是村高市「印刷出版関連産業の元気を取り戻す―労使共同の取り組みを通じて―」

印刷出版関連産業に元気を取り戻すためにはどうしたらよいか。労使共同の取り組みにそのヒントがある──日本印刷新聞社の発行する『印刷界』第782号(2019年1月号)に掲載された、是村高市氏(全印総連顧問)による同タイトルの論文です。お読みください。

 

 

■全印総連東京地連と業者懇談会の取り組み―40年以上続く「労使合同研究集会」

46年にわたって全印総連東京地連と東京印刷出版同関連業者懇談会が共催をしている「印刷出版同関連産業労使合同研究集会」(以下、労使研)は、印刷出版産業の民主的発展とその労使関係を健全なものにしようと毎年開催されてきた。

2018年10月17日に開催された第46回労使研は、特別講師として㈱小学館の相賀昌宏社長(財団法人日本書籍協会会長)を招き、「本との出会いを広げる可能性を求めて」と題する講演を行った。

この労使研では、主催者挨拶をした㈱童心社の田中正美社長が、少子化の中、出版業界は大変な状況にあるが、児童書業界は順調に推移しており、そこには児童書を媒介とした親子のコミュニケーション・触合いを求めているのではないかと、出版の本質にふれる挨拶をした。相賀社長の講演は、人生、読者、出版社の三つの立ち位置から、本との出会いの大切さを力説した。

労使研は、その時々で経営者や業界団体役員、学識経験者などの講演やあるいは鼎談、シンポジウムなどを行い、労使双方がそれぞれの立場で問題提起を行い、絶やすことなく、四六年も継続して取り組んでいる。その取り組みを別掲の【資料1】「沿革」をもとに概略を振り返ってみたい。

第1回目の労使研が最初に開催されたのは1974年、第1回目から第4回目(1974年~1977年)までは「印刷出版関連産業労使懇談会」との名称だった。第1回から第5回(1977年は年2回開催)までは、印刷関連産業の業種別の問題点や自社の課題などを活版印刷、オフセット印刷、新聞印刷、製版、軽印刷、製本、専門紙、出版の社長や取締役が報告している。業種が活版、オフセット、製版、軽印刷などに区分されているのが、当時の印刷実態を物語っている。第5回までは、経営者からの報告が主で、それを受けて労使で忌憚のない意見交換をし、産業動向だけではなく、政治経済動向も率直に話し合われていた。

この時期のプリプレスには、まだDTPシステムは導入されておらず、アメリカで1985年DTPが始まり、日本では1989年、フルDTP出版物が初めて刊行された。この頃からデータのデジタル化が加速し、オンデマンド印刷、電子出版などが普及しだした。

この時期、生原稿での入稿は漸減し、文字はデータ入稿が主になり、文字入力の部署は縮小され、製版などのプリプレス部署も激減していった。ずっと続いていた低単価―ダンピング競争とDTPの普及によって、過度な売り上げ減少が印刷関連産業に押し寄せ、産業疲弊が少子化、活字離れ―紙メディア離れと相まって深刻な産業状況になってきた。

このような業種別の動向に労使の共通認識を共有し、どう打開していくか、労使の率直な議論を行うために、当初の4年間は、経営者からの特別報告を中心に議論してきた。

しかし、1978年の第6回は、労使双方から報告があり、適正単価や図書館増設運動、出版産業の現状、そして新聞印刷での争議報告まであり、盛り沢山の内容だった。特にオフセット印刷と新聞印刷の適正単価についての現状報告が労使双方からあった。また、適正単価をどう実現していくのか、当時の東京地連の小野塚敬一副委員長から報告があり、新聞印刷の適正単価については、のちに日本印刷新聞社に入社する横山和雄氏が報告をしている。

ちなみに、適正単価をどう実現するか、の報告をした小野塚敬一氏は、筆者が学生時代、「中小企業論」ゼミの教科書の著者の一人であり、この1978年は、全印総連が「適正単価確立の提言」を公表し注目を集めた。この「適正単価確立の提言」を現代のデジタル化した印刷出版産業にあてはめ、リニューアルしたのが2010年に公表した「産業政策提言」だった。

