平井照枝「ひとり親家庭の支援の現場から──現状と課題(2025年度反貧困ネット北海道連続学習会)」『NAVI』2026年3月11日配信
※印刷の際には右上の印刷ボタンを使うと便利です
反貧困ネット北海道では、男女雇用機会均等法が制定されてから40年にあたる2025年度に、ジェンダーを軸にした連続学習会を開催しています。本稿は、2025年11月18日に開催された第4回学習会の記録です。
講師は平井照枝さん(NPO法人ひとり親とこどもふぉーらむ北海道代表理事、NPO法人ひとり親家庭サポート団体全国協議会副理事長)です。
学習会のタイトルは、「ひとり親世帯の現状と支援──国・自治体に何ができるか」としました。サブタイトルにあるとおり、国はもちろんですが、自治体には何ができるか考えることを意識しました。当日は、自治体議員が多く参加してくださいました。
不十分ながら国も、ひとり親家庭の支援制度を設けています。しかし、自治体側が手を挙げなければ実現しない制度が少なくありません。その結果、自治体によって制度の有無にばらつきがあります。逆に言えば、議員が関心をもつことによって実現する支援があります。本稿(平井報告)を議会活動にぜひご活用ください。
なお、(1)本稿中の図表や画像データは、とくに断りがない限り、学習会当日に配布されたものです。(2)本稿の文責は、反貧困ネット北海道事務局にあります。
.pdf.png)
■コロナ禍で急激に悪化したひとり親家庭の暮らし
平井と申します。今ご紹介いただきましたが、本日は、ひとり親家庭の支援の現場と国の制度、自治体の課題などについてお話させていただこうと思います。
最初に簡単に団体紹介をさせていただきます。私どもは2008年に、しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道という団体を立ち上げました。スタッフはみんなが当事者で、仕事をしながらの活動でした。2019年までは会員が140名程度で、お互いの顔が分かる活動でした。
それがコロナによって、一斉休校して仕事を休まざるを得ないとか、そもそも職場が閉鎖するなどして、大変な状況が一気に押し寄せてきました。その結果、生活に困窮する方々が私たちの団体に会員登録をして、今現在は会員が1500名弱になっています。
今は、コロナの影響が回復しないまま、逆に、物価高騰でコロナのときよりも大変厳しいというような声が毎日のように届いております。
全国の40団体で全国協議会を作りまして、全国調査を行ったり中央省庁への要望活動などをしております。北海道独自でも調査を行って、それを報告して制度の改善を求めるなどしております。本日の学習会のような、私たちの現状をお話するのも大切な活動の一つです。

私どもはフードバンクではありません。しかし、コロナのときからひたすら食料支援をしております。本当に、食べることに困るということが、この国で今起きています。お母さんは、1日1食だったりお子さんも量を減らしたりしています。そのような中での食料支援は、食べ物が届くというだけではなくて、やはり誰かと繋がることができたとか、私たちを気にかけてくれている人がいるとか、そういう安心の材料になっています。支援制度の資料を食料に同封して、何らかの公的な支援に繋がるようにという工夫をしています。
■ひとり親家庭の貧困は自己責任?
それでは、本日のテーマに入っていきます。
ひとり親家庭の貧困は自己責任ですよね?というようなことをよく言われます。まず現状からお話させていただきます。

5年に一度、厚生労働省──今はこども家庭庁が、ひとり親家庭の生活実態調査をしております。来年(2026年)が5年に一度の調査の時期になります。今ご紹介するのは令和3年(2021年)の調査結果です。
母子世帯119.5万世帯と父子世帯14.9万世帯をあわせて全国では約134万世帯です。やはり母子家庭が圧倒的に多い。北海道は、2020年の国勢調査では、母子家庭が3万8000世帯、父子家庭が3700世帯程度で、合わせて4万ちょっとの世帯数となっております。
高い就労率と高い貧困率──背景にある女性の就労の困難
ひとり親家庭の特徴の一つが、就労率がとても高いことです。母子世帯では86.3%で、北海道に限定するとさらに高く9割近くです。ですが、雇用は非正規雇用が多く、結果として、就労収入が低く、ワーキングプアの状態です。
全国の調査と北海道による調査とでは、調査方法が異なるので、厳密な比較はできませんが、北海道の状況は厳しいです。母子家庭は、100万円未満が約10%(9.6%)、100~200万円未満が30%弱(28.4%)、200~300万円未満が30%強(31.9%)、要するに300万円未満を合計すると7割(69.9%)となります。
なお、父子家庭のほうが確かに収入は高いのですが、それにより支援制度の所得制限によりひとり親家庭へのヘルパー派遣など利用できない制度もあり、児童扶養手当が受けられなかったり、ひとり親医療費助成が受けられなかったりという問題が起きてもいます。
絶対的貧困と相対的貧困の違いは、皆さんご存知だと思いますけれども、絶対的貧困は食べるものがなかったり文字通り命に関わるような状態で、相対的貧困は、その国における一般的な暮らしができない、経済的に困窮した状態です。OECDでは、「等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割って算出)が全人口の中央値の半分未満の世帯員を相対的貧困者」としています。
日本の子どもの相対的貧困率は11.5%です。人数で言えば、15歳未満では1366万人中の157万人です。ここに16歳から18歳までのうちの該当人数を足し合わせると、札幌市の人口ぐらいになるのではないでしょうか。
ひとり親世帯の相対的貧困率は、44.5%です。大人が2人の世帯の相対的貧困率は8.6%ですから、ひとり親世帯は大変厳しい状況にあることが分かります。

