川村雅則ゼミナール『北海学園大学1部 学生アルバイト白書2025』『NAVI』2025年10月21日配信

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最終更新 2026年2月15日

本報告書は、1部(昼間部)のゼミで取り組んでいるアルバイト(等)調査の結果を取りまとめたものです。但し、中間報告的な性格のものであることをはじめにお断りしておきます。1022日の授業で使うために急いで作成をしたものです。12月に予定されている経済学部「地域研修報告会」までに完成をさせる予定です。

本報告書は、アンケート調査の結果と聞き取り調査の結果で構成されています。後者は、協力者の確認が取れ次第、公開を予定しています。両調査の「調査結果にみられた主な特徴と考察」も、まとまり次第公開をします。

下記に示した本報告書の題も、「仮題」です。

今後、加筆修正をほどこす可能性があります。大きな加筆修正を行った場合にはその旨を記します。

 

「Ⅴ.アンケート調査及び聞き取り調査の結果にみられた主な特徴と考察」を追加しました(2026年2月15日)

「Ⅳ.聞き取り調査の結果」を追加しました(2025年12月4日)

 

北海学園大学1部 学生アルバイト白書2025

アルバイト先での不満・問題状況・トラブル経験に焦点をあてて

 

北海学園大学1部川村雅則ゼミナール学生

 

目次

Ⅰ.はじめに──問題意識

川村ゼミでは例年、学生アルバイトの現状などを把握するための調査を行ってきた。ここ数年はコロナ禍の影響を意識した調査内容が多かったが、2025年の現在は、コロナによる行動制限は収束を迎えたといえるだろう(コロナ感染自体はなくなっているわけではない)。

前回(2023年)の調査では、「学生アルバイトとワークルール」というワークルールの認知・理解状況に焦点をあてた調査が行われていた。

今年度は趣旨を変えて、学生アルバイトの「不満」や「問題状況」「トラブル経験」(以下、不満等)に焦点をあてた調査を行った。

調査内容を検討した当初、法律(労働法)に違反した状況の把握に限定すべき/そうした状況の把握こそ優先すべきであって、「不満」や「問題状況」にまで範囲を広げることへの異論も出されていた。法に違反した状況であれば対応も比較的分かりやすい/行いやすいと思われるのに対して、「不満」や「問題状況」であれば、法律だけでは対応が難しいと考えられたからである。

しかし、「違法」な状態とは言えないまでも、アルバイト先で多くの学生が抱える「不満」の中にこそ、学生アルバイトの負担・ストレスの原因や改善すべき課題が存在するのではないかと考え、これらの「不満」や「問題状況」にまで範囲を広げて把握をすることとした。

今回の報告は、まだ中間報告の段階であるが、調査結果をより詳細に分析・考察し、最終的に、学生アルバイトにみられる問題の改善策を提起して、ゼミの活動にも反映させていくつもりである。

回答者をはじめ多くの皆さんに本調査報告書を読んでいただくことで、ワークルールを知るきっかけや、労働環境を見つめなおして改善していくきっかけになれば嬉しく思う。

 

Ⅱ.調査の概要

アンケートと聞き取りという二つの調査方法を採用した。

1.アンケート調査

アンケート調査は、googleフォームを使ったウェブアンケートである。

学内のポータルサイト(G-PULS)を使い、本学の1部(昼間部)に所属する学生で、現在アルバイトをしているか、過去に(大学入学後)アルバイトを経験したことがある、という学生を対象に調査を行った。

対象を1部生に限定した理由は、1部生と2部生とでは、学費など経済的な条件が違うことや、アルバイトの勤務時間(時間帯、時間数)をはじめとする大学生活の送り方に違いがあることを考慮したためである。

調査へのご協力のお願いは、2025年7月16日の14時30分に配信を行い、回答の締め切りは、7月24日の正午までとした。

加えて、(1)川村の担当する授業で、受講生に対して調査への協力を学生が呼びかけた(この授業は2年次から受講が可能で、受講生は、一部を除く全員が経済学部生)(2)上記 G-PLUS で配信されるメッセージは学生にあまり確認されていないようであるため、7月17日に経済学部の専任教員全員に対して、学生に対する調査のアナウンスをお願いするメールを川村が行った。(3)7月22日の段階で、G-PLUS で学生に対して、回答へのお礼と回答をお願いする配信(前者はすでに回答してくれた学生向け、後者はまだ回答していない学生向けの配信)を再度行った。

なお、あらかじめ言えば、上記(1)(2)の作業を反映し、回答者の半数が「経済学部」の学生であった。また、「2年生」からの回答が多かった。

アンケートの調査の主な内容は以下のとおりである。

 1. あなたの属性について
 2.アルバイトの実施状況、賃金・労働条件、勤務時間など
 3.スキマバイトの利用経験、トラブル経験
 4過去・現在のアルバイトにおける不満等の経験について

 

2.聞き取り調査

上記のアンケート調査の最後に、聞き取り調査への協力をお願いする一文を設けたところ、20人の学生が協力を申し出てくれた。そこで20人全員に対して聞き取り調査のお願いをあらためて行ったが、返信があまりなく(氏名や連絡先を記入する調査だと勘違いをされた可能性がある)、最終的に、返信があって日程調整がうまく行えた8人から話を聞くことができた。

調査は、8月(8月1日から8月28日の間)に行った。

アンケート調査にすでに回答された内容を踏まえた上で聞き取りで尋ねた内容は主に以下のとおりである。

1.仕事の内容、基本的な賃金・労働条件
2.アルバイトのある日の勤務・生活スケジュール
3.アルバイト先での困った経験や不満に思っていること
4.アルバイト先に対する改善の希望
5.アルバイト先の良い点、気に入っている点
6.その他(アルバイトに関して気づいたことや話したいこと) 

但し、聞き取り調査への協力者の募集に際しては、何か困った経験をしたり不満などがあったりする学生に対象を限定しなかった。そのため、困った経験や不満は、8人全員からは必ずしも聞かれなかった。むしろ、アルバイトを積極的に評価する回答も少なくなかった。そのため、聞き取りの結果は、必ずしも統一されていないことに留意されたい。

もっとも、そのようなケースであっても、仕事の内容や労働条件など、学生アルバイトがどのような仕事に従事し、また、どのようなことに働きやすさを感じているかなどの実態を知る上で有益な情報が得られたと思われたので、調査結果は、本報告書にそのまま収録した。

聞き取り調査は、本学の図書館4階アクティブルームなど学内で行った。一人の協力者に対してゼミ生1~2人という体制で話を聞いた。承諾を得たケースでは、録音をしながら聞き取りを行った。本報告書に記載した協力者の名前は「仮名」である。

 

Ⅲ.アンケート調査の結果

アンケート調査への回答者数は289人であった。先ほど述べたとおり、本調査は、1部(昼間部)の学生を対象としたものであって、2部(夜間部)の学生は、対象となっていないことに留意されたい。

本調査結果の集計表をウェブ上に掲載する(こちらをクリック)。回答者全体の調査結果をまとめた単純集計表のほか、男女別、学年別の調査結果をまとめたクロス集計表を掲載している(2025年10月22日時点)。あわせて参照されたい。

本報告書では、回答者全体の調査結果に加えて学年別の調査結果を一つの表にまとめて掲載している。

但し、本報告書では、回答者全体の調査結果を中心に記述を行う。学年別等の調査結果の詳細な説明については別の機会に行う。

その上で、学年別の調査結果の概略を述べておくと、「1年生」と、「2年生」以降の学年との間では、アルバイト状況やワークルールの認知状況には違いがあることが示されている。また、「4年生」はアルバイトの時間数が就職活動で短くなることも想定されたが(本調査回答者には「4年生」がそもそも少ないのだが)、本調査の実施時期が7月であったことから、そのような傾向はみられなかった。むしろ、本調査の「4年生」の回答者は、就職活動をすでに終えたのか、長時間のアルバイトに従事していることが示された。

 

1.回答者の属性

1)学年

表1-1 回答者の学年

単位:人、%

289 100.0
1年生 59 20.4
2年生 126 43.6
3年生 65 22.5
4年生 39 13.5

 

回答者の学年は(表1-1)、「2年生」が43.6%と大多数を占め、「3年生」が22.5%、「1年生」が20.4%と続く。例年、単位を取り終えたり就活のために大学・授業から離れてしまう(結果、G-PLUSを確認しなくなる)傾向にある「4年生」の回答が少ないが、今回も1割強にとどまった。

 

2)所属の学部

表1-2 所属の学部

単位:人、%

289 100.0
経済学部 145 50.2
経営学部 38 13.1
法学部 41 14.2
人文学部 44 15.2
工学部 21 7.3

 

所属の学部は(表1-2)、「経済学部」が最も多く50.2%で半数を占め、「人文学部」15.2%、「法学部」14.2%、「経営学部」13.1%と1割強の学部が続く。「工学部」については7.3%と1割に満たなかった。

 

3)性別

表1-3 性別

単位:人、%

289 100.0
男性 143 49.5
女性 144 49.8
その他 2 0.7

 

性別は(表1-3)、「男性」が143人(49.5%)、「女性」が144人(49.8%)、「その他」が2人(0.7%)という結果になった。

 

2.アルバイトの状況

2では、アルバイトの実施状況、業種、勤続年数、勤務時間、賃金などを取り上げる。今回の報告書には掲載していないが、業種別の結果を整理して、どの業種でどんな問題や不満が発生しているのかを、可能な範囲で分析することを予定している(「可能な範囲で」と書いたのは、問題の経験や不満は、現在のアルバイトに限定して回答してもらっているわけではない、という本調査の制約による)。

なお、2)の「アルバイトの業種等」以降の調査結果は、1)で「現在アルバイトをしている」と回答した者のみの結果になっている(「現在はアルバイトをしていないが、過去にしていた」者を除いた結果になっている)ことに留意されたい。

 

1)アルバイトの実施状況

表2-1 現在のアルバイト実施状況

単位:人、%

289 100.0
現在アルバイトをしている 276 95.5
現在はアルバイトをしていないが、過去(大学入学後)にしていた 13 4.5

 

現在のアルバイトの実施状況を尋ねた。

結果は(表2-1)、「現在アルバイトをしている」は95.5%、「現在はアルバイトをしていないが、過去(大学入学後)にしていた」は4.5%という結果になった。以下、「現在アルバイトをしている」者に限定して、調査結果をみていく。

 

2)アルバイトの業種等

表2-2 アルバイトの業種等【複数回答可】

単位:人、%

276 100.0
①飲食店(居酒屋・レストラン・ファストフードなど) 140 50.7
②小売店(コンビニ・スーパー・アパレル・家電量販店など) 85 30.8
③接客・サービス(美容・ホテル・受付など) 33 12.0
④教育(塾講師・家庭教師など) 29 10.5
⑤オフィスワーク(事務・コールセンターなど) 7 2.5
⑥肉体労働(工場・清掃・引っ越しなど) 11 4.0
⑦物流(倉庫・配送・運送・デリバリーなど) 5 1.8
⑧アミューズメント(映画館・カラオケ・イベントスタッフなど) 26 9.4
⑨その他 7 2.5

 

回答者が働いている業種(職種)について尋ねた。掛け持ちの場合を考慮して複数回答可とした。

結果は(表2-2)、回答者全体のうち「飲食店」が50.7%と半数を占めて、「小売業」が30.8%と続く。この2つで全体の81.5%を占める。続く「接客・サービス」12.0%と「教育」10.5%を合わせると104.0%となる(複数回答可の設問なので、合計で100%になるわけではないことに留意)。

以上のほかに1割を切る回答として、「アミューズメント」が9.4%、「肉体労働」が4.0%、「オフィスワーク」が2.5%、「物流」が1.8%であげられる。

なお、「その他」として7人から自由記述で回答された業種は以下のとおりである(再集計は行っていない)

  • 児童館スタッフ、学習塾事務
  • 保育園
  • 警備員
  • メディア
  • 放課後等デイサービス
  • 翻訳
  • 試験監督

 

以下では、働き方や労働条件などをみていく。調査結果は、2025年7月時点のものであることに留意されたい。

 

3)勤続期間

表2-3 全体及び学年別にみた、アルバイトの勤続期間

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
276 100.0 58 100.0 122 100.0 64 100.0 32 100.0
働き始めたばかり・1か月未満 9 3.3 5 8.6 3 2.5 0.0 1 3.1
1か月〜3か月未満 41 14.9 30 51.7 7 5.7 3 4.7 1 3.1
3か月~6か月未満 33 12.0 14 24.1 9 7.4 9 14.1 1 3.1
6か月~1年未満 28 10.1 3 5.2 19 15.6 4 6.3 2 6.3
1年~2年未満 104 37.7 3 5.2 75 61.5 15 23.4 11 34.4
2年~3年未満 39 14.1 3 5.2 2 1.6 30 46.9 4 12.5
3年以上 22 8.0 0.0 7 5.7 3 4.7 12 37.5
(再掲)1年以上 59.8 10.3 68.9 75.0 84.4

 

勤続期間を尋ねたところ(表2-3)、最も多かったのが「1年~2年未満」で37.7%で、「1か月~3か月未満」と「2年~3年未満」がそれぞれ14%台(14.9%、14.1%)で続く。以下は、「3か月~6か月未満」12.0%、「6か月~1年未満」10.1%、「3年以上」8.0%で、「働き始めたばかり・1か月未満」という回答は最も少なく3.3%という結果になった。

学年別にみると、学年が上がるにつれて長期で働いている者が多くなる。

 

4)1週間の勤務時間数

1週間の勤務時間数を尋ねた。アルバイトを掛け持ちで働いている場合には、すべてのアルバイトの勤務時間を合計して回答してもらった。

 

表2-4 全体及び学年別にみた、1週間の勤務時間数

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
276 100.0 58 100.0 122 100.0 64 100.0 32 100.0
10時間未満 31 11.2 7 12.1 13 10.7 7 10.9 4 12.5
10~15時間未満 87 31.5 17 29.3 35 28.7 28 43.8 7 21.9
15~20時間未満 91 33.0 20 34.5 50 41.0 12 18.8 9 28.1
20~25時間未満 42 15.2 10 17.2 17 13.9 10 15.6 5 15.6
25~30時間未満 15 5.4 2 3.4 5 4.1 5 7.8 3 9.4
30時間以上 10 3.6 2 3.4 2 1.6 2 3.1 4 12.5
(再掲)20時間以上 24.3 24.1 19.7 26.6 37.5

 

