川村雅則「自動車運転労働者の働き方改革実現に向けて(1)」

川村雅則「自動車運転労働者の働き方改革実現に向けて(1)休息期間8時間は抜本的な見直しが必要」
注:軽微の修正は行う可能性があります。ご了承ください。

 

夜の22時に仕事を終えて会社を出る。家に帰り風呂に入り食事をとって床につく。翌日は何時まで眠っていたいか。もしも翌朝6時までには出社していなければならない、と指示されたらそれはキツいと思う人が多いのではないだろうか。22時退社、翌朝6時出社のあいだの8時間には通勤に要する時間も含まれることを考えると、なおのことだろう。しかしながらこれが、すなわち8時間という長さの休息期間が、安全運転の遂行という観点からより一層の配慮が本来は必要な自動車運転労働者を「守る」のに設定されている水準なのである。

トラック、バス、タクシーなど自動車運送業で重大な事故が発生すると、背景にあった過酷な働き方(働かされ方)が注目を集める。しかしながらその過酷な働き方は、法的には容認されていることが少なくない。

働き方改革をうけて自動車運転労働をめぐるこうした状況を変えることができるかどうかの岐路に今ある[1]

 

出所:厚生労働省労働政策審議会(労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会)より。

 

 

1.時間外労働の上限規制の導入と、適用の猶予・除外

まず確認しておきたいのは、不十分ながらも進められている働き方改革から自動車運転労働者は取り残されていることである。

日本の労働者の過酷な働き方の背景に労働時間規制の脆弱さがあることは周知のとおりである。2018年6月に制定された働き方改革関連法によって、それまで、労使で協定を締結さえすればいくらでもさせることが可能だった時間外労働に制限がかかった。これ以上を超えて働かせてはならぬという罰則付きの上限規制が導入されたのである。

ところが、働く者を守る規制にもかかわらず過労死遺族や野党から強い批判が示されたのは、上限規制の水準が著しく長かったこと、具体的には、過労死認定基準である単月で100時間未満・複数月で80時間という水準のほか、休日労働を含むと年間で960時間までの時間外・休日労働が上限として使われたことによる。これで過労死を防げるのか、という批判である。

 

図表1 時間外労働の上限規制と、自動車運転業務に従事する者の扱い

出所:労働政策審議会労働条件分科会配布資料より。

 

もっとも、そのような問題含みの上限規制さえも適用が猶予・除外された一つが自動車運転業務に従事する労働者である。彼らには罰則付き上限規制は適用されない。改正法が施行されて5年後(2014年4月以降)にようやく上限規制が導入される。しかしその上限時間とは、今回導入された年720時間よりも長い年960時間である(ここに休日労働は含まれない)。上記の100時間、80時間など一般則の適用も、引き続きの検討事項とされている。社会・経済の維持のために過労死基準を超えた働かせ方が特定産業の労働者には容認されている。

 

 

 

2.自動車運転労働者に対する脆弱な「規制」──改善基準告示

雇用された自動車運転労働者には、「労働時間等の労働条件の向上を図ることを目的」にしたルールが定められている。「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号、通称「改善基準告示」)である[2]。この改善基準告示で、彼らの拘束時間や運転時間、勤務と勤務の間の休息期間などに規制が設けられており、これが現在、見直しの俎上に載せられているのである。

 

第一条 この基準は、自動車運転者〔略〕の労働時間等の改善のための基準を定めることにより、自動車運転者の労働時間等の労働条件の向上を図ることを目的とする。

 

 

図表2 「改善基準告示」の内容(一部抜粋)

注:特例の規定などは省略。
出所:労働調査会出版局編(2013)pp.130-131から主な項目を整理。

 

「ルール」と書いたが、すぐあとでみるように(本稿の主題である)規制の水準が低いという問題のほかに、(1)これらの基準に違反しても直接的な罰則などは存在しない[3]という実効性の問題があり、実際に、違反が広く確認される[4]こと、(2)同じ職業運転者でありながら非雇用者は対象とならないことが課題である(注釈1)。

 

・改善基準告示見直しの審議が開始

現在、働き方改革関連法制定の流れをうけて[5]、厚生労働省「労働政策審議会(労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会。本稿では専門委員会も作業部会もとくに区別しない)」で、(1)「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の見直しに係る事項と(2)その他、自動車運転者の健康確保、過労死防止や労働時間の短縮等に関し、必要な事項の調査、検討が行われている[6]

