前札幌市長の上田文雄氏が2025年9月18日に逝去されました。心からご冥福をお祈り申し上げます。
反貧困ネット北海道は、「札幌市公契約条例の制定を求める会」の構成団体として公契約条例の制定に取り組んできました。2012年1月26日には、公契約条例学習集会(「公契約条例で、なくそう!官製ワーキングプア集会」)を開催し、当時市長であった上田文雄氏にご講演をいただきました。そのときの講演録をあらためて読み直して、格差・貧困が生み出される構造的な問題や、自治体に何ができるかを考えています。
なくそう!官製ワーキングプア 公契約条例 学習集会 講演禄
日時:2012年1月26日
場所:エルプラザ/札幌市
主催:反貧困ネット北海道
後援:建設政策研究所北海道センター
反貧困ネット北海道が主催する公契約条例学習集会(「公契約条例で、なくそう!官製ワーキングプア集会」)が2012年1月26日に開催された。
集会は2部構成で行われ、第1部で、上田文雄札幌市長に「札幌で、いまなぜ公契約条例が必要なのか」をご講演いただいた。
続く第2部では、労働組合関係者と業界紙記者に登壇いただき、公契約条例の内容や意義・効果などを学びながら、札幌の貧困問題解決のために私たちに何ができるかを、シンポジウム形式で議論し考えた。
本稿は、当日の上田市長のご講演と、集会最後に頂戴したご挨拶とをまとめたものである。
文責:川村雅則(北海学園大学)
- 1 札幌で、いまなぜ公契約条例が必要なのか/上田文雄札幌市長
- 1.1 ■格差、貧困問題の解決を求める思いはみな一緒
- 1.2 ■現行の入札制度では「より安く」が追求されてしまう
- 1.3 ■仕事が半減するなかで受注競争が激しくなっている現状/不安定雇用の拡大
- 1.4 ■議論がなかなか進められなかったなかで、野田市が公契約条例を制定した
- 1.5 ■札幌市で公契約条例を制定する意義は/税金のあるべき使われ方とは
- 1.6 ■二省単価を割り込んだ労賃がまん延している現状/二省単価をベースにしつつ地域の事情を反映させる
- 1.7 ■人間的な働き方を保障し、地域の豊かさを取り戻す契機として
- 1.8 ■建設という仕事の役割、仕事の誇りをいまいちど取り戻すために
- 1.9 ■直面する諸問題の解決のためには、公契約条例の制定はもちろんのこと、総合的な対応を
- 2 公契約条例制定に向けてあらためての決意
札幌で、いまなぜ公契約条例が必要なのか/上田文雄札幌市長
■格差、貧困問題の解決を求める思いはみな一緒
みなさん、市長の上田でございます。今日はお仕事等でお疲れのところお集まりいただき、有り難うございます。
札幌市では、多くのみなさんのお知恵を拝借しながら、公契約条例の制定、成立に向けた議論を進めてまいりました。そして今度の2月の定例市議会で提案させていただきます。
ご承知のとおり、全国では4つの自治体で、条例がすでに制定されておりますが、いずれも全会一致で承認されております。札幌市でも、ぜひ多くのみなさんのご賛同を得て、成立させたい。
条例をめぐる状況を申しますと、たしかにこの条例に対して、賛成の声はもちろんですが、懸念を示されたり、いろいろなご意見をお持ちの方もおられます。
でも、格差や貧困という問題が深刻化するいまの社会に対して、このままで果たしてよいのだろうかというのはみなさんが共有しているのではないでしょうか。この条例は、そうした問題状況を解決するための一つの手段であり、一つの提起である、そのことをみなさんにご理解いただけるよう、さらに努力していきたいと思っています。
■現行の入札制度では「より安く」が追求されてしまう
ここにお集まりのみなさんは、公契約条例がどんなものかはすでにおわかりだとは思いますが、あらためて簡単に説明させてください。
自治体は多くの仕事を発注しております。公共工事ですとか、清掃や警備という業務であるとか、そういう仕事を、契約を結んで民間事業者に行なっていただくわけですが、こうした契約を公契約と申します。
建設でいえば、道路工事や施設の工事などさまざまございますが、札幌市も年間でこれが約2千件ございます。あるいは、例えば庁舎の清掃など業務委託のほうでは、これも3千件ほどの契約を毎年結んでいるわけでございます。
当然私たちはそうした契約において、公正に事業者を選ばなければなりません。誰か特定の方だけに利益になるような選び方ではなく、公正な選定をしなければなりません。