結果は(表2-4)、1週間の勤務時間数では「15~20時間未満」が最も多く33.0%で、「10~15時間未満」がほぼ同じ割合で31.5%で続く。これら2つで全体の6割を占めている。それらに続いて「20~25時間未満」が15.2%、「10時間未満」が11.2%。「25~30時間未満」は5.4%、「30時間以上」は3.6%と25時間以上は1割以下という結果になった。

学年別にみると、20時間以上働いている者は、「1年生」ですでに4人に1人の割合である。「4年生」でその割合は最も高く、3人に1人以上(37.5%)である。「30時間以上」も12.5%である。

 

5)時給

時給を尋ねた。複数の時給がある場合や、掛け持ちでアルバイトをしている学生には、「もっともよく働いている金額」で回答してもらった。

 

表2-5 全体及び学年別にみた、アルバイトの時給

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
276 100.0 58 100.0 122 100.0 64 100.0 32 100.0
1010円未満
1010円 29 10.5 4 6.9 16 13.1 5 7.8 4 12.5
1011円~1050円 64 23.2 15 25.9 29 23.8 15 23.4 5 15.6
1051~1100円 76 27.5 17 29.3 30 24.6 19 29.7 10 31.3
1101~1200円 63 22.8 11 19.0 31 25.4 14 21.9 7 21.9
1201~1300円 26 9.4 10 17.2 8 6.6 5 7.8 3 9.4
1301円以上 18 6.5 1 1.7 8 6.6 6 9.4 3 9.4
(再掲)1101円以上 38.8 37.9 38.5 39.1 40.6

 

結果は(表2-5)、当時の最低賃金にあたる「1010円」は10.5%であった。その上の「1011円~1050円」と「1051円~1100円」で全体のおよそ半数を占める(23.2%、27.5%)。つまり、最低賃金から1100円まででおよそ6割(61.2%)を占める。それ以降は100円刻みになるが、「1101円~1200円」が22.8%、「1201円~1300円」が9.4%、「1301円以上」が6.5%である。

表では、1101円以上をまとめた(「(再掲)1101円以上」)が、学年別にみると、どの学年でも4割前後を占めている。

 

6)月の平均的な収入

月の平均的な収入を尋ねた。交通費は除いて回答してもらった。また、アルバイトを掛け持ちしている場合は、合計して回答してもらった。

 

表2-6 全体及び学年別にみた、月の平均的な収入

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
276 100.0 58 100.0 122 100.0 64 100.0 32 100.0
2万円未満 8 2.9 5 4.1 2 3.1 1 3.1
2万円~4万円未満 28 10.1 9 15.5 10 8.2 7 10.9 2 6.3
4万円~6万円未満 75 27.2 15 25.9 29 23.8 22 34.4 9 28.1
6万円~8万円未満 79 28.6 16 27.6 41 33.6 13 20.3 9 28.1
8万円~10万円未満 61 22.1 12 20.7 30 24.6 14 21.9 5 15.6
10万円~12万円未満 16 5.8 4 6.9 5 4.1 4 6.3 3 9.4
12万円~14万円未満 5 1.8 1 1.7 1 0.8 2 3.1 1 3.1
14万円以上 4 1.4 1 1.7 1 0.8 2 6.3
(再掲)8万円以上 31.2 31.0 30.3 31.3 34.4

 

結果は(表2-6)、「6万円~8万円未満」で28.6%、「4万円~6万円未満」で27.2%、「8万円~10万円未満」で22.1%と、4万円から10万円未満の間に、回答者の約8割が集中している。

残りについては、「2万円未満」が2.9%、「2万円~4万円未満」が10.1%と、4万円に満たない者が合計で13.0%、「10万円~12万円未満」が5.8%、「12万円~14万円未満」が1.8%、「14万円以上」が1.4%と、10万円以上が合計で9.0%という回答の分布状況である。

学年別にみると、「(再掲)8万円以上」の割合は、「1年生」を含めどの学年でも3割を超える。10万円以上の割合は、「4年生」で多い(2割弱)。

 

3.スキマバイトの利用、トラブル経験

本調査では、スキマバイト(「タイミーなどスキマバイト」と例示)の利用状況やトラブル経験を尋ねた。

具体的には、「スキマバイト(タイミー等)を利用したことはありますか。また、スキマバイト(タイミー等)を利用した際に、トラブルの経験はありますか。当てはまるものをすべて選んでください。」とした。

新たな働き方として普及しているスキマバイトという働き方が、学生にどの程度利用されているのか、一方で、スキマバイトによるトラブル経験なども報道されていることから、本調査では、スキマバイトの利用状況とトラブルの経験をあわせて尋ねた(①~⑪)。

但し、調査結果をまとめるにあたっては、本調査で尋ねたのとは異なるかたちでまとめた。具体的には、まず、「⑪スキマバイトを利用したことがない」者以外を、新設した項目の「⑫スキマバイトを利用したことがある」者として分類し、スキマバイトの利用状況を表3-1に整理した。その上で、スキマバイトのトラブル経験を表3-2に整理した。

 

表3-1 全体及び学年別にみたスキマバイトの利用経験の有無

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
289 100.0 59 100.0 126 100.0 65 100.0 39 100.0
⑪スキマバイトをそもそも利用したことがない 240 83.0 51 86.4 98 77.8 57 87.7 34 87.2
⑫スキマバイトを利用したことがある〔新設〕 49 17.0 8 13.6 28 22.2 8 12.3 5 12.8

 

 まず、スキマバイトの利用状況は(表3-1)、「⑪スキマバイトをそもそも利用したことがない」が全体の83.0%を占めており、本調査回答者のスキマバイトの利用割合は17.0%であった。予想よりも低い数値であった。

 学年別にみると、利用経験がない者は「2年生」で最も低く(77.8%)、他は80%台の後半であった。言い換えれば、「2年生」の利用率が最も高いということになる。但し、母数も少ないことから、参考情報にとどめておく。

 

表3-2 スキマバイトでのトラブル経験の有無及び内容

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
49 100.0 8 100.0 28 100.0 8 100.0 5 100.0
①仕事内容が求人情報と違った 4 8.2 0.0 2 7.1 1 12.5 1 20.0
②業務に関して十分な指示や教育がなかった 11 22.4 4 50.0 5 17.9 2 25.0 0.0
③急に仕事が取り消しになった 5 10.2 0.0 4 14.3 1 12.5 0.0
④一方的にスキマバイトサービスの利用を停止・制限された
⑤同じ職場の他の労働者と労働条件が違った 2 4.1 0.0 1 3.6 0.0 1 20.0
⑥現場できつい言い方、態度をとられた 7 14.3 1 12.5 4 14.3 1 12.5 1 20.0
⑦セクハラやパワハラなどハラスメントを受けたと感じた 2 4.1 1 12.5 1 3.6 0.0 0.0
⑧給与が支払われなかった・遅れた
⑨業務内容が過酷・危険だった
⑩トラブルを経験したことはない 27 55.1 2 25.0 18 64.3 4 50.0 3 60.0

 

次に、スキマバイトでのトラブル経験の有無とその内容を整理した(表3-2)。トラブル内容は報道や先行する調査(注)を参考にした。学年別の調査結果も示したが、上記のとおり各学年の母数が少ないので注意されたい。

回答者全体の結果をみると、「⑩トラブルを経験したことはない」という回答は、55.1%と半数を超えた。言い換えれば、半数弱がトラブルを経験したことがある、ということになる。

トラブルとして最も多かったのが、「②業務に関して十分な指示や教育がなかった」で22.4%である。続いて、「⑥現場できつい言い方、態度をとられた」が14.3%で、「③急に仕事が取り消しになった」と「①仕事内容が求人情報と違った」が1割前後であった(10.2%、8.2%)。その他は、「⑤同じ職場の他の労働者と労働条件が違った」と「⑦セクハラやパワハラなどハラスメントを受けたと感じた」がそれぞれ4.1%である。

なお、報道などで見聞きされた「④一方的にスキマバイトサービスの利用を停止・制限された」、「⑧給与が支払われなかった・遅れた」、「⑨業務内容が過酷・危険だった」という選択肢については、回答はゼロであった。

 

注:連合「スポットワークに関する調査2025」[2025年1月23日掲載]

 

4.過去・現在のアルバイトにおける不満等の経験など

 

4では、本調査のメインテーマでもあるアルバイトでの「不満等」についてみていく。

留意すべきは、第一に、現在のアルバイトだけでなく過去のアルバイトでの経験も含めて、回答をしてもらっていることである。

第二に、この4の設問では、「現在はアルバイトをしていないが、過去(大学入学後)にしていた」者にも回答をしてもらっていることである。

第三に、ある状況を経験していることと、そのことを不満に思っていることとは、さしあたりは別の問題である。例えば、制服の着替え時間に対して賃金が支給されていないという問題状況(違法状況)がみられたとしても、回答者はそのことを不満に思っていない、などのケースがそれに該当する。その場合、ある状況を経験しているか?と回答者に尋ねるのと、不満を感じているか?と回答者に尋ねるのとでは、結果は異なると予測される。つまり、回答者にどう尋ねるかが重要である。そこでこの4では、本調査では何と尋ねたのか、各設問の記述も示しながら結果をみていく。

 

1)身だしなみルールへの不満

アルバイトの労働契約には、身だしなみに関する規定が設けられていることが少なくない。学生たちはそれらに対し不満を持ってはいないかどうかを、身だしなみを細かく分けて尋ねてみた。具体的な設問では、「アルバイト先で、身だしなみに関する次のようなルールで不満を感じたことはありますか。当てはまるものすべてを選択してください。」とした。

 

表4-1 全体及び男女別にみた、身だしなみルールに対する不満の有無【複数回答可】

単位:人、%

全体 性別
男性 女性
289 100.0 143 100.0 144 100.0
①頭髪(髪色・長さなど) 65 22.5 22 15.4 42 29.2
②ネイル 37 12.8 1 0.7 36 25.0
③メイク 7 2.4 7 4.9
④ピアス・アクセサリー類 44 15.2 13 9.1 31 21.5
⑤服装・制服の着こなし 35 12.1 17 11.9 18 12.5
⑥とくに不満はない 181 62.6 107 74.8 73 50.7
⑦その他 1 0.3 1 0.7

 

結果は(表4ー1)、不満の中で最も多かったのが「①頭髪(髪色・長さなど)」で22.5%である。次いで、「④ピアス・アクセサリー類」で15.2%、「②ネイル」が12.8%、「⑤服装・制服の着こなし」が12.1%と続いた。逆に、本調査で取り上げた中では「③メイク」は2.4%と低かった(メイクに制約を設ける職場がそもそも少なかったのか、メイクに制約を設ける職場で働く回答者が少なかったのか、メイクの制約を不満に思うケースが少なかったのかは不明である)

設問全体としては「⑥とくに不満はない」が62.6%を占める結果となった。

男女別の結果をみると、まず特徴的なのは、「⑥とくに不満はない」で、「男性」では74.8%、「女性」では50.7%と20ポイント以上の大きな差がみられることである。

不満の内容については、男女のどちらとも最多は「①頭髪(髪色・長さなど)」である。但しその割合は、「男性」で15.4%、「女性」で29.2%と差がみられる。「①頭髪」に次いで多いのは、「男性」では「⑤服装・制服の着こなし」で11.9%、「女性」では「②ネイル」で25.0%という結果になった。

なお、「⑦その他」を選択した1名の回答は、「本名の名札を付けなければならないこと。」であった。近年では、カスタマーハラスメント対策で名札を外す(労働者の情報を公開しない)ケースが増えているが、学生アルバイトではそういった対策がどこまでとられているだろうか。

 

2)勤務時間外の連絡の有無と不満

SNSがアルバイト先と学生アルバイトとの間の連絡手段となって久しい。便利ではあるものの学生にとって負担ではないのだろうか(海外では、つながらない権利が話題になっている)。勤務時間外の連絡について労働者に企業が返信を強要することは禁止されており、それらの連絡を労働者側が無視することも法的には問題がない。本調査では、勤務時間外の連絡の有無を、幾つかの内容に分けて尋ね、それらがあると回答した者には、それらの連絡に不満や煩わしさを感じるかを尋ねた。すなわち、「次のうち、勤務時間外に電話やSNSなどを通じて、アルバイト先から日常的に連絡を受けるものすべてを選択してください。」と求めた後に、「上記のような連絡があることに対して不満や煩わしさはありますか。」と尋ねた。

 

表4-2① 全体及び学年別にみた、勤務時間外の日常的な連絡の有無【複数回答可】

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
289 100.0 59 100.0 126 100.0 65 100.0 39 100.0
①シフトに追加で入ることのお願いやシフトの変更・調整について 207 71.6 35 59.3 91 72.2 52 80.0 29 74.4
②仕事内容・手順に関すること(顧客情報・顧客対応を含む) 114 39.4 18 30.5 50 39.7 27 41.5 19 48.7
③次の勤務者への引継ぎ・申し送り事項 39 13.5 6 10.2 12 9.5 13 20.0 8 20.5
④仕事上のミスの注意・指摘。指導 63 21.8 11 18.6 27 21.4 17 26.2 8 20.5
⑤とくに勤務時間外の連絡はない 59 20.4 18 30.5 23 18.3 11 16.9 7 17.9
⑥その他 1 0.3 1 2.6

 

結果は、まず、勤務時間外の連絡に関して最も多かったのは(表4ー2①)、「①シフトに追加で入ることのお願いやシフトの変更・調整について」で71.6%、次いで「②仕事内容・手順に関すること(顧客情報・顧客対応を含む)」が39.4%と多かった。この他にも、「④仕事上のミスの注意・指摘。指導」で21.8%、「③次の勤務者への引継ぎ・申し送り事項」で13.5%の結果がみられた。

逆に、「⑤とくに勤務時間外の連絡はない」は20.4%で、全体の約2割にとどまった。こうした状況をどう評価すべきかは、考察で行う。

 

表4-2② 上記のような連絡に対する不満や煩わしさの有無

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
230 100.0 41 100.0 103 100.0 54 100.0 32 100.0
非常にある 12 5.2 6 5.8 1 1.9 5 15.6
ややある 63 27.4 8 19.5 28 27.2 17 31.5 10 31.3
とくにない 155 67.4 33 80.5 69 67.0 36 66.7 17 53.1
(再掲)ある計(非常にある+ややある) 32.6 19.5 33.0 33.4 46.9

注:表4-2で「⑤とくに勤務時間外の連絡はない」と回答した者は、対象から除く。

次に、こうした連絡に対する不満や煩わしさは(表4ー2②)、「とくにない」が67.4%で全体の3分の2を占めた。それに対して「ややある」は27.4%で「非常にある」は5.2%という結果になった。

