川村雅則「なくそう!有期雇用、つくろう!雇用安定社会 ver1.0」

非正規雇用(有期雇用)で働く皆さん。皆さんの雇用は、無期雇用転換によって安定化したでしょうか?

2012年の労働契約法の改正で非正規雇用者(有期雇用者)に雇用安定の道が開けました。無期雇用転換ルールの整備です。通算の労働契約(雇用契約)期間が5年を超える非正規雇用者は、無期雇用への転換を使用者に対して申し入れることができます。使用者はそれを拒否することはできません。改正法には課題もあり、なおかつ、非正規雇用問題の全てを解決するものでは決してありませんが、問題の解決に向けた大きな一歩になると思います。

ところが、労使双方とりわけ労働者側にこのことが知られていなかったり、誤解があったり、あるいは、使用者側においては、法に逆行する動きさえみられます。無期雇用転換を回避するために、雇用契約の更新は5年を超えないことを就業規則でうたった職場(そのように就業規則を改定した職場)も珍しくありません。また、非正規雇用者の雇用安定というこの課題に果敢に取り組んでいる労働組合が幾つもあるものの、労働界全体でみると取り組み状況は必ずしも活発とは言えないと思います(その「結果」は後で確認します)。いずれも、非常に残念なことです。

こうした事態の改善に少しでも貢献できればとパンフレット(『なくそう!有期雇用 つくろう!雇用安定社会 ver 1.0』)を作成し、2017年10月に発行しました。それに若干の加筆修正を行ったのがこの投稿です。加えて、二つの資料をつけました。一つは、総務省「労働力調査」に基づき、非正規雇用者中の無期雇用者の規模を示しました。もう一つは、インターネットで調べることのできた北海道内の国立大学のおける非正規雇用者の就業規則(無期雇用転換に関わる部分)です。

無期雇用転換を回避する上記のパンフレットには、「期限のない仕事になんで有期雇用? 法律が改正されたのになんで雇い止め?」とサブタイトルでつけましたが、当事者・関係者はまさにそのような思いではないでしょうか。大学で働く者として、現状を注視し、改善に貢献できればと考えています。

なお、無期雇用転換に関する詳しい情報は、すでに厚生労働省による様々な情報提供がされていますので、そちらをご覧ください。

 

出所:厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」。

 

非正規(有期)雇用という問題

 

▶雇用が1年単位なのでいつ切られるか非常に不安です。

▶このままずっと働き続けられるのかと考えると不安になります。

▶更新時期が近づくと夜も眠れない。

▶更新時期に限らず、いつも不安です。

▶うかつなことを言うと更新されないかもしれないから、職場で何かあっても黙っている。

▶「来年は採用できないかも」とことあるごとに脅かしを受ける。

▶非正規は産休・育休を取ることはできないと言われている。

▶履歴書の提出を毎年求められる。会社のメンバーではないのかと悔しい。

▶ 正社員は65歳まで働けるようだけれども、私たちはいつまで働くことができるのか。老後が不安。

▶雇い止めはしないと言われても、ではなぜ無期雇用にしてもらえないのか。

 

これらは、調査・研究を通じて聞いてきた非正規労働者の「声」の一部です。

ワーキング・プアという言葉に示されるとおり、非正規雇用の特徴と言えば、賃金の低さが注目されます。しかし雇用面の特徴、すなわち、雇用期間に定めのある点にももっと関心を向けるべきです。

問題は、仕事に期限があるわけでもないのに、半年や一年など、期間を定めて雇い、更新が繰り返されることです。働く側にしてみれば、雇用不安が常につきまとうことになります。

「海の家」やスキー場などでの季節的な仕事や、一定の年数で終了が予定されているプロジェクト事業などであれば、有期で人を雇うことに合理性がありますが、通常の仕事(期限があるわけでもない仕事)に、有期で人を雇う、ここが根本的な問題です。

あなたの職場はどうですか?

