安田真幸「『(任期の定めのない)短時間公務員制度』は『17条一般職非常勤職員条例』で実現できる!?」

安田真幸「『(任期の定めのない)短時間公務員制度』は『17条一般職非常勤職員条例』で実現できる!?」『NAVI』2026年2月8日配信

 

「(任期の定めのない)短時間公務員制度」は

「17条一般職非常勤職員条例」で実現できる!?

 

安田 真幸(連帯労働者組合・杉並)

 

この間の取り組みにより、「大量離職通知書」の提出が定着しつつあり、「○年公募制」の廃止も大きな流れとなってきています。加えて、労働弁護団の「提言」「鳥取方式短時間公務員制度」が、私達に大きなインパクトを与えました。「会計年度制度に替わる制度(≒短時間公務員制度)の議論」が今こそ必要な局面と思います。

引き続き取り組みを強めるとともに、今後の課題として、①人事評価制度の公正/透明化、②「(任期の定めのない)短時間公務員制度」の実現、そして③労働基本権の回復、があるように思っています。

東京でも、これらの課題を巡った意見交換が始まっています。ここでは、②「短時間公務員制度(≒17条一般職非常勤条例)」についての私論を述べさせていただきます。先述の労働弁護団「提言」の実現を総務省に求めつつ、「17条一般職非常勤条例≒短時間公務員制度」への決断を自治体に迫っていきたいものです。

この論考は、2021年の東京集会での報告・提起を基に再構成したものです。

 ※2021年の東京集会の内容は、以下のユーチューブで視聴できます。

 (「もっと見る」をクリックすると、プログラムが出ます。安田の報告は2:02:25から約15分間です。

 

 

<会計年度制度に代わる制度≒「短時間公務員制度」を構想しよう!>

全国各地の取り組みの前進により、「会計年度任用職員制度は廃止しかない」との共通認識がほぼ確立してきていると思います。今こそ会計年度制度に替わる「短時間公務員制度」を構想し、その実現に向けて力を合わせていく必要があると考えます。

これまで、「短時間公務員制度」の実現には法改正が必要、と考えられてきたように思います。しかし地公法の無期原則にのっとり、「17条一般職非常勤職員(地公法17条に基づく正式採用)条例」で定めれば実現できる、と考えています。

 

<17条非常勤制度で実現可能とする根拠>

1 地公法の「無期雇用原則」

地公法は22条臨時職員のみを唯一の例外として、無期雇用を原則としてきました。人事当局者のバイブルである「逐条地方公務員法」でも「17条非常勤職員」について、以下のように述べています。

 「非常勤職員といえども一般職の職員である限り、それは原則として恒久的職員」であり、「その採用は競争試験または選考による能力の実証が行われなければならないと解されるし、また、身分保障も行われるので・・・」

(橋本勇「逐条地方公務員法」2009年第2次改訂版)

 

2 「17条一般職非常勤職員」を推奨してきた総務省

かつて総務省は、2009年と2014年通知で、特別職非常勤職員を「17条一般職非常勤職員」に移行させることを推奨してきました。東京都ではこの助言に従い、2014年に「(17条)一般職非常勤職員規則」を制定しました。私はこれらの経過から、2017年の地公法改定では、17条非常勤職員の雇用・賃金・労働条件などの目安を法に盛り込むことを想定していました。

しかし、総務省は17条による「正式採用」を避け、22条の「例外的/臨時的採用」の枠を広げて「会計年度任用職員制度」を捻り出したのです。なぜでしょうか? 17条採用とすると「原則無期限」なので、「1年任用」を理屈付けることが難しかったのだと思われます。

 

