NPO法人官製ワーキングプア研究会「会計年度任用職員に対する「3年目公募」の中止を通知してください」

「会計年度任用職員に対する「3年目公募」の中止を通知してください」という要請文をNPO法人官製ワーキングプア研究会で作成し、総務大臣等に送付しました。この「3年目公募」問題を知っていただき、当研究会・当事者へのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

【追記】研究会によるこの声明・要請に賛同してくださった道内の自治体議員をご紹介します(あいうえお順。2022年11月21日時点)。非正規公務員問題を改善するのに尽力されている議員の方々です。

 なお、言うまでもなく、私が把握していないだけで、この問題に精力的に取り組まれている議員は少なくないでしょうし、この声明・要請に賛同してくださる議員はさらに多いと予想されます。お一人お一人とつながっていく作業を進めていきたいと思います。(川村雅則、2022年11月21日記)

稲葉典昭(帯広市議会議員)
江川あや(旭川市議会議員)
柏野大介(恵庭市議会議員)
くましろちかこ(石狩市議会議員、研究会会員)
佐々木百合香(北広島市議会議員)
鈴木かなみ(東川町議会議員)
鶴谷聡美(北広島市議会議員)
新岡智恵(恵庭市議会議員)
干場芳子(江別市議会議員)

 

 

 

 

2022年10月24日

 

総務大臣 寺田 稔 様

総務省公務員課

全国知事会

全国市長会

全国町村長会

 

NPO法人 官製ワーキングプア研究会

〒160-0008 東京都新宿区四谷三栄町14-7芝本マンション403

090-2302-4908

 

会計年度任用職員に対する「3年目公募」の中止を通知してください

 

 

2020年4月から導入された会計年度任用職員制度が、2023年3月で丸3年を迎えます。

総務省事務処理マニュアルには「再度の任用を行うことができるのは原則2回まで」とする国の例が示されていますが、これにならい、全国の多くの自治体で、2022年末から年度末の翌年3月にかけ、3年目を迎えた現職職員を数十万人の規模で一律に”雇止め”し、新たな公募を行なう「3年目公募」への不安が高まっています。一方、同じマニュアルでは、3年目の公募を行うことは法律上必須ではないことも明記されています。

私たちは、こうした状況において、次の4点を求めます。

 

  • 「公募は法律上必須ではない」とするマニュアルの趣旨を各自治体に徹底すること
  • 「3年目公募」を中止させ、再任用を推奨すること
  • 多くの自治体で実施されてきた登録制(各職務に対する希望者を日常的にリストアップしておき、欠員が出た場合はその登録者リストから選考する仕組み)を推奨すること
  • 会計年度任用職員の職務には長期雇用や熟練が必要なものが多数存在することなどに鑑み、職務の実態に合った定めのない短時間公務員制度を早期に導入すること

 

理由は以下の通りです。

まず、「3年目公募」は大量の雇止めを伴う「雇止め公募」とも言えるもので、かつてないほどの規模で多数の職員から生活の糧を奪い、深刻な生活不安と社会不安を引き起こすことが懸念されます。そもそも労働法で安易な解雇が規制されているのは、無差別解雇による貧困の蔓延や社会の混乱を防ぐためです。公務員は「雇用」ではなく「任用」とされていますが、「任用」であっても、年限のみを理由に一律の雇止めを行う「3年目公募」は同様の弊害をもたらします。

 

また、マニュアルで例示されているように、国の期間業務職員に対しては、先行して「3年目公募」が行われていますが、先行職場については、「期間業務職員の公募にかかる全労働の見解」(2018年10月、全労働省労働組合)や報道(https://synodos.jp/opinion/society/16439/)、当研究会への現場の職員からの相談などを通じ、雇止めによる失職への不安によってメンタルヘルスに支障をきたすことも指摘されています。いずれも、働き手に対する著しい人権侵害という点で大きな問題です。

 

さらに、これらの「3年目公募」の先行例をめぐる指摘や証言からは、不必要な一斉公募が行政サービスの低下を招き、住民生活を著しく損なうことも明らかにされています。

具体的には、異動が激しい正規職員と、3年ごとの入れ替えによる不慣れな初任の期間業務職員による市民対応によってミスが頻発しています。定期的にやってくる一斉雇止めと新規公募へ向け、だれが再任用されるかをめぐる疑心暗鬼が職員間に起き、職場の協力関係が損なわれ、円滑なサービスが妨げられることも日常化しています。また、公募を行っても結局、業務への習熟という意味から経験のある職員を再任用することが多く、「公募は出来レースではないのか」という住民の不信感を招く事態さえ起きています。

 

地方自治体では、将来の労働力不足が予見されるなか、人材の確保は急務となっています。そのようななかで「3年目公募」を行えば、上記のような働き方への失望感から求人は一段と困難になることが予想されます。

会計年度任用職員の人権を確保し、良質な住民サービスの安定的供給を図り、自治体への信頼を損なわないために、上記の4点を、重ねて強く求めます。

 

 

 

NPO法人 官製ワーキングプア研究会

NPO法人 官製ワーキングプア研究会の投稿記事

公務非正規女性全国ネットワーク(通称:はむねっと)「会計年度任用職員”3年目公募問題”(2022年度末問題)特集」

 

川村雅則「無期転換逃れ問題の整理──安心して働き続けられる社会の実現に向けて」

川村雅則「自治体の新たな非正規公務員制度問題(2022年度反貧困ネット北海道連続学習会)」

神代知花子「石狩市の非正規公務員問題と問題解決に向けた議員活動(2022年度反貧困ネット北海道連続学習会)」

吉田雅人「会計年度任用職員制度導入後の実態(2022年度反貧困ネット北海道連続学習会)」

 

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