労働組合は、非正規(有期)雇用者の人数や基本的な労働条件、そして、要望などを急いでとりまとめて、無期雇用転換の実現に向けた行動を開始しましょう。

 

 

不安定な雇用を安定化させる、それが無期雇用への転換

非正規雇用がどんどんと拡大し、その規模は4割とも言われています。

ところで、非正規雇用イコール有期雇用ではありません。以下はパンフレットを作成した当時のデータですが、総務省「労働力調査」結果によれば、(役員を除く)非正規雇用者2000万人前後のうち、無期の契約で働く常用雇用者は約3割、言い換えると、有期の契約で働く常用雇用者と臨時雇・日雇の者が合計すると7割でした。

非正規雇用者の中に無期雇用者がこんなにもいるのだろうか(雇用更新を繰り返して働いている有期雇用者が、自分の雇用契約を、期間に定めのないものと誤って回答している可能性があるのではないか)という疑問もありましたが、さしあたり、無期と有期で3対7の割合でした。

表 雇用形態×一般常雇(無期の契約、有期の契約)及び臨時雇・日雇別にみた労働者数(2013年~2017年)

こうした有期雇用の濫用状況をなくすために、労働契約法が2012年に改正されました(2013年4月施行)。通算の労働契約期間が5年を超えると、期間に定めのない無期雇用への転換を申し出ることが働く人にはできるようになります。雇い主はそれを拒否することはできません。

不安定雇用をなくし、人間らしい雇用・働き方の実現に向けた大きな第一歩となることが期待されています。

なお、無期雇用転換(の申し込み)が本格化した2018年以降の状況については、後述の資料1を参照してください。

ところで、一点強調したいことがあります。

無期雇用転換ルールは、「5年ルール」とよく言われていますが、なにも5年を待つ必要はありません。根本的な問題は、仕事には期限がないのに雇用には期限が設けられている(有期である)ことです。よって、3年で無期雇用転換してもいいし、そもそも、合理的な理由がないなら有期で雇うことはせず無期で雇い始めてもよいわけです。

実際、労働組合の働きかけによって、法が定めた期間を待たずに、無期雇用転換を始めている企業もあります。「5年ルール」を確実に履行させることはもちろん大事ですが、5年にこだわる必要はないのです。

出所:厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」より。

 

 

無期雇用転換は正社員・正職員転換ではありません

無期雇用になることは正社員・正職員になることとは異なります。処遇の改善は自動的にはついてきません。無期雇用転換後も、転換前と労働条件は同じままです。無期雇用転換同様に、処遇改善についても、労働組合が取り組むべき課題となります。

あなたの職場の非正規雇用者には、勤続や経験に基づく昇給はありますか? 諸手当の支給はありますか? 正規雇用者と比べた際の理由無き(不合理な)処遇格差はありませんか? そもそも仕事内容や責任にふさわしい賃金が支給されていますか?

これらのことをチェックして、無期雇用転換とセットで実現を求めていきましょう。

ただし、全面的な処遇改善を今から実現するには時間がありません。諸手当の支給など着手しやすいところから始め、基本給の設計などは無期転換後にまわす、という選択があってもよいと思います。

何よりも、無期雇用転換を確実に履行させることが肝要です。

無期雇用 ≠ 正規雇用 しかし 無期雇用 = 安定雇用 です。

 

 

よその国ではどうしてる?──EU諸国では出口規制だけでなく入口規制も

日本では、労働契約期間が通算で5年を超えると無期転換を申し込むことができる(「出口規制」の設定)となりましたが、5年は長過ぎやしないでしょうか。

有期労働契約の濫用防止が義務づけられたEU諸国では、もっと短い(例えば3年)出口規制を設けたり、そもそも、合理的な理由のない有期労働契約を禁止している(「入口規制」を設けている)国もあります。さらに、処遇面でも、無期雇用との均等待遇が義務づけられています(「内容規制」)*。

これらの諸規制が有期雇用の濫用を防止している、逆を言えば、これらの規制の不在が日本の非正規雇用の野放図な拡大の背景にある、と言えるでしょう。ちなみに、お隣の国・韓国では、出口規制の期間は2年です。他国の経験に学びましょう。

*以上について、詳しくは、濱口桂一郎(2009)『新しい労働社会』岩波書店を参照。

 

 

日本の無期雇用転換ルールの課題を整理しておきます

改正労働契約法にのっとり無期雇用転換を確実に実現することはもちろん重要です。しかしこれはあくまでも最低限のルールです。労働組合がある職場は次のような課題にも積極的に挑戦していきましょう。

