非正規公務員である会計年度任用職員にも安定した雇用(任用)が必要です。
欠陥制度をつくった総務省の責任が問われるのは言うまでもありませんが、会計年度任用職員の任命権者である自治体自身にもできること、しなければならないことがあります。その一つが離職者の把握です。会計年度ごとの雇用・公募制によって、会計年度任用職員に多くの離職者を発生させていながら、その把握を怠っている自治体が少なくありません。その是正を求めて、なくそう!官製ワーキングプア集会実行委員会では、首都圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)の人口10万人以上の106自治体に対して、「大量離職通知書の提出」要請文書を発送しました。
注目すべき取り組みです。各地においても同様の作業に取り組んでいきましょう。
〔管理人〕
会計年度任用職員の
任命権者各位
2024 年1 月20 日
「なくそう! 官製ワーキングプア」集会実行委員会
大量離職通知書提出について(要請)
日々、会計年度任用職員の雇用安定と待遇改善に取り組まれていることに敬意を表します。
私たち「なくそう! 官製ワーキングプア集会」実行委員会は、「1 年有期雇用」や「3年公募制」などにより、多くの会計年度任用職員が雇用不安定な状況に置かれ、様々な不利益を被っていることの改善を求めてきました。これらの取組を進める中、2023 年6 月28 日には総務省から全国の自治体へ「大量離職通知書」の提出を促す事務連絡が発出されました。離職者を出さないよう最大限の努力を行っても30 人以上の離職者が出る場合には、事前に十分な説明を行い、適切な雇用保障や再就職支援を行った上で「大量離職通知書」を届け出ることが求められています。
そこで私たちは首都圏の主要自治体に対して、2023 年度末に「大量離職通知書」の提出が適切に行われるよう、この要請書を送らせていただくこととしました。会計年度任用職員に限らず、多くの公務員を抱える自治体に「模範的使用者」として法令順守を求めたいと考えています。
ぜひ、大量離職通知書を地元のハローワークに提出するよう要請いたします。
裏面もぜひご覧ください。2023 年末の総務省通知に関する資料なども同封しました。
※お手数をおかけしますが、首長をはじめとした任命権者の皆様にお伝え頂くようお願いいたします。
★ 今年5~6月頃に2023 年度末の離職状況について、実行委員会参加メンバーが個人で情報公開請求をさせていただく予定です。よろしくお願いします。
担当者:安田真幸 ☎:〔略〕 メール:〔略〕 HP:https://nakusoukanseiwp.wixsite.com/tokyo-syukai |
<参考:離職者数の数え方などについての私たちの理解>
「大量離職通知書」は、「離職者数が30人以上となる場合」、「1ヶ月以上前に提出」しなければなりません。作成の具体的方法は、地元のハローワークと相談いただくこととなりますが、私たちは以下のように考えています。
1 提出単位は「任命権者ごとに」となります。
2 大量離職者数の数え方については、厚労省との懇談を踏まえ、以下のように整理しています。
① 常勤職員
・定年退職者中、再任用されなかった人数
・再任用(フルタイム)職員の退職者人数
・任期付(フルタイム)職員の退職者人数
② 非常勤職員
・会計年度任用(フルタイムを含めた)職員中、再度任用されなかった人数および年度末に期間満了で退職した人数
・臨時的任用職員の年度末退職者人数
・再任用(短時間)職員の退職者人数
・任期付き(短時間)職員の退職者人数
◆以下の資料を同封しました。
② 東京都新宿区が2022 年度に提出した「大量離職通知書」
・2023 年8 月に情報公開請求した結果を取りまとめたものです。
・2021 総務省調査結果をベースに、2023 総務省調査結果での変動が分かるよう作成したものです。
関連記事、参考情報
公務非正規女性全国ネットワーク(通称:はむねっと)「会計年度任用職員”3年目公募問題”(2022年度末問題)特集」2023年2月13日
川村雅則「札幌市の会計年度任用職員制度の現状を調べてまとめました」『NPO法人官製ワーキングプア研究会Report(レポート)』第37号(2022年2月号)