反貧困ネット北海道「北海道知事選挙、札幌市長選挙に関する公開質問と回答(2015年)」

 

 

※過去(2015年)の選挙における候補者への公開質問と回答です。ご注意ください。

札幌市長選挙(2015年)

公開質問の前文

札幌市長候補者 殿

2015年3月2日
反 貧 困 ネ ッ ト 北 海 道

札幌市長選挙に関する公開質問へのご回答のお願い

平素は私どもの活動に対するご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

企業業績の改善、株価の上昇などが言われていますが、私たちの日々の暮らしは相変わらず厳しいままです。

関係者の取り組みで減少こそしてはいるものの、自殺者の数は異常と言わざるを得ません。雇用情勢も、失業率こそ改善されたものの、増加した雇用の多くは非正規雇用であって、年収200 万円以下のワーキングプアが増加し続けています。窮迫的な求職活動が行われていることが示唆されます。税・社会保障についても、消費増税は社会保障の拡充のためと説明されていましたが、実際には、例えば介護報酬の引き下げや生活保護基準の引き下げなどが相次いでいます。

こうした事態に、自治体としてどのような対応をとるのかが問われています。

そこで私たち反貧困ネット北海道では、このたびの札幌市長選挙に際して、候補者のみなさまに、反貧困に関わる政策についての公開質問をさせていただきます。

候補者が、社会の現状をどう認識し、どのような政策を実現されようとしているのか、ぜひ教えていただきたいと思います。

ご回答につきましては、ひろく道民、市民にも知ってもらうため、報道機関への提供やホームページでの公開などを予定しています。
※ご回答につきましては、電子データにて事務局までお送りくださいますようよろしくお願い致します。

反貧困ネット北海道 事務局
〒064-0808 札幌市中央区南8条西2丁目
市民活動プラザ星園305 号室
電話・FAX 011(533)3778

 

候補者への質問

◆労働

1. 働きたくても働くことができない、という失業問題がなお深刻です。経済対策を通じた雇用の改善はもちろん重要ですが、自治体自身が雇用創出を図ったり生活保障付きの教育訓練に力を入れるなど、雇用問題へのより直接的、積極的な取り組みもまた重要です。札幌市としてどのような取り組みを実施されるつもりですか。また学生・若者の雇用問題に特化した対策をお考えであれば教えてください。

2. 公共サービスに従事する人たちの間で不安定雇用・ワーキングプア問題が広がっています。自治体は民間企業に対して模範であるべきと考えます。

① 自治体はいま、正職員を減らして、臨時・非常勤職員を増やしています。臨時・非常勤の雇用は不安定で、任用と任用のあいだに「空白期間」を設けたり勤続年数に上限を設けるなどの問題もみられます。また賃金は著しく低く、しかも経験を経ても昇給や退職金の支給もありません。臨時・非常勤のこうした任用状況に対しては、総務省も2014 年7 月に通知を出して改善を促しています。札幌市としてどのような対策を実施されるつもりですか。

② 自治体財政の逼迫や競争入札制度の導入などを背景に、公共事業や委託事業の発注価格が引き下げられてきました。結果として、自治体が発注している仕事で働く人たちの間に雇用不安や低賃金問題が広がっています。全国の自治体では、こうした問題に対して入札制度の改善や、指針や条例による公契約の適正化を推進しております。札幌市としてどのような対策を実施されるつもりですか。

3. 「ブラック企業」「ブラックバイト」など、とりわけ若い労働者を使い捨てる企業が問題になっています。相談窓口の設置・拡充、ワークルールの普及、悪質企業に対する処分など自治体も積極的に役割を果たすべきと考えます。札幌市としてどのような対策を考えていますか。

◆学費問題

1. 学費問題が深刻です。国公立大学の授業料は約53 万円、私立大では100 万円を超えます。新たな奨学金制度を創設する、あるいは、現在行っている奨学金制度を充実させる(貸与制から給付制への変更、給付制枠の拡大)などの対策が必要と考えますが、札幌市としてどのような対策を実施されるつもりですか。

◆ひとり親家庭

1. ひとり親家庭支援の制度の周知度、利用度が低い状況にあります。他の自治体では、制度の内容や利用方法を書いたひとり親家庭サポートガイドや手帳などが発行されています。今後札幌市として、どのような周知方法を考えていますか。