❶入口規制を設けて、合理的な理由なく有期で人を雇うことはやめさせましょう。
❷ 入口規制を設けることができなくとも、無期雇用転換の(申込みの)実現までに5年もかかるのは長すぎます。出口規制の期間を可能な限り短くしましょう。
❸ 労働者からの申込みがなければ無期雇用転換が実現しないのは、労使の力関係を考えると不利です。これを逆転させて、有期雇用契約の継続を望む労働者以外は自動的に無期雇用へ転換するようにしましょう。
❹ 無期雇用転換は処遇改善を自動的にともなうものではありません。処遇改善も追求していきましょう。

ところで、公務員には、そもそも労働契約法は適用されません。

例えば、自治体の臨時・非常勤職員の人数は、総務省による調べでは、全国に約69万4千人(短期間・短時間勤務者を含むと約112万6千人)、北海道では約3万人(同、約4万7千人)です(2020年4月1日現在)。彼らは、相変わらず有期で雇われ続け、民間の非正規雇用者以上に理不尽な扱いを受けています。彼らにも同様のルールが整備されるよう求めていきましょう*。

 

*非正規公務員制度をめぐる問題は、上林陽治氏(公益財団法人 地方自治総合研究所 研究員)による(2012)『非正規公務員』、(2015)『非正規公務員の現在──深化する格差』、(2021)『非正規公務員のリアル──欺瞞の会計年度任用職員制度』を参照(いずれも日本評論社より出版)。また、北海道内の状況については、拙稿「道内の会計年度任用職員等の臨時・非常勤職員の任用実態」『北海道自治研究』第626号(2021年3月号)も参照。

 

 

経営・雇用の危機に対する制度の拡充と労使間のルールの整備

全員を無期雇用にした場合、仮に経営が厳しくなったらどうするのか、と聞かれることがあります。なるほどその通りで、だからこそ日本では、いざというときのために非正規雇用者(有期雇用者)を「緩衝材」として配置してきたのでした(もう一つは、要員をしぼって時間外労働で調整するという方法も採用してきましたが、その点は省略)。

その意味では、無期雇用を雇用の原則とすることは、経営・雇用の危機に対しての備えをしっかり拡充していくことを必要とします。

 

その具体的な一つ目は、雇用調整助成金や、失業給付(雇用保険)・職業訓練など、経営危機・雇用危機に直面した労使に対する支援制度の拡充が課題としてあげられるでしょう。雇用調整を容易にする代わりに生活保障を拡充する、という手法もそこには含みます(個別の政策・制度の課題はここでは割愛します)。

もう一つは、ワーク・シェアリングなど「痛み」の分かち合いのルールを労使間で決めることです。ワーク・シェアの議論が日本でいっこうに進まない背景には、経営が困難になったときには非正規雇用者をまずは切ればよいという暗黙の合意が、労使間で成立しているからではないでしょうか。

 

 

法改正の趣旨に反する行為(脱法行為)を許さない

日本にもようやく有期雇用の濫用を規制する法律ができて、無期雇用転換がいよいよ実現する状況を目前にして、法改正の趣旨に反するおかしな事態がおきています。

 

 

通算の労働契約期間が5年を超える(多くは、2018年4月)より前に、雇い止めを言い渡されたり、通算の契約期間をゼロにリセットするための空白期間を入れられる「クーリング」という事態が発生しているのです(例えば、1年の雇用契約が繰り返されている場合、契約のない期間が6カ月以上設けられると通算契約期間がゼロとなります。これを「クーリング」と言います)。

こうした動きは、「人を育てる」場である教育機関においても実はみられます(後述の資料2も参照)。

実際、元になったパンフレットを作成していた当時も、2018年3月31日で雇い止めを言い渡されている教職員の事例や、これまでは年間を通じて行われていた講義が、前期か後期かのどちらかに寄せられた非常勤講師の事例などが発生していました。前者の場合、仕事はなくなるわけではありませんので、別の新しい人が雇われることになります。

改正法の趣旨に反するこうした行為を許してはなりません。社会的な包囲網を形成していきましょう。

 

 