3 今でも活用できる「17条一般職非常勤職員」

総務省は現在も「17条非常勤職員」の存在を否定できません。2025年11月に東京実行委有志との間で行われた話し合いでも、総務省は「17条一般職非常勤職員」を認めざるを得ません。「会計年度任用職員が望ましい」とは言うものの、望ましい理由は「(会計年度職員と異なり、17条非常勤には)期末・勤勉手当が支給できないので」と説明するにとどまります。でも、現業の会計年度任用職員には「給与・手当支給」ができます。自治法の特例法としての地方公営企業法(地公企法)38条の「給料及び手当の支給」が適用されるためです。そもそも総務省が、17条非常勤職員にも手当支給できるように自治法を改正すべきであるのに、(意図的に)しなかった不作為なのです。この手当不支給問題は、「(会計年度任用職員との)不当な差別待遇」として、充分に争っていけますし、首長に支給への決断を求めていくことにもチャレンジする価値があります。

 

<17条一般職非常勤条例(案)を作ってみた>

そこで、条例案を作成してみました。かつて東京都が総務省の助言に従って制定した「一般職非常勤職員の任用等に関する規則」を参考に、必要最小限の規定を盛り込んでみました。

この条例案をタタキ台に、みんなで色々と工夫してそれぞれの条例案を作成し、それぞれの自治体の人事当局に要求していけたら、とても面白いと思います。

 

 

○○市一般職非常勤職員条例骨子(案)

 

1 目的

① 地方公務員法17条に基づく非常勤職員の任用・給与・休暇等勤務条件および定数を定めることを目的とする。

 ※条例としたのは、議会の議決を経ることによって、より安定的にするためです。

 

2 定義

① 非常勤職員とは、週当たりの勤務時間が常勤職員に比して短いものをいう。

② 特例として、週当たりの勤務時間が常勤職員と同一の非常勤職員(特例非常勤職員という)を置くことができる。

③ 特例非常勤職員を採用する場合は、労働組合と事前に協議する。

 ※① ILOパート労働条約の定義に合わせました。

   ・本来、フルタイムであれば、常勤職員として採用するべきです。

  ② フルタイム会計年度任用職員の受け皿を作る必要があります。

  ③ フルタイムは例外ですので、組合協議を必要とするようにします。

   ・均等待遇を実現すれば、フルタイム逃れは減少します。

 

3 定数

① 非常勤職員の定数は○○名とする。

 ※条例で定数を定めるのは、総務省の「定数外だから1年任期」との屁理屈を封ずるためです。

 

4 労働基本権

① 非常勤職員には、その職務の性格に基づき地方公営企業職員および単純労務職員に準じて、地方公営企業法38条及び39条、並びに地方公営企業労働関係法を適用する。

※本来は労働基本権を全面的に確保すべきですが、実現可能性を考慮し、任命権者の解釈裁量として「地公労法適用」としました。

※「職務の性格」としては、「民間類似であること」および「組織運営や公権力行使から外れる(=民間委託可能とされる)」ことなど、「単純労務職員」に準ずると解釈します。

※「地方公営企業法38条と39条」を適用するのは、地公法の一部適用除外が定められているからです。

 

5 採用

① 採用に当たっては公募による選考を行う。

② 採用後6ヶ月間は試用期間とする。

③ 任用期間は期限を設けないことを基本とする。但し、季節的・一時的業務については労働組合との協議を経て、その業務に必要な期間を定めることができる。

     ※① 17条には「競争試験又は選考」とあり、選考を選択します。

② 本則にのっとり、「6ヶ月」とします。

③ 原則通り「無期」とします。ただ、季節的・一時的業務の場合は、組合協議を必要とし、濫用を防止します。

 

6 給与

① 地方公務員法25条3項6号の規定に基づき以下の調整を行い、給与を支給する

・常勤給料表を適用し、前歴換算を行った上で初任給を位置付け、勤務時間に応じて比例配分する

・手当についても、給料と同様に勤務時間に応じて比例配分する

・常勤職員に準じて昇給及び昇格を行う

※地公法25条3項6号には「六 非常勤の職その他勤務条件の特別な職があるときは、これらについて行う給与の調整に関する事項」とあります。法制定時からあるこの条項(制定時は5号)は、短時間であることを踏まえた調整(=比例配分)を行うことを想定している、と言えます。地公法25条3項6号など、非常勤職員の給与に関する突っ込んだ検討は近日中にまとめてみます。

