川村雅則「無期雇用転換で雇用安定社会の実現を(2018年7月)」

『月刊全労連』第257号(2018年7月号)に掲載された、拙稿「無期転換運動と公共部門における規範性の回復運動で、貧困をなくし雇用安定社会の実現を」の前半部分「Ⅱ 無期雇用転換で雇用安定社会の実現を」を転載します。

2022年度は、いわゆる10年雇い止め問題*や、新たな非正規公務員制度として2020年度から始まった会計年度任用職員制度の3年公募制問題**が発生する年にあたります。無期雇用転換運動が労働界で再始動されることを願い、ここにあらためて掲載します。

*労働契約法第18条(5年無期雇用転換)の特例として設けられた10年での無期雇用転換を逃れて雇い止めしようとする問題。
**「再度の任用」は可能となったものの(民間でいう雇用更新とは異なり、新たな職に就くと解され、毎年1か月の試用期間が設けられている)、厳格な能力実証のため、国の非正規公務員にならい、少なくとも3年ごとに
新規求職者とともに公募に応じさせる制度設計が総務省によって助言された。3年をまたずに公募制をすでに実施している自治体も「町村」を中心に多いが、総務省の助言通りの設計であれば、2022年度末に最初の公募が実施されることとなる。

 

(2022年8月19日。「非正規・無期転換逃れはつらいよシンポジウム」開催日前日に)

 

厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」より。 https://muki.mhlw.go.jp/

 

 

 

Ⅰ はじめに

不安定な雇用、低賃金という条件の下で力を奪われている仲間を見つけ、彼らとともにその状況を変えていく。理不尽で差別性を帯びたその状況に気づき、その状況を変革する過程で、正規雇用者だけで組織されていた労働組合自身もまた、当事者とともにエンパワーメントされていく。それは労働組合再生の過程でもある──既存労組による非正規雇用者の組織化をさしあたりこうイメージするとして、では、その取り組みは果たしてどこまで進んでいるだろうか。捏造(ねつぞう)データの利用や高度プロフェッショナルの強行導入の姿勢に示されるとおり、政府の働き方改革の虚妄性あるいは危険性は明らかであるが、一方で、そうした情報の届かぬ未組織労働者の世界では、雇用・労働の現状を変えたいという切実な願いが、例えば「非正規を一掃する」ことのできそうな現政権を消極的ながらも支えているのではないか。その意味でも私たちは、政府の働き方改革の虚妄性・危険性を繰り返し指摘するのとあわせて、私たちの目指す働き方改革はいかなる中身であるかを具体的な実践とともに示していく必要がある。

本稿で扱うのは、一つは、有期雇用の濫用を解消し、雇用安定社会を作り出す無期雇用転換運動で、もう一つは、自治体(官)が作り出す貧困をなくしていく取り組み(非正規公務員問題の解消と、公契約条例の制定を軸とする公契約適正化運動)、いわば、公共部門における雇用の規範性の回復運動である。参考文献にあげたとおり、本誌223号、245号で筆者は、同様のテーマで文章を書いている[1]。また、無期転換についてはこの間、様々なところで講演をし、文章をまとめてきた[2]。内容の重複をご容赦いただきたい。

 

 

Ⅱ 無期雇用転換で雇用安定社会の実現を

1 2012年労働契約法改正と無期雇用転換制度

 

図表1 無期雇用転換ルールとは

※無期労働契約の労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間など)は、別段の定め(労働契約、就業規則、個々の労働契約)がない限り、直前の有期労働契約と同一となります。労働条件を変える場合は、別途、就業規則の改定などが必要です。
出所:厚生労働省リーフレットより。

 

2018年4月1日、無期雇用転換制度の本格始動の時期を迎えた(図表1)。

日本では、有期雇用の濫用──仕事に期限はないのに、1年あるいは半年など期間を限定して人を雇い、更新を繰り返すということが容認されてきた。それは労働者側の発言力を低下させる看過できぬ事態であったが、総じて、労働組合側もこの問題に十分に対応しきれてこなかったと言えるだろう。2012年改正労働契約法第18条は、有期で雇われ、更新を繰り返し、通算で5年の労働契約を超えた者に無期雇用に転換する権利を付与するということを内容としている。同条項の施行日は2013年4月1日なので、多くの労働者が2018年4月1日に権利を獲得することが期待された。なおこのときの法改正で、雇い止め法理の法定化と、有期雇用を理由とする不合理な労働条件の禁止もうたわれた。

