「公務非正規女性全国ネットワーク(通称:はむねっと)」をはじめとした諸団体・個人から構成される「非正規公務員の雇用安定を考える懇談会」から貴重な資料をご提供いただきました。どうぞお読みください。
2023.12.11
2023.11.21 総務省&厚労省懇談会報告(要旨)
非正規公務員の雇用安定を考える懇談会
懇談日時:2023年11月21日(火)14時~15時
懇談場所:衆議院第一議員会館1階 第2面談室
参加者:
大河原まさこ衆議院議員、秘書
総務省 公務員部公務員課 理事官 岡田暁人
厚生労働省 職業安定局総務課 首席職業指導官室
職業紹介係長 増田直友
職業紹介第3係長 稲垣篤史
非正規公務員の雇用安定を考える懇談会メンバー10名
【事前質問事項と回答】
下記の【1】【2】【3】の質問には総務省・厚生労働省から、【4】の質問には総務省からのご回答をお願いします。
【1】 はむねっと2023調査では、2023年度末のマタハラを含む理不尽な雇い止めや「公募機会の公平性」の空洞化、選考の恣意性が浮き彫りとなりました。単年度不安定任用を前提とする会計年度任用職員制度は、雇用安定という点だけでなく、公募機会の公平性、選考における恣意性を排除できないという点からも大きな問題があると考えますが、この点については、どのようなお考えか、お聞かせください。 (回答していただきたい省庁:総務省・厚生労働省) |
<総務省>
① 会計年度任用職員につきましては、任期を1会計年度を超えない範囲としておりまして、会計年度毎にその職務の必要性が吟味されるものと位置付けられております。
② 公募や選考は形骸化しているというご指摘ですが、会計年度任用職員の任用にあたっては、1つは、成績主義を踏まえた採用時の客観的な能力実証をしっかり行ってくださいと。もう1つは、平等取り扱いの原則、応募するその機会を平等に設けるという2点を踏まえて、適切にご対応いただきたいということを自治体に申し上げております。
③ マタハラについては、地方公務員の育児休業については、育児休業をしている、あるいは、していたということを理由にして不利益取り扱いは認められないので、そうであれば、不適切な取り扱いと考えております。引き続き、制度の適切な運用が図られるように取り組んでまいりたい。
<厚生労働省>
① 1番については、会計年度任用職員の制度自体になりますので、厚生労働省として、答えることは適切でないと思っています。
【2】 総務省は2023年6月28日に各自治体あてに厚生労働省の通知を添えて、事務連絡「大量雇用変動が生じる場合の対応について」を発出されました。事務連絡では「各地方公共団体においては、同条第2項に基づく大量離職通知書を提出いただいているところですが」としながら提出に関して適切な対応をお願いするとしています。しかし、「地方公共団体からの大量離職通知書の提出」は、ほとんど実施されておらず、厚生労働省の資料によると2022年度の提出実績はわずか63件のみとなっています。そこで、私どもが、埼玉県内18の自治体に情報公開請求を行い、2022年度末の会計年度任用職員の離職総数が明らかになる文書の提出を求めたところ、ほとんどの自治体では総数を集計把握していないことが明らかになりました。こうした実態が続けば、今年度以降も、現に、大量雇用変動が生じている自治体においても、大量離職通知書の提出が危ぶまれる状況であり、制度の形骸化が進んでいくものと考えますが、この点については、どのようなお考えか、お聞かせください。 (総務省・厚生労働省) 【3】 (総務省・厚生労働省) |
<総務省>
① 厚生労働省の取り組みに、しっかり協力してまいりたいと考えています。
<厚生労働省>
① そもそも大量離職通知書につきましては、一時的に、かつ、法律上は、30人以上の離職がいきなり一気に起こる場合に、ハローワークの再就職といった体制整備を、迅速かつ的確に行うために事前に届けていただくという制度趣旨です。
② 会計年度任用職員の実態を明らかにするためのものではないので、統計的、網羅的に把握するという制度では、そもそもございません。ですから、提出状況だけをもって制度の形骸化が進んでるという風には、必ずしも考えてはおりません。
③ 6月に通知を出させていただきました。離職が生じる場合にしっかり出してくださいということになります。まずは、今後の離職が発生した場合に備えて、引き続き、各地方公共団体に対して、この制度の周知について今年度中に取り組んでいきたいというのが、我々としての認識でございます。
④ 計画的に周知の部分でございますが、厚生労働省としましては、各都道府県労働局に対して、周知をするように指示というところではございます。その周知自体は、様々、それこそ文章を送るのか、もしくは定期的に会う時があればその時に渡すのか、いろんなパターンがあるとは思ってますけれども、いずれにしても、今年度中に、全ての地方公共団体に対して周知を実施すると考え、指示をしておりますので、それがしっかりできるようにしていくというところではございます。
【4】 総務省が2022年12月23日に発出した「会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知)」のなかにある、事務処理マニュアルの改訂については、原則3年での公募は必ずしも必要としないものとの方針を出した通知だと捉え、実情に沿った大きな意義のある改訂だったものと捉えています。ただ、実際には、私たちの把握した限りでも、多くの自治体で、改定前のマニュアルに基づき、3年公募が実施され、特に、職務の評価とは関わりなく、就業年限等をもとにした「雇止め」といえる自体が発生しています。こうしたことからも、総務省としての実態調査が必要と考えますが、どのようなお考えか、お聞かせください。 (総務省) |