表4-1①と表4-1②を学年別にみると、「⑤とくに時間外の連絡はない」は「1年生」で多い(30.5%)。不満や煩わしさの有無においても、「1年生」の「とくにない」が80.5%と多い。逆に、「4年生」では、不満や煩わしさが「(再掲)ある計(非常にある+ややある)」が計46.9%と高い。

なお、表4─2①で「その他」を選択していた1人の自由記述は、「いずれも頻繁ではないが、長引くことがあり、そう言った時は非常に煩わしく思う。」であった(有無と煩わしさがまとめて回答されていた)。

 

3)業務の負担や責任の重さへの不満

業務(仕事)の内容や量は労働契約によって本来は決められる。そのため、業務で負担が生じて不満を感じている、という実態がもしあるならば、労働者と使用者との間で契約内容に齟齬が生じている、と解釈することができるのではないか。本調査では、業務の負担や責任の重さについて尋ねた。具体的には、「アルバイト先での「業務の負担」や「責任の重さ」についての不満で当てはまるものすべてを選択してください。」と尋ねた。

 

表4-3 業務の負担や責任の重さに対する不満の有無【複数回答可】

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
289 100.0 59 100.0 126 100.0 65 100.0 39 100.0
①社員並みの仕事や責任を求められる 49 17.0 5 8.5 20 15.9 14 21.5 10 25.6
②トラブルやクレーム対応をさせられる 43 14.9 5 8.5 18 14.3 11 16.9 9 23.1
③業務の量が多すぎる・人手不足の中働かされる 93 32.2 17 28.8 39 31.0 21 32.3 16 41.0
④他のアルバイトに仕事を教えたり指導的な役割を求められる 61 21.1 8 13.6 23 18.3 19 29.2 11 28.2
⑤他のアルバイトのまとめ役をさせられる 25 8.7 5 8.5 8 6.3 4 6.2 8 20.5
⑥とくに不満はない 135 46.7 32 54.2 58 46.0 29 44.6 16 41.0
⑦その他 6 2.1 1 1.7 2 1.6 2 3.1 1 2.6

 

結果は(表4─3)、業務の負担や責任の重さに対する不満で最多は「③業務の量が多すぎる・人手不足の中働かされる」で32.2%であった。次に「④他のアルバイトに仕事を教えたり指導的な役割を求められる」が21.1%で、「①社員並みの仕事や責任を求められる」が17.0%、「②トラブルやクレーム対応をさせられる」が14.9%、「⑤他のアルバイトのまとめ役をさせられる」が8.7%という結果になった。逆に、「⑥とくに不満はない」は46.7%と半数を切る。

なお以下は、「⑦その他」を選択した6人の自由記述である(読点の有無を含め、回答はそのまま掲載している。以下、同様)

 

  • 売り上げや多額の金銭をバイトが取り扱う。
  • 人手が足りない他店舗にも行かされる
  • 社員に仕事を教える
  • 1回しか教わっていないことを覚えてる体で話を進めてくる人がいること
  • 雑用ばかりやらされる。
  • 清潔感に欠ける客が来る(精神的ストレス)

 

4)シフトに関する不満

シフト(注)は、ある日のある勤務時間帯・時間数について働くことを労働者と使用者が合意することによって決まる。しかし、川村ゼミによる過去の調査でも、シフトに入れなかったり変更をされたりなどの問題状況がみられた。そこで今回も設問を設けて、「アルバイトのシフトに関する不満について、当てはまるものすべてを選択してください。」と求めた。

 

注:厚生労働省による定義では、「「シフト制」とは、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1か月など)ごとに作成される勤務シフトなどで、初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような勤務形態を指します。ただし、三交替勤務のような、年や月などの一定期間における労働日数や労働時間数は決まっていて、就業規則等に定められた勤務時間のパターンを組み合わせて勤務する形態は除きます。」となっている。

 

表4-4 シフトに関する不満の有無【複数回答可】

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
289 100.0 59 100.0 126 100.0 65 100.0 39 100.0
①希望通りにシフトが入れられない 42 14.5 9 15.3 18 14.3 9 13.8 6 15.4
②急にシフトを入れられる・時間を変更される 31 10.7 6 10.2 12 9.5 8 12.3 5 12.8
③希望するより多くシフトを入れなければならない(最低限クリアしなければなら ないシフト日数がある) 12 4.2 3 5.1 4 3.2 4 6.2 1 2.6
④学校の都合を考慮してもらえない 6 2.1 1 1.7 4 3.2 1 1.5
⑤シフトの提出期限が早すぎる 61 21.1 11 18.6 27 21.4 17 26.2 6 15.4
⑥シフト開始や終了の時間がバラバラ 25 8.7 5 8.5 8 6.3 5 7.7 7 17.9
⑦とくに不満はない 152 52.6 33 55.9 66 52.4 33 50.8 20 51.3
⑧その他 14 4.8 8 6.3 4 6.2 2 5.1

 

結果は(表4ー4)、シフトに関する不満で最も多かったのは、「⑤シフトの提出期限が早すぎる」が21.1%で、続いて、「①希望通りにシフトが入れられない」が14.5%、「②急にシフトを入れられる・時間を変更される」が10.7%と、1割を超える回答は以上であった。

残りは、「⑥シフト開始や終了の時間がバラバラ」が8.7%、「③希望するより多くシフトを入れなければならない(最低限クリアしなければならないシフト日数がある)」が4.2%、「④学校の都合を考慮してもらえない」が2.1%という結果になった。

逆に、「⑦とくに不満はない」は回答者の52.6%で約半数であった。なお、「⑦とくに不満はない」について学年による差はとくになく、いずれの学年でも50%台である。

以下は、「⑧その他」を選択した14人の自由記述である。

 

  • なんとなく、休んで欲しくないんだな〜という雰囲気を感じる
  • 代わりを見つけないと休むことができない
  • 直接的には言われないけど遠回しに入って欲しいと言われる
  • シフトの組み方が良くなくて休憩をうまく回せない時がある。
  • シフト提出期間が28日~30日のどこかに公開される。次月のシフト公開が当月1日の朝の時もある。
  • 休む場合は代わりの人を自分で見つけなければならないこと。
  • 希望した時間より早くから入れられることがある。
  • 生徒の都合が中心
  • 人数が少なくて、シフト沢山入れないと…と思ってしまうところ。
  • 繁忙期は休みづらい
  • 繁忙期と閑散期でシフト数の上下が激しく、給料が安定しない。
  • シフトが出るのが遅すぎる
  • シフト出るのが遅い 週単位
  • シフトが出るのが遅い

 

5)休憩の発生状況と休憩に関する不満

アルバイトの休憩に関して尋ねた。休憩は労働時間が6時間を超えた時点で最低45分を労働者に与えることが必要である。また、8時間を超えた場合には60分の休憩時間を与えることが必要である。しかし、大学に通いながら1日に6時間を超えて働いているケースは限られていると考え、本調査では、6時間を超えて働くことが多いかどうかを尋ねた上で、休憩に関して質問をした。具体的には、「あなたは普段のアルバイトで一日の労働時間が6時間以上を超えることが多いですか」(注)と尋ねた上で、「はい」と回答した者に「アルバイトの休憩に関する不満について、当てはまるものすべてを選択してください。」と求めた。

 

注:「6時間以上を超える」(下線は引用者)と誤った尋ね方をしてしまった。結果に大きな影響は与えていないと思われるが、この点を記しておく。なお、煩雑さを避けるため、以下では、「6時間を超える」と記している。

 

表4-5① 全体及び学年別にみた、普段のアルバイトで1日の労働時間が6時間を超えることが多いか

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
289 100.0 59 100.0 126 100.0 65 100.0 39 100.0
はい 81 28.0 18 30.5 28 22.2 19 29.2 16 41.0
いいえ 208 72.0 41 69.5 98 77.8 46 70.8 23 59.0

注:本文に記載のとおり、設問では「6時間以上を超えること」と誤って記載した。

 

結果は(表4ー5①)、まず、普段のアルバイトで1日の労働時間が6時間を超えることが多い(「はい」)と答えた者は、28.0%であった。

これを学年別にみると、「1年生」は30.5%、「2年生」は22.2%、「3年生」は29.2%であるのに対して、「4年生」は41.0%と割合が大きかった。表2-4でも確認されたが、「4年生」では長時間働く者が多い、言い換えれば、休憩の付与が必要となる者が多い。

次に、6時間を超えて働くことが多いと回答した者を対象に、休憩時間に関する不満を尋ねた(表4ー5②)。

 

表4-5② 全体及び学年別にみた、アルバイトの休憩に関する不満の有無

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
81 100.0 18 100.0 28 100.0 19 100.0 16 100.0
①休憩が必要なのに与えられていない 9 11.1 1 5.6 5 17.9 1 5.3 2 12.5
②人手不足で休憩が取りにくい 12 14.8 2 11.1 6 21.4 4 25.0
③休憩時間が短すぎる 5 6.2 1 5.6 2 7.1 2 10.5
④休憩時間に業務や対応をさせられる 2 2.5 2 7.1
⑤休憩場所がない・使いづらい 16 19.8 4 22.2 1 3.6 7 36.8 4 25.0
⑥とくに不満はない 46 56.8 13 72.2 16 57.1 9 47.4 8 50.0
⑦その他 2 2.5 1 3.6 1 5.3

注:対象は、表4-5①で、1日の労働時間が6時間を超えることが多い(「はい」という)と回答した者に限定。

 

不満として最も多かったのが「⑤休憩場所がない・使いづらい」で19.8%である。次いで、「②人手不足で休憩が取りにくい」が14.8%、「①休憩が必要なのに与えられていない」が11.1%と続く。ここまでが1割以上の回答である。残りは、「③休憩時間が短すぎる」が6.2%、「④休憩時間に業務や対応をさせられる」が2.5%という結果になった。

逆に、「⑥とくに不満はない」は回答者全体の56.8%を占めた。学年別にみると、「1年生」では、「⑥とくに不満はない」は72.2%と高い。

以下は、「⑦その他」を選択した2人の自由記述である(後者は、タイムカードによる時間管理が適切に行われているということを示すものだろうか)。

 

  • 人件費を抑えるため深夜コンビニは1人で行っている。そのためちゃんとした1時間休憩をとらない。暇な時に奥で休んでるだけで休憩入りの入力しない。
  • 逆にもっと休みなさいと言われる。人数不足なのに。タイムカードが厳しいらしい。

 

6)給与・賃金に関する不満やトラブル

使用者は労働時間を適切に把握し、給与・賃金を全額支払う義務がある。加えて、交通費の支給や作業着の負担などは「労働契約」や「就業規則」に明示する必要がある。本調査では、以上のことを念頭において給与・賃金に関する不満について尋ねた。具体的には、「アルバイト先の給与・賃金(交通費を含む)に関する不満やトラブルについて、当てはまるものすべてを選択してください。」と求めた。

 

表4-6 全体及び学年別にみた、給与・賃金(交通費を含む)に関する不満やトラブルの有無【複数回答可】

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
289 100.0 59 100.0 126 100.0 65 100.0 39 100.0
①時給が低い、仕事に見合っていないと感じる 100 34.6 18 30.5 47 37.3 20 30.8 15 38.5
②昇給がない、上がる仕組みが不透明 73 25.3 10 16.9 32 25.4 19 29.2 12 30.8
③扶養の上限(103万円・130万円)を超えないように時間を制限しなければならない 75 26.0 18 30.5 33 26.2 13 20.0 11 28.2
④準備・片付け・着替えなどの時間に給与が出ない 63 21.8 12 20.3 30 23.8 13 20.0 8 20.5
⑤勤務時間が1分単位で計算されず、切り捨てられる 55 19.0 9 15.3 25 19.8 14 21.5 7 17.9
⑥交通費支給の契約をしているのに支給されない(全く支給されない、一部しか支給されない、を含む) 13 4.5 2 3.4 4 3.2 3 4.6 4 10.3
⑦制服や作業着を用意する費用が支給されない(ヘルメット・軍手・エプロンなど) 24 8.3 5 8.5 11 8.7 6 9.2 2 5.1
⑧とくに不満はない 90 31.1 19 32.2 43 34.1 19 29.2 9 23.1
⑨その他 3 1.0 3 2.4

 

結果をみると(表4ー6)、給与・賃金(交通費を含む)に関する不満やトラブルで最も多かったのは、「①時給が低い、仕事に見合っていないと感じる」で34.6%であった。次いで、「③扶養の上限(103万円・130万円)を超えないように時間を制限しなければならない」で26.0%、「②昇給がない、上がる仕組みが不透明」で25.3%、「④準備・片付け・着替えなどの時間に給与が出ない」21.8%、「⑤勤務時間が1分単位で計算されず、切り捨てられる」が19.0%と続いた。

割合が10%以下のものとして、「⑦制服や作業着を用意する費用が支給されない(ヘルメット・軍手・エプロンなど)」(8.3%)、「⑥交通費支給の契約をしているのに支給されない(全く支給されない、一部しか支給されない、を含む)」(4.5%)があげられる。

ところで、これまでの設問の中で「とくに不満はない」が最も少ないのは、「業務の負担や責任の重さ」を尋ねた設問であった。その割合は46.7%である。その他の設問では、いずれも「とくに不満はない」は半数を超えていた。それに対して本設問では、「⑧とくに不満はない」が31.1%にとどまった。言い換えれば、何らかの不満を示したものが多かったということになる。その中でも最多である「①時給が低い、仕事に見合っていないと感じる」(34.6%)は、「⑧とくに不満はない」(31.1%)を上回った点が特徴である

なお、学年別にみると、「⑧とくに不満はない」の割合はとくに「4年生」で低い。

以下は、「⑨その他」を選択した3人の自由記述である。

 

  • 当初、北海道銀行で振り込みをお願いしようかと思ったが、仕事先曰く、北洋指定であったため、大人しく北洋銀行の口座を作った。
  • 時給が上がる仕組みがある(3時間以上の労働でポイントが貯まり、そのポイントが多いほど時給も上がっていく)が、2時間半のシフトにされることが多い。
  • 注文ミスしたら給料から天引きされる

 

7)アルバイトと学業の両立に関する困りごとや不満

学業とアルバイトの両立というのは、ワークルールという観点からは少々はずれたテーマと思われるかもしれない。しかし、「不満」に焦点を当てた本調査では重要性が高いと考えられたこと、また、労働契約を超える勤務時間数の問題などが背景にある可能性も踏まえて、この設問を設けた(この設問の結果と週の勤務時間数などとの相関関係の検討作業は別に行う)。本調査では、「アルバイトと学業の両立について、困っていたり不満を感じたりしていることはありますか。当てはまるものすべてを選択してください。」と求めた。

