川村雅則「会計年度任用職員制度をめぐる問題といま取り組むべき課題──議員ネットへの期待とあわせて」『NAVI』2025年8月21日配信
2025年8月1日、公務非正規問題自治体議員ネットの総会が開催されました。総会に先立ち学習会が開催され、筆者は、「会計年度任用職員制度をめぐる問題といま取り組むべき課題──議員ネットへの期待とあわせて」と題して話題を提供しました。本稿は、その一部をまとめたものです。過去の学習会の記録[1]や、2025年6月に出版した編著『お隣の非正規公務員──地域を変える、北海道から変える』(以下、本書)[2]もぜひご活用ください。
なお、9月議会に役立てていただけたらと急いで作成をしました。 軽微の修正は行う可能性があります。大幅な修正を行った際にはその旨を明記します。(2025年8月21日記)
.png)
■はじめに
地方創生のなかで非正規公務員・会計年度任用職員の待遇改善が取り上げられるようになってきました[3]。最近の報道[4]によれば、「常勤化の推進や、勤務経験に応じた給与水準にするといった対策を検討する。月内にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に盛り込む。」とのことです。
労働組合や当事者団体そして議員の皆さんをはじめとする関係者の取り組みを反映してのことであって、もちろん喜ぶべきことだとは思いますが、ただ、雇い止めが散見されるなどの現状を踏まえると、楽観することなく、それぞれの足下で、制度や運用の現状把握をはじめとする活動に取り組んでいくことが引き続き重要です。
さて、非正規公務員ないし非正規雇用の何が問題か、ということについて、ここでは不安定な雇用、低く不公正な賃金、そして、権利保障の欠如という3つをとりあえずあげます。加えて、この非正規問題は女性に大きく偏っていますから、ジェンダーをめぐる問題が問題全体に覆い被さっている、という見方が必要です。そのことを踏まえて、当面、どんなことを議会で取り上げる必要があるかを本稿では提起します。
その前におさえておくべきは、非正規公務員問題を扱う際には、人事院の動向と総務省の動向にアンテナをはることの必要性です。
自治体の非正規公務員の制度設計は、国の非正規公務員にならっています。ですから、国で改善の動きがあったときには、そのことを見過ごすことなく、自治体でも改善につなげることが必要です。総務省のウェブサイトの「会計年度任用職員等」ページに関連情報が掲載されていますので、時々、お互いに確認をしていきましょう。

このことに関わって三点付け加えます。
一つ目は、国の非正規公務員制度の改善に注意を、と言いましたが、それを待たずに独自で制度の改善を図ることは可能だということです。例えば、後で述べるいわゆる3年公募(再度任用時における公募制。以下、同様)の問題。これなどは、国のおかしな助言には従うことなく、当初から、公募を導入しない自治体もありました。また、休暇制度なども国の非正規公務員制度をこえた制度内容を実現している自治体もあります。国の制度水準はあくまでもミニマムです。
二つ目は、非正規公務員(公務員)の制度設計は複雑です。また、民間の非正規制度にも劣る内容です[5]。
三つ目は、国の動きを常に追い掛けているのは大変です。ですから、こうした議員ネットのような団体は、情報共有を図る上でも貴重です。実際、私自身、東京や大阪の「なくそう!官製ワーキングプア集会」関係者のMLや自治体労組からの情報提供に助けられています。お互いに助け合いながら取り組みを進めていきましょう。
■雇用安定の実現に向けた公募廃止という課題
さて、では皆さんに取り組んでいただきたい具体的なテーマを話します。
第一は、雇用の安定に関わって、公募を廃止することです。議員ネットでも繰り返し取り上げてきたテーマで、公募廃止をすでに実現した自治体も少なくないと思います。
このことについては、総務省「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル(第2版)」の改正について(通知)(令和6年6月28日付総行公第49号)をご参照ください。