2. 経済的な困窮度の高いひとり親家庭では医療費負担のため通院をためらうケースが少なくありません。医療費助成として、親の通院時の窓口負担の軽減措置は考えていますか。

◆子どもの貧困

1. 「子どもの貧困対策推進に関する法律(2013 年成立)」の施行を受けて、札幌市として重点的に進めるべき課題は何だとお考えですか。またその課題を具体的にどのように達成しようとお考えですか。

◆障害者福祉

1. 現在身体障害者と知的障害者にある公共交通機関交通費割引を、精神障害者に拡大する必要があるとお考えですか。また実現できるように民間事業者へ働きかけを行う予定はありますか。

2. 障害者雇用状況の改善のために、どのような取り組みをお考えですか。また身体障害者はもとより、知的障害者や精神障害者や難病者の雇用をモデル的な意味合いを含めて札幌市として取り組むお考えはありますか。

3. 札幌市独自の制度である「札幌市障がい者協働事業」を発展させて、障害者だけではなく、社会的困難(生活困窮者など)を抱える人たちのとの一緒に働ける協働事業制度が必要と考えますが、いかがでしょうか。

◆生活保護

1. 職権保護に関して

生活に困窮し、単身もしくは社会的弱者の複数世帯の孤立死や餓死、凍死が存在したことについて、地域では市民や関係機関による見守り活動が盛んになっています。しかし、憲法第25 条の権利が危ぶまれるような場合、あるいは緊急性の高い場合、行政でなければ踏み込めない支援や介入があります。

生活困窮だけではなく、養育困難による児童虐待、介護困難による高齢者や障しょうがい者虐待、心中など、痛ましい事故が相次ぐ中、市民による見守りをどのように活かすか、行政の活動が問われています。

生活保護法上の職権保護(法4 条3 項)について、札幌市としてどのような現状の認識と課題をおもちですか。

またその対策について、どのような取り組みをお考えですか。

特に、札幌市においては、昭和59 年保護打ち切り母子世帯児童の白石区焼死、昭和62年1 月白石区母子世帯の保護申請の餓死、平成4 年、豊平区同意書偽造、平成24 年1 月白石区保護申請相談後の姉妹孤立死など、相次ぐ諸問題の対策をいかように捉え、どのように再発防止への取組みをお考えですか。

2. 適正化実施のための人材育成

不正受給者への取組みの適正化については国をあげての取組みが行われています。しかしながら、生活保護の適正な決定について、職員の経験不足や無知による漏給や水際、不適正事例もあとを絶ちません(住民票の有無を理由に断る、辞退届を強要、廃止処分の過程、扶養義務の説明など)。

捕捉性の原理から他法優先の相談支援及び助言・指導の徹底には、経験と知識は最低限必要であります。これらの専門性をもちつつ、新しい法律や情勢に即した適正な保護の実施のため、人事や組織体制を含め、どのような保護行政の運営・対策をお考えですか。

◆生活困窮者自立支援法の施行について

1. 総合相談に対応するために

生活困窮者自立支援法の自立相談支援事業が平成27 年4 月から施行されます。下記のようなメニューが考えられますが、札幌市としてどのような取り組みをお考えですか。

・生活困窮者(特定が困難であれば道民)への制度と相談窓口などの周知、
・地域や関係機関への制度周知、具体的な連携事例及び事業活用事例などの広報、
・高齢、障害、介護、児童、女性、生活保護など各法制度に渡り全方位に通じる人材の確保及び育成方法、それに伴う庁舎内の連携・協働体制整備の方法、
・アウトリーチによる支援の確立方法、
・委託事業者への指導・助言・支援ができる行政の人財確保もしくは体制整備方法、

2. 個人情報と情報の共有について

町内会やライフライン(水道、電気、ガス)、新聞、宅急便やコンビニなどとの情報共有化、通報に対しての行政の行動基準、また庁内連携(国保、児童課などの庁舎内及び、社保庁や他官公庁)や情報の取扱いについてどのような対応をすべきとお考えですか。

 

候補者からのご回答

 

