川村雅則「北海道の公立学校を支える非正規教職員(非正規公務員の教員と職員)の人数、職種など」

学校、教育現場の非正規公務員(教員、教員以外)の調査・研究に取り組むにあたって、まずは、基礎的な情報を整理してみました。

追記:データは「北海道」の分に限定されます。「市町村」の分は今後の課題です(2024年12月10日記)。修正後の数値を表2-1内に加筆(2024年12月11日記)。

 

北海道の公立学校を支える非正規教職員(非正規公務員の教員と職員)の人数、職種など

──北海道教育委員会の資料に基づき

 

川村雅則(北海学園大学)

 

1.問題意識など

 

非正規公務員の調査・研究を続けていますが、学校、教育現場の非正規公務員についてもしっかりと調べる必要性を感じています。

一つは、非正規教員です[1]

もう一つは、教員以外で学校を支える、多岐にわたる職種です。

 

まず前者(非正規教員)について。

ことは非正規公務員に限ったことではありませんが、政策を検討する上で、まずは当該労働者の人数規模を明らかにすることが基礎的な作業として必要です。ところが、非正規教員の人数を把握するのは、容易なことではありません[2]。しかも、非正規教員の任用形態・根拠は非常に複雑です(表1)。

 

表1 非正規教員の法的類型

職区分 任用形態 法的根拠 任期 勤務時間 勤務形態 教員の名称(呼称)
一般職 正規採用 地公法第17条 なし フルタイム 常勤 いわゆる「正規教員」
臨時的任用 地公法第22条の3 期間は6月。ただし、1回の更新可 フルタイム 常勤 臨時的任用常勤講師
出産補助職員確保法第3条第1項 出産予定6週前~産後8週/休業開始から14週 フルタイム 常勤 産休代替常勤講師
地公育児休業法第6条第1項第2号 1年以内 フルタイム 常勤 育休代替常勤講師
再任用 地公法第28条の4 1年を越えない範囲。原則、65歳まで更新可 フルタイム 常勤 再任用フルタイム
地公法第28条の5 パートタイム(短時間) 非常勤 再任用短時間
任期付 任期付法4条 3年もしくは5年以内 フルタイム 常勤 ──
地公育児休業法第6条第1項1号 3年以内 フルタイム 常勤 育休代替常勤講師
任期付法第5条 3年もしくは5年以内 パートタイム(短時間) 非常勤 ──
会計年度任用 地公法第22条の2第2項 一会計年度を越えない範囲 フルタイム 非常勤 ──
地公法第22条の2第1項 パートタイム 非常勤 非常勤講師

注:上林陽治(2012)『非正規公務員』日本評論社p.107の表をもとに作成
出所:原北祥悟(2022)「非正規教員の多様性と任用制度の特質」『季刊教育法』第215号(2022年12月号)p.19。

 

総務省による臨時・非常勤職員調査(以下、総務省調査)では、限界があります。「学校基本調査」の公表結果にもあたってみましたが、筆者の問題意識にこたえるものではありませんでした(【参考】を参照)。

 

次に後者(教員以外の職種)について。

筆者が思いつく職種をあげると、給食調理員や学校用務員、学校司書[3]のほか、ALT(Assistant Language Teacher、外国語指導助手)、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、あるいは、教員の働き方改革の一環で導入された部活動指導員[4]などがあげられます。

しかし、ここにあげただけではなく、例えば、教員の補助で働く職員(ボランティア含む)など、学校・教室内では他にも多くの職種が働いていることを関係者から伺いました。

もっとも、多くの職種(専門職を含む)が働いているとはいえ、非正規公務員に共通する特徴ですが、その雇用は不安定であって、時々、新聞でそのことが報じられます。直近では、東京都におけるスクールカウンセラーの大量雇い止めが大きな社会問題となりました[5]。彼らはどのような仕事をしているのか、どのような労働条件なのか──腰を据えて調べる必要性を感じています。

 