審議会で争点になっているのは、過労死ラインを超えるような低い規制水準──トラックを例にあげると、一日の拘束時間は原則13時間、最大16時間(15時間超えは1週2回以内)で、1か月の拘束時間は293時間まで可能とされ(労使協定があるときはさらに延長可)、冒頭に述べたとおり、通勤時間を含む休息期間は8時間以上設けられていれば可、さらに、休日労働は2週間に1回以内で可というような規制水準をどこまで見直せるのか、ということである。

 

・争点は休息期間の見直しの程度

審議会で提示された案によれば、拘束時間には大きく変更ないものの、注目すべきは、休息期間を11時間とする案が提示されたことである。すなわち、タクシー・日勤者では、「原則11時間(週3回まで9時間)」、バスでは「1日の休息期間については、原則11時間としつつ、これによらない場合の上限時間、回数等について別途設ける。」という案が提示された。

休息期間、すなわち、時間外労働の直接の規制ではなく、勤務と勤務の間のインターバルを規制することで労働者の健康や安全を守る考えは、EUでは原則11時間の時間設定で確立されている[7]ほか、類似の内容がILO条約・勧告でも定められている[8]。しかしながら日本でこの制度は、働き方改革の議論の中で浮上してきたものの「努力義務」としてかろうじて設定されたにとどまる。そして実際、勤務間インターバルを「導入している」企業は、令和2(2020)年1月時点で4.2%。導入を予定又は検討している(15.9%)を足し合わせても約2割にとどまる[9]

その点でわが国では、自動車運転労働者には、一般労働者に先んじて休息期間が設定されていたと言える。適切な長さの休息期間は睡眠時間の確保にとって不可欠であり、そのことは彼らにとって、事故を防ぐ上での文字どおり死活問題である。

もっとも、現行の休息期間の長さには問題があった。短すぎるのである。これが審議会で示された案のとおり11時間に延長されることになれば、11時間を実際に遵守させるという課題は残るものの、それを前提にした運行管理・労務管理が行われることになり、状況は大きく改善されることが期待される。

ところが審議会では、この11時間案に対して使用者側から強い反対が示され、9時間案が新たに出されてきた[10]。ウェブ上では議事録がまだ示されていないが、審議会を傍聴している労働組合によれば、使用者側の厳しい反対を背景にしているという[11]

 

 

 

3.自動車運転労働の特徴と長時間労働・過労死の発生状況

少し横道にそれるが、川村(2011)により、自動車運転労働者を守るルールがなぜ必要なのかについて簡単にふれておきたい。

交通労働は、生産活動にともなう交通需要(派生的な需要)に応じて展開される。供給側でのコントロールが難しいほか、公共性の観点や経済的合理性の観点から、深夜時間帯の輸送やジャストインタイムな輸送が要請される。実際、運転労働者の勤務は不規則かつ深夜時間帯に及び、労働密度も増大している。さらに、輸送モードとともに運転者自身が移動をともなう交通労働の特殊性は、生活や健康の維持・改善を困難にする。

以上は交通労働者全体に共通する特徴でもあるが、とりわけ自動車運転労働の場合には、他の車両や歩行者も同じ空間を共有する公道という場で仕事をしていることから、同じ陸上交通でも、レール上を走行する鉄道と比べて制御不可能な要素が多い。また、鉄道や航空など自動操縦技術が発展した交通モードと比べて、自動車は文字通り自動で走るものではなく、「手動車」であり「足動車」(『自動車運転労働』より)であって、精神的な負担が重い仕事である。それゆえ本来は、彼らの状態に十分に配慮した勤務・休息に関するルールが必要なのである[12]

 

図表3 「自動車運転従事者」及び「道路貨物運送業」における過労死の労災請求件数及び全体に占める割合の推移

出所:厚生労働省「過労死等の労災補償状況のまとめ」より作成。

 

図表4 全体、「自動車運転従事者」及び「道路貨物運送業」における過労死の労災支給決定率の推移

注:請求件数を支給決定件数で除して算出。請求と支給決定は同一年度とは限らない。本来は認定率を算出したいが、公表されているデータの制約による。
出所:図表3に同じ。

 

しかしながら、そのようなルールを欠いたわが国では、自動車運送業とりわけ貨物自動車運送業でいわゆる過労死や過労自殺が多くみられる[13]。とくに循環器系への負担は大きく、過労死の発生は、自動車運転職が最多の職種となっている。

