機会があるたびに、高校生や大学生を対象にした、アルバイトや学費負担等に関する簡易なアンケート調査を行っています。
今回も、およそ60人の大学生を対象に、アルバイト等に関するアンケート調査を行いました(2023年8月初旬)。以下に結果を示します。
労働組合や弁護士など、学校・教育関係者以外の皆さんにも、学生のアルバイトや学費負担をめぐる問題について知っていただき、問題の解決方法を一緒に考えていただければ幸いです。
Ⅰ.属性等
60人強の学生のうち回答してくれたのは59人です。
学年は、「2年生」が32人、「3年生」が19人、「4年生」が8人です。
性別は、「男性」が27人、「女性」が31人、無回答が1人です。
住まいは、「実家・親元で暮らしている」が46人、「「実家・親元」以外で暮らしている(一人暮らし、学生寮、下宿、親戚等の家、兄弟姉妹と暮らしている)」が13人です。
Ⅱ.アルバイトに関する結果
第一に、高校生のときのアルバイト経験を尋ねたところ(複数回答可)、「固定のバイトをしていた」が38人、「単発のバイトをしていた」が6人、「高校生のときにはアルバイト経験がまったくない」が18人です。
表 現在のアルバイトの実施状況(複数回答可)/n=59、単位:人、%
固定のアルバイト1つのみしている | 36 | 61.0 |
固定のアルバイトをかけもちでしている | 13 | 22.0 |
固定のアルバイトと単発のアルバイトをかけもちしている | 5 | 8.5 |
単発のアルバイトのみをしている | 0 | 0.0 |
アルバイトをしているが、他にも探している | 4 | 6.8 |
アルバイトをしていないが、探している(→ Ⅲへ) | 2 | 3.4 |
アルバイトをしておらず、探してもいない(→ Ⅲへ) | 4 | 6.8 |
その他 | 0 | 0.0 |
第二に、現在のアルバイト実施状況を尋ねました(複数回答可)。
回答が多いのは、「固定のアルバイト1つのみをしている」が36人、「固定のアルバイトをかけもちでしている」が13人などです。
なお、「アルバイトをしていないが、探している」は2人、「アルバイトをしておらず、探してもいない」は4人です。
第三に、表はありませんが、かけもちで働いている学生に、かけもちの理由を尋ねました(複数回答可)。
結果は、「いろいろなアルバイトを経験したいため」が10人、「時間をもてあましているため」が3人、「経済的に苦しいのでお金を稼ぎたいため」が7人、「経済的に苦しいわけではないがお金を稼ぎたいため」が同じく7人でした。「その他」が4人です。
以下、現在アルバイトしていない6人を除く53人の回答をみていきます。
なお、第一に、かけもちで働いている学生には、ことわりがない限り、メインのアルバイトについて回答してもらいました。
第二に、6人の中には、過去にアルバイト経験のある者もいましたが、以下の回答では除いています。
表 現在のアルバイトの業種・業態/n=53、単位:人、%
飲食店(居酒屋、バー、ファストフード、ファミレス、専門料理店、食堂、ビアガーデン、カフェ・喫茶店など) | 33 | 62.3 |
小売店(コンビニ、スーパー、百貨店、専門店、衣服小売、ドラッグストアなど) | 16 | 30.2 |
接客・サービス(ガソリンスタンド、ホテル、受付、冠婚葬祭関連、旅行・トラベルなど) | 3 | 5.7 |
教育・保育関連(塾講師、家庭教師、保育など) | 3 | 5.7 |
倉庫・物流・ドライバー(配送・配達、仕分け、宅配、ウーバーイーツなどオンラインの注文・配達の仕事など) | 3 | 5.7 |
オフィスワーク(コールセンター、テレアポ、事務職など) | 3 | 5.7 |
肉体労働(引っ越し、警備・交通誘導、製造ライン、イベント設営、自動車整備、その他肉体労働) | 1 | 1.9 |
アミューズメント・レジャー・イベント・レンタル(パチンコ・パチスロ、映画館、CD・書籍レンタル、ネットカフェ、カラオケ、ダーツ・ビリヤード、ジム・スポーツクラブ、イベント・コンサート、キャンペーンなど) | 4 | 7.5 |
その他 | 1 | 1.9 |
現在のアルバイトの業種・業態を尋ねました(かけもちで働いている学生は、複数回答可)。
