川村雅則「定時制高校生の進路や生活に関する予備的研究(2014年)」

生徒・若者の進路や生活をどう支えていくか。『北海学園大学経済論集』第61巻第4号からの転載です。お読みください。

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はじめに

 

本稿は、定時制高校で学ぶ生徒たちの進路や生活などに関する予備的な調査研究の成果をまとめたものである[1]

学校教育法第4条によれば、定時制課程とは、「夜間その他特別の時間又は時期において授業を行う課程」である。かつては、「働きながら学ぶ」勤労学生が想定されていたが、その状況は変化している。文部科学省(以下、文科省)の説明によれば、制度創設の趣旨は、「中学校を卒業して勤務に従事するなど様々な理由で全日制の高校に進めない青少年に対して高校教育を受ける機会を与える」ことであったが、「近年においては、従来からの勤労青少年に加えて、全日制課程からの転・編入学する方や過去に高校教育を受けることができなかった方など多様な入学動機や学習歴を持つ方が増えてきて」いるという(同省ホームページより)。詳しくは後でみるが、定時制高校は、通信制高校とあわせて、義務教育終了後の学びを保障する「最後の砦」に位置づけられ、学力面を含む様々な困難を抱えた若者たちが通う。本稿では、進路や生活を中心に、彼らの直面する困難を明らかにし、必要な対策を考えたい。

今回の研究では、北海道内の5校の定時制高校(いずれも夜間部。4校は普通科で、1校は工業科)[2]の進路担当教員あるいは教頭(以下、担当者)から、生徒の就学や生活そして進路等について聞き取りを行い、可能な範囲で資料を提供していただいた。聞き取り調査の結果は、話の順序などを構成し直し、資料という扱いで本文中に示した(なお、整理した調査結果の内容等は、担当者に確認いただいている)。

本稿では、まずIで、若者とりわけ定時制高校生の進路・就職に焦点をあてた本研究の問題意識を記す。

次にIIで、定時制に通う生徒の抱える困難を整理する。使うデータは、上記の調査(以下、本調査)の結果、文科省など政府統計に加えて、2つのアンケート調査結果である。1つは、財団法人全国高等学校定時制通信制教育振興会(以下、「教育振興会」)による調査[3]、もう1つは労働組合(北海道高等学校教職員組合定通部)などで構成される「北海道の定時制通信制を考える会」(以下、「考える会」)が主体となって行った調査[4]の結果である。

 

表0 本調査及び2つのアンケート調査の概要

本調査 道内の5校の定時制高校で聞き取り調査を実施。時期は2013年7月から9月にかけて。1校で要した時間は2時間程度。聞き取りの内容は、①定時制高校に通う生徒の就学や生活の概況、②家庭の経済状況や生活上の困難、③生徒のアルバイト状況、④生徒の進路とりわけ就職状況などである。
教育振興会」調査 2011年9月から10月にかけて、全国の定時制課程または通信制課程を置く高等学校804校(定時制655校、通信制149校)を対象に実施。739校から回答を得ている。調査は、学校(管理職)用の設問と生徒用の設問からなる。
「考える会」調査 2011年6月から10月にかけて、全道の公立定時制・単位制・通信制高校の生徒を対象に実施。本稿の対象である「夜間定時制高校」の回答者数は1、460人である。

 

なお、どちらの調査においても通信制の高校も対象になっているが、本稿で紹介するのは、定時制に限定した結果である(「考える会」調査ではさらに「夜間」定時制に限定する)。各調査の概要は表0のとおりである。

最後に、必要な対策をまとめる。定時制高校に通う生徒に焦点をあてつつも、若者(若者政策)全体を視野に入れている。

 

 

Ⅰ.問題意識

 

本研究の問題意識は主に、⑴学校から仕事への移行の困難、⑵貧困と学力の問題、⑶キャリア教育のありかたという三つに整理される。

順に説明すると、第一に、周知のとおり、非正規雇用や失業者、無業者の増大あるいは就職後の早期の離職率の高さにみられるように、学校から仕事へのスムーズな移行が困難となり、移行が長期化、複雑化している。しかもそれは、学力・学歴によって制約を受け、いわゆる下位層ほど状況は厳しい。

定時制高校の卒業生はどうか。表1-1は全国の数値だが、全日制の卒業生では、「一時的な仕事に就いた者」「左記以外の者(無業者)」はそれぞれ0.9%、4.6%にとどまるのに対して、定時制高校の卒業生では、それぞれ16.2%、18.5%と、合計でじつに3分の1を超える。

なお、全日制の卒業生の最大が「大学等進学者」(54.1%)であるのに対して、定時制の最大は「就職者」(31.5%)である。この点からも、就職・仕事に関する支援の必要性が示唆される[5]

第二に、そもそも教育の機会は平等ではない。近年注目を集めている貧困(子どもの貧困)[6]の問題である。すなわち、家庭の経済状況や親の社会階層・文化資源の多寡という条件があいまって、子どもの学力や進路を決定づけていく。条件に恵まれない者は不利に追い込まれ、それは世代を超えて連鎖していく(不利の再生産、貧困の世代間連鎖)。

 

表1-1 課程別にみた高校生の進路状況(全国、2013年3月卒業生)

単位:人、%

大学等進学者 専修学校(専門課程)進学者 専修学校(一般課程)等入学者 公共職業能力開発施設等入学者 就職者 一時的な仕事に就いた者 左記以外の者 不詳・死亡の者
全体 1,088,124 578,554 185,378 66,000 6,851 183,619 13,621 53,812 289
全日制 1,063,700 575,496 181,312 65,482 6,277 175,936 9,662 49,294 241
定時制 24,424 3,058 4,066 518 574 7,683 3,959 4,518 48
全体 100.0 53.2 17.0 6.1 0.6 16.9 1.3 4.9 0.0
全日制 100.0 54.1 17.0 6.2 0.6 16.5 0.9 4.6 0.0
定時制 100.0 12.5 16.6 2.1 2.4 31.5 16.2 18.5 0.2

出所:文部科学省「2013(平成25)年度学校基本調査」より作成。

 

しかも、教育機会の不平等の一方で、学歴がその後の人生を拘束する傾向が強まっているという。通信制を含めると、高校への進学が約98%に達する今日、義務教育終了後の学びの「最後の砦」「最後のセーフティネット」などと言われている定時制高校には、様々な困難を抱えた子どもたちが集っている。そこでは、進路面においてもより一層の困難が予想される[7]。そうした実態を明らかにして対策を講ずる必要がある。

第三に、学校現場で展開されているキャリア教育[8]に関わる。現行のキャリア教育(など若者政策)に対する評価は賛否両論ある[9]が、働くことを生徒が学校現場で学ぶ必要性については、ひろく社会的な合意が得られるだろう。キャリア教育の「受け止め方や実践の内容・水準に、ばらつきがある」(中教審答申)ことをふまえた上で、むしろ、キャリア教育の方向性や内容に関する積極的な問題提起―本研究のテーマとの関連でいえば、生徒の家庭環境や日々の就学状況を反映させるなどの取り組みが必要だと考える。

その点、定時制高校は、働きながら学ぶことが目標の一つに掲げられており(また実際、働いている者が多く)、なおかつ、進路では就職を選択する者が多い。いわば仕事との「距離」が近い。キャリア教育を含め、彼らに対する支援が急がれる。

本節の最後に、北海道の定時制高校の概況を確認しておく。

文科省「学校基本統計調査」によれば、中学校を卒業して定時制課程に進学する生徒の割合は2013年の値で2.5%である(表1-2。長期時系列データを参考表1にまとめた。以下同様)。

北海道の定時制高校は44校で、全日制との併置型が34校である(表1-3。参考表2)。在籍する生徒数はおよそ5千人である(表1-4。参考表3)。

北海道教育委員会の説明[10]によれば、夜間部のみが34校、昼間部のみが8校、昼間部と夜間部の併設が2校設置されている。修業年限は、3年または4年である。学科は、普通科のほかに、農業、工業、商業の専門学科が設置されている。入学試験は1校を除き面接のみで、学力検査は実施されていない。合格者が募集人員に満たない場合には、4月上旬まで引き続き募集が行われる。では、調査結果に入っていこう。

 

表1-2 課程別にみた高等学校進学者(本科)の割合(北海道及び全国)

単位:人、%

全体 高等学校進学者(本科) 全体に占める割合
全日制 定時制 通信制 全日 定時 通信
北海道 47,443 45,924 44,181 1,165 578 93.1 2.5 1.2
全国 1,165,730 1,143,360 1,095,322 26,328 21,710 94.0 2.3 1.9

注:他に「高等学校進学者(別科)」「中等教育学校後期課程進学者」「高等専門学校進学者」「特別支援学校高等部進学者」があるが、表では省略(「全体」には含まれている)。
出所:表1-1に同じ。

 

表1-3 課程別学校数(北海道及び全国)

単位:人

全日制 定時制 併置
北海道 292 248 10 34
全国 4,981 4,312 174 495

注:「併置」とは、全日制と定時制の両方の課程を設置している学校をいう。
出所:表1-1に同じ。

 

表1-4 修業年限別にみた学校数、入学志願者数、入学者数及び生徒数(北海道及び全国)

修業年限3年 修業年限4年
学校数 入学志願者 入学者 生徒数 学校数 入学志願者 入学者 生徒数
(校) (人) (人) (人) (校) (人) (人) (人)
北海道 4 128 128 344 42 1,578 1,346 4,616
全国 143 8,121 5,484 17,796 622 33,620 25,926 88,763

出所:表1-1に同じ。

 

 

Ⅱ.調査結果にみる定時制高校生の就学、生活及び進路の状況

1.生徒の特徴・変化、高い中退率

本調査で担当者から聞かれた、定時制高校の意義を先に簡単にまとめておく。

定時制高校は、義務教育を終えた子どもの学びあるいは学び直しを保障する最後のセーフティネットとして機能している。基礎学力を習得できなかった子どもはもちろんのこと、不登校やいじめ体験などで学校に通うことができなかった子どもにとっても学ぶ機会を保障する場である。「居場所」としても機能している。同じような経験をし、同じような境遇にある子どもたちが集まっているためか、高校段階では皆勤者も少なくないという。学校・クラスの規模が小さいことも利点である。

 

「結局、定時制に来たら仲間がいるということじゃないでしょうか。中学校時代には各学年にわずかだった不登校や別室登校が、定時制に来たら、まわりの多くが不登校を経験しているわけですから、すごく落ち着くらしいです。」(C校)

 

