沖縄県労連・沖縄県公務公共一般労組「2025年県内市町村に働く会計年度任用職員アンケート結果について」『NAVI』2025年8月28日配信
沖縄県労連・沖縄県公務公共一般労組から、第7回おきなわ地方自治の学校&県市町村議員研修会<第3講義 関連報告>にて報告された、アンケート調査結果等をいただきました。チラシ(画像)とあわせてご覧ください。
【2025年県内市町村に働く会計年度任用職員アンケート結果について】
1,はじめに—2020年4月実施の会計年度任用職員制度の経過と運用実態
*制度導入の目的 ①非正規の任用制度の厳格化・統一化 ②非正規の待遇改善
*制度導入後の現場からは期待外れの実態が・・・
・「毎年公募」「3年目のカベ」等の雇用の不安は変わらない。雇止めに遭う人も
・勤務時間が短くなりフルからパートに変更された(15分短いとパート扱い)
・ボーナスは支給されるようになったが月例給・費用弁償がカットされた
・給与表1級1号給からスタート昇給は2回で頭打ち。仕事の割に賃金低すぎる
・昇給・昇格、諸手当・退職金はなく、将来不安 等々
2,2022年6月からはじめた「誇りと怒りのアンケート」5市で実施。大きな反響
*アンケート結果(224人から回答 自由記載欄には6割が記載)記者会見
*ひとりで悩まないで3回、4回労働相談ホットライン実施。 労働相談は倍増!
*総務大臣宛&任命権者宛要求署名運動を展開 県内11市6町役場門前宣伝
3種の会計年度任用職員向けカラービラ 総計15,000枚配布・活用
*総務大臣宛署名は総計で700筆超え集め、国会・自治体要請をおこなう。
こうした非正規の置かれている現状を社会的可視化、世論・運動化するなか国・自治体をも動かす⇒総務省通知を連発して自治体に技術的助言、2024年度給与改善など
3,今回の自治体アンケート調査のねらいは、総務省が発出した会計年度任用制度の導入に向けた事務処理マニュアルQ&A改正・人事院の通知等を踏まえ、非正規公務員の処遇改善の現状、到達及び課題を明らかにするために実施したものである。
*会計年度任用職員向けビラ(裏に全自治体の現状・課題がわかる一覧表)参照
4,2025年3月~4月末実施した自治体アンケート結果から見えてきたもの
(1)自治体非正規の給与・手当の4月遡及について-県内自治体の95%が実施していたことが判明したこと。東村は独自に差額支給、伊平屋村24年度は見送り。
(2)公募についての現状とその理由について
①毎年公募:4市7町14村(計25自治体) ②欠員等がある場合公募:4市4町4村(計12自治体) ③3・5年目の公募はなくす:1市1村(計2自治体)
公募の見直しをした理由として「人事院規則の改正があったため」(沖縄市)、「国の非常勤職員の任用回数上限の撤廃に加え、実情を踏まえた見直しを図った」(名護市)の記載があった。
(3)非正規を苦しめている任用回数上限の設定および原則公募を口実に毎年雇い止めされている状況下で県内6割を超える自治体が任用回数上限を撤廃したことは評価してよい。この4月より上限を撤廃した自治体は浦添市・名護市・伊江村・読谷村・伊是名村の5自治体が新たに増えたことは私たちが現場の声を国と自治体に届け、要請したことが成果につながったことに確信を持つ必要がある。
(4)非正規にも病気休暇(私傷病)の有給化が前進―県内74%の自治体が実施決める
*病気休暇について、有給で休めると4市7町9村の計20自治体が回答した。休めるが無給は1県7市4町10 村の22自治体あったが、うち県・6市2町2村の計11自治体が今年4月より有給化したことがわかった。有給化の自治体は74%になった。しかし、有給日数が3日~5日の自治体をはじめ、多くは国の非常勤と同じ10日しか休めない。正規職員には90日あるのに比べ同等の病気休暇の改善が急がれる。両立支援休暇に関わる子どもの育児や看護、家族の介護休暇等はまだほとんどの自治体は無給状態となっており、有給化が課題である。
*夏季休暇ついては全自治体が3日以上あることがわかった。5日付与しているところが4自治体(本部町・金武町・渡嘉敷村・伊平屋村)あった。とりわけ厳しい暑さが長く続く沖縄は、EU諸国の長期休暇のように、フレッシュ休暇の有給化、夏季休暇の日数拡充は健康保持を願う多数の職員の賛同が得られる実施可能な要求である。沖縄県、県都那覇市が先陣を切り、正規も非正規もリフレッシュ休暇制度化、夏季休暇の日数拡充にぜひ足を踏み出すことを提案したい。
*結婚休暇については「考えていない」「記載なし」回答が離島の4村で制度未確立だった。離島での農漁業や観光関連産業で働く若い世代にとって働きがいと魅力ある職場づくりは待ったなしの課題となっている。
5,会計年度任用職員制度の根本的な限界と自治体に求められる公務労働の今後のあり方について―非正規労働者と現場の声が反映する制度の改革をめざす
*1会計年度限りの公務員制度の限界・矛盾に目を向け国へ制度改善の声をあげる。
*2025年4月実施した鳥取県の「時短公務員制度」に注目し、地方の実情に合った制度設計モデルをつくり、自治体職員の知恵を集め抜本改善が求められる。
(参考)
川村雅則「年度末における会計年度任用職員の離職者数全体と、大量離職通知書調査で把握された離職者数との差──沖縄の事例より」『NAVI』2024年8月7日配信