2009年に設立された反貧困ネット北海道では、生活相談や貧困問題に関する学習・啓発など様々な活動に取り組んできました。2020年は新型コロナウイルスの感染で活動が制約される中、反貧困ネット北海道を構成する諸団体(運営会員)が、それぞれの現場でどのような事態に直面しているのか、またそうした中でどのような活動に取り組んでおられるのか、共有することを目的に、連続学習会をオンラインで、6回にわたって開催してきました。事務局の責任でまとめた全記録は、反貧困ネット北海道のウェブサイトで読むことができます。
以下はそのうちの、2020年10月20日に開催された第5回目の学習会で講師を務められた、片山和恵さん(きょうされん北海道札幌支部長)のご報告です。内容は当時の状況に基づくものです。司会は、山内太郎(札幌国際大学/反貧困ネット北海道事務局長)です。/(反貧困ネット北海道事務局)
片山です。私はずっと精神障害の分野で働いてきました。大学を出てから5年ほど精神科の病院で働いた後、地域のほうに入ってきて、2か所目で、精神障害者を支援する会で働き始めて、20年になりました。よろしくお願いします。
障害者をめぐる今日の情勢
障害の分野も、本当に介護の後追いというか、似た状況を抱えています。2021年度に、障害福祉事業のサービス報酬の単価改正が行われることになっていて、まさに今各部会で検討されている最中の時期なのです。コロナのこともあって、いろいろな問題が出て来ているのですが、コロナ以前から、障害者総合支援法—前は自立支援法と言っていました―が大きな問題になっています。これは全部話すと時間が無くなってしまうので、レジュメのほうに目を通していただきたいと思います。
参考資料として付けた、札幌市事業所指定数の表を見てください。これは、19年度5月の、就労継続支援A型とB型の事業所で、札幌市の指定を受けている数を、ホームページで公表されている数字を抜き書きして私が作ったものです。先ほど言いました、障害者自立支援法になったときに、障害福祉の事業も、営利企業を含めてどのような法人でも運営できるような規制緩和がありました。表を見ると、19年の5月の段階で、すでに就労継続支援A型の事業所の7割近くを営利企業が運営している。
B型のほうも、5割はNPOや社会福祉法人が運営していますが、かなりの数、4割近くは営利企業が参入している状況になっています。この営利企業の参入と市場原理の導入によって、福祉の質の低下が大きな問題になっています。例えば、営利企業の事業所でほとんど作業を行わなくても工賃を支払っていたと、利用者さんから聞きました。法人が補助金をもらうことしか考えていないのですよね。本当に支援の質が下がっています。
新型コロナウイルス感染症の影響
障害福祉も介護と同じような状況で、通所系の減収の問題が非常に大きいです。きょうされん札幌ブロックからの声を集めたものを紹介します。札幌ブロック限定なのは、地方に比べて、やっぱり札幌で感染者が多く出ていて、緊張感の高い状況が2月以降ずっと続いていたためです。
①事業報酬費の減収
利用者さん自身が通所を自粛するということもあるのですが、特に5月の緊急事態宣言のときには、職員が家族への感染防止のため出勤できなくなり、職員を確保できず事業所が休止になる事態が起きていました。一方で、休止にはならないまでも、利用者さんが通所できない、訪問サービスが受けられない、事業所も利用者さんが通所できないため、私が聞いたところでは、昨年と比較して50%まで減収している事業所も出て来ていました。
②就労系事業所への影響
就労系事業所では、経済活動自粛の影響で、今までもらっていた作業がもらえなくなりました。自前でパンやクッキーを作って販売していた事業所も、販売先の自粛で受け入れてもらえないということも起きてきました。おみやげを袋入れする作業も事業所でもらっていたのですが、観光業の自粛でそのような作業が一斉に減少・中止になりました。それから、地域の皆さんの所に訪問販売に出かけるのも感染防止のために中止にせざるを得ませんでした。また、区民センターバザーで月に1~2回バザーをしていたのですが、それもしばらく中止になりました。今は少しずつ再開してきているものの、うちの事業所が行っている区民センターでは、お客さんが製品を手に取ることを禁止しています。そうなるとバザーとしてかなりやりづらいので、私たちは結局休止しています。このように、作業が減って、作業収入を得られなくなるということが続いています。
