川村雅則「会計年度任用職員の給与等に関する総務省調査の北海道分データの集計(中間報告)」

川村雅則「会計年度任用職員の給与等(勤勉手当・給与改定・最低賃金)に関する総務省調査(2023年12月)の北海道及び道内市町村データの集計結果(中間報告)」『NAVI』2024年5月31日配信

 

○後述のとおり、個々の自治体のデータをまだ入手できていないという事情から、タイトルに「中間報告」をつけています。

○誤字脱字や内容上の誤りなどをみつけましたらその都度訂正をしていきます。大きな訂正を行いましたら注記します。

(2024年5月31日記)

 

会計年度任用職員の給与等(勤勉手当・給与改定・最低賃金)に関する総務省調査(2023年12月)の北海道及び道内市町村データの集計結果(中間報告)

川村雅則

 

1.はじめに

静岡県労働研究所主催の研究会で「ディーセントワーク概念からみた会計年度任用職員制度」[1]と「非正規問題の解決に取り組む」と題した報告を2024年5月16日に行いました。

二つ目のテーマでは、(a)「大量離職通知書制度」を使った取り組みと、(b)2023年12月5日付で総務省が都道府県等に照会をして実施した「会計年度任用職員の給与等に関する調査」(以下、「給与等調査」)結果の活用を提起しました。本稿では、(b)について報告します[2]

「給与等調査」の結果報告がメインですが、各地においても同様の作業に取り組んでいただきたいので、取り組みの経緯や調査結果の入手方法(情報開示請求)についてもまとめました。調査の結果そのものに関心がある方は、「2.」は飛ばして「3.」へ進んでください。

掘り下げるべき論点もありますが、それは別の機会とし、まずは調査結果を中心に報告します。

 

 

2.今回の取り組みの経緯

1)総務省による「給与等調査」が実施されていたのを知るまで

公務員の賃金制度は民間とは異なります。本稿で取り上げる地方公務員(人事委員会が置かれている団体の地方公務員)の場合、国の人事院勧告の内容や民間の賃金水準の動向に基づき人事委員会による勧告が行われ、給与改定方針が決定され、給与条例改正案が議会に提出され、改正案の成立後公布施行という手順となります(以下の総務省による情報[3]を参照)。その分だけ給与改定の実施時期が遅れますが、改定は、4月に遡って行われています。

 

図 地方公務員の給与決定の仕組み

 

  • 人事委員会が置かれている団体(都道府県、指定都市及び特別区等)においては、人事院勧告の内容及び当該団体の民間賃金動向等を総合勘案して人事委員会が勧告を行い、国の勧告の取扱いに関する閣議決定を受けて、具体的な給与改定方針が決定される。
  • 人事委員会が置かれていない団体(一般市町村)においては、国の取扱いや都道府県の勧告等を受けて、具体的な給与改定方針が決定される。
  • いずれの場合でも、議会の議決により、給与条例を改正することとなる。

出所:総務省「地方公務員の給与の体系と給与決定の仕組み」より。

 

今回の取り組みの経緯は、次のようなものです。

給与改定(賃上げ)の勧告が人事院から出された[4]にもかかわらず、会計年度任用職員には遡っての改定を行わない自治体が多いようである、ということを、自治体労働者で組織された労働組合(「自治労連」)の担当者から教わりました。

その後、同労組では、2023年10月27日から11月8日にかけて、独自の調査「会計年度任用職員の給与改定等緊急調査」を実施したところ、212自治体から回答が得られ、正規職員に準じた給与改定の4月遡及を実施する意向の自治体は30.3%にとどまることが判明[5]し、11月15日の同労組による会見とあわせて調査結果は大きく報じられることとなりました[6]

総務省では、2023年5月2日の段階で、「常勤職員の給与改定が行われた場合における会計年度任用職員の給与に係る取扱いについて」という通知[7]を出し、「改定の実施時期を含め、当該常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とするよう」自治体にお願いをしているほか、同年12月27日にも、「会計年度任用職員制度の適正な運用等について」通知を出して、同様のことを依頼しています[8]

同様の調査を北海道内の市町村を対象に行う必要性を筆者も認識したものの、独自で調査を行う時間的な余裕はなかった(のと果たして郵送調査で回答が得られるか自信がなかった)ので、さしあたり、自分の暮らすマチである札幌市に、遡及改定の実施予定を12月にメールで照会したところ、遡及改定は行わないということとその理由を教わりました。

年明けも多忙で調査に着手できずにいたところ[9]、3月の段階で、労働組合から新たな情報をいただきました。2024年3月19日の参院総務委員会での、立憲民主党の岸真紀子氏への総務省による答弁の結果でした。この答弁を取り上げた「官庁速報」[10]によれば、「地方公務員の給与引き上げを求めた人事委員会勧告に伴い、会計年度任用職員の給与を2023年4月にさかのぼって改定する自治体は986団体だと明らかにした。一方、遡及(そきゅう)改定を行わない自治体は802団体。」「全国1788団体を対象に、昨年12月1日時点の状況を調べた。」とのことでした。筆者はこの時点で、総務省による調査が行われていたことを知りました。