 

表4-7 全体及び学年別にみた、アルバイトと学業の両立に関する困りごとや不満【複数回答可】

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
289 100.0 59 100.0 126 100.0 65 100.0 39 100.0
①授業に出られないことがある 10 3.5 6 4.8 2 3.1 2 5.1
②課題の提出が間に合わなくなることがある 28 9.7 6 10.2 14 11.1 4 6.2 4 10.3
③試験勉強の時間がとれない 62 21.5 17 28.8 29 23.0 10 15.4 6 15.4
④睡眠時間が十分に取れない 77 26.6 26 44.1 24 19.0 18 27.7 9 23.1
⑤とくに不満はない 165 57.1 24 40.7 74 58.7 40 61.5 27 69.2
⑥その他 2 0.7 1 1.7 1 0.8

 

結果は(表4ー7)、困っていたり不満を感じている中で最多であったのは「④睡眠時間が十分に取れない」で26.6%であった。続いて「③試験勉強の時間がとれない」が21.5%、「②課題の提出が間に合わなくなることがある」で9.7%であった。割合は小さいが、「①授業に出られないことがある」も3.5%みられた。

逆に、「⑤とくに不満はない」は回答者全体の57.1%を占めた。

なお、学年別にみると、「1年生」で「⑤とくに不満はない」の割合が低く、「④睡眠時間が十分に取れない」の割合が多くなっている。本調査の回答者に限った偶然の結果なのか、「1年生」ゆえにアルバイトにまだ不慣れな結果なのかは検討が必要である。

以下は、「⑥その他」を選択した2人の自由記述である(前者は、逆に、アルバイト時間の確保に難点を感じているケースである)。

 

  • 土曜日に授業があるため、アルバイトの時間が確保しづらい
  • 週3日契約で、授業が入ってない日にバイトを入れるとなると、丸一日休みの日がなくなってしまうこと。

 

8)有給休暇に関する知識や取得経験、不満やトラブルなど

年次有給休暇は、雇用されている労働者であれば、6か月以上の勤務と全労働日の8割以上の出勤など一定の条件を満たせば、短時間勤務者であっても学生という身分であっても、取得することができる。しかし川村ゼミによる過去の調査によれば、学生は、有給休暇のルールをそもそも知らなかったり、取得経験のない者が少なくなかった。そこで本調査では、(1)「学生アルバイトでも、条件(6か月以上の勤務等)を満たせば有給休暇を取得できることを知って」いるかどうかをまずは尋ねた上で、(2)「あなたはアルバイトで有給休暇を使ったことがあ」るかを尋ね、そして、(3)「有給休暇について経験した不満やトラブルについて当てはまるものすべてを選択してください。」と求めた。

 

表4-8① 条件を満たせば有給休暇を取得できることを知っているか

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
289 100.0 59 100.0 126 100.0 65 100.0 39 100.0
知っている 213 73.7 33 55.9 94 74.6 53 81.5 33 84.6
知らない 76 26.3 26 44.1 32 25.4 12 18.5 6 15.4

 

結果は(表4─8①)、まず、条件を満たせば有給休暇を取得できることを「知っている」は、回答者全体のおよそ4分の3(73.7%)を占めた。

学年別にみると、学年が低いほど「知らない」者が多く、「1年生」では「知っている」が55.9%にとどまり、逆に、「知らない」が44.1%と高かった。

以下の調査結果については、有給休暇を「知っている」と回答した213人に限定してみていく(有給休暇を「知らない」者は、そもそも回答のしようがない、と判断をした)。

 

表4-8② 全体及び学年別にみた、有給休暇を取得したことがあるか

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
213 100.0 33 100.0 94 100.0 53 100.0 33 100.0
使ったことがある 71 33.3 7 21.2 30 31.9 23 43.4 11 33.3
使えると知っていたが、使っていない 103 48.4 4 12.1 54 57.4 23 43.4 22 66.7
使えると知らなかったので、使っていない 2 0.9 2 2.1
まだ、6か月以上働いていない 37 17.4 22 66.7 8 8.5 7 13.2

注:対象は、表4-8①で「知っている(条件を満たせば有給休暇を取得できることを知っている)」と回答した者に限定。

 

まず、有給休暇を取得したことがあるかどうかの結果は(表4─8②)、「使えると知っていたが、使っていない」がおよそ半分(48.4%)を占める。一方で、「使ったことがある」も33.3%と全体の3分の1を占めて、割合は少なくない。なお、「まだ、6か月以上働いていない」が17.4%と少なくなかった。とくに「1年生」では「まだ、6か月以上働いていない」が3分の2を占めること(66.7%)が特徴である。

次に、有給休暇について想定された問題経験などを、「その他」を含めて6つの回答選択肢として設けて、その有無を尋ねた。

 

表4-8③ 全体及び学年別にみた、有給休暇について経験した不満やトラブル【複数回答可】

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
213 100.0 33 100.0 94 100.0 53 100.0 33 100.0
①自分の職場で有給休暇が使えるのかがわからない 32 15.0 2 6.1 16 17.0 7 13.2 7 21.2
②職場が忙しかったり人手不足であったりするため、使用の希望を言い出すことができない 27 12.7 14 14.9 8 15.1 5 15.2
③希望する日以外で勝手に有給休暇を使われたことがある 3 1.4 1 3.0 2 3.8
④学生アルバイトは有給休暇を使えないと言われたことがある 7 3.3 1 3.0 4 4.3 2 6.1
⑤有給休暇の申請をしようとしたが、断られた 1 0.5 1 3.0
⑥とくに不満はない 156 73.2 28 84.8 66 70.2 38 71.7 24 72.7
⑦その他 4 1.9 1 3.0 2 2.1 1 1.9

注:表4-8②に同じ。

 

結果は(表4─8③)、「⑥とくに不満はない」が73.2%で最も多い(本来は「⑥とくに不満やトラブル経験はない」とすべきであった)

次に、表4─10①でみた回答と矛盾するようだが、「①自分の職場で有給休暇が使えるのかがわからない」が15.0 %を占めている。有給休暇制度のことを「知っている」と回答していたのに、「①自分の職場で有給休暇が使えるのかがわからない」という状況である。この点は、過去の川村ゼミの調査でも確認された点である。あわせて、「②職場が忙しかったり人手不足であったりするため、使用の希望を言い出すことができない」も1割を超えた(12.7%)。

なお、割合こそ少ないが、「④学生アルバイトは有給休暇を使えないと言われたことがある」(3.3%、7人)、「③希望する日以外で勝手に有給休暇を使われたことがある」(1.4%、3人)、「⑤有給休暇の申請をしようとしたが、断られた」(0.5%、1人)も回答はゼロではなかった。

学年別にみると、「⑥とくに不満はない」が「1年生」では他の学年に比べて多い。

 

9)アルバイトを辞めようとした際の引き留め経験

アルバイトを辞めようとしたけれども、引き留められてなかなか辞められなかったという話を聞く。ひどいケースでは、代わりのアルバイトを見つけることを離職の条件にされた、などの話を聞く。本来はあってはならないことだが、そのような経験の有無を尋ねた。設問は、上記を踏まえて「アルバイトを辞めようとした時に、強く引き止められたり、「代わりの人が見つかるまで辞めさせない」などと言われた経験はありますか。」とした。

 

表4-9 全体及び学年別にみた、アルバイトを辞めようとした際の引き留め経験の有無

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
289 100.0 59 100.0 126 100.0 65 100.0 39 100.0
ある 30 10.4 1 1.7 18 14.3 6 9.2 5 12.8
ない 106 36.7 14 23.7 46 36.5 23 35.4 23 59.0
自分から辞めようとしたことがない 153 52.9 44 74.6 62 49.2 36 55.4 11 28.2

 

結果は(表4-9)、「ある」が10.4%であった。

但し、 「自分から辞めようとしたことがない」を除いて計算をすると、言い換えると、自ら辞めた経験がある者に回答者を限定すると、「ある」の割合は、22.1%に増加する。

学年別にみると、「1年生」では、「自分から辞めようとしたことがない」がおよそ4分の3を占めて多い。

 

10)各種ハラスメントを受けた経験

本調査では、「アルバイト先で、セクハラ、パワハラなどのハラスメントを受けた経験はあ」るかを尋ねた。

設問を作る際に、各種のハラスメントの定義を調査票に記載するかどうかを議論した。各種ハラスメントが実際にあったかどうかを厳密に判断するのであれば、定義を記載してその有無を尋ねるべきかもしれない。例えば、厚生労働省が運営する「あかるい職場応援団」のウェブサイトには各種ハラスメントの定義が記載されている。

しかし、こうした詳細な定義を記載して、それにあてはまる経験がどの位発生しているかを明らかにすることよりも、まずは、学生たちが感じているハラスメント経験を明らかにすることにした(カスハラについてだけは「(理不尽なクレームや言動)」と例示した。

なお、上にあげた厚生労働省による各種ハラスメントの定義(概念)に対しては、ハラスメントを狭く解釈するものとして、その問題点を指摘する研究もあることを付言しておく。

 

表4-10 全体及び学年別にみた、各種ハラスメントを受けた経験【複数回答可】

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
289 100.0 59 100.0 126 100.0 65 100.0 39 100.0
①店長や従業員・アルバイトスタッフからセクハラやパワハラを受けたと感じたことがある 43 14.9 4 6.8 18 14.3 9 13.8 12 30.8
②客・利用者からカスハラ(理不尽なクレームや言動)やパワハラを受けたと感じたことがある 82 28.4 10 16.9 33 26.2 22 33.8 17 43.6
③とくに経験はない 183 63.3 45 76.3 80 63.5 41 63.1 17 43.6

 

結果は(表4-10)、「①店長や従業員・アルバイトスタッフからセクハラやパワハラを受けたと感じたことがある」が14.9%、「②客・利用者からカスハラ(理不尽なクレームや言動)やパワハラを受けたと感じたことがある」が28.4%であった。逆に、「③とくに経験はない」は63.3%である。

川村ゼミでの過去の調査によれば、こうした各種ハラスメント(とくにカスハラ)の経験は、学生がどの業種で働いているかで大きく異なる。本調査には設計上の制約があるが、可能な範囲でそうした分析を後日に行う予定である。

なお、回答者全体でみると「③とくに経験はない」は63.3%であるが、学年別にみると、「1年生」ではその割合が大きく、逆に、学年とともにその割合は下がっていき、「4年生」では43.6%にとどまる。

 

11)選択した不満や経験の中での最大の不満

ここまで、アルバイトにおける各種の条件や経験に対する様々な不満や問題状況、トラブル経験などをみてきた。こうした不満や経験において、最も不満なものを回答してもらうことにした。設問は、「の問1~問10で、いずれかの不満や経験を選択した人にお聞きします。そのうち最も不満に感じたものを必ず1つ選んでください。」とした。

 

表4-11 全体及び学年別にみた、選択したいずれかの不満や経験の中での最大の不満

単位:人、%

全体 学年
1年生 2年生 3年生 4年生
289 100.0 59 100.0 126 100.0 65 100.0 39 100.0
①身だしなみ 15 5.2 6 10.2 5 4.0 3 4.6 1 2.6
②勤務時間外の連絡 3 1.0 2 3.1 1 2.6
③業務の負担や責任の重さ 47 16.3 6 10.2 24 19.0 9 13.8 8 20.5
④勤務シフト関連 16 5.5 2 3.4 7 5.6 3 4.6 4 10.3
⑤休憩時間について 7 2.4 1 1.7 1 0.8 3 4.6 2 5.1
⑥給与・賃金関連 55 19.0 11 18.6 26 20.6 11 16.9 7 17.9
⑦アルバイトと学業の両立 16 5.5 5 8.5 6 4.8 1 1.5 4 10.3
⑧有給休暇について 7 2.4 2 3.4 2 1.6 3 4.6
⑨辞められなかったこと 2 0.7 1 0.8 1 1.5
⑩ハラスメント 33 11.4 4 6.8 13 10.3 11 16.9 5 12.8
⑪不満に思ったことは1つもない 82 28.4 22 37.3 37 29.4 16 24.6 7 17.9
⑫その他 6 2.1 4 3.2 2 3.1

 

結果は、表4-11にまとめたとおりである。

まず、最多は「⑪不満に思ったことは1つもない」で、その割合はおよそ3割(28.4%)に及ぶ。

もっとも、この回答選択肢を選んだ学生たちの全てが、ここまでの設問に回答をしなかったわけではない。「⑪不満に思ったことは1つもない」を選択した82人のうち、ここまでの設問──具体的には、身だしなみ、勤務時間外の連絡への煩わしさ、「業務の負担」や「責任の重さ」、アルバイトのシフト、アルバイトの休憩、給与・賃金(交通費を含む)、アルバイトと学業の両立、有給休暇、アルバイトを辞めようとした際の経験、ハラスメントの経験において、いずれについても、不満も経験も選択しなかった者(一部の設問は非該当者を含む)は、22人とおよそ4分の1にとどまる。

言い方を変えれば、残りの4分の3は、何らかの不満や経験を選択したけれども、表4-11で「⑪不満に思ったことは1つもない」を選択したことになる。なぜだろうか。そこまでの強い不満を感じなかった、ということだろうか(「⑫その他」を選択したある学生が記述した「最もというほど不満を感じていない」という回答がそのことを示唆する)。この点については、さらに検討をする必要がある。

さて、残りの結果をみる。「⑪不満に思ったことは1つもない」を除く最多は、「⑥給与・賃金関連」で19.0%である。次いで「③業務の負担や責任の重さ」(16.3%)、「⑩ハラスメント」(11.4%)と続く。この3つが1割を超えた回答選択肢である。その後には、「④勤務シフト関連」と「⑦アルバイトと学業の両立」が5.5%、「①身だしなみ」が5.2%とそれぞれ5%台で続いている。

学年別にみると、「⑪不満に思ったことは1つもない」が「1年生」で多い(37.3%)のに対して、学年に従いその割合は下がっていき、「4年生」では17.9%になっている(各種の学年別の結果は割愛)。

 

5.アンケート調査結果にみられた主な特徴と考察

 

Ⅳ.聞き取り調査の結果

学生アルバイトの現状をより具体的に明らかにするため聞き取り調査を行った。

学生がアルバイト先でどのような仕事をしているのか、どのような条件下で働いているのか、またどのようなことに「不満」を持っているのか(いないのか)などを明らかにするのは、アンケート調査だけでは難しい。1人1人の実態や意識を明らかにするため、聞き取りという手法をとった。

