。そして、両者を川村が統合しました。

現在、集計の結果をどう読むか、どの設問でクロス集計を行うべきか、などを学生が考えているところです。

ゆえに本稿は、単純集計の結果の記述にとどまります。

括弧内の数値は、1部の結果、2部の結果を順に示したものです。

なお、ゼミでの議論などを一部に盛り込んでいます。

 

 

調査の結果

Ⅰ.回答者の属性

 

表 学年

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
1年生 84 22.8 67 23.9 17 19.3
2年生 133 36.1 105 37.5 28 31.8
3年生 116 31.5 85 30.4 31 35.2
4年生 35 9.5 23 8.2 12 13.6

学年別の回答者数をみると、1部でも2部でも、「2年生」と「3年生」の回答が多いです。「2年生」が、1部では37.5%、2部では31.8%で、「3年生」が、1部では30.4%、2部では35.2%となっています。

例年の傾向ですが、「4年生」の回答が少ないです(8.2%、13.6%)。

 

表 所属の学部

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
経済学部 147 39.9 118 42.1 29 33.0
経営学部 51 13.9 43 15.4 8 9.1
法学部 91 24.7 60 21.4 31 35.2
人文学部 60 16.3 41 14.6 19 21.6
工学部 17 4.6 17 6.1 ── ──
無回答 2 0.5 1 0.4 1 1.1

注:2部には「工学部」は設置されていない。

所属の学部をみます。1部では、最も多い回答が「経済学部」で、全体の4割強(42.1%)を占めます。続いて多いのが「法学部」です(21.4%)。

2部でも「経済学部」と「法学部」からの回答が多いです。但し、1部と異なり、「経済学部」よりも「法学部」で回答が多く、35.2%です(「経済学部」は33.0%)。「人文学部」からの回答も21.6%を占めます。

 

表 性別

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
男性 165 44.8 122 43.6 43 48.9
女性 201 54.6 156 55.7 45 51.1
その他
無回答 2 0.5 2 0.7

性別は、1部でも2部でも「女性」からの回答が「男性」からの回答を上回り、それぞれ半数を超えています(55.7%、51.1%)。

 

表 住まい

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
実家・親元で暮らしている 273 74.2 220 78.6 53 60.2
「実家・親元」以外で暮らしている(一人暮らし、学生寮、下宿、親戚等の家、兄弟姉妹と暮らしているなど) 94 25.5 59 21.1 35 39.8
無回答 1 0.3 1 0.4

住まいをみると、1部では、「実家・親元で暮らしている」が全体の8割近く(78.6%)を占めるのに対して、2部では「実家・親元で暮らしている」が60.2%にとどまり、「「実家・親元」以外で暮らしている」が39.8%を占めています。

 

Ⅱ.アルバイトのこと、基本的な労働条件について

表 アルバイトの種類(固定/単発、かけもち)【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
固定のアルバイト1つのみをしている 269 73.1 204 72.9 65 73.9
固定のアルバイトをかけもちでしている 55 14.9 43 15.4 12 13.6
固定のアルバイトと単発のアルバイトをかけもち 33 9.0 25 8.9 8 9.1
単発のアルバイトのみをしている 6 1.6 6 2.1
固定のアルバイトのかけもちと単発のアルバイト 5 1.4 2 0.7 3 3.4

アルバイトの種類──固定的なアルバイトか単発的なアルバイトか、かけもちか──をみると、最も多いのは1部でも2部でも「固定のアルバイト1つのみをしている」で、全体の4分の3弱を占めます(72.9%、73.9%)です。

次に「固定のアルバイトをかけもちでしている」が1部で15.4%、2部で13.6%です。

なお、この設問は複数回答可ですが、「固定のアルバイトをかけもちでしている」と「固定のアルバイトと単発のアルバイトをかけもち」を選択したものが5人みられました。

 

表 現在のアルバイトの業種・業態【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
飲食店 163 44.3 134 47.9 29 33.0
小売店 117 31.8 82 29.3 35 39.8
接客・サービス 32 8.7 21 7.5 11 12.5
教育・保育関連 34 9.2 29 10.4 5 5.7
倉庫・物流・ドライバー 10 2.7 6 2.1 4 4.5
オフィスワーク 30 8.2 20 7.1 10 11.4
肉体労働 19 5.2 14 5.0 5 5.7
アミューズメント・レジャー・イベント・レンタル 37 10.1 31 11.1 6 6.8
その他 5 1.4 3 1.1 2 2.3

現在のアルバイトの業種・業態を尋ねました。以下のとおり、調査票ではそれぞれの例を示しました。

飲食店(居酒屋、バー、ファストフード、ファミレス、専門料理店、食堂、ビアガーデン、カフェ、喫茶店など )

小売店(コンビニ、スーパー、百貨店、専門店、衣服小売、ドラッグストアなど)

接客・サービス(ガソリンスタンド、ホテル、受付、冠婚葬祭関連、旅行・トラベルなど)

教育・保育関連(塾講師、家庭教師、保育など)

倉庫・物流・ドライバー(配送・配達、仕分け、宅配、ウーバーイーツなどオンラインの注文・配達の仕事など)

オフィスワーク(コールセンター、テレアポ、事務職など)

肉体労働(引っ越し、警備・交通誘導、製造ライン、イベント設営、自動車整備、その他肉体労働)

アミューズメント・レジャー・イベント・レンタル(パチンコ・パチスロ、映画館、CD・書籍レンタル、ネットカフェ、カラオケ、ダーツ・ビリヤード、ジム・スポーツクラブ、イベント・コンサート、キャンペーンなど)

その他

結果は、まず1部でも2部でも「飲食店」と「小売店」に回答が集中しています。

1部では「飲食店」が47.9%、「小売店」が29.3%で、2部では、「飲食店」が33.0%、「小売店」が39.8%です。

1部ではその他に、「教育・保育関連」と「アミューズメント等」で1割を超えています(それぞれ10.4%、11.1%)。同じく2部では、「接客・サービス」と「オフィスワーク」で1割を超えています(それぞれ12.5%、11.4%)。

 

(猫村博士) 「飲食店」や「小売店」あるいは「教育・保育関連」など、どのような仕事に従事しているかが当該労働者の労働条件や経験に影響を与えている可能性がある、という視点をもって、この後の調査結果をみていくとよいじゃろう。

 

表 現在のアルバイトの勤続期間

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
働き始めたばかり 9 2.4 7 2.5 2 2.3
1、2か月 26 7.1 18 6.4 8 9.1
3か月~6か月 50 13.6 40 14.3 10 11.4
6か月~1年未満 74 20.1 61 21.8 13 14.8
1年~2年未満 126 34.2 97 34.6 29 33.0
2年~3年未満 51 13.9 38 13.6 13 14.8
3年以上 31 8.4 18 6.4 13 14.8
無回答 1 0.3 1 0.4

現在のアルバイトの勤続期間は、1部でも2部でも「1年〜2年未満」が最も多く、1部では34.6%、2部では33.0%を占めます。

但し1部ではその後に続くのが、「6か月〜1年未満」で21.8%、「2年〜3年未満」で13.6%であるのに対して、2部では、長期で働いている者も多く、「6か月~1年未満」のほか、「2年~3年未満」も「3年以上」も同数の14.8%でした。

 

表 現在のアルバイトはシフト制か

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
シフト制(自由シフト制、固定シフト制) 342 92.9 256 91.4 86 97.7
完全な固定勤務制 14 3.8 12 4.3 2 2.3
単発のバイト 7 1.9 7 2.5
登録型派遣 5 1.4 5 1.8