しかし、総務省のウェブサイトには同調査の結果は公開されておらず、また、調査結果の公開はしないと聞いていると労働組合から伺いましたので、根拠資料(『官庁速報』)をつけて、給与改定に関する同調査──この時点では、筆者はそう認識していました──の「北海道」データと道内市町村データ(政令市である「札幌市」のデータは除く)の開示請求を北海道(庁)に対して行いました。それが2024年4月16日です。

 

2)北海道とのやり取りと、調査の全体像を知る

4月16日に開示請求を行い、文書の特定が行われ、1週間ほど後(4月23日)に、北海道からご連絡をいただきました。

結論から言えば、個別のデータ(自治体ごとの調査結果)の開示は難しいとのことでした。そのときに示された理由(決定通知書に書かれていた不開示理由は後述)には納得できたわけではないのですが、何らかのかたちでデータを入手することを優先し、個別のデータの入手は断念して、政令市である札幌市は除く34の「市群」、144の「町村群」に集計したデータの提供をお願いしました。

補足すると、少し細かい話になりますが、設問ごとのクロス集計を行うためにも、自治体名を伏せて、かつ、並び順も変えて(自治体名を伏せても、並んでいる順番で自治体が特定されてしまうと担当職員からは説明されたので)、個別のデータを提供いただけないかもお願いしてみましたが、残念ながら認められませんでした。

第二に、「給与等調査」では、「給与改定」だけでなく、「勤勉手当」と「最低賃金」についても調べられていたことを、別のルートからの情報で、この時点で知ることができました。この情報に基づき、あらためて、調査結果全体の提供を北海道に依頼しました。

調査内容について補足すると、第一に、勤勉手当は、地方自治法の一部改正(2023年)で2024年度から支給ができるようになったものの、果たして支給されるのかが関係者の関心事になっていましたし、最低賃金については、最低賃金割れの非正規公務員の存在が「発見」されて問題になっていました[11]。いずれもタイムリーな調査内容であったと思います(現場からの問題提起に後押しされたのではないかと推察します)。

補足の第二は、公務員には最低賃金法が適用されません(但し、技能労務職員、企業職員は除く)。

但しそれは、最低賃金を上回る賃金の支給が本来は予定されているからであって、最賃割れを容認するのが法の趣旨ではありません。2022年12月23日に総務省から出された「会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知)」でも、「適切な給与設定」においては、「地域の実情等を踏まえ、適切に決定する必要があること。その際、地域の実情等には、最低賃金が含まれることに留意すること。」が明記されました[12]

 

話を戻すと、以上のような経過で北海道から提供いただいたのが、本稿で紹介する「市群」データと「町村群」データです(「北海道」のデータと政令市である「札幌市」のデータは、それぞれ別ルートで、北海道と札幌市から提供をいただいています)。

5月16日に提供いただきましたから、最初の開示請求からちょうど1か月ほどを要したことになります。もっとも、個別のデータの開示は断念して──個別データの開示はそれぞれの自治体に対して行うこととして──最初から、集計したデータの提供を依頼すれば、もっと短い期間で情報を入手することができるのではないかと思います。ぜひ各地においても、同様の取り組み(都府県への開示請求・情報提供の依頼)を実施してみてください。

なお、第一に、北海道から示された、個別データを開示しないという理由は下記のとおりでした。

「市町村の事務又は事業に係る意思形成過程において、道の機関と国及び市町村との間における調査に関し、道が作成・取得した情報であって、開示することにより、市町村の自由な意見や情報の公開が妨げられ、意思形成に著しい支障が生ずると明らかに認められるため。」(決定通知書より)

同様の調査結果の取扱いにも関わることですから、果たしてこの不開示理由は妥当なのか──今後も、同様の調査で、同じような対応が行われることにならないだろうかという心配があります──は、専門家の意見も伺った上で別の機会に検討したいと思います。

第二に、各自治体が回答するにあたって参照する『手引き』のようなものがあるかと思って請求をしたのですが、そのような文書は「不存在」とのことでした。

最後に、順序がまったく逆になるのですが、この文書の取りまとめを行っている5月22日に、念のため総務省(給与能率推進室)に照会したところ、やはり、総務省では情報の開示は行わない、とのことでした[13]。但し、情報を個々の自治体側から受け取っていただくのはまったく問題ない(総務省のあずかり知るところではない)、とのことでした。

総務省のこの対応にも納得できたわけではないのですが、取り組みを各地で進める際の参考になさってください。

 

 

 

3.調査の概要・まとめ方

「給与等調査」は大きく3種類の調査票から構成されています。【調査票1】勤勉手当関係、【調査票2】給与改定関係、【調査票3】最低賃金関係です。

それぞれの調査票の設問(①~)順に回答をみていきます。

本稿では、「北海道」、「札幌市」、「市群」、「町村群」に分けた表を作成しました。「北海道」と「札幌市」はともに1件ですから、割合は、「市群」と「町村群」のみ掲載しました。

