川村雅則「地方自治体における官製ワーキングプア問題と、労働組合に期待される取り組み」

川村雅則「地方自治体における官製ワーキングプア問題と、労働組合に期待される取り組み──現場からの働き方改革を起点にした社会的労働運動の実践」『Posse』第44 号(2020年4月号)pp.38-49

 

『POSSE』第44号(2020年4月号)に掲載された「地方自治体における官製ワーキングプア問題と、労働組合に期待される取り組み──現場からの働き方改革を起点にした社会的労働運動の実践」の転載です。新たな非正規公務員制度(会計年度任用職員制度)が導入された後の「道内の会計年度任用職員等の臨時・非常勤職員の任用実態──総務省2020年調査の集計結果に基づき」もあわせてお読みください。

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自治体で拡大・深化する官製ワーキングプア

 

───―国や地方自治体が働く貧困層をつくり出していること、いわゆる官製ワーキングプア問題が深刻化しています。一方で、問題への対処として、地方自治体では、新たな非正規公務員制度(会計年度任用職員制度)が二〇二〇年四月から始まります。労働組合や弁護士と一緒に北海道で官製ワーキングプア問題の調査・研究を続けている川村雅則さんに話を聞きます。

 

 

この問題については、「第三回なくそう!官製ワーキングプア北海道集会」を二〇一九年八月二〇日に開催し、その「記録」を年末に発行したところです。記録に収録した集会当日の私の報告に基づきながら話を進めていきます[1]

官製ワーキングプア問題は二つの部門で生み出されています。一つは、自治体による直接雇用(任用)の部門で、特別職非常勤職員、一般職非常勤職員、臨時的任用職員(以下、まとめて臨時・非常勤職員)などと呼ばれる、いわゆる非正規公務員です(表1)。正職員のような厳格な人数把握の制度がないのですが、総務省の調べによれば、二〇一六年四月一日現在で六四万人とされています(図1)。一〇年前からおよそ二〇万人増加しています。なお全体のおよそ四分の三(四八万人強)は女性です。

表1 自治体臨時・非常勤職員の名称、任用根拠および人数(概数)

 

図1 地方公共団体における正職員数及び臨時・非常勤職員数の推移

 

もっとも総務省のこの調査では、短期間・短時間勤務者や四月二日以降に雇われた職員は除かれており、労働組合による調査では、実際には七〇万人を超えると試算されています。その総務省調査でも、都道府県を除く市区町村ではおよそ三人に一人が非正規という割合です。ワーキングプアという言葉のとおり、年収は多くが二〇〇万円未満と各種調査で明らかにされています。

職種は様々で、総務省による分類で代表的な職種と人数をあげておくと、事務補助職員一〇万八九二人、教員・講師九万二四九四人、保育所保育士六万三二六七人、給食調理員三万七九八五人、図書館職員一万六四八四人、看護師一万六一六七人、清掃作業員七五四一人、消費生活相談員二二〇三人などです。

 

 

抑制されてきた公務員増と、行政改革による削減

もともと日本は、世間に流布されているイメージとは異なり、人口当たりの公務員数は非常に少ない国です(内閣官房調べ)[2]

にもかかわらず、国からの地方行政改革で「自治体職員の定員の適正化」が繰り返し求められてきました。総務省「地方公共団体定員管理調査」によれば、正職員数は一九九四年の約三二八・二万人をピークに五五万人が減少し、二〇一八年には約二七三・七万人となっています。二〇〇四年一二月二四日に閣議決定された「今後の行政改革の方針」をふまえて小泉内閣期に発出された「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針(二〇〇五年三月二九日)」を起点とする二〇〇五~二〇一〇年の集中改革プランでは、じつに約二三万人もの職員が減っています。

他方で、住民からの行政サービス需要は増加・多様化しています。しかし、自治体財政は逼迫しています。三位一体改革など、地方への富の分配の切り詰めが、事態に拍車をかけてきました。正職員削減の圧力と一方での行政サービス需要増、そして、財政の逼迫という条件下で臨時・非常勤職員の活用が選択されてきました。

 

 