現在のアルバイトがシフト制かを尋ねたところ、1部では91.4%が、2部では97.7%が「シフト制(自由シフト制、固定シフト制)」でした。

 

表 1週間の平均的な勤務日数

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
1日 17 4.6 16 5.7 1 1.1
2日 48 13.0 41 14.6 7 8.0
3日 172 46.7 138 49.3 34 38.6
4日 95 25.8 63 22.5 32 36.4
5日 30 8.2 18 6.4 12 13.6
6日 4 1.1 2 0.7 2 2.3
7日 1 0.3 1 0.4
無回答 1 0.3 1 0.4

働き方を尋ねました。例年どおり、昼間に働き夜間に大学に通う2部で勤務時間数が長い結果になっています。

まず1週間の平均的な勤務日数は、1部も2部も「3日」が最も多くなっています。

但し、1部ではその割合が49.3%と半数近くを占めるのに対して、2部では38.6%にとどまり、代わりに、「4日」も36.4%を占めます。さらに、「5日」も1割を超えています(13.6%)。

 

表 1週間の平均的な労働時間数

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
5時間未満 54 14.7 40 14.3 14 15.9
5~10時間未満 108 29.3 83 29.6 25 28.4
10~15時間未満 57 15.5 49 17.5 8 9.1
15~20時間未満 83 22.6 65 23.2 18 20.5
20~25時間未満 53 14.4 36 12.9 17 19.3
25~30時間未満 11 3.0 7 2.5 4 4.5
30時間以上 2 0.5 2 2.3
(再掲)15時間以上 40.5 38.6 46.6
(再掲)20時間以上 17.9 15.4 26.1

1週間の平均的な労働時間数をみると、「5〜10時間未満」が最も多くなっています(29.6%、28.4%)。

表の下部のとおり、「15時間以上」と「20時間以上」で整理してみたところ、1部では38.6%、15.4%、2部では46.6%、26.1%を占めています。

 

 勤務時間数が例年よりも短い気がするが(例えば2022年は、15時間以上が54.8%、20時間以上が25.1%)、偶然じゃろうか。

 

表 2023年10月の時給

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
959円以下
960円 72 19.6 59 21.1 13 14.8
961円~999円 61 16.6 44 15.7 17 19.3
1000円~1099円 145 39.4 114 40.7 31 35.2
1100円~1199円 51 13.9 38 13.6 13 14.8
1200円以上 39 10.6 25 8.9 14 15.9
2023年10月は働いていない

最低賃金が改定された後の2023年10月の時給を尋ねました。時間帯や曜日によって異なるなど、複数ある場合には、もっともよくあるパターンで回答してもらいました。日給制、月給制の場合には時給に換算して回答してもらいました。

結果は、「1000円〜1099円」が最も多く、1部では40.7%、2部では35.2%でした。

北海道の最低賃金額である「960円」は、1部では21.1%、2部では14.8%です。1部よりも2部で高額の回答のウェイトが高く、例えば、回答選択肢で設けた最高額である「1200円以上」も2部では15.9%を占めます。

なお、「959円以下」はいませんでした。

 

表 1か月の平均的なアルバイト収入

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
2万円未満 14 3.8 13 4.6 1 1.1
2万円~4万円未満 48 13.0 45 16.1 3 3.4
4万円~6万円未満 86 23.4 71 25.4 15 17.0
6万円~8万円未満 125 34.0 86 30.7 39 44.3
8万円~10万円未満 72 19.6 51 18.2 21 23.9
10万円~12万円未満 15 4.1 9 3.2 6 6.8
12万円~14万円未満 2 0.5 1 0.4 1 1.1
14万円以上 6 1.6 4 1.4 2 2.3

1か月の平均的なアルバイト収入を尋ねました。交通費は除いて回答してもらっています。

結果は、1部では、「6万円〜8万円未満」が最も多く(30.7%)、「4万円〜6万円未満」(25.4%)、「8万円〜10万円未満」(18.2%)がそれに次いでいます。

2部では、「6万円~8万円未満」が最も多いのは1部と同じですが、その割合は44.3%と10ポイント以上高く、また、それに次ぐのも「8万円~10万円未満」で全体の4分の1弱を占める(23.9%)など、1部よりも高い収入に傾斜しています。

 

表 最初のアルバイトを始めた時期

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
高校生 120 32.6 78 27.9 42 47.7
大学1年生 217 59.0 175 62.5 42 47.7
大学2年生 25 6.8 21 7.5 4 4.5
大学3年生 6 1.6 6 2.1
大学4年生

ここからは、ワークルールに関することを尋ねました。

まずは、最初にアルバイトを始めた時期を尋ねました。

結果は、1部では「大学1年生」が最も多く62.5%です。次いで「高校生」で27.9%です(「大学2年生」以降は1割に満たないです)。

それに対して2部では、「高校生」と「大学1年生」でそれぞれ47.7%を占めています。

では、最初のアルバイトのこうした経験状況に対してワークルールの認知状況はどうだったでしょうか。

 

表 最初のアルバイトを始めた際のワークルールの認知状況

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
よく知っていた 11 3.0 8 2.9 3 3.4
まあ知っていた 65 17.7 53 18.9 12 13.6
あまり知らなかった 189 51.4 143 51.1 46 52.3
全く知らなかった 103 28.0 76 27.1 27 30.7
(再掲)知っていた計 20.7 21.8 17.0

最初のアルバイトを始める際に、ワークルールを知っていたかを尋ねました(ここでは、ワークルールの内容は細かく指定していません)。

結果は、1部でも2部でも、知らなかったという回答に集中しています。「あまり知らなかった」が最多で(51.1%、52.3%)、「全く知らなかった」が続きます(27.1%、30.7%)。「よく知っていた」は3%前後で(2.9%、3.4%)、「まあ知っていた」(18.9%、13.6%を足し合わせても2割前後です(21.8%、17.0%)。

 

表 現在の、ワークルールの認知状況

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
よく知っている 44 12.0 30 10.7 14 15.9
まあ知っている 179 48.6 143 51.1 36 40.9
あまり知らない 92 25.0 67 23.9 25 28.4
全く知らない 52 14.1 39 13.9 13 14.8
無回答 1 0.3 1 0.4
(再掲)知っている計 60.6 61.8 56.8

次に、現在、ワークルールを知っているかを尋ねました。

結果は、1部でも2部でも、状況は大きく改善されており、「まあ知っている」が最多(51.1%、40.9%)で、2部では「よく知っている」も15.9%です(1部では10.7%)。

 

表 ワークルールを知った手法・契機(対象は、「よく知っている」、「まあ知っている」と回答した者に限定)【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
223 100.0 173 100.0 50 100.0
高校の授業を通じて 21 9.4 14 8.1 7 14.0
大学の授業を通じて 129 57.8 100 57.8 29 58.0
インターネットや本など自分で調べて 71 31.8 54 31.2 17 34.0
アルバイト経験を通じて 110 49.3 75 43.4 35 70.0
メディアを通じて 25 11.2 19 11.0 6 12.0
イベントや講演会を通じて 4 1.8 3 1.7 1 2.0
友人や家族を通じて 34 15.2 22 12.7 12 24.0
その他 3 1.3 1 0.6 2 4.0
無回答 5 2.2 4 2.3 1 2.0