資料 第180回国会 厚生労働委員会第15号(2012年7月25日㈬)での厚生労働大臣(当時)の答弁

やはり、今回の無期転換ルールの趣旨からしましても、五年のところで雇いどめが起きてしまうと、この狙いとは全く違うことになってしまいますので、先ほども答弁させていただきましたように、何とか円滑に無期労働契約に転換させていく、これが一番大きな課題だというふうに思っています。

このため、制度面の対応といたしましては、今回の法律案の中で、判例法理である雇いどめ法理、この法制化を盛り込んでいます。これによって、五年の時点でも雇いどめが無条件に認められるわけではないということが法文上も明確にされていると思います。

また、有期労働契約の更新の判断基準について、労働基準法に基づいて、書面の交付により明示を行うように、これは省令の改正によって義務づけることを予定しています。これによりまして、不意打ち的な雇いどめの防止にもつながると考えています。

それからまた、先ほども申し上げましたが、五年到達時に雇いどめされずに無期労働契約への転換が円滑に進みますように、有期契約労働者ですとか無期転換後の労働者のステップアップ、これが企業にとってメリットになりますので、それに取り組む事業主への支援ですとか、業種ごとの無期転換のモデル事例を集めて周知をする、そうしたこともあわせて行いたいと思っています。

出所:衆議院ウェブサイト(会議録)より

 

 

無期雇用転換運動は労働組合再生のチャンス

非正規雇用やワーキング・プアの増大などに対して、「主犯が経営者なら、労働組合は従犯」と述べた労働組合の幹部がいます。

法制度の「改正」でそれを後押しした政治の責任も忘れてはなりませんが、非正規雇用者の増大に労働組合が十分に対応できなかったという指摘は正しいと思います。いや、自ら(正規)の雇用を守るために非正規雇用を積極的に活用してきた労働組合さえあることも、指摘しなければならないでしょう。

その結果、冒頭にも述べたとおり、非正規雇用者の雇用安定というこの課題に対する労働界全体の取り組み状況も、必ずしも活発とは言えないように思われます。

そうしたなかで、職場における労働組合の代表性が問われています。非正規雇用者を含む職場を、労働組合は果たして代表しているでしょうか。労働組合の主張・要求は、職場全体の主張・要求になっているでしょうか。

無期雇用転換運動に取り組むことは、職場における労働組合の代表性を復活させること、「労」側の発言力を大きくして労使間における緊張関係を取りもどすことにつながります。

何のための、誰のための労働組合かが、無期雇用転換の実現に向けて社会が動き始めた今このときに問われています。

 

✓ 有期(非正規)雇用者 = モノ言えぬ労働者

✓ 有期雇用者×労働組合 = 無期雇用転換、モノ言える労働者の実現

✓ 無期雇用転換運動   = 労働組合・労働運動の再生

✓ 労働組合の質量の高まり= 労働規制の強化 = 格差・貧困社会の克服

 

 

 

非正規(有期雇用・低賃金)を活用する国づくりから、安定雇用・生活できる賃金を保障する国づくりへ

日本の企業社会では、非正規(有期雇用・低賃金)を活用することで企業間競争を勝ち抜こうとする傾向が強まっています。

いつでも切れる雇用、コストの安い雇用を活用しようという判断を個別企業がもつことは不合理では必ずしもないかもしれません。しかし、多くの企業がその道を選択したことによって、しかも、政治・法制度がそれを後押ししたことによって、日本は持続可能性が著しく低い社会になってしまいました。

これを逆転させる契機となるのが無期雇用転換運動です。

当然、無期雇用だけでは十分ではありません。最低賃金の大幅な引き上げや同一労働同一賃金の実現、あるいは、長時間労働の規制も必要になるでしょう。さらには、そうした労働政策と連携した経済政策や産業政策も必要になることでしょう。

長い道のりになることが予想されます。しかし重要な第一歩となります。職場だけにとどまらず、地域や産業に無期雇用転換を広げていきましょう。

 

 

労働組合に相談してください

労働組合に奮起を促しましたが、有期雇用の濫用をなくし、雇用安定の実現に向けて取り組みを進めている労働組合は少なくありません。

また、一人でも入れる地域労組では、労働相談を通じて、雇い止めやクーリングなどの脱法行為を団体交渉で撤回させたりもしています。

無期雇用転換にどう取り組んだらよいか分からずに困っている労働組合のみなさんも、有期雇用で雇われている当事者のみなさんも、こうした労働組合にぜひ相談をしてください。

