本田宏「原子力問題と労働運動・政党──その歴史的展開」

大原社会問題研究所編・発行『日本労働年鑑第82集(2012年版)』、2012年5月、69-99頁に掲載された北海学園大学教授の本田宏氏による論考「原子力問題と労働運動・政党-その歴史的展開」を、氏による紹介文とあわせて掲載します。

 

本稿は、原子力に対する日本の労働組合の関わりについて包括的、かつ時系列的に記述したものである。原子力推進の立場をとる労組だけでなく、反対の立場をとる労組も対象とする。全国労働団体を主に、産別組織の動きのほか、例示的に地方組織にも言及する。原水爆禁止運動と政党の動きにも言及する。

労組が原子力民生利用を批判する論理は、軍事利用との不可分性や研究者への監視体制、放射能公害、独占・合理化への批判のほか、住民サービスに敏感な自治体労働者の視点など、時代によって変遷してきた。これに対し、労組が原子力を推進する論理は、原子力発電所の運転や機器を製造する企業利害との一体化に発している。原子力をめぐる日本の労組のかかわりにおいては、労働界再編と政界再編との相互作用も特徴的である。

福島第一原発事故で問われているのは、労働者や生活者、地域社会の利益を企業利益に従属させてきた垂直的な社会統合の論理であり、規模拡大を自己目的として異論を押しつぶしてきた労働界や政界のあり方でもある。

 

注:大原社会問題研究所のウェブサイト(日本労働年鑑)からダウンロードできます。

本田宏(2012)「原子力問題と労働運動・政党-その歴史的展開」大原社会問題研究所編・発行『日本労働年鑑第82集(2012年版)』、2012年5月、69-99頁。

大原社会問題研究所「日本労働年鑑【総合案内】」

 

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