Ⅳでは、8人の聞き取り結果をまとめる。1では、8人の聞き取り調査の結果を、不満等を中心に短くまとめた。2では、それぞれの調査結果(詳細)を整理している。

 

 

1.8人の聞き取り調査結果(要約、不満等を中心に)

Aさん(3年生、スポーツ用品店販売スタッフ)

・仕事に関する重い責任や情報伝達不足、業務負担をめぐる問題とサポート体制の欠如があげられている。一方、社員との距離の近さは良いと感じている。

Bさん(2年生、飲食店)

・〔昨年から今年3月末までの飲食店での勤務経験〕マネージャーの不適切な発言や差別的な言動がみられたほか、希望シフトが反映されなかったり取り消されたりなどのシフト管理上での問題があったこと、賃金処理で端数が切り捨てられているなどがあげられた。

Cさん(3年生、ホテル内レストラン配膳担当)

・シフト確定が直前で予定調整が難しいこと、紙でのオペレーションによる繁忙期の負担増、勤務時間数が短いことでのコストパフォーマンスの低下、アナログな有給休暇取得手続きなどがあげられた(現在は、インターンが忙しくアルバイトの勤務時間数は減らしている)。

Dさん(4年生、キッチンスタッフ)

・〔1年ほど前のアルバイト先での経験〕困りごとは人気店ゆえの忙しさぐらいで、聞き取りでは、主として働きやすさが語られた。しかし、アルバイト先が入居する商業施設の閉店に伴い離職を経験することとなった。

Eさん(2年生、100円ショップ販売員)

・勤務環境は学業と両立しやすく、適度な忙しさで働きやすいと感じているが、課題として、商品の場所や情報の共有が不足していること、アルバイトにもクレーム対応などが任され責任が重いことがあげられている。

Fさん(2年生、塾講師)

・生徒の都合に合わせた不安定なシフト、給与の不透明さと格差、カスタマーハラスメント(授業の時間について生徒の要望にあわせたところ、逆に、保護者から苦情を言われるなど)に悩むも、指導経験に学びを得ている。

Gさん(2年生、障害をもつ子どもたちの放課後支援)

・自治体から請け負っている仕事のため、コスト削減を意識しなければならず、シフト削減を打診されたり、自作教材で支援せざるを得ないことに負担を感じるなどしている。上司と従業員との間での情報共有が不十分であることも課題としてあげられていた。

Hさん(2年生、飲食店ホールスタッフ)

・仕事量に見合わない低い賃金や、代わりを見つけないと休めないシフト制度が学業を圧迫している。店の運営はアルバイトに依存。人員不足や上司の個人的な態度も不満の要因になっていた。

 

2.8人の聞き取り調査結果(詳細)

1)Aさんのアルバイト経験

 

(1)アルバイトの概要

3年生のAさんに話を聞きました。Aさんは現在、スポーツ用品店で販売スタッフとして働いています。時給は1100円、勤務は週に2〜3日です。Aさんの勤務形態は、学校がある日とない日で異なっています。学校がある日は、授業が終わった後の15時から21時まで働き、休憩は30分です。一方、学校がない日は、13時から21時まで働き、休憩時間は90分と長めです。通勤には、バスと徒歩で往復で1時間以上を費やしています。

Aさんは、アルバイトと学業との両立はできているものの、働く中でいくつかの課題を感じているとのことでした。

 

(2)アルバイト先で直面する主な課題

Aさんの話から、学生アルバイトが抱える具体的な課題が浮き彫りになりました。それは大きく分けて以下の2点に集約されます。

一つ目は、重い責任と情報伝達の不足です。

Aさんが最も深刻な課題としてあげたのは、売り場を一人で任されることの責任の重さです。本来、複数のスタッフで対応すべき業務を、アルバイトであるAさんが一人で担う状況が発生しており、その際に生じるプレッシャーは計り知れないといいます。お客様対応から商品の補充、売り場の管理まで、多岐にわたる業務を一人でこなすことは、精神的な負担を増大させているようです。また、職場内の情報伝達が不十分で、社員とアルバイトの間で情報共有が滞っている点も大きな問題です。これにより、業務の進捗状況や変更点が共有されず、本来社員が負うべき責任をアルバイトが背負わされる場面が散見されます。この情報共有の不足は、仕事の非効率性だけでなく、不公平感や不信感を募らせる原因となっています。

関連して、業務分担をめぐる問題とサポート体制の欠如があげられます。

Aさんは、ノルマが課されることや、一部の社員が本来担うべき業務がアルバイトに任せきりとなり、十分なサポートがないことにも不満を感じています。特に、本来は社員が担当すべき在庫管理や発注業務などがアルバイトに任されることがあり、それに対して適切なサポートがないため、大きな負担を感じています。売り場に1人でいる際には、対応したことがない仕事もこなさないとならないというのも不満としてあげられていました。

学生アルバイトは、学業との両立を前提に働いており、過度な負担や責任を一方的に負わされることは、働く意欲を低下させるだけでなく、学業に支障をきたす可能性もあります。社員とアルバイトの役割分担が曖昧であることは、職場の運営体制そのものに課題があることを示唆しています。

 

(3)改善への希望など

こうした状況を受けてAさんは、社員とアルバイトの仕事の区分を明確にすることと、相互理解を深めることを改善点としてあげています。業務の責任範囲を明確にし、情報共有を密にすることで、アルバイトが安心して働ける環境を整えることができる、と考えています。

なお、Aさんは決して職場全体を否定しているわけではありません。Aさんの職場には、社員とアルバイトの距離が近く、個人的な悩みや相談に乗ってくれる社員がいるなど、良好な人間関係を築ける良い面もあるといいます。困った時に話を聞いてくれる社員の存在は、Aさんにとって大きな心の支えとなっており、このような人間関係の良さが、彼が仕事を続けるモチベーションの一つになっているようです。Aさんは、先にみたような課題が解決されることで、こうした人間関係の良さに加え、より働きやすい環境が実現できることを強く願っています。

 

2)Bさんのアルバイト経験

 

(1)アルバイトの概略
2年生のBさんは、昨年から今年3月末まで飲食店においてアルバイト勤務を行っていました。勤務形態は土日および平日夜を中心に週3回程度、1回あたり約4時間で、シフトは1か月前に提出する方式でした。給与は時給1080円で、また交通費の支給およびまかないがありました。担当業務は接客や調理補助が中心で、業務範囲も明確であって、日常的な業務そのものについては特段の問題はなかったそうです。しかしながら、職場環境においては幾つかの困りごとがありました。

 

(2)アルバイトでの困りごと

第一に、マネージャーの言動にみられる問題です。

マネージャーは、アルバイト従業員にとって最も権限を持つ立場で、日常的な業務指示や人員管理を担っていました。しかし、その立場を背景に一方的かつ不適切な発言を行うことがあったそうです。その中には男女差別的な表現が含まれ、性別を理由とした役割意識を押し付けるような内容もありました。また、事実関係に基づかなかったり根拠のなかったりする発言もみられ、Bさん個人に対して根も葉もないことを述べる場面もあったとのことです。これらの発言は業務上必要な指導や注意の範疇を逸脱しており、職場における人間関係や労働環境に影響を及ぼす要因となりました。

第二に、シフト管理においても不透明な対応が見られました。

Bさんが提出した希望シフトが反映されないことがあるほか、勤務予定が一方的に変更されることが複数回ありました。とりわけ3月末には、既に確定していたシフトがすべて削除され、勤務が実現しませんでした。これによりBさんは、予定していた就労機会を失い、働くことが不可能となりました。勤務計画の安定性や従業員への説明責任を欠いており、労働管理上の適切さに問題があると考えられます。

第三に、賃金処理において、端数が切り捨てられていたことです。

時給は1080円と定められていたものの、勤務時間の端数は切り捨て処理されていました。つまり、実際に提供した労働時間が賃金に正確に反映されていないと言えます。金額自体は大きくないものの、労働時間と報酬の一致という観点からすると、正確性と公平性を欠いています。給与支給の在り方として、是正が必要と考えられます。

 

(3)まとめ

Bさんが担当した業務自体には特段の問題はありませんでした。しかし、マネージャーの不適切な言動、シフト管理の不透明性、給与処理の方法など、労働環境には複数の課題が存在していました。これらはいずれも、アルバイトを含む従業員が安定的かつ安心して勤務できる環境整備に関わるものです。今後は、管理職による言動の適切化、勤務計画の透明性の確保、適切な賃金処理といったことについて改善が求められます。

 

3)Cさんのアルバイト経験

3年生のCさんに話を聞きました。

Cさんは現在は、ホテル内のレストランで配膳担当としてアルバイトを続けている一方で、就職活動を見据えて有償インターンにも取り組んでいます。特に最近では、アルバイトに比べてインターンに参加する比率が高まり、週5日とほとんどの時間をインターンに充てている状況です。そのため、現在アルバイトに入るのは休日が中心となっています。以下に示すのは、以前の勤務状況を中心とするアルバイトでの経験です。

 

(1)アルバイトの概要

有償インターンが始まる以前は、授業がある日の3日間、4限を終えた後の夕方17時から20時過ぎ(繁忙期は21時)まで、というスケジュールで働いていました。シフト提出は半月ごとに行われます。しかし実際にシフトが確定するのはシフト運用開始の2〜3日前であるため、予定を立てにくい点に不満を感じています。

業務は主にホール担当で、オーダーを紙に記入してキッチンに伝え、配膳を行うという流れです。閑散時には問題なく対応できますが、繁忙時には紙ベースでのオーダー処理が業務負担を増やす要因となっています。

さらに、Cさんは勤続年数が長いことから新人指導や育成を任される機会も多くありました。Cさん自身は大きな負担とまでは感じていないものの、新人の習熟が遅い場合やミスが発生した際には責任を感じることがあり、精神的に緊張を伴う場面もあるようです。

時給は1060円です。交通費に関しては、Cさん自身は、自宅から近いため支給は受けていませんが、必要な場合は支給がされます。また、長時間勤務の場合は賄いの提供がありますが、短時間勤務が多いCさんは対象外です。制服はワイシャツとスカートが支給される一方、ストッキングや靴は自己負担となっており、消耗が早いため金銭的負担も感じています。

職場の人間関係については、当初は上司からの指導が厳しく、コミュニケーション面で戸惑うことが多かったといいます。しかし、最上位責任者の対応が改善されたことで、現在では働きやすい雰囲気になりました。顧客対応についても、常連客や高齢者が多く、概ね良好な関係を築けているとのことです。但し、稀に対応が難しい顧客もおり、そのような場面では経験と対応力が必要になると言います。

 

(2)アルバイト先での課題

Cさんのアルバイト先での課題は次のように整理できます。

第一に、シフト確定が直前で予定調整が難しいことです。シフトが確定するのは勤務の2〜3日前で、学業やプライベートとの両立がしにくい状況です。

第二に、紙オペレーションによる繁忙時の負担増の問題です。オーダー記入や配膳準備が紙ベースで行われるため、忙しい時間帯には業務効率が低下します。

第三に、勤務時間数が短いことによるコストパフォーマンスが低下することです。勤務時間が1日3時間程度と短いため、労力に比べ収入が少なく、コスパが低いと感じています。

第四に、有給手続きのアナログ性です。Cさんのアルバイト先では、有給取得に関しては、紙での申請と押印が必須であり、担当社員が不在の場合には手続きが停滞し、取得が難しくなることもあったといいます。事前調整と同僚への依頼により取得は可能ですが、早めに申請しなければならないため柔軟性には欠けています。学生アルバイトにとって予定調整が難しく感じられるかもしれません。

以上のように、シフト確定の遅さや紙ベースの業務フロー、有給取得の煩雑さといった非効率な運用が働きやすさを阻害しています。

 

(3)学びと得られたスキル

Cさんは、学業・アルバイト・インターンを同時に両立しながら、自身の成長につながるスキルや経験を積んできました(Cさんはタイミーを利用してスキマバイトも経験しています)。

アルバイトを通して、敬語や接客マナーを実践的に身につけ、社会人として必要な礼儀や顧客対応力を培えたと言います。こうした経験を通じて、社会人の仕事に対する姿勢や熱量を理解し、自らの意識を高める契機となったとのことです。職場の人間関係や顧客との交流から得られる充実感は大きな支えとなっており、働き続けるモチベーションの源泉となっています。

 

4)Dさんのアルバイト経験

4年生のDさんは、札幌駅直結の大規模商業施設に入っていた人気レストランで、キッチンスタッフとしておよそ一年間アルバイトをしていました(商業施設の閉店、店舗の移転で離職)。アルバイト先での困りごとは忙しさぐらいであって、聞き取りでは、働きやすさについて主に語られました。

 

(1)アルバイトの概要

主な担当業務は皿洗いで、キッチンの裏方を支えるポジションでした。

勤務は午後からのシフトが多く、一回あたり4〜5時間程度でした。夜遅くまで働くことはなく、大学の授業を終えてそのままアルバイトに向かい、終わったらすぐに帰宅。出勤は週に2〜3回で、シフトは木曜日や土日のどちらかに入ることが多く、連絡はLINEを通じて行われていました。比較的柔軟に対応してもらえたため、学業との両立も無理なくできていたそうです。

勤務時の服装は、店舗から支給されるエプロンや長靴、帽子などを着用しており、衛生面の管理がしっかりしていました。シャツやエプロンも店舗で準備されていたので、個人的な負担は必要がなく、交通費も満額支給されていたと言います。なお、定期券を持っていても交通費は支給されていました。

時給は1000円から1100円程度で、半年ごとに見直しがありました。有給休暇については説明を受けた記憶はないと言います。ですから、実際に取得することもありませんでした。ただ、テスト期間などの調整が利き、学業優先の働き方をしていたため、とくに不満は感じていなかったそうです。

また、賄いがあり、勤務後には店舗の料理を食べることもできたそうで、ときには、調理中に出たミスの商品を食べてもよいことになることもありました。忙しい勤務の後に温かい料理を食べられるのはちょっとした楽しみとなっていたとのことです。

 

(2)アルバイト先での困りごとと、働きやすさ

そのようなDさんのアルバイト先での困りごとは、人気店ゆえの忙しさでした。

店舗は商業施設内でも人気が高く、特に土日は非常に忙しい状況で、研修期間は十分に時間をとる余裕がなく、実際の仕事をしながら覚えるスタイルだったそうです。短時間の勤務なのと、忙しい中で教えてもらえることは限られていましたが、自分で工夫しながら作業を進め、効率よく動けるようになるまで努力を重ねることがあったようです。