そして、ここがポイントですが、これらの契約では、競争原理を働かせなければならない、とうたわれております。一般競争入札と呼ばれるものです。これが原則です。競争入札で値段を競い合っていただくわけです。
そこでのねらいというのは、よりよいものをより安く買わせていただくという、ある意味「いいとこどり」と申しましょうか、そうなっているわけです。本来であれば、よりよいものであるならば、より高くてもよいのではないか、仕事に対して適正な賃金を支払うべきではないか、と私などは思うのですが、行政の仕組みとしては、「より安く」というところを追求せざるを得ないわけでございます。
そして実際上―果たして一番よいものかどうかわからないけれども―一番価格の安いものが選択される状況になっているわけです。
もちろん、例えば、価格はおおよそこのぐらいですよ、という「予定価格」というものが設定されます。それに対して、一定の品質を維持するために、最低限の価格、いゆわる「最低制限価格」というものが設定されます。これ以下にダンピングされてしまったら、どんなものがでてくるかわからないという心配がありますので、最低限の価格を設定するわけです。
逆をいうと、それよりも上の場合には、いくらでも自由に競争していただけるわけです。そして、最低制限価格以上で最も安い価格を入れた事業者さんが仕事をとることになるわけです。
■仕事が半減するなかで受注競争が激しくなっている現状/不安定雇用の拡大
これが、仕事がたくさんあって、どの事業者さんも仕事を獲得することができる状況であれば、とくに問題は起きないわけです。それこそ、札幌のマチが大きく成長、発展していったときがそれに該当するでしょうか。
しかしながら、マチが成熟した今日の段階においては、発注する件数も金額も減らざるを得ません。
平成13年、つまり、いまから10年前には、発注額の総額が1530億ぐらいありました。これだけの金額が建設を中心に、多くの業種に行き渡っていました。これが、わずか10年の間にどうなったか。今年、平成23年度の予算で申しますと、736億円にまで減額した。つまり文字通り半減してしまったわけです。
しかしながら、事業者の数が半分になったわけではありません。結果として、非常に競争が激しい状況が生まれている。そういう意味では、事業者さんにとっては厳しい経営環境になり、そこで働く人達もまたキツイ労働条件を余儀なくされている、それが現状なわけです。
ところで、私は平成15年に市長に就任いたしましたが、それまでの25年の間は、札幌というこのマチで、弁護士として働いてきました。
その仕事の中心は、働く人達からの様々な相談、いわゆる労働相談が中心でした。働いていて困った事態に直面したとか、事業者との間のトラブルに遭ったとか、そういう相談で事務所に来られる方が多かった。
その後、労働法制もどんどんと変わってきて、従来の「終身雇用」が崩れていき、非正規雇用がどんどんと増えていった。職場でも、労働者は、誰でも代替可能な労働力という位置づけが多くなり、全体として、キャリアを積んで一人前の労働者になっていくことが難しくなっていった。本当に、日本の労働事情が急速に変わっていったこと、不安定な雇用が拡大していったことを痛感している次第です。それは、みなさまもお感じになっていることではないでしょうか。
当初は、「多様な働き方」を保障するとか、そんなメリットも強調されていました。しかしながら、実際のところはどうだったでしょうか。人格的な部分も含めて、労働者が切り売りされ、しかも、労働の単価がどんどんどんどん下がっている、そういう事態がひろがっていることに危惧を覚えていた次第でございます。
■議論がなかなか進められなかったなかで、野田市が公契約条例を制定した
ですから、平成15年に市長に立候補するときには、公約のなかに、公契約条例をつくるべきだということを盛り込ませていただきました。
そして、ご信任は得たわけですから、ただちに公契約条例を制定するための準備を進めさせていただいたわけですが、市役所の内部を説得するのは非常に難しい状況でございました。