そして、ワークルールを「よく知っている」もしくは「まあ知っている」を選んだ者に、どこであるいはどのように知ったかを複数回答可で尋ねてみました。

結果は、「大学の授業を通じて」が最も多く6割弱を占めます(57.8%、58.0%)。それに対して「高校の授業を通じて」は多くありません(8.1%、14.0%)。

回答で他に多いのは、「アルバイト経験を通じて」や「インターネットや本など自分で調べて」です。前者は、2部では70.0%と最多です(1部では43.4%)。後者は、1部でも2部でも3割強です(31.2%、34.0%)。

 

 高校生からアルバイトを始めているのに「高校の授業を通じて」が少ないのは問題だと思いました。

 私の高校では就職する生徒も多くいました。彼らは「大学の授業を通じて」学ぶ機会がありません。アルバイトで働く以上に、ワークルールを知っている必要性があるのに、、、

 今回の調査は、高校の授業でワークルールを学んだことがあるかどうかを尋ねたものではないのじゃが(ワークルールを現在知っているものにどこで/どのように知ったかを尋ねたものじゃが)、結果はおそらく、推して知るべしじゃろうな。ワークルール教育は、遅くとも高校で開始されるべきじゃな。

 そもそも現在も「あまり知らない」「全く知らない」が全体で4割近くを占めていますからね。

 ちなみに、「アルバイト経験を通じて」ワークルール知ったというのが結構多いと思ったのですが、でもこれって、どこまで正確に知っているんでしょうね。

 そうじゃのう。調査票を作成する際に悩んだものの、ここではざっくりと、ワークルールを知っているかどうかを尋ねるにとどめたからのう。後の設問とクロス集計して確認してみる必要があるかもしれんな。

 

Ⅲ.ワークルールの認知状況をまじえながら、労働条件の各論やアルバイト先での経験

ワークルールの認知状況をまじえながら、労働条件の各論やアルバイト先での経験などを尋ねました。

まずは、雇用契約のことからです。

 

表 現在のアルバイトで働き始める際に労働条件通知書や雇用契約書などの書面を受け取ったか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
受け取った 280 76.1 208 74.3 72 81.8
受け取っていない 34 9.2 27 9.6 7 8.0
わからない、覚えていない 51 13.9 43 15.4 8 9.1
無回答 3 0.8 2 0.7 1 1.1

現在のアルバイトで働き始める際に労働条件通知書や雇用契約書などの書面を受け取ったかどうか尋ねました。「書面を受け取った」には、インターネット上で確認できる場合も含め、調査票にその旨を記載しました。

結果は、1部でも2部でも「受け取った」が最も多く、1部では74.3%、2部では81.8%を占めます。

残りは、「受け取っていない」か「わからない、覚えていない」です。「受け取っていない」が1割弱(9.6%、8.0%)を占めます。

 

表 過去のアルバイトを含め、求人情報と実際が違った経験の有無

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
ある 111 30.2 77 27.5 34 38.6
ない 199 54.1 158 56.4 41 46.6
わからない、覚えていない 58 15.8 45 16.1 13 14.8

過去のアルバイトを含め、求人情報に書かれていた内容と実際が違ったという経験の有無を尋ねました。

結果は、「ない」が最も多いです(56.4%、46.6%)。

一方で、「ある」が、1部では27.5%、2部では4割弱(38.6%)にも達しており、注意が必要です。

では、それはどのような経験だったのでしょうか。「ある」と回答した者に、求人情報と実際とで異なっていた内容・条件を複数回答可で尋ねてみました。

 

表 求人情報と実際とで異なっていた内容・条件(対象は、経験が「ある」と回答した者に限定)【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
111 100.0 77 100.0 34 100.0
雇用期間 9 8.1 8 10.4 1 2.9
試用期間 7 6.3 5 6.5 2 5.9
勤務場所 6 5.4 3 3.9 3 8.8
勤務内容・仕事内容 61 55.0 39 50.6 22 64.7
賃金関連のこと(金額・昇給・賞与・手当等) 35 31.5 25 32.5 10 29.4
働き方関連のこと(勤務時間・休憩・休日・所定外労働) 51 45.9 34 44.2 17 50.0
その他

結果は、1部でも2部でも、「勤務内容・仕事内容」が最も多く、1部では半数(50.6%)を、2部では全体の3分の2(64.7%)を、それぞれ占めています。

他には、「働き方関連のこと(勤務時間・休憩・休日・所定外労働)」も多く、それぞれ44.2%、50.0%です。そして、「賃金関連のこと(金額・昇給・賞与・手当等)」が続いています(32.5%、29.4%)。

 

表 雇用契約を結ぶ際に、賃金などの重要な労働条件は書面で明示されなければならないことを知っているか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
知っている 302 82.1 224 80.0 78 88.6
知らない 66 17.9 56 20.0 10 11.4

最後に、雇用契約を結ぶ際に、賃金などの重要な労働条件は書面で明示されなければならないことを知っているか尋ねてみたところ、1部でも2部でも「知っている」が8割台を占めました(80.0%、88.6%)。

一方で、「知らない」が1部では20.0%ですから、注意が必要です。

 

 働き始める際に書面を受け取った割合が意外に多かったという印象だな。

 でもさ、受け取ったイコール内容をよく理解していた、では、必ずしもないようにも思うよ。

 あ、そうか。

 そうじゃの。その回答選択肢が何を意味しているのかは注意してみていこうぞな。それから、書面を受け取ったかどうかは現在のアルバイトについてじゃからのう。今回は設問をなくなく削ったが、最初のアルバイトで受け取ったかどうかは気になるところじゃのう。

 

 

表 有給休暇制度について知っているか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
よく知っている 110 29.9 78 27.9 32 36.4
まあ知っている 188 51.1 148 52.9 40 45.5
あまり知らない 58 15.8 42 15.0 16 18.2
全く知らない 8 2.2 8 2.9
無回答 4 1.1 4 1.4

次は有給休暇制度に関する設問です。まず、有給休暇制度を知っているかどうか尋ねました。

結果は、1部でも2部でも、知っている(「よく知っている」「まあ知っている」)という回答が多かったです。多いのは「まあ知っている」という回答ですが(52.9%、45.5)、「よく知っている」も、1部で27.9%、2部では36.4%を占めました。

 

表 学生アルバイトも条件を満たせば有給休暇を取得出来ることを知っているか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
よく知っている 167 45.4 118 42.1 49 55.7
まあ知っている 129 35.1 106 37.9 23 26.1
あまり知らない 45 12.2 32 11.4 13 14.8
全く知らない 26 7.1 24 8.6 2 2.3
無回答 1 0.3 1 1.1

次に、学生アルバイトも条件を満たせば有給休暇を取得できるかを尋ねました。学生は有給休暇を取得できない、と誤って理解している(アルバイト先で説明されている)ケースを念頭においてのことです。

結果は、「よく知っている」が、1部では42.1%、2部では55.7%を占め、「まあ知っている」(37.9%、26.1%)もあわせると、全体の8割ないし8割強は知っている、ということになります。

 

表 現在のアルバイト先では学生アルバイトは有給休暇が使用できるか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
使用できる 159 43.2 108 38.6 51 58.0
使用できない 51 13.9 42 15.0 9 10.2
わからない 157 42.7 129 46.1 28 31.8
無回答 1 0.3 1 0.4