この図は、OECD36か国の、一人親世帯の貧困率を比較したものですが、日本は、右から2番目、コスタリカの次に相対的貧困率が高いことが分かります。
背景にあるのは、男女の賃金格差が日本ではとても大きいことです。国税庁による「令和6(2024)年民間給与実態統計調査」によれば、男性が587万円であるのに対して女性は333万円、正規が545万円であるのに対して非正規は206万円です。女性は非正規が多いですから、経済的に厳しいことが分かります。もちろん、男性の非正規雇用も2割を超えていることは押さえておく必要があります。
子どもがいることで男女の賃金格差はさらに広がります。女性は、子どもがいることで、就労を抑えなければならなかったり仕事を辞めなくてはならなかったりする。子どもを育てるにあたって、夫婦どちらが仕事をあきらめるかといえば、やはり女性です。徐々に改善されてきてはいますが、出産を機に仕事を辞めている女性はなお多い。一度正規雇用から外れると、子育てが落ち着いて再び働こうと思っても正規雇用に戻ることは難しいし、子育てとフルタイム勤務の両立も難しい。結果、男女の賃金格差は拡大することになります。
■ひとり親家庭の社会保障
ひとり親家庭の社会保障についてみていきます。この国の母子家庭の支援は、戦争未亡人から始まりました。夫が戦争に行って亡くなった。残された家族を扶養するために遺族年金という制度ができました。私も15歳で父を亡くしておりますので、遺族年金のお世話になりました。
児童扶養手当の制度問題──遺族年金との比較で
遺族年金と児童扶養手当の比較をしてみます。

注目をしてほしいのは、遺族年金制度の場合、年収が850万円未満までは年金の減免停止がないことです(注:2028年4月から遺族献金の所得制限が撤廃(子がいない場合は5年の有期に変更))。ですから遺族年金を受けながら就労をして生活の基盤を作っていくことができます。また、よく言われるのは、「児童扶養手当は給付だけれども、年金は保険料をちゃんとかけていたのだから受け取ることができて当然なんだ」というようなことですが、遺族年金には特例があります。遺族基礎年金は、65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月まで1年間保険料を滞納しなければ給付になります。ですから、極端な例で言えば、保険料をかけて2年目に亡くなったとしても、最低金額が保障されます。
一方で、離婚や非婚のひとり親家庭に支給される児童扶養手当はどうでしょうか。よく勘違いされるのは、月額1人4万6690円ですから、子どもが3人いたらこの金額かける3(人分)を受け取ることができるのではないか、ということです。実際にはそうではなくて、2人目は約1万円です。3人目はずっと5000~6000円でした。やっと少し改善されて、2人目以降は同額になりました。でも、子どもが3人いても、月額で6万8759円です。また、子ども1人の場合でも、年収が190万円を超えると減額されていきます。
お子さん1人を育てながら年収で190万円は厳しいと思うのですけれども、190万円を超えると児童扶養手当は減額をされていきます。満額での受給はできません。制度設計としては、就労収入と児童扶養手当を合わせた合計収入が上がっていく設計ではあるのですが、年収が385万円になると児童扶養手当は支給されません。
さらには、ひとり親の医療費助成が受けられなかったり、小学校中学校ですと就学援助が受けられなかったりなど、収入の逆転現象が起きて、大変厳しい状況に陥ることになります。本日もメールで相談がありました。収入が若干超えたことで児童扶養手当が止まってしまい就学援助を受けられなくて大変厳しい状況です、と。
収入の算定にあたって、社会保険料分は8万円しか考慮されていません。実質額ではないのです。この制度ができたとき、離婚者には専業主婦の方が多かったことによるのではないかと思います。この点は、国の委員会でも指摘をするのですが、改善がされません。一方で、養育費は8割まで収入に入れられることになっております。
なお、iDeCo(「個人型確定拠出年金」)は、掛け金の全額分が、収入の算定にあたって考慮されるというメリットがあり、ひとり親の方々に伝えたいポイントです。
以上のように、遺族年金は年収850万円まで受けられて、児童扶養手当は年収385万で停止されるというような格差があります。
社会保険制度から漏れるひとり親世帯
日本は、皆保険制度だと言われます。今は、職場の社会保険に加入できる条件がだいぶ緩和されましたから、非正規雇用でも社会保険に入ってる方は多くなりました。しかし、例えば非正規雇用を掛け持ちで働くなど、社会保険に加入できずにいる方は少なくない。厚生労働省の「令和3(2021)年度ひとり親世帯等調査」によれば、健康保険に未加入のひとり親は3.8%、公的年金未加入が10.8%、雇用保険に未加入が28.2%です。病院に行けない、老後の生活に影響を受ける、失業しても生活保障がない、という状況がこれだけの規模で確認されます。預貯金も、50万円未満が約4割です。
コロナのときは、大手の企業の場合には休業補償もありましたが、小さな企業ではそのような補償も受けられなかった。パートナーがいてももちろん大変だったと思いますが、子育てを含め1人で担わなくてはならないお母さんたちは本当に大変だったと思います。
子どもが病気や障害を抱えていたりご自身も病気を抱えていたりするケースもあります。ダブルケアと言われますけど、親の介護も担いながら子育てもする。安定した収入の仕事を得るのは極めて厳しい状況にあります。
実施/利用されぬ支援制度
一方で国の制度に、「ひとり親家庭等日常生活支援事業」という制度があります。実施主体は自治体で、民間に委託して行われています。昨年全国調査が行われたのですが、これはとてもよい制度です。ひとり親家庭にヘルパーさんが派遣されて、子どもを預かってくれたり食事の支度をしてくれたりする。利用料も大変安い。ところが実施をしている自治体が大変少ないのです。また実施をしていても利用率が少ない状況にあります。