公共民間部門におけるワーキングプアの発生

ところで自治体の仕事は公務員だけでおこなわれているわけではありません。建設工事(公共工事)や委託業務、公の施設の管理運営(指定管理者)など、民間事業者・労働者が不可欠です。行政改革の推進は、自治体業務のアウトソーシングを促し、かつ、過度な価格競争入札を通じて、この公共民間部門での働く貧困層をつくりだすことにもなりました。行政サービスのコスト削減は、働く者の賃金・労働条件の切り下げを不可避としますが、「最少の経費で最大の効果」をうたう地方自治法がそのことを等閑視する結果となりました。官製市場の民間開放を企図する動きや、NPM(New Public Managemnt)理論に基づく行政経営手法が改革(行政改革、官製市場改革)に拍車をかけました[3]

一例をあげると、二〇〇三年地方自治法の一部改定によって創設された指定管理者制度が導入された施設は、二〇一八年四月一日現在、全国でおよそ七万六〇〇〇件に及びます。法改定のねらいは、「公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ること」と説明されますが、私の住む札幌市では、四〇〇件を超える施設で働く職員全体の三分の二は非正規雇用で、時間当たり平均賃金(賞与や諸手当を除くいわゆる基本給を基礎に算出)は、正規雇用者でも一四六五円、非正規雇用者に限ると九六七円という水準にとどまります(札幌市調べ、二〇一七年四月一日現在)。

 

 

法の狭間に落ちた非正規公務員

 

―───官製ワーキングプアが生み出される全体像が分かりました。後述の新制度との関係で、現行の非正規公務員制度のことをお聞きします。彼らが「法の狭間に落ちた存在」とも言われるのはどのような理由によるのでしょうか。

 

 

非正規公務員制度は非常に複雑です。詳細は、NPO法人官製ワーキングプア研究会((以下、研究会)理事長:白石孝氏)や上林陽治氏(公益財団法人地方自治総合研究所研究員)の仕事を参照してください。民間労働者と公務員(非正規公務員を含む)の法適用関係が整理された表2を念頭に置きながらみていきます。

表2 地方公務員の種別ごとの労働関係法適用のあらまし

ご承知のように公務員は労働基本権を制約されており、その代わりに、地方公務員法や人事院勧告制度などによってその身分や給与は守られています。労働組合(職員団体)によって労働条件の改善が図られてもきました。

ところが、非正規公務員はこうした法制度的な裏づけがない。名称こそ分かれていましたが、仕事上の違いは明確ではなく、法が予定している内容とも乖離していました。臨時職員が恒常的に任用され、地方公務員法の適用を受けず労働基本権がフル適用される特別職非常勤職員が二〇万人を超える事態です。公務部門では、任期の定めのない常勤職員が前提とされるなかで、身分保障もなく六ヶ月や一年の任用を繰り返し働く非正規公務員が基幹的業務を担っているのが現状です。

民間部門における非正規雇用制度と比較したときに彼らの無権利性が浮き彫りになります。たとえば、先に述べた、非現業で一般職の臨時・非常勤職員に象徴される、労働基本権の制約です。弱い立場におとしめられながら、問題を自ら解決する手も縛られています。

また、民間であれば、事実上の無期雇用状態や期待権の存在など一定の条件を満たせば、雇い止めを撤回させられます。解雇権濫用法理の類推適用という考えで、二〇一二年の改定労働契約法第一九条に成文化されました。しかし公務員は、労使対等の雇用関係ではなく、任命権者の意思が優先される公法上の任用関係にある、という法解釈が支配的である(注[4]4)ため、非正規公務員が雇い止めにあっても、期待権の侵害に対する損害賠償を勝ち取ることができても、雇い止めそれ自体は撤回させられません。彼らには、労働契約法もパートタイム労働法も非適用です。

 

 