※直ちに常勤賃金の比例配分と昇給・昇格を実現することが、財政的にも職場的にも難しい場合が考えられます。この場合は経過措置的なものを作成して徐々に実現させるなど、柔軟な対応も必要かと思われます。

 

7 休暇及び休業

① 年次有給休暇などの休暇について、常勤職員の日数を比例配分する

② ただし病気休暇、慶弔休暇など、通算日数による休暇については常勤と同一とする

③ 育児休業、介護休業については法の定めるところにより保障する

 

8 福利厚生

① 法に定める要件により、健康保険、厚生年金保険、及び雇用保険に加入する

② 法に定めるところにより、公務上の災害及び通勤災害について補償する

③ 法の定めるところにより、共済組合に加入する

 

 

 

 

<参考:会計年度制度移行前の東京都一般職非常勤規則>

○一般職非常勤職員の任用等に関する規則

平成二七年一月二〇日規則第七号

(趣旨)

第一条 この規則は、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号。以下「法」という。)第十七条の規定に基づき任用される非常勤の職員(以下「一般職非常勤職員」という。)の任用等に関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第二条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 一般職非常勤職員

一会計年度を通じて、おおむね一月当たり十六日かつ一日当たり七時間四十五分に相当する時間勤務する非常勤の職に従事する者をいう。ただし、これにより難いと知事が認める場合は、この限りでない。

二 局長

東京都組織規程(昭和二十七年東京都規則第百六十四号)第九条第一項に規定する局長並びに青少年・治安対策本部長、病院経営本部長、中央卸売市場長、収用委員会事務局長及び労働委員会事務局長をいう。

(職及び任用数)

第三条 一般職非常勤職員の職及び任用数は、総務局長に協議の上、局長が別に定める。

(任用)

第四条 一般職非常勤職員は、職員の試験及び選考に関する規則(昭和二十八年東京都人事委員会規則第二号)第二条第九号の規定に基づき、職務の遂行に必要な知識及び技能を有する者のうちから、選考により知事が任命する。

2 一般職非常勤職員の任用の手続は、総務局長が別に定める。

3 一般職非常勤職員の選考の方法は、局長が別に定める。

4 選考は、公募によることとする。

5 前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当する場合は、公募によらないことができる。

一 前年度に設置されていた職について、前年度に当該職に任用されていた者を当該職への任用の選考の対象とする場合において、面接、当該職におけるその者の勤務実績等に基づき、能力の実証を行うことができると知事が認める場合

二 職務の性質から、公募により難いと知事が認める場合

6 前項第一号の規定による公募によらない任用(以下「公募によらない再度任用」という。)は、四回を上限とする。

7 公募によらない再度任用は、次に掲げる要件を全て満たす者に限り認めるものとする。

一 第五項第一号の規定による能力の実証の結果が良好であること。

二 休職、欠勤等の事由に応じ欠勤等の日数及び回数を換算した換算後の欠勤等の日数(別表に定める換算後の欠勤等の日数をいう。)が、原則として任期中に所定の勤務日数又は勤務時間の二分の一に達していないこと。ただし、傷病を原因とする欠勤(公務災害等の認定を受けた欠勤を除く。)及び法第二十八条第二項第一号に規定する休職をする者について、任期満了時においておおむね三月以内に回復する見込みがあり、かつ、それ以降良好に勤務することが可能であると局長が認める場合は、この限りでない。

三 前年度において法第二十九条及び職員の懲戒に関する条例(昭和26年東京都条例第84号)に規定する懲戒処分を受けていないこと。

8 局長は、一般職非常勤職員の任用状況について、総務局長に対し、定期に報告するものとする。

 

(平二八規則九六・一部改正)

(任期)

第五条 一般職非常勤職員の任期は一年以内とし、かつ、二会計年度にわたってはならない。

(委任)

第六条 この規則に定めるもののほか、一般職非常勤職員の任用等に関し必要な事項は、局長が定める。

 

 

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