教員にとっても、学校規模が小さいので、生徒全員の顔と名前を覚えられる(「距離が近い」)、教職員の規模も小さいので、一丸となって仕事に取り組むことができるなど、全日制とは異なる雰囲気や意義を有するのが定時制ではないかという(以上は、聞き取りによる)。

だが、一方で、定時制に通う生徒の現状が厳しいのもまた事実である。

第一に、勤労学生を想定していた時代と異なり、今日では、様々な困難や課題を抱えた生徒が定時制高校に通う。学力面での困難を抱えた子・全日制を受験で落ちた子、他校を中退してきた子、小中学校時にいじめや不登校を経験した子、経済的な事情で全日制に通うことが困難な子などである。「やんちゃな子」たちで授業が成立しない場合もある。あるいは、近年では、学習障害など何らかの障害を抱えた子(疑いのある子、グレーゾーンの子も含む)も増えているという[11]

これらの困難は、単独で存在しているとは限らない。例えば、家計が厳しく学習環境に恵まれず、勉強にもついていけず、結果として不登校になるなど、それぞれは原因であり結果であるような関係にもあり、問題を複合的に抱えた子どもも少なくない。その意味では、定時制高校では、進路指導ひとつとっても、こうした多様な子どもの受け入れに対応できる体制が本来は必要なのだが、実際は必ずしもそうはなっておらず、学校・学級あたりの人数が少ないとはいえ、教員の負担は大きい。

 

資料① 各校の生徒の特徴や定時制高校生の変化など

【A校】赴任した当初は、生徒の様子にずいぶんと違和感がありました。ひとつひとつのことにずいぶんと後ろ向きというか、斜に構えている感じで。生徒の相当数が不登校経験者あるいは全日の中退者なので、学校教育のなかで充実した経験を積んでいない。むしろマイナスの経験が多いのでしょう。それでいろいろなことに自信がなかったり、関心がなくなっていると感じました。

【B校】不登校の子と、学力的にいえばオール1かそれに近い子が、圧倒的に多いです。入試の際に、中学時代の学習状況が資料として提出されますが、A段階からM段階までのランクでいえば、最後のKLMに子どもたちが集中しています。それは他校も同じだと思います。そして、そもそものしつけとか指導をされていない子どもたちが半分位はいます。それに、不登校や引きこもりで家に居た子どもも。中学校時代に年間30日以上の欠席はざらで、3年間のトータルで90日とか100日以上です。

【C校】いまの定時制は、経済的に条件の厳しい子をはじめ、いろいろな子が来ています。学力的には、ラン

クでいえばKLMに該当する子たちです。それから、学習障害を含む発達障害の子も一定の割合で来ています。障害と言うと知的障害をイメージしがちですが、必ずしもそうではなくて、集団のなかで落ち着いていられないとか、とくに何かにこだわる子なども含みます。私たちは経験則的に判断して、例えば、この子にはあいまいな指示が伝わらないからできるだけ具体的に指示をしようとか、それぞれの子どもへの接し方を工夫しています。

【D校】一人親世帯や、家計が苦しい、養育上の困難など、家庭環境の厳しい生徒が多い。小中学校時に不登校を経験している生徒も多いです。現在在籍する生徒のうち、中学校3年間で「100日以上」の欠席を経験しているのが38.8%を占めます〔D校調べより〕。この数字のなかには、中学時代にほとんど学校に行っていないという子もいっぱい含まれます。逆に、「100日」をぎりぎりで超えているような子はむしろいないのではないでしょうか。

【E校】統計をとったわけではありませんが、不登校経験者が多いと思います。赴任した当初は、生徒たちの集中力のなさに驚きました。診断を受けているかどうかは別にして、学習障害の傾向のある子が多いように感じます。学校の側もその点についての理解にとぼしく、小学校・中学校時代には、せいぜい、「勉強ができない子」という扱いで済まされてきたのではないでしょう。

 

第二に、中退者が多い。とりわけ1年次の中退者が多く、入学者のうち卒業に至るのはどの学校でも「例年、5、6割ではないか」という。いくつかの学校では、改善の傾向も指摘されたものの、現4年生で計算してもらったところ、上記の範囲内におさまった。

ただ、例外としてD校の4年生は、現時点での在籍の割合が73.2%と相対的に高かった。これまで他校とほぼ変わりない中退率だったが、「多様化する生徒への対応として、関係機関等との協力関係をつくったり、手厚い指導を心がけた成果」(D校)だという。この状況が定着するかはわからないが、ただ、それでもおよそ3割弱が4年次(の夏)までに中退していることは、定時制の就学の困難を示唆している。

なおこの中退状況は、文科省の統計(表2-1。数値は全国)でも裏付けられる。中途退学率[12]は1年次で24.4%(全日制では1.9%)、2年次では11.6%に及ぶ。

 

表2-1 課程・学年別中途退学者数(全国)

定時制 参考:全日制
中途退学者数 中途退学率 中途退学者数 中途退学率
(人) (%) (人) (%)
1年生 3068 24.4 19254 1.9
2年生 1149 11.6 12098 1.3
3年生 600 6.0 3689 0.4
4年生 229 3.2
単位制 7777 10.7 3916 1.2
12823 11.5 38957 1.2

注:中途退学率は、在籍者数に占める中途退学者数の割合。
出所:文部科学省「2012年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」より作成。

 

本調査では、中退後の子どもたちの状況[13]はどの学校でもとくに把握されていなかった。ただ、先行研究によれば、そこは「貧困が生まれる場所」だと指摘されている[14]

 

資料② 各校の中退状況

【A校】入学者のうち、卒業まで在籍している生徒は半分程度。現在の4年生の人数は入学時点のちょうど半分です。就学の意志がなくなっての中退といっても、その背景は、そもそも勉強が好きでなかったという場合もあるし、人間関係がうまくいかず学校になじめなかったり、生活リズムが合わなかったり、様々です。

【B校】入学してきた子のうち6割が卒業できればよいところ。場合によっては半分。相場は6割ぐらいです。やめる理由は、学校のリズムにどうしてもあわない、慣れないというケースがまず多いです。そもそも中学校時代に、不登校や、学校に行っても生活指導上の問題で教室に入れずに保健室指導とか校門で帰されていた子が多い。そういう過去と、それなりにきちんとやらなければならないという定時の生活とのギャップは大きいと思います。

【C校】入学者のうち卒業できるのがおよそ半分。追跡調査がちゃんとできていなかったので、実際に調べてみたことがあったがやはり半分程度でした。ちなみに、やめるのが多いのは4、5月と、2、3月。4、5月は学校にあわないということで、2、3月は、進級の見込みがなくなってやめてしまう。ただ、ここ数年は、学習指導の改善効果もあって、中退率が下がっています。

【D校】中退の理由には家庭環境のほか、入学後のアルバイト経験もあると思います。アルバイトをしてみたらそちらのほうが面白くなってやめてしまう。いざ働いていろいろ経験したり社会人から話をいろいろ聞くなかで、高校卒業の資格があまり役立たないという誤解をもつのではないでしょうか。

【E校】休学や留年もいるので、一概には言えませんが、定員通り40人が入ってきて4年生を迎えるのが20数名という感じだと思います。ただ一方で最近は、将来の夢などをもって入学してくる生徒もおり、計画性をもって卒業する生徒もみられるようになってきました。

 

2.経済的条件の不利、貧困問題

定時制高校に通う生徒の、家庭の経済状況は厳しい。例えば、かつて授業料が存在していたときには、授業料の減免者割合は全日制を上回る規模だった[15]。本調査でも、そのことを示唆する様々な困難事例が担当者から語られた。しかも家庭の経済状況の厳しさは、それだけで存在しているわけでは必ずしもない。親・保護者の疾病や、精神的ゆとりのなさなども重なって、養育の困難(養育放棄)や学校との関係づくりの難しさなどの問題も発生させていた。

例えば、アルバイト代を家計に入れたり、学校に納める「諸納金」をアルバイト代で自ら工面する生徒[16]/ケガや病気でも病院にかからない生徒/経済的事情で修学旅行に参加できない生徒〔例えばB校では昨年、27.3%の生徒が経済的事情や仕事の都合で修学旅行に参加しなかった〕/母親が心の病を発症したことで子どもも引きこもりに(生活保護世帯)/弟妹の世話や家計の管理を生徒が全て行っている、親にメンタルの不調があるもよう(一人親世帯)/服を洗濯せずお風呂にも入っていない生徒/ガスがとめられ、毎日の食事がコンビニ弁当の生徒、などなど。

ただ、難しいのは、学校側で子どもや家庭の状況を把握したくても、家庭訪問を断られることも少なくないことである。また後でみるとおり、諸納金の未納・回収をめぐってトラブルになるなど、生徒の親に厳しい目を向ける教員がいることも事実である。

だが、そういったケースでも、例えば、生活保護基準をはるかに下回る収入水準であることが生徒から提出された書類(収入証明書)でわかったり、仕事が毎年変わっていることが、学校による家庭環境調査で把握されることによって、保護者もまた「追いつめられた状況」であることが浮かび上がってくるという。

さて、こうした厳しい経済状況のなかで、授業料こそ無償化されたものの、就学に際して必要な費用は他にも多い[17]。まず参考までに、文科省「子どもの学習費調査」で公立学校に要する費用を示したものが表2-2である(但しこれは全日制のデータである点に留意されたい)。表のとおり、「学校教育費」だけに限っても約23万である。

 

表2-2 高等学校(全日制)の学習費・保護者負担費(全国)

単位:円

公立 参考:私立
学習費総額 386,439 966,816
 学校教育費 230,837 722,212
  授業料 237,647
  修学旅行・遠足・見学費 32,042 52,520
  学級・児童会・生徒会費 14,518 11,309
  PTA会費 8,308 12,282
  その他の学校納付金 23,097 204,722
  寄附金 167 6,081
  教科書費・教科書以外の図書費 18,970 22,465
  学用品・実験実習材料費 17,031 20,086
  教科外活動費 37,349 41,086
  通学費 46,175 69,367
  制服 20,279 29,414
  通学用品費 9,563 10,492
  その他 3,338 4,741
 学校給食費
 学校外活動費 155,602 244,604

注:「学習塾費」を中心とする「学校外活動費」の内訳は省略。
出所:文部科学省「2012年度子どもの学習費調査」より作成。

 

表2-3 入学時納入金及び毎月納入金の一例

内訳 金額
入学時納入金 入学料/ジャージ・上靴代/生徒会・PTA・後援会等入会金/学級費等/教材費・教科書代など 27,425~29,915円
毎月納入金 給食費/後援会費/修学旅行等積立金/生徒会・PTA会費など 10,000~10,840円