いのちの格差―安全衛生をめぐる問題

法制度の欠落、つぎはぎを象徴するのが、非正規公務員の安全衛生をめぐる問題です。

民間でいう労働者災害補償保険法と同じく、地方公務員には地方公務員災害補償法があります。ところが、仕事中のけが・病気や死亡に対する非正規公務員本人や遺族からの認定請求が退けられるという事態が相次ぎました。なぜか。先の法は、対象となる範囲を職員(常時勤務に服することを要する地方公務員)等と規定し、非常勤職員の取り扱いは自治体に別途ゆだねていることや、条例が自治体で整備されていても、災害補償の請求権を本人や遺族に認めていないことなどによります。これでは、いのちや健康の問題が自治体の姿勢に左右されてしまう。北九州市で非常勤職員として働いていた女性が上司からのパワハラや不適切な労務管理・過度な業務によってうつ病に罹患し、退職後の二〇一五年に自死をされながらも両親からの認定請求が認められなかったのがその一つです。「研究会」が全国の各自治体の状況を調べ、問題を整理しているので参照してください(後に総務省が自治体に通知を出して状況は改善)。

 

 

―───非常に問題ある状況が続いてきたのに対して、二〇一七年五月、「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律(平成二九年法律第二九号)」が成立し、新たな非正規公務員制度(会計年度任用職員制度)が創設されることになりました。問題解決につながるでしょうか。

 

 

新制度の導入に向けた技術的な助言という性格で総務省から出された事務処理マニュアル(改訂版、二〇一八年一〇月一八日発行)では、「現状において地方行政の重要な担い手」となっている非正規公務員の、「適正な任用・勤務条件を確保することが求められており、今般の改正を行う」ことが法改定の趣旨であると書かれています。

たしかに、法律上、彼らの位置づけが明確になり、また、期末手当の支給も可能になりました。昇給・経験加算の設置も容認されました。法改定は、ずさんな任用を告発する現場からの声・運動も反映していますし、改定法を活かして労働条件の改善に取り組むことを否定するつもりは毛頭ありません。

しかしながら、基本的な制度設計で多くの問題をはらんでいることはみておく必要がある。それは民間の労働政策と比べたときに明らかです。

たとえば、労働時間数で(フルタイムとパートタイムとで)異なる処遇体系あるいは差別的な待遇が容認されました。フルタイム型の会計年度任用職員には、給料・旅費・手当が支給可能になったのに対して、パートタイム型には、報酬・費用弁償・期末手当の支給にとどまります。しかも、週当たりの勤務時間数が一分でも短ければパートタイム型に分類されます。

「目玉」に位置づけられた期末手当の支給も、支給が義務づけられたわけではありませんし、制度施行を前にして、基本給を引き下げて期末手当の原資にあてる動きさえ報告されています。

もちろん、制度設計は一歩前進で今後に期待がもたれる、とここまでなら言える余地があるかもしれませんが、有期雇用問題はむしろ逆行でしょう。

 

 

逆行する有期雇用問題、期待権の剥奪

周知のとおり、民間部門では、労働契約法第一八条を根拠にした無期雇用転換が進んでいます。ところが、会計年度任用職員の場合には、有期雇用が厳格化されました。

会計年度任用職員の任用期間は、あくまでも一会計年度内です。繰り返し働くことはできるものの、民間の雇用更新とは異なり、新しい職に就く「再度の任用」だと説明されます。そして新しい職に就くのだから、と条件付採用期間、いわゆる試用期間が毎年設けられます。そのうえに、「均等な機会の付与及び客観的な能力の実証」が強調され、勤務実績に基づく能力実証で再度の任用が可能となるのは(国の非正規公務員にならって)二回までと総務省は助言しています。働き続けたければその後は、新規の求職者とともに公募にあらためて応募しなければならない。こうした任用が一般化するでしょう。雇用安定に逆行する極めてストレスフルなこうした状況は、国の非正規公務員ですでに起きており、それが自治体にも波及してきたことになります。

 

特別職非常勤職員からの労働基本権の剥奪、労働条件の低位標準化

図2 新制度下での労働組合適用状況

 

以上に加えて、地方公務員法の適用が除外されてきた特別職非常勤職員が一般職の会計年度任用職員へ移行することに伴い労働基本権が剥奪されます(図2)。労働基本権を駆使して問題の改善に取り組んできた労組にとっては、致命的です。そのうえに、国の非正規職員の労働条件を基準とするいわば低位標準化で条件が引き下げられる動きが顕在化しています。