飯田佳宏 本間なな 春木ちえ 秋元克広
労働 1 札幌市は、自治体や常時雇用が300人を超える大規模な社会福祉法人・医療法人・学校法人の最低賃金を1,000円、資本金3億円以上かつ常時雇用が300人を超える大規模民間企業の最低賃金は1,500円としていきます。
若者についても、同じ仕事をしているのに待遇が差別されている現状は変え、同一労働同一賃金を適用します。
さて、私の市政運営の基本的な姿勢は、「あなたの声を受けとめて、“優しく”“力強く”“心かよう”さっぽろへ」を目指しており、障がい者福祉や生活困難世帯等への対応の具体的な政策として、次の項目を掲げております。

「○障がい者の方々の生活自立への支援を充実します。
・精神障がい者に対しての地下鉄、電車の運賃割引を実施します。
・関係機関との連携により、障がい者リハビリセンターの整備を進めます。
・障がい者の職業体験に基づく就労支援を企業と連携して実施します。
○生活困難世帯への支援を強化します。
・生活保護世帯への就労支援策を充実し、世帯ごとに適切な対応を図ります。
・子どもの貧困対策を保育所・学校・地域・関係機関と連携して見守る仕組みをつくります。
・生活が困難な高齢者が暮らせる住まいの確保を行います。」