今年度、つまり2021年度は大事な時期です。改定労契法第18条の施行後8年を経過した時点にあたり、無期雇用転換の規定について「必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と法の附則事項に定められているからです。

安定した、尊厳のある雇用をみんなの力で実現しましょう。

 

連絡先(五十音順)

札幌地域労組        011-756-7790  sgu@s-union.gr.jp
札幌ローカルユニオン「結」 011-815-4700  union-yui@dororen.gr.jp
道労連           0120-378-060  web@dororen.gr.jp
連合北海道         0120-154-052  soudan@rengo-hokkaido.gr.jp

 

 

資料1 総務省「労働力調査」にみる無期雇用者の規模

総務省「労働力調査」で無期雇用化の実現状況をみてみましょう。

以下の表は、2018年以降の状況です(2018年以降、雇用契約期間に関する回答選択肢が「無期の契約」「有期の契約」「雇用契約期間の定めがあるかわからない」に変更。それ以前は、本文中の表を参照)。

表 雇用形態×雇用契約期間(無期/有期契約)別にみた労働者数(2018年~2020年)

 

第一に、2020年の平均値でみると、非正規雇用者中の無期の契約が28.4%にとどまります。同じく「労働力調査(詳細集計 第II-15表)」で、常用雇用のうちの有期の契約者(正規雇用者の有期契約者を含む)中に、5年以上の勤続者が600万人近く(582万人)みられることを考えても、無期雇用者が増えていないことが気がかりです。

ところで第二に、表の注釈にも記載したとおり、学校職場における無期雇用転換の進ちょく状況の確認を試みました。しかし、政府調査による限界がありました。

すなわち、産業分類でいう「教育、学習支援業」には、公立学校で働く者、言い換えると、労働契約法が適用されない労働者も含まれます。「教育、学習支援業」にみられる無期雇用者割合の低さには、そのような理由も反映していると思われます。

参考までに紹介しておきます。

 

 

資料2 北海道の国立大学における非正規職員の就業規則(該当部分)

以下は、北海道の7つの国立大学における非正規雇用者の就業規則の一部(該当部分)です。インターネット上に掲載されていたものです(閲覧日2021年5月21日)。

いずれの大学も、非正規雇用者の雇用更新は、(例外規定はあるものの)原則として5年を超えない、と設定されているように読めます。各大学に対して確認(調査)をしたわけではありませんので、実際の運用は不明でありますし、なぜこのような規定にしたのかも、不明です。

ただ、もしここに書かれたことが事実であるならば、大学という組織の公共性の高さに照らしても、看過できないことです。大学がキャリア教育の実施機関(大学設置基準)であることや、機械的な雇い止めを一方で行いながらSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)の教育プログラムを掲げる大学もあるのは、何か悪い冗談のように思えます。

 

国立大学法人北海道大学契約職員就業規則
https://www.hokudai.ac.jp/jimuk/reiki/reiki_honbun/u010RG00000449.html

(労働契約の期間及び更新)
第6条 労働契約の期間は,原則として1年以内とする。ただし,一定期間内に完了することが予定されているプロジェクト研究等の業務に従事する場合にあっては,業務内容を勘案のうえ,5年以内の範囲で各人ごとに労働契約の期間を定めるものとする。
2 大学は,労働契約の更新を求めることがある。ただし,労働契約の期間は,大学が特に必要と認める場合を除き,当初の採用日から起算して5年を超えることはしない。

 

国立大学法人小樽商科大学非常勤職員就業規則
https://education.joureikun.jp/otaru_uc/act/frame/frame110000320.htm

(労働契約の期間)
第5条 労働契約の期間は,1年以内とし,職員の勤務実績が良好であり,かつ,業務の都合により必要がある場合には,通算3年を上限として労働契約の期間を更新することができる。
2 前項の規定にかかわらず,一定期間内に完了することが予定されている特定事業等の業務に従事する場合の労働契約の期間は,業務内容を勘案のうえ,3年を超えない範囲内で各人ごとに労働契約の期間を決定し,職員の勤務実績が良好であり,業務の都合により必要がある場合には,通算5年を上限として労働契約の期間を更新することができる。