札幌市では、非常勤職員のうち採用困難職に区分される者は六五歳までの任用更新が認められていましたが、会計年度任用職員への移行に伴い、その条件が認められるのは現職に限られ、新規に採用された者は皆一様に三年の公募制が適用されます。しかも、例外的な職種(未定)を除き、原則として、同一部内で働けるのは三年までとなりました。先の総務省マニュアルにもない設定で、札幌市で四年目の就労を希望する者は異なる部への応募が必要となります(二〇二〇年一月の市からの聞き取りによる)。市民サービスの質保障という観点からもゆゆしき事態ではないでしょうか。

 

 

求められる、「およそ民間ではあり得ない状況」からの脱却

 

―───本来は民間部門への模範となることが求められる公務の分野で、このような事態を放置しておくのは問題です。どのようなことに取り組めばよいでしょうか。

 

 

詳細は「記録」の拙稿をご覧いただきたいのですが、取り組みの方向は、不十分ながらも先行する民間部門に追いつくこと、そのためにも、労働界における官民の連携強化だと考えます。

およそ民間ではあり得ない―公務員の世界の出来事を揶揄する際にこうした言い方が使われますが、非正規公務員の任用・扱いに関しては、逆に、民間の非正規雇用ではあり得ないことが制度化されました。法制度の改定という中長期の課題を念頭に置きながら、目の前の課題に「執着」する必要があります。

一つには雇用の安定で、仕事が恒常的であるなら期間に定めのない無期雇用が必要です。

労働契約法非適用である公務の部門では、勤務実績に基づく能力実証で可能となる再度の任用回数・年数を可能な限り延ばすことや、公募制の導入を阻止した組合にならって公募制を廃止すること、言い換えれば、勤務実績に基づく能力実証だけで再度の任用を可能とする取り組みなどが短期的な課題となります。不当な雇い止めは許さない監視も必要です。任用を、民間部門の労働契約に準ずるものとみなす法制度の改定は、そうした取り組みの先に見えてくるのではないでしょうか。

補足すれば、二〇一二年の改定労働契約法の附則では、第一八条の施行後八年を経過した場合、つまり二〇二一年四月に、「その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」ことが定められています。官民ともにここが頑張りどきではないでしょうか。

 

 

賃金の底上げと、職務評価に基づく同一労働同一賃金への接近

もう一つは、賃金に関する取り組みで、全体の底上げと同一労働同一賃金規制です。

時間当たり賃金が一〇〇〇円に満たない職種・自治体が少なくない現状は、当事者にとってはもちろんのこと、民間労働者にとっても問題です。非正規公務員の賃金が業務委託や指定管理者など民間へ仕事が発注される際の賃金算出根拠として使われており、民間労働者の賃金に直接的に影響を与えるからです。二重の意味で、非正規公務員の低賃金を放置してはいけない。最低生計費調査に基づく全国一律の最賃一五〇〇円運動への結集が必要です。

こうした全体の底上げのうえに、職種別賃金規制を設けることです。民間では、パートタイム労働法と労働契約法第二〇条の基本的な枠組みを受け継ぎ、パートタイム・有期雇用労働法が二〇二〇年四月から施行されます(中小企業は二〇二一年四月)。同法は正確に言えば、同一企業内における正規職員と非正規職員の間の不合理な格差を禁じたものですが、欧州型同一労働同一賃金運動、すなわち、職務評価に基づく企業横断型の産別賃金運動を視野に入れた取り組みが労組に期待されています。異動がなく一定の職種に限定して配置されるスペシャリスト型の非正規公務員にとって、職務評価はなじみやすい。官民の連携で横断的な職種別賃金規制への接近は構想できないでしょうか。

その際には、ILOのディーセントワークでも指摘されているとおり、ジェンダー平等の追求が必要です。現状では女性が従事する仕事は不当に低く評価されており、性に中立的な職務評価が不可欠です。

 

 

公契約を通じた賃金・労働条件の規整―公契約の適正化

会計年度任用職員制度の導入を奇貨にして、包括的民間委託など、いっそうの民間化が進められようとしています。総務省マニュアルでも、民間委託の推進等を通じた簡素で効率的な行政体制の実現が求められています。