結果は、「飲食店」と「小売店」に回答が集中しています(それぞれ33人、16人)。
表 現在のアルバイトの勤続期間/n=53、単位:人、%
働き始めたばかり | 2 | 3.8 |
1,2か月 | 7 | 13.2 |
3〜6か月未満 | 6 | 11.3 |
6か月〜1年未満 | 9 | 17.0 |
1〜2年未満 | 20 | 37.7 |
2〜3年未満 | 3 | 5.7 |
3年以上 | 6 | 11.3 |
第一に、現在のアルバイトの勤続期間を尋ねたところ、「1~2年未満」が20人で多いです。1年以上(「1~2年未満」「2~3年未満」「3年以上」)を足し合わせると29人と全体の半数を超えます。
表 現在のアルバイトを始める際、労働条件や処遇は、書面(電子データを含む)で示されたか/n=53、単位:人、%
書面で示され、かつ、書面も渡された(コピーや電子データを含む) | 31 | 58.5 |
書面で示されたが、書面は渡されていない | 5 | 9.4 |
書面で示されることはなく、口頭で説明されただけ | 5 | 9.4 |
覚えていない | 10 | 18.9 |
その他 | 2 | 3.8 |
第二に、現在のアルバイトを始める際、労働条件や処遇は、書面(電子データを含む)で示されたかを尋ねました。
結果は、「書面で示され、かつ、書面も渡された(コピーや電子データを含む)」が31人です。残りは、「書面で示されたが、書面は渡されていない」が5人、「書面で示されることはなく、口頭で説明されただけ」が5人、「覚えていない」が10人、「その他」が2人です。
第三に、夏休みの影響を避けるため、先月(2023年7月)の1週間の勤務時間数とアルバイト収入を尋ねました。
後者では、かけもちで働いている学生には全てのアルバイト収入を足し合わせるよう明示しました(前者ではうっかり書き忘れました)。
表 先月の1週間の勤務時間数/n=53、単位:人、%
5時間未満 | 1 | 1.9 |
5~10時間未満 | 10 | 18.9 |
10~15時間未満 | 8 | 15.1 |
15~20時間未満 | 16 | 30.2 |
20~25時間未満 | 5 | 9.4 |
25~30時間未満 | 8 | 15.1 |
30~35時間未満 | 3 | 5.7 |
それ以上 | 2 | 3.8 |
注:かけもちの学生に、全てのアルバイトについて合計して回答するよう明示しなかった。
結果は、まず前者については、5時間刻みで尋ねたところ、「15~20時間未満」が16人で最多でした。
20時間以上(「20~25時間未満」「25~30時間未満」「30~35時間未満」「それ以上」)を足し合わせると18人で全体の3分の1を占めます。
表 先月1か月のアルバイト収入/n=53、単位:人、%
2万円未満 | 0 | 0.0 |
2万円以上4万円未満 | 3 | 5.7 |
4万円以上6万円未満 | 11 | 20.8 |
6万円以上8万円未満 | 16 | 30.2 |
8万円以上10万円未満 | 14 | 26.4 |
10万円以上12万円未満 | 5 | 9.4 |
12万円以上14万円未満 | 1 | 1.9 |
14万円以上 | 2 | 3.8 |
無回答 | 1 | 1.9 |
次に後者(アルバイト収入)です。交通費は除くと明記しています。
2万円刻みで尋ねたところ、「6万円以上8万円未満」が16人で最も多く、なおかつ、その前後に回答が集中していました。「4万円以上6万円未満」が11人、「8万円以上10万円未満」が14人です。
なお、10万円以上(「10万円以上12万円未満」「12万円以上14万円未満」「14万円以上」)を足し合わせると8人です。
表 現在のアルバイトの時給/n=53、単位:人、%
919円以下 | 0 | 0.0 |
920円 | 7 | 13.2 |
921~949円 | 0 | 0.0 |
950~999円 | 15 | 28.3 |
1000~1049円 | 17 | 32.1 |
1050~1099円 | 2 | 3.8 |
1100~1199円 | 6 | 11.3 |
1200~1299円 | 5 | 9.4 |
1300円以上 | 1 | 1.9 |