一つの設問内で複数のことが尋ねられている場合には、(a)(b)(c)を付しました。

複数回答可の設問では、延べ数が回答数として記載されていましたが、本稿(表)では、回答した実際の市町村数を記載しました。

無回答は除いて集計が行われていました(その旨が「コメント」で記載がされていました)。この点は、それに従いました。

なお、残念ながら、自由記述部分は提供がされませんでした。(記述内容にもよるかもしれませんが)自治体の特定にはつながらないと思ったのですが、提供はされませんでした。ただ、後でみるとおり、自由記述部分は、(行為の)「理由」が書かれている箇所なので非常に重要であり、個別の自治体ごとの調査結果の入手が必要です。

 

 

4.調査の結果

調査票×設問ごとに調査結果をみていきます。それぞれの調査票では、回答にあたっての留意点が最初に書かれた後、設問に移る、という構成でした。順にみていきましょう。

 

1)【調査票1】(勤勉手当関係)

回答に当たっての留意点
※①で「1:支給する」を選択した場合は、②~④について回答してください。
※回答欄が黄色着色の場合、未回答箇所がありますので再度ご確認ください。

注:枠内は「給与等調査」より(以下、同様)。

 

①令和6年度から勤勉手当を支給するか。/単位:件、%

(a) 北海道 札幌市 市群 町村群
1 1 34 100.0 144 100.0
1:支給する 1 1 32 94.1 119 82.6
2:支給しない 0 0 2 5.9 25 17.4

(b)「2:支給しない」場合、その理由、今後の見通しについて

①令和6〔2024〕年度から勤勉手当を支給するか、という問いに対しては、「北海道」と「札幌市」は「1:支給する」でした。

それに対して、「市群」では、34件中2件が、「町村群」では、144件中25件が、それぞれ「2:支給しない」と回答していました。

(b)「2:支給しない」を選択した場合の「その理由、今後の見通しについて」の情報(自由記述)は提供されなかったので不明です。

 

②勤勉手当の年間支給月数については、(a)月数、(b)常勤職員と同じか異なるか、(c)「2:常勤職員と異なる月数」を選択した場合の、「異なる理由、今後の見通しについて」が尋ねられていました。

②勤勉手当の年間支給月数を回答してください。/単位:件、%

(a) 北海道 札幌市 市群 町村群
1 1 34 100.0 144 100.0
0か月(支給しない) 2 5.9 25 17.4
0か月超0.5か月未満 0 0.0 2 1.4
0.5か月以上1.0か月未満 7 20.6 12 8.3
1.0か月以上1.5か月未満 0 0.0 6 4.2
1.5か月以上2.05か月未満 0 0.0 4 2.8
2.05か月 1 1 24 70.6 78 54.2
2.05か月超 0 0.0 2 1.4
その他 1 2.9 15 10.4
1.0か月未満(再掲) 0 0 9 26.5 39 27.1

注1:①で「2:支給しない」と回答した自治体も回答する(「0」に回答する)設計になっていた。
注2:「その他」は筆者が作成。実際には、「0~2.05」という回答が町村群で1件、「未定・検討中など」という回答が市群で1件、町村群で14件。

まず(a)については、(2.05か月前後を除き)0.5か月刻みで集計をしたところ、常勤職員の支給月数である「2.05か月」が最多でした。「北海道」、「札幌市」のほか、「市群」34件のうち24件が、「町村群」では144件のうち78件が、「2.05か月」と回答していました。

0か月(支給しない)を含めて、1.0か月未満の自治体は、「市群」で9件(26.5%)、「町村群」で39件(27.1%)と、それぞれ全体の4分の1強を占めています。

 

(b) 北海道 札幌市 市群 町村群
1 1 32 100.0 114 100.0
1:常勤職員と同じ月数 1 1 25 78.1 81 71.1
2:常勤職員と異なる月数 0 0 7 21.9 31 27.2
未定 0 0 0 0.0 2 1.8

注:支給すると①の設問で回答しているが当設問に無回答の団体が5団体あるため、回答件数が114団体となっている、とのコメントがあった。

 

次に、(b)月数が常勤職員と同じか異なるかをみます。「2:支給しない」自治体は、この設問の調査対象から除かれています。

結果は、「市群」では、32件中25件が「1:常勤職員と同じ月数」で、7件が「2:常勤職員と異なる月数」です。「町村群」では、無回答の5件を除く114件中81件が「1:常勤職員と同じ月数」で、31件が「2:常勤職員と異なる月数」で、残りの2件が「未定」です。

 

(c)「2:常勤職員と異なる月数」の場合、異なる理由、今後の見通しについて

常勤職員と差をつけている理由を知りたかったのですが(例えば、勤務時間数で差をつけているのか? 単に会計年度任用職員だからという理由で差をつけているのか?)、冒頭に述べたとおり、(c)自由記述は提供されなかったので不明です。