1979年の第7回は、出版評論家の小林一博氏の「エネルギー問題と印刷出版産業」と題した講演と業種動向を協議している。

1980年、1981年の第8回、第9回では、労使関係を中心に、高年齢対策と若年層の定着を主題に「80年代における労使関係のあり方」を研究課題として協議し、事前協議制と集団的経営改善などの「集団的労使関係」をどう作っていくのか、真摯な議論をしている。

1982年の第10回からは講演を中心に開催しており、出版社、業界団体、中小企業団体、大学教授など、多彩な講師の講演をメインに中小企業における労使関係はどうあるべきか、印刷出版関連産業の実態や日本経済の動向を学んだ。労使で印刷出版産業動向だけではなく、日本経済や政治がどうなっているのか、率直に学びあうこのような取り組みは、これからも必要だし、大事にしていく必要がある。

また、この間の1987年と1988年には、労使共同して「売上税」「新大型間接税」反対の共同セミナーを開催し、具体的テーマでの協力行動を実施し、「消費税」についての講演も行っている。

1989年の第17回では、「経営側・組合側にとって望むべき労使関係は」をテーマにし、1990年の第18回では、「労働者供給事業」についての特別報告と協議をしている。第19回では、今日的課題である「人材不足問題」を議論し、第20回では、入札における「談合」問題を議論している。

1993年の第21回では、筆者から入札制度問題の特別報告をし、東京都の特別区の官公需印刷物の入・落札価格実態と入札の制度問題を指摘し、入札制度改善の運動を提起した。また、その年には、適正な官公需印刷物の入札制度を求める意見ポスターを作成し、各印刷企業での掲示を求める運動を展開した。

その後の1994年の第22回から2008年の第36回までは、「再販制度」、「デジタル化対応」、「産業動向」、「消費税」、「「産業政策」、「全印工連の官公需対策」等、様々なテーマで学習と議論を続けてきた。

2009年と2010年の第37回、第38回は、初めて対談形式で中央大学の松丸和夫教授と三省堂印刷㈱の月岡政雄社長(当時)が全印総連の公表した「産業政策提言」についての討論を行い、提言についての率直な感想とこれをどう広げ具体化していくか、話し合った。

2011年の第39回では、「これでいいのか印刷産業」と題するシンポジウムを開催し、各経営者から忌憚のない意見を聞いた。参加パネラーは、㈱精興社の青木宏至社長、㈱金羊社の浅野健社長、㈱きかんしの佐藤操社長、㈱平凡社・㈱東京印書館の下中直人社長、三省堂印刷㈱の月岡政雄相談役の各氏(いずれも当時)が様々な問題意識で語り合った。

この時の模様は、『印刷界』に掲載され、業界で大きな反響を呼んだ。この時のシンポジウムがきっかけで2012年には「これでいいのか印刷産業in札幌」が開催され、2017年の「札幌公契約条例シンポジウム」につながっていった。

2012年の第40回は、講演のほかに記念レセプションも開催し、2013年の第41回では、記念講演「近代印刷出版業界の先駆者、大日本印刷創業者・佐久間貞一を語る」を元・出版学会副会長の矢作勝美氏が行い、「佐久間貞一を語る」とのシンポジウムを引き続き開催した。パネラーは、矢作氏の他に㈱平凡社の下中直人社長、㈱童心社の田中正美社長、三省堂印刷㈱の月岡政雄相談役、コーディネーターは筆者が行った。このシンポが契機になって、『印刷界』誌上でも鼎談を行った。なお、矢作氏の「佐久間貞一伝」は、『印刷界』の10月号(2018年)まで連載されていた。