ところで、公募を廃止した自治体はどの位になるのか、北海道と道内35市を対象にして調べてみました(以下、2025筆者調査)。先日配信した、川村雅則「会計年度任用職員の公募制と離職に関する調査報告(中間報告)」『NAVI』2025年7月31日配信をご覧ください。
8月7日に得られた追加の回答(小樽市)も含めると、34市の公募の実施状況については、次のとおりです。
「①全ての職種に公募を導入している」と回答したのが9市:
北見市、夕張市、網走市、留萌市、苫小牧市、稚内市、江別市、砂川市、北広島市 「②一部に例外はあるが、原則として公募を導入している」と回答したのが7市: 札幌市、函館市、帯広市、芦別市、千歳市、登別市、北斗市 「③公募は導入していない/廃止した」と回答したのが17市(但し1市は注釈付): 小樽市、室蘭市、釧路市〔注釈付〕、岩見沢市、美唄市、赤平市、紋別市、士別市、名寄市、根室市、滝川市、歌志内市、深川市、富良野市、恵庭市、伊達市、石狩市 無回答が1市: 旭川市 |
出所:2025筆者調査より。
詳細の把握には聞き取り調査などが必要だと思いますが、「③公募は導入していない/廃止した」が全体の半数に達しました。
公募を廃止した理由、背景は様々でしょうけれども、そもそも、深刻な人手不足で欠員が生じている職種もあるなかで、少なからぬ労力を使ってまで公募を実施・継続しなければならない合理的な理由はあるでしょうか。筆者の調査では、個々の自治体の回答も一覧で示しています。公募をまだ廃止できていないという自治体の議員におかれましては、公募・選考の負担の実情も把握しながら、公募の廃止を迫っていただきたい。
なお、二点を補足します。
一つ目は、繰り返しになりますが、公募の導入はそもそも義務ではありませんでした。今回公募廃止に踏み切った自治体が増えたことを喜びつつも、そのことはあらためて確認をしておきたいと思います。
二つ目は、離職者の人数を中心とする会計年度任用職員の離職情報や欠員情報を把握し、その是正に取り組む、ということです。
皆さんのマチでは、そもそも、会計年度任用職員の離職状況は把握されているでしょうか。例えば、どの業種・職種で発生しているでしょうか。また、どんな理由で離職は発生しているでしょうか。まったくの自己都合から、労働条件問題、人間関係、公募に不合格だった、勤続上限など自治体独自ルールに抵触した、あるいは、民間化に伴い離職を余儀なくされた、まで、理由は様々でしょう。
一般論で言えば、ある組織で離職が恒常的に発生しているとすれば、通常は、その理由を明らかにして、是正を図るものではないでしょうか。その作業のためにも、毎年、離職状況を集約・把握する仕組みが必要ではないでしょうか。正規職員の離職なら集約されるところ非正規職員の離職は軽んじられてはいないでしょうか。ご自身のマチの離職・欠員の実態・背景を調べ、その是正を求めていただきたい。
ちなみに、先に示した2025筆者調査では、大量離職通知書制度を使って、離職者の人数を調べています。
あくまで大量離職があった自治体に限ってですが、北見市、苫小牧市、帯広市、小樽市、札幌市(首長部局)、札幌市(水道局)、札幌市(消防局)、岩見沢市、砂川市(病院局)、千歳市(首長部局)、千歳市(教育委員会)、旭川市のデータが掲載されています。詳細は、川村雅則「会計年度任用職員の公募制と離職に関する調査報告(中間報告)」『NAVI』2025年7月31日配信 の 大量離職通知書調査の結果 と 「大量離職通知書調査の結果一覧表」 をご参照ください。
■賃金制度はどこまで整備されたか、どのような課題があるか
取り組んでいただきたい第二は、賃金制度の改善です[6]。
賃金についても、次のとおり、総務省マニュアルの改定通知が出されています。総務省「「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル(第2版)」の改正について(通知)(令和7年6月25日総行給第29号)」。
」の改正について(通知)(令和7年6月25日総行給第29号)」.png)
マニュアルの内容に入る前に、まずは、自らのマチの会計年度任用職員の賃金制度の確認をすることが大事です。