 

③勤勉手当の支給について、条例の議決予定時期を回答してください。/単位:件、%

北海道 札幌市 市群 町村群
1 1 32 100.0 119 100.0
1:令和5年12月までに議決 1 1 13 40.6 27 22.7
2:令和6年3月までに議決 0 0 19 59.4 92 77.3

 

③勤勉手当の支給に関する条例の議決予定時期は、「北海道」と「札幌市」では、「1:令和5年12月までに議決」です。

それに対して、「市群」では、「1:令和5年12月までに議決」は32件中13件で、「町村群」では、119件中27件にとどまります。残りは「2:令和6年3月までに議決」で、「市群」では19件、「町村群」では92件です。いずれにしても、令和5(2023)年度内に条例の議決は済ませることが予定されていたようです。

 

④勤勉手当を支給する代わりに、給料・報酬及び期末手当の引き下げを行うか。/単位:件、%

(a) 北海道 札幌市 市群 町村群
1 1 32 100.0 118 100.0
1:引き下げを行わない 1 0 28 87.5 112 94.9
2:引き下げを行う 0 1 4 12.5 5 4.2
未定 0 0 0 0.0 1 0.8

注:議決予定時期を③の設問で回答しているが当設問に無回答の団体が1団体あるため、町村群の回答件数が118団体となっている、とのコメントがあった。

 

④勤勉手当を支給する代わりに、給料・報酬及び期末手当の引き下げを行うか、ということが尋ねられていました。

「北海道」では「1:引き下げを行わない」であるのに対して、「札幌市」では「2:引き下げを行う」という回答でした。

但し、「札幌市」には事情があるようで、その理由について、「令和4年度に常勤職員の勤勉手当が0.1月分引き上げられたことを受けて、会計年度任用職員の期末手当を0.1月分引き上げて年間2.5月分としていたため、これを常勤職員と同じ2.45月に引き下げる。」と回答されていました。この記述を読む限りでは合理的な理由と思われます。

次に、「市群」、「町村群」の回答をみると、「市群」では32件中28件が、「町村群」では(無回答1件を除く)118件中112件が、それぞれ「1:引き下げを行わない」と回答していましたが、残りの、4件(「市群」)、5件(「町村群」)が、「2:引き下げを行う」と回答していました(「町村群」では1件が「未定」です)。

 

(b)「引き下げを行う」場合、その理由、今後の見通しについて

なお、「2:引き下げを行う」場合に質問されている(b)の情報は提供されていないため、札幌市のような何らかの合理的な理由があるのか、それとも、単に(年収全体の調整のために?)引き下げるということなのか、理由については不明です。

 

 

2)【調査票2】(給与改定関係)

回答に当たっての留意点
※①で「2:支給する」を選択した場合は、②~④について回答してください。
※回答欄が黄色着色の場合、未回答箇所がありますので再度ご確認ください。

 

①令和5年度に給与改定を実施した場合、令和5年4月に遡及して改定を行うか。/単位:人、件
「令和5年度に常勤職員の給与改定を実施しなかった場合においても、仮に常勤職員の給与改定を実施していれば、会計年度任用職員についても同様に4月に遡及して改定を行った、という場合は「1:実施する」を選択してください。

 (a) 北海道 札幌市 市群 町村群
1 1 34 100.0 144 100.0
1:実施する 1 0 26 76.5 88 61.1
2:実施しない 0 1 8 23.5 56 38.9

 

①令和5(2023)年度に給与改定を実施した場合、令和5年4月に遡及して改定を行うかが尋ねられています。設問の下の注釈もご確認ください。

結果は、「北海道」は「1:実施する」で、「札幌市」は「2:実施しない」です。

「市群」では、34件中26件が「1:実施する」で、残りの8件(23.5%)が「2:実施しない」です。

「町村群」では、144件中88件が「1:実施する」で、残りの56件(38.9%)が「2:実施しない」です。「市群」より「町村群」で実施しない割合が高いです。

 

②遡及改定を実施しない理由について、以下の選択肢から回答してください。(複数回答可)/単位:件、%

 (a) 北海道 札幌市 市群 町村群
1 8 100.0 56 100.0
1:システムが未対応であるため 1 4 50.0 13 23.2
2:事務手続の負担が大きいため 0 2 25.0 6 10.7
3:任用時に労働条件を既に示しており、年度途中での契約変更が困難であるため 1 4 50.0 28 50.0
4:財政的負担が大きいため 0 1 12.5 13 23.2
5:条例等で給与改定の適用時期を定めているため 0 2 25.0 19 33.9
6:職員組合との交渉が難航しているため 0 0 0.0 0 0.0
7:その他 0 3 37.5 12 21.4

注:「市群」と「町村群」の母数は、延べ数ではなく実数で記載した。

 