このシートにあるとおり、家事や子育ての手助けがなくて離職・転職をしたり正社員・フルタイム雇用をあきらめたりしている人は少なくない。子どもの貧困対策の研究を長年されている、北海道大学名誉教授の松本伊智朗さんがおっしゃっていたのですが、家族ケアをするために仕事を辞めなくてはいけなくなると、家庭は本当に困窮します。
なお、シートには、ヤングケアラーにも関わるような状況の発生が示されています。
この事業は、実施している自治体が少ないし、利用者も少ない。北海道では回答者のうち7%の利用実績しかなかったのですが、全国では4%ぐらいでした。ただ、こども家庭庁に調査結果を持って行ったことが反映してか、生活支援のヘルパーさんの時給が改善され、時給4400円が支払われるようになりました。
もっとも、この事業は自治体負担があるものですから、提供者の時給を4400円にすると、自治体の負担分が増えるということで据え置いている自治体もあるようです。札幌市は4400円になったのですが、近隣の市に聞いたら、去年のままですという回答でした。自治体負担を減らして、できれば国が100%負担の制度にして欲しいということもお伝えしています。
■離婚共同親権で懸念されること
来年(2026年)の4月1日から民法が改正されて、離婚後に共同親権の選択肢が増える制度が導入されます。マスコミでは、「選択をすることができる」という報道が見られるのですが、これは誤りです。共同での子育ては無理ですと片方が言っても、もう片方から裁判所に申し立てられると裁判所の判断に委ねられます。結果として、あなたたちは共同で教育できるから共同で養育しなさいと裁判所に判断されるかもしれない。
制度の審議にあたって法務省が調査を行いました。未成年時に親の別居・離婚を経験した子が対象です。

結果をご覧いただければ分かるように、子どもたちは家庭の中で何が起きているかをきちんと把握しております。暴力や子どもへの虐待があります。下の表をみると、悲しかったとか、ショックだったとかが多い一方で、ホッとしたとか、嬉しかったもある。そもそも、この調査は複数回答可です。つまり、ショックだったけれどもホッとしたという回答も可能性があるわけです。この調査結果は、そういうことも考慮してみる必要があります。
離婚家庭内にみられるDV問題
DVについても、殴る蹴るというケースばかりではありません。先日『五月の雨』という映画の上映会を行いました。映画の中で、洗面所に髪の毛が1本落ちていたという場面がある。その1本を夫が持ってきて、髪の毛が落ちてたけどどういうことか説明して欲しいと妻に迫ります。ごめんなさいと妻は謝るのですが、夫は、謝って欲しいのではなくてなぜ髪の毛が落ちていたのか説明をしなさいと執拗に迫る。怒鳴ったりするわけでは決してないのですが、一緒に暮らすことで恐怖がわいたり、夫の顔色を常に見なければならなくなる。相手を支配しコントロールすることをDVと言いますので、そういう状況が家庭内であるということもぜひ知っていただきたい。