 

国立大学法人北海道教育大学非常勤職員就業規則
https://education.joureikun.jp/hokkyodai/act/frame/frame110000180.htm

(雇用の更新)
第7条 大学は,当初の採用の日から3年を超えない範囲内で雇用を更新することができる。ただし,特に専門性を必要とする業務を行う非常勤職員については,当初の採用の日から5年を超えない範囲内で雇用を更新することができる。
2 一定期間内に完了することが予定されているプロジェクト事業等の業務を行う非常勤職員については,大学は,当該プロジェクト事業等の存続する期間(当初の採用の日から5年を超える場合には5年)を限度として,雇用を更新することができる。
3 前2項の規定に関わらず,大学は,特に必要と認めた場合には,当初の採用の日から5年を超えて雇用を更新することができる。

 

国立大学法人旭川医科大学非常勤職員就業規則
http://www.asahikawa-med.ac.jp/bureau/kitei/reiki_honbun/w239RG00000013.html

(契約期間)
第5条 職員の労働契約の期間は,1年以内の範囲で,個々の職員ごとに定める。
2 前項の期間は,業務の必要性,職員の能力・適性を考慮したうえで学長が認めた場合は,これを更新する場合がある。ただし,労働契約の期間は,その更新期間を含め,5年を超えないものとする。
3 労働契約の期間は,職員の採用が困難である場合その他特別の事由がある場合において,特に学長が認めた場合は,前項ただし書の規定にかかわらず,その期間を超えて更新することができる。

 

国立大学法人帯広畜産大学非常勤職員就業規則
https://education.joureikun.jp/obihiro/act/frame/frame110000130.htm

(労働契約の期間等)
第6条 労働契約の期間は,原則として1年以内とする。ただし,一定期間内に完了することが予定されている特定事業等の業務(以下「特定業務」という。)に従事する場合にあっては,業務内容を勘案のうえ,5年以内の範囲で各人ごとに労働契約の期間を定めるものとする。
2 前項の労働契約は,職員の勤務実績が良好であり,かつ,業務の都合により必要がある場合には,更新することができる。ただし,特定業務に従事する場合の労働契約の期間は,本学が特に必要と認める場合を除き,当初の採用日から起算して5年を超えないものとする。

 

国立大学法人北見工業大学非常勤職員就業規則
https://education.joureikun.jp/kitami_it_univ/act/frame/frame110000033.htm

(雇用期間)
第6条 非常勤職員の雇用期間は、採用された日から1年以内の期間で定める。
2 学長は、前項の雇用期間の更新を求めることがある。ただし、雇用期間は、学長が特に必要と認める場合を除き、通算して5年を超えることはできない。

 

国立大学法人室蘭工業大学非常勤職員就業規則
https://muroran-it.ac.jp/uploads/sites/2/2021/01/hsyokuin_syugyo.pdf

(雇用期間)
第6条 非常勤職員の雇用期間は、当初の採用日から起算して3年(高度の専門的知識等を必要とする場合には当初の採用日から起算して5年)を限度とする。
2 雇用期間は、本学の業務見通し及び当該非常勤職員の勤務成績等を考慮して更新することができる。ただし、当初の採用日から起算して5年を超えることはできない。
3 前項の規定に関わらず、学長が特に必要と認める者は当初の採用日から起算して5年を超えて雇用することができる。

 

(参考資料)

文部科学省「国立大学法人及び大学共同利用機関法人における無期転換ルールへの対応状況に関する調査(平成30年度)」

文部科学省「国立大学法人及び大学共同利用機関法人における無期転換ルールへの対応状況に関する調査(平成29年度)」

(文部科学省「国立大学法人等」より)

 

 

(関連記事)

川村雅則ほか「非正規雇用問題の何が問題か、取り組むべき課題は何か/非正規雇用の実態──「第1回非正規労働者の権利実現のためのオンライン学習交流会」より」

川村雅則「労働界の官民共闘で非正規雇用問題の改善を」

浦野真理子「非正規雇用問題から考える 、日本、そして 北星学園」

 

 

 

>北海道における労働情報発信・交流プロジェクト

北海道における労働情報発信・交流プロジェクト

労働情報発信・交流を進めるプラットフォームづくりを始めました。

CTR IMG