注:「毎月納入金額」は4月から1月までの10ヶ月で納入。

 

たしかに、定時制は全日制に比べると費用は安い。制服代もかからない(但し、全日制にはない「給食費」がかかる)。ただ、それでも費用負担は小さくない。表2-3に、入学時と毎月の諸納金の額(本調査のうち一例)を示した。訪問した学校ではどこも、おおよそ入学時に3万程度、毎月は1万程度の費用がかかる(但し、給食が選択制の学校で、給食をとらない場合には、その分だけ安くなる)。

ちなみに、毎月納める費用で金額の大きいのは、「給食費」と「修学旅行費(積立金)」(修学旅行費の支払いは3年次まで)である。

経済状況の厳しい家庭においては、こうした支払いは容易ではない。そのため、どの学校でも、諸納金の未納問題が発生[18]し、学校側は対応に苦慮している。また、支払いの督促には、教員が多かれ少なかれ何らかのかたちで関わらざるを得ない。その際、「逆ギレ」されたりして親と教職員・学校との間に摩擦が生じ、互いの信頼関係を壊してしまう場合もあるという。その点でも、お金の問題を学校に持ち込ませない仕組み(目指すべきは、授業料だけにとどまらぬ学校教育費全体の無償化)の必要性が示唆される。

 

資料③ 諸納金の納付や給食に関する状況

【A校】給食費の滞納者は各学年数名います。卒業後も督促しているケースもあります。ただ、親が期日まで払わない場合であっても、自分の稼ぎで払う子も結構います。最近、真面目に払っている子がある意味で不公平じゃないかと、滞納者に対する対応が学内で議論になりました。ただ、払わないのは本人の責任ではないし、滞納したからといって、同じ給食室で、普通に給食を食べられる子と、〔補助で食べられる〕おにぎりと牛乳だけの子がいることが教育上よいのか、相当に議論しました。最終的には、ある種のペナルティとして苦渋の決断をしましたが。

【B校】未納の回収を事務方の作業だと言ってしまうこともできるのかもしれないけれども、そうはならない。やはり担任が動かないとどうにもならないです。生活困窮の世帯も増えていますので、対応はけっこう大変ですよね。まずは書類で保護者に連絡するといっても、そもそも、プリント類などをちゃんと持ち帰らずに机の中に入れたまま帰る子もいますから。

【C校】未納はありまして、各学校とも、いろいろな方法を採用しているようです。うちは、前の月に翌月分をお支払いいただくという方法です。要するにお金を事前に払った生徒しか食べることができない。ちょっとさびしい話なんですが、背に腹は代えられないという部分もありまして。ただ、どの学校でもそうですが、一日の最初の食事がこの給食であったり、一日の食事がこの給食だけという生徒も、ごくまれにはいるんです。

【D校】未納問題に関しては、先生方が事務と一緒になって徴収で苦労しています。すぐ支払ってもらえるご家庭もあれば、卒業時までになんとかというご家庭もあります。給食は、最後には払っていただけるだろうということで、全員に食べさせています。卒業後数ヶ月を経てから、というケースもありますが、いまのところ、なんとか払ってもらっています。

【E校】毎年、未納はクラスに5名から10名ずつぐらいはやはりいますね。事務から担任が書類を預かって、それを子ども経由で親に渡してもらいます。督促をする場合もありますが、それで100%納められていると思います。親との関係もありますので、基本的にはそこにはあまり教員はさわらないで、事務にやってもらうというかたちをとっています。

 

以上のとおり、政策を検討する上でも、家庭の経済状況のトータルな把握が不可欠である。ただそれは容易なことではない。そこで本調査では、それに代わる指標として、全校生徒に占める生活保護受給世帯の割合と、一人親世帯等(中心は「母子世帯」であるが、親以外の、親族など保証人宅に住んでいるケースも含む。よって「等」をつけている)の割合を各校に尋ねた(表2-4)[19]

結果は、順に、A校では8.2%、34.4%、B校では28.7%(後者は不明)、D校では21.7%、56.6%、E校では31.2%(1年生に限ると41.9%)、58.1%だった(以上は各校調べのデータ)。各校ばらつきがあるが、生活保護世帯の割合も一人親世帯の割合も高い[20]。わが国の一人親世帯とりわけその中心である母子世帯の特徴―就労率は高いにも関わらず、就労収入は低く、貧困率はOECD諸国で最も高い水準である[21]ことを考えるならば、定時制高校に通う生徒の少なからぬ世帯が経済的には厳しい環境におかれていることがあらためて示唆される。

 

表2-4 各校の生活保護受給世帯及び一人親世帯等の割合

A校 生活保護受給世帯は8.2%、一人親世帯等は34.4%。
B校 生活保護受給世帯は28.7%。一人親世帯等は、担当者のクラスでは45.5%。
C校 「正確な数値はわからないが、生活保護世帯は多いという印象を受けている。一人親世帯は、半数ぐらいではないかと思う。」
D校 生活保護受給世帯は21.7%、一人親世帯等は56.6%(内訳は「母子世帯」が82.2%で、残りが「その他」)。
E校 生活保護受給世帯は31.2%。一人親世帯等は58.1%(内訳は「母子世帯」が76.5%で、残りが「その他」)。

注:C校を除き、数値は各校調べによるもの。但しB校の一人親世帯等の割合は、担当者のクラスに限定された数値。

 

 

3.働きながら学ぶ―生徒のアルバイト実施状況

定時制高校の理念の一つが、働きながら学ぶことである。ただ、冒頭にも述べたとおり、勤労学生(正社員)が中心だった時代と今とでは異なる。今日では、どの学校も就労者のほぼ全員がアルバイト(非正規)雇用だという。ではその割合はどの位か。

表2-5のとおり、各校ばらつきがあるが、全体では、3割から5割の就労割合である[22]。どの学校も、学校に慣れさせることに力を入れている1年次はやや低いが、上級年次を中心に就労割合は高くなっている。

アルバイトを希望していても、授業の開始時刻まで(夕方まで)に終わる勤務という条件の仕事を探すのが難しかったり[23]、逆に、コミュニケーションを苦手としている生徒はアルバイトにも及び腰でもある、などの例外はあるものの、学校側にも、アルバイト体験が生徒の就学や生活全体に与える影響はおおむね高く評価されており、働くことが推奨されている。「指導の重点」に「アルバイトの奨励」を掲げ、アルバイトの斡旋を行っている学校もあった。

なお、地元企業から求人があったときには学校から紹介されるけれども、生徒の多くは、先輩のつてや求人情報誌などでアルバイトを見つけているようである。仕事は、コンビニ・スーパー、飲食店、ガソリンスタンド、食品製造、倉庫などがあげられていた[24]

 

表2-5 学年別にみた、各校生徒の現在の就労(アルバイト就労)割合

単位:%

全体 1年生 2年生 3年生 4年生
A校 55.0 23.5 64.3 65.0 77.8
B校 49.7 32.7 42.9 51.4 77.8
D校 38.8 7.3 63.3 57.1 40.0
E校 30.2 14.3 26.9 50.0 26.3

注1:C校の値は不明。
注2:D校の数値(とくに4年生)は、主な受け入れ先であった地元企業の工場閉鎖にともない例年よりやや低くなっている。前年実績では、2~4年生で67.5%の就労割合。
出所:各校提供資料より作成。

 

資料④ 各校における、生徒のアルバイトの実施状況など

【A校】1年次の最初の定期試験が終わった頃から、アルバイトを生徒にすすめています。アルバイトを経験している子は変わると思います。めきめきたくましくなっていく子もいます。それこそ、自分で稼いで諸納金を払ったり、クルマの免許代も自分で出したりする子もいます。

【B校】1年生の場合には、学校生活に影響が及ぶので、学校としてもとくにすすめはしません。上級年次は働いているほうが多いです。学校に入って、生活に慣れてきたら、じゃあ働いてみるか、という感じですね。修学旅行費など自分で稼ぐ子も多いです。

【C校】感覚的に、アルバイトを経験している割合は、全体で3割程度。1年生はほぼゼロで、3、4年生は

7割程度ではないでしょうか。アルバイトは、目的感をもたせるというか、日常生活にメリハリがつくので推奨しています。ただ、授業前の時間までという条件だと、働ける職場も限られてしまいます。

【D校】アルバイトをしている学生としていない学生とで差があるかは一概に言えません。コミニュケーションをとるのが苦手な学生に比べれば積極的ともいえるかもしれませんが、すれている面もあったり(笑)。ただ、おおむねプラスに働いていると思いますので、学校としてもアルバイトを推奨しています。

【E校】〔就労率がやや低いのではという質問に対して〕アルバイト先が見つからないことのほか、勉強に専念するとか、不登校経験で外に出ていけないなどの理由が大きいのではないでしょうか。そもそもちゃんと学校に通うということをこれまでに経験していないわけだから、就学に専念したいという気持ちは当然といえば当然だと思います。

 

ただ、一方で、アルバイトでのトラブルも、生徒から、一定程度聞かれるようである。もちろん、学校側として組織的な把握をしているわけではないし、教員の問題意識などにも左右される側面もあるだろう(そもそも学校で把握・対応すべき事項ではない、という考えもあるだろう)。

それでも、例えば、賃金が支払われない、規定の時間に終わらせてもらえないなどの問題状況が教員によって確認されている[25]。「働きながら学ぶ」ことを目標に掲げている定時制だからこそ、しかも、雇用形態(呼称)こそ「アルバイト」だが、(単発のバイトではなく)少なからぬ時間が費やされている[26]ことを考えても、こうした状況の把握や対応が必要ではないか。

 

資料⑤ 各校におけるアルバイトをめぐる問題状況

【A校】給食時間に、そばによってきて職場の愚痴をこぼしますね。そこが、労働に関する教育の場になっています。例えば「休憩時間がとれないんだけど、先生、どうしたらいい?」「職場の人間がちょっと理不尽なことを言ってくるんだけど、どうしたらいい?」とか、結構あります。最近も、生徒の相談にのって事後処理までつきあいました。直接生徒に関わることではないけれども、生徒の話を聞いていると、社員が、現場と上の人間との板挟みになって、相当壊れている印象を受けます。