本稿はその下準備の一つとして行った作業の結果を紹介するものです。

具体的には、北海道教育委員会に雇われている臨時・非常勤職員(教員、教員以外)について、任用形態・根拠、職種、人数などを整理したものです。北海道に焦点をあてたのは、「県費負担教職員制度」[6]によって、任用されている教職員の人数が多いからです(政令市である「札幌市」も人数が多いので、順次調べていきたいと思います)。

2で臨時的任用教員を整理し、4で会計年度任用職員(教員、教員以外)を整理しました。その他に、再任用教員の情報も提供いただいたので3で整理しました。

 

既存の公表資料にあたっても状況がまったく分からなかったことを含めて筆者の問題意識を、北海道教育委員会にお伝えして、資料提供をいただきました。本稿はそれらを整理したものです(質問とご回答・提供資料の順序などは再構成しています)。北海道教育委員会にはこの場を借りて御礼を申し上げます。

 

[1] 筆者の手元にあるものでいうと(以下、同様)、最近出版された書籍では、氏岡(2023)、佐藤(2022)があげられる。また下記の雑誌でそれぞれ特集が組まれている。(1)『クレスコ』第275号(2024年2月号)「臨時教職員・会計年度任用職員が学校を支えるリアル」、(2)『季刊教育法』第215号(2022年12月号)の「特集:非正規教員増加による、学校現場への影響を問う」、(3)『女も男も』第133号(2019年春・夏号)「知っていますか?あなたのそばの非正規公務員PART2 増加する教育現場の非正規教職員」。

[2] 注釈1で紹介した書籍でも、非正規教員の人数規模を明らかにするのは難しいことが指摘されている。例えば佐藤(2022)の第2章タイトルは「公にされていない非正規教員の実数を探る」で、「文科省が非正規教員の実数の統計を取っていたのは約10年前まで」であることが紹介されている。

[3] 学校司書については、高橋(2017)、木下(2023)など参照。

[4] スポーツ庁「部活動指導員について」

[5] 「非正規スクールカウンセラー 都が雇い止め250人 撤回求める署名を提出」『東京新聞』朝刊2024年3月6日付、「「A評価」 不採用なぜ 20年超勤務、女性憤り」『東京新聞』朝刊2024年3月6日付

[6] 文部科学省「県費負担教職員制度」

 

 

 

2.「北海道」に任用されている臨時的任用教員は何人か

 

2023年4月1日を基準日とする総務省による調査(「令和5〔2023〕年度会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査」。以下、2023総務省調査)によれば、「北海道」の「教育」部門における臨時・非常勤職員数は表2-1のとおりです。

 

表2-1 2023総務省調査にみる「北海道」「教育部門」の臨時・非常勤職員数/単位:人

会計年度任用職員 特別職非常勤職員 臨時的任用職員 合計
職員数計 フルタイム パートタイム 職員数計 任用期間が6月以上 かつ 1週間当たり19時間25分以上(a) 任用期間が6月未満 又は 1週間当たり19時間25分未満(x) 職員数計 任用期間が6月以上(b) 任用期間が6月未満(y)
任用期間が6月以上(a) 任用期間が6月未満(x) 任用期間が6月以上かつ1週間当たり19時間25分以上(b) 任用期間が6月未満又は1週間当たり19時間25分未満(y)
職員数 4,860 0 0 0 4,860 506 4,354 1,299 0 1,299 1,099 990 109 7,258
3 3 0 6,162

注:本文に記載のとおり、臨時的任用職員の3人は計上漏れによるもので、実際には1099人(内訳は「任用期間が6月以上」が990人、「任用期間が6月未満」が109人)。上段の数値が修正後で、下段の取消線付の数値が修正前。
出所:2023総務省調査より筆者作成。

 

この表によれば、「北海道」の「教育」部門における臨時・非常勤職員数は、会計年度任用職員が4860人、特別職非常勤職員が1299人、そして、臨時的任用職員が3人となっています。

臨時的任用職員が3人という結果には違和感を持ちました。というのは、「期限付」「任期付」などと呼ばれて、公立学校でフルタイムで働く非正規の教員は、臨時的任用職員で雇われているにもかかわらず、この調査結果によれば、わずか3人しか採用されていないことになるからです。