<総務省>
① 再度の任用を含めた 会計年度任用職員の任用につきましては、地域の実情に応じて適切に対応いただきたいというのが、私たちのスタンスであります。
② 公募を行う場合であっても、再度の任用はあり得るということ、選考の場合にその前の任期の勤務実績を考慮するということも可能だということを自治体にお伝えをしております。
③ 雇止めの実態調査ということもいただいておりますが、各自治体が自主的に客観的な能力実証を行い決めていく話でありますので、総務省で把握するということは考えてございません。
【要望事項と回答】
【1】 「社会の変革に対応した地方公務員制度のあり方に関する検討会」での地方公務員制度の検討が始まったと報道されました。コロナ禍を経て、地方自治体の職務の重要性が指摘されると共に、相談支援等の需要も高まる中で、地方公務員制度のあり方に関する検討がはじまることは重要なことだと捉えています。加えて、今や、4割以上を占める会計年度任用職員については、今後の地方公務員制度のあり方を考える上で、避けて通れない課題だと考えます。検討会の過程で、会計年度任用職員制度の問題について、関係団体等のヒアリングを含めた検討の機会を是非設けていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 (総務省) |
<総務省>
① 検討会の中で、何を扱っていくかを考えていくということなので、まだ何も決まっていません。
② 腰を据えて3年かけて行います。資料と議事概要は公開予定です。
【主な質疑応答】
Q1 会計年度任用職員の業務は恒常的なものではないでしょうか?
総務省: 臨時的か恒常的かについては、相当の期間、職員が行うべき仕事以外を、臨時的としております。
その職の設定をする時に、職の内容とか、あるいはその責任に応じて、常勤なのか非常勤なのかを、設定してくださいということですので、恒常的であるとかですね、そういったことだけをもって、常勤とするとか非常勤とするというようなことを、判断してくださいということではないと思っております。仕事の内容と責任に応じて、判断してくださいと。
現状、確かに、例えば、図書館の仕事とか当然ずっと続いてくわけでありますけれども、それだけをもって、常勤なのか非常勤なのかということを判断するのではなくて、その内容とか、その責任に応じてやっていきましょうと言っております。
Q2 育児休業などを理由に雇止めが行われていることをどのように受け止めていますか?
総務省: Q&A[問11-1]の中で、育児休業に関する質問が入っています。
再度任用の際に、「例えば育児休業をしている(していた)ことを理由として任用しないこととする取扱いは地方公務員育児休業法第9条に照らし認められない。」と明確に、お示しをしてるところであります。
しっかり周知はしていきたい。
Q3 会計年度任用職員の業務は「補助的」なのでしょうか?
総務省: 補助的業務を担っていただいてますという言い方は、少なくとも、今はしておりません。 常勤をつけるべき仕事はやはり常勤をつけてくださいということを、これはもうずっと言っております。それこそ会計年度任用職員制度ができた時に、改めて色々な職を整理して、適切な任用形態で任用してくださいと。その臨時非常勤がされてる仕事の中に、常勤がやるべきようなものがあれば、それはそういう風に整理してくださいということを、重ねて申し上げております。
確かに、非常勤の多い職場はあります。その中でも、仕事内容とか、それから責任に応じて、常勤、非常勤っていうことを各自治体で適切に設定をしていただきたいというのが、私たちの立場です。
任期の定めのない職員と会計年度任用職員だけではありませんので、任期付きの職員とか、他にも色々な制度はありますので、その中で、適切な形態で雇っていただくようお願いをしてます。
そこを一律に、何かの相談員だったら常勤職員でとか、そういうことはちょっとなかなか、申し上げられないと。
Q4 「上限回数」を設けていない自治体に総務省が「見直しを助言している」と聞いていますが?
総務省: 助言に関しては「再度任用をできる限り広く募集することは望ましいです」ということを申し上げています。その上で、地域の実情に合わせて対応してくださいと。国では一律に基準を設けておりませんと申し上げています。
マニュアルの見直しで、国の取扱いは例示ですよということをしっかりわかるように、Q&Aを直しました。なので、何か示してるというわけではないということです。
Q5 マニュアルで「長期任用は避けるべき」とありますが、その理由は?
総務省: ダメだっていう言い方はしてないはずでして、その身分の固定化とかですね、いろんな問題が生じる可能性があるということを、ご認識いただきたいというような趣旨で書いてたと思います。
実際、10年以上されてる方とかも実際いらっしゃって、それだけをもってダメだということではありません。ただ、やはり長くなると、長くなるなりの弊害が出てくる部分にも留意すべきという趣旨です。
Q6 大量離職通知書について、課単位でカウントする方法でもよいのでしょうか?
厚生労働省: 提出単位は、大量離職通知書については、任命権者毎となっています。ですから、その下位で、極端な話ですけれども、課単位で任命権者があるのであれば、その単位でその報告をいただくことも、できなくはないです。
ただ、そういうところがどれだけあるかは、我々は把握してないですけれども、普通は、知事とか、教育委員会とか、そういう形でしょう。
以上
(参考資料)
山下弘之「(緊急レポート)総務省『新通知』、厚生労働省『大量離職通知書』を活かす」