もっとも、それ以外は働きやすさが様々に語られました。

例えば、人間関係は非常に良好で、働きやすかったそうです。大学からも通いやすく、駅近という立地の面でも大きなメリットがあったようです。通いやすさや居心地の良さ、人間関係の良さが重なり、長く続けたいと思っていたそうです。就職活動などはありますが、「もう一年くらいは働けた」と言います。

特に良かった点として、店長の存在があげられます。店長は接客やキッチン業務を幅広く理解しており、スタッフに対して的確な指導をしていたといいます。間違いがあればその場でしっかりと指摘していたものの、頭ごなしに叱るのではなく、改善につながるアドバイスをしていたため安心感があったそうです。店舗全体の雰囲気が良かった背景には、店長のマネジメント力が大きく影響していたと考えられます。

また、大規模商業施設の管理体制も働きやすさを支えていたようです。施設側の監査が定期的に行われていたため、いわゆる「ブラックバイト」のような無理な働かせ方は難しく、労働環境が守られていた点も安心材料になっていたそうです。

アルバイトを通じて、Dさん自身も成長を実感していたそうです。単に皿を洗うだけではなく、効率を考えたり、接客に関わる場面では自分なりの工夫を加えたりすることで、自分にとってやりやすい方法を見つけていったといいます。与えられた仕事をただ受け身でこなすのではなく、オリジナルな工夫を取り入れることで、仕事をより楽しく感じられるようになっていた、とのことです。

 

(3)このアルバイトをやめるきっかけ

ところが、Dさんは、自らが望まない理由でアルバイトを辞めることになりました。商業施設の閉店に伴う店舗移転と、それに伴うスタッフの削減でした。但し、ちょうど就職活動が始まる時期でもあったため、本人としては特に不満に感じることはなかったといいます。

 

5)Eさんのアルバイト経験

 

(1)アルバイトの概要

2年生のEさんは現在100円ショップで働いています。時給は1010円で、週に3回、曜日固定で勤務しています。Eさんの勤務先は、日時により時給が変わるシステムで、時給は、週末や18時以降の勤務だと1040円、週末の18時以降の勤務の場合は1070円となっています。学校のある日のバイトでは、学校から帰宅後、自宅で夜ご飯を済ませてからバイトに向かいます。帰宅するのは22時ごろになるそうです。自転車で通っているため交通費は支給されておらず、まかないもでていないそうですが、社員名刺を提示すると、アルバイト先の店舗が入るスーパーで割引の特典があるそうです。

 

(2)アルバイト先での困りごと

アルバイト先でEさんが直面している課題としては、商品管理システムへの不満と学生アルバイトの責任の重さがあげられます。

商品の表示などがバラバラなため、お客様が探している商品を調べるための機械で調べても、表示がされないことがあります。そのため「取り扱いはございません」と答えたのに、別のところにあったとお客様から叱責を受けたという経験もあります。店員間でも、商品の配置場所の把握ができていなかったり、状況を把握できないまま対応を迫られることがあるといいます。また、お客様からのクレーム対応なども任される場面があり、学生アルバイトとしては重い責任を負っているとEさんは感じています。

Eさんは、こうした点が改善されればもっと働きやすくなると考えています。

具体的には、「商品の位置をしっかり決めるようにしてほしい」「機械で商品の取り扱いを調べる時は在庫の有無のほかに商品の場所もわかるようにしてほしい」という希望を持っています。情報共有の仕組みをこうして整えることで店員側が商品を探す手間が省け、効率的に業務が行えるようになり、混乱が減ると考えています。

一方で、今の職場の良い点としては、時間があっという間に過ぎることや、忙しすぎず暇でもない環境の良さをあげています。こうした柔軟な勤務環境は、学業と両立するうえで大きな助けになっており、やりがいもほどよく感じられる職場だとおっしゃっていました。

 

(3)まとめ

Eさんのアルバイト経験からは、「情報共有不足」や「過度な業務負担」という課題が出されました。クレーム対応などアルバイトが担うべきではないような仕事など、社員とアルバイトの業務の区別を明確にしていく必要があると考えました。また情報の伝達体制を整えていければ、より働きやすい環境を実現できると思います。

 

6)Fさんのアルバイト経験

 

(1)アルバイトの概要

2年生のFさんは現在、塾講師のアルバイトをしています。勤続年数は1年以上で、週に10〜15時間勤務しています。

給与は業務内容によって異なります。授業の場合は、1コマあたりの計算で、時給に換算すると1350円です。雑務の場合は、時給1010円で、お盆特訓は1日2500円と、差が大きいことが特徴です。昇給はありません。給与計算も1分単位ではないとのことでした。交通費は支給されます。

大学の授業が終わった後に勤務に入ることが多く、特に5限が終わった後の1時間後である18時半から勤務が始まるパターンが多いそうです。

対象は、小学4年生から仮面浪人の大学生まで幅広く、生徒一人ひとりの学習状況に合わせた指導を行っています。シフトは希望がある程度通る一方で、基本的には「生徒の都合に合わせること」が前提となっており、直前の変更も珍しくありません。

 

(2)アルバイト先で直面している問題

Fさんからは、アルバイト先での問題が3つあげられました。

第一は、シフトの不安定さと労働条件の曖昧さです。

シフトは生徒の都合が優先されるため、勤務時間や曜日が固定されず、直前にキャンセルや変更が入ることがあります。労働契約書に明確なルールがなく、勤務体制が曖昧である点に不安を感じているようです。

第二は、給与の不透明さと格差です。

業務内容によって時給が大きく異なり、授業が時給1350円に対して雑務は時給が1010円と低く抑えられています。昇給の仕組みもなく、給与計算も細かい単位では処理されていません。努力や経験が十分に評価されない点に不満を抱いています。

第三は、有給休暇とハラスメント問題です。

有給休暇については「存在は知っているが、職場で使えるか分からない」「申請する勇気がない」という状況にあります。また、最も深刻な課題としてあげられたのは、いわゆる“カスタマーハラスメント”です。たとえば、生徒から「夕食と重なるので授業開始を遅らせてほしい」と要望され対応したところ、今度は保護者から「なぜこんなに遅いのか」と苦情が入ったという経験がありました。塾としては「家庭の都合に合わせること」が方針となっているため、講師が板挟みになりやすいのです。さらにFさんは、この板挟みの状況は塾長自身にも及んでいることを理解しており、「塾長も大変なのでは」と気にしていました。つまり、Fさんは不満を抱きつつも、管理職側も同じように苦労している点を冷静に見ているのです。

 

(3)まとめ

Fさんは職場のすべてに不満を持っているわけではありません。職場の人間関係は良好で、生徒との関係も良く築けています。授業を通じて自らの知識が深まり、指導力が養われる点については「勉強になる」と前向きに捉えていました。

改善点としては、業務内容ごとの時給差をなくすこと、シフトを生徒都合に依存しすぎない体制を整えること、有給休暇を利用しやすい環境をつくることをあげています。こうした課題を解決すれば、Fさんにとってより働きやすい環境が実現できると考えられます。

 

7)Gさんのアルバイト経験

2年生のGさんのアルバイトは、子どもたちの放課後支援を行う福祉分野の仕事です。

 

(1)アルバイトの概要

障がいを持つ幼稚園児から高校生まで幅広い年齢層の子どもたちを対象に、学習支援やレクリエーション活動を行っています。

単に遊び相手をするのではなく、子どもたちの成長段階や障がい特性に合わせた指導を心がける必要があります。一般的な学習塾や学童保育よりも専門性が求められる現場と言えるでしょう。具体的には、学校の宿題を一緒に進めたり、発達段階に合わせた学習プリントを用いた基礎学習の補助をしたりします。また、遊びの時間にもただ遊ばせるのではなく、コミュニケーション能力や協調性を育むことを意識してレクリエーションを企画・実施しているとのことです。

さらに、この職場ではWordやPowerPointを用いた資料作成の業務もあります。子どもたち向けの学習教材や保護者への案内資料、行事の計画書などを作るのです。そのため、パソコンスキルを自然と磨くことができ、今後の就職活動や社会人生活にも大いに役立つ経験になっていると言います。

給与面については、時給1100円で交通費は全額支給されています。札幌市内の学生アルバイトの中では平均的な水準ですが、交通費が完全に支給されるのは非常に助かるポイントだと話していました。シフトについては、大学の授業との兼ね合いを考慮して決められています。授業がない日や3限(14時10分)までで終わる日は、午後のシフトに入ります。休日には朝8時から17時までのフルタイム勤務となります。残業はたまに発生しますが、その場合は分単位で残業代が支給される仕組みになっています。働いた分が正確に反映される点は透明性が高く安心できると感じているようでした。

昇給制度も整備されており、掛け持ちも可能とのことでした。

有給休暇については、制度として存在していることは認識しているものの、実際には使う予定はないと言います。理由としては、有休を取るメリットをあまり感じていないから、とのことです。日々の仕事を休むと、その分子どもたちや同僚に負担をかけてしまうことが気がかりだからです。結果的に、仕事を辞める際にまとめて消化する形を選ぶ人が多いそうで、Gさんもその予定だと言っていました。

 

(2)アルバイト先での不満

不満な点などをGさんに尋ねると、「シフトを減らしてもよいか」と上司から聞かれた経験があるといいます。

背景には、この事業所の仕事が自治体からの請け負いであることが関係しています。Gさんたちの給料は、税金から拠出されているため、人件費を抑えるよう、仕事の発注者である自治体から要請されることが少なくないのだといいます。そのため、経営側も従業員の労働時間をできるだけ少なくしようとする動きがあり、結果的に、シフトに関する調整が頻繁に行われてしまうというのがGさんの説明です。

また、上司と従業員の間での情報共有が不十分である点も問題としてあげられていました。シフトや業務方針に関する連絡が徹底されず、現場で働くスタッフが混乱することがあるそうです。特に、シフトの開始時間や終了時間が、日によって大きく変動し、安定しない点はGさんのストレスにつながっています。さらに「もっと休んでほしい」と逆に言われることもあるようで、自分の希望と職場の都合の折り合いがつきにくい現状があります。

 

(3)アルバイト先への希望

Gさんが強く希望しているのは、子どもたちの支援に用いる教材の整備です。

現在は十分な教材が会社側から用意されておらず、個人的に、プリントを作成したり映像教材を工夫したりしています。しかし、それが本当に子どもたちにとって効果的なのかどうかは疑問だと感じています。子どもたち一人ひとりに最適な学習支援を行うためには、専門的に監修された教材が必要であり、会社として責任を持って開発するか、あるいは外部から適切な教材を導入して欲しいというのがGさんの意見です。質の高い教材があれば、スタッフ自身の負担軽減にもつながり、より安心して子どもたちの支援に集中できるはずだとGさんは考えています。

 

(4)総合的な評価

一方で、この職場ならではの利点も多くあると言います。まず、業務の忙しさが「ちょうどよい」と感じられる点で、極端に暇で時間を持て余すこともなく、かといって息つく暇もないほど多忙というわけでもないと言います。従業員は常時3,4人程度で、子どもたちは日によって幅がありますが、協力しながら対応することでバランスが取れているそうです。また、営利目的ではなく地域や家庭の支援に重きを置いているため、安心感を持って働ける点も大きな魅力だと語っていました。資格取得支援制度なども整っており、働きながらスキルアップを目指せる環境がある点も評価しています。

将来的にこの経験をどのように活かせるかを尋ねると、WordやPowerPointを使った資料作成業務が大きな武器になると考えているという。これらのスキルは社会人になってから必須となるものであり、学生のうちから実務の中で繰り返し使う経験を積めることは非常に有意義であると説明してくれました。さらに、障がいを持つ子どもたちと接することでコミュニケーション力や柔軟な対応力も自然に身につくため、他のアルバイトでは得がたい成長の機会になっていると感じているとのことでした。

 

8)Hさんのアルバイト経験

 

(1)Hさんのアルバイトの概要

2年生のHさんは、チェーン店である飲食店のホールスタッフとして1年以上働いています。学業との両立を意識し、週に3、4日、合計で15時間から20時間ほどの間で働いています。通常は大学の授業終了後、夕方から22時頃までアルバイトを行うという生活サイクルです。月の収入は6万円から8万円ほどで、扶養控除の範囲内で勤務時間を調整しているそうです。交通費は支給されています。

 

(2)アルバイト先での困りごと・不満

アルバイト先での困りごとの一つ目は、賃金・処遇関係です。Hさんの勤務先では平日の時給が1070円、休日は1120円に設定されていますが、この金額は労働負荷に見合っていないとHさんは強く感じています。飲食店のピーク時の多忙さを考慮すると、現在の賃金額では正当な対価とは言えない、という認識です。さらに、業務上必須の制服が自費購入である点も、実質的な手取りを減少させる、不満を強く感じる要因になっています。

二つ目は、学業との両立を困難にするシフト制度が深刻な問題としてあげられました。

Hさんの職場では「代わりの人員を自ら確保しない限り休めない」という不文律が存在するそうで、実際に学業を理由に休みを申請した際、上司から嫌味を言われた経験がありました。そうした経験がHさんに精神的負担を与えています。これにより、学生の本分である大学の補講や試験に摩擦が生じているといいます。人件費削減の方針から全体のシフトを削られることもあり、収入の不安定化も懸念されます。

また、シフト上の勤務終了は22時であるのですが、閉店作業を担える大学生が少ないという理由で、本人の意思に関係なく閉店まで残されることが常態化しています。結果、学習時間や睡眠時間に支障が出ているそうです(体調不良など正当な理由があれば休暇は認められるようですが)。

職場環境と人間関係にも構造的な問題が散見されるようです。勤務先は社員が少なく、運営をアルバイトに大きく依存している状況です。人事採用や管理がずさんになりがちで、採用面接が緩く、従業員の質にばらつきが生じているといいます。特に外国人労働者との円滑な意思疎通が難しく、業務効率の低下を招いています。Hさんは、日本人かつ大学生である従業員を増やして欲しいと感じているそうです。

加えて、上司である料理長や店長が、気分や相手によって従業員への態度を著しく変えることもあります。ミスが発生した際には、本人だけでなく周囲が連帯して謝罪し代わりに業務を行う文化まであるようで、職場に緊張感が漂い、働く上で過度なプレッシャーとなっています。

 

(3)まとめ

賃金・処遇に関すること、休む際にシフトの代わりを見つけねばならないこと、シフトの削減、常態化した残業、主な運営をアルバイトが担っていることなどが問題点としてHさんから語られました。また、学業にまで支障を来すほどの状況が確認されました。

 

 