つきましては、申し入れのありました質問項目につきましても、上記の基本的な考えに基づきまして、十分に検証し、真摯に取り組んでまいりたいと考えております。

市の若年層雇用安定助成金やフレッシュスタート塾をさらに充実するとともに、深刻となる若者の雇用問題の打開にむけて有識者などを含む検討委員会を立ち上げます。 ・首都圏本社機能の移転や企業誘致、超高齢社会を見据えた福祉・医療分野などの産業人材の育成、観光産業の振興など、経済政策に力を注ぎ、若者の道外流出の防波堤機能を果たします。
・このほか、北海道や経済界とともに季節労働者の通年雇用を促進するとともに、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、ひとり親家庭の経済的自立を促す資格取得に係る費用助成を充実させます。
2-① 札幌市は、過去1年にさかのぼり、非正規雇用の希望者を研修の上、正規雇用とします。週あたり15時間以上勤務するものから正規雇用としてまいります。 非常勤職員、臨時職員の給与を大幅に引き上げることが必要です。また、臨時的・補助的な業務などに限るという制限を厳格に適用し、くり返しの任用など実態に応じて正規職員として雇用する仕組みを作ります。指定管理者制度は、廃止を含め抜本的に見直す必要があると考えます。 ・臨時職員は臨時的、季節的な業務などの補助として、また、非常勤職員は専門的かつ短時間の業務に充実するために任用するものであり、正規職員とは職責や勤務形態が基本的に異なるものですが、同一労働同一賃金を原則としつつ、今後も、それぞれの役割を踏まえ、適切な任用を行っていきます。
2-② 札幌市は、自治体や常時雇用が300人を超える大規模な社会福祉法人・医療法人・学校法人の最低賃金を1,000円、資本金3億円以上かつ常時雇用が300人を超える大規模民間企業の最低賃金は1,500円としていきます。札幌市は、公契約条例を制定します。働く人のより一層の犠牲の下に成り立つような公との契約は市民の皆様も求めていないと考えます。公契約において女性の雇用、女性リーダーの数、ハンディキャップを持つ市民の雇用、 ハンディキャップを持つ市民のリーダーの人数の多さ、そして、雇用される市民の賃金水準を高く設定している企業に対し大幅な加点を行う入札制度に改革し、随意契約もその理念に沿ったものとします。 公契約条例は残念ながら否決されましたが、選挙後の新しい議会で可決させるために全力をつくします。合わせて、賃金を評価点に加えた総合評価方式を全庁的に広げ、市発注の仕事からワーキングプアをなくします。また、再委託や下請け労働者すべてを対象にした賃金実態調査を義務づけます。 ・地元企業の安定経営や雇用維持の実現に向けて、地元企業からの優先発注や優先購入などを進めるとともに、複数年度契約や複数工事一括発注を拡大します。
・また、公共工事の品質確保と過度な不当廉売による受注防止を目指して、価格以外の要素も加味する総合評価方式を拡大するほか、低入札価格調査基準や最低制限価格についても設定を見直します。
3 悪いものを見つけては片っ端から打ち殺すような水際作戦では、ブラック企業の病巣を根本的には除去できません。最低賃金の引き上げにより、ブラック企業が生き残れないような社会を構築する内陸持久戦を展開します。働く人の側に立った施策を打ち出していきます。 共産党市議団が取り組んだ「ブラック企業アンケート」に深刻な訴えが寄せられています。労働基準法、労働者の権利などについて、弁護士や労働組合関係者などを講師に招く、学校への出前ワークルール教育や市民への啓発、事業所へ
の徹底をすすめます。市として弁護士や労働組合、労働基準局と連携した相談窓口を設置します。
・札幌市ではあいワークなど、全区に労働相談窓口を設置しており、その他にも、市内には労働基準監督署や札幌弁護士会など、様々な主体が相談窓口を設置しておりますので、札幌市のホームページなどで、その周知に努めるとともに、関係機関などと連携し、相談体制の充実を図ります。
・また、若者が社会に出る前にワークルールや労働に関する問題などを学習することも大変重要であると考えており、中学校や高等学校において労働者の権利や労働基準法などの授業をする中で、ブラック企業等の問題などについても理解促
進を図ります。
学費問題 札幌市は、札幌市立大学の市外入学者につき、市内入学者の2倍である282000円の入学金を市内入学者と同額とするため、半額を無利子の奨学金とします。そして卒業後一定期間、札幌市内での就労記録があれば、入学金返済を免除する無利子奨学金を導入します。学費については、その後の状況を見て、現実的な対応をしてまいります。 共産党市議団の主張が実り、議員の海外視察が
凍結されその費用を奨学金に充てていますが、一般財源の活用など拡大をはかります。
・意欲と能力のある学生が経済的理由により修学を断念することなく、安心して学べるよう、国に対して奨学金事業の充実について要望を行うほか、子どもたちの将来が生まれ育った環境で左右されることのないよう、給付型奨学金を市独自で創設します。
ひとり親家庭 1 札幌市は、港区がひとり親家庭に限らず全員に配布しているような相談ガイドを配布し、問題点に対する窓口を一覧、総覧化します。 他の自治体の周知方法も参考にして改善をすす
めます。
・札幌市では、ひとり親家庭等の就業・経済的支援制度や相談窓口等を記載した「ひとり親家庭等の皆さまへ~暮らしのガイド~」を発行しているが、支援を必要とする方に必要な情報がきちんと行き届くよう、各種相談窓口での周知充実などに努めます。
