コロナ禍で、労働組合の活動スタイルも変化しています。
とくに、会議や集会と飲み会がセットになっているケースも少なからずありましたが、感染対策としてオンラインによる情報伝達・共有が進み、飲み会も行われなくなっています。
様々な意見があるなかで、大阪府関係職員労働組合(以下、略称「大阪府職労」)の取り組みを通じて、小松康則執行委員長が思うこれからの労働組合活動のあり様についてのコラムです。
組合活動に使える時間は人それぞれ。
コロナ禍で感染対策のためオンラインが一気に普及し、感染が少し落ち着くと「やっぱリアルだよね」みたいな雰囲気も広がりつつある。大阪府職労でもこの間、オンラインが一気に進んだが、実はコロナ前から少しずつオンラインへの切り替えを始めていた。
それは「誰でも気軽に参加できる組合活動」のためだ。
みんな仕事をしていて、家庭のある人も、子育てや介護などのある人もいて、組合活動に使える時間は人それぞれ。その限られた時間の中で、少しでも組合活動に参加してもらうためにオンラインは有効なツールだと思う。
ここ数年は会議の中で小グループに分かれての話し合いを重視していたので、zoomのブレイクアウトルーム機能を使えば、リアルでやるよりグループでの話し合いが進むと好評でもある。
あと、この間「保健師、保健所職員キャンペーン」も取り組んだが、zoomや LINEグループ、Twitter、オンライン署名などのオンラインツールが実に大きな役割を果たした。もし、オンラインがなければこれほどのキャンペーンができたかどうか正直わからない。
キャンペーンのおかげもあって、みなさんにお話をする機会もたくさんいただいたが、これもオンラインだから移動時間などの制約にとらわれず、数多く話すことができた。
全国の人たちと瞬時につながれて、ネットワークの広がりを感じることができるようになったのもオンラインの大きな利点だ。
子育て世代がたくさん参加できるようになった
そして何よりも大きな効果は、大阪府職労の本部役員の中に、子育て世代がたくさん参加するようになり、女性比率も組織構成に比例し60%となった。
この間のオンラインの活用を見て「これなら私も参加できる」と感じてもらえることができた。新年度になっての会議も基本は完全オンライン(環境のない人は組合の会議室からオンライン参加)にしたので、参加率もとても高く、ブレイクアウトルームでのトークも弾んでいる。
新体制になってまだ2か月しか経ってないが、すでに子育て世代や女性の声、いままで聞けてなかった声が反映していると感じる。
もちろん、リアルで会う良さもある。リアルでしか伝わらない気迫などもあると思う。会って話したり、ときには食事をしたり、酒を飲んだりもしたい人もいる。しかし、会議の本来の目的は十分にオンラインで果たせると思う。
飲み会に来れない人を排除していた?
昔、若かりし頃、先輩に「会議のあとの飲み会が大事なんや」と言われたことがある。お酒は飲めないけど、そういう場が嫌いではなかった私も「あー、そうなのか」と思っていたこともある。
しかし、今から考えると「それって飲み会以下の会議だったということか」とも思える。また、飲み会に来れない人を排除していたということにもなるのではないかと思う。
この間、全国規模の会議やミーティングを何度もオンラインでやっているが、きっとリアルでは不可能だろう。
全国から集まろうと思えば、移動時間、宿泊なども伴う。その時間と費用は相当なもの。大きな組織で全国規模の会議をやれば、数十万円〜数百万円かかるだろうし。
そのお金があれば、普段は節約してる組合員向けのお金をかけたカラー刷りのチラシが作れるとか、新しいパソコンがかえるとか、オンラインのための環境整備ができるとか、そんなことをつい考えてしまう。
一番大事なのは、いかに誰でも参加できる、参加しやすい環境を作るか。
「オンラインにはどうも慣れないし、集中できないからやめてほしい」と言われたこともある。でもそれって「子どもいるし夜遅くまでの会議には出れない」という声を否定することにもなるような気もする。
あーだこーだと書いてきましたが、一番大事なのは、いかに誰でも参加できる、参加しやすい環境を作るか。参加できる可能性を広げることが大事ということ。かつてのような会議と飲み会がセットで、夜遅くまで時間を費やす覚悟がなければ参加できないような条件はダメということ。
もちろん、交流も必要なので、それはそれとして、会議とは切り離して機会を作ればいい。そして、もう一つ大事なことは限られた組合財政と時間の中で、その両方をいかに有効に使うかということ。そのことを忘れずに、また今週も頑張ろう。
筆者】大阪府関係職員労働組合 執行委員長 小松 康則
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