(b)「2:事務手続の負担が大きいため」「6:職員組合との交渉が難航しているため」「7:その他」を選択した場合、具体的な内容

 

では、②遡及改定を実施しないという理由は果たしていかなるものでしょうか。複数回答可の7つの選択肢から選ばれていたものは次のとおりです。

「札幌市」では、「1:システムが未対応であるため」、「3:任用時に労働条件を既に示しており、年度途中での契約変更が困難であるため」が選択されています。

「市群」でも、「1:システムが未対応であるため」と「3:任用時に労働条件を既に示しており、年度途中での契約変更が困難であるため」がそれぞれ4件で多いです。ほかに、「7:その他」も3件みられますが、(b)は提供されなかったため、その内容は不明です。

「町村群」の結果はやや異なります。「3:任用時に労働条件を既に示しており、年度途中での契約変更が困難であるため」が28件(50.0%)で最も多いのは共通していますが、次に多いのは、「5:条例等で給与改定の適用時期を定めているため」(19件、33.9%)で、その後に、「1:システムが未対応であるため」と「4:財政的負担が大きいため」が13件(23.2%)で続いています。「その他」も12件みられます。

 

③今後、遡及して改定する場合、その時期について、以下の選択肢から回答してください。/単位:件、%

 (a) 北海道 札幌市 市群 町村群
1 8 100.0 56 100.0
1:令和6年度 0 6 75.0 14 25.0
2:令和7年度 0 0 0.0 1 1.8
3:令和8年度以降 0 0 0.0 4 7.1
4:遡及改定の実施予定なし 1 2 25.0 37 66.1

 

③今後、遡及して改定する場合、その時期が尋ねられています。結果は次のとおりです。

「札幌市」は、「4:遡及改定の実施予定なし」です。

「市群」では、8件中6件が「令和6年度」と回答していますが、残り2件は「4:遡及改定の実施予定なし」です。

「町村群」では、56件中37件(66.1%)が「4:遡及改定の実施予定なし」を選択しています。残りは、「令和6年度」が14件、「令和7年度」が1件、「令和8年度以降」が4件です。

 

(b)「1:令和6年度」以外を選択した場合、その理由について、以下の選択肢から回答してください。(複数回答可)/単位:件、%

北海道 札幌市 市群 町村群
1 2 100.0 42 100.0
1:システムが未対応であるため 1 0 0.0 6 14.3
2:事務手続の負担が大きいため 0 0 0.0 6 14.3
3:任用時に労働条件を既に示しており、年度途中での契約変更が困難であるため 0 1 50.0 16 38.1
4:財政的負担が大きいため 0 1 50.0 7 16.7
5:条例等で給与改定の適用時期を定めているため 0 0 0.0 13 31.0
6:職員組合との交渉が難航しているため 0 0 0.0 0 0.0
7:その他 1 1 50.0 9 21.4

注:「市群」と「町村群」の母数は、延べ数ではなく実数で記載した。

 

(b)上の設問(a)で「1:令和6年度」以外を選択した場合には、その理由が選択肢(複数回答可)で尋ねられています。結果は次のとおりです。

「札幌市」では、「1:システムが未対応であるため」と「7:その他」が選択されています。

「市群」2件では、「3:任用時に労働条件を既に示しており、年度途中での契約変更が困難であるため」、「4:財政的負担が大きいため」、「7:その他」がそれぞれ1件です。

「町村群」42件では、「3:任用時に労働条件を既に示しており、年度途中での契約変更が困難であるため」が16件、「5:条例等で給与改定の適用時期を定めているため」が13件、「その他」が9件、などが相対的に多い回答です(ほかは略)。

 

④給与改定の適用時期について、以下の選択肢から回答してください。/単位:件、%
※「適用時期」とは、改定後の給料・報酬が適用される時期のことを指します。

 (a) 北海道 札幌市 市群 町村群
1 8 100.0 56 100.0
1:令和5年12月 0 1 12.5 3 5.4
2:令和6年1月 0 1 12.5 6 10.7
3:令和6年2月 0 0 0.0 0 0.0
4:令和6年3月 0 0 0.0 2 3.6
5:令和6年4月 1 6 75.0 41 73.2
6:その他 0 0 0.0 4 7.1

 

最後に、遡及改定を「実施しない」と回答した自治体に対して、では、④給与改定の適用時期はいつであるかが尋ねられています。「「適用時期」とは、改定後の給料・報酬が適用される時期のことを指します。」との注釈がついています。

結果は、「5:令和6年4月」と回答した自治体が多いです。

「札幌市」は、「5:令和6年4月」です。

「市群」8件では、6件が「5:令和6年4月」で、残りは「1:令和5年12月」と「2:令和6年1月」です。

「町村群」56件では、41件(73.2%)が「5:令和6年4月」で、残りは、「2:令和6年1月」が6件、「1:令和5年12月」が3件、「2:令和6年3月」が2件、そして、「6:その他」が4件です。

 

