江川あや(旭川市議会議員)「自分らしく働くこと」

旭川市議会 議員 江川あや のページ(作成2024年7月4日、最終更新2024年8月1日)

 

2024年第2回定例会(6月20日11:00~)/本会議一般質問/会計年度任用職員の待遇改善について

映像資料🎥

前文

会計年度任用職員の待遇改善について伺います。

子育てや介護といったケアワークと、働くことの両立を考える時、旭川では職が限られるのが実態だと感じています。5月31日付けの地域雇用失業情勢を見ると管内の求職者の数は年代に大きな差はありませんが、男性が779名、女性が978名と女性の求職者が多く、有効求人倍率をみると常用全体は0.89倍、常用パートタイムは0.69倍と、柔軟な働き方を求める人が一定数いることが解ります。

旭川市の賃金水準等を考える中で選ばれることが多いのが市役所を初めとした公的な職場、いわゆる「公務非正規」と言われる職です。そして専門職として働くことを希望する人も正規職員では市内にその職種がないため「公務非正規」の職に就かざるを得ないという実態もあります。安定しない雇用の中、公務非正規当事者のネットワーク「はむねっと」や「ボイセズ」といった当事者団体が、一斉公募の廃止を求め積極的な取組をしてきております。

公共サービスという安定したサービスが提供されなければならない仕事の担い手をどのように位置づけていくのか。「ディーセントワーク」つまり「働きがいのある仕事」と改善されているのか、その点を課題として伺ってまいります。

 

 

ア.旭川市における会計年度任用職員の実態について

◆江川あや

旭川市の今年度の会計年度任用職員の人数とその職種について伺います。

 

◎答弁

本市における令和6年4月1日時点での会計年度任用職員の人数につきましては、任用期間が6か月以上、1週間当たりの勤務時間が20時間以上の職員で申し上げますと、専門補助員や学校用務員、事務補助員など、76の職種で合計1千640人となっております。

 

表 令和6年度における部課係別にみた会計年度任用職員数

出所:旭川市作成資料。

 

表 職種別にみた会計年度任用職員数

出所:旭川市作成資料。

 

 

◆江川あや

76の職種、1640人ということです。ではその会計年度任用職員の男女別についてお答え頂きたいと思います。また、フルタイムかパートタイムかについても伺います。

 

◎答弁

令和6年4月1日時点での会計年度任用職員1千640人のうち、男性は390人で女性は1千250人、また、フルタイム勤務の職員は555人、パートタイム勤務の職員は1千85人となっております。

 

 

◆江川あや

フルタイムとパートタイムでの男女比も気になっている所ですので、そこはぜひ調査をしていただきたいとして、まずは、パートタイムに就く人数が多いことについて、その理由と市の見解を伺います。

 

◎答弁

パートタイムの職員数につきましては、会計年度任用職員の募集に当たり、職務の内容や量に応じて適切な勤務時間を設定する中で、短時間の職が多くなっていること、また、正職員と同様の週38時間45分未満の職は全てパートタイムと定義していることから、職員数が多くなっているものと考えております。

 

 

◆江川あや

少しでも短ければ「パートタイム」としているとのことですが、この「フルタイムなのかパートタイムなのか」は旭川市の考え方次第というのが、総務省の資料等からは解るわけです。時間数と業務内容においてフルタイムかパートタイムなのかを判断するというのが制度の趣旨のはずです。

正職員と同じ職務内容や量であればフルタイムとすることが自然だと思うのですが、パートタイムにしているのは予算上の理由なのでしょうか?

 

◎答弁

議員御指摘のとおり、総務省の通知におきましても、フルタイム勤務とすべき業務量にある職について、財政上の理由から、パートタイムとして位置づけること自体を目的として、勤務時間をわずかに短く設定することは適切ではないとされております。

本市では、フルタイムと比較してパートタイムの職員が多い状況にありますが、本通知の主旨を十分に認識した上で、職務の内容や量、限られた財源の中で市民サービスの提供に支障を来さないための人員数・期間などを総合的に勘案し、それぞれの職において適切な勤務時間を設定しているところでございます。

 

 

◆江川あや

1085人というパートタイムの人数は本当に適切なのでしょうか?異なるのではないかと私は思います。

ただ、担当部としては「財政上の理由から、パートタイムとして位置づけること自体を目的として、勤務時間をわずかに短く設定することは適切ではないと認識している」とのご答弁ですが、「限られた財源の中で」「総合的に勘案してそれぞれの部署がしている」というお答えですので、「各部、各担当課において適切な認識ができるように」丁寧に説明をして頂きたいと思います。

 

 

イ.待遇改善に伴う自己負担率の変化等について

◆江川あや

次に進みます。

「会計年度任用職員」は「官製ワーキングプア」の問題からの制度でもあり、「待遇が改善された」という側面もあります。

会計年度任用職員制度となって待遇改善がなされた部分について伺います。

 

◎答弁

会計年度年用職員の制度につきましては、地方公共団体によって取扱いに違いが生じていた臨時職員・嘱託職員の任用要件の厳格化と処遇改善を目的としております。

制度の導入により、任用期間における空白期間の是正、経験年数による加算や、期末・勤勉手当の支給などの給与水準の見直し、特別休暇、育児休業制度の整備、フルタイムの場合の退職手当の支給や公務災害の認定による各種補償など、処遇改善が図られております。