理由の一つは、実効性を確保する上でどうしたらよいのか、ということに関わります。つまり、条例はつくっても、それが本当に実際に条例が遵守されているかどうかチェックできるか、また、条例が守られていなかった場合にどう対処するか、ということについて、具体的な方法がなかなかみえなかった。検討に入るように職員に対して伝えても、検討作業になかなか入っていかない、提案としてあがってこないという状況が続いてきました。
そういうなかで、野田市が条例を制定しました。川崎市、そして相模原市、多摩市がそれに続きました。
いま、こうした先駆的な取組みに続こうという動きが全国でひろがっている。札幌市においても、議論をするようにすでに伝えていた経過もあり、こうした各市の経験に学びながら制定に向けた取り組みを進めようという合意が、この間できあがってきて、今日に至るわけでございます。
■札幌市で公契約条例を制定する意義は/税金のあるべき使われ方とは
札幌市が制定しようとしている条例と他の市の条例とに何か違いがあるのかというと、とくに違いはございません。その意味では、札幌市の目指す条例が特別すごいというわけではたしかにない。
しかしながら、札幌市が条例を制定するということは、札幌市において効果を発揮すると同時に、この条例が目指すものを、より多くの地域で、より多くの方々に共有していただくことができるのではないか。そういう発信になるのではないかと期待しているわけです。
仕事全体が増えないというなかで、働いても食べていくことができない、私たちの社会がどんどんどんどん貧しくなってしまっている。そういうことを容認してはならない、という共通認識をつくっていく必要があります。少なくとも、税金を使ってお仕事をしていただいているなかで、そこで実際に働いていただいている方々を苦しめているのであれば、それは税金の使われ方が、倫理的にもおかしいのではないかと私は思うのです。
税金が使われるのであれば、そこではあるレベル以上の雇用や労働が保障されなければならない。不当に高いものであってはならないことは言うまでもないけれども、安かろう、悪かろうであってはいけない。
必要な仕事に必要なお金が支払われるという原点は、常に確認される必要があると思うのです。
税金というものが、公共の仕事で働く人達の生活の糧になってもらってはじめて、税金が地域の経済循環に役立っている、地域の豊かさをつくっていくその原資になっている、と評価できるのではないでしょうか。
その取り組みを進めていかなければ、ただただ安ければよいという理屈で、入札で仕事が奪い合いになり、そのツケは労賃にむかうことになる。
どこかでそのことを阻止する、どこかで何らかの歯止めをかける、そのことがいまこそ求められているときはないのではないでしょうか。
■二省単価を割り込んだ労賃がまん延している現状/二省単価をベースにしつつ地域の事情を反映させる
ここで、労働者の賃金実態について統計数値を紹介させてください。
労働者の賃金は、いわゆる「二省単価」と呼ばれる、農林水産省と国土交通省という二つの省が決めたものを一つの基準として使います。
これは、国が発注する仕事を51種類の職種にわけまして、それぞれの職種について、賃金単価を設定します。その作業は毎年行われるわけですが、札幌市の公共事業でもこの単価をひとつの基準として使っているのです。
ですから、ある工事で、何人工(にんく)の労働者が必要であるということがわかれば、職種ごとにこの単価をかけることで、人件費の算出が可能になる。そこに管理費だとか材料費だとかを積み合わせて、予定価格を決めて、仕事を発注するわけです。
ただ、この価格は一つの目安として使われているものの、仕事を受注した事業者が実際にどのくらいの賃金を支払うかについては、規制はございません。賃金をどう支払うかは、受注した事業者の裁量あるいはそこの労使で決めていただくことになります。
さて、いまからご紹介するのは、この二省単価に対する、札幌市の公共事業での賃金支払い状況です。おおよそ900人ぐらいの労働者の賃金実態について、職種ごとのバランスを考え、把握してみました。
結果は、国が定めた価格どおりあるいはそれ以上の賃金を受け取って働いている方はおおよそ40%です。残りの60%の方々については、二省単価以下で働いているわけです。そのなかでも、単価の9割以上で働いている方が25%。8割以上9割未満で働いている方が21%。
そして、8割未満、つまり例えば2万円という単価を設定された技術者が実際には1万6千円未満で働いている、そういうケースが14%になりました。これがいまの札幌の公共工事現場の現状です。