(1)先行研究で指摘されているとおり、2023総務省調査(など総務省による調査)が4月1日を基準日としているのに対して、教育現場の実際では、4月1日から授業開始(始業)までのあいだに採用されるケースが多い、ことによるのか、(2)しかしその一方で、過去の総務省調査への回答(表2-2)との差が非常に大きいのはなぜだろうか、と思って照会をしたところ、じつは、2023総務省調査では、本来計上すべきものが計上漏れであったとのことでした(総務省には通知済み)[7]

2023総務省調査における「北海道」「教育部門」の臨時的任用職員の正しい数値は、1099人となること(内訳は「任用期間が6月以上」が990人、「任用期間が6月未満」が109人)、また、1099人の大部分は学校に配置される臨時的任用の教員が占めていることを教わりました。

なお、以下の表2-2は、2020年4月1日を基準日とする総務省の調査(「地方公務員の臨時・非常勤職員に関する調査」。以下、2020総務省調査)にみる、「北海道」の「教育部門」の臨時・非常勤職員数です。臨時的任用職員は787人と回答されています。

 

表2-2 2020総務省調査にみる「北海道」「教育部門」の臨時・非常勤職員数/単位:人

会計年度任用職員 特別職非常勤職員 臨時的任用職員 合計
職員数 1,687 1,268 787 3,742

出所:2020総務省調査より筆者作成。

 

その上で、以下の情報をご提供いただきました。

 

表2-3 北海道教育委員会が任用している臨時的任用等の非正規任用教員(2024年5月1日時点)/単位:人

期限付 配偶者同行休業代替 産休代替 育休代替
小学校 557 4 35 256 852
中学校 264 2 15 111 392
高等学校 160 0 4 32 196
特別支援学校 155 0 16 75 246
1,136 6 70 474 1,686

注1:「非正規任用教員」は、北海道教育委員会が非正規で任用している「教諭」、「助教諭」及び「講師」をいう。
注2:「小学校」には、札幌市を除く道内の公立小学校及び公立義務教育学校(前期課程)が含まれる。
注3:「中学校」には、札幌市を除く道内の公立中学校、公立義務教育学校(後期課程)及び北海道登別明日中等教育学校(前期課程)が含まれる。
注4:「高等学校」には、北海道が設置している高等学校、札幌市を除く市町村が設置している定時制の高等学校及び北海道登別明日中等教育学校(後期課程)が含まれる。
注5:「特別支援学校」には、北海道が設置している特別支援学校が含まれる。
注6:「期限付」とは、欠員補充や休職代替等のため、任用期限を付して採用される臨時的任用者をいう。
注7:「配偶者同行休業代替」とは、地方公務員法第26条の6第7項に基づく臨時的任用者をいう。
注8:「産休代替」とは、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律第3条に基づく臨時的任用者をいう。
注9:「育休代替」とは、地方公務員の育児休業等に関する法律第6条に基づく臨時的任用者及び任期付任用者をいう。
出所:注を含め、北海道教育委員会総務政策局教育政策課より提供。

 

表の注1でも説明されているとおり、この表に掲載されているのは、北海道教育委員会が非正規(臨時的任用等)で任用されている「教諭」、「助教諭」及び「講師」です(基準日は2024年5月1日)。

全体の人数は1686人で、最多は「期限付」で、注6に記載のとおり、「欠員補充や休職代替等のため、任用期限を付して採用される臨時的任用者」を指します。その人数は1136人と全体のおよそ3分の2を占めます。

次に多いのが「育休代替」で、注9で説明されているとおり「地方公務員の育児休業等に関する法律第6条に基づく臨時的任用者及び任期付任用者」を指します。人数は474人です。

「期限付」と「育休代替」で全体のおよそ95.5%を占めます。残りは、「産休代替」と「配偶者同行休業代替」に分類される教員です。

 

[7] 今回はそのような理由によるものでしたが、4月1日が総務省調査の基準日であるために把握されていないケースもありますから、注意が必要です。なお、今回の計上漏れの理由は、照会では分かりませんでした。

