首都圏青年ユニオン「【争議報告】ノジマ団体交渉報告」『Union Newsletter』第294号(2025年9月号)
この記事は、首都圏青年ユニオンが発行するUnion Newsletter第294号(2025年9月号)からの転載です。どうぞお読みください。
【争議報告】ノジマ団体交渉報告
記事:石田晴朗
はじめに
みなさんこんにちは。首都圏青年ユニオンの石田晴朗です。今回は私が組合員として初めて参加したノジマでの団体交渉について、報告させていただきます。
要求点
今回の団体交渉で、主に要求したのは4つでした。1つ目の要求は賃金を1分単位で計算し、過去の未払い賃金分も含めて支払うことです。組合員のAさんが働くノジマでは、打刻ソフトによって労働時間をお管理していますが、賃金は30分単位で切り捨てられています。会社側は「申告してもらえれば、過去の分も含めて1分単位で賃金を支払う」と述べていましたが、直接申告しなければ1分単位での賃金計算が行われないというのは打刻ソフトを使っている意味がありませんし、直接申告での就業時間計算を従業員が認知できていない、つまり会社側が周知を怠っているのではないでしょうか。それに加えて、打刻前後の準備時間や手荷物検査(のちに言及します)では「労働時間に該当しない」として賃金が支払われていません。会社としては「人によって準備時間が違うので差が出てしまう」という説明を行なっていましたが、準備や手荷物検査は業務命令で行われているにもかかわらず、そこに賃金が支払われないのは甚だしく不当です。
2つ目の要求は、上記によって発生している未払い賃金を支払えというものです。
3つ目の要求は、職場で使うタブレットが自費負担であることについて、会社が支払うことです。Aさんの職場ではお客さんのポイント付与や在庫管理など、常にタブレットを携帯していなければ業務は不可能ですが、そのタブレットは従業員が代金を負担しなければなりません。会社は「すでに所有しているものを持ってきてもらう」「貸出用のタブレットがある」ということを理由に支払いを拒否してきましたが、そのどれにも正当性はありません。第一に、当たり前のことではありますが、すべての人がタブレットを所有しているわけではありません。たとえ持っていたとしても、なぜ自分のために買ったタブレットをわざわざ仕事で使わなければならないのでしょうか。第二に、「貸出用」と言ってもAさんの職場では各フロアに1台程度しかありません。従業員が約15人同時にフロアで働いているにもかかわらず、「タブレットを借りよう」という人が複数人いることすら想定していないとは考えづらいです。それに加えて、社内販売用に安く売っているという点も会社では負担しないという考えが透けてしまっています。
4つ目の要求は手荷物検査の廃止です。Aさんの職場では、出退勤するたびに手荷物検査が行われています。自分の荷物を毎回見られるというのはプライバシーの侵害にあたります。これが行われる理由としては、業務に関係ないもの持ってきているか検査することと、高価な商品を売っている職場での着服を防止するためだそうです。また、手荷物検査は就業規則によって定められ、全ての従業員に対して画一的に行っているとの説明があり、これに対して要求には応えられないとの回答でした。しかし着服については、検査前と検査後での社内調査も行われておらず、この手荷物検査自体に意味があるのか疑わざるを得ません。明らかにプライバシーの侵害にあたるこの検査については今後も引き続き廃止を要求していきます。
おわりに
今回は回答書で「団体交渉当日に直接説明します」という記述が多く、あまり誠実な対応ではありませんでしたが、賃金未払いについては支払うという回答を得られたことは一つ大きな成果だったと思います。一方で多くの点で正当性に欠ける曖昧な回答が多かったです。
初めて参加した団体交渉で緊張した部分もありましたが、共に要求を伝えて声を上げることで勇気をもらいました。今後もまだまだ戦っていく必要がありますので、ご支援と応援の程よろしくお願いします。
首都圏青年ユニオン「技能実習生解雇事件、スクールカウンセラー裁判報告」『Union Newsletter』第292号(2025年7月号)