第四に、現在のアルバイトの時給を尋ねました。時間帯や曜日によって異なる場合には、もっともよくあるパターンで回答してもらいました。また、日給制や月給制の場合には、時給に換算して回答してもらいました。
結果は、「950~999円」「1000~1049円」に回答が集中しています。前者は15人、後者は17人で、合計で全体の6割を占めます。
なお、北海道の最低賃金額である「920円」は7人です。
表 アルバイトをする理由/n=53、単位:人、%
遊び・趣味等に使うお金を稼ぐため | 23 | 43.4 |
どちらかといえば、遊び・趣味等に使うお金を稼ぐため | 13 | 24.5 |
どちらかといえば、学費・生活費等を稼ぐため | 6 | 11.3 |
学費・生活費等を稼ぐため | 0 | 0.0 |
どちらも半々 | 11 | 20.8 |
第五に、アルバイトをする理由について、学費・生活費を得るためか、遊び・趣味等に使うお金を得るためかで回答してもらいました。
結果は、「遊び・趣味等に使うお金を稼ぐため」が23人、「どちらかといえば、遊び・趣味等に使うお金を稼ぐため」が13人とこの二者で全体の3分の2を占めました。残りは、「どちらも半々」が11人、「どちらかといえば、学費・生活費等を稼ぐため」が6人です。「学費・生活費等を稼ぐため」は0人です。
さて、以下では、ワークルールを意識した設問(アルバイト先での問題状況・トラブル経験や、ワークルールの認知状況)の結果についてみていきます。
表 アルバイト先での賃金の支払い時間の単位/n=53、単位:人、%
1分単位で支払われている | 21 | 39.6 |
5分単位で支払われている | 2 | 3.8 |
10分単位で支払われている | 5 | 9.4 |
15分単位で支払われている | 9 | 17.0 |
30分単位で支払われている | 7 | 13.2 |
分からない | 9 | 17.0 |
第一に、現在のアルバイト先での賃金(時間外労働、残業)は何分単位で支払われているかを尋ねました。
結果は、「1分単位」が最多で21人でした。一方で、「5分単位」「10分単位」がそれぞれ2人、5人で、さらに、「15分単位」が9人、「30分単位」も7人でした。
なお、「分からない」も9人です。
ところで、本調査では、自分のアルバイト(先)に関しての疑問や悩み・困りごとなどを尋ねています。そこに次のような質問が寄せられていました。助言内容を考えてみましょう。
私の働いている店では30分ごとに働いた時間を紙に書いて記録。しかし、40分働いた場合、1時間働いたと書くわけにはいかないが、30分働いたと書くのも損した気持ちになる。このような場合どうすればよいのでしょうか。
第二に、シフト制について尋ねました。
まず、現在のアルバイトがシフト制かどうかを尋ねました(シフト制とは、「勤務シフトに入るかどうかを一定の期間ごとに決める働き方」と注記しました)。
結果は、53人中51人が「シフト制」でした。残りの2人は「完全な固定勤務制」です。
次に、シフト制で働いているという51人に対して、シフトが組まれる周期を尋ねました。
結果は、「1週間ごと」が12人、「2週間・半月ごと」が18人、「1か月ごと」が20人、無回答が1人です。
最後に、シフトに関しての困りごとを尋ねました(複数回答可)。
表 シフトに関しての困りごと・経験(複数回答可)/n=51、単位:人、%
急にシフトに入れられる | 7 | 13.7 |
入れないことをすでに伝えているのにシフトに入れないかどうか問い合わせの連絡がくる | 7 | 13.7 |
シフトに希望通りに入れないことが多い | 3 | 5.9 |
シフト希望を多く出さないと、シフトに入れてもらえない | 3 | 5.9 |
シフトの決まるのが遅い | 9 | 17.6 |
シフトに入れるか入れないかで、スタッフ間で差別的な扱いがある | 2 | 3.9 |
すでに決まっていたシフトが取り消しにされることがある | 2 | 3.9 |
以上のような問題はとくにない | 31 | 60.8 |
無回答 | 3 | 5.9 |
結果は、全体の6割を占める31人は、とくに問題はない(「以上のような問題はとくにない」)と回答しています。
残りの回答では、「シフトの決まるのが遅い」が9人で、「急にシフトに入れられる」と「入れないことをすでに伝えているのにシフトに入れないかどうか問い合わせの連絡がくる」がそれぞれ7人と多く回答されています。