労働契約法がなぜ制定、改正されたのか、時間を遡(さかのぼ)ってみる[3]。1990年代後半から猛烈な勢いで進められた大規模リストラ、労働契約の強引な解除・変更などを背景に制定された労働契約法(2008年3月施行)は、労働者保護、個別の労使関係の安定を目指したものの、リーマンショックで再び発生した大量の解雇・雇い止めでその限界性が明らかになった。2012年の法改正は、その意味で、法制定時の趣旨の実効性をより高めるために行われたものであった(にもかかわらず、脱法行為が広がっていることは後述)。

 

2 無期雇用転換を待つ者はどの位か

図表2「労働力調査」にみる有期契約労働者数(2017年)

注:有期契約労働者計とは、「有期の契約」「臨時雇・日雇」を足し合わせた数。
出所:総務省「労働力調査(2017年平均)」より作成。

 

図表3 業種×雇用契約期間の定めの有無別にみた非正規雇用者数(2017年)

出所:総務省「労働力調査(2017年平均)」より作成。

 

総務省「労働力調査(2017年平均)」によれば(図表2)、非正規雇用者2036万人のうち、有期契約労働者の合計(「一般常雇」の「有期の契約」者と「臨時雇・日雇」の合計)は1419万人で、およそ7割(69.7%)を占める。契約更新を繰り返すなかで自らを「無期の契約」と誤って回答している者も残り3割のなかに含まれるのではないかとも思うが、非正規雇用者の少なくとも7割は有期雇用であるとみることができる。なお、業種別にみると(図表3)、「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」「医療、福祉」を中心に、「無期の契約」という回答が多い。

 

図表4 「就業構造基本調査」にみる、雇用形態×雇用契約期間の定めの有無別にみた雇用者数と、うち継続勤続期間が5年以上の者(2012年)

注1:紙幅の都合で千人の単位を四捨五入して表示している。
注2:「雇用契約期間の定めがない」には、定年までの雇用を含む。
出所:総務省「2012年就業構造基本調査」より作成。

 

ただし、この「労働力調査」では勤続年数が分からない。そこで、やや古いデータになってしまうが、5年に1度の頻度で行われる「2012年就業構造基本調査」でみてみると(図表4)、雇用契約期間に定めがある非正規雇用者は1076万人。そのうち継続勤続期間が5年以上の者は450万人となる。留意すべきは、後でみるとおり、3年などの上限を勤続に設けられて、自らの意思に反して辞めざるを得なかった存在はここには含まれない。それでも450万人が無期雇用の条件を満たしている。なお、表の中・右は、ここ北海道と札幌市を例に整理したものだが、無期雇用転換を待つ者が多数に及ぶ。取り組む課題の大きさを感じる。

 

3 5年ルールは最低限のルール──法制度面での改善課題と運動の課題

周知のとおり、現行の無期転換ルールは多くの課題を有している。①合理的な理由のない有期雇用は認めないという、雇入れ(「入口」)での規制がない。②無期転換するのに通算で5年超も必要とする、しかも、労働者からの申し入れを必要とする「出口」規制の弱さ。③同一労働同一賃金など処遇面での規制がなく、ゆえに、非正規の処遇のまま無期転換して固定化されることが懸念されることなどである。

法制度のあらためての改正が必要であると同時に、これらは、法改正に先んじて労働協約のレベルでも実現すべき/できる課題であり、実際、労働組合の積極的なリードによって、法を上回る成果が全国各地で得られている。5年ルールという呼称が一般的になっているが、我々の出発点は、仕事に期限はないのに、有期で人を雇うことを認めるのか、というところにある。全国の経験を交流しながら法を上回る取り組みに挑戦しよう。

もっとも、一方ではそれ以前に、無期雇用転換に関するルールがとりわけ未組織の非正規雇用者(当事者)に知られていない状況への対応が急がれる。

 

図表5 無期労働契約への転換(改正労契法第18条)について知っているか

出所:連合「有期契約労働者に関する調査」結果より。

 

例えば、週20時間以上働く民間企業の有期契約労働者1000人が回答した、「連合」によるインターネット調査[4]でも(図表5)、「無期労働契約への転換(第18条)」については、「ルールの内容まで知っていた」は15.9%にとどまり、「ルールができたことは知っているが、内容までは知らなかった」が32.9%、「ルールができたことを知らなかった」が51.2%で、後2者を合計すると84.1%に及んでいる。どの雇用形態でもそれは7割台から9割台までと多数を占める。

 