協議事項が9割と先ほどお伝えしました。離婚の理由については「性格の不一致」が最も多いと報道されるのですが、合計1000人に尋ねた複数回答可の調査では──赤い線で囲んだ箇所ですが──性格の不一致が636人の一方で、身体的な暴力、精神的な暴力、経済的な暴力、生活費を渡さない、子への虐待を足し合わせると564人になります。性格の不一致で片付けることはできない離婚が多いのではないかと思います。
内閣府の調査でも、4人に1人の女性が配偶者から暴力を受けたという調査の結果があります。もちろんDVには女性から男性へのDVもありますし、同性同士のDVもありますが、まだまだ女性のほうが被害が大きいのが現状です。
このことは、子どもに直接的な暴力や虐待がなくても、面前でそういう状況を見せられていると、子どもにも本当に大きな影響があります。面前DVと言われて、子どもにもPTSDなどの症状を引き起こします。離婚後、子どもが問題行動を起こしたり不登校になったりひきこもりになったり、あるいは母親に暴言を言ったりすることがあります。離婚する前はちゃんと学校にも行って落ち着いていたのに離婚したせいでそうなったんだというような言われ方をするのですが、これはそうではなく、離婚前の抑圧された環境の中では、感情が出せなかったのが、安心した場所に行くことでやっと感情が出せたり自分の思いを出せたりできることの現れであるのです。
DVを受けた後の親だけではなく子に対する、公的なケアを受けられる仕組みが日本にはありません。ですから、離婚したせいでそうなったと周囲からは思われる、母親自身もその責任を負わされてしまう。
受給できない養育費──経済的困窮
養育費を受給できているのは、28.1%、3割弱です。日本では、9割が協議離婚で裁判所を通さない。ですから、ちゃんとした公正証書などは作られていない。そもそも、離婚してくれるなら養育費も何も要りませんというような状況で離婚する方もおりますし、養育費の取り決めをしても、数年で払われなくなる状況もあります。
この共同親権制度が国会で審議された際に、何人かの議員さんは、養育費も国が立て替えて責任を取ってはどうかという質問をしてくれたのですが、国の答弁は、それはモラルの問題なので国は介入しないという内容でした。でもそれはおかしな話です。
というのは、共同親権制度については、よその国が実施してるから日本も実施するという説明であったのに、養育費の建て替え制度については、よその国の制度が参考にされていないのです。アメリカでは、立て替え制度があって国が徴収を行いますし、韓国は罰則制度があったり他の国でもバスポートが取れないとか免許証の更新ができないなどの制度があります。しかし日本では、こうした点は参考にされなかったのはとても残念に思っております。
共同親権制度で懸念されること
戦後に今の憲法ができました。それまでは家父長制度で、親権は父親しか持つことができませんでした。新しい憲法の下で夫婦の両方が親権を持つことになりました。離婚後は日本は単独親権ではありましたが、10年前に民法766条で、今後の教育のことや面会交流などが取り決められて、離婚後も共同で養育するようにという法律ができました。しかしそれは共同親権とは別の話です。
なぜ今共同親権制度が出てきたかといえば、子どもに会わせてもらえないというような別居親の方々が熱心に活動したことも背景にありました。仕事から家に帰ったら妻と子どもがいなかった、これは連れ去りだとか、なかには、誘拐だとか表現する方もおられます。それに対して、ひどいと思われる方も多いでしょうけれども、ただ、先ほど話したDVなど、別居前に家庭がどのような状況があったかは十分に知らされていないと思います。

親権には、身上監護権、財産管理権などがありますが、重要事項決定権として、子どもがどういう教育を受けるかとか、どういう医療行為を受けるかとか、一番大きいのは、どこに住むかといった問題があります。
これは、今の単独親権下でも、子どもについては良好な関係を保ってちゃんと実現できているケースは多いです。これが新制度下で、強制的に共同親権を裁判所が決めた場合、果たしてうまく実現できるでしょうか。この高校に行きたいとお子さんが言ったとき、お母さんが転勤になったとか親の介護で引っ越しをしたいと言ったとき、別居親が反対をすると実現ができなくなります。これが共同親権制度です。
関係性がよい離婚夫婦ではそもそも共同親権は必要ないのです。関係性が悪い場合に共同親権が持ち込まれ、そして大きな問題が起きることが懸念されます。離婚した親に関することでしょという捉え方が一般的で、行政や学校機関、医療機関の方々がこの点をまだまだ理解されていないと感じます。来年(2026年)4月1日からの施行が懸念されます。
子どものことを思えば、共同親権を盾に子どもに医療行為を受けさせないことなどあるわけない、と思うかもしれませんが、実際に大津市で、娘の手術について説明がなかったという理由で病院を訴えた別居親の方もいらっしゃいます。あるいは、思い出していただきたいのですが、コロナのときのワクチン接種についても、家庭内でも賛否があったのではないでしょうか。いろんな問題が起きてくることを想定し、対応を考えていただけるとありがたいです。
■物価高で深刻化するひとり親家庭の窮状
食べることに困る日々