2 入院してから手厚くするような政策ではなく、予防医療が不可欠ですので、軽減をいたします。ひとり親の心労を考えれば、無料にしてもいいと考えます。 ひとり親家庭の母親、父親の通院についても医療費助成を行う必要がると考えます。 ・経済的な理由を根拠にした医療費助成については、ひとり親に限らず経済的困窮を根拠にした助成制度で対応していくことが望ましいと考えます。
・ひとり親家庭に対しては、これまで、生活の安定と子どもの健やかな成長を図るため、子育て・生活支援、就業支援、養育費確保、経済的支援を総合的に行ってきましたが、子どもの貧困対策を強化する観点から、就労を促す資格取得に係る費用助成を充実していきます。
子どもの貧困 生活困窮者自立法の平成27年施行に際し、財政
や対象者の把握不足から道内市の6割が支援事
業ゼロとなります。生活困窮世帯の子どもの、将来への不安、それから生じるさらなる状況の悪化を防がなくてはいけないと考えます。貧困の連鎖はあってはなりません。
札幌市は、子ども学習支援、一時生活支援に加
え、新たに就労支援・家計相談を行います。似たような都市規模の神奈川県川崎市や埼玉県さいたま市でも、1~2億円の予算配分により、大学生講師による学習指導で200人ほどの希望者の進路指導、居場所づくりを達成しております。大学環境に恵まれた札幌市では、同様以上の効果を見込みます。
市として対策委員会を立ち上げ、実態の把握をすすめます。就学援助の引き下げをやめて拡充します。 ・子どもの将来が生まれ育った環境で左右されない環境づくりが重要であると考えており、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、「子どもの貧困対策推進法」に基づき、教育・生活・就労などの分野を総合的に支援する「子どもの貧困対策計画」を策定し、着実に実行していきます。
・中でも、子どもが自ら未来を切り開いていけるよう、新たな給付型奨学金の創設や相談体制の充実に取り組み、学習支援、就学・就労支援を強化するとともに、ひとり親家庭が経済的に自立することができるよう、就労を促す資格取得に係る費用助成を充実させることを、具体的な取組として早期に実行したいと思います。
障害者福祉 1 まず、どれだけの希望者がいて、それだけの予算措置が必要なのかを、調査します。
障がいの種別で助成や補助に差をつけることはあってはなりません。民間事業者にとっても障がいを持つ市民を優遇することは「メリット」になるのです。札幌市はそうした社会に賛同する事業者を公表し、PRします。
関係者の粘り強い運動で国交省の標準運送約款が改定されました。札幌市が率先して地下鉄と市電の割引を実施し、JRやバス事業者にも働きかけを強めます。 ・三障がい一元化となった現行法においては、その趣旨に則り、精神障がい者も他の障がい者と同様の福祉サービスを受けられるようにすることが望ましいと考えます。
・よって、市営交通である地下鉄・路面電車については、率先して交通費割引を実行に移していきますし、民間のバス会社へも、交通費割引の実施に向けて協力要請を粘り強く行っていきます。
2 広島でも先駆的な例がありますが、札幌市は、市役所内でインターンをしていただいた上で、ペアなど、グループ採用により知的障がい者や精神障がい者、難病者の雇用を目指します。 質問の趣旨に賛成です。障害者雇用率制度が実施されるように一層努力します。精神障がい者は、就労環境・条件によっては病状を悪化させることがあることから、週2日ほど、2時間くらいの就労など、働く環境・就労条件が障害の特性を考慮したものにする必要があると考えます。 ・障がいの有無や種別にかかわらず、誰もが自立しお互いの人格や個性を尊重し合いながら社会参加できる街、笑顔で暮らしていける街が理想であり、その実現を目指していきたいと考えています。
・そこで、障がい者の就労の場の拡大に向けては、行政と民間事業者との協働により、「元気ショップ」など、公共施設における就労の場の設置などを進めるほか、障がい者施設で生産された製品の販路拡大にも取り組みたいと考えており、それが民間企業への広がりにもつながる「モデル」となることを期待しています。
3 私は、障がい者の雇用と、社会的困難を抱えるひとたちの雇用はまったく別ルートだと考えます。それぞれの状況にあった政策を用意しておりますので、それを実行してまいります。 社会保障制度の削減で、最も打撃を受けるのが障がい者です。また、その多くが生活困窮者でもあります。この人達が協力・協働して一緒に働ける協働事業制度は必要だと考えます。本来、障害者権利条約の批准国として国が率先して取り組むべきです。札幌市としては、さしあたり、数多くの作業所で様々な製品・品物を作成していますが販路に苦労しています。この点での援助の具体化をはかります。 ・生活困窮者に対しては、「障がい者協働事業」のように事業者に対して運営費の一部を補助する取組ではなく、一般就労が可能となるよう能力開発等を行うことが重要であると考えます。
・そのため、27年4月に開設される「札幌市生活就労支援センター」において、就労支援員による就労に向けたコミュニケーションなど基礎能力の形成や中間的就労の場の提供などの取組を行っていきます。
生活保護 1 DVや虐待、心中などは、そうなるまでに手を打たなかった市の、水際作戦の失政です。最初は見えていたものに目を背け続けた結果、本当に悪いところが見えにくくなり、事件化して社会コストがより大きくかかってくる。それが現在の貧困対策です。完全に間違っています。