そのようななかでの課題は、直接雇用部門でも公共民間部門でも、自治体の仕事に従事する人たちに一定の条件を保障できる制度設計を張りめぐらせることです。契約内容・条件の適正化を前提に、受発注者間(自治体と民間事業者間)での合意のもとに賃金・労働条件の「規整」を図る公契約条例が必要です。しかしその制定数は、理念型の条例を含めても、全国でもまだ五〇超程度にとどまるようです。

総務省(自治体戦略二〇四〇構想研究会、地方制度調査会)の動きに示されるとおり、新たな段階にさしかかったとされる地方行政改革・公共サービスの産業化のもとで、公務の担い手の雇用・労働条件問題が進むおそれがあります。

自治体の変質を食い止め、住民の暮らしや仕事を守る「砦」に強化していく必要があります。「研究会」関係者が報告するソウル市の取り組み―自治体の関与が可能な雇用を軸にしながら労働政策を展開する取り組みには、その点で学ぶものが多いと考えます。

 

 

労働者の組織化と、全国ネットワークの構築

非正規公務員や公共民間労働者の切り捨てを放置していては、以上に述べたことは実現しません。正職員組合による組織化が不可欠です。非正規労働者の排除で職場の代表性が揺らぐもとでの集団的労使関係の再構築は、労働界全体の課題です。公務労組の悲願である労働基本権の回復という課題も、そうした営為なくしては実現不可能ではないでしょうか。公共民間労働者へのアプローチも、発注者側に立つ(立たされた)自治体労組の力が不可欠です。

情報の積極的な収集と共有を進めましょう。会計年度任用職員制度の労働条件の詳細が記された内規や、自治体発注の仕事の賃金情報(賃金算出根拠・水準)が即座に思い浮かびます。労働組合はもちろんですが、行政の監視役である自治体議員・議会にもその役割が期待されます。

新たな非正規公務員制度の施行を目前とするいま、「なくそう!官製ワーキングプア」の全国ネットワークを広げていきましょう。そして、現場からの働き方改革を社会的労働運動へと発展させていきましょう。

 

 

主な参考文献

遠藤公嗣 編著(二〇一三)『同一価値労働同一賃金をめざす職務評価―官製ワーキングプアの解消』旬報社

川村雅則(二〇一八a)「無期雇用転換運動と公共部門における規範性の回復運動で、貧困をなくし雇用安定社会の実現を」『月刊全労連』第二五七号(二〇一八年七月号)

川村雅則(二〇一八b)「非正規公務員問題に対する労働組合の取り組みはどこまで進んだか」『生活協同組合研究』第五一二号(二〇一八年九月号)

上林陽治(二〇一二)『非正規公務員』日本評論社

上林陽治(二〇一五)『非正規公務員の現在―深化する格差』日本評論社

西谷敏、根本到 編(二〇一一)『労働契約と法』旬報社

前田健太郎(二〇一四)『市民を雇わない国家―日本が公務員の少ない国へと至った道』東京大学出版会

 

 

【注】

[1] 「記録」を含む調査・研究成果は、私の研究室や私が主査をつとめる研究会のウェブサイトで公開されていますので、ご参照ください。

川村雅則研究室(北海学園大学)

公益社団法人 北海道地方自治研究所 非正規公務労働問題研究会

[2] その事実と背景をつぶさにまとめた前田(二〇一四)は、少なくとも一九六〇年代後半には人口比で公務員数の増加傾向がほとんど消滅していることを明らかにしています。そして、経済発展のかくも早い段階で行政改革が開始され、結果として公務員数が少なくなった理由として、人事院勧告に基づく給与制度に注目をしています。労働基本権の代償措置と説明され公務員の給与を保護するこの制度が逆に、公務員数の抑制を促したというのです。今後の公務員制度や公務部門の規模のありかたを考えるうえで、留意すべき点です。

[3] 民間委託等の導入状況は、総務省調査(「地方行政サービス改革の取組状況等に関する調査」)結果を参照してください。

[4] 公務員の任用をめぐる学説上の整理は、上林(二〇一五)の「第八章 非正規公務員と任用の法的性質」、西谷・根本(二〇一一)中の城塚健之「第一四章 公務員と労働契約法」などを参照。

 

 

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