今年の夏に調査を行いました。夏休みに「1日2食以下」になる子どもが41%もいました。給食のない長期休暇にはこういう状況になります。
もちろん、中には、寝坊して朝ご飯を食べないという子もいるとは思いますが、記述内容を見るとそうではない状況が分かります。
私たち北海道でも、夏休み、冬休み、春休みには食料支援を行っています。その際にアンケート調査票を添えます。そうするとアンケートに必ず回答してくれます。春休みより長期の夏休みのほうが厳しい生活状況が確認されます。
シートの右の図ですが、お米が買えなかった割合が若干増えているほか、体を作るタンパク質である肉や魚も買えなかった割合が増えている。そして、おやつを我慢している。おやつは補助食でもあるし、お子さんの心の栄養でもあると思うのですが、買うことができていない。ですから、夏休みはおやつをちょっと多めに発送させていただきました。
札幌市以外の学童保育については分からないのですが、夏休み、冬休みには、学童保育にお弁当やおやつを持っていきます。そうすると、自分の子どもだけおやつを持っていかないわけにはいきませんから、お母さんがお昼を我慢して子どものおやつを買うという状況もある。弁当を持参させられないとなると、学童保育にも行かせることができず、うちで1人で留守番をさせることになる。
自治体による工夫事例
八王子市では、給食センターを不登校だったり学校を休みがちな子の居場所にしているそうです。子どもは事前に予約しなくても各地区の給食センターに行ってお昼給食を食べることができる。夏休み、冬休みについても、毎日ではないのかもしれないのですが、給食センターが稼働していて、そこで食事が提供されていると伺いました。自治体がやる気になってくださればできることがある。
札幌市に対して、夏休みや冬休みに何日かでもよいので給食センターを稼働させてもらえないか、牛乳やパンを児童クラブに届けることはできないか、と要望をするんですけれども、予算の制約もありますから、なかなか難しいようです。とはいえここまでくると、家庭の責任ではもうどうにもならない状況になっている。子どもの成長に必要な食事について国は責任を持って提供して欲しいと思います。
衣類・靴や学用品の購入の困難

衣料費や靴の費用に苦労している様子が読み取れます。学用品は必要だから何とか揃えるけれども、玩具はそもそも諦めているような状況を感じます。学校の先生方とお話をすると、かなり無理をしたサイズの靴で我慢しているお子さんもいるそうです。
学用品について文科省からは、学校の備品を増やすようにという通達も出ております。ただ通達は出されたけれども費用はまだ出されていません。例えば、鍵盤ハーモニカや習字道具、絵の具など、小学校は義務教育ですが、購入するものはたくさんあるんです。以前から思っているのですが、鍵盤ハーモニカは、ホースだけを買い換えればよいのではないでしょか。洗浄をして代々使っていくことはできないのか。ものを大切にすることにも繋がると思うんです。そういうことを始めている自治体もあると聞きます。それから、年に数回しか使わないスキー道具も負担が重いです。卒業生が置いていってくれる学校もあるのですが、サイズが合わないなどで、どうしても買わざるを得ないこともある。
追い詰められるひとり親家庭の暮らし
調査を行うとたくさんの自由記述が寄せられます。
子どもは成長して食べる量も増えているのに物価がどんどん上がっているので躊躇してしまいます。買いたいものを十分に買えない状況です。
靴や衣類類もすぐにサイズが合わなくなる。なるべく安いものを探して購入していますが、ジャージは膝に穴が空いてもそのまま使っている。
お米が高くて買えません。普段はパンと麺類で締めております。
食べ盛りでおにぎりを三つ持って行っていたのを一つ減らしてくれました。病気で私も栄養を取らないといけないけれど、なかなか取れません。
ご飯をちゃんと食べさせてあげられないと、お母さんが罪悪感を持ってしまうんですよね。ちゃんと食べさせられない自分が本当に情けないというか、申し訳ないと思ってしまう。
冬季の暖房については、いつも我慢しているが47.5%で、時々我慢している(47.8%)とあわせると、95.3%を占めます。我慢したことがないのはわずか4.7%でした。おなかをすかせて暖房を我慢している状況というのは本当にせつないです。涼しい場所へ避難しましょうという呼びかけが夏場にはありますが、冬場もそういう仕組みが必要ではないでしょうか。
医療費負担、受診抑制をめぐる問題
医療費負担や受診抑制をめぐる問題にもふれます。


一枚目のシートは、子どもを受診させたほうがいいと思ったが、実際にはさせなかったことはあるかを尋ねたものです。二枚目のシートは、ご自身について受診をしたいのにできなかったことがあるかを尋ねたものです。ご覧いただくと分かるとおり、お子さんよりもご自身の場合で受診抑制が多いという結果になっています。
母子世帯の数値でみると、お子さんを受診させなかったことが「あった」が4人に1人、ご自身が、行きたいのに行けなかったことが「あった」は46.6%です。理由については、「時間がなかった」も多いけれども、「お金がなかった」も多いという結果になっています。
ひとり親医療費助成制度の課題

ひとり親医療費助成という制度があります。市町村が実施して、北海道は実施費用の2分の1を補助しています。ただ、「子どもの通院」に助成はしていても、「親の通院」を助成している自治体はとても少ない。道内は35市ありますが、そのうち8市のみです。町村では30町村のみです。
費用負担の問題を考えると、具合が悪くても通院を控えてしまいますよね。我慢して我慢して大変なことになってはじめて病院にかかるという状況があります。親の健康は子どもの生活にストレートに影響しますから、ぜひ自治体でも、ひとり親の通院に対して助成をして欲しいと思います。札幌市では、昨年(2024年)から、非課税世帯に対しては助成がやっと始まりました。
道内の各自治体に広げていくためには北海道からの支援が必要で、そのことは北海道の委員会でもお話をするのですが、実施の判断をするのは自治体ですから、なかなか難しいです。
本日は、自治体議員の方の参加が多いと伺っています。自治体によって制度が有ったり無かったりする現実があります。その中には、例えば国家資格の取得に関する事業もあって、ある自治体からよそに引っ越したお母さんが、社会福祉士の資格を取ろうと思って申請をしたらうちの市ではその事業はやっていませんと言われてしまった、という相談が寄せられました。ぜひご自身のマチの状況をお調べいただき、制度を充実していただければと思います。
■傷つく窓口──相談で傷つけられるひとり親
困っていることがこんなにあるなら相談をすればいいのに、とよく言われます。でも、相談というのはとてもハードルが高いことなんです。自分の困り事をどこでどう相談すればよいのか。包括支援とは言われますけれども、現実には役所は縦割りです。