Ⅴ.アンケート調査及び聞き取り調査の結果にみられた主な特徴と考察(2026年2月15日記)

1.調査の概要とⅤで行う作業

ここまで、アンケート調査と聞き取り調査の結果のそれぞれをみてきた。(1)調査の対象は、現在アルバイトをしているか、大学入学後にアルバイトを経験したことがある学生に限定した。(2)2025年7月に行ったアンケート調査では、289人から回答が得られた。2年生が多く(43.6%)、経済学部の学生が半数(50.2%)を占め、男女の人数はほぼ同数であった。(3)あわせて、聞き取り調査への協力を申し出てくれた者のうち、8人から実際に聞き取り調査を行うことができた。

Ⅴでは、第一に、両調査にみられた結果をあらためて紹介しながら、なぜこういう問題状況が生じているのか、また、この問題状況を解決するためにはどんなことが必要かを考えてみる。その際には、(1)雇い主の側の責任、(2)働く側が留意すべきこと、(3)法律や制度をめぐる問題、といった、3つの観点から問題を考えてみる。

第二に、今回の調査では、学生アルバイトの「不満」や「問題状況」、「トラブル経験」などに焦点をあててきた(本稿では、「不満等」と表現してきた)。その中には、(a)賃金の不払いなど、法律に明らかに違反するものもあれば、(b)労働負担の重いことなど、法律に直ちに違反するわけではないけれども問題と思われるものもある。(c)また、法律の整備が必ずしも追いついていない問題もある。そうした違いも意識しながら整理する。

第三に、今回の調査では明らかにしきれなかったことも少なくない。今後の調査・研究課題についても整理する。

なお、今年度のゼミは、経験者である上級年次(3年生)が不在という制約があった。そのためこの節は、他の節よりも指導教員が手助けをしていることをはじめに断っておく。

2.学生のアルバイトの実施状況とワークルール

アンケート調査によれば、現在アルバイトをしている学生は95.5%に上った。1週間の勤務時間数は「10〜15時間未満」と「15~20時間未満」が合計で6割強だが、20時間以上も合計で4人に1人の割合だった(24.3%)。2万円刻みでみた1か月の平均収入は「4〜6万円未満」と「6~8万円未満」がそれぞれ3割弱で、8万円以上も合計で3割(31.2%)を占めた。

アルバイトは大学生活に欠かせないものとなっている。そうであれば、本来は、ワークルールを学ぶ機会が必要である。アルバイトを始める際にワークルールをしっかり学んでいた者は少ないと推測される[1]。例えば、川村ゼミによる2023年の調査によれば(回答は1部生に限定)、最初のアルバイトを始めた際にワークルールを知っていた者は、「よく知っていた」と「まあ知っていた」を足し合わせても21.8%にとどまった。しかも、最初のアルバイトを始めた時期は「大学1年生」が62.5%で最多であったが、「高校生」からすでに始めている者が27.9%であった。高校段階からのワークルール教育が必要であることが示唆される。

なお、今回の研究では、どのようなワークルール教育を行えば有効かという点までは十分に検討することができなかった[2]。但し、法律の条文を覚えさせたり解説をするだけでは不十分であって、ワークルールを使って職場の問題状況を解決する力を養うことまで視野に入れる必要があることは、以下でみる本調査結果からも明らかであると思われる。

 

3.不満、問題状況、トラブル経験

1)賃金関連

アンケート調査で最も不満が多かったのは、賃金に関連する訴えである。

そのうち、「①時給が低い、仕事に見合っていないと感じる」(34.6%)や「②昇給がない、上がる仕組みが不透明」(25.3%)は──差別的な運用がなされているのでなければ──ただちに法に違反するものではないが、それに対して、「④準備・片付け・着替えなどの時間に給与が出ない」(21.8%)や「⑤勤務時間が1分単位で計算されず、切り捨てられる」(19.0%)は法に違反している。しかもその割合が少なくない。すみやかに是正が求められる。

聞き取り調査の結果で補足する。(1)例えばHさんは、仕事内容・責任の重さに比べて、賃金が低いと感じていた。Hさんのアルバイト先では平日の時給が1070円、休日は1120円に設定されているが、仕事の負担に合っていないとHさんは強く感じている。ピーク時の多忙さを考慮すると、今の賃金では不足だという。さらに、業務上必須の制服が自費購入である点も、実質的な手取りを減少させて不満である。(2)自己負担という点では、次のようなケースもあった。ホテルで働いていたCさんは、制服の一部(ストッキングや靴)が自己負担であった。

アンケート調査では、「⑦制服や作業着を用意する費用が支給されない(ヘルメット・軍手・エプロンなど)」は8.3%であった。制服などの作業に必要な用具について労働者に負担をさせる場合には、労働契約時にそのことが明示される必要がある。果たして学生たちは、明示され、説明をされ、納得の上で働いているだろうか。

(3)なお、不払いという点では、飲食店で働くBさんのケースでは、賃金は端数が切り捨てて処理されており、困りごとの一つにあげられていた。

 

2)業務の負担や責任の重さなど

業務負担や責任の重さを取り上げる。アンケート調査では、全体の5割を超える学生が不満を持っていた。特に「③業務の量が多すぎる・人手不足の中働かされる」は32.2%、「④他のアルバイトに仕事を教えたり指導的な役割を求められる」が21.1%であった。2割を切るが、「①社員並みの仕事や責任を求められる」(17.0%)や「②トラブルやクレーム対応をさせられる」(14.9%)という回答も少なくなかった。また、これらの回答は、学年が上がるほど訴えが多かった。つまり、経験のある学生ほどアルバイト先で重宝されていることが考えられる。

聞き取り調査でも、例えば、AさんやGさんの事例が象徴的である。(1)スポーツ用品店販売スタッフとして働くAさんは、売り場をアルバイト一人で任される状況が生じており、そのときのプレッシャーは非常に大きいと訴えていた。在庫管理や発注業務などを任されることもある。職場内の情報共有・情報伝達も不十分で、サポート体制も不十分だという。

(2)Gさんは、障がいを持つ幼稚園児から高校生まで幅広い年齢層の子どもたちを対象に、学習支援やレクリエーション活動を行っていた。単なる遊び相手ではなく、障がいの特性にあわせた指導が心がけられているほか、学習教材など資料の作成も行っているという。

他にも、(3)勤続年数が長いことから新人指導や育成を任される機会が多かったり(Cさん)、(4)商品管理システムがしっかりしていない事情もあって、お客様からのクレーム対応が任されたり(Eさん)するなど、学生アルバイトに負担が生じている姿が聞き取りで浮き彫りになった。

なお、休憩については、6時間を超えて働く者が多いと回答した者を対象にしたアンケート調査結果によれば、「⑤休憩場所がない・使いづらい」(19.8%)のほか、「②人手不足で休憩が取りにくい」(14.8%)や「①休憩が必要なのに与えられていない」(11.1%)が1割を超えていた。学生アルバイトの忙しさを反映していると思われる。

 

3)アルバイトと学業との両立

関連して、アンケート調査では、「④睡眠時間が十分に取れない」(26.6%)、「③試験勉強の時間が取れない」(21.5%)など、アルバイトと学業の両立に関する問題を訴えていた。これらの訴えと、週の勤務時間数との関連を検討してみた。すると、結果は、週20時間以上群で訴えが多くなっている(表Ⅴ-1)。

 

表Ⅴ-1 週の勤務時間数×アルバイトと学業の両立に関する訴え

単位:人、%

全体 10時間未満 10~15時間未満 15~20時間未満 20時間以上計
276 100.0 31 100.0 87 100.0 91 100.0 67 100.0
➀ 授業に出られないことがある 9 3.3 0 0.0 2 2.3 3 3.3 4 6.0
②課題の提出が間に合わなくなることがある 26 9.4 1 3.2 6 6.9 6 6.6 13 19.4
③試験勉強の時間がとれない 60 21.7 5 16.1 16 18.4 21 23.1 18 26.9
④睡眠時間が十分に取れない 74 26.8 6 19.4 19 21.8 20 22.0 29 43.3
⑤とくに不満はない 157 56.9 21 67.7 56 64.4 51 56.0 29 43.3

注:「20時間以上計」は、「20~25時間未満」「25~30時間未満」「30時間以上」を足し合わせたもの。

 

学生は、年間で40単位を取得するために週に10コマの授業に出席する。時間数にして15時間である。その上にアルバイトで20時間を働くということは、合計して35時間である。ここには、通学やアルバイト先に通うのに要する時間は含まれていない。随分な忙しさではないだろうか。

なお、今回のアンケート調査では、長時間働く理由については尋ねていないが、第一に、学費や生活費のために長時間働いているケースは一定数みられるだろう[3]。今回の研究では扱わなかったが、学費負担や奨学金制度の問題を検討する必要がある[4]

第二に、例えば、今回の聞き取りのHさん(チェーン店ホールスタッフ)のように、店側の要求を背景に、望まない長時間労働になっているケースへの対応はどうすべきか。Hさんの職場では、「代わりの人員を自ら確保しない限り休めない」という不文律が存在する。またシフト上は22時で勤務が終了となっているが、実際には、閉店作業を担えるスタッフが少ないため、閉店まで残されることが常態化している。こうした状況を背景に、Hさんは学習時間や睡眠時間に支障が生じていた。

業務の負担や責任の重さ、アルバイトと学業との両立などについては、労働法で一律的に規制されているものではない。勤務時間数や仕事内容については、労使の契約によって決まるものだという認識を労働者の側もしっかり持つ必要がある。契約時に全てのことをチェックするのは難しいが、仕事の負担などが過度になっていることに対しては、働く側が自らの意思表示をしていく必要がある(但し、それを実現するのは簡単なことではなく、この点は後であらためて取り上げる)。

 

4)シフトに関する問題

働き方に関連する調査項目として、シフトに関する回答もあげておく。

まず、シフトに関しては、「⑤シフトの提出が早すぎる」21.1%、「①希望通りにシフトが入れられない」14.5%、「②急にシフトを入れられる・時間を変更される」10.7%などが1割を超えてみられた問題である。

シフトをめぐる問題については、一方的にシフトカットをされたりその分の休業保障がなされなかったり、という問題がコロナ禍で注目をされた[5]。その後、トラブル回避のための留意点が厚生労働省から示された[6]

 

表Ⅴ-2 シフト制労働契約で定めることが考えられる事項

作成 ・シフトの作成時に、事前に労働者の意見を聞くこと
・シフトの通知期限例:毎月○日
・シフトの通知方法例:電子メール等で通知
変更 ・一旦確定したシフトの労働日、労働時間をシフト期間開始前に変更する場合に、使用者や労働者が申出を行う場合の期限や手続
・シフト期間開始後、確定していた労働日、労働時間をキャンセル、変更する場合の期限や手続
※一旦確定した労働日や労働時間等の変更は、基本的に労働条件の変更に該当し、使用者と労働者双方の合意が必要である点に留意してください。
設定 作成・変更のルールに加えて、労働者の希望に応じて以下の内容についてあらかじめ合意することも考えられます。
・一定の期間中に労働日が設定される最大の日数、時間数、時間帯
例:毎週月、水、金曜日から勤務する日をシフトで指定する
・一定の期間中の目安となる労働日数、労働時間数
例:1か月○日程度勤務/1週間あたり平均○時間勤務
・これらに併せて、一定の期間において最低限労働する日数、時間数などを定めることも考えられます。
例:1か月○日以上勤務/少なくとも毎週月曜日はシフトに入る

出所:厚生労働省「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項(使用者の方等向けリーフレット)」より。同様の内容が「労働者の方向けリーフレット」にも記載されている。

 

シフトに関する聞き取り事例としては、Bさん(飲食店)の経験をあげておく。Bさんは、希望シフトが反映されなかった経験のほか、勤務予定が一方的に変更されることが複数回あった。あるときには、既に確定していたシフトが全てカットされる、という事態も経験している。

シフトカットに対して本来は、(最低でも)賃金の6割以上を保障する休業手当が支給される必要があるが、こうしたことはあまり知られていない[7]。ワークルール教育で扱うべき内容である。

 

5)有給休暇について

有給休暇に関する本調査の結果は、ワークルールを学生が学ぶ必要性──自分とは関係のない知識としてではなく、実践で使える知識としてワークルールを学生が学ぶ必要性を感じさせる。

アンケート調査によれば、まず、条件を満たせば有給休暇を取得できることを知っているかという回答には、全体で4人に3人は「知っている」と回答していた。1年生で回答が低かったものの(55.9%)、3,4年生では「知っている」は8割を超えた。

ところが「使ったことがある」者は、「知っている」者のうち33.3%にとどまる。「まだ、6か月以上働いていない」者(17.4%)は有給休暇を取得はできないものの、「使えると知っていたが、使っていない」48.4%は、なぜ取得をしないのだろうか。ここで、「使えると知っていたが、使っていない」者に対象を限定して、本文中の表4-8③を作り直してみた。

 

表Ⅴ-3 有給休暇について経験した不満やトラブル【複数回答可】

単位:人、%

103 100.0
➀自分の職場で有給休暇が使えるのかがわからない 24 23.3
②職場が忙しかったり人手不足であったりするため、使用の希望を言い出すことができない 20 19.4
③希望する日以外で勝手に有給休暇を使われたことがある 1 1.0
④学生アルバイトは有給休暇を使えないと言われたことがある 6 5.8
⑤有給休暇の申請をしようとしたが、断られた 1 1.0
⑥とくに不満はない 62 60.2
⑦その他 3 2.9

注:対象は、「使えると知っていたが、使っていない」者に限定。

 

結果は、「使えると知っていたが、使っていない」と回答しておきながら、およそ4人に1人弱は、「①自分の職場で有給休暇が使えるのかがわからない」と回答している。こうした、一般論としては制度を知っているのだけれども、自分の職場のことは分からないという状況[8]は、使える知識としてワークルールを学ぶ必要性を示唆する。また、「②職場が忙しかったり人手不足であったりするため、使用の希望を言い出すことができない」が5人に1割の割合でみられることも、踏み込んだ学習の必要性を示唆する。

聞き取り調査の結果で補足すると、(1)有給休暇の「存在は知っているが、職場で使えるか分からない」「申請する勇気がない」という状況にあったFさんの例があげられる。(2)あるいはGさんは、制度として有給休暇が存在していることは認識しているものの、日々の仕事を休むと、その分子どもたちや同僚に負担をかけてしまうことが気がかりであるため有給休暇を取得していない(仕事を辞める際にまとめて消化することを予定)。

