京都放送労働組合「格差是正の闘い、派遣先直用化と無期雇用転換社員の実現」

民放労連 京都放送労働組合から、以下のレポートをご提供いただきました。2023年2月18日(土)に民主法律協会主催で大阪市内で開催された、2023年権利討論集会で報告されたものです。労働組合に取り組みで、派遣先直用化と無期雇用転換社員の実現がそれぞれ10人目に達したとのことで、関係する取り組みを進めている労働組合を勇気づける成果ではないでしょうか。どうぞお読みください。

 

格差是正の闘い、派遣先直用化と無期雇用転換社員の実現

 

京都放送労働組合

 

京都放送労組では、ことしも幸先良く格差是正の闘いで2つの大きな成果を勝ちとりました。

1つは、女性の派遣社員組合員(テレビ編成職場)が労働協約によって1月早々に派遣先・京都放送に直接雇用となりました。12年前に会社との間で派遣社員直用化の労働協約を締結し、協定にそって直用化を地道に進めてきましたが今回の直用化で数えて10人目となりました。

今回の直用化となった女性組合員は「京都放送労組に加入すれば働き続けられると知っていたので実現したことは嬉しい。ほかの派遣社員の人たちも加入して続いてほしい」と喜んでいました。

全国では、直用化協定が珍しいだけに運動で地道に雇用確保が進んでいることは、このように構内スタッフ(非正規労働者)から歓迎されています。

いずれにしても派遣労働者の地位向上でもっとも望まれるのは直用化です。

2つ目は、2名の女性組合員(KBSカルチャー職場)が無期雇用転換社員となりました。18年に労働契約法で無期雇用転換社員の道が開かれました。

京都放送では、組合がさっそく5年以上の組合員を次々と無期雇用転換としました。今回の2人で数えて10人目となりました。

2人は「週2日勤務の非常勤アルバイトだが組合の方が熱心に雇用延長の道を考えてくださった。不安定な立場なのに今回の無期転換で60歳まで働けるとは夢にも思ってなかった。ありがたい」と組合に感謝していました。

組合は、法律にそって取り組んでいますが全国では理化学研究所や大学などで無期転換前に雇い止めが続発しているだけに組合員からは評価の声が聞かれます。

組合は、派遣社員直用化・無期雇用転換を地道に積み重ね今回それぞれ10人目を達成しました。今後は、さらに労働組合に加入してもらい20人、30人と増やし直用化・無期転換が当り前となる状況をつくっていく考えです。

このほか、雇い止め通告の社員を守る取り組みをしました。

会社は、去年11月に23年2月に経営不振を理由に事業部の1セクションを廃止することを組合に伝えました。しかしこのセクションに組合員の女性派遣社員がいて組合は「派遣先・京都放送の勝手な理由で事業を閉じ雇い止めにしたわけだから別のセクションで仕事を与え雇用を守るべきである」と女性に提案しました。

女性は、組合のこの提案を検討してくれましたが「せっかく自分のために考えてもらったが、色々と考えた結果、年休処理を優先し雇用期間を1週間延長(3月31日終了を4月7日まで)することを派遣先・京都放送に交渉してほしい」との返事がありました。組合は、さっそく1月5日に会社に申し入れました。

組合は、本来なら女性の3年間の雇用期間終了の6月まで働いてもらい、さらに京都放送への直用化を予定していました。しかし本人の意向を尊重することが闘いの第1だけに今回のケースは、こういう結果になりました。女性から「派遣でこれまで3事業所で働いてきたが京都放送での仕事が1番楽しかった。今回の雇い止めも親身になって相談してもらった組合に感謝している」とのお礼がありました。

最後に1月末に有期雇用3年で雇い止めになる常勤アルバイト(報道カメラアシスタント)の男性の雇用延長を申し入れました。そして会社に回答させました。カメラアシスタントの職場は、すでに3年前に無期雇用転換職場に指定させていて2年後には予定通り無期転換にさせることにしています。

新年早々の朗報を聞いた弁護士などのみなさんから次のようなメッセージが届きました。「京都放送労組のすばらしい闘いの成果。一日々々の努力の積み重ねなのですね」(大阪)「素晴らしい活動及び成果ですね! 大変勇気づけられます」(大阪)「新年早々大変元気のでる素晴らしい成果の報告ありがとうございます」(京都)「無期転換を勝ちとってこられた成果を民間放送業界だけでなく、官民 すべての労働組合に広めていただくようお願いします」(伍賀一道金沢大学名誉教授)

最後にことしの春闘にふれ、「構内から構内スタッフをなくす。そして全員  60歳までの無期雇用転換社員にする」と決意をのべました。

組合は、ことしも一層構内スタッフへより添い雇用と生活を守っていくことにしています。

 

 

 

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