【B校】アルバイトのトラブルは、あまり表面には出てきません。ただ、表には出てこないけれども、職場でのストレスとか、そういうものを抱えて学校に来ているというのは、子どもたちの様子をみているとわかります。だからといって、職場のことをそのまま学校に相談させるという仕組みをつくっているわけではありません。子どもたちもそこまでは学校には言いません。自分たちのなかで解決しているんじゃないでしょうか。

【D校】生徒自身何が問題かわかっていないということもあるでしょうから、そう頻繁にはありません。ただ、一部の業種では不透明な部分が多いように思います。給与が時間通り支払われていないなど生徒から訴えがあって、先生たちもそのことを把握しています。ただ、生徒本人に言わせると仕事を首になってしまうおそれがあるので、手を付けられずにいます。

【E校】〔アルバイトのことを〕給食の時間に話しかけてきたり、職員室に来て話す生徒もいます。労働法がちゃんと守られていない状況がある。なかには、給料をもって店長がいなくなったとか、そこまでのトラブルがあるんだと思いました。他には、違法とまではいえませんが、学校が始まるまでに仕事を終わらせてもらえないという話を聞きます。ただ、学校側で何か組織的な対応をしているわけではありません。

 

 

4.進路指導及び生徒の進路状況

進路指導においては、学年ごとの方針や指導の重点項目が設定される。1年次は基本的な生活習慣づくりが中心課題であるのに対して、学年が上がるにつれ、進路を意識させた取り組みが行われ、4年次にはその具体化が図られる。

高校の就職は基本的には学校を介して行われるのがその特徴である。卒業年次の生徒は、まず、7月から学校で受け付けられる求人票をみて、希望する就職先を決定し、学内での選考を経た上で、9月からの採用選考にのぞむことになる。そして内定が出るまでこれらの活動が繰り返される。

ただ、第一には、先述のとおり、生徒たちは、学習意欲や自己肯定感、自尊感情などをもつことが困難な状況にある。「一歩を踏み出す」のは容易なことではない。また仮に就職試験を受けたとしても、不合格になれば精神的なダメージも大きい。コミュニケーションが苦手でアルバイトも経験していなかったり、あるいは、親が働いていない(就労のモデルケースがない)など、就労意欲の喚起が困難なケースもある。生徒のそうした状況をふまえ、いかに就職に意識を向かわせるかが進路指導の大きなウェイトを占めるという。

また、その働きかけは単にある期間(卒業年次)だけに限定されたものではないという。つまり、入学時から、日常的かつ継続的な働きかけが生徒に行われている。日常の生活指導等の延長上に進路指導があると考えるのが適切だという意見も聞かれた。

 

「就職はもちろんのこと、学校生活のいろいろなことに前向きにチャレンジするよう働きかけています。それがひろい意味での進路指導だと思います。在学中の生徒の指導と、就職など進路を決めさせることを連続的に考える上で、「進路指導」というよりは「生活自立支援」という言い回しが適しているのではないでしょうか。」(A校)

 

第二に、かつてと異なり、生徒が多様化し、なおかつ、雇用情勢が悪化していること、よって、就職指導に力を入れるようになってきていることが共通して語られた。

取り組みの具体的内容は、ハローワークやジョブカフェなど関係機関との連携(面接指導、就職講話)、インターンシップの実施などである。

ただ例えばインターンシップにおける受入企業の開拓・調整ひとつとっても、学校側の体制が必ずしも十分ではないなかで、取り組みは容易ではない。しかも、上でみてきたように、生徒にはきめ細かな指導が必要で、時間を要する、という事情もある。

この点に関わって、定時制高校卒業生の進路状況はいかに変化しているのだろうか。全国の数値ではあるが、文科省「学校基本調査」で90年代までさかのぼって確認してみる(図2-1。詳細データは参考表4を参照)[27]

生徒の進路を「就職」「進学・入学等」「一時的仕事・無業者」の三つに大きく分けてみた。かつては「就職」が7割を超えていた。その後、1割強だった「進学・入学等」が増加していく。但し、同じく急増していったのが「一時的仕事・無業者」であった。ピーク時には4割を超えている。現在はやや低下しているとはそれでも3分の1を超える。

さて、本調査における各校の進路状況をみる(表2-6)。校名ははずして卒業生の人数順に並べた。進路は「進学」、「(ハローワークを通じた)就職」、「その他」に分けて把握されていた。それぞれの内容は、学校で把握している範囲で記載した。「その他」には、「無業」のほか「アルバイトの継続」が含まれる。

特徴のその一。進学では、大学への進学は多くはない。また進学に際しては、経済的な条件が課題としてあげられていた。奨学金の利用を学校側としては生徒に勧めるが、それでも、経済的な事情で進学を断念するケースもみられるという。

 

図2-1 定時制高校卒業生の進路状況(全国)

注:「就職」「進学・入学等」「一時的仕事・無業者」に分類(他に1%未満の「不詳・死亡の者」があるが図では省略)。「進学・入学等」は、「大学」「専修学校」「公共職業能力開発施設等」への進学・入学者の合計、「一時的仕事・無業者」は、「一時的な仕事に就いた者」と「左記以外の者」の合計。
出所:文部科学省「学校基本調査」より作成。

 

 

表2-6 各校の2012年度(13年3月)卒業生の進路状況

合計人数 内          訳
11人 進学2人(大学2人)、就職5人(製造業1人、サービス業4人)、その他4人(就職試験を受けたが不採用でアルバイト継続1人、就職試験を受けずにアルバイトを継続1人、無業2人)
15人 進学8人(大学2人、各種・専門学校等6人)、就職6人、その他1人
(備考)2011年度 進学3人(各種・専門学校等3人)、就職3人、その他11人
2010年度 進学5人(大学2人、各種・専門学校等3人)、就職4人、その他13人
16人 進学4人(大学1人、各種・専門学校3人)、就職6人、その他6人(アルバイト継続5人、就職訓練1人)
27人 進学7人(大学3人、専修校他4人)、就職9人、その他11人(アルバイト継続2人、自己開拓で就職決定1人、就職試験を受けたが不採用で無業4人、就活中1人、就職受験先未定1人、進学希望に変更1人、その他1人)
(備考)2011年度 進学2人、就職10人、その他31人
2010年度 進学2人、就職2人、その他22人
65人 進学21人(大学8人、専門学校13人)、就職16人、その他28人

注:「その他」の内容は、アルバイト継続や無業など。また、それぞれの内容は、各校で把握されている範囲で記載した。

 

この点に関して、参考までに、全校生徒を対象にB校で行われていた進路意識調査(2013年度)の結果を紹介する。それによれば、「進学を希望する」10.9%、「進学する気は全くない」51.3%、「進学したいが、勉強が苦手なので諦めている」15.4%、「進学したいが、経済的に無理なので諦めている」12.8%、「その他」9.6%となっている。そもそもの「意欲格差」の問題を念頭におく必要があると思われるが、それでも、経済的な事情を理由に進学をあきらめているのが明確なケースが1割に及ぶ[28]

その二は、就職の困難あるいは「その他」の多さである。就職試験を受けても不合格で、そのまま卒業したりアルバイトを継続する生徒もいる。あるいは、就職試験に踏み切ることが難しい生徒や、一般の労働市場への参入が困難な生徒もいるなど、指導は容易ではない。なお、就職先としては、地元の中小企業がほとんどのようである。

ところで、就職後の状況や就職先の労働環境などは、各校とも組織的な把握はされていない。学校を訪ねてくる卒業生などを通じての個人的な把握にとどまる。だが、そこで把握されている労働実態や離職の理由をふまえると、何らかの対応が必要ではないかと思われる。

 

「就職後は2、3年の間に半分位がやめてしまうという感じ。もちろん、「後輩のこともあるのだから」という指導もするのだが、成績がよくて太鼓判をおして推薦したケースでもすぐに辞めてしまったり。ただ離職の理由は、生徒の側だけによるものではない。ずいぶんな長時間労働だったり、残業に手当が支給されていなかったりというケースも聞く。」(B校)

「就職先のなかには社員教育など厳しいところもあり早くにやめる子もいる。その後どうしているのか。中退者の就職なども気がかり。」(C校)

 

 

資料⑥ 各校の進路の状況、取り組みなど

【A校】かつてと違い、いまは不登校経験者とか生徒も変化しているし、雇用情勢も悪化しているので、全日制同様に進路指導が必要になっています。もっとも、定時制は教員数が少ないので、担任との兼務など十分な時間をかけられない点が悩みです。多少やんちゃでも自分の考えを発信できるタイプはなんとかなると思います。引きこもり気味など、コミュニケーションが苦手で、外に対して「閉じている」子は、アルバイトもチャレンジできないし、ましてや就職試験も受けない。仮に受けたとしても不合格で逆に落ち込んでしまう。彼らの卒業後が心配です。それは中退者も同じです。

【B校】進学は、成績よりも経済的な事情に左右される。できれば専門学校に行って資格を身につけたいという生徒がいても、最終的には、経済的な理由で断念する子もいます。就職に関しては、どこの定時制もひと昔前は、卒業できたらよいという感じだったと思います。生徒も元気で、自分で仕事を探してきたり、それなりの仕事に就いていたので「現職継続」でも問題はなかった。その意味では、進路指導は全日制に比べると遅れていました。しかしいまは、4年間を通して、進路に向き合わせる取り組みが必要です。

ただ現実には、家庭の経済事情や生徒の引っ込み思案な性格など、ハードルは高い。全日制の子どもたちと張り合って採用試験を受けるとなると及び腰になってしまう。頑張れとお尻をたたくのだけれども、なかなか難しい。就職活動に向かわせるところに大半のエネルギーをさいています。スタートラインに立たせることがまず大事です。

【C校】進学は、本人の希望だけでかなうものではなく、お金がかかることなので難しい。ただ学校側としては、本人に進学希望があれば、経済的な事情で断念することのないよう、奨学金の利用をすすめています。就職は、全員が就職を希望したのにできなかったか、というと必ずしもそうではなくて、最初からアルバイトの継続を希望する子もいます。実際問題として、社会で自立をするにはもう少し時間のかかる子などいるのも事実です。就職指導での悩みは、とくに親が働いていないという家庭では、働く親の姿をみていないこともあって、子どもたちの就労意欲を喚起することが難しいです。

【D校】中退率の減少にあわせて進路指導体制も強化しているところです。就職関連では、地元の商店街の協力を得てインターンシップも開始しました。「アルバイトの継続」は極力減らすよう意識した学校側の取り組みで、進路状況も改善がみられました。ただ、障害のある生徒の進路決定は難しいです。もちろん、障害をもつ子どもたちにも受け入れ先はあり、保護者が早い段階で進路を考えているケースもある一方で、なかには子どもに障害のあることを〔保護者が〕受け入れられないというケースもあって、アルバイトをしても続かなかったり、結局は無業で卒業していくことになり悩ましいです。

