田村優実「介護に笑顔を!北海道連絡会の取り組みと、第8期「北海道高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画」にみられる課題と私たちの要求」

介護制度が危機に瀕しています。介護される側も介護を提供する側(事業者・労働者)もみんなが笑顔になるための取り組みを進めている「介護に笑顔を!北海道連絡会」をご紹介します。また、北海道による第8期「北海道高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画」案にみられる課題と要求をまとめました。北海道による同計画はすでに策定され、2021年4月に公開されていますが、そこにみられる課題と私たちの要求は変わりありません。ご紹介します。

 

 

介護に笑顔を!北海道連絡会の取り組み

 

連絡会の構成団体と運営について

私たち「介護されるもするも、みんな笑顔に 北海道連絡会(通称、介護に笑顔を北海道連絡会)」は、 2008年 4月19日に結成。サー ビス事業所や労働組合が連帯し、介護保険制度の発展と真の地域包括ケアの構築を目指して活動しています。事務局の構成団体は、道医労連、福祉保育労、道勤医労、道医連、勤医協福祉会、協いつくしみの会、道社保協、札幌社保協の 8団体、11 人。ミーティングは月 1 回、情報共有はメール・メッセンジャーなどで行っている。コロナ禍以前の2019年の主な活動は以下のとおりです。

 

・2019年2月21日 介護に笑顔を!北海道学習講演会:講演「認知症の人と家族の会」(鈴木森夫代表)

・2019年3月22日 札幌市介護保険パンフレット改定要請

・2019年4月 統一地方選政党・候補者アンケートを実施。結果をFacebookで公開

・2019年7月 参院選政党・候補者アンケートを実施。結果をFacebookで公開

・2019年9月11日 介護署名を大通公園にて宣伝

・2019年11月10~11日 介護アクションや介護スピーチ&パレード。

 

学習会、調査、他団体との共同、街頭でのアピ ー ル、S N S の活用など多彩な活動

連絡会の主な活動は以下のとおりです。

① 学習 学習会の開催

② 調査 要介護 1 · 2保険外し影響調査、札幌市総合事業実態調査など

③政交渉(地・自治体)、ロビー活動、議会への要請、国への意見書を重視

④情報発信(ニュースをFacebook、メールで配信、記者会見でメディア活用)

⑤ネットワーク形成(認知症の人と家族の会、介護支援員専門協会、介護福祉士会など)

⑥世論形成(署名行動、スピーチ&パレード)

 

いつ、誰と、どのようなアクションをするか

「介護制度を良くしよう」とよく耳にしますが、 その目標を達成するために「いつ、誰と、どのような行動をするか」が語られないことが多いと思います。アクションをベストなタイミングで実行する「いつ」を意識したい。さらには、「誰と」も重要で、自分たちの周りにすでにある人的資源を有効に活用したい。資源が不足していれば作ればいい。例えば、2018年度は介護保険改定の直後で、制度改正はほぼないため、関係団体とのネットワーク形成を目標にしました。

2016年、介護支援専門員協会のケアフラン有料化反対署名を4000筆集め、北海道介護支援専門員協会の会長と懇談しました。関係は作れましたがアクションを共同して行うところまではいきませんでした。その後も署名の協力要請での訪問や地域の学習会で会った時に積極的に話しかけていくと関係は深まっていきました。すると、「道がケアマネジャーの充足調査を行ったが、結果が公表されない。貴会の力で調べられないか」など頼りにされる関係に変化しました。11月の電話相談では、初めて副会長が参加し「気軽に聞ける電話相談は道民にとって大事だと思えた。また来年もご一緒に」とさらに関係が深まっています。

「札幌認知症の人と家族の会」と「北海道認知症の人を支える家族の会」とは、今までも主催イベントヘの参加や電話相談への相談員派遣を要請していました。中央レベルでは、認知症の人と家族の会(以下家族の会)と全労連との関係は良好です。 北海道でも同様の関係を築くことが大事でした。2021年度の介護保険改定を見据え、 2019年は重要な1年と位置付けました。2月、家族の会・ 鈴木森夫代表を京都から招き学習会を開催しました。鈴木代表との打ち合わせで「当会の運動には当事者(高齢者とその家族)がいない。家族の会と共闘関係を築く一歩にしたい」とお願いしました。講演が決まってからは、札幌や北海道の家族の会と懇談すると「会長を呼んでくれたなんて。会報と一緒にチラシを送る」と広報や会場受付など大いに協力をいただきました。私たちも入会し、会報を読むと当事者や家族の葛藤など学ぶことが多いです。