図表3は、「自動車運転従事者」及び「道路貨物運送業」における過労死の労災請求件数が全体に占める割合を示したものであるが、自動車運送業で働く者は全産業労働者の5%に満たない[14]のに、(新型コロナウイルス拡大の影響で交通需要が減った2020年度を除き)請求件数全体の2割前後を占めている。

あわせて、認定率の代わりに便宜的に算出した過労死の労災支給決定率をみても(図表4)、全体の支給決定率を大きく上回る。現行の労災認定基準・認定行政下で災認定を得ることは容易ではない。全体を上回る支給決定率からは、被災者ならびに自動車運転労働者の厳しい働かされ方が示唆される。

 

図表5 全産業及び自動車運送業における週60時間以上労働者割合の推移

注:15~64歳の男性雇用者を対象に、週60時間以上就業の者を「従業者」全体で割って算出。
出所:総務省「労働力調査 第Ⅱ-3表 産業・職業,月末1週間の就業時間・従業上の地位別就業者数(各年平均値)」より作成。

 

図表6 全産業及び自動車運送業における週60時間以上労働者割合の推移(2019年1月~2021年10月)

注:図表5に同じ。
出所:図表5に同じ。

 

労働時間はどうか。総務省「労働力調査」によって、15~64歳の男性雇用者を対象に、いわゆる過労死認定基準に相当する週60時間以上働く者の割合を取り上げてみても(図表5)、全体的に減少傾向にあるとはいえ、全産業平均の2倍を超える。2020年度はコロナで大きく減少しているものの、今後、長時間労働への「回帰」が懸念される(図表6)。

 

 

 

4.休息期間はいかなる水準が妥当か

安全運転にとって不可欠の睡眠(質、量)は、休息期間の長さのほか、休息期間がどこに配置されるか(例えば、一般的な労働者のように夜間なのか、深夜に働く者の勤務のように日中の時間帯なのか)によって規定される。ここではさしあたり長さだけを取り扱うが、現行の8時間という休息期間の長さは、仮に睡眠をとるのに適した時間帯に配置されたとしても短い。繰り返しになるが、この8時間には、通勤も含まれる。残りの時間で睡眠のほか、食事、入浴、身支度など済ませるには明らかに短い。

では、休息期間はいかなる水準が妥当だろうか[15]

まず、安全運転を実現する上で必要な睡眠を確保する上で必要な時間数という基準(基準①)があげられるだろう。労働者(や利用者、歩行者・他の車両の運転者)の生命と健康を守る最低限の水準といえる。加えて、仕事と生活の調和(余暇生活の充実)という観点から求められる基準(基準②)もあるだろう。この二つの基準を念頭におきながら、科学的に設定される必要がある。

参考になるデータは第一に、川岸(2021)が取り上げているが、「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」報告書には、睡眠時間が短くなることで眠気や過労の訴えが多くなることや居眠り運転の頻度が高くなるといった労働科学の知見が紹介されている。休息期間を直接に扱ったものではないが、十分な睡眠時間(や休息期間)の確保が安全上から必要であることが示唆される。該当部分を転載する。

 

資料 睡眠と心身の健康状況、労働時間と健康

〇米国における研究では、睡眠時間が6時間未満の者では、7時間の者と比べて、居眠り運転の頻度が高いことが、日本における研究では、交通事故を起こした運転者で、夜間睡眠が6時間未満の場合に追突事故や自損事故の頻度が高いことが示されている。

〇ある介入研究〔略〕では、夜間睡眠時間を1日当たり約5.8時間に制限すると、制限せずに約8.6時間眠らせた場合に比べて眠気が増し、注意力が低下することが示されている。また、朝8時から持続的に1日以上徹夜で覚醒させた介入研究では、認知・精神運動作業能力は、夜中の3時(17時間覚醒)で血中のアルコール濃度が0.05(日本では0.03%以上で酒気帯び運転)の時と同程度に低下し、翌朝8時24時間覚醒)にはさらに血中アルコール濃度0.1%(およそビール大瓶1本飲用に相当)の時と同程度に低下することが示されている。(「健康づくりのための睡眠指針2014」平成26年3月厚生労働省健康局))。

○長時間労働と生産性の関係では、勤務間隔が11時間未満の看護師において不眠や強い眠気、過労を訴える労働者が増加し、400社の追跡調査では、メンタルヘルス休職者が増加した企業群は、増加しなかった企業群に比べて利益率が低いとの報告がなされている。(Eldevikほか〔2013〕、Kuroda and Yamamoto〔2016〕)

出所:「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」報告書より転載。

 