2014年の第42回は、全印工連の島村博之会長、第43回は、㈱童心社の田中正美社長、第四四回は、週刊『金曜日』発行人の北村肇氏がそれぞれ、印刷、出版、メディアについて、基調講演を行い、労使で協議した。特に、㈱童心社の田中正美社長の「メディア産業としての出版の在り方を考える」と週刊『金曜日』発行人の北村肇氏の「マスメディアが作った『安倍独裁』~ここまで堕落した新聞、テレビ~」は、メディアを考える上で大変教訓になり、示唆に富んだ基調講演だった。

昨年の第45回の基調講演は、「公契約条例と印刷出版産業の課題」を元・日本大学の永山利和教授が行い、初めて官公需印刷物が適用された世田谷区で制定された公契約条例をはじめ、印刷出版産業課題を協議した。

46年続いている労使研は、当初は一泊の泊まり込みで、信頼関係の構築と親睦を兼ねて行っていたので、表面的な議論と関係を克服し、深い議論と信頼関係が構築されていった。しかし、このような催しを永年継続して泊まり込みで開催していくには、様々な困難があった。

泊まり込みを止めてから一日開催になって以降も、隔年での開催等の提案もあったが、「継続は力」を信じて何とか今日まで開催し続けている。この労使研は、労使の先輩諸氏からの申し送りでもあるので、ここで途絶えさせるわけにはいかない。印刷出版関連産業は、益々その困難な状況が加速しているこの時期、労使が協力共同し合って課題克服や問題解決のために奮闘していく事が求められているこの時期、労使研の原点に戻って、疲弊している印刷出版関連産業の振興と活性化のために、その立場を越えて、これからも歩み続けていきたいものだ。

 

■全印総連本部の労使共同の取り組み―印刷出版フォーラム21「円卓会議」

全印総連東京地連と業者団体が共催をしている労使研より歴史は浅いが、印刷出版フォーラム21「円卓会議」(以下、円卓会議)は、18回、17年続いている。2001年に第1回が開催されたが、開催するまでに一年位、業界団体や経営者との下相談をし、円卓会議開催の準備をした。

下相談に一年の準備を擁したのは、すでに東京地連と業者団体が共催をして労使研を開催していたが、この共催は、業者団体の企業の中に全印総連の組合があり、一定の労使関係を作っているところである。しかし、円卓会議は広く印刷出版の労使や行政にも呼びかけて定期的な開催をしようとするもので、一朝一夕には実現しにくいものであったが、地道に人間関係と共同行動を積み重ね、実現にこぎつけた。

ある業界団体事務局と経営者と全印総連で相談を続け、東京の特別区に対して、官公需印刷物の入札制度改善の労使懇談を申入れ実施したこともあった。また、官公需印刷物の入落札価格の調査や分析、適正価格との比較や落札率などを研究調査し、「資料集」も発行した。

別掲の【資料2】を見ていただきたい。この円卓会議の事務局は、全印総連と出版労連、それと経営者の代表世話人が担い、毎年の定期開催を実現し、第1回は、2001年に開催された。報告は、高崎健康福祉大学の相澤興一教授の「リビングウェイジと公契約」、入札制度改善の問題提起を全印総連が行った。円卓会議は、官公需印刷物の入札制度改善と公契約条例の制定を目指して準備された経過があったので、1回目は、このテーマになった。

2002年の第2回は、この間全印総連が調査分析をした東京都特別区の「広報」の入落札価格と適正価格との比較、落札率の評価などの報告を筆者が行った。また、韓国ソウルの印刷産業の実態や公契約、入札制度の問題提起もあった。この落札価格と適正価格との比較、落札率の評価などの報告は、日本印刷新聞等にも取り上げられ、産業内で話題になった。

年に二度開催された2002年の第3回は、印刷出版の日韓シンポジウムの提起があり、公共調達についての発注者責任と地方自治法施行令についての問題提起も行われたが、日韓シンポは諸事情で開催されなかった。

2003年の第4回は、壮光舎印刷㈱の竹内一社長(当時)の「積算能力、見積金額の違い、適正価格の理論を」と題する報告があり、業界団体と全印総連との東京特別区での懇談の報告があった。

