劣化した労働運動(毎日新聞<北海道版>掲載 Re:北メールより)

劣化した労働運動

労働運動では、よく「数は力なり」と言うが、本当にそうだろうか。

私たちの組合は、地域の駆け込み寺として、様々な規模の職場から労働相談が寄せられる。

昔は職場に組合のない中小零細からの相談がほとんどを占めていたが、10年ほど前からは“立派な”組合がある職場からの相談が増えた。中には、一つの企業で数十万人を誇る組合のある職場の契約社員から、「些細なミスでクビにされそうだが、組合が助けてくれない」という相談が舞い込む。

法律上は有期雇用も、そう簡単にはクビにできない。

たった一人で駆け込んできたケースであっても、私のような専従役員が経営者との団体交渉を担うことで、経営側を粘り強く説得し解雇を押しとどめてきた。稀に裁判に発展する場合もあるが、負けたことは一度もない。

組合の理論武装と、正義に反する職場トラブルは許さないという気概さえあれば、地域や職場で多くの労働者を救い、さらには組合員も拡大できるはずだ。

 

ところが、「それはあなた個人の問題だ」「非正規は組合員ではない」などとして、見て見ぬ振りをする企業内組合がいまでは多数派となった感がある。

除染作業を担う下請け労働者の被爆問題に関心を示さない電力会社の労働組合などは、その典型だろう。

組合であれ政党であれ、異論や苦言を排除していけば、組織はやがて陳腐化する。「ブラック企業」の台頭を許した日本の労働運動の実体は、質を伴わない「団結」が力にならないことを実証している。

 

2013年8月2日 毎日新聞(北海道版)掲載 Re:北メールより

 

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