第二に、労働科学研究所の越河(1968)による生活時間調査・研究があげられる。

越河の調査では、各生活行動の時間が詳細に明らかにされると同時に、通勤を含む勤務拘束時間とそれ以外の時間(勤務間隔時間)とに生活時間を大別して、この二つの組み合わせを周期(サイクル)として、両者の関係や望ましい生活時間構成が明らかにされていることが特徴である。

 

図表7 〔勤務〕間隔時間における睡眠時間

出所:越河・藤井(2002)p251より(元データは越河(1968))。

 

調査の結果(記録)に基づき越河は、8時間以上の睡眠を確保するためには13時間以上の勤務間隔時間の確保が、なおかつ、くつろぎの時間も確保するためには、14時間以上の勤務間隔時間の確保が望ましいという結論を導き出している。

なお越河では、休息期間から通勤時間を除いた時間が勤務間隔時間とされているから、その分だけ望ましい休息期間はもっと長くなる点に留意されたい。

第三に川村(2006)で、越河など労働科学研究所の仕事にならい、乗合バス運転者を対象に1週間の勤務・睡眠の記録調査を行った

 

図表8 勤務日/休日別にみた睡眠(夜眠)時間

注:勤務日n=1025人日、休日n=150人日。
出所:川村(2006)より。

 

結果は、一勤務の拘束時間は長く(平均値は11.5±2.9時間。13時間以上は42.4%)、休息期間は短いケースが多い(平均値は11.4±3.5時間)。このような勤務状況下で、勤務日における睡眠時間もまた短い時間に集中している。勤務日の睡眠時間は、全体の45.8%が6時間未満で、7時間未満まで広げると72.3%がそこにおさまった(図表8)。勤務日のこうした睡眠負債は休日に解消されていることが示唆されたものの、あわせて行った質問紙調査では、睡眠不足が強く訴えられていた。

 

現在争点となっている休息期間8時間の見直しの議論についても、以上のような何らかの科学的な(説明可能な)根拠に従いながら進められる必要がある。

 

(続く)

 

 

[1] (1)本稿で扱うのは、とくにことわりがない限り、雇用された自動車運転労働者である。宅配(デリバリー宅配など含む)で急増する軽貨物自営業者など、自営の領域での問題は別途扱う。(2)本稿の多くは、川村(2018)など過去に書いてきたものと重複している。自動車運転労働をめぐる問題については労働科学研究所(現在は、公益財団法人 大原記念労働科学研究所として桜美林大学内に移転)による研究蓄積があり、『自動車運転労働』という大著が1980年に出版されている。筆者の研究もそれによっている。

[2] 厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善の基準」

[3] ただし、「改善基準告示」と同内容で設定された国土交通省「事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準」(平成13年国土交通省告示第1675号)では、違反事業者には車両停止などの行政処分が課される。

[4] 厚生労働省「自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況」。2021年8月27日に公表された、令和2(2020)年の「監督指導、送検等の状況」によれば、監督指導を実施した事業場は3,654事業場で、このうち改善基準告示違反が認められたのは1,882事業場(51.5%)である。主な改善基準告示違反事項は、(1)最大拘束時間(37.1%)、(2)総拘束時間(27.9%)、(3)休息期間(25.9%)。なお、改善基準告示違反のほかに、労働基準関係法令違反が2,957事業場(80.9%)でみられ、その主な内容は、(1)労働時間(45.5%)、(2)割増賃金の支払(22.9%)、(3)休日(3.4%)と報告されている。

[5] 「時間外労働の上限規制の適用が猶予される業務について、当該業務特有の事情を踏まえたきめ細かな取組を省庁横断的に実施して労働時間の短縮を図り、上限規制の適用に向けた環境の整備を進めること。特に、自動車運転業務については、長時間労働の実態があることに留意し、改正法施行後5年後の特例適用までの間、過労死の発生を防止する観点から改善基準告示の見直しを行うなど必要な施策の検討を進めること。」以上は、衆議院厚生労働委員会附帯決議(2018年5月25日)。

「自動車運転業務については、過労死等の防止の観点から、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の総拘束時間等の改善について、関係省庁と連携し、速やかに検討を開始すること。また、改善基準告示の見直しに当たっては、トラック運転者について、早朝・深夜の勤務、交代制勤務、宿泊を伴う勤務など多様な勤務実態や危険物の配送などその業務の特性を十分に踏まえて、労働政策審議会において検討し、勤務実態等に応じた基準を定めること。」以上は、参議院厚生労働委員会附帯決議(2018年6月28日)。