 

 

 

3.再任用教員の人数は何人か

 

先に示した表1のとおり、非正規教員の法的類型は複雑で、任用形態も様々でした。今回の照会では、北海道で任用されている「再任用」教員の人数データもご提供いただきました。表3-1のとおりです。

 

表3-1 北海道教育委員会が任用している再任用教員の人数(2024年5月1日時点)/単位:人

再任用
常勤 短時間
小学校 411 316 95
中学校 244 219 25
高等学校 450 388 62
特別支援学校 113 96 17
1,218 1,019 199

注1:「再任用教員」は、北海道教育委員会が非正規で任用している「教諭」、「助教諭」及び「講師(常勤)」をいう。
注2:「単位」は、「常勤」については実人数、「短時間」については2人で1人工とした場合の数である。
注3:「小学校」には、札幌市を除く道内の公立小学校及び公立義務教育学校(前期課程)が含まれる。
注4:「中学校」には、札幌市を除く道内の公立中学校、公立義務教育学校(後期課程)及び北海道登別明日中等教育学校(前期課程)が含まれる。
注5:「高等学校」には、北海道が設置している高等学校、札幌市を除く市町村が設置している定時制の高等学校及び北海道登別明日中等教育学校(後期課程)が含まれる。
注6:「特別支援学校」には、北海道が設置している特別支援学校が含まれる。
注7:「再任用・常勤」とは、地方公務員法の一部を改正する法律(令和3年法律第63号)附則第4条第1項に基づき任用される者をいう。
注8:「再任用・短時間」とは、地方公務員法の一部を改正する法律(令和3年法律第63号)附則第6条第1項に基づき任用される者をいう。
出所:表2-3に同じ。

 

再任用教員は1218人で、そのうちおよそ1000人は「常勤」で働いています(注2のとおり、「短時間」は2人で1人工としてカウント)。

「期限付」が1136人でしたが、それを若干上回る人数です。

人手不足が深刻化する学校現場での再任用教員の働き方にも注目する必要があります。

 

 

4.会計年度任用職員として任用されている職員はどのような職種か

 

2023総務省調査によれば、「北海道」の「教育」部門では、会計年度任用職員(一般職非常勤職員)での採用人数が5000人近くに及びます(表2-1)。このうち「教員」はどの位の人数なのでしょうか。また教員以外ではどのような職種があるのでしょうか。

残念ながら、2023総務省調査では、職種別の人数は把握されていません。

但し、2020総務省調査では、職種別の人数が把握されています。

同調査によれば(表4-1)、会計年度任用職員の職種は、「教員・講師」がおよそ半数を占めます。残りは「その他」、「技能労務職員」、「一般事務職員」、「保育士等」、「給食調理員」など多岐にわたります。

 

表4-1 職種別にみた、「北海道」「教育部門」の会計年度任用職員の人数/単位:人

一般事務職員 技術職員 医師 医療技術員 看護師等 保育士等 給食調理員 技能労務職員 教員・講師 図書館職員 その他 合計
うち事務補助職員 うち看護師 うち保健師 うち保育所保育士 うち清掃作業員 うち義務教育 うち義務教育以外 うち消費生活相談員 うち放課後児童支援員
合計 136 136 0 0 50 39 39 0 129 0 95 163 0 885 261 624 0 190 0 0 1,687
フルタイム 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
パートタイム 136 136 0 0 50 39 39 0 129 0 95 163 0 885 261 624 0 190 0 0 1,687

出所:2020総務省調査より筆者作成。

 

報道[8]によれば、北海道教育委員会では、2023年度から、「教員に代わり生徒の学習支援をする「学習指導員」と、感染対策業務やプリントの印刷、テストの採点など教職員を補助する「教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)」の配置を拡充する予定」とあります。2020総務省調査で1687人であった会計年度任用職員が2023総務省調査では4860人にまで増大したのは、上記の二つの職種の拡充が大きく影響しているのではないかと考えました。

以上のような予想を立てて、次の2つのことを照会しました。

 