札幌市は、現在の消極的な保護姿勢を改め、積極的な保護へと介入します。貧困の原因や度合いを個人の責にすべて帰するものではなく、社会的な病と考え、その予防と悪化を防ぎ、社会コストの増加を防ぎます。
白石区での孤立死事件などをうけ、見守りや北電、北ガスの料金窓口に生活保護相談チラシを置くなどはありますが職権保護については極めて消極的です。窮迫した状況にある要保護者を速やかに発見し保護につなげるためには、地域や水道、電気、ガス事業者などと行政の連携が必要です。そのために、ケースワーカーなど職員の増員、ゲートキーパーとしての役割をもつなど意識改革が求められていると考えます。生活保護の申請用紙を窓口に置くことを拒否している現状を改めさせます。 ・生活保護法上の職権保護については、救急搬送を受けた医療機関からの通報があるというような、明らかに生存が危ないと認められる場合を除けば、どのようなときにそれを適用するかの判断が現場ではなかなか難しいものと思っています。
・そのような中にあっても、悲しいことが繰り返されることのないよう、庁内での理解共有や、研修など人材育成を図ることはもちろんのこと、誰もが安心して暮らせる街づくりを目指し、行政の力だけでなく、互いに支え合う地域福祉力の向上が何よりも必要だと考えます。
・そこで、民間事業者とも連携し、きめ細かい見守り、安否確認体制を構築するなど、地域全体の見守り力を向上・発揮させ、支援を必要とする方が深刻な状態に至る前に早期発見し、支援へとつなげていきますし、「人の命を守る」ことを最優先し、特に急迫した事由がある場合は職権保護についても適切に実施していきます。
2 不適正事例の原因として、職員の圧倒的な不足があると考えております。正規雇用の増加により、これに対応していきます。一般的な市においていわゆる「ブラック部署」というイメージがあった保護行政や福祉部署を、札幌市は、超高齢社会を背負って立つ「花形部署」へ変貌させます。心理学や福祉法制を備え、粘り強くひとと付き合える人材を積極採用します。 保護課の職員について、とくに窓口は福祉の資格を持った専門職を置くべきだと考えます。2から3年の任期という現状を改め、熟練した職員をふさわしく配置すること、またケースワーカーや職員の増員をはかるとともに研修制度を充実させ若い職員が役割を発揮できるようにする必要があると考えます。 ・ケースワーカーに対し、生活保護制度以外の他法他施策など研修を充実させていきます。
・また、福祉の専門性を有する職員について、各福祉関係職場のニーズや市全体の組織力向上を念頭に置いた人事ローテーションなどを勘案しながら、必要な配置を行っていきます。
生活困窮者自立支援法 1 全方位に通じる人材は、大学にしかいないと思います。そうした多方面に助言をできる数多くの専門家を、市長顧問としてダイレクトに執行できるようにおくことが必要です。アウトリーチに関しては、在宅医療、在宅看護、在宅介護を確立していきたいと考えております。 制度の周知については広く行えるよう検討が必要だと考えますが、市が開設する支援事業(「支援センター」)は1カ所で、自立支援相談事業がどの程度おこなえるのか疑問です。相談につなぐために区役所など行政組織とNPOをはじめ地域組織と連携し、相談窓口を増やすが必要があると考えます。同時に、支援事業を生活保護の申請を排除する水際作戦の道具とさせず、国も認めた生活保護受給と自立支援事業の併用を保障するためにも、窓口に生活保護の申請用紙を置くこと、市として委託事業者への指導・助言、また、行政との連携、関与を強める必要があると考えます。 ・27年4月に開設される札幌市生活就労支援センター」について、札幌市の情報発信媒体のみならず、関係機関と連携しながら、生活困窮者などに対しPRを進めていきます。
・また、生活困窮者への自立支援に係る関係機関とのネットワーク会議を立ち上げ、具体的連携事例などの情報共有を行うとともに、アウトリーチなどの支援方法や職員のスキル向上の取組などを検討していきます。
2 札幌市は、ライフラインの情報を民間事業者と共有すべきと考えております。そして町内会や新聞、コンビニ、宅急便には、通報をもらうという体制を作ります。町内連携に関しては、ある担当部署が一括に引き受け、そこが責任をもって各課と個別に情報をやり取りする。そういう対応をすべきと考えます。 行政とライフライン事業などとの情報の共有、連携が求められますが、個人情報保護を理由にするなど後ろ向きというのが現状です。厚労省は、人命にかかわるさいは、本人の同意が得ることが困難な場合でも個人情報の利用、提供は可能としており、そのための協定を市とライフライン事業者と結ぶなど、検討が必要だと考えます。 ・水道、電気、ガスが停止するなど生活が逼迫していると思われる方がいた場合は、福祉事務所へ相談するよう、ライフライン事業者に対し、協力要請を行っていきます。なお、個人情報については、法令に基づき、適切に取り扱っていきます。
・また、庁舎内の既存の窓口での相談の中で生活困窮者を早期に把握し、「札幌市生活就労支援センター」へ適切につなぐため、関係職員への研修などによりセンター機能の周知・理解を進めるとともに、庁内に連絡会議を設置し、センターでの取組状況の情報共有や、庁内連携の在り方の確認、見直しを行っていきます。

 

 

 

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