(b)「6:その他」を選択した場合、具体的な時期

なお、(b)「その他」を選択した場合(「町村群」4件)の「具体的な時期」は不明です。

 

 

3)【調査票3】(最低賃金関係)

回答に当たっての留意点
※令和5年12月1日時点の状況を回答してください。
※調査対象は、全ての会計年度任用職員となります。
※①で「2:有」を選択した場合に、②、③について回答してください。
※回答欄が黄色着色の場合、未回答箇所がありますので再度ご確認ください。

 

①給料・報酬単価が最低賃金を下回る会計年度任用職員の有無/単位:件、%

 (a) 北海道 札幌市 市群 町村群
1 1 34 100.0 144 100.0
1:無 1 1 30 88.2 132 91.7
2:有 0 0 4 11.8 12 8.3

 

①給料・報酬単価が最低賃金を下回る会計年度任用職員の有無が尋ねられていました。

結果は、まず、「北海道」と「札幌市」では、「1:無」です。

次に、「市群」では、34件中4件が「2:有」で、「町村群」では、144件中12件が「2:有」でした。

 

(b)「2:有」を選択した場合、該当職員数

北海道 札幌市 市群 町村群
4 100.0 12 100.0
1~9人 0 0.0 2 16.7
10~29人 0 0.0 6 50.0
30~49人 1 25.0 3 25.0
50~99人 2 50.0 0 0.0
100人以上 1 25.0 1 8.3

注:「市群」の回答は49人~117人に分布、「町村群」の回答は2人~136人に分布。

 

(b)「2:有」を選択した場合の該当職員数は何人かが尋ねられていました。

提供された文書では、「市群」の回答は49人~117人に分布、「町村群」の回答は2人~136人に分布していました。

平均値を計算したところ、「市群」では72人、「町村群」では30人です。

該当職員数を表のようにグループ化したところ、「町村群」では136人という回答を除き、「1~9人」「10~29人」「30~49人」におさまっているのに対して、「市群」では自治体1件あたりの人数が大きいです。

 

(c)「2:有」を選択した場合、該当する職種、要因を記載してください。

 

なお、(c)の情報は提供されていませんから、最賃割れの該当する職種や要因は不明です。

事務職員などを中心に最低賃金と同額で雇われていたのが、最低賃金の改定後もそのまま放置されていたという状況が考えられるでしょうか。

 

②該当職員のうち、技能労務職員・企業職員の有無/単位:件、%

 (a) 北海道 札幌市 市群 町村群
4 100.0 12 100.0
1:無 1 25.0 8 66.7
2:有 3 75.0 4 33.3

 

②該当職員のうち、技能労務職員・企業職員の有無が尋ねられています(冒頭で述べたとおり、これらの職員には最低賃金法が適用されます)。

「市群」では、4件のうち3件が「2:有」、「町村群」では、12件のうち4件が「2:有」、と回答しています。

 

(b)「2:有」を選択した場合、該当職員数/単位:件、%

北海道 札幌市 市群 町村群
3 100.0 4 100.0
1~9人 2 66.7 1 25.0
10~29人 0 0.0 2 50.0
30~49人 0 0.0 0 0.0
50~99人 1 33.3 1 25.0
100人以上 0 0.0 0 0.0

注:「市群」の回答は2人~67人に分布、「町村群」の回答は3人~50人に分布。

 

提供された文書では、「市群」では回答は2人~67人に分布、「町村群」では3人~50人に分布していました(母数が少ないので平均値は省略)。

 

③今後の具体的な対応(具体的な時期を含む)について回答してください。

(a)

 

③今後の具体的な対応(具体的な時期を含む)が非常に気になるところですが、情報が提供されていないため不明です。

この後の回答(b)をみる限り、今回の最賃割れに対しては何らかの対応が図られるのだと思いますが──但し、時期にはばらつきがありますが──それが果たして恒久的な対応となるのかはわかりません。

 

(b)対応後の給料水準が適用される時期について、以下の選択肢から回答してください。

北海道 札幌市 市群 町村群
4 100.0 12 100.0
1:~令和5年11月 2 50.0 8 66.7
2:令和5年12月 0 0.0 1 8.3
3:令和6年1月 0 0.0 0 0.0
4:令和6年4月 1 25.0 3 25.0
5:その他 1 25.0 0 0.0

 

(b)対応後の給料水準が適用される時期が質問されています。

「市群」8件では、「1:~令和5年11月」が2件、「4:令和6年4月」が1件、「5:その他」が1件です。

「町村群」12件では、「1:~令和5年11月」が8件、「2:令和5年12月」が1件、「4:令和6年4月」が3件です。

「回答に当たっての留意点」に記載のとおり、本調査では「令和5年12月1日時点の状況」が回答されていますから、「1:~令和5年11月」という選択肢への回答は、遡って改善(支給)がされたということでしょうか。

 

(c)「5:その他」を選択した場合、具体的な時期

なお、(c)「5:その他」を選択した場合の具体的な時期は不明です。

 