第三に、有給休暇制度について質問をしました。
まず、有給休暇制度を知っているかを尋ねました。「知っている」が53人中43人と8割を超えています。残りは、「名前ぐらいは知っている」が7人で、「知らない」は2人にとどまります(無回答が1人)。
次に、勤続期間などの条件を満たせば、学生アルバイトでも有給休暇を使うことができることを知っていたかという質問に対しても、「知っていた」が41人と多数です(残りは、「知らなかった」が10人、無回答が2人)。
しかし最後に、自分のアルバイト先で学生アルバイトが有給休暇を使うことができるかを尋ねたところ、次のような結果でした。
表 自分のアルバイト先で学生アルバイトが有給休暇を使うことができるか/n=53、単位:人、%
できる | 25 | 47.2 |
できない | 1 | 1.9 |
分からない | 26 | 49.1 |
無回答 | 1 | 1.9 |
すなわち、「できる」という回答が25人にまで減少し、「できない」という回答が1人、そして、「分からない」という回答が26人という結果でした。
第四に、ざっくりとした表現ですが、休業手当制度についても尋ねました。
まず、使用者の都合で労働者を休業させた場合に支給される「休業手当」制度を知っているか尋ねてみました。
結果は、有給休暇制度と異なり、「知っている」は21人にとどまり、「名前ぐらいは知っている」が14人、「知らない」が17人、無回答が1人でした。
次に、学生アルバイトに対する急な早上がりの要請やシフトカットに対しても休業手当が支給されることを知っているかを尋ねたところ、「知っていた」が6人、「知らなかった」が46人、無回答が1人でした。
第五に、アルバイト先での問題状況やトラブル経験を尋ねました(複数回答可)。現在のアルバイト先の経験だけに限定せず、過去のアルバイト先での経験も含みました。
また、問題状況・トラブル経験については、差し支えのない範囲で具体的に書いてもらいました。その結果もあわせてみていきましょう。なお、自由記述は、句読点(とくに句点)をつける程度にとどめました。
表 現在及び過去のアルバイト先での問題状況・トラブル経験(複数回答可)/n=53、単位:人、%
雇い止めにあったり解雇されたことがある | 0 | 0.0 |
求人情報に書かれていたのと仕事内容や労働条件が異なる | 6 | 11.3 |
仕事が忙しく、休憩が取れなかったりカットされる | 12 | 22.6 |
仕事の量が多かったり負担が大きい | 18 | 34.0 |
慢性的に人手不足である | 21 | 39.6 |
忙しいとあがらせてもらえなかったり、あがりにくい雰囲気がある | 12 | 22.6 |
急な早上がりの要請やシフトカットを経験したことがある | 10 | 18.9 |
契約にない仕事やアルバイトがやるべきでないような仕事を押しつけられる | 3 | 5.7 |
開店前の作業や閉店後の作業など不払い労働・サービス残業がある | 1 | 1.9 |
本来支払われるべき割増賃金が支払われていない | 5 | 9.4 |
ノルマを課されたり、買い取りをさせられる | 1 | 1.9 |
仕事上のミスを弁償させられる | 3 | 5.7 |
コロナ禍で休業手当が支給されなかった | 1 | 1.9 |
職場内での嫌がらせ・暴言・セクハラがある | 9 | 17.0 |
客からの嫌がらせ・暴言・セクハラがある | 8 | 15.1 |
客からのクレーム対応をさせられる | 9 | 17.0 |
仕事で怪我や火傷などを経験した | 10 | 18.9 |
以上のような問題状況や経験はとくにない | 13 | 24.5 |
無回答 | 5 | 9.4 |
結果は、まず、とくに問題やトラブル経験はない(「以上のような問題状況や経験はとくにない」)という回答は13人で、4人に1人の割合です。
では、残りの回答者はどのような経験を、現在あるいは過去にしているか、みていきましょう。
まず、「慢性的に人手不足である」という回答が20人であるのを中心に、「仕事の量が多かったり負担が大きい」が18人、「忙しいとあがらせてもらえなかったり、あがりにくい雰囲気がある」が13人、「仕事が忙しく、休憩が取れなかったりカットされる」が12人など、多忙に関連する訴えが多くみられます。