しかしながら、では、現在のアルバイト先で学生アルバイトが有休休暇を使うことができるかを尋ねると、「使用できる」という回答は少なくなります。

とくに1部では、「使用できる」が4割に満たない結果で(38.6%)、「わからない」が46.1%を占めます。「使用できない」も15.0%です。

2部では、1部ほど結果は悪くありませんが、「使用できる」は58.0%にとどまります。

では、有給休暇を使えない理由は何でしょうか。「使用できない」と回答した51人(1部42人、2部9人)に尋ねてみました。2部では回答者数が少ないので参考情報程度にとどめます。

 

表 有給休暇を使えない理由(対象は、「使用できない」と回答した者に限定)【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
51 100.0 42 100.0 9 100.0
アルバイトを始めたばかりで付与されていないため 10 19.6 8 19.0 2 22.2
有給休暇はないと言われたため 15 29.4 13 31.0 2 22.2
店長や社員が怖くて使用したいと言えないため 9 17.6 8 19.0 1 11.1
人手不足で使用する余裕・ゆとりがないため 20 39.2 16 38.1 4 44.4
使用を相談・申請してみたが却下されたため 2 3.9 1 2.4 1 11.1
その他 11 21.6 10 23.8 1 11.1

結果は、まず、「アルバイトを始めたばかりで付与されていないため」が1部で19.0%でした(2部で22.2%)。彼らは、勤続が6か月を超えれば使うことができる可能性があります。

多いのは、「人手不足で使用する余裕・ゆとりがないため」で1部では38.1%です(2部では44.4%)。

他には、「有給休暇はないと言われたため」が1部で31.0%です(2部で22.2%)。「店長や社員が怖くて使用したいと言えないため」も1部では19.0%です(2部では11.1%)。

ところで、「その他」が1部で23.8%を占めますが、「その他」の分類・分析にはまだ着手できていないので、本稿では割愛します。

 

表 給料の支払われ方

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
時給制 360 97.8 273 97.5 87 98.9
それ以外(日給制、固定の月給制など) 8 2.2 7 2.5 1 1.1

賃金・給料について尋ねました(調査票では、最初に「賃金・給料」と表記し、ほかは、一般的な「給料」を中心に使いました)。

まず、給料の支払われ方を尋ねましたが、1部でも2部でも、「時給制」がほとんどです(97.5%、98.9%)。

 

表 給料の支払い単位時間(対象は、給料の支払われ方が「時給制」と回答した者に限定)

単位:人、%

全体 1部 2部
360 100.0 273 100.0 87 100.0
1分単位 169 46.9 128 46.9 41 47.1
5分単位 16 4.4 9 3.3 7 8.0
10分単位 5 1.4 4 1.5 1 1.1
15分単位 69 19.2 54 19.8 15 17.2
30分単位 35 9.7 28 10.3 7 8.0
知らない 60 16.7 45 16.5 15 17.2
その他 6 1.7 5 1.8 1 1.1

次に、大手飲食店などで話題にもなった給料の支払い単位時間がアルバイト先でどうなっているかを尋ねました。

1部でも2部でも、「1分単位」は半数を下回りました(46.9%、47.1%)。「5分単位」、「10分単位」、「15分単位」、「30分単位」などをその他の選択肢に設けましたが、「15分単位」が1部でも2部でも多くみられた(19.8%、17.2%)ほか、「30分単位」も1割前後(10.3%、8.0%)でみられました。

なお、アルバイト先での給料の支払い単位時間を「知らない」が1部で16.5%、2部で17.2%を占めています。

 

表 給料の支払い単位時間は1分単位でならなければならないことを知っているか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
知っている 245 66.6 187 66.8 58 65.9
知らない 121 32.9 91 32.5 30 34.1
無回答 2 0.5 2 0.7

給料の支払い単位時間は1分単位でならなければならないことを知っているかを尋ねたところ、およそ3分の2が「知っている」と回答しました(66.8%、65.9%)。

 

表 法定労働時間である8時間を超えて働く場合、通常の賃金の1.25倍の残業手当が支給されることを知っているか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
知っている 257 69.8 192 68.6 65 73.9
知らない 110 29.9 87 31.1 23 26.1
無回答 1 0.3 1 0.4

次に、法定労働時間である8時間を超えて働く場合の割増賃金のルールを知っているか尋ねました。

結果は、「知っている」は1部で68.6%、2部で73.9%でした。

 

表 アルバイト先での残業の発生状況【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
「法定内」残業がよくある 53 14.4 43 15.4 10 11.4
「法定内」残業がたまにある 100 27.2 72 25.7 28 31.8
「法定外」残業がよくある 19 5.2 10 3.6 9 10.2
「法定外」残業がたまにある 44 12.0 36 12.9 8 9.1
「法定内」残業も「法定外」残業もない 143 38.9 112 40.0 31 35.2
その他 2 0.5 1 0.4 1 1.1
無回答 10 2.7 6 2.1 4 4.5

アルバイト先での残業の発生状況について複数回答可で尋ねました。調査票には、「ここでの残業とは、所定の時間を数分だけ超えるようなケースも含」むこと、「「法定内」残業とは、法定労働時間である8時間未満の残業」であること、「「法定外」残業とは、法定労働時間である8時間を超えた残業」であることを記載しました。

結果は、1部でも2部でも「「法定内」残業も「法定外」残業もない」が最も多く、1部では40.0%、2部では35.2%でした。

残業の発生は、「法定外」残業に比べると、「法定内」残業が相対的に多く発生しているようです。具体的には、「「法定内」残業がたまにある」が1部で25.7%、2部で31.8%のほか、「「法定内」残業がよくある」も1部で15.4%、2部で11.4%でした。

 

表 制服への着替え時間にも賃金が支払われる必要があることを知っているか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
知っている 244 66.3 183 65.4 61 69.3
知らない 123 33.4 96 34.3 27 30.7
無回答 1 0.3 1 0.4

支払い単位時間問題と同じくニュースにもなった、制服への着替え時間に賃金の支払いが必要だと知っているかを尋ねました。

結果は、1部でも2部でも「知っている」が全体の3分の2を占めました(65.4%、69.3%)。

 

表 現在のアルバイト先での賃金の未払い経験【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
開店前の準備作業に対して賃金が支払われていない 37 10.1 26 9.3 11 12.5
制服への着替えの時間に賃金が支払われていない 182 49.5 142 50.7 40 45.5
残業・所定の時刻を過ぎた後の作業に対して賃金が支払われていない 37 10.1 30 10.7 7 8.0
法定外残業に対して残業(割増)手当が支払われていない 20 5.4 15 5.4 5 5.7
打ち合わせやミーティングに対して賃金が支払われていない 20 5.4 11 3.9 9 10.2
その他 1 0.3 1 0.4

賃金未払い問題を取り上げて、現在のアルバイト先で経験しているものを選択してもらいました。

結果は、「制服への着替えの時間に賃金が支払われていない」が多くみられました(50.7%、45.5%)。

「開店前の準備作業に対して賃金が支払われていない」や「残業・所定の時刻を過ぎた後の作業に対して賃金が支払われていない」は、それぞれ1割前後でした(前者は9.3%、12.5%。後者は10.7%、8.0%)。

なお、2部では、「打ち合わせやミーティングに対して賃金が支払われていない」も10.2%みられました。

 

 給料の支払い単位時間(未払い賃金)は大きなニュースになっていましたが、アルバイト先で「1分単位」で支払われていると回答したケースは思ったより少ないですね。

 でも、1分単位で支払われなければならないことを「知っている」人は全体の3分の2を占めたよ。

 ルールを学生アルバイトが知っていても、アルバイト先でそのルールが守られているかどうかは別の話だね。有給休暇がその例じゃない?