  • 2020総務省調査では1687人だった会計年度任用職員が2023調査では4860人まで増大しています。この理由はいかなるもので、どのような職種が増大しているのでしょうか。
  • 2020総務省調査で1687人と回答された会計年度任用職員のうち「教員・講師」は885人です。臨時的任用職員とは別にカウントされている彼らの職名・仕事内容・働き方などはいかなるものでしょうか(筆者は、大学でいう非常勤講師のような短時間教員をイメージしました)。

 

北海道教育委員会からの回答は以下のとおりです。

 

前者については、会計年度任用職員の増加理由は、職毎の背景も異なるので、さまざまな理由があると思われますが、増加している職としては、学校における働き方改革により、学校に新たに配置されることなった職(スクール・サポート・スタッフ(非常勤)や学習指導員(非常勤))や非常勤で授業を担当する時間講師(非常勤)が増えていると思われます。

なお、学習指導員(非常勤)については、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して事業を実施してきましたが、当該交付金の終了により、令和5(2023)年度の中途で配置を終了しています。

後者については、「教員・講師」の項目には、見込みのとおり、時間講師(非常勤)や前者の質問での回答のとおり、任用時の資格要件として教員免許の保有が必要とされていないスクール・サポート・スタッフなど勤務場所が学校である会計年度任用職員などが含まれています。

 

以上のような回答をいただいた上で、職種ごとの具体的な人数を知ることはできないものかと思い、資料のご提供をお願いしてみました。この資料整理で非常にご負担をおかけしてしまったのですが、今回、ご提供をいただくことができました。表4-2です。

 

 

表4-2 北海道教育委員会における会計年度任用職員の任用状況(2023調査結果の内訳)/単位:人

職名 任用期間が6月以上で週19時間25分以上 任用期間が 6月未満 または週19時間25分未満 合計 勤務場所 所管課
小学校 中学校 義学務校教育 中学等校教
学高校等 援特学別校支 教事育務委局員会
市町村立学校
(札幌市を除く)
道立学校
1 時間講師(非常勤) 1 906 907 教育政策課
2 スクール・サポート・スタッフ(非常勤) 6 835 841 教職員課
3 学習指導員(非常勤) 0 726 726 義務教育課(当時)
4 スクールカウンセラー(非常勤) 0 403 403 生徒指導・学校安全課
5 寄宿舎指導員(非常勤) 14 370 384 教職員課
6 主事(非常勤) 200 134 334 総務課
7 退職教員等外部人材講師(非常勤) 0 265 265 学力向上推進課
8 部活動指導員(非常勤) 0 221 221 部活動改革推進課
9 民間講師(非常勤) 0 145 145 高校教育課
10 環境整備員(非常勤) 132 2 134 総務課
11 特別支援学校専門支援員(非常勤) 83 8 91 特別支援教育課
12 面接指導講師(非常勤) 0 67 67 高校教育課
13 特別支援学校看護師(非常勤) 33 28 61 特別支援教育課
14 外国語指導助手(非常勤) 0 57 57 高校教育課
15 その他 37 187 224
506 4354 4860

注:勤務場所は、要綱上、勤務場所となり得る場所であること。
出所:表2-3に同じ。

 

人数は4860人で、2023総務省調査と同じです。

職種は、事前に聞いていた話を裏付けるとおり、「時間講師(非常勤)」が907人、「スクール・サポート・スタッフ」が841人、「学習指導員(非常勤)」が726人、とこれらの三つの職種が500人を超えて多いです。そして、「スクールカウンセラー(非常勤)」が403人、「寄宿舎指導員(非常勤)」が384人、「主事(非常勤)」が334人と続きます。「寄宿舎指導員」のほか、「民間講師」、「環境整備員」など、職名だけでは仕事内容が筆者には分からない職種もあります。

その他に、話題の(?)「部活動指導員(非常勤)」も200人を超えているほか、筆者の関心がある「外国語指導助手(非常勤)」も57人と数多く働いていることを知りました。

加えて、表に記載のとおり、所管課も多岐にわたることを知りました。

 