人が足りなすぎて営業が成り立たなかった。
最低賃金なのにかなり仕事量が多く人手も足りない。
品出しバイトの時に、どんどん1日に来る荷物の量が増ているのに、人手が足りず残業したり2人分の仕事を頑張ってこなしたりしていたことがすごく負担が大きくストレスだった。
忙しく時間通りに終わらなくて、誰もあがれなく、自分もあがりにくい雰囲気があったりした。
夜勤に入ってくれる人が少なく、一時期私が週5日で出勤していた時に、残り2人の夜勤の方が、用事とお子さんの病で出れない時が重なり、10日連勤に。
〔飲食店で〕過去にアルバイトした時に、〔スタッフの〕お休みの期間が重なり、物凄い人手不足に陥り、一時的にフロアのリーダーにさせられた。本当は時給がいくらか上がるところ、リーダーとなっても上げてくれなかった。
アルバイトが4人しかいないため人手不足である。
欠勤する場合に自分の代わりを探すのが大変。具合が悪い時になかなか見つからないと精神的にまいってしまうため、このシステムを変えて欲しい。
他に多いのは、「急な早上がりの要請やシフトカットを経験したことがある」が11人、「仕事で怪我や火傷などを経験した」が11人です。
後者では、「キッチンで調理中の火傷」「炙り焼きのとか〔き〕に鉄板で火傷した」などが自由記述で書かれていました。
さて、学生アルバイトのハラスメント経験も気になります。
ハラスメント関連の結果は、「職場内での嫌がらせ・暴言・セクハラがある」が10人、「客からの嫌がらせ・暴言・セクハラがある」が8人のほか、「客からのクレーム対応をさせられる」が9人です。
アルバイトという立場の弱さ、お店の忙しさなどを背景にしたハラスメントのほか、接客の最前線で働くことが多いことから生じる客からのハラスメントが示唆されます。
酔ったお客さんに手を握られたり抱きつかれるなどのセクハラを受けたことがある。
過去のアルバイト先で、店長からの待遇の差が激しく、店長への言葉遣いが少しでも間違うと強く注意されたり、仕事を教えてもらえなかったりなどの軽い嫌がらせを受けたことがある。
店長がいなかったため代理でクレーム対応をした。
特定の男性客が電話や直接シフトを聞いてくる。自分が出勤の時に必ずくる、自分だけ下の名前で呼ばれる、下ネタ等々。店長に相談するも気にしすぎとだけ言われて、現在もやめてもらえず対処もしてもらえない。
体をベタベタ触られるなどのセクハラ行為をされたことはありませんが、今の発言セクハラに該当するのでは?というようなことはありました。
クレーム対応は、夜勤中では責任者の方は帰られているので、自ずと対応しなければならないことがあります。
酔っ払いにからまれる(警察沙汰になりました)。
難癖つけられて文句を言われる。馬鹿にされるような態度をとられるなど。
ところで、先ほど賃金の支払い単位をみましたが、不払いの回答は多くありませんでした。
「開店前の作業や閉店後の作業など不払い労働・サービス残業がある」は1人、「本来支払われるべき割増賃金が支払われていない」は5人でした。
サービス残業してその時間にタイムカードを切ったら修正された。
以上のような問題はどう解決していったらよいか、具体的に考えてみましょう。
Ⅲ.学費負担、奨学金利用に関する調査結果
学費負担や奨学金利用についてみていきます。回答者は59人です。
第一に、2020年度から始まった高等教育の修学支援新制度を知っているか尋ねました。
結果は、「知っている」が32人、「知らない」が27人です。
第二に、学費負担者・学費の原資を複数回答可で尋ねた上で、そのうち最大のものを一つ選んでもらいました。
表 学費負担者・学費の原資(複数回答可)と、そのうちの最大のもの/n=59、単位:人、%
複数回答可 | そのうち最大 | |||
親の収入 | 49 | 83.1 | 48 | 81.4 |
高等教育の修学支援新制度(授業料の減免、給付型奨学金) | 13 | 22.0 | 2 | 3.4 |
その他の給付型奨学金 | 5 | 8.5 | 1 | 1.7 |
貸与型奨学金(返済を必要とする奨学金) | 20 | 33.9 | 5 | 8.5 |
自分自身のアルバイト収入 | 11 | 18.6 | 0 | 0.0 |