ひとり親になったらまず児童扶養手当の申請をしに行きます。児童扶養手当の申請は、いろいろな制度に繋げるという目的もあるのですが、一方で、事実婚の事実などはないかどうかの確認審査が行われるために、お母さんたちはいろいろなことを聞かれます。
事実婚の方には手当を支給しないというのは当然なんですけれども、この事実婚の定義というのは、「頻繁な訪問、かつ定期的な生活費の仕送り」で、訪問と生活費の支援が合わさって事実婚なのです。ところが、この「かつ」が抜けている自治体がありました。実は、札幌市も抜けていました。気がついてすぐに担当の部署に電話をして、修正をしてもらいました。
これが抜けていると、そういう質問ルールになっているのか、付き合っている男性はいませんか、とか、いる場合には週に何回遊びに来ますか、家に泊まりますか、生活費はもらっていますかなど、窓口で質問を受けることになります。離婚して精神的にもまいっている中でそうした質問をされると、二度と相談になど行きたくないと思ってしまうことになる。
2020年と今年(2025年)にこのことを対象にした調査を行っているのですが、結果はあまり変わっていませんでした。
窓口訪問が相談に繋がっていない現実
この児童扶養手当については、毎年8月に、収入がどうなっているかなど「現況届」を提出しに役所に行くのですが、そのときに相談場所がちゃんと設けられていたかを尋ねたところ(n=2002)、「相談場所がもうけられていた」は21%です。「暮らしや仕事に役立つチラシがあった」は17%です。相談場所もチラシの設置もなかった(「上記は何もなかった」)っていうのが56%です。
相談場所があったという方(n=475)に、相談を利用したかを尋ねたところ、「相談を利用した」はわずか14%です。
以上のように、ほとんどの方が相談に繋がっていない状況です。
逆に、異性との交際に関する質問はありましたかという調査では、口頭で質問されたが20.4%、書面チェックで質問されたが30.3%で、合計5割です。事実婚の状況はありますか、という聞き方だけでいいと思うんですけれども、一つ一つ質問されるような状況があります。
相談すればいいのにといくら言われても、窓口がこのような状況ですから、避けがちになってしまう。
相談することに二の足を踏ませてしまう現実

児童扶養手当の現況届の窓口は困ったときに相談できるかと尋ねると、「そう思わない」がとても多くて38%、「どちらかといえばそう思わない」(27%)も含めると、3分の2を占める状況です。
本日も道南の方からの相談がありまして、ひとり親の自立センターや生活困窮の相談窓口が地域にはありますから、ぜひそちらにも相談して地域で繋がって欲しいということを何度かお伝えしたのですが、やはり離婚したときの児童扶養手当の申請の際に嫌な思いを経験していて、行政に行くのは怖いとおっしゃるわけです。今あげた相談機関は行政ではないのですが、こうした相談に二の足を踏ませてしまう状況があるのだと思います。
画期的だったのは、コロナで、現況届の郵送による提出を認めてくれる自治体が増えたことです。それはとても助かったと思います。直接持参してくださいという自治体がなお主流で、2025年調査では7割の方が役所に持参しています。
もちろん、それは悪いことではないんです。というのも、役所に来てもらうことで本来は各種の相談に繋げることが可能になるわけですから。ただ、実際には、書類を持参したけれども、先ほどみたように、相談場所もなかったという回答が半数を超えていますから、足を運ぶ必要性をあまり見いだせない状況にあると思います。私たちの調査では、オンラインでスマホで現況届を提出している方も6%ほどおりました。これだと私たちも負担がありませんし、役所の方も、事務作業が簡素化、効率化されるのではないかと思いました。
不正ありきという発想ではなくて、適切に手続きをすることで、お互いに楽になって傷つくこともなくなるようになって欲しい。「傷つく窓口から傷つかない窓口へ」の転換が求められています。そうすれば、相談に行こうと思う人が増えると思うんです。
傷つく窓口から傷つかない窓口へ

これは、来年度(2026年度)のこども家庭庁の予算概要です。「傷つく窓口から傷つかない窓口へ」というのは私たちの調査の報告書で使った言葉です。国は、相談業務を強化しようとしていて、心理の専門家だったり福祉の専門家だったりを新たな事業で配置しようとしています。児童扶養手当の申請時に様々な専門家が対応して相談に繋げるということも書いてはいるのですが、それを実際にやってくれている自治体が本当に少ないのが現状です。
市町村が3分の1の負担です。現況届の提出時に相談支援をするというような事業は、何百万円もの経費がかかるわけではありませんから、ぜひ役所を訪問した機会が活かされる事業が実現すればと思います。
■私たちにできること、理解から共生の社会へ
では、私たちに何ができるかを考えてみます。
「生存の欲求」充足への公的支援の必要性