 そうじゃの。ルールを知ることとル-ルを守らせることは、つながっているものの別物である──この点はワークルール学習において留意すべきじゃの。

 制服への着替えに賃金の支払いが必要であるのは私もニュースで知ったぐらいですからともかくとして、割増のルールが意外に知られていないんだなと思いました。

 そこまで長時間を働いていないからかもしれんの。あと、ワークルールの認知状況を学年(経験)別に分析してみる必要もあるかもしれんのう。

 

 

表 休業手当制度について知っているか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
よく知っている 65 17.7 43 15.4 22 25.0
まあ知っている 93 25.3 66 23.6 27 30.7
あまり知らない 125 34.0 94 33.6 31 35.2
全く知らない 82 22.3 74 26.4 8 9.1
無回答 3 0.8 3 1.1

コロナ禍で話題になったシフトカットと休業手当などについて尋ねてみました。

まず、休業手当制度を知っているかどうかを尋ねてみました。

結果は、1部では知らないほうが多く、2部では知っているほうが多かったです。とはいえ、1部では、「よく知っている」が15.4%、「まあ知っている」が23.6%に対して、2部でも、「よく知っている」が25.0%、「まあ知っている」が30.7%の合計55.7%にとどまりました。

 

表 普段、シフトの希望は通るか(対象は、勤務が「シフト制」と回答した者に限定)

単位:人、%

全体 1部 2部
342 100.0 256 100.0 86 100.0
全て通る 145 42.4 107 41.8 38 44.2
ほとんど通る 176 51.5 132 51.6 44 51.2
あまり通らない 17 5.0 14 5.5 3 3.5
無回答 4 1.2 3 1.2 1 1.2

次に、普段、シフトの希望は通るかを尋ねました。「全て通る」と「ほとんど通る」で大半を占めました(1部では、41.8%、51.6%。2部では、44.2%、51.6%)。

 

表 普段、シフトカットをされることはあるか。その際に休業手当は支払われているか(同上)

単位:人、%

全体 1部 2部
342 100.0 256 100.0 86 100.0
シフトカットの経験があり、なおかつ、休業手当は支払われていない 80 23.4 68 26.6 12 14.0
シフトカットの経験はあるが、休業手当は支払われている 10 2.9 5 2.0 5 5.8
シフトカットの経験がない 247 72.2 179 69.9 68 79.1
無回答 5 1.5 4 1.6 1 1.2

さて、普段、シフトカットの経験があるかどうか、また、その際の休業手当の支給状況を尋ねてみました。

1部でも2部でも、「シフトカットの経験がない」が最も多く、1部では69.9%、2部では79.1%でした。

但し1部では、「シフトカットの経験があり、なおかつ、休業手当は支払われていない」が26.6%みられました。

 

表 普段、早上がりをさせられることはあるか。その際に休業手当は支払われているか(同上)

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
早上がりの経験があり、なおかつ、休業手当は支払われていない 122 33.2 91 32.5 31 35.2
早上がりの経験はあるが、休業手当は支払われている 20 5.4 12 4.3 8 9.1
早上がりの経験がない 209 56.8 162 57.9 47 53.4
無回答 17 4.6 15 5.4 2 2.3

次に、同じく、普段、早上がりの経験があるかどうか、また、その際の休業手当の支給状況を尋ねてみました。なお、その日の賃金が平均賃金の6割に達していれば、休業手当の支給は不要となりますが、今回は、おおまかな状況を把握するため、そのような条件設定はしていません。

さて、結果は、「早上がりの経験がない」が最も多いものの、「シフトカットの経験がない」に比べると、その割合は低く、1部で57.9%、2部で53.4%にとどまります。

代わりに、「早上がりの経験があり、なおかつ、休業手当は支払われていない」が1部で32.5%、2部で35.2%でした。

 

表 シフトカットされた場合、休業手当が支給されることを知っているか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
知っている 87 23.6 53 18.9 34 38.6
知らない 262 71.2 211 75.4 51 58.0
無回答 19 5.2 16 5.7 3 3.4

シフトカットと休業手当に関するワークルールの認知状況を尋ねました。

シフトカットされた場合、休業手当が支給されることを知っているかという問いに対して、「知っている」は1部で18.9%、2部では38.6%でした。

 

表 早上がりさせられるなど予定されていた勤務時間が短縮された場合でも、休業手当が支給されることを知っているか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
知っている 81 22.0 54 19.3 27 30.7
知らない 268 72.8 210 75.0 58 65.9
無回答 19 5.2 16 5.7 3 3.4

同じく、早上がりさせられるなど予定されていた勤務時間が短縮された場合でも、休業手当が支給されることを知っているかという質問に対しては、「知っている」は1部で19.3%、2部では30.7%でした。

 

表 普段、急にシフトを入れられることはあるか(対象は、勤務が「シフト制」と回答した者に限定)

単位:人、%

全体 1部 2部
342 100.0 256 100.0 86 100.0
よくある 21 6.1 16 6.3 5 5.8
まあある 69 20.2 53 20.7 16 18.6
あまりない 124 36.3 89 34.8 35 40.7
全くない 122 35.7 93 36.3 29 33.7
無回答 6 1.8 5 2.0 1 1.2

シフトに関する設問として最後に、逆に、シフトを増やされるケースの有無を尋ねてみました。

まず、普段、急にシフトを入れられることはあるかどうかを尋ねてみました。

結果は、1部では、「よくある」が6.3%、「まあある」が20.7%で、2部ではそれより少ないものの、「よくある」が5.8%、「まあある」が18.6%と、それぞれ合計で4人に1人前後の割合でみられました。

 

表 普段、シフト希望を出してシフトが決まった後に、シフトに追加で入れないかお願いされることはあるか(同上)

単位:人、%

全体 1部 2部
342 100.0 256 100.0 86 100.0
よくある 62 18.1 43 16.8 19 22.1
まあある 145 42.4 118 46.1 27 31.4
あまりない 88 25.7 61 23.8 27 31.4
全くない 43 12.6 31 12.1 12 14.0
無回答 4 1.2 3 1.2 1 1.2

次に、普段、シフト希望を出してシフトが決まった後に、シフトに追加で入れないかお願いされることはあるかどうかを尋ねました。

結果は、1部では、「よくある」が16.8%、「まあある」が46.1%で、2部では、「よくある」が22.1%、「まあある」が31.4%と、どちらも半数を超えていました。

 

 休業手当制度は、コロナ禍で話題になっていて、過去のアルバイト調査でも取り上げられていましたが、今回の調査では、あまり知られていない印象を受けます。

 私も支給された経験がないので、休業手当制度はよくわからない、というのが正直なところです。

 ふむふむ。そもそもの休業時の所得補償の現行ルールをまずは知る必要があるのう。インターネットで閲覧できるものとして、首都圏青年ユニオンという労働組合がまとめた「シフト制労働Q&A」「シフト制労働黒書」のほか、脇田滋・龍谷大学名誉教授の「「シフト制労働」の問題点と法・政策的課題」『月刊全労連』第298号(2021年12月号)pp.1-10を紹介しておくかのう。

 勉強します!

 あわせて、このシフト問題は、回答者の業種・業態にも影響を受けているぞな。

 どういうことですか?

