吉根清三「パワハラうつ病で休職の労働者に労災認定!/「結」・いの健道センターがサポート」

上司からのパワハラで、うつ病を発症、休職した労働者に対し、労災が認定されました。ローカルユニオン「結」の吉根清三さんより寄稿と、ご本人の手記が寄せられました。認定NPO法人働く人びとのいのちと健康をまもる北海道センターが発行する『ニュース』第446号(2022年2月1日号)からの転載です。どうぞお読みください。

 

 

 

労働相談から労災認定に至るまで

 

2017年、印刷関連会社総務部に勤務したSさんは、就職直後から業務指導が皆無のまま働いていましたが、上司からミスに対する厳しい叱責、暴言などが日常的に繰り返されました。

1年後からは会社の清掃を命じられ、屋外の草取りも担当しました。

また、チラシの挟み込み作業を一人で何十万枚も行い、狭窄性腱鞘炎を発症し・治療しています。

2019年6月頃、専務から「ボーナスは出さない。辞めてくれないか」と言われ、以降、社長も加わりほぼ監禁に近い状態での大声での叱責と退職強要が続き、翌年9月医師から「うつ状態」の診断を受け休業しました。

2021年7月、ローカルユニオン「結」といの健道センターがサポートして労災請求を行いました。

Sさんは会社でのやり取りをレコーダーに記録し、その文字起し文書をもとに「申立書」と出来事の「時系列」「場面ごと」の一覧表を作成して提出しました。その結果、請求して6ケ月で労災が認められました。

 

仕事より命が大切 ~労災認定を受けたSさんの手記~

令和4年1月11日、私のスマートフォンが鳴りました。見ると労働基準監督署からです。「また、今度は何を聞かれるのか?嫌だな~。」と思いながら電話に出てみると、監督官から「労災認定されました。」との連絡を受けました。急に胸がドキドキして、気を失いそうになりました。

なぜなら、このような案件の認定確率は30%と低く認定は難しいと聞いていたからです。それなのになぜ申請したのかと言うと、「ダメ元」です。

体の不調と向き合い、辛い日々を送っているうちに、このまま終わるのは理不尽だと思う気持ちがこみ上げてきたたからです。

 

研修は無し、強まる嫌がらせ

私は長年、販売職をしていましたが、販売先の上司の方からお誘いを頂き転職しました。全く、畑違いの仕事内容でしたが、私の意欲とは裏腹に担当上司からは研修も無く、仕事もまともに教えてもらえない、上司のミスも私のせいにされ、私は仕事をどんどん取り上げられました。

それでも自分の気持ちを奮い立たせて明るく振るまっていましたが、再び上司のミスを一方的に私のせいにされたことに端を発して、会社から退職を強要されました。

退職するか午前中のみ掃除をするか?それ以外は無い。と二者択一を上司二人から数日にわたり選択を迫られました。私からの「辞めたくない」という意思は全く聞いてもらえませんでした。

この出来事により体の不調が起こりました。

 

労働組合の存在が開いた道

休業中、この不調を抱えて再起できるのか不安でした。

労災申請はとても複雑です。でも、ローカルユニオン「結」の吉根さん、いの健道センターの佐藤さん、弁護士、クリニックの胡先生、皆さんにご協力をいただき、そのおかげで少しずつ進めていくうちに形になっていきました。専門家の方々のおかげで、やっと申請にこぎつけ無事に受理されました。

認定されるまでの約6ケ月間も、労基署の担当官から「とても複雑な案件なので時間がかかります」と言われました。その結果が出るまでの間も不安でした。

無事、労災認定に至り、とても、私一人ではできなかったことです。労働組合「結」が存在したおかげで少しずつ道が開けていったと思います。皆様、本当にありがとうございました。親身な対応にとても感謝しています。

 

認定NPO法人働く人びとのいのちと健康をまもる北海道センター

ローカルユニオン「結」

 

 

 

 

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