このイラストは心理の勉強をされる方はよく目にするもので、欲求には段階があることを示しています。一番の基礎は食べる、寝るという生理的な欲求です。それが満たされて次は安全欲求、社会的欲求に高い次元の欲求に繋がっていく。
20年間ぐらい前から母子家庭に居住支援をしている方から、日本は住宅支援がないことの報告を聞く機会がありました。ホームレスに対する住宅支援は行われるようになってきましたが、例えば、DV避難をしてきた方や、屋根はあっても、友達のうちに住んでいる方やネットカフェで暮らしている方など、住宅で困っている方は多い。お金がなければ非常に狭い家しか借りられず、1LDKで親子3人で暮らしていたり、あるいは、広さを求めれば、古くてちょっとカビが生えているような家を借りざるを得ない現実がある。
家庭で安心できる学習環境を整えましょうと言っても、そういう環境がそもそも期待できない。公営住宅が日本は少ない。住宅の確保が難しい人に対して、家探しから入居後の生活サポートまでを行う居住支援法人が日本にもできましたけれども、実態はまだまだです。私たちには住宅支援だけでなく、居住支援が必要なんだというお話をされていて、本当にそのとおりだと思いました。
ひとり親、とくに母子家庭は、賃貸住宅が多いんです。6年前に震災がありました。震災で賃貸住宅が被害を受けても引っ越す費用がないと安全な場所への引っ越しはできません。マズローの欲求段階の基礎の部分は、公的な費用で支援をお願いしたいと考えています。
諦めの積み重ねで学習される無力感
子どもの貧困は命に関わるわけではないかもしれない。例えば、生活保護を受けている世帯の高校生は、教育扶助ではなく生業扶助なんです。つまり、働くための支援なわけです。ですから、修学旅行の費用は出ないんです。あるいは、毎月のお小遣いがなければ、定期試験が終わったからみんなで打ち上げに行こうとなっても、行けないですよね。ちょっと用事があって、とか理由をつけて仲間に入っていけない。どちらも、命に関わる問題では、たしかにありません。
でもそういう小さな諦めがいくつも重なることで、自分にはやはり価値がないのかなという気持ちが形成されていく。そういうことが子どもの貧困です。子どもの貧困は、人権問題だと捉える必要があるのですが、それは家庭の責任である、という解釈をされてしまっている。
子どもの貧困対策法ができて10年です。子どもの貧困対策を推進する法律なのだ、と「推進」という言葉が入りました。理念には、国が責任を持って貧困対策を行うとうたわれているものの、実際には、長期休暇の子どもの食事の支援さえままならぬ状況です。
ひとり親の現状にあわせた支援と、制度の充実・利用の拡大を

シート左に示したとおり、ひとり親にはいろいろな状況があります。離婚前後であったり、ある程度落ち着いたけれどもまだ収入が安定していなかったり、お子さんがある程度成長して自立しそうだけど今度は自分の今後の人生が不安定な状況であったり、それぞれの時期にあわせたサポートが必要だと思っています。
シート右のとおり、補助率の情報などは書いていませんが、いろんな制度が本当はあるんですよね。予算概要でも本当にいろんなプログラムがあるんですけれども、先ほど言ったように、自治体が手を挙げてくれないと、そこに住んでいる方々が支援を受けられない立て付けです。
例えば、下から二つ目の「ひとり親家庭住宅支援資金貸付金」も、技術支援センターで自立支援プログラムを作ってくれると、家賃が上限7万円まで1年間貸し付けてもらえます。そして、プログラムを開始したときよりも収入が上がれば、返還が免除になるというとってもいい制度なんです。
札幌には、札幌市内に自立支援センターがありまして、利用者が増えているとお聞きしました。ですけれども北海道は広いのに、札幌市を除いて道内には6か所しか自立支援センターがないのです。その結果、センターが広域で担当をしていて、例えば、石狩市にお住まいの方はわざわざ室蘭まで行かなければならないんです。お母さんが仕事を休んで室蘭まで相談に行けるかと言うと無理ですよね。制度はあるけれども、その制度を利用する人のことまで十分に考えられていないというのが実態です。
上から三つ目の「高等職業訓練促進給付金」というのは、スキルアップのために国家資格を取得する人に対して月10万円の生活費が支給されます。ところが北海道で聞いたところ、1年間で30人しか利用されてないのだそうです。1年間でですか?と聞き直したぐらいです。制度が知られていないのか、何か利用しづらいのか。利用実績が予算よりも少ないと、事業が縮小されてしまうんですね。
教育費負担と、高等教育無償化に関する課題
本日は、学生さんがたくさん参加してくださっていると伺っています。大学を受験するにもお金がかかりますよね。共通テストで1万8000円、前期、後期の受験、私立大学の受験。しかも、同じ大学でも複数の学部を受ければその分だけお金がかかります。授業料もさることながら受験の段階でまずお金がかかります。
これも国では、大学受験料を1人5万3000円まで負担するということになっていますし、中学や高校の模試の試験にも助成する制度があるのですが、札幌市はまだ手を挙げてくれておりません。道内で手を挙げている自治体も、まだ聞いていません。
高等教育の無償化が始まっています。所得によりますけれども、第1区分ですと、授業料免除と給付型の奨学金を合わせて、自宅外通学の場合、4年間で最大670万円が支給されます。
ただ、支給継続には成績要件があって、成績は、半年ごとに審査をされます。ちゃんと通るのかいつもハラハラしてるという話をお母さんから聞いたことがあります。収入が必要だからといってアルバイトをしていて、うっかり試験の結果でも悪ければ、支援がストップしてしまう。実際、専門学校に通ってる娘さんが今年の4月に支援を廃止されたとお母さんから聞きました。廃止の前に警告などはなかったのかと思うのですが、支援が停止されてどうしていいか分からないという相談がありました。退学をしてしまえば、そく返済が求められます。また支援停止なので、学生支援機構による貸与型奨学金を利用することはできません。教育ローンなど借りてでも卒業する道を選択することになりましたが、本来は、安心して勉強ができる制度設計になって欲しいと思います。
それぞれの立場でできること
それぞれの立場でできることをまとめました。