4 無期雇用転換は進んでいるのか

悩ましいのが、無期雇用転換(あるいは脱法行為)に関わる動きの全体状況がつかめないことである。

独立行政法人労働政策研究・研修機構(以下、JILPT)による、改正労契法への対応を企業側に尋ねた調査[5]の結果(2016年10月1日時点の状況を回答)では、第一に、労働契約法が改正されたことを知っている(「改正内容まで知っている」)企業は半数(49.9%)に及び、「改正されたことは知っているが内容はよく分からない」36.9%まで含むと、全体の9割弱を占めていた。

 

図表6 無期転換ルールにどのような対応を検討しているか

出所:JILPT「改正労働契約法とその特例への対応状況等に関する調査」より作成。

 

その上で、無期転換ルールにどのような対応を検討しているかへの回答は(図表6)、フルタイム契約労働者を雇用している企業(4904社)でも、パートタイム契約労働者を雇用している企業(4665社)でも、何らかのかたちで無期契約にしていくという回答が、どちらも6割前後を占め、「有期契約が更新を含めて通算5年を超えないように運用していく」、すなわち脱法行為を採用する、という明確な回答は、この段階では、どちらにおいても8%台にとどまっていた(派遣労働者や請負に切り換える、という回答もわずか)。

しかしその後の推移は、むしろ、「対応方針は未定・分からない」とこの調査で回答していた事業者が徐々に脱法行為にシフトしていったことを思わせる。日本を代表する大手自動車メーカーでの無期転換回避──具体的には、期間従業員の契約終了後から再雇用までの間の「空白期間」を6ヵ月に延長といった動き[6]に「追随」することが懸念される。

 

5 広がる脱法行為──大学職場を例に

労働契約法改正の趣旨に相反する脱法行為──5年を超える前の雇い止めや、空白期間の挿入で通算労働契約期間をゼロにリセットするクーリングの広がる職場の一つが大学である。問題の広がりをうけて全体状況が把握された希有(けう)な産業である(ただし、把握されたのは国立大学法人等で、私立は除く)。

大学職場には、教員と職員のそれぞれに、フルタイム型とパートタイム型の非正規(有期)雇用者が数多く働いている。非常勤講師は講義のみを担当するパートタイム型教員であるが、その数は専任教員(正規雇用の教員)を上回り、彼らなくして大学教育は成り立たない。しかも、本務校をもたずに「専業非常勤講師」として働く者が少なくないが、その処遇は、ここ札幌圏では、月額2万円台の後半に設定された大学が多く、仮に月額3万円で計算しても年額にして36万円、6コマの掛け持ちをしてようやく200万円に達する水準である(もちろん、講義の準備や試験・採点作業などを含む)。しかも彼らの雇用は、大学・学部のカリキュラム編成に左右されるなど、不安定で先行きの見えない雇用である。

全国的には、就業規則の一方的な不利益変更による、早稲田大学の非常勤講師への雇い止め宣告が早い時期に知られ(林克明『ブラック大学早稲田』)、その後、東北大学、東大など大規模な雇い止め問題が耳目を集めることとなった。教職員組合による雇い止め撤回のうねりが全国で巻き起こったものの、一方で、少なからぬ大学で雇い止め・クーリングが強行された。ここ北海道における北海道大学もその一つである。

 

図表7 全国立大学法人等の無期転換ルールへの対応方針(2017年3月31日、18年3月1日時点)

注:2016年度及び17年度に文科省が実施した調査。類型は文科省による整理。⑧は2017年度調査から設定。
出所:文科省「各国立大学法人及び大学共同利用機関法人における無期転換ルールへの対応状況に関する調査」より作成。

 

図表8 同調査への北海道大学の回答(2017年度調査)

出所:図表7に同じ。

 

時間を少しさかのぼって、国立大学法人等の無期転換ルールへの対応方針を明らかにした文科省による調査(2016年度、17年度)[7]の結果をみると(図表7)、2016年度(2017年3月31日時点)は、対象となった90法人のうち、「①契約更新に上限を設けない」はわずか6法人のみである。最も多いのは、「⑤職種によって異なる対応を行う」とした58法人で、次いで、「④契約更新に原則として通算5年以内の上限を設けるが、一定の要件を満たした場合に、通算5年を超える更新を認める」という15法人である。繰り返すとおり、仕事に期限がないのであれば無期で雇われるべきで、試験で選抜したり一定の要件を満たすことを無期転換の条件とする必要は本来ないにもかかわらず、である。