 

5.まとめに代えて

  1. まず、総務省によるこうした調査が実施され、全国の状況が把握されたのはとても意義あることと思います(筆者が取り寄せたのは北海道・道内市町村分だけですが)。
  2. 但し、取りまとめられた(はずの)調査結果を総務省が公表しないことに関しては、違和感があります[14]
  3. 総務省が今回、調査を実施するに至った背景には、現場で発生している問題が労働組合による調査で明らかにされ、なおかつ、それが大きく報道されたことなどがあるのではないでしょうか。その点でも、労働組合によるこうした調査は非常に有効であったと思います[15]
  4. 「空白期間」の設定や勤続年数の上限設定など、会計年度任用職員制度(新制度)の導入以前から、自治体では、臨時・非常勤職員の任用をめぐる問題が少なくありませんでした(筆者も、労働組合の協力を得ながら、北海道内で調査を実施し、そのことを明らかにしてきました)。建前上とはいえ、新制度導入の趣旨は、その是正を図ることにあったとされています。適正な任用・労働条件を図る、当該職員の地方公務員法上の位置付けを明確にする、制度の明確化を図る、などとも言われてきました。
  5. しかしながら、民間の非正規雇用制度と比べても新制度には問題が数多くみられるというそもそも論はさておくとして[16]、今回の「給与等調査」では、会計年度任用職員に対して常勤職員とは異なる処遇を採用している自治体がみられるなどのことが明らかになりました。
  6. すなわち、勤勉手当が支給されぬ自治体があったり、支給されるにしても月数は常勤職員と異なっていたり(理由は提供されなかったため不明)、あるいは、給与の遡及改定が予定されていない、などの結果が確認されました。
  7. 常勤職員との間のこうした格差は合理的なのでしょうか。民間の賃金水準をふまえた給与勧告制度は、労働基本権制約の代償措置と説明されます。非正規公務員も労働基本権が制約されています。しかし、給与勧告制度では、格差がつけられています。民間の正規雇用者と非正規雇用者とのあいだでも、賃金や処遇の格差の合理性が問われるケースが増えてきていますが、「給与等調査」で明らかになったこうした対応の格差は、自治体の裁量として認められるべきものなのでしょうか。
  8. 仮に認められるという場合、たしかに、一般論で言えば、労使自治、労使で決定したことは尊重されるべきだと思われます。その点は、筆者も自重しなければと思います。
  9. 但し、有期雇用の濫用が制度化され、なおかつ、労働基本権が制約された会計年度任用職員当事者が、使用者と交渉を行うことは容易ではないでしょう。また、自治体の多くには、正職員で構成される労働組合(職員団体)がありますが、残念ながら、その全てが非正規公務員の声を代表しているとは必ずしも限りません。むしろ、非正規公務員の組合加入資格を認めていない自治体労組も少なくありません。
  10. 加えて、非正規公務員の労働条件に関する最低限の基準が明確でないことも考慮する必要があります。
  11. 例えば、本稿で取り上げた最低賃金についても然りです。公務員には、最低賃金法が適用されません。しかしそれは、公務員の賃金原則や、給与勧告、議会の審議による決定がより妥当であると考えられるために適用が除外されている[17]、つまり、これらの賃金原則や制度によって公務員賃金は最低賃金を上回ることが前提とされているのであって、最低賃金割れを容認することが法の趣旨ではありません。しかし実態は、今回の「給与等調査」でみたとおりです。最低賃金法が適用される企業職員や単純労務職員でも、最低賃金を下回る状況が確認されました。気になるのは、これらの最賃割れ状況は、今後、解消される目処はついた(制度的な変更は行われた)のでしょうか。個々の自治体に照会をする必要があります。
  12. 労働基準監督機関をめぐる問題もあります。公務員の場合、労働基準法の別表第1に掲げられた労働者を除き、人事委員会または(人事委員会が置かれていない自治体では)自治体の長が労働基準監督機関の役割を果たすこととされています[18]。問題の発見や是正は果たして進んで行われることになるのでしょうか。
  13. 以上のようなことをふまえると、まず総務省には、少なくとも、民間の非正規雇用制度並みの水準が果たされる程度には、制度設計の責任者として、率先して責任を果たす必要があるのではないでしょうか。そもそも、意図してかどうかはさておくとしても、様々な問題含みの制度を設計してしまったのですから。
  14. 各自治体(行政、議会)においても、住民の生活を支える非正規公務員の存在を直視して、現行の制度下でも、可能な限りの労働条件の整備を図る必要があるでしょう。その際には、少なくとも、民間の非正規雇用者に整備された制度──無期雇用転換(雇用安定措置)や、不十分ながらも進む均等・均衡待遇規定、格差に対する使用者の説明義務などはふまえた対応が必要ではないでしょうか。本来は、民間の率先垂範であることが期待されるのですから。
  15. 最後に、同じ職場で働く正職員で構成された労働組合が、当然のことながら、本稿でみてきたような問題を発見し是正を図ることができるもっとも身近な存在であることを強調したいと思います。本稿でみてきたような処遇格差や最賃割れ状況を労働組合は座視するのか──そのことが問われています。