具体的には、初任給はいくらか/昇給(経験加算)はあるのか/昇給の条件はどのようなものか(おそらく勤務年数だと思われますが)/上限額はいくらか、といったことを、保育士や看護師、事務職員、図書館職員、各種の相談員など、職種別に明らかにするのです。
また、この間の問題になっていることでは、三つほど確認しておくべきことがあります[7]。
一つ目は、最賃関連です。すなわち、会計年度任用職員の賃金が最低賃金を割っていないか、(最賃改定で)最賃を割った場合にはどのような補填がいつ行われるか、という問題です。
二つ目は、期末手当、勤勉手当の支給月数は正職員と同じか/異なるのか、異なる場合の理由はいかなるものか(合理的な理由と言えるかどうか)です。
三つ目は、賃金の遡及改定は行われるのかどうか[8]、です。
まずは、これらの情報を行政(担当部署)と共有しておくことが、これからお話をする改定マニュアルの活用に先立つ前提になると思います。
前置きが長くなりましたが、今回の、総務省マニュアルの改定に話を移します。今回の改定はどんな内容でしょうか。あらかじめ言えば、基本的には改善の内容です。
但し、総務省マニュアルで賃金が自動に改善が行われるわけではありません。自らのマチの賃金制度とマニュアルに示された考えを照らし合わせながら、制度の改善に向けた働きかけをご自身のマチで進めていく必要があります。
マニュアルをみながらいきましょう(本稿では、改定後の内容のみを掲載)。
<問繰下げ・修正>
13-4 会計年度任用職員の給料又は報酬の水準について、「職務遂行上必要となる知識、技術及び職務経験等の要素を考慮して定めるべき」とは具体的にどのような趣旨か。
○会計年度任用職員の給料又は報酬の水準の決定に当たっては、常勤職員と同様に、「知識、技術及び職務経験」が考慮要素となるものであるが、当然に、その考慮対象とすべきものは、「職務遂行上必要となるもの」である。また、「職務経験等の要素を考慮して」とは、学歴や経験年数を考慮すべきものと考えている。
報酬水準決定に当たり、常勤職員と同様に、「知識、技術及び職務経験」が考慮要素となる。職務経験等の要素には、学歴や経験年数を考慮すべき、という点が活用できます。皆さんのマチでは、どういう考えの下で初任給や昇給(経験加算)などの賃金制度が設計されているでしょうか[9]。
<新規>
問13-5 会計年度任用職員の給料又は報酬の水準に、一定の上限を設ける必要はあるか。
○ 会計年度任用職員の給料又は報酬の水準の決定に当たっては、常勤職員と同様に、職務遂行上必要となる知識、技術及び職務経験等の要素を考慮して定めるべきであり、その際、必ずしも上限を設ける必要はないと考える。
○ ただし、職務内容が単純・定型的・補助的なものなどである場合、その職務の遂行に当たってそれまでの職務経験等が寄与する程度には自ずと一定の限界があることも想定される。こうした場合には、必ずしもそれまでの職務経験等の全てを考慮する必要はないことから、給料又は報酬の水準に一定の上限を設けることも考えられる。
これはずばり、会計年度任用職員の給料等の水準に、必ずしも上限を設ける必要はない、という点が活用できますね。そもそも皆さんのマチでは上限設定はどうなっているでしょうか。
「問13-6 職種によっては、問13-3のとおりに常勤職員の初任給基準額を上限とすると、現行から相当程度給与水準が下がってしまう場合があり、人材確保に影響を及ぼすおそれもある。どのように対処すればよいか。」
○ 問13-3において「常勤職員の初任給基準額を上限の目安とすることなどが考えられる」としたのは、あくまで「定型的・補助的な業務等に従事する事務補助職員」についての例であり、全ての職種について「常勤職員の初任給基準額を上限の目安」とすることを示しているものではない。
○ それぞれの職種に係る給料又は報酬の上限の号給設定及びその設定理由については、一義的には各団体において適切に判断されるべきものであるが、例えば、保育士や看護師等の専門職種について、職務の内容や責任の程度によっては、民間の給与水準等も踏まえて、その上限を事務補助職員よりも高く設定することが考えられる。