2004年の第5回は、第2回に引き続き、東京都23区の「便利帳」の入落札価格と適正価格との比較、落札率の評価などの報告を筆者が行い、「広報」同様、年々下落を続ける落札価格と適正価格とのかい離、落札率の低下などの問題点を指摘し、併せて「談合」や同企業にもかかわらず「部署」が違う事による入札価格の違いなどを指摘し報告をした。

2005年の第6回は、改めて日本の労働組合のナショナルセンターが、公契約条例についてどう考えるか全労連の伊藤圭一常任幹事の報告を受け、問題提起として「官公需印刷物のダンピング、定期雑誌などの納期遅れと製本の実態」を筆者が行ったが、製本産業の苦境については、後述する。

2006年の第7回は、印刷と出版からの問題提起があり、出版労連からは出版不況と製本業の人手不足による定期誌の遅れが報告され、今に続く製本業の厳しい実態が報告された。全印総連からは、フリーペーパーの実態とデジタル化によるプロセスカットによる売り上げ減を筆者が行った。

2007年の第8回は、印刷と出版からの産業報告があり、入札制度と低単価、出版の返品率とデジタルメディアの普及など、深刻な産業動向が報告された。

2008年の第9回は、「本の制作」と「本の流通」の二部構成でパネルディスカッションを行い、印刷出版産業が抱える構造的実態を制作と流通の問題点として、明らかにしようとした。また、製本からは取引条件について、印刷からは筆者が「低単価・短納期・高品質」の問題点を職場からの実態として報告した。

2009年の第10回は、印刷からは印刷製本業者への実態アンケートの調査分析結果、出版からはデジタルメディアと著作権問題の問題提起があり、今日も綿々と続いている深刻な問題と課題が提起された。

2011年の第11回は、報告として「『デジタルネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会報告』の概要と政策」とする経済産業省からの提起があり、出版からデジタル教科書と子どもへの影響が提起され、印刷からは適正な労働条件と公契約条例などの提起を筆者が行った。

2012年の第12回は、デジタル印刷と文字―フォントについて、各経営から報告があり、問題提起を出版からは取引条件、ネットと絵本のデジタル化などの報告、印刷からは、印刷出荷額の低下と官公需印刷物にも適用する公契約条例について筆者が報告をした。

2013年の第13回は、報告を三社の印刷経営が電子書籍、製本の業界団体が製本の実態、出版労連が「中小企業金融円滑法の打ち切りと中小経営」を報告、問題提起として、印刷は「産業政策提言」の改定ポイント、出版はデジタル教科書と検定問題を報告した。

2014年の第14回は、報告としてコニカミノルタからデジタル印刷について詳細な説明と報告があり、印刷と出版からの問題提起として、産業動向と適正単価、電子出版などの報告があった。

2015年の第15回は、経営側の代表世話人でもある㈱童心社の田中正美社長の「童心社の理念、紙芝居の歴史、デジタル化はなじまない絵本・紙芝居」と題する報告があり、実際に田中氏は紙芝居を演じて見せた。また日書連からは、「書店の現状と役割」との報告もあり、出版メディアについて学びあい、印刷、出版からの問題提起もあった。

2016年の第16回は、第1回からこの円卓会議のコメンテーターを務めている元日本大学の永山利和教授(現・行財政総合研究所理事長)の「公契約の適正化と公契約条例の制定」と題する報告があり、改めて公契約条例の必要性を確認した。

2017年の第17回の報告は、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)の岩崎貞明事務局長の「共謀罪と言論出版の自由」という今までとは少し違った観点での報告があった。また、印刷と出版からそれぞれの産業の現状が提起された。

2018年の第18回は、印刷経営からの報告と出版の現状、印刷からは筆者が円卓会議の歴史と今後を提起した。

このように17年続いている円卓会議は、入札制度と公契約条例を起点として出発したが、印刷出版の産業の現状と動向にも目を向け、紙かデジタルかを問わないメディアの来し方について、労使の率直な意見交換を継続している。