職種にもよりますが、二省単価どおりに働いていれば、とりあえずはワーキングプアという状況は生まれてこないのではないかと思いますが、8割に満たないということであれば、相当に厳しい状況ではないでしょうか。さらにいうと、二省単価自体が年々減額されていることも考えなければなりません。
こうした状況の是正が、いま求められています。
もちろん、公契約でいう最低賃金として二省単価の金額そのものが用いられるべきかどうかについては、当該地域の経済事情や労働実態を勘案しなければなりません。ですから、これを一つの基準としつつも、札幌市が発注する仕事に対する労働の価格というものを、有識者のみなさん方に、別途定めていただこうと考えております。そして、それを下回る賃金に関しては是正をしていただく、これが私どもがいま考えている公契約条例の要の部分です。
■人間的な働き方を保障し、地域の豊かさを取り戻す契機として
もっとも、こうした取組みに対しては反対意見もあり、例えば、こういうことを実施されると、ただでさえ厳しい経営状況がさらに厳しくなると、いろいろな団体から要望書を頂戴しております。
でも、よく考えていただきたい。厳しいのは、何も建設業だけではなく、どの業種も厳しい。そして、何よりも考えなければならないのは、仕事というものは、一体何のために、誰のために行われているのか、ということではないでしょうか。
社会のために行われているこれらの仕事で、働くことが苦痛であってよいのでしょうか。働くことが喜びに変わらなければ、この社会は、下に下に螺旋状に向かっていくことになるのではないでしょうか。繰り返しになりますが、どこかでストップをかける必要があると思います。
税金を使って仕事をしていただいている、ところが、生活は貧しいままである、というそのことは、倫理的に果たして許されるのでしょうか。入札に参加される事業者のみなさんにも、そのことをご理解いただきたい。
お互いに叩き売りをして、誰も幸せになれないという状況から、どうやって、人間的な働き方を保障し、そして、地域で暮らす人達が豊かに、心安らかに生きていくことができるようになるか、考えなければならない。贅沢とは言わないまでも、労働の対価で生活していくことが可能になるような社会をつくっていかなければならない。
選択肢はそう多くないなかで、今回の公契約条例がその契機となりうるのではないか、私たちはそう考えているところでございます。
■建設という仕事の役割、仕事の誇りをいまいちど取り戻すために
繰り返しになりますが、公契約条例の目的は、仕事に対してあまりにも低い賃金が支払われており生活していくことができないという現状を、直接的には是正するものです。
しかしながら、効果はそれだけにとどまりません。
労働者が安い労賃で働き続けていれば、仕事に対して情熱をもつことができなくなってしまう、そうなれば、建設業で働く人達の確保ができなくなり、技術の伝承も困難になってしまうでしょう。つまり、建設業が内部からむしばまれるという由々しき事態に陥ってしまう。そのことを私は危惧します。
「3.11」のあの大災害からいま、復興・再建が進められています。そのなかで、建設産業の技術・技能が非常に大事であることがあらためて見直されています。
札幌という私たちのマチも、ここまで大きくなってきた過程には、研鑽を積まれたたくさんの技術者の貢献があった、建設労働者の誇りがそこにはあった、と思います。そういう人材が確保されていかないと、私たちのマチも維持していくことはできないのではないか。これからの社会整備を考えても、建設業界は、技術者養成、後継者育成という大きな課題に向き合っておられると思うのです。
■直面する諸問題の解決のためには、公契約条例の制定はもちろんのこと、総合的な対応を
もちろん今日において、ただ「頑張れ」「頑張れ」だけではすまないのは言うまでもありません。
最低制限価格というものが低すぎるというご指摘もあります。
これについては、例えば清掃や警備などでは、北海道の基準にならって、最低制限価格を引き上げましょうとさせていただきました。4月1日からの仕事に関して、適用していく予定です。建設業につきましても、同じように、そういうことに配慮していかなければならないと考えております。