[8] 「<学びeye>教職員の残業 依然深刻*道内中学 34%が「過労死レベル」*道教委*「働き方改革 喫緊の課題」」『北海道新聞』朝刊2023年2月20日付。

 

 

 

5.まとめに代えて

 

総務省調査では、学校(「教育」部門)で働く非正規公務員(教員、教員以外の職種)の具体的な内容の把握が難しいと感じていました。

その意味で、北海道教育委員会から提供された今回の資料は大変貴重です。非正規の教員はもちろんのこと、学校で働く多岐にわたる職種の姿が見えてきました。学校、教育現場を支える非正規公務員の実情をさらに掘り下げて調べていきたいと思います。

お忙しいところご対応をいただきました北海道教育委員会に、あらためて感謝申し上げます。

なお、本稿に残りうる誤りは全て筆者の責任によるものです。

 

 

参考文献

朝日新聞教育チーム(2011)『いま、先生は』岩波書店

氏岡真弓(2023)『先生が足りない』岩波書店

佐藤明彦(2022)『「使い捨てられる教師たち」の知られざる実態』時事通信社

木下通子(2023)『知りたい気持ちに火をつけろ!──探究学習は学校図書館におまかせ』岩波書店

高橋恵美子(2017)『学校司書という仕事』青弓社

 

大木隆史「日本で働く外国人の就労―非正規雇用のALTへの着目」『NAVI』2022年4月6日配信

三苫文靖「ALTの現場で何が起きているか(2021年度第2回札幌市公契約条例の制定を求める会連続学習会の記録)」『NAVI』2021年10月18日配信

 

 

 

【参考】

本文に記載のとおり、文部科学省による「学校基本調査」で非正規教員の人数を把握しようと考えました。同調査では5月1日時点で人数が把握されています。

同調査では、「本務者」、「兼務者」という区分で教員の人数が把握されています。同省の説明によれば、本務者とは「当該学校の専任の教職員。原則として辞令で判断されるが、辞令等がない場合は、待遇や勤務の実態で判断」することとなっており、兼務者とは、「本務者以外の者。」です(兼務者は「学校基本調査では延べ数として把握」されています)。

 

「学校基本調査」の「手引」から関係部分(図を含む)を転載すると、以下のとおりです。

1.本務・兼務の区別は、原則として辞令面によります。正式な辞令が発令されていない場合には、いわゆる雇用契約や口頭での発令(業務命令)などについても、辞令に準じるものとします。なお、学校が直接雇用しない、委託契約企業から派遣されている者等は回答しません。

2.辞令面ではっきりしない場合は、以下にしたがって回答します。

俸給(給料又はこれらに相当するものを含む)を支給されている学校を本務とし、それ以外は兼務とします。2校以上から俸給を支給されている場合は、支給額の多い方を本務とします。

②俸給が同額又は一括支給されている場合は、授業時数の多い方を本務とします。

③本校と分校の両方に勤務する教員は、主として勤務する方にのみ回答します。はっきりしない場合は、本校の調査票に回答してください。

3.本務者には休職者、産休者及び育児・介護休業者並びに産休代替者及び育児・介護休業代替者(以下休職者等という)を含めますが、兼務者には含めません。

4.会計年度任用職員(フルタイム・パートタイム)は非常勤とみなします。

5.非常勤の講師は勤務時間の長さによらず、兼務者として扱います。

6.公立学校において、再任用制度により採用された教員は、常時勤務する教員については本務とし、短時間勤務する教員については兼務とします。

 

図 本務者兼務者の区別の仕方(教員)

出所:文科省「令和6年度 学校基本調査の手引(小学校・中学校)」p.7より転載。下線は引用者。

 

加えて、「本務者」や「兼務者」の具体的な職名をみると、本務者と兼務者のどちらにも、「教諭」のほか、「助教諭」、「講師」という職名があって、「期限付」と呼ばれる者を中心とする非正規教員の人数を知りたいという筆者の問題意識にこたえうるものではありませんでした。

 

 

 

 

 

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