上記の問いと回答は、削除されました。初任給を上限の目安に、という考え自体がそもそも誤っていたと思いますが、総務省のそうした考えに引っ張られていた自治体も多いことでしょうから、削除されたのはよいことです。
<新規>
問13-6 会計年度任用職員のうち、例えば、保育士や看護師等の専門職種の給与について、1級に加え、2級相当の水準に決定することは可能か。
○ それぞれの職種に係る給与水準の決定及びその決定理由については、一義的には各団体において適切に判断されるべきものであるが、設問の例の場合、保育士や看護師等の専門職種について、職務の内容や責任の程度によっては、民間の給与水準等も踏まえ、1級の水準に限る必要はないと考えられる。
この問では、保育士・看護師等の専門職種に限定されていますが、給与は、1級の水準に限る必要はない、と書かれています。皆さんのマチではどうでしょうか。専門職種を突破口にして賃金を改善していくことが課題ではないでしょうか。
<問繰下げ・修正>
問13-7 再度任用時の給与決定についてはどのように考えればよいか。
○ 民間労働者については、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指す目的で厚生労働省が平成30年12月に取りまとめた「同一労働同一賃金ガイドライン」において、
・ 基本給であって、労働者の勤続年数に応じて支給するものについて、通常の労働者と同一の勤続年数である短時間・有期雇用労働者には、勤続年数に応じた部分につき、通常の労働者と同一の基本給支給を支給しなければならない。また、勤続年数に一定の相違がある場合においては、その相違に応じた基本給を支給しなければならない。
・ 昇給であって、労働者の勤続による能力の向上に応じて行うものについて、通常の労働者と同様に勤続により能力が向上した短時間・有期雇用労働者には、勤続による能力の向上に応じた部分につき、通常の労働者と同一の昇給を行わなければならない。また、勤続による能力の向上に一定の相違がある場合においては、その相違に応じた昇給を行わなければならない。
とされている。
○ このような考え方を踏まえると、会計年度任用職員の再度任用時の給与決定に当たっては、常勤職員の初任給決定基準や昇給の制度との権衡を考慮することが適当と考えている。
この点は、会計年度任用職員の再度任用時の給与決定について、同一労働同一賃金ガイドラインを踏まえ、常勤職員との権衡(つりあい)を求めていくことが課題になりそうです[10]。
改定総務省マニュアルをみながら、賃金に関する取り組み課題について整理してみました。
賃金制度は複雑で理解に少し手こずるかもしれません。
とはいえ、そもそも、なぜ非正規というだけで賃金がこんなに低いのか、暮らしていくのに十分な賃金と言えるのか[11]、仕事に見合った賃金と言えるのか、なぜ経験やスキルの向上が評価されないのか、あるいは、扶養されることを前提にしたかのような賃金の決定はそもそも妥当なのか、といった問題意識を持つことができれば、現行制度の問題はおのずと見えてくるのではないかと思います。各自治体の賃金制度や議員の経験にお互い学びながら取り組みを進めていきましょう。
■休暇制度の改善も
取り組んでいただきたい第三は、休暇制度の改善です。
国の非正規職員について、休暇制度が今年度から改善されています。これは、人事院のウェブサイトに分かりやすいチラシ(人事院「非常勤職員の皆様へ 令和7年度休暇制度が変わります」)が掲載されていたのでそれを貼り付けておきます。
出所:人事院ウェブサイトより。
とくに病気休暇(私傷病)が有給で取得できるようになった点が大きいのではないでしょうか(週5日勤務の場合には10日の休日取得が可)。皆さんのマチでは、病気休暇制度はどうなっているでしょうか。
ところで、余談になりますが、この病気休暇制度については、私が2024年に調査に入った広島市のそれを紹介させてください。
詳細は、川村雅則「非正規公務員(会計年度任用職員)に関する調査・研究(高松市、広島市)」の川村雅則「広島市非正規公務員(会計年度任用職員)調査報告(2)労働組合からの聞き取り調査に基づき」『北海学園大学経済論』第73巻第1号(2025年7月号)pp.47-88をご参照ください。