 例えば、1部の回答者のうち飲食店で働いている者は98人(そのうちシフト制は97人)、小売店で働いている者は65人(同61人)じゃ。両者に限定して、シフト制に関する問題状況をみてみると、例えば、「シフトカットの経験はない」は小売店群で88.5%であるのに対して、飲食店群は63.9%にとどまる。同じく、「早上がりの経験がない」も小売店群は81.5%であるのに対して、飲食店群は41.8%にとどまる。つまり、飲食店で働く者において、シフトをめぐる問題が少なからず発生している結果がみられるのじゃ。
 なるほど。業種・業態ごとに少し詳しくみてみる必要がありますね。

 そうじゃ。今回(本稿)は時間がないので、次の連載には間に合わせるのじゃぞ。

 

 

表 アルバイトによって学校生活や日常生活に発生している困った状況の有無【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
休養時間が取れずに困っている 68 18.5 47 16.8 21 23.9
睡眠時間が取れずに困っている 71 19.3 49 17.5 22 25.0
勉強時間が取れずに困っている 74 20.1 50 17.9 24 27.3
体調がすぐれずに困っている 37 10.1 25 8.9 12 13.6
以上のようなことはとくにない 209 56.8 165 58.9 44 50.0
その他 1 0.3 1 0.4
無回答 12 3.3 11 3.9 1 1.1

アルバイトによって学校生活や日常生活で困った状況が発生していないかどうかを尋ねました。

「以上のようなことはとくにない」が最も多いのですが、1部では58.9%、2部では50.0%です。言い方を変えると、他は何らかの困った状況を抱えていることになります。その割合は1部よりも2部で多くみられます。

例えば、「勉強時間が取れずに困っている」が1部で17.9%、2部で27.3%です。「睡眠時間が取れずに困っている」が1部で17.5%、2部で25.0%です。

 

表 1日の労働時間が6時間を超えた場合と8時間を超えた場合の休憩時間の必要性を知っているか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
両方知っている 301 81.8 223 79.6 78 88.6
片方だけ知っている 43 11.7 34 12.1 9 10.2
両方知らない 19 5.2 18 6.4 1 1.1
無回答 5 1.4 5 1.8

休憩に関する実態とワークルールの認知状況を尋ねました。

まず、後者からです。1日の労働時間が6時間を超えた場合、少なくとも45分の休憩時間が必要であること、8時間を超える場合であれば少なくとも1時間の休憩時間が必要であることを知っているかを尋ねました。

結果は、「両方知っている」が8,9割を占めました(79.6&、88.6%)。

 

表 アルバイト先でのあなた自身の休憩時間の取得状況

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
そもそも6時間未満の勤務のため休憩はない 113 30.7 76 27.1 37 42.0
いつも取れている 178 48.4 143 51.1 35 39.8
取れることが多い 33 9.0 24 8.6 9 10.2
取れないことが多い 16 4.3 12 4.3 4 4.5
いつも取れていない 24 6.5 21 7.5 3 3.4
無回答 4 1.1 4 1.4

次は、アルバイト先での回答者自身の休憩時間の取得状況を尋ねました。

結果は、まず、「そもそも6時間未満の勤務のため休憩はない」が1部では27.1%、2部では42.0%でした。

その上で、残りは、「いつも取れている」が多く、1部では51.1%、2部では39.8%でした。

一方で、「取れないことが多い」と「いつも取れていない」をあわせると、1部では1割を超えています(4.3%、7.5%。2部では4.5%、3.4%)。

 

アルバイト先でのトラブル(解雇・雇い止め、ハラスメント)経験や研修・教育の状況について尋ねていきました。

 

表 これまでのアルバイト経験の中での解雇や雇い止めの経験の有無

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
ある 11 3.0 7 2.5 4 4.5
ない 353 95.9 269 96.1 84 95.5
無回答 4 1.1 4 1.4

まず、これまでのアルバイト経験の中で、解雇や雇い止めをされたことがあるかを尋ねました。

結果は、「ない」がほとんどです。「ある」は1部で7人、2部で4人でした。

彼らにその理由を尋ねました。

 

表 解雇や雇い止めをされた理由(対象は、解雇や雇い止めの経験が「ある」と回答した者に限定)【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
11 100.0 7 100.0 4 100.0
能力の不足、仕事ができないため 1 9.1 1 25.0
求められたシフトに入れないことから 2 18.2 2 28.6
人件費削減のため 4 36.4 3 42.9 1 25.0
職場の経営不振のため 3 27.3 2 28.6 1 25.0
出勤しなければならない日に休んでしまうこと(欠勤)が多かったため 1 9.1 1 14.3
態度や素行が悪かったため 1 9.1 1 14.3
その他 1 9.1 1 25.0

結果は、1部では「人件費削減のため」が3人で、他は、「求められたシフトに入れないことから」と「職場の経営不振のため」が2人ずつ、「出勤しなければならない日に休んでしまうこと(欠勤)が多かったため」と「態度や素行が悪かったため」がそれぞれ1人ずつでした。2部は、さらに人数が少ないので、結果は割愛します。

 

表 アルバイトを辞めた経験の有無

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
ある 191 51.9 134 47.9 57 64.8
一度もない 171 46.5 140 50.0 31 35.2
無回答 6 1.6 6 2.1

それに対して、辞めた経験を尋ねました。

1部では47.9%、2部では64.8%が辞めたことが「ある」と回答していました。

その理由はどのようなものでしょうか。

 

表 アルバイトを辞めた理由(対象は、アルバイトを辞めた経験が「ある」と回答した者に限定)【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
191 100.0 134 100.0 57 100.0
学業に専念するため 60 31.4 37 27.6 23 40.4
体調不良や入院等のため 10 5.2 6 4.5 4 7.0
進学や引っ越しのため 37 19.4 20 14.9 17 29.8
就職活動のため 6 3.1 3 2.2 3 5.3
求人で示された情報と実際の仕事内容や労働条件とが異なったため 27 14.1 19 14.2 8 14.0
仕事の内容が自分に合わなかったため 54 28.3 33 24.6 21 36.8
職場の人間関係が悪かったため 62 32.5 43 32.1 19 33.3
残業が多かった・仕事内容がきつかった・シフトに不満があったなど働き方関連の理由のため 50 26.2 35 26.1 15 26.3
時給が低かった・昇給がなかった・賃金の未払いがあったなど賃金関連の理由のため 37 19.4 27 20.1 10 17.5
その他 20 10.5 16 11.9 4 7.0
無回答 4 2.1 2 1.5 2 3.5

離職理由は自己都合と会社都合とに大きく分かれます。

前者に分類されるものの中では、「学業に専念するため」(27.6%、40.4%)、「進学や引っ越しのため」(14.9%、29.8%)が多くみられました。

一方で、自己都合に分類されるものの、職場の問題が色濃い問題として、「職場の人間関係が悪かったため」が全体の3分の1を占めています(32.1%、33.1%)。他に、「残業が多かった・仕事内容がきつかった・シフトに不満があったなど働き方関係の理由のため」も全体の4分の1(26.1%、26.3%)を占めました。「仕事の内容が自分に合わなかった」もとくに2部で多いです(24.6%、36.8%)。「時給が低かった・昇給がなかった・賃金の未払いがあったなど賃金関係の理由のため」も1部で20.1%、2部で17.5%みられます。

そして、「求人で示された情報と実際の仕事内容や労働条件とが異なったため」も7人に1人が回答しています(14.2%、14.0%)。

状況の詳細は今回の調査では尋ねていませんが、単なる自己都合離職ではなく、アルバイト先の労働条件などが関わっている離職は少なくないと言えるのではないでしょうか。

では、アルバイトを辞める際にトラブルはなかったかを尋ねました。

 