 

 

 

[1] 同名の原稿を書いていますので、ご参照ください。川村雅則「ディーセントワーク概念からみた会計年度任用職員制度」『ガバナンス』第274号(2024年2月号)pp.36-38

川村雅則「ディーセントワーク概念からみた会計年度任用職員制度」

[2] (a)もまとまり次第、報告を予定していますが、通知書の作成・提出を年度明けに行っている自治体もあって、入手の手続き(開示請求)をあらためて行わなければなりません。いましばらくお待ちください。

[3] 総務省「地方公務員の給与の体系と給与決定の仕組み」より。

[4] 人事院「令和5年人事院勧告(勧告日8月7日(月))」

[5]自治労連「会計年度任用職員の給与改定等緊急調査」結果の報告(2023年11月15日会見資料)のほか、自治労連「すすむ非正規公共100 世論を追い風に遡及改定を実現させよう/会計年度任用職員4月遡及改定 自治労連が緊急調査」2023年12月7日配信自治労連「「4月遡及」自治体の広がる」2024年2月9日配信を参照。

[6]「非正規公務員賃上げに差 遡及改定、自治体3割のみ 「事務煩雑」に当事者憤り」『毎日新聞』2023年11月17日(東海林智記者)を参照。

[7]総務省「常勤職員の給与改定が行われた場合における会計年度任用職員の給与に係る取扱いについて(通知)」2023年5月2日「別紙2」のQ&Aがわかりやすいです。

[8]総務省「会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知)」2023年12月27日。「常勤職員の給与が改定された場合における会計年度任用職員の給与については、改定の実施時期を含め、常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とし、適切に対処すること。」

[9] いま思い返してみると、回答が果たして得られたかどうかはさておき、大量離職通知書の提出を要請した(要請文書を送付した)際に、遡及改定に関する情報提供も要請するという方法もあったかと反省しています。

川村雅則「北海道及び道内35市に対して大量離職通知書の提出を要請しました」『NAVI』2024年1月24日配信

川村雅則「北海道及び道内35市に対して大量離職通知書の提出を要請しました」

[10]「986団体が給与を遡及改定=自治体の会計年度任用職員―総務省」『官庁速報』2024年3月19日。官庁速報は時事通信社の商品です(https://ml.jamp.jiji.com/ml/)。

[11] 「非正規公務員「最低賃金割れ」 茨城の自治体2カ月~半年間 制度の適用除外、総務省「適切な決定を」」『毎日新聞』朝刊2023年1月24日付(東海林智記者)

[12]総務省「会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知)」2022年12月23日

[13]付け加えると、自治体への調査依頼文書もこのときに受け取ることはできず(もしかしたら、開示請求を行ったら受け取ることができたかもしれませんが)、後日に、北海道から受け取ることになりました。ちなみに、特段の内容が書かれていたわけではまったくありませんでした。

[14]個々の自治体が特定されないかたちであれば──例えば、都道府県+政令市群/残りの市群/町村群などで集計──総務省が公表してもよいのではないでしょうか。別件となりますが、「大量離職通知書制度」への自治体の対応をみても、残念ながら、非正規公務員を適切に扱う意思が全ての自治体で浸透しているようには思えません(ここで念頭においているのは、ルールの遵守程度という最低限のことです)。情報の積極的な開示が不正の抑制、適切な行動の採用につながっていくと思うのですが、どうでしょうか。

[15]本稿で紹介した自治労連による調査は大規模なものですが、小規模であっても、行政や議会あるいは報道を動かす力があると思っています。各地でもぜひ取り組みを。川村雅則「公務非正規運動の前進のための労働者調査活動」『住民と自治』第704号(2021年12月号)pp.12-16

川村雅則「公務非正規運動の前進のための労働者調査活動」

[16]本稿では、会計年度任用職員制度にみられる民間非正規制度との格差あるいは問題点──具体的には、公募制の導入を含め有期雇用の濫用が制度化されたことや、勤務時間数によって異なる処遇体系が合法化されたこと、労働基本権が制約されていることなどはいったんおいておきます。

[17]橋本勇『逐条地方公務員法 新版(第6次改訂版)』学陽書房、2023年p.1098。

[18]地方公務員法第58条の5「労働基準法、労働安全衛生法、船員法及び船員災害防止活動の促進に関する法律の規定並びにこれらの規定に基づく命令の規定中第三項の規定により職員に関して適用されるものを適用する場合における職員の勤務条件に関する労働基準監督機関の職権は、地方公共団体の行う労働基準法別表第一第一号から第十号まで及び第十三号から第十五号までに掲げる事業に従事する職員の場合を除き、人事委員会又はその委任を受けた人事委員会の委員(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の長)が行うものとする。」

 

 

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