また、就労系事業所では、“三密”を避ける、感染防止策をとるということにも非常に困難が伴います。特に5~6月の緊急事態宣言中は、休所した所もありますが、開所時間を短縮して午前中のみにしていた所が多いです。“三密”を避けるというのが非常に難しくて、一人一人の間隔を1~2メートル開けることと国は言っていましたが、そんなに広い作業スペースはとれません。そういうわけで―うちは今でもやっているのですが―場所を一つは貸してもらい、一つはアンテナショップに移動して、という形で、3か所に分散して作業をしています。これは場所が確保できたからやれたことですが、そのぶん、各所に職員が一人ずつついていくので、結果として職員の業務量が非常に増えています。
そして、食事中にウイルスが舞うということで、食事サービスを中止した所も多くありました。うちは食事サービスを提供していますが、スペースや回数を分けるという工夫が不可欠です。
それから、どうしても常に職員がそばについて介助しなければならない利用者さんがいる場合、そのうえで国の言う基準をぜんぶ満たしてやっていくというのは本当に厳しいと。物資も人手も無い中でやらなければならないので、とても難しいと。
逆に、利用者さんのほうで大変なのは、常時マスクをつけていることです。特に重度の知的障害の方は、ずっとマスクをつけているというのが非常に困難です。手洗いをきちんとしてもらうのも非常に大変だという声もあがっていました。
③グループホーム
グループホームの利用者さんで、濃厚接触者として認定された方がいました。その方は2週間自宅待機ということになったのですが、たまたまそのグループホームがアパート形式で、一つの部屋の中にトイレやお風呂が揃っている形で住んでもらえるので、なんとか隔離対応ができました。しかし、これがもし、台所やトイレが共有になっているような一戸建てや下宿タイプのグループホームだったら、きっと対応できなかっただろうと。そのような問題が出てきました。
きょうされんは今まで、第6次まで要望書を出してきている状況です。障害者の問題の要望とともに、コロナ対策のところで要望を上げています。具体的には、医療機関の優先受診、PCR検査の柔軟な運用、感染者や濃厚接触者が出た場合の障害当事者や支援者が隔離避難できる場所の確保、衛生用品の確保、事業所運営や作業収入の補助、それから障害者支援のマンパワーの確保です。
障害福祉サービス施設・事業所に対する助成制度
①新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業
国による福祉事業所への助成制度を紹介します。一つは「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業」というもので、これはそれぞれの事業に合わせて助成額の上限が決まっているものです。支援する会では、外部サービス利用型グループホームと就労Bを運営しているので、その助成額を資料に書いています。今、就労Bで感染防止のために作業用スペースを借りていますが、その予算にこの助成金を当てて使い始めているところです。職員に対する慰労金は、たぶん介護と同じかと思います。
②障害者就労施設の生産活動再起支援
これは、前年比で見た生産収入の減収率によって最大50万円の補助金が出るというものです。うちは残念ながら50%の減収、連続する3カ月の30%減収のどちらにも該当できず、申請できなかったのですが、該当している所は申請して利用している状況です。
PCR検査を巡る支援する会利用者の実態
4月から今まで、利用者が発熱した場合、医療機関を受診してよいかどうかを必ず保健所に確認するように求められるのですが、そこで保健所に確認をしたケースを、比較対照のために2つあげてみました。
Aさんの事例
Aさんは、アパートでひとり暮らしをされていて、ご家族からもまったく支援が無いので、昼食と夕食を含めて日中は当会の地域活動支援センターに通っていた方でした。この方が、4月の中旬くらいに、37度4分の熱を出したのです。そのときはたまたま精神科を受診していたのでそのまま内科に連れて行ってもらいすぐに受診できたのですが、その段階で内科の医師から自宅待機を指示されました。その後、37度台の微熱がずっと続きましたが、当時、検査の対象になるかどうかが、ご存知のように、「37度5分以上が4日間」とか、せきをしているとか、体がだるいとか、諸症状があるかどうかというのが基準になっていたものですから、Aさんは対象になりませんでした。内科の医師からも保健所からも「今の段階ではPCR検査の対象にはならない」と言われて、なかなか検査できなかったのです。