公契約条例だけで全てが解決できるわけではたしかにありません。
それでも、条例は直接的なあるいは間接的な効果をもたらすものであります。また、条例をつくって実行していく過程で出される諸問題に対しても、解決を図ってまいります。
何よりも、そこで働く人達が元気に活躍できるような、そんな状況をつくっていきたいと私たちは思っております。
以上を公契約条例にかける私からのメッセージとさせていただきます。ご清聴有り難うございます。
公契約条例制定に向けてあらためての決意
今日はみなさん、遅い時間まで、本当に有り難うございます。
さて、あらためて、いまの社会の状況はどうでしょうか。どんどんどんどんとみんなが貧しくなっていく、そんな状況がうまれている、そのことは多くの方々が共有されているのではないでしょうか。
そんななかでいま何ができるのか、とりわけ行政でなければできないことは何なのか、その重要な一つが今回制定を目指している公契約条例だと私は思っています。
つまり、市が発注する仕事を通じて、正しい社会、節度のある社会をつくっていく。これはおそらく民間ではできないでしょう。事業者間で価格協定を結べばたいへんなことになりますから。
それに対して、「公共」の分野が率先していまの価格競争一辺倒の状況を是正していくことが求められているし、またこの条例は非常に有効な手段であると考えております。
いろいろと不都合が生じるのではないかと業界の方々が懸念されてもおります。
しかしながらそういう懸念というものは、よく考えてみると、当たり前のことができていない状況から発生しているのではないかと思うんです。
つまり、本当はこうあっちゃいけないんだけれども、やむを得ず競争に競争を重ねて、そうしなければ生き残れない、そういう社会をつくり出してしまった。そのなかに巻き込まれてしまっていることから生じる抵抗感ではないでしょうか。
どうしても、現状がこうであるから、今回の条例に対しても、非常に過敏な反応、警戒感を示さざるを得ないのではないでしょうか。いまでさえ大変なのに条例ができたらもっと大変になる、という思考から抜け出せないのではないでしょうか。
でも、私たちは、今日のこの「負のスパイラル」をとめなければならない。
この「負のスパイラル」というのは、誰かは助かり誰かは救われるというものではなく、みんながどん底に落ちていってしまう、そういうものだと理解しています。自分だけは現状維持できる、そういうことはあり得ません。
考えてみたらそれは当然ではないでしょうか。労働者の賃金が下がって、消費購買力を失えば、モノが売れない状況が生まれ、自治体としても、税金が集まらない事態となり、社会そのものが衰退してしまいます。
その意味でも、労働者を大事にする、ということは、使用者としても最も考えなければならないことではないでしょうか。
もちろん、経営者としても、「頑張れ」「頑張れ」と繰り返されても、これだけ競争状況が厳しければ、頑張りきることはできない。その点については、地域内で経済循環をどうつくっていくか、地域をどう豊かにしていくか、しっかり議論しなければならない。
私たち行政としては、みなさんが支払った税金を使って、どう地域を豊かにしていくかを考えなければならない。
具体的には、経営される方々に対しては、労働者を大事することが可能となるような利益を保障していくことが重要になるわけです。
公契約条例もそうですが、入札制度のなかで、地域的な条件を設けていくとか、政策的な入札制度により近づけていくよう、ご理解をいただきながら、一生懸命努力していきたい。
多くのみなさんに、条例の意味と意義、何よりも必要性をお考えいただきたい。
もちろん、問題の全てが公契約条例で解決されるわけではありません。不都合に思われることもあるでしょう。そういうことも含めて、議論は大歓迎でございます。
逆に、不都合を示されることで、ではそれらはどうすれば解決できるのかを考えていける。そうすれば、公契約条例そのものが不都合なのではなく、公契約条例を不都合に思わせてしまうような、いまの価格一辺倒の競争状況が問題なのだということがみんなで共有できると思います。
そういう後押しのなかで、私たちは、行政として、行政しかできないことで、問題解決のための努力をしていきたいと思っています。
この公契約条例に誰も「敵」はおりません。ぜひみんなで頑張っていきましょう。