静岡県労働研究所・静岡県評パート臨時労組連絡会「静岡県最低賃金引き上げの経済波及効果試算」

静岡県評パート臨時労組連絡会は「静岡県最低賃金引き上げの経済波及効果」試算を静岡県労働研究所に委嘱しました。その結果が出ましたので、11月30日静岡県庁内の政治部記者クラブにて発表しました。記者クラブからは、中日新聞と静岡新聞が対応してくださいました。

 

発表する多田事務局長(中央)と監修の中澤県立短大准教授(左)

 

静岡県最低賃金引き上げの経済波及効果試算

最低賃金を1500円に引き上げると

県内生産誘発額は3200億円/県内付加価値誘発額は1900億円/県内雇用誘発人数は25000人

 

静岡県で時給1500円未満で働く労働者は約82万人。労働者の二人にひとりが該当します。「最低賃金を1500円に」という運動は、労働者全体の課題といえます

労働者の賃金が上がることにより、家計消費支出が増加します。その経済波及効果は上記のとおりです。経済効果が顕著に現れるのは商業、対個人サービスの分野です。このコロナ禍で打撃を受けた業種に大きく影響します。そして、労働者の賃金が上がることによる税収も増加します。国と地方の税増収は、350億円から400億円が見込まれます。昨日の県議会初日には、残念なことに、公務員の一時金削減が採択されたそうですが、賃金削減ではなく引き上げによって消費が伸び、税の増収も見込めるという経済回復のスパイラルに目を向けるべきではないでしょうか?

この試算は、静岡県内に限ったものですので、最賃1500円が全国に広まれば、この経済効果は更に大きなものになります。また、対象を時給1500円未満の労働者としましたが、1500円以上の労働者も当然賃金は引き上げられるので、全体の経済効果はより大きくなります。

ただ、日本の企業の大多数を占める中小企業にとっては、余裕のない中で賃金の引き上げは死活問題だといえます。中小企業の支援策については、より具体的で実効性のあるものを実施することを、私たちは、国や自治体に求めていきましょう。欧米に比べてあまりにも低すぎる中小企業支援予算を大幅に上げ、賃上げへの直接補助、保険料の減免を進めることが必要です。また、いわゆる「下請けいじめ」をなくし大企業との公正な取引を求めること、公契約等で地元企業を優先的に活用することなどを、中小企業事業者とともに求めていきましょう。

今年も、最低賃金を地域格差のない暮らせる賃金時給1500円し、経済の好循環を作り出す運動を県評をあげてすすめていきましょう!!

 

 

詳しい試算はこちらをご参照ください。

静岡県労働研究所・静岡県評パート臨時労組連絡会「静岡県最低賃金引き上げの経済波及効果試算」2021年11月29日

 

 

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