表 辞める際のトラブル経験の有無(同上)【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
191 100.0 134 100.0 57 100.0
辞めたいと伝えてもなかなか辞めさせてもらえなかった・先延ばしにされた 27 14.1 15 11.2 12 21.1
代わりのバイトを連れてくるよう言われた 6 3.1 5 3.7 1 1.8
辞める際に教育・研修費や求人費用などを弁償するよう言われた
働いた分の賃金がもらえなかった 2 1.0 1 0.7 1 1.8
以上のような経験はとくになかった 148 77.5 107 79.9 41 71.9
その他 4 2.1 3 2.2 1 1.8
無回答 9 4.7 7 5.2 2 3.5

結果は、とくに経験はなかった(「以上のような経験はとくになかった」)というものが7,8割を占めています(79.9%、71.9%)。

一方で、残りは(無回答を除き)何らかの経験をしており、「辞めたいと伝えてもなかなか辞めさせてもらえなかった・先延ばしにされた」が1部で11.2%、2部で21.1%みられます。

 

続いて、これまでのアルバイト経験の中でのハラスメント経験の有無を尋ねました。厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査報告書
(令和2(2020)年度委託事業)」の「企業調査で使われた調査票(p.214~)」や「労働者調査で使われた調査票(p.227~ )」も参考にしながら、学生アルバイトにより近い言葉に置き換えて、尋ねてみました。

なお、第一に、ここで加害行為を行っている者は、店長や社員のほか、パート・アルバイトなど全ての従業員を含む、ということを調査票に記載しました。

第二に、「以上のような経験はとくにない」という選択肢を設けるべきでしたが、失念してしまいました。

 

表 これまでのアルバイト経験の中でのハラスメントの経験の有無【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
店長や従業員から暴力や暴言を受けた 31 8.4 22 7.9 9 10.2
自身の性格や人格を否定されるようなことを言われた 35 9.5 29 10.4 6 6.8
店長や従業員に威圧感を感じる 109 29.6 79 28.2 30 34.1
店長や従業員に交際を迫られたりひわいな言動をされる 12 3.3 10 3.6 2 2.3
差別(男女差別、学歴差別)を受ける 9 2.4 5 1.8 4 4.5
無視されたり仲間はずれにされる 9 2.4 7 2.5 2 2.3
達成できないような過大な要求をされる 20 5.4 15 5.4 5 5.7
シフトに入れてもらえなかったり仕事を与えられない 14 3.8 9 3.2 5 5.7
客・利用者から、理不尽なクレームや言動を受ける 116 31.5 91 32.5 25 28.4
客・利用者から、交際を迫られたりひわいな言動をされる 14 3.8 9 3.2 5 5.7
ハラスメント被害を店長やアルバイト先に相談したのに、被害を軽視されたり、自分のせいにされたりした 1 0.3 1 0.4
その他 4 1.1 3 1.1 1 1.1

さて、結果は、まず、カスタマーハラスメントに分類される回答が多かったです。具体的には、「客・利用者から、理不尽なクレームや言動を受ける」で、1部では32.5%、2部では28.4%です。

次に、「店長や従業員に威圧感を感じる」が、とりわけ2部で多く、1部で28.2%、2部で34.1%でした。

他は、「店長や従業員から暴力や暴言を受けた」が1部で7.9%、2部で10.2%であることや、「自身の性格や人格を否定されるようなことを言われた」が1部で10.4%、2部で6.8%でした。

なお、この設問でいずれかの回答を選択したものは、1部で280人中145人(51.7%)、2部で88人中53人(60.2%)でした。

 

表 アルバイトを始めた当初に十分な研修・教育を受けられたか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
十分に受けられた 110 29.9 83 29.6 27 30.7
まあ受けられた 193 52.4 145 51.8 48 54.5
あまり受けられなかった 51 13.9 40 14.3 11 12.5
全く受けられなかった 8 2.2 6 2.1 2 2.3
無回答 6 1.6 6 2.1

十分な研修・教育を受けられずに職場で困った経験がある、という話を聞き取りで聞いていたので、この点を尋ねてみました。

まず、アルバイトを始めた当初に十分な研修・教育を受けられたかを尋ねました。

結果は、「十分に受けられた」と「まあ受けられた」をあわせると8割以上を占めました(1部では29.6%、51.8%。2部では30.7%、54.5%)。

残りが「あまり受けられなかった」か「全く受けられなかった」となります(1部では14.3%、2.1%。2部では12.5%、2.3%)。

彼ら59人(1部で46人、2部で13人)に、研修・教育を受けられなかったことでどのようなことに困ったかを尋ねました。

 

表 研修・教育を受けられなかったことで困った経験の有無(対象は、研修・教育を「あまり受けられなかった」「全く受けられなかった」に回答した者に限定)【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
59 100.0 46 100.0 13 100.0
仕事の進め方が分からずに困った 39 66.1 29 63.0 10 76.9
作業効率が悪くなった 21 35.6 14 30.4 7 53.8
仕事上のミスをした 34 57.6 25 54.3 9 69.2
アルバイト先に迷惑がかかった 16 27.1 10 21.7 6 46.2
アルバイト先に損害を与えてしまった 2 3.4 1 2.2 1 7.7
店長や従業員から叱られた 19 32.2 11 23.9 8 61.5
客・利用者に迷惑がかかった 27 45.8 19 41.3 8 61.5
客・利用者に叱られた 11 18.6 7 15.2 4 30.8
以上のような経験はとくにない 11 18.6 10 21.7 1 7.7
その他

結果は、まず多いのが「仕事の進め方が分からずに困った」で、1部で63.0%、2部で76.9%です。

次に、「仕事上のミスをした」、「店長や従業員から叱られた」、「客・利用者に迷惑がかかった」もとくに2部で多いです(2部では順に69.2%、61.5%、61.5%。1部では54.3%、23.9%、41.3%)。

その他の経験を含めて、「以上のような経験はとくにない」は1部で21.7%、2部で7.7%でした。

 

表 これまでのアルバイト経験の中でのノルマや仕事のミスに関する経験の有無【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
ノルマを達成できず、その分を購入させられた 1 0.3 1 1.1
売れ残った商品等を自腹で購入させられた 3 0.8 2 0.7 1 1.1
お店の商品や備品を壊したり、レジが合わなかったりした時に弁償をさせられた 9 2.4 5 1.8 4 4.5
以上のような経験はない 340 92.4 260 92.9 80 90.9
その他 2 0.5 1 0.4 1 1.1
無回答 16 4.3 14 5.0 2 2.3

これまでのアルバイト経験の中で、ノルマや仕事のミスなどに関する経験の有無を尋ねました。

結果は、まず、「以上のような経験はない」が9割を占めていました。

回答選択肢には、「ノルマを達成できず、その分を購入させられた」、「売れ残った商品等を自腹で購入させられた」、「お店の商品や備品を壊したり、レジが合わなかったりした時に弁償をさせられた」などを準備したのですが、目立って多い回答はありませんでした。

 

さて、トラブル経験の有無とあわせて、改善の行動や意思に関して尋ねてみました。

ない、後述のとおり、回答選択肢が妥当であったかなどを、現在検証しているところです。

 

表 過去のアルバイトを含め、アルバイト先の労働条件や労働環境を改善したいと思ったことはあるか。その際に、何か改善の行動を起こしたか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
改善したいと思ったことがあり、改善の行動を起こした 72 19.6 49 17.5 23 26.1
改善したいと思ったことはあるが、改善の行動は起こさなかった 154 41.8 112 40.0 42 47.7
改善したいと思ったことはない 137 37.2 114 40.7 23 26.1
無回答 5 1.4 5 1.8