なお、17年度調査(18年3月1日時点)でも、①はわずかの増加(8法人)で、⑤が相変わらず多数(52法人)、そして、④が22法人であった。このうち、北海道大学の回答が図表8であり、16年度調査で⑤であったのが17年度は④に変更されている。

 

図表9 文科省調査による、国立大学法人等における有期雇用職員数

注1:2018年1月1日現在の把握で変動があり得る。
注2:「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律第15条の2第1項」及び「大学の教員等の任期に関する法律第7条第1項」に規定されている、労働契約法の特例の対象者及びリサーチアシスタント、ティーチングアシスタントを除く。
注3:次年度の契約更新が内定している者(2018年4月以降無期転換申込権が発生)、別途の無期転換制度による無期転換が内定している者を含む。
出所:文科省調査・資料(「国立大学法人における有期雇用職員数について」)より。

 

ただし④に変更したとはいえ、第一に非正規雇用の事務職員は原則として5年で雇い止めルールが撤回されていない。国立大学法人等の「有期雇用職員数」を調べた文科省による別調査に北海道大学は、「2017年度末で雇用期間が契約期間の上限を迎える者」の人数に726人と回答している(図表9[8]。2018年1月1日現在の回答であり、変動の可能性がありうることなどをふまえても、非常に多くの有期雇用職員が雇い止めにあっていることが推認される。

第二に、非常勤講師は無期転換の対象となっているが、この調査が実施される以前に筆者も救済にかかわった事例では、従来は通年で担当していた教科を半期に寄せるよう大学側から通告されていた。カリキュラムの都合が理由にあげられたものの、脱法行為としてのクーリングが推認される。

 

6 既存の労働組合は職場を代表しているか──労基法第90条違反が問うもの

ところで、大学職場の無期雇用転換をめぐって、職場における労働組合の代表性が具体的なかたちで問われた。労基法第90条にうたわれた、就業規則の作成・変更手続きに関することである。非正規雇用者が現在その撤廃を求めている更新限度条項(例えば5年で雇用終了条項)は、そもそもいつどこでどのようにして就業規則に盛り込まれるに至ったのか。

周知のとおり、職場の現実はさておくとしても、法制度上は、労働条件は使用者が一方的に決定できるものではない。職場のルールブックである「就業規則」の作成(変更)手続きにおいても、労働者の意見聴取が求められている。

 

第九十条使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

○2使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

 

更新限度条項が導入される際、労働者側は意見を求められたのか、求められたのは誰か(過半数組合か、労働者の過半数を代表する者か)、その代表者は民主的な手続きで選出されたのか。端的に言えば、自らの労働条件が決定的に左右される更新限度条項の導入に非正規雇用者は関与することができていたのか、それとも、自らの預かり知らぬところで勝手に決められていたのか。もし正規雇用者で組織された労働組合がある職場なのであればなおのこと、職場の民主主義あるいは民主主義に対する労働組合の姿勢が問われる事態であった。

その意味で労基法第90条違反に対する一連の刑事告訴・告発は、職場に民主主義を根付かせる行為であるといえるだろう。既存労組のこれからの課題が、代表者の民主的な選出制度の設置と、すべての労働者の代表を目指すことであるのを、自戒を込めてあらためて思う。

 

7 無期雇用転換は労働組合なくして不可能であり、その運動は労働組合の再生過程でもある

非正規雇用者の多くが無期転換を望んでいる。家事育児や介護でフルタイムに働くことが困難だからと非正規雇用(短時間勤務)を希望するのとは異なり、無期よりも有期を積極的に選択することにはメリットも必要性もない(有期雇用における解雇規制の強さを強調するのは、現実的ではない)。

北海道大学でも、札幌キャンパスで働く900人超の非常勤職員を対象に北海道大学教職員組合が実施した当事者アンケート調査によれば(有効回答359部)、無期転換の希望は82.5%が「希望する」と回答していた。なお、付け加えれば、非常勤職員として働いている理由(複数回答可)では「常勤職員になりたいが就職口がないため」が60.7%で最多である。

現在、北大職組では、雇い止め問題を最重要課題の一つに位置付け、団体交渉にのぞむことが予定されている。また市民(大学研究者と弁護士)による包囲網として、「北海道大学の5年雇い止めルールの撤廃と、非正規職員の無期雇用転換を求める有識者アピール」運動も開始された。

