京都放送労働組合「無期雇用転換への1年前倒し──大きなエポック日本の非正規運動」等

民放労連 京都放送労働組合から、あらたなレポートをいただきました。どうぞお読みください。

 

 

無期雇用転換への1年前倒し──大きなエポック日本の非正規運動(2025年4月12日)

京都放送労組は、日本の非正規運動にまた大きなエポックを残しました。全国でも稀有な無期雇用転換への1年前倒しの5年目で申し入れ・5年目終了で無期転換社員を実現しました。組合は、4月1日付で会社と構内スタッフの13か月の雇用延長の覚書を調印しました。この13か月延長で従来労働契約法に沿って6年目申し入れ・7年目実現が1年早くなったのです。

非正規運動に詳しい脇田滋・龍谷大学名誉教授は、「さすがKBS労組だね。よくがんばられた」と奮闘ぶりにエールを送ってもらいました。

 

組合は、KBS京都の構内スタッフのみなさんにたえず要求づくりのアンケートを行っています。いろいろな意見がありますが一番強い要求は、「KBS京都で長く働き続けたい」というものです。

この要求をしっかりと受けとめ毎年の春夏闘で構内スタッフの雇用期間の延長要求をかかげて闘い1年1年延長させてきました。

2013年から有期契約3年を3か月延長させてから去年2024年まで毎年1年1年11年間延長回答をひきだしてきたのです。

そして去年の春夏闘で会社と「来年25年は1年ないし複数月の延長について要求がでれば協議する」との労使双方の確認書をかわしました。

これをうけことしの春夏闘の交渉で会社から「1か月延長の合計13か月延長」の回答をひきだしました。

組合は、この回答をうけ拡大闘争委員会で話し合いました。「できれば複数月の2か月を望むところだが1か月・13か月で了としよう」ということを決め会社に伝え覚書が調印されました。

 

13か月で何が変わったのか説明します。

労働契約法では、①雇用期間が5年経過し、6年目の契約がなされると無条件で無期雇用転換の申し入れを雇用先にでき、雇用先の社長から(申し入れの)受領書を受けとります ②そして6年目の契約が終了した時点で無期雇用転換社員になるのです。この法律を使ってこれまでに14人の構内スタッフが無期雇用転換社員になりました。

しかし今回の13か月延長で5年目の雇用延長により通算在籍5年間をクリアしたことになるのです。

ここが大きなポイントです。

 

このため従来なら6年目で無期雇用転換申し入れ・契約終了で無期社員でした。今回5年目で申し入れをすることができ5年目終了で翌日から無期社員と1年前倒しで実現できるようになりました。これからの無期転換の予定者には、大きな朗報となりました。「思ってもみなかった1年も早く社員になれるとは。組合にはいつも驚かされ感謝しかありません」と顔をほころばしていました。

 

脇田・名誉教授からは、「全国でも数例しかない。マスコミ界でも京都地域でも初の快挙である。京都放送労組は日本で一番先進的な闘いをしている。今回の成果も流石である。よくがんばったね」と奮闘ぶりに暖かいエールが送られました。

 

組合は、この成果を振り返ってみますと「やはり毎年毎年要求をだし11年間粘り強くコツコツと取り組んできたことが要因である」と総括しました。

この闘いの姿が上部団体・民放労連の方針でありそのDNAを京都放送労組が受け継いでいるからです。これからもさらに構内スタッフの雇用と生活を守る闘いを進め少しでも前進させていきます。

 

 

病気退職の派遣社員組合員 復帰の道約束(2025年2月10日)

病気(乳がん)で退職を余儀なくされた派遣社員の女性組合員(テレビ編成支部)の将来について組合は、会社と交渉。復帰の道を約束させました。

先月末会社が女性に退職強要したところ組合は、「組合員の雇用は組合と十分話をせよ」と申し入れストップさせました。

組合は、女性と話し合い「病気だけに退職してもしかたがない」との気持ちをのべる女性に対し「もう一度病院で検査してその上で判断しよう」と決めました。

その結果6日に再び話し合い「やはり病状はかわらず治療をすると休む日がふえる。迷惑をかけたくないので派遣先・KBS京都から退職を言われたら従う」ということで対応することにしました。

しかし組合は、退職するにしても①治療に専念し健康が回復する②KBSで働きたい気持ちが引き続きある ――― の2条件があればKBSへ復帰させる ――― との内容で交渉することを決めました。

会社は、一度退職した構内スタッフが復帰したケースもなく拒否しましたが、組合は、「病気で闘う女性を励ましたい。よくなってもらい復帰することを強く願っている」と主張。会社もこれに応じ労使確認書を交わしました。

女性は、「わずか2か月しか組合に在籍していなかったのにここまで親切にていねいに対応してもらい感謝の気持ちでいっぱいです」と喜びをかみしめていました。

組合も「ぜひ健康をとり戻し、KBSに帰ってきてほしいし、長い人生を歩んでほしい」と励ましました。

組合の25年間にわたる長い格差是正の闘いでも今回は、雇い止めをとめることができなかったものの女性の将来を守ることができたと総括。記憶に残る闘いとなりました。

 

 

14人目の無期雇用転換者実現(2025年1月24日)

民放労連京都放送労働組合は、年が明けた1月24日14人目となる無期雇用転換者を実現しました。

この人は、報道部のテレビニュースカメラアシスタント(男性の常勤アルバイト)で有期雇用3年をさらに2年延長させ、ことしの1月で5年をクリアしました。そしてさらに  1年の雇用延長を勝ちとったことから無期雇用転換の申し入れを行いました。京都放送 社長から24日に「申し入れ書を受領しました」との受領書を受けとり無期雇用転換が  実現しました。該当者は、「これまでに先輩の2人が無期転換になっていて自分もあこがれていた。組合のお陰で60歳まで働く道が開け喜んでいる。仕事も組合も一層がんばっていきたい」と非正規労働者から無期転換者になり喜びとともに抱負を語っていました。

京都放送労組は、6年前の2018年から無期雇用転換逃れの脱法行為を許さず順調に無期雇用転換を進めてきました。

一方で組合の今後の展望は、すべての職場で無期転換者を誕生させることです。

これまでに8支部(〇パブリックセンター 〇報道カメラアシスタント 〇テレビ進行 〇カルチャーセンターなど)の職場で実現していますが、残りは12支部あります。

ことしは1支部でも2支部でも広げていくことにしています。「一点突破全面展開」を取り組みの戦略としていて1つずつ職場を広げていき最終的には、雇用の面では京都放送構内に働くすべての労働者は、60歳から70歳まで安心して働ける雇用の安定を実現させていくことにしています。

 

 

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