労働相談

よしね室長の労働相談!最前線③ 未払い賃金を請求したら、就労拒否!?/年休申請をしたら、退職強要!?

札幌ローカルユニオン「結」の吉根です。

前回は、労働条件の不利益変更というちょっと難しい話をしました。労働法や労働組合の対策の前に、世間では、どのような労働問題がそもそもあるのかをお伝えしたほうがよいですね。今回はハラスメントの問題を扱います。

 

 

未払い賃金を請求したら、就労拒否!?

 

Mさん(32歳、女性)は、D社で歯科技工師としてオール歩合給で働いていましたが、D社が最低賃金法に違反し時間外手当も払わないため、2012年2月に私たちの組合「結」に加入して、未払い賃金を払わせました。

ところがMさんはそれ以来、職場で孤立させられ、同僚から無視される状態が続きました。そして9月には、不当な理由で解雇されるに至ったのです。

もっともこのときも労働組合が機敏に動いて不当解雇は撤回させました。

が、会社は虎視眈々とMさんを職場から排除しようと狙っていたのです。2014年12月にMさんは、仕事を覚えるのに2年間の猶予を与えるからと言われて、配置転換に応じました。ところが、直属の上司から、「仕事が遅い」、「辞めて行けば」などのハラスメントを受けて、6月初めに、メンタル不全で休暇(年次有給休暇と欠勤)を取ることになってしまいました。

それでも6月の下旬には、職場復帰が可能であるという診断を医師から受けて、会社に出ようとしましたところ、今度は会社は、「安全配慮義務」を理由にしてMさんの就労を拒否してきたのです。

「結」は、一連の会社の行為は、Mさんを職場から排除するための、労働組合法で禁止された不当労働行為(労働組合法第7条第1項)に他ならないとして、北海道労働委員会に救済の申し立てをして闘うことを決意しました。

労働組合法

(不当労働行為)

第七条 使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。

一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。

 

 

年休申請をしたら、退職強要!?

Aさん(25歳、女性)は、お年寄りの体力づくりなども手がける介護施設で看護師として勤務して7か月になります。この事業者は、事業規模を北海道で急拡大しています。

職場のルールでAさんには疑問がありました。「年次有給休暇を取得したら精勤手当がカットされる」と複数の職員から聞かされているのです。精勤手当というのは、仕事を休む(欠勤する)ことなく働いた場合に支給される手当です。有休を取得すると精勤手当のカット? 年休取得を理由とする不利益な取り扱いは禁止されていると厚生労働省のハンドブックをみてAさんは知っていたので、疑問に思っていました。

今年、入院する親の看病で有休を取りたいと思い、意を決して、「有休を取得すると精勤手当が支給されないと聞きました。労基法を確認したところ、不利益な取り扱いをしないようにとなっています。会社としてどのように考えますか。」と上司に書面で質問をしました。

その場では「精勤手当はカットされない」という回答を上司から得られましたが、ところが翌日に本社に呼び出されて、取締役から、「うちは労働基準法をクリアしている。顧問弁護士もいてどこから訴えられても絶対に負けない。労働基準法がどうのこうの、会社に対してそのようなことを言ってくる姿勢はなんだ、そんなネガティブな社員を現場にはおいておけない。」と責められ、始末書まで書かされました。

その後、母親の入院が決まり、有休の取得申請をしたAさんに対して会社は、専務や社長が直接「看病でこんなに年休を取るのか」、「会社の理念が分かっていない」、「うちの会社に向いてない」などの暴言を浴びせて、またもや始末書を書かせて、賃金を一方的に減額するということをしてきました。Aさんはすっかりメンタルを崩してしまい、休職を余儀なくされましたが、会社によるこうした不当な権利侵害を許すことは出来ないと、私たちの組合「結」に加入しました。そして現在、団体交渉で社長の謝罪を求めて闘っています。

幸いAさんは、会社から理不尽な扱いを受けてから、パワハラの実態をボイスレコーダーで録音していました。団体交渉でしらを切ろうとしていた会社役員は、証拠を前に一言も発することが出来なくなりました。

 

いかがでしょうか。

未払い賃金の請求も、年次有給休暇の取得も、働く者が権利として認められている行為のはずです。いや、むしろ前者は、未払い賃金自体が本来は許されないことです。ところが、日本の労働現場はこのような状況なのです。

 

もちろんどちらの問題も労働組合で解決をしました。

皆さんも職場でトラブルにあったときには、労働組合にご相談を。

札幌ローカルユニオン「結」 は皆さんの力になります。

 

以上、札幌ローカルユニオン「結」機関紙「よしね室長の労働相談!最前線」no.01、no.06より。

 

 

 

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