ところでアンケート調査で、「とくに不満はない〔から使用していない〕」が60.2%に及ぶことはどう考えるべきであろうか。不満はないのだから問題はないと考えるべきだろうか。

こうした事例として、(3)店舗閉店でアルバイトをやめることになったDさんがあげられる。すなわちDさんは、アルバイト先から有給休暇について説明を受けた記憶はなく、そのため実際に取得する経験もなかったが、テスト期間などの調整が効いたため、とくに不満は感じていなかったという。このようなケースをどう考えるべきか。制度も権利も知らぬこうした状況で果たしてよいのだろうか。

まずは、正しい知識を得ること、そして、使用を希望する場合には申請ができるような力を身につけることが必要ではないだろうか。その上で、とくに使用希望がなければ、使用をしないことはあり得る。現状では、よく分かっていない、だから使おうという気持ちにならない、といったケースも少なくないのではないか。「とくに不満はない」の意味するところをさらに掘り下げて調べる必要がある。

さて、ワークルール教育に加えて、法制度の整備・強化が必要だと思われる問題を3点取り上げる。

 

6)ハラスメント問題

第一は、ハラスメント問題である。

ハラスメントの定義を本調査では明記はしなかったが、アンケート調査によれば、約3割がカスタマーハラスメントを受けたと感じたことがあると回答していた。また、店長や従業員などからのパワハラやセクハラを受けたと感じたことがある者は14.9%であった。

近年のサービス業では、従業員が顧客から暴言や過度な要求を受けるケースが社会問題化している[9]。学生アルバイトを対象とした本調査の結果でもそのような状況がみられた。

聞き取り調査で具体例をあげる。(1)例えば、Bさんの職場では、アルバイトにとって最も権限をもつ立場のマネージャーによる不適切発言(男女差別的な発言、事実に基づかない発言)が聞かれたという。(2)塾講師のFさんは、生徒からの要望に従い授業時間を遅らせると逆に親からのクレームが入り、塾長と一緒に悩んでいた。また、先にも取り上げたが、Eさんはクレーム対応を任されていた。(3)飲食店で働くHさんの職場でも、上司である料理長や店長が気分や相手によって態度を著しく変え、ミスが発生した際には、本人だけでなく周囲が連帯して謝罪し、代わりに業務を行う文化まであった。結果、職場では緊張感が漂い、過度なプレッシャーを感じることとなっていた。

ハラスメントに関する現行の法規制はどうなっているか[10]。例えば、労働施策総合推進法では、いわゆるパワハラ防止に対する措置(方針の明確化及びその周知・啓発や相談窓口の設置など)が義務づけられているものの、パワハラそのものを禁止する規定がない。規制としては不十分である[11]。同法の改定で2025年6月にカスハラへの対策も義務づけられた[12]ものの、対策の枠組みはパワハラと同様である。果たしてこれが実効性をもつものとなるか注視する必要がある。とくに、学生アルバイトの場合には、学生/アルバイトという立場の弱さが問題の指摘を難しくする。そのことを意識した制度設計が必要ではないだろうか。

なお、北海道ではカスハラ防止条例が2025年4月1日より施行されているが、罰則規定がないことから実効性はまだ得られていない状況にあることが報じられている[13]

 

7)勤務時間外の連絡への対応

情報通信技術の発展やスマートフォンの普及に伴い、勤務時間外でも連絡が容易にできてしまう環境にある中で、日本でも、欧州で強化されている「つながらない権利」をどうするのか課題となっている[14]

本調査では、SNSを通じて頻繁にアルバイト先から連絡が来ている状況が確認された。具体的には、勤務時間外の連絡に関して、「⑤とくに勤務時間外の連絡はない」と回答したのは2割程度にとどまった。連絡の内容は、「①シフトに追加で入ることのお願いやシフトの変更・調整について」が7割と多数であったほか、「②仕事内容・手順に関すること(顧客情報・顧客対応を含む)」(39.4%)や、「④仕事上のミスの注意・指摘。指導」(21.8%)、「③次の勤務者への引継ぎ・申し送り事項」(13.5%)など、本来は、勤務時間内に終わらせるべきものも少なくなかった。

こうした連絡に対する不満や煩わしさを尋ねたところ、「非常にある」と「ややある」は32.6%であった。

学年が上の者(経験を積んでいる者)ほど連絡を多く経験しており、不満や煩わしさを感じていた。

ただ、一方で、不満や煩わしさが「とくにない」が67.4%とやや多いことも気になった。学生は──とくに経験の浅い者は、アルバイト先からのこうした連絡を、勤務時間外の、対応の必要のない連絡としてとらえることは難しいのではないだろうか。

 

8)身だしなみに関するルール

第三に、身だしなみに関する不満では男女ともに「①頭髪(髪色・長さなど)」に関する回答が最も多く、「⑥とくに不満はない」は女性では50.7%にとどまった。

身だしなみは、本来は個人の自由である。しかし、安全性や効率性など合理的な理由によって制限を受けることがある[15]。もっとも、その線引きは必ずしも明確ではなく、過去には、ひげは剃らなければならないのか、といったことが裁判になっている。本調査で扱ったような、頭髪、ネイル、ピアス・アクセサリー類もどこまでが制限をされる必要があるものなのだろうか。仮に合理的な理由で制約されるものであったとして、学生たちにそのことは十分に説明されているだろうか。

 

4.問題解決のために──労使間の「対話」を中心に

以上のような調査結果を踏まえ、どのような対策が必要かをゼミ生たちはさらに話し合った。本項に記載した内容は、そこで出された内容や彼らが書いたものを最大限活かすかたちでまとめた。

なお、労使間の「対話」についてゼミ生たちは個別の労使関係を想定しており、集団的な労使関係はあまり意識されていないようである。それでは限界があるのでは、という疑問が読者からは寄せられると思われるが、しかしながら、集団的な労使関係──あるいは、集団的に発言したり行動すること──を具体的に意識するのは、学生の日常からは容易なことではないということも理解されたい。この点は今後の課題である。

 

さて、今回の調査では、アルバイト先の問題状況や自ら感じている不満に学生たちがどう対応をしようとしているかは尋ねていない[16]

ただ、不満はあっても仕方のないものと学生が受け入れてしまっている可能性は低くないと思われる[17]。学生という立場の弱さや知識の不足が影響している。とくにそれが──例えば、負担の大きな仕事を押し付けられること、賃金がそれに見合わない水準であること、勤務時間外に連絡が来ること、有給休暇は使えないことが──「普通」「当たり前のこと」のようになっていると、不満を口にすることは難しい。そうであれば耐えるしかない、という状況に陥っても不思議ではあるまい[18]

しかしながら、そうした状況は好ましいことではないだろう。今後は、使用者による「説明」、使用者と学生との「対話」、学生の「参加」の仕組みを整えることが改善の鍵となるのではないか、というのがゼミ生たちのたどり着いた結論である。

社員や店長は、アルバイトの不満や大変さを表面上は理解しているものの、その深刻さや根深い部分までは気づいていないことが多いのではないか。例えば、仕事内容や勤務時間などで「これくらいは大丈夫だろう」と社員が思っていることであっても、学生にとっては学業との両立を妨げる大きな負担になっているかもしれない。また、賃金が低く昇給がなくても学生だからとくに問題はないだろうと思っていることでも、学生の側は、不満を感じている。身だしなみに象徴されるとおり、職場のこうしたルールがなぜ存在するかの説明が十分でないことが、学生の不満につながっているのではないか。社員がアルバイトの立場を理解しようとすることが大切ではないか、ゼミ生たちは考えた。

あわせて、個々の労働者が声を上げやすい環境づくりが求められている。学生アルバイトは、社員からは仕事を教えてもらう立場にあって、自分の立場が弱いと感じている。本調査でみてきたような不満を誰かに相談したいと思っている学生も少なくないのではないか[19]。相談の機会がないまま不満がたまると、精神的な不調に陥ったりモチベーションが低下したりして、最悪の場合、離職につながることも考えられる。アルバイトが気軽に安心して相談をしたり意見を言えたりするような環境、定期的な面談や話し合いの場を設けることが必要ではないだろうか。

労使のこのような対話の機会が保障されることで、アルバイトは不満をため込まずに済み、結果的に人間関係も良くなると思われる。さらにそのことは、学生の定着率向上や職場全体の活気にもつながるのではないだろうか。

学生にとってアルバイトは、単なる収入を得る場ではなく、社会のルールやマナーを学ぶ社会経験の場でもある。社員が「傾聴の姿勢」を持ち、対話を通じて、学生の状況や学生の意識を把握することで、学生の成長をサポートすることにもつながると思う。

 

以上が、ゼミで話し合われた内容や彼らが書いたものを再構成し、関連する情報で補足した「問題解決のため」の方策である。

 

[1] 川村雅則ゼミナール『北海学園大学 学生アルバイト白書2023(連載4)』2023年12月11日配信(以下、2023ゼミ調査)。

[2] このテーマについては、北海道大学名誉教授の故・道幸哲也氏の、ワークルールに関する著作を参照。なお、本学では、道幸氏らによって監修された、旬報社から発行されている『学生のためのワークルール入門』が配布されているが、ほとんどの学生には認知も使用もされていないようである。

[3] 2022年のゼミでの調査では、学費・生活費を得るためか、遊ぶ・趣味等に使うお金を得るためかを尋ねた。1部の学生では、「どちらかといえば学費・生活費等を稼ぐため」が8.2%、「学費・生活費等を稼ぐため」が9.4%のほか、「どちらも半々」が18.0%であった。川村雅則ゼミナール『北海学園大学 学生アルバイト白書2022(連載10)』『NAVI』2022年10月24日配信(以下、2022ゼミ調査)。

[4] 例えば、大内裕和(2017)『奨学金が日本を滅ぼす』朝日新聞出版、久米忠(2019)『(最新版)奨学金借りる?借りない?見極めガイド──ここが知りたかった109のQ&A』合同出版、中澤渉(2014)『なぜ日本の公教育費は少ないのか──教育の公的役割を問いなおす』勁草書房などを参照。高等教育機関への国際比較データについては、OECD『図表でみる教育 OECDインディケーター』明石書店を参照。

[5] 当時、この問題で労働者からの労働相談に対応していた首都圏青年ユニオン・首都圏青年ユニオン顧問弁護団による「シフト制労働黒書」を参照。

[6] 厚生労働省から出された「いわゆる「シフト制」について」のうち「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」を参照。

[7] 2023ゼミ調査では、「シフトカットされた場合、休業手当が支給されることを知っているか」という問いに対して、75.4%が「知らない」と回答していた。

[8] 川村ゼミによる過去の調査でも同様のことは確認されている。例えば、2023ゼミ調査を参照。(1)学生アルバイトも条件を満たせば有給休暇を取得出来ることを知っているかという設問に、「よく知っている」42.1%、「まあ知っている」37.9%と回答していたのに対して、(2)現在のアルバイト先では学生アルバイトは有給休暇が使用できるかという設問には、「わからない」が46.1%で、「使用できない」というも15.0%を占めた。(3)有給休暇を使えない理由で最多は、「人手不足で使用する余裕・ゆとりがないため」(38.1%)であった。

[9] 例えば、(1)労働組合UAゼンセンによる、カスハラに関する調査結果(「カスタマーハラスメント対策資料集」)のほか、(2)NHK「クローズアップ現代+」取材班(2019)『カスハラ──モンスター化する「お客様」たち』文藝春秋などを参照。

[10] 『ワークルール入門』のpp.38-39「いじめ・嫌がらせ①暴言を吐かれる」、pp.40-41「いじめ・嫌がらせ②セクシュアルハラスメントにあった」を参照。

[11] ウェブ上で読めるものとして、『連合総研レポートDIO』第36巻第9号ではハラスメント特集が組まれている。そのうち新村響子(2023)「ハラスメント事例と対応、その課題」『連合総研レポートDIO』第36巻第9号(2023年9月号)pp.18-21を参照。

[12] 「従業員守れ、カスハラ対策義務化 改正法が成立 対応方針や相談窓口 違反の場合、企業名公表も」『朝日新聞』朝刊2025年6月5日付。

[13] 「カスハラ対策 官民手探り*道条例4カ月 見えぬ効果*SNSで中傷や公開*従業員の名札廃止も」『北海道新聞』2025年7月29日付。但し、カスハラを禁止する一般的な規定を設けて、自治体が条例を制定してこのようなカスハラ対策を講じていることについては評価されるべきである。カスハラが特集された『労働法律旬報』第2094号(2025年12月25日号)の樽井直樹(2025)「カスタマーハラスメント防止条例について」『労働法律旬報』第2094号(2025年12月号)pp.30-35を参照。

[14] 厚生労働省「第204回労働政策審議会労働条件分科会」(2025年10月27日)では、労働時間法制の具体的課題が検討されている。配付資料を参照。新聞記事として、「勤務時間外にメール、電話 追われたくない*「つながらない権利」ルール化を*欧州 広がる法制化/日本 仕事優先なお」『北海道新聞』朝刊2024年9月18日付。

[15] 道幸哲也(2007)『15歳のワークルール』旬報社pp.66-68の「自分らしさを守る」など参照。ウェブ上で読めるものとしては、厚生労働省「確かめよう労働条件」のうち「働くときの権利と義務」の「誠実労働義務」を参照。

[16] 2023ゼミ調査では、(1)過去のアルバイトを含め、アルバイト先の労働条件や労働環境を改善したいと思ったことはあるか。その際に、何か改善の行動を起こしたか、(2)どのような改善の行動を起こしたか、(3)改善の行動を起こさなかった理由などを尋ねている。参照されたい。

[17] 上の注釈にあげた(3)改善の行動を起こさなかった理由(複数回答可)では、「面倒だったため」70.5%、「何も変えられないと思ったため」42.0%のほか、「関わりたくなかったため」27.7%、「人間関係が悪くなると思ったため」25.0%、「店長や従業員が怖かったため」12.5%となっている。

[18] アンケート調査において、選択した不満や経験の中で最大の不満は何かを尋ねたところ、82人(28.4%)は、「⑪不満に思ったことは1つもない」と回答していたが、そのうち4分の3は、何らかの不満や経験に「○」をつけていたことも──不満の度合いが強くないという可能性ももちろんあるが──ここに書いたような、学生の心情を反映している可能性はないだろうか。

[19] 2023ゼミ調査では、「アルバイト先でトラブルにあった際に相談ができる、双方向のDM・チャット・SNSがあれば使いたいと思うか」を4段階で尋ねている。結果は「とても思う」が24.1%、「まあ思う」が51.1%である。

 

 

Ⅵ.提言

 

〔工事中〕

 

 

 

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