調査報告(2)労働組合からの聞き取り調査に基づき」『北海学園大学経済論』第73巻第1号(2025年7月号)表紙.png)
広島市は、当時、政令市のなかで唯一公募が導入されていなかった自治体で、それが、私が調査に入った理由の一つでした。広島市では、正職員労組の支援を受けて当事者労組が1973年に結成され、以来、労組は、頑張って様々な成果を勝ち取ってきました。
そのなかで、じつに、1994年という早い時期に、病気休暇制度(有給)が実現しているのです。労組から聞けば、「正規も非正規も人間です、病気をします、病気休暇をください」と粘り強く交渉して、最初は30日で(最初から有給で)病休休暇制度が実現しました。その後、改善を重ね、2015年には正規職員と同じ1疾病につき90日という水準を勝ち取っています。
議員の皆さんにはあまりなじみがないかもしれませんが、当事者が束になればその力(労働組合の力)はすごい、ということと、国の制度内容・水準を超えてはいけない、というわけではないことを確認するためにも、広島の経験に言及させていただきました。
■まとめに代えて
私の報告は以上となります。
何よりもまずはご自身のマチの会計年度任用職員制度の把握が不可欠です。
そして、一人では行き詰まってしまうかもしれませんので、お互いのマチの情報を共有しながら、そして、お互いに学び合いながら、作業を進めていきましょう。
議員ネットの2年目の活動に大いに期待をし、私もできうる限りの貢献をしていきたいと思います。
[1] 筆者のウェブサイトの「非正規全般、公務非正規」ページを参照。
[2] 本書と連動した情報提供ページの川村雅則「『(書籍)お隣の非正規公務員』プラットフォーム」も参照。
[3] 「政府、自治体「働き方改革」に力点地方創生、若者・女性の定着で」時事通信政治部2025年01月01日07時14分配信。
[4] 「非正規公務員、待遇改善へ 常勤化や給与見直し 会計年度任用職員」『朝日新聞』朝刊2025年6月5日付。
[5] 山本完自弁護士が執筆された本書第3章「憲法・労働法・行政法からみた問題点」や日本労働弁護団から2024年11月に出された「非正規公務員制度立法提言」を参照。
[6] 賃金の現状や課題は、本書第1章「非正規公務員の姿」や第6章「ディーセントワーク実現のために」を参照。
[7] 川村雅則「会計年度任用職員の給与等(勤勉手当・給与改定・最低賃金)に関する総務省調査(2023年12月)の北海道及び道内市町村データの集計結果(中間報告)」『NAVI』2024年5月31日配信。「公務員給与 昨年道内調査*8市 非正規のみ上げず*専門家「差別」」『北海道新聞』朝刊2024年6月23日付。
[8] 遡及改定の仕組みについては、総務省「地方公務員の給与改定の手順」を参照。

[9] 正職員の給料表が活用されている自治体が多いと思いますので、総務省「地方公務員の給料表の仕組み」にも目を通しておくとよいと思います。給料の支給額は、給料表における「級」と「号給」の組み合わせで 決定されます。

[10] この同一労働同一賃金ガイドラインは必ずしも分かりやすいものではありませんし、課題も多いというのが筆者の認識です(そもそもここでいう同一労働同一賃金とは、職務評価・職務分析をベースにした欧州での同一労働同一賃金とは異なるものです)。それでも、権衡がとれていないと思われる制度内容や不合理と思われる制度内容などを洗い出しながら、再度任用時の給与決定について是正を求めていく、ということになるでしょうか。
[11] 全国各地で最低生計費試算調査を行いながらあるべき最低賃金の水準を求めている中澤秀一氏(静岡県立大学短期大学部准教授)の調査によれば、かつては時給1500円であったのが、物価高騰の影響も受けて現在では時給1700~1900円の水準が必要であることが示されています。中澤氏の仕事は北海道労働情報NAVIに掲載された論文等を参照。北海道での試算結果については、道労連「最低生計費試算調査をアップデートしました」2024年12月12日を参照。