[6] 審議の状況や配付資料は、審議会サイトからダウンロード可。第1回委員会(会議)は、2019年12月19日に開催。

[7] EU労働政策などの第一人者である濱口桂一郎氏(現在、独立行政法人労働政策研究・研修機構労働政策研究所長)によってこの制度がいち早く提唱されていた。濱口(2006)のほか、日本での審議の経緯などが整理された濱口(2017)などを参照。

[8] 加えて、審議会でも紹介されているが、ILO第153号条約では10時間以上の休息期間が定められている(例外として週2回まで8時間も可)。なお、ILO第161号勧告では11時間以上の休息が定められている。それぞれILO駐日事務所の以下のリンク先を参照。

・1979年の労働時間及び休息期間(路面運送)条約(第153号)

・1979年の労働時間及び休息期間(路面運送)勧告(第161号)

[9] 厚生労働省『令和3(2021)年版 過労死等防止対策白書』より。

[10] 「第4回〔略〕ハイヤー・タクシー作業部会」2021年11月24日。「第4回〔略〕バス作業部会」2021年12月9日。

[11] 自交総連(全国自動車交通労働組合総連合会)『自交労働者』第956号(2021年12月15日号)。

[12] 1974年には日本産業衛生学会(運転労働安全委員会)から「運転労働における労働衛生施策に関する意見書」が出されている。なお、同意見書では、少なくとも12時間の休息期間を与えられることが必要な基準として掲げられている。

[13] 厚生労働省「過労死等の労災補償状況」より。

[14] 総務省「労働力調査(2020年平均値)」によれば、雇用者総数5973万人のうち道路貨物運送業で働く者は185万人、道路旅客運送業で働く者は46万人である。

[15] EUにおける休息期間11時間の制定過程は濱口(2017)に詳しい。ただ、この11時間はどのような科学的根拠で設定されたのか、筆者(川村)はまだ把握できていない。労働科学研究所で睡眠研究に従事する佐々木司氏によれば、11時間には科学的根拠はなく、睡眠科学では、死亡率の最も少ない睡眠時間は7.5時間であり、その睡眠時間を確保するには16時間のインターバルが必要だという。

 

 

(参考文献・資料)

川村雅則(2006)「バス運転手の勤務と睡眠──進む合理化策のもとで」『北海学園大学開発論集』第78号(2006年8月号)

・川村雅則(2011)「交通労働」交通権学会編『交通基本法を考える──人と環境にやさしい交通をめざして』かもがわ出版

川村雅則(2018)「自動車運転労働者の労働条件と労働時間規制の現状」」『労働法律旬報』第1924号(2018年11月下旬号)

・川岸卓哉(2021)「2021年過労死防止大綱と勤務間インターバル制度法規制化の必要性」『労働法律旬報』第1995号(2021年11月10日号)

・交通運輸政策研究会(2008)『(交通政策の提言2008)持続可能で、安全・安心な交通運輸をめざして』2008年5月発行

・交通運輸政策研究会(2013)『安全な貸切バス・高速バスを求めて─交運研の提言─』2013年7月発行

・交通運輸政策研究会(2016)『(交通政策の提言2016)人口減・災害多発時代の日本の交通』2016年7月発行

・越河六郎(1968)「生活行動の時間的類型に関する研究」『労働科学』第44巻4号(1968年4月号)

・越河六郎、藤井亀(2002)『労働と健康の調和──CFSI(蓄積的疲労徴候インデックス)マニュアル』労働科学研究所出版部

・佐々木司「(巻頭言)睡眠リテラシーを深めて自分を守ろう」『労働の科学』第73巻10号(2018年10月号)。

・鈴木一弥(2013)「道路旅客と道路貨物運送業」小木和孝ら編『産業安全保健ハンドブック』公益財団法人労働科学研究所

・高橋正也(2020)「交通事故と産業事故」日本睡眠学会編『睡眠学第2版』朝倉書店

・濱口桂一郎(2006)「EU労働法政策における労働時間と生活時間──日本へのインプリケーション」社会政策学会編『[社会政策学会誌第15号]働きすぎ──労働・生活時間の社会政策』法律文化社

・濱口桂一郎(2017)『EUの労働法政策』独立行政法人労働政策研究・研修機構

・濱口桂一郎(2017)「労働時間の上限規制とインターバル規制」『季刊労働法』第258号(2017年9月号)

・野沢浩、小木和孝編著(1980)『自動車運転労働──労働科学からみた現状と課題(労働科学叢書)』労働科学研究所

 

 

 

 

 

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