【E校】進学組は、やりたいことなどをある程度もっているので、指導はしやすい。ただ、やはりお金の問題があるので、お金の工面については生徒とよく話します。奨学金を借りる場合も、返済のシミュレーションなども含めて検討させます。奨学金の利用を推奨しつつも、借金がかさむことを考えるとそれでいいのかという葛藤はあります。最終的には金銭的事情で進学を断念するケースもあります。就職指導では、まだ着手したばかりですが、工場見学や職業講話を始めました。定時制に限らず高校生全体がそうだと思いますが、とくにアルバイトを経験していない生徒は働くことのイメージがわかないと思うのでこうした取り組みを充実させていきたいと思っています。

 

 

まとめと対策

 

定時制に通う生徒たちの就学や生活、進路面での困難をみてきた。調査結果を振り返りながら政策的な課題を整理してみる。

まず第一に必要なのは、政策の出発点ともなる、事実の把握である。

デリケートな問題もあり注意を要するが、どんな対策がいま必要なのかを検討する上で、関連する事実の把握は欠かせない。本稿のテーマでいえば例えば、⑴保護者世帯の経済状況や生活に関わる事項、⑵在学中の就労(アルバイト)に関わること、⑶そして、卒業後の就労状況・労働条件や、就職未決定者の把握などである。

⑵は、働きながら学ぶという定時制の目標に加え、近年のアルバイト事情を鑑みると、把握が必要だと思われる(この点は後述する)。また⑶に関わって、卒業までに少なからぬ者が学校を離れてゆく。彼らの実態を把握し、必要な機関につなげることが貧困(の深刻化)を防止する上で不可欠であると思われる。

なお、こうした、事実の把握・情報収集という作業を進めるにおいては、関係する行政機関の役割が大きいことを強調したい。

 

「貧困の連鎖など、感覚的には私たちもわかっているこういう問題を、具体的にデータで示していくことが重要です。ただ、デリケートな問題なだけに学校側としても問題提起やデータの公表には及び腰になりがちで、難しい側面もある。個々の学校では限界があります。」(C校)

 

ここで一つのデータを紹介する。北海道(経済部雇用労政課)では、関係機関の協力を得て、新規高卒未就職者の調査(6月末までの追跡調査)を始めている。対象は、3月に北海道内の公立高等学校及び道立中等教育学校、私立高等学校、札幌市立高等学校を卒業した未就職の生徒である。但し、定時制は公立高校のみが対象である。

これは貴重な取り組みである。ただ、結果の公表は、課程別ではなく全体の数値でしか行われていない。そこで、過去の2年間分(3月末時点)について、全日制と定時制とに分けて提供していただいた。それが表3-1~表3-3である。

まず、2013年3月卒で未就職者の人数をみると(表3-1)、全日制、定時制双方ともに、前年より大きく減少し、全日制は470人、定時制では133人である。それぞれの課程の生徒の在籍規模を考えると、定時制高校からいかに高い割合で未就職者が発生しているかがわかる。

しかも定時制の未就職者では、全日制に比べ、就職試験を一度も受けていないという割合が高い(表3-2)。その上で、就職しなかった・できなかった理由は何なのか。この調査によれば、「希望した職種がなかった」「アルバイトをすることにした」という回答が多い(表3-3)。

これらはたしかに、就職しなかった・できなかった理由ではある。だが、なぜ就職未決定に至るのかについては、より掘り下げた、すなわち、本稿でみてきたような、家庭の経済状況や生徒の状態(自己肯定感や自尊感情の剥奪)などとの関連で、さらに丁寧な調査・分析が必要になるのではないか。有効な対策を講ずる上でも、掘り下げた事実の把握が求められる。

 

表3-1課程別にみた、道内の新規高卒未就職者数

単位:人

2012年3月卒 2013年3月卒
未就職者数 1,259 604
調査人数 1,257 603
全日制 955 470
定時制 302 133

注:定時制は公立校のみ。
出所:北海道経済部雇用労政課から提供されたデータより作成。

 

表3-2 同、就職試験の受験状況

単位:人、%

実数 割合
就職試験を一度は受けた 就職試験を一度も受けない 就職試験を一度は受けた 就職試験を一度も受けない
2012年3月卒業生 合計 1,257 764 493 100.0 60.8 39.2
全日制 955 673 282 100.0 70.5 29.5
定時制 302 91 211 100.0 30.1 69.9
2013年3月卒業生 合計 603 452 151 100.0 75.0 25.0
全日制 470 378 92 100.0 80.4 19.6
定時制 133 74 59 100.0 55.6 44.4

出所:表3-1と同じ。

 

表3-3 同、就職しなかった・できなかった理由(複数回答可)

 単位:人、%

①希望した職種がなかった ②自宅から通勤できる就職先がなかった ③進学から就職に変更したため就職先がなかった ④欠席が多い、業績不振で就職しなかった ⑤保護者の反対等家庭の事情で就職しなかった ⑥求人票の資格などの要件を満たせなかった ⑦アルバイトをすることにした ⑧何度も受験したが採用されなかった ⑨自分が何をしたいのかはっきりしない ⑩就職も進学もしたくなかった ⑪その他
実数 2012年3月卒業生 合計 1,257 320 49 41 65 48 36 210 422 192 10 108
全日制 955 230 38 37 51 45 24 125 379 137 4 83
定時制 302 90 11 4 14 3 12 85 43 55 6 25
2013年3月卒業生 合計 603 144 27 25 41 28 27 97 241 58 4 51
全日制 470 101 20 21 32 19 21 59 217 46 2 40
定時制 133 43 7 4 9 9 6 38 24 12 2 11
割合 2012年3月卒業生 合計 100.0 25.5 3.9 3.3 5.2 3.8 2.9 16.7 33.6 15.3 0.8 8.6
全日制 100.0 24.1 4.0 3.9 5.3 4.7 2.5 13.1 39.7 14.3 0.4 8.7
定時制 100.0 29.8 3.6 1.3 4.6 1.0 4.0 28.1 14.2 18.2 2.0 8.3
2013年3月卒業生 合計 100.0 23.9 4.5 4.1 6.8 4.6 4.5 16.1 40.0 9.6 0.7 8.5
全日制 100.0 21.5 4.3 4.5 6.8 4.0 4.5 12.6 46.2 9.8 0.4 8.5
定時制 100.0 32.3 5.3 3.0 6.8 6.8 4.5 28.6 18.0 9.0 1.5 8.3

出所:表3-1と同じ。

 

 

政策的な課題の第二は、教育・労働・福祉など包括的な対策の必要性である。

本稿でみてきたような貧困問題(貧困と学力、貧困の世代間連鎖など)には教育はむろんのこと、労働や福祉などを含む包括的な支援策、各領域の連携が必要である。例えば、家庭の経済状況を子どもの教育の不利につなげない(「お金」の問題を教育に持ち込まない)ためには、わが国の教育費負担の軽減―授業料だけにとどまらぬ、諸費の無償化や奨学金制度[29]の充実などが思い浮かぶ[30]。就学や進路に際して福祉的な対応が必要な子どももいるだろう。なお在学中はもちろんのこと、学校を離れた(中退、卒業)後も、進路・就職を気軽に相談できる体制も必要である。

第三に、生徒の困難に最前線で向き合っている学校関係者への支援である。その具体的内容は、一つには、幾つかの学校ですでに実践されていたとおり、専門機関などとの連携強化で、いま一つは、生徒1人1人の就学や生活への目配りが可能な体制づくり(例えば学級規模や教職員数の適正化、貧困問題に関する研修機会の保障・充実など)である。

もちろん、教員の多忙化問題ひとつとっても、学校にどこまでの役割を求めるかについては慎重な検討が必要である。但し、学校が全てを抱え込むのとは違って、専門機関と連携をとりながら、学校を「拠点」に対応を図ることは、生徒が日々の生活を送る中心が家庭と学校であることを考えても、有効ではないか。「子ども青年期に関して、学校を超えたネットワークなどの仕組み」(A校)が求められている。

ところで、本調査で把握できた専門機関などとの連携やその効果とは、例えば、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用で中退率を減少/ハローワークやジョブカフェなどの活用で就職指導の強化/(専門機関とは異なるが)大学生ボランティアによる学習支援(ティームティーチング)で授業理解を促進、などがあげられる。教職員は限られており、なおかつ、例えば、彼らは福祉的な知識に精通しているわけでは必ずしもない。そういうなかで、関係機関による支援には高い評価が寄せられていた。

なお、補足すれば、専門機関だけでなく、地域での生徒の受け入れ(例えばアルバイト・就職や、インターンシップなどでの受け入れ)も、課題である。

 

「例えば生徒だけでアルバイトの面接に行っても、定時制の生徒だからということで落とされることもあるそうなんです。もちろん企業にもいろいろな考え方があって、批判はできないんですが、ただ、社会全体で生徒を育てていくという考えをもっていただければ。」(A校)

 

第四に、働くことやワークルールの学習などキャリア教育の充実である。

働きながら学ぶという定時制の理念は、かつてのように正社員という形態ではないものの、上級年次を中心に、アルバイトという雇用形態で維持されている。また、弊害も一部指摘されたものの、アルバイト体験は、おおむね好意的に評価されている。

但し、学校でのフォローは、体制の問題もあって、必ずしも十分ではない。が、雇用形態(呼称)こそ「アルバイト」だが、生徒の生活時間に占める割合は短くはない、なおかつ、不払いなどワークルールをめぐるトラブルの存在が示唆されるなど、働く現実を教材とした、キャリア教育の充実の可能性や必要性が感じられた。また、卒業後(就職後)の早期の離職率が低くはないことから考えても、労働・福祉分野での諸制度を必要とする機会も少なくないのではないか[31]。働くことに関するこうした学習は、市民の育成を目指すシチズンシップ教育の流れとも重なり合うと思われる。なお、ここでも専門機関(法律家や労働行政)との連携が有効だろう。

さしあたりまとめた以上の四点は、定時制高校に限らぬ、若者・若者政策全体に関わって有効な視点でもあると思われる。

 

 

注釈

[1]本稿で用いている調査データは、2013年度にゼミナールで行った「若者の雇用・生活」調査研究の一部である。調査は、ゼミナールIIに所属する学生(池津菜々、石橋飛鳥、千葉雅己、橋本大輔)が中心となった。