結局、微熱が一カ月以上続きました。微熱の原因がわからないまま、「コロナかもしれないから一応自宅待機をしなさい」という状態がずっと続きました。自分が何に罹患しているのかわからないまま、ずっとひとりでアパートに待機しなければならないということになってしまいました。当然、精神的にも不安になってきて、微熱が4週目になったときには、ご本人のほうから、「このままではつらいし不安だし死にたい」と「PCRを受けさせてほしい」と言葉として出てくるようになりましたので、もう一回保健所のほうに相談しました。それからは保健所の人に毎日電話連絡をしてもらって状況をつかんでもらって、それでやっとPCR検査までたどり着けたということです。結果は陰性でした。内科の医師にはそれでも「まだ通所は勧められない」と言われましたけれど、微熱がおさまった段階で通所を再開してもらって、なんとか精神科に入院するほどの精神症状の悪化につながらずに済みました。
Bさんの事例
Bさんはうちのグループホームの利用者です。今月のことです。37度5分の熱と下痢症状があるという状態で、二日ほど様子をみてもおさまらず、内科に相談したところ、保健所に連絡しなさいと言われて、保健所に連絡しました。保健所に症状を話すと、一般の内科を受診してもよいと言われました。ところが、Bさんが障害者であるということ、60代であるということ、グループホームの利用者であるという状況を説明すると、今度はPCR検査の対象なると言われたのです。しかし、PCR検査を選択した場合、これから手続きをするので、いつ検査を受けられるかわからないということと、それから、検査結果が出るまでの間は一般内科受診ができないと。検査か受診か、どちらかしか選べませんと言われました。そこで、症状が発熱と下痢のみということでおそらく大丈夫だろうというのと、本人もなんとか下痢症状をおさめたいのと、脱水も心配だったので、一般内科受診を選びました。内科でも「コロナではないだろう」と言われたのですが。いずれにしても、その二択を電話で言われたとき、私はものすごい負担を感じました。選ぶのはあなたですと言われて、それで、選んだ責任は事業所で取ってくださいと言われるのですよ。PCR検査を選んでも、万が一感染していた場合、検査と結果を待つ間に他の方たちにうつしてしまうかもしれないということも含めて、本当に選択がつらかったです。保健所のほうに、どうして受診と検査を同時にさせてもらえないのかとかなり言ったのですが、「それはできない」と。障害の分野では前進している面はあるのですが、これは本当に、どうしたらいいのかなというのをすごく感じたケースでした。
これから冬の時期にかけて、風邪やインフルエンザなどで、コロナと似た症状が出て判断が難しい場合が増えてくると思います。そういうときに、検査と同時に受診ができるとか、検査までの待機時間や結果が出るまでの期間に避難する場所があるとか、そういうことが無ければ、安全策の取りようがないのではと感じています。
報告は以上です。ありがとうございました。
質疑応答
山内 ありがとうございました。具体的な現場のお話を中心に報告いただきました。質問のある方はお願いします。
田村 事業所のヘルパーで、発熱とか、陽性あるいは濃厚接触者になったら、14日間サービスに関われないですよね。介護だったら一時間とかの支援なので、まだ代わりがいると思うのですが、障害の場合は、8時間とかかなり長時間の、それから夜間の支援もあると思います。コロナの影響でヘルパーがいなくなって困るという事例があれば、もしわかれば教えてください。
片山 障害分野のほうでは、ヘルパーを利用したいという需要は、在宅の、アパートで暮らしてらっしゃる方にすごく高いです。掃除や食事の用意など、家事援助が多いです。ただ、今は、全く入れません。新規で入ろうとしても、ヘルパーさんがなかなか派遣してもらえない。実は数年前からこの状態が徐々に始まっていたのですが、今年になってからは、待機すらさせてもらえない。「今利用している方が、入院した場合しか対応できません」というふうに言われました。ヘルパー事業所のほうでヘルパーさんが足りていないのです。それがコロナで余計に加速しているのかなとは思います。
山内 ヘルパーがなかなか入れないというのは、どのような理由ですか?