 

市民と一緒に世論を作っていくために

介護に触れていない市民は、まったくと言っていいほど介護の現実を知りません。署名中に対話すると、市民も同じく怒ってくれることを実感します。パレードは4 回目となり、参加者は初の700人を超え、自作フラカードが増え賑やかになってきました。夜勤労働や人手不足で疲れていても、「介護の日パレードは絶対参加!」という仲間がいます。今後はアクションに参加する仲間の中から、活動家を養成し介護運動を発展させることが大事です。全国の皆さんとともにこれからも前進します。

 

第8期「北海道高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画」みられる課題と私たちの要求

 

道は、2021~23年度までを計画期間とする第8期高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画の素案を公開し、1月14日まで道民からの意見(パブリックコメント)を募集しています。当会は募集開始日である昨年12月14日、道保健福祉部と懇談、要請書を提出しました。いわゆる「団塊の世代」が75歳以上となる2025年を目前にひかえ、総人口・現役世代人口が減少する中で、地域ごとに高齢化の状況や必要な介護サービスが異なってくることも想定されるため、道による広域的な評価分析や政策を実行していく役割は重大です。そして、私たち市民は、行政が見えていない、見ようとしていない課題を知らせ要求することが重要と考えます。

 

人材確保という課題

一つ目の課題は、人材確保です。

道の素案では、学生への修学資金の貸付(給付ではない)や小中高生への介護のしごと普及活動など、新たな計画は見当たりません。新型コロナウイルスへの対応による業務増大と感染不安によるストレスという壁を超えて、それでも市民が「介護の仕事にチャレンジしよう」と思える緊急的な政策が必要な状況です。当会は、家賃補助や資格取得費用補助、養成校奨学金返済補助等の具体的に「見える」処遇改善策の制度化を要請しています。

 

介護サービス基盤の充実と安定という課題

二つ目の課題は、介護サービス基盤の充実と安定です。

広域な北海道は、国が言う地域包括ケアではなく、地域性に合わせた計画をつくる必要があります。人口規模が大きな自治体では、自宅で最期を迎えることができるサービス基盤があります。しかし、小さな自治体では、それを可能にする小規模多機能型居宅介護看護などの「地域密着サービス」は人材不足などから開設が進んでいないことが道のデータからも読み取れます。よって、常時介護が必要な状態では施設に入所となります。当会は、一人暮らしで重度の要介護状態になっても住み慣れた自宅に最期まで暮らすことができる仕組みを中学校区ごとに作ることを求めています。

 

高額な保険料と低所得者対策という課題

三つ目の課題は、高額な保険料と低所得者対策です。

道の計画には、保険料についての言及は一切ありません。これから各市町村が保険料案を公開しますが、道は保険料が高額な自治体が増えていること、自治体財政がひっ迫していることを把握しており、財政支援策を打ち出してほしいです。低所得者対策は、消費増税の財源によるものではありますが保険料の軽減が徐々に進んでいます。しかし社会福祉法人が行う負担軽減への助成は135市町村にとどまっており、至急全市町村で実現されるような具体策が必要です。日本医労連の厚労省交渉で私自身も要求し、国の通知が発出されるなど徐々に進んでいます。さらに、無料または低額で入所できる軽費老人ホームやケアハウスの運営支援が盛り込まれており、特養の入所基準に該当しない要介護2以下の要介護者が暮らせる場所づくりについて言及されていることは良いですが、具体策はまだありません。

 

道の計画と私たちが居住する自治体の計画の両方を理解し、市民として一言でも意見を伝えていきましょう。私たちが暮らしやすい、働きやすいまちづくりの一歩になることを信じて。

 

 

 

 

 

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