労働組合なくして無期転換を進めることは不可能であるといっても過言ではない。労働組合は、有期雇用の濫用問題や職場の民主主義への感度をより一層高め、法が改正された状況下でなお不条理にあっている当事者を見つけ、労働組合に迎え入れていこう。既存の正規労組に包摂する方法もあれば、地域労組が受け皿となる方法や業種・職種を軸としたアプローチ方法もあるだろう。ここ札幌圏でも非常勤講師組合が立ち上がり、さっそく、クーリングを企図したと推認される事例で、地域の労働組合等と連携して、それを撤回させることに成功した。こうした、この間全国で生まれた豊かな経験を交流して運動を活性化していこう。

無期雇用転換制度が創設され、そして、2018年4月1日を迎えた今、合理的な理由なく一定年数で機械的に雇い止めを行い、その一方で新たな採用を行うこと、またそれを黙認することには、より一層の厳しい批判が向かう情勢である。脱法行為を許さず、雇用安定社会を実現できるかどうかは私たちの取り組み次第である。

 

 

〔以下は、略〕

Ⅲ 公共部門の雇用に規範性の回復を──非正規地方公務員問題の解消と、公契約の適正化運動を地域から

Ⅳ まとめに代えて

 

 

 

(主な参考文献)

荒木尚志・菅野和夫・山川隆一(2014)『詳説労働契約法第2版』弘文堂

川村雅則(2011)「北海道における失業・不安定就業問題(Ⅳ)」『北海学園大学経済論集』第59巻第3号

────(2015)「なくそう官製ワーキングプア、進めよう公契約運動」『月刊全労連』第223号

────(2017a)「非正規労働者の現状と今求められる運動の課題──非正規公務員問題を題材に」『月刊全労連』第245号

────(2017b)「公契約条例に関する調査・研究(Ⅰ)野田市の公契約条例に関する調査・研究」『北海学園大学経済論集』第65巻第3号

────(2018)「非正規雇用問題、格差・貧困問題に労働組合はどう取り組むべきか」『医療労働』第608号

上林陽治(2012)『非正規公務員』日本評論社

────(2015)『非正規公務員の現在──深化する格差』日本評論社

────(2017a)「欺瞞の地方公務員法・地方自治法改正(上)──総務省「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」(平成28年12月27日)読解」『自治総研』第463号

────(2017b)「欺瞞の地方公務員法・地方自治法改正(下)──官製ワーキングプアの法定化」『自治総研』第465号

────(2017c)「市民の人権を守る地方自治体の労働政策──韓国・ソウル市の取り組み」『北海道自治研究』第584号

白石孝編著(2018)『ソウルの市民民主主義──日本の政治を変えるために』コモンズ社

 

(注)

[1] 本稿で紹介している論文やデータなどは、研究室のウェブサイトで公開しているので活用されたい。

[2] 例えば川村(2018)を参照。また、無期転換の意義や課題などをコンパクトにまとめたパンフレット『なくそう!有期雇用つくろう!雇用安定社会』(資料①)や、本稿で扱う2つのテーマを問題意識に開催された、第2回なくそう!官製ワーキングプア北海道集会(2018年2月4日開催)の『記録』(資料③)も参照されたい。

[3] 法制定・改正の経緯などは荒木・菅野・山川(2014)を参照。

[4] 連合「有期契約労働者に関する調査報告」2017年7月20日掲載。

[5] JILPT「改正労働契約法とその特例への対応状況及び多様な正社員の活用状況に関する調査」結果(2016年10~11月調査、2017年5月23日発表)を参照。常用労働者を10人以上雇用する全国の民間企業3万社を対象に実施し、有効回答は9,639社。

[6]「車大手、期間従業員の無期雇用を回避法改正、骨抜きに」『朝日新聞』朝刊2017年11月4日付。厚生労働省「いわゆる『期間従業員』の無期転換に関する調査」の結果(2017年12月27日公表)。

[7] 文部科学省「国立大学法人及び大学共同利用機関法人における無期転換ルールへの対応状況に関する調査(2016年度、17年度)」。

[8] 労組主催の集会で配布されていたこの調査結果について文科省に問い合わせたところ、同省が作成したものであるが同省のウェブサイトでは公開されていないこと、第196回国会2018年3月23日厚生労働委員会で高橋千鶴子議員(日本共産党)が使われたものであることを知った。各大学の個別データについては当該大学への問い合わせを勧められたが、本稿執筆時点で、北海道大学は労働組合にも地元の新聞社にも無期転換に関する正確な情報を開示していないので、同調査への回答を参考データとして示す。

 

 

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