その他 | 1 | 1.7 | 2 | 3.4 |
無回答 | 1 | 1.7 | 1 | 1.7 |
結果は、まず複数回答可で尋ねると、「親の収入」が49人で8割を超えています。次いで、「貸与型奨学金」が20人、「高等教育の修学支援新制度」が13人と続きます。「自分自身のアルバイト収入」をあげたものも11人います。
そのうちの最大を一つ回答してもらったところ、「親の収入」が48人です。他は10人に満たない回答ですが、「貸与型奨学金」が5人で続いています。
第三に、日本学生支援機構による「貸与型」の奨学金について尋ねました。
表 日本学生支援機構による貸与型奨学金の利用状況/n=59、単位:人、%
利用していない | 35 | 59.3 |
利用している(第一種のみを利用している) | 12 | 20.3 |
利用している(第二種のみを利用している) | 6 | 10.2 |
利用している(第一種と第二種を併用している) | 1 | 1.7 |
利用しているが、内容が分からない | 3 | 5.1 |
無回答 | 2 | 3.4 |
まず、利用しているかどうかを尋ねました。
35人が「利用していない」、利用しているという回答の合計が22人、無回答が2人です。なお、利用しているという回答の中では、「第一種のみを利用している」が12人で最多です。
次に、利用しているという22人に対して、貸与型奨学金の利用金額(月額)を尋ねました。
表 貸与型奨学金の利用金額(月額)/n=22、単位:人、%
2~3万円台 | 5 | 22.7 |
4~5万円台 | 9 | 40.9 |
6~7万円台 | 2 | 9.1 |
8~9万円台 | 3 | 13.6 |
10~11万円台 | 1 | 4.5 |
それ以上(12万円以上) | 1 | 4.5 |
金額は分からない | 1 | 4.5 |
結果は、「4~5万円台」が9人で最多です。
なお、4年間で400万円近くの利用金額になる、月額8万円以上の利用者は、5人です。
表 学費の負担/n=59、単位:人、%
非常に大きい | 22 | 37.3 |
まあ大きい | 19 | 32.2 |
あまり大きくない | 2 | 3.4 |
まったく大きくない | 1 | 1.7 |
分からない | 14 | 23.7 |
無回答 | 1 | 1.7 |
第四に授業料など学費の負担を尋ねました。
結果は、「非常に大きい」が22人、「まあ大きい」が19人で、「分からない」は14人にとどまりました。
表 奨学金やアルバイト収入がなかった場合の修学の継続可能性/n=59、単位:人、%
十分に可能である | 28 | 47.5 |
修学の継続は不自由になる | 13 | 22.0 |
修学の継続は困難になる | 15 | 25.4 |
無回答 | 3 | 5.1 |
最後に、奨学金やアルバイト収入がなかった場合、学費負担者からの支出だけで修学の継続が可能かを尋ねました。
結果は、「十分に可能である」が28人、「修学の継続は不自由になる」が13人、「修学の継続は困難になる」が15人、無回答が3人でした。
学費負担の大きさについても、少し大きな視点で調べて/考えてみましょう。
(参考教材)
川村雅則ゼミナール「新型コロナウイルス禍の学生生活等をめぐる問題」『地域研修報告書2020』2021年3月発行
川村雅則ゼミナール「新型コロナウイルス禍の下での学生アルバイト等」『地域研修報告書2021』2022年3月発行
川村雅則ゼミナール「コロナ下3年目における学生アルバイト等」『地域研修報告書2022』2023年3月発行
川村雅則「学校で労働法・労働組合を学ぶ(アルバイトを始める前の心構え)」2015年10月発行
川村雅則ゼミナール「大学生の学費負担・奨学金利用に関するデータ」2022年7月4日配信
厚生労働省「これってあり?~まんが知って役立つ労働法Q&A~」
厚生労働省「「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施」2018年3月22日
厚生労働省・あかるい職場応援団(ハラスメント対策の総合情報サイト)
労働者福祉中央協議会(中央労福協)「奨学金問題リーフレット」
労働者福祉中央協議会(中央労福協)「アンケートから見えてきた奨学金問題」