片山 ヘルパーさんが今対応している利用者の方で手いっぱいで、ヘルパーさんを派遣する余裕がないということです。ヘルパーの人数ももともと少ないのだと思います。コロナの前にも、希望する時間に入ってもらえないという事態が起きていたのです。「この曜日、この時間に来てほしい」というように要求を出されると対応できません、と。今年になってからは、まったくヘルパーさんに余裕がないので、こちらで日時を選ぶことももちろんできないし、来てもらえないです。待機もかけられないと言われたのが、つい先日のことです。
田村 大変ですね。札幌市の公共サービスの基盤が崩れていますよね。いくら札幌市が民間に任せたからといって、基盤には責任を持たなければならないはずですよね。これはもう、12月の議会で一緒に交渉に入って行ければと思いました。
片山 ありがとうございます。明日、きょうされんの札幌ブロックで、このヘルパー不足問題も含めて札幌市に要望書を出しに行く予定ですが、これは多分いろんな分野で、共通の問題だろうと思います。高齢者の分野も同じだと思うので、ぜひお力を借りられたらいいなと思います。
田村 11月11日、介護の日に、札幌駅の南口で集会をやります。マスコミも呼んでいますので、そこで一緒にアピールできれば、ニュースに取り上げてもらって、その流れで12月議会に突入して行くというのができると思います。
ちなみに札幌市は、要望書は本当にスルーするので、ほぼ無意味だと思います。これなら陳情一発でやるしかないと、最初から陳情でやればよかったと思っています。ぜひ明日の会議で、介護は陳情で進めようとしていると、障害も陳情でいかないかと言ってみてください。
山内 コロナ以前に深刻な状況がすでにあったということですね。さらにコロナで拍車がかかって、露呈しているという話かなと思いました。
参加者J 今日、札幌社保協の事務局会にならって、札幌市への要望書をまとめている所なのですが、個別の団体が要求をしていくだけではだめですね。それから、国絡みの制度をどのように自治体で実施させていくかという問題を本気で考えていかなきゃならないですよね。それがコロナの時代ですね。その中には、もっと卑劣な問題や、もう呆れてしまうような問題もあるわけです。行政は障害と介護がわかっていないという。それは私達の分野でいえば、障害を持った高齢者なのですよ。これを65歳以上の部分は「高齢者」でひとくくりにしようとする。コロナ禍の問題もそうですけども、それ以前の問題で、具体的な課題や実態を明らかにしていくことが非常に大事かなと思っている所です。このようにみんなで共有していって、田村さんにも大いに力になってもらいたいと思っています。よろしくお願いいたしします。
山内 この学習会の意味がより鮮明になるような、そういう展開になってきましたね。問題を共有して、それぞれの活躍されている所が一緒になって行動を起こすという動きになればとても良いと思います。
ところで、Aさんのお話で、自宅待機が4週間も続いたそうですが、これは、熱が引かなかったから4週間ということですか?それとも、自宅待機を命じられたのが4週間だったのですか?
