期限のない仕事で働く人は無期労働契約で雇用する──このことは、雇用安定社会の実現のために最重要の課題です。労働契約法第18条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)は、まさにそのために制定されたものでした(2013年4月施行)。ところが、法の趣旨を無視して脱法行為に走る使用者が少なくありません。理化学研究所もその一つです。目前に迫る雇い止めを阻止して、法の趣旨に反した雇用上限の撤廃を目指す理化学研究所労働組合(理研労)からの支援要請です。お読みいただき、広めてください。
理化学研究所は、研究系職員約600人を2023年3月末で「10年の雇用上限」及びその影響で雇止めします。理研の全職員数4.800人(常勤、非常勤)の1/8に達する600人の研究系職員が一度に雇止めされることは雇用問題だけでなく、理研の研究継続性さえ危ぶまれる大問題です。
2023年3月末に「10年の雇用上限」で雇止めとなる研究員の一人は、『理研は、令和2年度の独立行政法人の評価基準で、最高位のSを獲得しました。コロナ禍の厳しい労働条件下、研究現場での活動低下を回避するため、職員は一層の知恵を絞り、中長期的な視野で、質の高い研究活動が維持できるよう努めています。有能な職員の弛み無い努力が、顕著な成果を創出しており、研究活動の継続を強く求める職員が「10年の雇用上限」のみを理由として違法に雇止めされることは許されません。』と訴えています。
理研ネット(理研の非正規雇用問題を解決するネットワーク)では、この研究系職員600人の雇止めの阻止と違法な雇用上限の撤廃を求める署名を開始しました。
尚、この署名に合わせて、2021年12月11日14時からオンライン集会の開催を予定しており、多くの方の参加をお願いします。参加を希望される方は、以下のアドレスまで参加登録のメールをお送りください。
集会参加申込先: rikenhiseikinet@gmail.com
【経緯と詳細】
国立研究開発法人理化学研究所(理事長 松本紘、以下 理研)では、8割を超える有期雇用職員が単年度契約を繰り返して、10年、20年と長年その業務を支えてきました。このような状況下で、2013年4月に施行された労働契約法第18条では、有期契約を繰り返して5年を超えた場合(研究系職員については10年を超えた場合)には、雇用の安定のために労働者の申し出により無期雇用への転換権獲得が制度化されました。この労働契約法第18条の趣旨に従えば、理研では長く研究所を支えてきた有期雇用職員に無期雇用職への転換権を認めるべきでした。しかしながら、理研の運営陣はその法律の趣旨とは逆に、労働契約法第18条による無期雇用への転換権獲得阻止を目的に、事務系では「5年の雇用上限」、研究系では「10年の雇用上限」を就業規則に不利益変更で導入しました。
理研経営陣は、職員の能力がどんなに高くても、業務も、予算も継続していても、労働契約法第18条による無期雇用への転換権を獲得阻止のみを目的として、「5年/10年の雇用上限」で雇止めしようとしています。これは、雇用を不安定化させるだけでなく、有用な人材をそのまま雇用継続すれば発生しない多額の後任採用経費の発生することになり、さらに、理研における研究の継続性を失うことになります。これは、理研が目指す研究成果の最大化に真っ向から反するものです。
2023年3月末に「10年の雇用上限」で雇止めとなる研究員の一人は、『理研は、令和2年度の独立行政法人の評価基準で、最高位のSを獲得しました。コロナ禍の厳しい労働条件下、研究現場での活動低下を回避するため、職員は一層の知恵を絞り、中長期的な視野で、質の高い研究活動が維持できるよう努めています。有能な職員の弛み無い努力が、顕著な成果を創出しており、研究活動の継続を強く求める職員が「10年の雇用上限」のみを理由として違法に雇止めされることは許されません。』と訴えています。
このような理研の雇止めの状況を危惧した、地元の有志、地区労役員有志、理研労役員有志が中心となり「理研の非正規雇用問題を解決するネットワーク」を立ち上げ、理研の経営陣に労働契約法第18条の趣旨に反し、雇用を不安定化し理研の研究を阻害する「5年/10年の雇用上限」を就業規程から撤廃することを目指し、署名活動(ネットワークを利用した署名と署名用紙による署名)を行うこととし、昨年、「理研職員・研究者の使い捨て雇用上限の撤廃を求める署名」へのご協力をお願いいたしました。その結果(総数 6717筆、紙の署名 5106筆、ネット署名 611筆)を基に、2021年3月11日に理化学研究所 松本紘理事長に「理研職員・研究者の使い捨て雇用上限の撤廃」を要請いたしましたが、残念ながら雇用上限の撤廃には至っておりません。
事務系の「5年の雇用上限」適用職員についてはこの間の労使交渉により、部分的ではありますが、適用の除外への道筋が得られてきています。しかしながら、2023年3月末には研究系職員約600人が「10年の雇用上限」及びその影響で雇止めされます。理研の全職員数4.800人(常勤、非常勤)の1/8に達する600人の研究系職員が一時に雇止めされることは雇用問題だけでなく、理研の研究継続性さえ危ぶまれる大問題です。
理研ネットでは、この研究系職員600人の雇止めの阻止と違法な雇用上限の撤廃を求める署名を開始しました。
ついては、この趣旨に賛同をいただき、以下のサイトからの署名をお願いいたします。
尚、この署名に合わせて、2021年12月11日14時からオンライン集会の開催を予定しており、多くの方の参加をお願いします。参加を希望される方は、以下のアドレスまで参加登録のメールをお送りください。
集会参加申込先: rikenhiseikinet@gmail.com
以上、よろしくお願い致します。
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