しかし、課題も多い。「継続は力」として続いてはいるが、中々もう一回り大きくならない。「継続がマンネリ」を招いているのかもしれない。特に、労使研も円卓会議も平日を使った半日の会議である。労使双方、平日の半日会議は負担も多く、参加しにくいのが実情だろう。

また、どういうテーマを設定するか、どこのどの世代を対象にするか、テーマを絞るべきか、あるいは総花的にしてしまうか、様々考慮しなければならないことがあるが、ただ一つ言えることは、途絶えさせては元も子もない、という事だ。テーマは、今まで見てきたように、かなり網羅されているような気がするし、会議日程をどうするかは、率直に話し合っていくしかない。

この労使共同の労使研や円卓会議をなぜ開催してきたか、という原点を思い返すことによって、自ずとその使命は明確になり、鮮明になるはずだ。印刷出版関連産業をどう発展させ活性化するか、文字活字文化―紙メディアをどう振興させるか、その揺るぎない想いと決意があれば、産業が置かれている現状を打開できるはずである。それは、労使の共通課題である。

 

■製本産業の苦境と「本が危ない」―製本工業組合の意見書について

日本印刷新聞の11月5日号に、全日本製本工業組合連合会(製本工業組合)の意見広告が一面を使って大きく掲載された。筆者は、1990年代後半、「本が危ない」と言われ、雑誌などの定期刊行物が発行日に間に合わない事態を目の当りにし、営業の仕事としても労働組合の役員としても、この事態にぶつかり、製本会社に助っ人に行った記憶がある。この時は、もちろん単価問題が構造的背景としてあったが、直接的な要因は、極端な人手不足だった。

今回の意見広告では、喫緊の課題として、①旧態依然の取引慣行に起因する低価格、②過剰品質、③短納期化、④物流費の高騰、⑤人手不足による賃金相場の上昇、等を挙げている。これは、印刷産業にも共通する課題でもある。業界団体がこのような意見広告を出す背景は、デジタル化の進行による紙メディアの疲弊、人口減少による需要の低迷などがあり、生業として事業を継続していく環境が狭まっていることがある。

その結果、製本業は、1975年の最盛期、2352社あった企業が、現在728社と激減し、この40年で70%も減少しており、東京都製本工業組合では、企業、従業員ともこの10年間で40%も減少している、と意見広告は言う。相当深刻であり、直ちに対策を講じないと「本が危ない」どころではなく、「本が無くなる」事態にもなってしまう。

製本工業組合では、取引慣行と適正な取引条件の改善を切実に求めている。業界団体が、このように適正な単価を求めるのは稀であり、不退転の決意がないとできるものではない。それほど、切羽詰まった抜き差しならない事態が横たわっていることを物語っている。

紙メディアの疲弊によって、印刷も出版も厳しい状況にあるのは事実であるが、紙メディアの最終工程である製本産業が、このような深刻な事態になっているのに目をつむることは、自らの印刷出版産業の墓穴を掘ることにつながることを認識すべきだ。

出版、印刷、製本、流通は、雑誌や書籍を作る上では、まさにパートナーだ。しかし、その実態は、上流工程から下流工程になるにしたがって、企業環境や労働環境は悪化している。この構造にメスを入れるのが根本的な改善策だが、これはかなり難しい。

しかし、取引慣行の改善見直しや適正な取引条件の見直しは、率直な話しあいで出来るはずであり、すべきである。そうしなければ、前述したように、自らの墓穴を掘ることにつながりかねない。

本や雑誌、新聞などの紙メディアが好きな筆者は、読者としての観点から、多様な紙メディアが日本の民主主義を守り発展させていくためには必要だと思っている。

電子メディアで多様な情報を告知し流布するのも一つの方法だが、造本という「工芸品」で情報を享受することは、まさに人間的な営みである。

これを古き良き時代にしてしまうのか、それとも私たちの英知で造本―製本を後世にキチンと残していくのか、印刷出版関連産業で働き生きる私たちのミッションである。

 

 

 

 

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