[2]対象となった高校の在籍者数を50人刻みでみると、A校「50~99人」、D、E校「100~149人」、B校「150~199人」、C校「200人以上」である。本来は、学科や地域性などを考慮して分析など行うべきだが、今回は定時制高校に共通する課題を整理するにとどめる。

[3]教育振興会「高等学校定時制課程・通信制課程の在り方に関する調査研究」2012年3月発行(文科省による委託調査研究)。

[4]調査結果は、北海道高等学校教職員組合定通部「定通白書―お金の心配をしないで安心して学べる高校をめざして」(2012年11月発行)に掲載。

[5]ちなみに大学生の卒業後の進路も紹介しておくと、「正規の職員等」で就職したのは63.2%で、「正規の職員等でない者」が4.1%、「一時的な仕事に就いた者が」3.0%、そして進学でも就職でもないのが明らかな「左記以外の者」に該当するのが13.6%である。

[6]例えば、苅谷(1995)や阿部(2008)を参照。

[7]定時制や教育困難校を扱ったルポとして、例えば手島(2007)、瀬川(2009)を参照。

[8]政府によるキャリア教育の考え方については、中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」2011年1月31日を参照。なお同答申では、キャリア教育とは「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と定義されている。

[9]現行のキャリア教育に対する批判的見解としては、例えば児美川を参照。筆者もその内容に賛同する。

[10]北海道教育委員会のホームページ(「H25公立高等学校入学案内のページ(高校教育課)」)より。http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/kki/H23tuukyou.htm〔リンク切れ〕

[11]「振興会」調べでは、特別な支援を必要とする生徒数の割合(回答校の在籍生徒数に占める割合)は7.0%で、そのうち学習障害が2.9%、発達障害が4.0%である。なお、特別な支援を必要とするかどうかの判断方法(複数回答可)で多くあげられているのは、「本人・保護者の申告」である。

[12]中途退学率は、在籍者数に占める中途退学者数の割合であって、入学者のうち何人が卒業までに退学するかを追いかけたものではない点に留意。

[13]宮本(2012)で紹介されている、内閣府「若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する調査)報告書」2011年3月で、高校を中途退学した者の「現在していること(複数回答)」をみると、「仕事を探している」が13.6%で、「働いている」を選択した者では、「正社員・正職員など」は9.6%にとどまり、「フリーター・パートなど」が43.4%と多い(他に、「家の商売や事業など」3.4%)。また「高校に在学中(休学中を含む)」を選択した者では、「全日制・定時制」は10.2%で、「通信制」がやや多く15.3%である。なお、この調査の回答者の87.2%は全日制課程の中途退学者である(夜間定時制は8.2%)。定時制中途退学者のその後の把握が課題である。

[14]青砥(2009)を参照。

[15]藤本・制度研(2009)p122で紹介されている授業料減免者に関する文科省データ(全国値)によれば、2005年度の減免者割合は全日制では9.3%であるのに対して、定時制では19.4%である。なお、北海道内の公立高校の、課程別にみた授業料減免者数の推移を調べようと、北海道や文科省に問い合わせたが、データは見つからなかった。道では、保存期間の関係で、すでに廃棄したという(担当者)。

[16]「考える会」の調べでは、「学費は主に誰が払って」いるかの問いに、「親」が79.2%と多数である一方で、「自分」も14.7%と決して小さくない(他は、「それ以外の家族・親族」「その他」)。また「経済的理由によって学校を辞めなければならないと心配したこと」の有無も、「ある」が14.7%を占める。

[17]学校現場の「お金」に関する問題は、藤本・制度研(2009)を参照。

[18]労働組合(日本高等学校教職員組合)による抽出アンケート調査(「2012年度高校生の修学保障調査」

2013年1月25日発表)によれば、定時制の2012年9月期における学校納付金の滞納状況は、滞納者数が781人で、〔滞納者がいる学校の?〕在籍者数に占める割合は16.7%と示されている〔回答校全体の在籍数に占める割合で計算すると12.7%だった〕。また滞納期間は、「1~6ヶ月」63.7%、「7~12ヶ月」28.6%、「13ヶ月以上」7.7%だった。

[19]但し、例えば生活保護を受給しているという事実は、学校に対して届け出が義務づけられているわけではない(学校行事の際の経費負担などに関わって、意識的に把握している学校もあるが)。よってここで示されている数値は、あくまでも学校側の把握しているものであって、これより多い可能性もあるという。

[20]後者に関して「振興会」調べでも、在籍生徒数に占める「母子家庭」割合が26.5%、「父子家庭」が4.9%、「保護者両親以外」が1.6%と合計すると3割を超えている。

[21]一人親世帯の状況について、母子世帯を中心に、各種の調査結果をまとめた厚生労働省の資料で確認しておく。わが国の母子世帯数は123.8万世帯、父子世帯数は22.3万世帯(母子又は父子以外の同居者を含む。推計値)。母子世帯の就業状況は80.6%と高いものの、正規の職員・従業員は39.4%にとどまることもあって(47.4%はパート・アルバイト等)、平均年間就労収入は181万円にとどまる(平均収入は223万円)。同居親族を含む世帯全員までひろげると収入は291万円である。一人親世帯の相対的貧困率は50.8%である。以上は、厚生労働省資料「ひとり親家庭の支援について」(2013年9月10日)より。

[22]他の調査にみる、生徒の就業状況は、⑴「教育振興会」の調べでは、「多くの学校では生徒の就業状況を正確に掌握しきれていない状況」とことわった上で、結果は、「無職」が58.0%と多くを占めている(残りは、「正社員」1.5%、「契約社員」0.2%、「派遣社員」0.2%、「パート等」39.3%、「自営」0.8%)。⑵「考える会」の調べでは、「正規採用」2.5%、「非正規採用(パート・アルバイト・派遣等)」42.8%、「主婦・主夫」0.3%、「無職」48.4%、「その他」3.3%と、非正規雇用で働く生徒が4割強である。

[23]「考える会」の調べでも、無職者の働いていない理由であげられている最多は「働きたいが、適当な仕事がない」56.4%である(「働く必要性を感じない」「働きたくない」という回答はそれぞれ2.7%、5.0%にとどまる)。なお、現在働いていない生徒のうち、33.0%はこれまでに働いた経験が「ある」と回答している。

[24]生徒のアルバイト先の業種調査がE校で行われていたので、参考までに、その結果を紹介すると、「卸売・小売業」が全体の68.6%を占め、残りは「サービス業」22.9%、「製造業」5.7%、「分類不能の産業」2.9%となっていた。

[25]トラブル状況を直接に把握したものではないが、「考える会」の調べによれば、3分の2(67.6%)の職場では「常に学校を優先」だが、4分の1(25.4%)は「配慮してくれるが、仕事優先」である。また現在の仕事への満足状況で、「満足している」が全体の半数強(55.5%)にとどまるのが気になる(残りは「満足していない」23.4%、「わからない」21.8%)。

[26]例えば「考える会」の調べでは、週の就労日数は「5日間」が39.0%と最多で(「6日以上」も21.8%)、1日の労働時間は「4~5時間」が46.3%を占める。そして、月の賃金収入は「5~10万円未満」が56.3%と半数を超える(10万円以上も合計で7.4%)。この「5~10万円」を稼ぐのに、賃金額が最賃だと仮定して計算してみると(この調査が行われた年の北海道の最賃は705円)、70.9~141.8時間の時間を働いていることになる。

[27]本稿執筆中に文科省に利用申請をしていた北海道分のデータ(北海道の高校生の進路状況に関するデータ)が、本稿を脱稿した後に提供された。本文に反映させることはできなかったが、参考表5にまとめたので参照されたい。

[28]進路希望に関して、⑴「振興会」調べでは、35.7%が就職を、33.0%が大学・短大・専門学校等への進学を考えている。なお、残りは、多い順に(割合は示されておらず不明)、「考えがまとまらない」「何も考えていない」「アルバイト」「現在の仕事を続ける」となっている。⑵「考える会」の調査では、「現職を継続」5.7%、「卒業時に新しい仕事を見つけ就職したい」37.9%、「進学を考えている」27.7%、「わからない」24.5%となっている。

[29]北海道では、定時制高校の生徒を対象に「学資金(奨学金)の貸付け」が行われている。働いていることや一定の収入基準などを満たすことが必要で、貸し付け額(月額)は1万4千円である。学校を卒業した者は返還が免除されるが、退学した場合などは返還することとなる。

[30]にもかかわらず、実際には、生活保護基準の引き下げ・生活保護制度の「改革」や、授業料無償化政策の転換・所得制限の導入など、逆行するような政策が続いている。

[31]ちなみに、注釈13で紹介した内閣府の調べによれば、社会サービスに対する中退者の認知度は次のとおりである(「よく知っている」「だいたい知っている」の計」)。すなわち、「雇用保険」30.1%、「職業訓練を受ける方法」24.7%、「仕事で困ったときに相談する方法」33.8%、「生活で困ったときに相談する方法」26.8%、「地域若者サポートステーション」6.0%、「進学支援制度」52.6%。定時制高校から中退者が少なからず生まれることを考えても、在学中から知識を伝える必要性が示唆される。

 

 