まずは、過去のアルバイトを含め、アルバイト先の労働条件や労働環境を改善したいと思ったことはあるか。その際に、何か改善の行動を起こしたかを尋ねてみました。

結果は、「改善したいと思ったことがあり、改善の行動を起こした」が1部で17.5%、2部で26.1%、「改善したいと思ったことはあるが、改善の行動は起こさなかった」が1部で40.0%、2部で47.7%となりました。

改善の行動を起こしたかどうかはともかく、改善したいと思ったことがある者が1部で57.5%、2部で73.9%を占めることになります(「改善したいと思ったことはない」は1部で40.7%、2部で26.1%)。

では、改善の行動を起こした者はどのような行動を起こしたか、改善の行動を起こさなかった者のその理由は何であるのかをみていきましょう。

 

表 どのような改善の行動を起こしたか(対象は、「改善の行動を起こした」と回答した者に限定)【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
72 100.0 49 100.0 23 100.0
アルバイトを辞めた 32 44.4 22 44.9 10 43.5
アルバイト先にトラブル改善を訴えた 19 26.4 14 28.6 5 21.7
店長や従業員に相談した 35 48.6 23 46.9 12 52.2
労働基準監督署に相談した 1 1.4 1 2.0
友人や知人に相談した 16 22.2 13 26.5 3 13.0
大学や親に相談した 13 18.1 10 20.4 3 13.0
その他 4 5.6 4 8.2

まず前者は、「店長や従業員に相談した」が最も多く1部では46.9%、2部では52.2%です。

続いて多いのが、「アルバイトを辞めた」で、1部で44.9%、2部で43.5%です。但し、この行動が改善のための行動と言えるかどうかを吟味中です。

1部では他に、「アルバイト先にトラブル改善を訴えた」が28.6%、「友人や知人に相談した」26.5%、「大学や親に相談した」が20.4%と続いています(2部では順に、21.7%、13.0%、13.0%)。

 

表 改善の行動を起こさなかった理由(対象は、「改善の行動を起こさなかった」と回答した者に限定)【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
154 100.0 112 100.0 42 100.0
面倒だったため 98 63.6 79 70.5 19 45.2
関わりたくなかったため 45 29.2 31 27.7 14 33.3
何も変えられないと思ったため 63 40.9 47 42.0 16 38.1
店長や従業員が怖かったため 18 11.7 14 12.5 4 9.5
人間関係が悪くなると思ったため 40 26.0 28 25.0 12 28.6
その他 5 3.2 2 1.8 3 7.1
無回答 2 1.3 2 4.8

逆に、行動を起こさなかった者の理由は何でしょうか。

結果は、「面倒だったため」が最も多く、1部で70.5%、2部で45.2%です。「何も変えられないと思ったため」も1部で42.0%、2部で38.1%と多いです。「関わりたくなかったため」(27.7%、33.3%)、「人間関係が悪くなると思ったため」(25.0%、28.6%)がその後に続きます。

 

表 現在、ワークルールを学ぶ必要性を感じているか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
とても感じている 170 46.2 121 43.2 49 55.7
まあ感じている 167 45.4 133 47.5 34 38.6
あまり感じていない 23 6.3 19 6.8 4 4.5
全く感じていない 3 0.8 2 0.7 1 1.1
無回答 5 1.4 5 1.8

こうした経験の中で現在、ワークルールを学ぶ必要性を感じているか尋ねました。

結果は、「とても感じている」が1部で43.2%、2部で55.7%、「まあ感じている」が1部で47.5%、2部で38.6%と、1部でも2部でも、合計で9割以上を占めます。

もう少しばらつきがあるかと予想していましたが、意外でした。

 

表 学ぶ必要性を感じていない理由(対象は、「あまり感じていない」「全く感じていない」と回答した者に限定)【複数回答可】

単位:人、%

全体 1部 2部
26 100.0 21 100.0 5 100.0
面倒くさいため 11 42.3 8 38.1 3 60.0
役に立たないため 2 7.7 2 9.5
使う機会がないため 4 15.4 4 19.0
興味関心がないため 6 23.1 5 23.8 1 20.0
その他 3 11.5 2 9.5 1 20.0
無回答 1 3.8 1 4.8

なお、学ぶ必要性を感じていない者26人(「あまり感じていない」「全く感じていない」の合計)を対象にしてその理由を尋ねてみました。

人数の相対的に多い1部の結果をみると、「面倒くさいため」が38.1%、「興味関心がないため」が23.8%、「使う機会がないため」が19.0%となっています。

 

表 アルバイト先でトラブルにあった際に相談ができる、双方向のDM・チャット・SNSがあれば使いたいと思うか

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
とても思う 93 25.3 69 24.6 24 27.3
まあ思う 182 49.5 143 51.1 39 44.3
あまり思わない 66 17.9 45 16.1 21 23.9
全く思わない 20 5.4 16 5.7 4 4.5
無回答 7 1.9 7 2.5

アルバイトでトラブルにあった際に相談ができるツールがあれば重宝するのではないか、しかし学生に喜ばれるものはどのようなものか、などを考え、双方向の DM・チャット・SNSがあれば、使いたいと思うかを尋ねてみました。

結果は、「まあ思う」が1部でも2部でも最も多いのですが(51.1%、44.3%)、「とても思う」も、4人に1人前後を占めていました(24.6%、27.3%)。

 

表 現在のアルバイト先の労働条件や労働環境の総合的な満足度

単位:人、%

全体 1部 2部
368 100.0 280 100.0 88 100.0
とても満足している 112 30.4 93 33.2 19 21.6
まあ満足している 199 54.1 146 52.1 53 60.2
あまり満足していない 49 13.3 34 12.1 15 17.0
全く満足していない 3 0.8 2 0.7 1 1.1
無回答 5 1.4 5 1.8

最後に、現在のアルバイト先の労働条件や労働環境の総合的な満足度を尋ねてみました。

結果は、「まあ満足している」が1部でも2部でも最も多く(52.1%、60.2%)、「とても満足している」(33.2%、21.6%)も足し合わせると、8割を超えます。

 

 

 疲れたー。

 なんとか最後までたどりついたのう。調査票の作成にずいぶんと時間をかけてきたし、お疲れじゃったな。で、実際にこうして結果をまとめてみて、どうじゃったかな。

 まだまだ全然読み込めていない感じです。

 最後のトラブル経験や困った経験などは、訴えが思っていたほど多くはなかったかなーという設問もありました。

 そう? 割合が低くても深刻じゃないかな。

 多いとか少ないとかって、数値だけでは単純に言えないってことかな。

 そのあたりの、数字をどう読むかはこれからの作業じゃな。冷静に読むことが必要じゃ。この結果はワークルール的にどう問題であるのか、とか、他の調査結果と比較してみてこの結果はどう評価できるのか、とか、ひとつひとつ丁寧にみていく必要があるぞな。それから、回答選択肢を細かく分けすぎたかもしれぬ設問もあるから、分けるべきだったかどうか検討してみた上で、場合によっては合体させてみることも必要じゃろうな。いずれにせよ、まだ、単純集計の結果しか示せておらんぞ。せっかく回答してくれた方々に報いるためにも、調査結果はとことん活かしきることが必要じゃ。

 ひぇー。

 試練じゃよ試練。ふぉっふぉっふぉっ。

 

(続く)

 

 

 

 

 

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