国には、これだけ多くの事業をつくるのであれば、自治体負担を減らして欲しいし、所得制限をなくして対象範囲を広げて欲しいと思います。
自治体には、国のプログラムに手を挙げて事業を実施して欲しい。財政の問題もありますから独自の支援はなかなか難しいと思いますが、自治体独自の給付型奨学金や医療費の助成などを実施したり、児童扶養手当の現況届の提出時の相談窓口を設けるなどして欲しい。相談窓口は、費用はより少なくて済むと思います。子どもの預け先も重要です。これからインフルエンザも流行っていく中で、仕事を休まなくてはいけないとなれば、非正規雇用で時給で働いているお母さんは大変です。
企業に一番求めたいのは安定した雇用契約です。最近は、NPOがビジネス化して資金確保にチカラを入れているのに対して、逆に企業がSDGsや社会貢献にチカラを入れています。でも何よりも企業には、安定した雇用、普通に働いて普通に暮らせるような給与を求めたいです。妊娠して出産しても働き続けられる環境を整備したり奨学金の返還を支援している企業も増えてきています。そういう事業にも企業と行政が積極的に連携して欲しいと思います。ベビーシッター事業にはぜひ登録してもらい、ベビーシッターを社員が必要な状況になったら、それを利用させて欲しい。
地域には、例えば居場所作りを求めたい。小1の壁と言われますが、それまでは朝早くに預かってもらえたのが、学校はそんなに朝早くに入れない。となれば、お母さんのほうが先に仕事に行かなければならない。でも、ストーブなど火の元とかも心配ですから、結局お母さんと一緒に学校まで行って、寒い外で待っているというような状況があります。放課後のお子さんの預かりはそれなりに進んでいるんですが、朝の子どもの居場所がありません。いまある施設を活用するなど地域でそういう場所を作れないか。他には、制服代が高くて入学を諦めるという現実がある中で、制服のリユースを進めることもあげてみました。
個人に求めたいのは、本日お話しさせていただいたような、ひとり親家庭の現状を知っていただくのが何よりもお願いしたいです。その上で、子育て支援団体の会員になっていただいたり、ボランティア登録をしてくださったり、支援団体への寄付などもお願いできればなと思います。
本来の力を発揮できるように──「わたしたちの生きる宣言」
私たち全国協議会では、「わたしたちの生きる宣言」というのを作っています。お母さん方にも配って、冷蔵庫に貼ってください、時々読んでください、とお伝えしています。

ダイバーシティ、多様性が叫ばれる割には、この国では、家族構成の標準的なかたちは、お父さんがフルタイムで働いて、お母さんは家庭を守り、外では補助的な仕事に従事する。そして、子どもは2人、というのが社会保障と税制の標準世帯になっています。でもそんな標準世帯は多数派ではありません。多様性という考えを家族のかたちにも取り入れて欲しい。
親として子どもを大切に思うのは自然なことですが、お母さん、お父さんには、自分自身も大切にして欲しい。あなたたちのために、あなたたちのために、と必死に頑張っている姿を見せられ続けると、子どもたちも苦しくなっちゃう。お母さん、お父さんも笑顔じゃないと。だから、困ったときは助けてって言えるのはとても大事です。助けてもらうのは迷惑をかけることではなくて、必要なことだよっていうメッセージを発信しております。
シングルマザーは大変だけれども可哀想な存在ではありません。支援を受けるだけの存在ではありません。一時的に力をなくしている方もいるけど、適切なサポートを受けることで、きちんと社会で貢献できる力を持っているんだということを発信させていただいております。
是非そのことをご理解いただけるとありがたいと思います。
ご清聴をありがとうございました。