参考表1 高等学校等への進学者数の推移

単位:人

北海道 (参考)全国
合計 高等学校進学者(本科) 割合(%)  合計 高等学校進学者(本科) 割合(%)
全日制 定時制 通信制 全日 定時 通信 全日制 定時制 通信制 全日 定時 通信
2013 47,443 45,924 44,181 1,165 578 93.1 2.5 1.2 1,165,730 1,143,360 1,095,322 26,328 21,710 94.0 2.3 1.9
2012 48,209 46,783 44,987 1,243 553 93.3 2.6 1.1 1,174,596 1,152,081 1,103,148 27,252 21,681 93.9 2.3 1.8
2011 48,134 46,652 44,863 1,304 485 93.2 2.7 1.0 1,156,158 1,134,501 1,084,519 28,788 21,194 93.8 2.5 1.8
2010 50,695 49,293 47,359 1,440 494 93.4 2.8 1.0 1,203,618 1,181,824 1,128,791 31,637 21,396 93.8 2.6 1.8
2009 49,816 48,371 46,522 1,403 446 93.4 2.8 0.9 1,163,336 1,142,513 1,093,923 29,793 18,797 94.0 2.6 1.6
2008 51,599 50,212 48,400 1,418 394 93.8 2.7 0.8 1,173,322 1,153,146 1,108,373 27,527 17,246 94.5 2.3 1.5
2007 52,494 51,166 49,430 1,301 435 94.2 2.5 0.8 1,185,789 1,166,036 1,123,098 26,615 16,323 94.7 2.2 1.4
2006 52,974 51,767 49,867 1,460 440 94.1 2.8 0.8 1,183,254 1,163,708 1,122,855 25,987 14,866 94.9 2.2 1.3
2005 53,581 52,389 50,686 1,331 372 94.6 2.5 0.7 1,207,162 1,188,509 1,147,880 25,941 14,688 95.1 2.1 1.2
2004 56,838 55,559 53,634 1,508 417 94.4 2.7 0.7 1,265,970 1,247,274 1,207,399 25,055 14,820 95.4 2.0 1.2
2003 58,615 57,375 55,439 1,566 370 94.6 2.7 0.6 1,289,008 1,270,737 1,231,425 24,343 14,969 95.5 1.9 1.2
2002 60,405 59,164 57,025 1,748 391 94.4 2.9 0.6 1,324,375 1,306,913 1,265,275 25,718 15,920 95.5 1.9 1.2
2001 62,318 61,136 58,900 1,848 388 94.5 3.0 0.6 1,367,159 1,349,911 1,308,892 25,014 16,005 95.7 1.8 1.2
2000 65,626 64,413 62,066 1,946 401 94.6 3.0 0.6 1,420,715 1,403,449 1,362,211 24,980 16,258 95.9 1.8 1.1
1999 67,304 66,125 63,628 2,082 415 94.5 3.1 0.6 1,455,445 1,438,630 1,399,422 23,643 15,565 96.2 1.6 1.1
1998 68,492 67,283 64,981 1,939 363 94.9 2.8 0.5 1,464,128 1,447,489 1,411,364 21,147 14,978 96.4 1.4 1.0
1997 67,479 66,302 64,050 1,938 314 94.9 2.9 0.5 1,462,242 1,445,911 1,412,631 19,460 13,820 96.6 1.3 0.9
1996 69,631 68,480 66,012 2,222 246 94.8 3.2 0.4 1,495,998 1,479,840 1,443,862 21,560 14,418 96.5 1.4 1.0
1995 73,248 72,074 69,604 2,217 253 95.0 3.0 0.3 1,568,266 1,552,021 1,516,292 21,447 14,282 96.7 1.4 0.9
1994 76,401 75,240 72,682 2,291 267 95.1 3.0 0.3 1,621,812 1,605,849 1,569,220 21,841 14,788 96.8 1.3 0.9
1993 77,152 75,995 73,401 2,363 231 95.1 3.1 0.3 1,666,614 1,650,548 1,612,455 22,891 15,202 96.8 1.4 0.9
1992 78,771 77,658 75,001 2,432 225 95.2 3.1 0.3 1,700,178 1,684,190 1,645,199 24,301 14,690 96.8 1.4 0.9
1991 82,442 81,306 78,560 2,555 191 95.3 3.1 0.2 1,774,056 1,758,186 1,716,345 27,240 14,601 96.7 1.5 0.8
1990 86,836 85,835 82,829 2,791 215 95.4 3.2 0.2 1,884,183 1,868,163 1,821,364 32,574 14,225 96.7 1.7 0.8
1989 87,723 86,783 83,680 2,917 186 95.4 3.3 0.2 1,941,320 1,925,443 1,876,638 36,444 12,361 96.7 1.9 0.6

注1:各年3月の値。
注2:「合計」には、「中等教育学校後期課程進学者」などを含む。本表では「高等学校進学者(本科)」のみ掲載。出所:文部科学省「学校基本調査」各年度版より作成。

 

 

参考表2 全日制・定時制・併置別にみた、高等学校数(本校+分校)の推移

単位:校

北海道 (参考)全国
全日制 定時制 併 置 全日制 定時制 併 置
2013 292 248 10 34 4,981 4,312 174 495
2012 297 253 10 34 5,022 4,341 173 508
2011 300 256 10 34 5,060 4,378 178 504
2010 309 262 11 36 5,116 4,412 184 520
2009 315 264 12 39 5,183 4,451 192 540
2008 321 269 12 40 5,243 4,489 190 564
2007 326 274 11 41 5,313 4,519 198 596
2006 330 277 11 42 5,385 4,578 183 624
2005 334 281 11 42 5,418 4,599 180 639
2004 334 281 11 42 5,429 4,615 175 639
2003 334 281 11 42 5,450 4,626 178 646
2002 335 282 11 42 5,472 4,629 181 662
2001 336 282 11 43 5,479 4,622 184 673
2000 339 285 11 43 5,478 4,620 176 682
1999 340 285 11 44 5,481 4,603 176 702
1998 340 285 11 44 5,493 4,601 180 712
1997 340 285 11 44 5,496 4,589 183 724
1996 339 283 11 45 5,496 4,578 181 737
1995 338 281 11 46 5,501 4,558 184 759
1994 337 276 11 50 5,497 4,537 186 774
1993 338 276 11 51 5,501 4,539 188 774
1992 338 274 11 53 5,501 4,533 188 780
1991 338 271 11 56 5,503 4,527 191 785
1990 340 270 12 58 5,506 4,521 195 790
1989 341 267 13 61 5,511 4,509 199 803

注:各年度の値。
出所:参考表1に同じ。

 

 

参考表3 定時制高等学校における、修業年限別の学校数、入学状況及び生徒数の推移

単位:校、人

北海道 (参考)全国
修業年限3年 修業年限4年 修業年限3年 修業年限4年
学校数 入学志願者 入学者 生徒数 学校数 入学志願者 入学者 生徒数 学校数 入学志願者 入学者 生徒数 学校数 入学志願者 入学者 生徒数
2012 5 139 139 341 42 1,614 1,423 4,873 146 8,378 5,739 19,557 631 36,711 27,076 92,454
2011 9 174 173 508 40 1,716 1,444 4,868 153 10,076 6,827 22,101 630 38,520 28,274 93,721
2010 9 155 153 415 44 1,987 1,680 5,088 153 11,418 7,446 22,040 653 43,543 31,000 94,009
2009 8 147 145 414 47 2,121 1,705 5,044 156 11,244 7,200 20,878 680 41,975 29,883 90,307
2008 7 130 128 372 51 2,255 1,700 5,000 152 10,584 7,020 19,367 704 39,174 28,391 89,043
2007 7 289 143 352 50 1,810 1,595 5,051 153 10,525 6,633 18,977 743 38,748 28,036 89,282
2006 7 250 128 364 51 2,070 1,796 5,350 161 10,362 6,762 19,256 746 36,255 27,171 89,255
2005 6 306 139 416 52 1,883 1,660 5,476 163 10,825 7,074 19,202 755 37,302 27,675 90,935
2004 4 28 25 75 52 2,332 1,881 6,137 142 9,094 5,710 17,039 749 37,779 28,152 92,814
2003 4 20 18 63 52 2,576 2,013 6,432 135 9,523 5,907 17,455 756 36,150 27,373 93,014
2002 2 23 22 57 52 2,799 2,205 6,936 143 9,798 6,389 18,336 773 39,171 28,781 94,217
2001 2 17 13 61 53 2,923 2,240 7,160 134 10,179 6,327 18,047 784 38,668 28,256 93,353
2000 2 40 34 78 53 3,301 2,322 7,268 126 10,513 6,113 15,915 785 38,846 28,899 92,935
1999 2 43 33 79 54 3,631 2,487 7,358 115 9,017 5,271 14,057 812 37,219 28,073 90,605
1998 1 32 28 84 54 2,964 2,347 7,435 120 8,635 5,237 15,414 820 33,089 25,382 86,293
1997 1 35 30 102 54 3,059 2,287 7,677 107 7,293 4,514 14,061 835 31,603 24,018 87,394
1996 1 69 40 118 55 3,303 2,576 8,095 90 7,754 4,541 13,589 843 32,719 26,155 91,992
1995 2 57 47 152 55 3,405 2,633 8,186 86 7,490 4,703 13,422 864 32,012 25,810 93,494
1994 2 74 57 157 59 3,437 2,643 8,462 73 7,530 4,401 12,228 877 33,472 26,779 98,713
1993 2 91 57 158 60 3,661 2,797 8,882 70 6,836 4,058 10,664 887 35,668 28,145 105,656
1992 2 106 82 232 56 3,462 2,668 8,558 58 6,294 3,288 8,010 889 37,542 29,858 115,194
1991 1 59 42 115 65 4,157 3,071 9,561 38 5,598 2,507 5,809 912 44,780 34,325 130,076
1990 1 44 37 102 69 4,211 3,207 9,846 26 5,064 1,991 3,957 924 52,157 40,245 142,438
1989 1 58 40 65 73 4,364 3,238 9,983 11 2,982 939 1,916 941 60,793 45,353 150,014

注:各年度の値。
出所:参考表1に同じ。

 

 

参考表4 定時制高等学校における、状況別にみた卒業者数・進路状況(全国)

単位:人、%

実数 割合
大学等進学者

(A)

専 修 学 校(専門課程)進学者
(B)
専 修 学 校(一般課程)等入学者(C) 公共職業能力開発施設等
入学者(D)
就職者 一時的な仕事に就いた者 左記以外の者 不詳・死亡の者 大学等進学者

(A)