片山 すみません、説明不足でした。ここで言っている自宅待機というのは、うちの施設に通うのをストップしなさいという意味です。それで、このAさんはもともとヘルパーさんを利用していたのですが、感染しているかどうかがわからない以上、ヘルパーさんも入れないということになってしまって、ひとりで待機になったという意味です。家から一歩も出ちゃいけないということではないのですが、うちのような、人がたくさんいる施設に行くのはだめですというふうに医師から言われたということです。
山内 こういった方が感染の疑われる状態になると、支援のつながりが一気になくなってしまうということですよね。
片山 食事を届ける支援と、何回か受診同行もしました。どうしようもなくて。だけど、国や医師の言うことをまともに聞いていたら、それもできなくなりますよね。当時は、衛生資材も充分ない中でやっていました。PCR検査を受けに行くときも、うちの職員が同行しました。これは向こうから「障害をもってらっしゃる方なので一緒に来てください」と求められて。
山内 田村さんの報告でも、車の送迎で6人のところ3人にするということが、実際には難しく、結局詰め詰めで送迎する事業所の話がありましたね。わかってはいるけども、それでは現場はまわらないということですよね。まさに現場にしわ寄せが行っているというか、やむにやまれずやっているわけですから、この問題はまたどこかで取り上げていく必要があると思って聞かせてもらいました。
参加者G 言い訳になってしまうのかもしれませんが、医療の側からお伝えしておいた方がいいかなと思うことがいくつかあります。エッセンシャルワーカーという言葉がだいぶ定着してきましたが、医療職もその一つですね。急性期病院は、ベッドを90何%埋めて、しかも、高回転で患者さんを入退院させないと、経営的に成り立たないと。人員配置もぎりぎりであると。そういう病院の状況があって、そこで一人感染者が出れば、病棟を休むなどしなければならない。それは小さなクリニックでも同じことで、例えば先生が濃厚接触者、感染者になれば、そこは休業あるいは廃業も考えなければならないという、深刻なことになってきます。風評被害の問題もあります。
介護も障害福祉も、医療も、「効率化」ということで徹底的に人を削られて、何かあったときのキャパシティが全然なくなっていたところに、このコロナがやってきたという状況だと思うのです。そういう意味では、エッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちが一束になって運動するようなことがやっぱり必要だと今日の話を聞いていてあらためて思いました。
また、5月の収入が20%―場所によっては50%も減ったというところがあるという田村さんのお話でしたが、医療も同じ状況だと思いました。5月に使わなかったぶんのサービスを「コロナおさまったから使いましょうか」という話には絶対にならないのが、医療、介護の事業の特徴ですよね。そこはやっぱり公的に補填してもらわない限り、後から安売りしたり、売上を伸ばしたりということはできませんから、公的支援がかならず必要だと思っています。
もともとあった不十分なところがコロナで露呈してきたというのは、医療も含めて似たような状況があると思って伺いました。以上です。
山内 ありがとうございます。コロナウイルスが猛威を振るったそのぶんの公的な補填を求める上で、エッセンシャルワーカーとして共闘が必要だということですね。片山さん、田村さん、いかがですか?
田村 これは公的負担でやるしかないですよね。介護サービスの基盤が崩れると、全国みんなが安心して暮らせない状況になるので。大企業の人たちには「デイサービスがなくなったら間違いなく介護を理由に離職しなければならなくなるよ、そういう問題だよ」と私は言いたいです。
介護報酬を決めるときも、障害福祉のサービス報酬を決めるときも、そういう有識者会議の中には、いろんな考えの人たちがいて、経済団体なども入っていて、「これだと財政的に困難がある」だとか「もっと削れないか」とか言いたいことを言っていますけども、そこを変えるのは、我々現場の人たちが、疲弊している中でも、いかに声を上げられるかというところにかかっています。今は政治やいろんなことに精通している人たちがいかにして結果につなげていくかということをかなりシビアに考えて活動しなければいけない状況になっていますが、福祉分野はそこが非常に弱いです。医療分野は医師会や看護協会など職能団体が強いですけど、われわれ福祉分野はそこが弱い。だから報酬が上がらないと、国会議員とかからもよく言われることです。福祉はその辺りの力をまず強めていかなければいけないですね。そして、各現場でバラバラにやっていてもしょうがないというか、多くの人が手を結んで数の力でやっていくっていうことが必要ですね。例えば札幌市に要望書を1枚出すにしても、多くの団体で一緒に出すとか、そのような共闘がこれからますます必要になってくると思っています。
片山 私も、障害のところだけで運動を展開してもなかなか改善に向かって行かないということを感じています。同じ福祉の土壌の中で手をつないで一緒に共闘していくっていうのはとても大事だと思います。さきほど田村さんからお声がけもいただきましたので、ぜひ介護の日に一緒に行動できるようにしたいです。勇気をもらいました。
山内 非常に活発な議論をありがとうございました。時間になりましたので、それでは、第5回の学習会を終わります。田村さん、片山さん、ありがとうございました。
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