専 修 学 校(専門課程)進学者
(B)
専 修 学 校(一般課程)等入学者(C) 公共職業能力開発施設等
入学者(D)
就職者 一時的な仕事に就いた者 左記以外の者 不詳・死亡の者
2012 23,570 3,243 3,838 559 486 7,157 3,843 4,399 45 100.0 13.8 16.3 2.4 2.1 30.4 16.3 18.7 0.2
2011 22,544 3,295 3,423 731 438 6,501 3,926 4,190 40 100.0 14.6 15.2 3.2 1.9 28.8 17.4 18.6 0.2
2010 22,147 3,430 3,304 541 443 5,999 3,912 4,442 76 100.0 15.5 14.9 2.4 2.0 27.1 17.7 20.1 0.3
2009 21,542 3,109 2,880 609 326 6,813 3,618 4,178 9 100.0 14.4 13.4 2.8 1.5 31.6 16.8 19.4 0.0
2008 21,933 2,984 2,827 551 364 7,467 3,495 4,228 17 100.0 13.6 12.9 2.5 1.7 34.0 15.9 19.3 0.1
2007 21,968 2,646 2,854 509 320 7,215 4,104 4,121 199 100.0 12.0 13.0 2.3 1.5 32.8 18.7 18.8 0.9
2006 22,235 2,497 2,829 555 289 6,979 4,456 4,616 14 100.0 11.2 12.7 2.5 1.3 31.4 20.0 20.8 0.1
2005 22,732 2,669 2,870 533 257 6,619 4,629 5,135 20 100.0 11.7 12.6 2.3 1.1 29.1 20.4 22.6 0.1
2004 22,176 2,485 2,712 572 223 6,185 4,364 5,615 20 100.0 11.2 12.2 2.6 1.0 27.9 19.7 25.3 0.1
2003 22,452 2,473 2,675 567 206 6,743 9,768 20 100.0 11.0 11.9 2.5 0.9 30.0 43.5 0.1
2002 20,882 2,526 2,441 450 205 6,558 8,669 33 100.0 12.1 11.7 2.2 1.0 31.4 41.5 0.2
2001 19,598 2,121 2,190 547 198 6,715 7,764 63 100.0 10.8 11.2 2.8 1.0 34.3 39.6 0.3
2000 20,539 1,918 2,180 615 212 7,840 7,715 59 100.0 9.3 10.6 3.0 1.0 38.2 37.6 0.3
1999 20,394 1,765 2,066 576 227 8,770 6,945 45 100.0 8.7 10.1 2.8 1.1 43.0 34.1 0.2
1998 20,572 1,520 2,031 804 10,511 5,651 55 100.0 7.4 9.9 3.9 51.1 27.5 0.3
1997 21,324 1,378 1,868 798 11,473 5,680 127 100.0 6.5 8.8 3.7 53.8 26.6 0.6
1996 22,641 1,475 1,832 904 12,646 5,580 204 100.0 6.5 8.1 4.0 55.9 24.6 0.9
1995 23,409 1,120 1,814 808 14,240 5,277 150 100.0 4.8 7.7 3.5 60.8 22.5 0.6
1994 25,770 1,077 1,850 1,108 16,238 5,417 80 100.0 4.2 7.2 4.3 63.0 21.0 0.3
1993 27,551 1,128 1,840 829 18,775 4,787 192 100.0 4.1 6.7 3.0 68.1 17.4 0.7
1992 28,529 1,076 1,816 885 20,458 4,143 151 100.0 3.8 6.4 3.1 71.7 14.5 0.5
1991 27,711 966 1,594 849 20,687 3,511 104 100.0 3.5 5.8 3.1 74.7 12.7 0.4

注:各年3月の値。
出所:参考表1に同じ。

 

 

参考表5 課程別、状況別にみた、北海道の高等学校における卒業者数・進路状況

全体 全日制 定時制
大学等進学者(A) 専修学校(専門課程)進学者(B) 専修学校(一般課程)等入学者(C) 公共職業能力開発施設等入学者(D) 就職者 一時的な仕事に就いた者 左記以外の者 不詳・死亡の者 大学等進学者(A) 専修学校(専門課程)進学者(B) 専修学校(一般課程)等入学者(C) 公共職業能力開発施設等入学者(D) 就職者 一時的な仕事に就いた者 左記以外の者 不詳・死亡の者 大学等進学者(A) 専修学校(専門課程)進学者(B) 専修学校(一般課程)等入学者(C) 公共職業能力開発施設等入学者(D) 就職者 一時的な仕事に就いた者 左記以外の者 不詳・死亡の者
実数 2013 45,817 18,276 10,408 3,038 331 10,008 524 3,232 0 44,671 18,176 10,275 2,967 307 9,596 350 3,000 0 1,146 100 133 71 24 412 174 232 0
2012 44,846 18,023 10,253 3,405 408 9,200 576 2,980 1 43,750 17,921 10,120 3,331 388 8,857 413 2,719 1 1,096 102 133 74 20 343 163 261 0
2011 46,701 18,880 10,335 3,661 358 9,171 708 3,585 3 45,632 18,788 10,230 3,578 329 8,806 543 3,357 1 1,069 92 105 83 29 365 165 228 2
2010 47,246 19,397 10,344 3,981 435 8,595 535 3,949 10 46,172 19,288 10,156 3,963 416 8,283 398 3,658 10 1,074 109 188 18 19 312 137 291 0
2009 47,293 19,546 9,530 3,815 430 9,496 529 3,941 6 46,218 19,448 9,336 3,797 407 9,168 409 3,647 6 1,075 98 194 18 23 328 120 294 0
2008 48,189 19,447 10,352 3,598 443 10,139 545 3,617 48 47,110 19,342 10,214 3,560 413 9,733 426 3,374 48 1,079 105 138 38 30 406 119 243 0
2007 51,010 19,597 11,554 3,798 427 10,589 569 4,446 30 49,780 19,492 11,400 3,753 399 10,154 423 4,129 30 1,230 105 154 45 28 435 146 317 0
2006 52,690 20,006 11,955 4,445 380 10,397 567 4,933 7 51,397 19,872 11,773 4,404 368 9,975 385 4,617 3 1,293 134 182 41 12 422 182 316 4
2005 54,166 19,724 12,513 4,870 441 10,597 660 5,347 14 52,803 19,608 12,303 4,854 424 10,173 440 4,988 13 1,363 116 210 16 17 424 220 359 1
2004 55,783 19,452 13,428 4,819 429 11,065 679 5,907 4 54,420 19,325 13,235 4,789 416 10,647 513 5,491 4 1,363 127 193 30 13 418 166 416 0
2003 58,669 20,360 13,826 5,287 431 11,914 0 6,810 41 57,196 20,243 13,640 5,232 419 11,439 0 6,182 41 1,473 117 186 55 12 475 0 628 0
割合 2013 100.0 39.9 22.7 6.6 0.7 21.8 1.1 7.1 0.0 100.0 40.7 23.0 6.6 0.7 21.5 0.8 6.7 0.0 100.0 8.7 11.6 6.2 2.1 36.0 15.2 20.2 0.0
2012 100.0 40.2 22.9 7.6 0.9 20.5 1.3 6.6 0.0 100.0 41.0 23.1 7.6 0.9 20.2 0.9 6.2 0.0 100.0 9.3 12.1 6.8 1.8 31.3 14.9 23.8 0.0
2011 100.0 40.4 22.1 7.8 0.8 19.6 1.5 7.7 0.0 100.0 41.2 22.4 7.8 0.7 19.3 1.2 7.4 0.0 100.0 8.6 9.8 7.8 2.7 34.1 15.4 21.3 0.2
2010 100.0 41.1 21.9 8.4 0.9 18.2 1.1 8.4 0.0 100.0 41.8 22.0 8.6 0.9 17.9 0.9 7.9 0.0 100.0 10.1 17.5 1.7 1.8 29.1 12.8 27.1 0.0
2009 100.0 41.3 20.2 8.1 0.9 20.1 1.1 8.3 0.0 100.0 42.1 20.2 8.2 0.9 19.8 0.9 7.9 0.0 100.0 9.1 18.0 1.7 2.1 30.5 11.2 27.3 0.0
2008 100.0 40.4 21.5 7.5 0.9 21.0 1.1 7.5 0.1 100.0 41.1 21.7 7.6 0.9 20.7 0.9 7.2 0.1 100.0 9.7 12.8 3.5 2.8 37.6 11.0 22.5 0.0
2007 100.0 38.4 22.7 7.4 0.8 20.8 1.1 8.7 0.1 100.0 39.2 22.9 7.5 0.8 20.4 0.8 8.3 0.1 100.0 8.5 12.5 3.7 2.3 35.4 11.9 25.8 0.0
2006 100.0 38.0 22.7 8.4 0.7 19.7 1.1 9.4 0.0 100.0 38.7 22.9 8.6 0.7 19.4 0.7 9.0 0.0 100.0 10.4 14.1 3.2 0.9 32.6 14.1 24.4 0.3
2005 100.0 36.4 23.1 9.0 0.8 19.6 1.2 9.9 0.0 100.0 37.1 23.3 9.2 0.8 19.3 0.8 9.4 0.0 100.0 8.5 15.4 1.2 1.2 31.1 16.1 26.3 0.1
2004 100.0 34.9 24.1 8.6 0.8 19.8 1.2 10.6 0.0 100.0 35.5 24.3 8.8 0.8 19.6 0.9 10.1 0.0 100.0 9.3 14.2 2.2 1.0 30.7 12.2 30.5 0.0
2003 100.0 34.7 23.6 9.0 0.7 20.3 11.6 0.1 100.0 35.4 23.8 9.1 0.7 20.0 10.8 0.1 100.0 7.9 12.6 3.7 0.8 32.2 42.6 0.0

注:各年3月の値。
出所:文部科学省から提供された「学校基本調査」のもとデータより作成(公表されているデータは本表の「全体」部分のみ)。

 

 

参考文献・資料

青砥恭(2009)『ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所』筑摩書房阿部彩(2008)『子どもの貧困―日本の不公平を考える』岩波書店

────(2014)『子どもの貧困II―解決策を考える』岩波書店

乾彰夫(2012)『若者が働きはじめるとき―仕事、仲間、そして社会』日本図書センター

苅谷剛彦(1995)『大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史』中央公論社

────(2008)『学力と階層―教育の綻びをどう修正するか』朝日新聞出版吉川徹(2009)『学歴分断社会』筑摩書房

小林雅之(2008)『進学格差―深刻化する教育費負担』筑摩書房児美川孝一郎(2007)『権利としてのキャリア教育』明石書店

────(2013)『キャリア教育のウソ』筑摩書房

瀬川正仁(2009)『若者たち―夜間定時制高校から視えるニッポン』バジリコ株式会社橘木俊詔(2010)『日本の教育格差』岩波書店

手島純(2007)『格差社会にゆれる定時制高校―教育の機会均等のゆくえ』彩流社中塚久美子(2012)『貧困のなかでおとなになる』かもがわ出版

藤本典裕・制度研(2009)『学校から見える子どもの貧困』大月書店本田由紀(2008)『軋む社会―教育・仕事・若者の現在』双風舎

────(2009)『教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ』筑摩書房

宮本みち子(2012)『若者が無縁化する―仕事・福祉・コミュニティでつなぐ』筑摩書房山野良一(2008)『子どもの最貧国・日本―学力・心身・社会におよぶ諸影響』光文社

 

財団法人全国高等学校定時制通信制教育振興会「高等学校定時制課程・通信制課程の在り方に関する調査研究」2012年3月発行

内閣府「若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する調査)報告書」2011年3月

北海道高等学校教職員組合定通部「定通白書―お金の心配をしないで安心して学べる高校をめざして」2012年11月発行

 

 

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