 

 

◆江川あや

都合の良いように雇用してはいけませんよ、という制度で、様々な見直しが行われた一方で、そのことによる困ったという声もあります。

「突然、保険の金額が上がったんだけど…」という相談です。例えば健康保険が「協会けんぽ」から「共済組合」に変更になったということがわかり、その「共済組合」もなぜか2年目に少し金額が上がるということです。

年金も変わったようですが、今回は健康保険について、民間での健康保険に相当する共済組合への会計年度任用職員の加入条件について、伺います。

 

◎答弁

会計年度任用職員の共済組合への加入につきましては、フルタイム、パートタイムの職員ともに、2か月以上の継続雇用が見込まれる場合で、勤務時間が週20時間以上、報酬の月額が8万8千円以上の条件を満たせば、任用と同時に医療費等の給付を主とした短期組合員となります。

また、フルタイムの会計年度任用職員は、任用から1年を経過しますと、短期組合員から厚生年金等の給付を受けることができる一般組合員に移行することとなっております。

 

 

◆江川あや

では単純比較にはなりませんが、会計年度任用職員制度の導入前の健康保険(協会けんぽ)について伺います。

 

◎答弁

会計年度任用職員の制度以前に臨時職員等が加入した協会けんぽにおきましては、健康保険による療養の給付などの保健給付、傷病手当金などの休業給付が適用となり、令和元年度の健康保険料の本人負担率は、6.02%となっていたところです。

共済組合への移行に当たり、掛金の割合は微増しておりますが、保健給付や休業給付を含めた短期給付の内容が追加となり、健康診断や脳ドック健診などの保健事業、貯金事業、宿泊事業などの福祉事業も適用となるなど、組合員とその家族の生活の安定、福祉の向上に寄与しているものと認識しております。

 

◆江川あや

福利厚生が充実した、使える制度は増えた、ということですが、実際は正職員しか使えない制度も残っていると、当事者は言っております。では、共済組合の掛金の負担率の変化についてお答え頂きたいと思います。

 

◎答弁

短期組合員の掛金の本人負担率は、6.4715%であり、このほかに、厚生年金保険料として9.15%、雇用保険料として0.6%がかかることから、各種保険料を合わせて、本人の負担は16.2215%となっております。

また、フルタイムの会計年度任用職員が一般組合員に移行しますと、本人の負担は16.372%となるところでございます。

 

 

◆江川あや

給与が上がったことにより、様々な保険料が上がっています。そして、微増と言いつつ、そもそも健康保険も掛け金の%も上がっている訳です。今後も全体的に引かれる金額は増える見込みですけれど、掛金の負担感をどのように捉えているのか、市の見解を伺います。

 

◎答弁

先ほど答弁いたしました負担率を比較しますと、各種保険料も含めて、一般組合員に移行した際の負担割合は、0.1505%の増加となります。

20万円の給与月額に換算しますと、300円程度の増となりますが、掛金の負担感としては大きな影響はないものと考えております。

 

 

◆江川あや

300円…は、私は1食食べられる金額ですので、負担感は人によるかと思います。何より一番の課題は「知らない間に」という点です。当然、説明はしていたとは思いますが、伝わっていなくて、手取り金額が少し減って「あれ?また何か上がったのかな?」となる訳です。減税の額は恩着せがましく解りますけど、増税の額が解らないことによる弊害とも言えますが、当事者が理解して納得して加入する必要はあります。移行時には丁寧な説明の工夫をと指摘いたします。

 

 

ウ.被扶養者等について

◆江川あや

さて、法で定められている「大量離職通知書」がハローワークに提出されているのは、川村雅則北海学園大学教授の調査によると2024年5月24日付けの調査によると5市1町でした。「北海道」を初め出していない自治体が多い中、旭川市は数少ない提出している自治体です。

給与の4月遡及など、道内で比べても旭川市は会計年度任用職員の待遇改善が行われていると受け止めています。しかしながら、確認してきたとおり、男女比で言うと女性が多く、待遇としてはパートタイムが会計年度任用職員の3分の2を占めています。つまり退職金がない安定しているとは言いがたい雇用に付いているとも分析ができます。一方で、柔軟な働き方が求められている中では、一定の役割を果たしているとも言えますが、気になるのは「生活給」となっている人達の実態です。

会計年度任用職員の生活状況や働き方の希望について把握しているのか伺います。

 

◎答弁

本市では、4年に1回、正職員と会計年度任用職員を対象に職員意識調査を行っており、今年度からは2年に1回の調査として、本年7月に実施する予定です。

会計年度任用職員に対しましては、これまで、業務量や休暇の取りやすさ、セクハラ・パワハラの有無などを調査し、生活状況や働き方の意向に関する項目は設けていなかったことから、今回の調査では、扶養・被扶養の状況や、現在よりも高い給与で働きたいか、長い期間安定して働きたいかなどの設問を加え、改めて、現状における会計年度任用職員の意識把握に努めてまいります。

 

 

◆江川あや

7月に調査を行うということです。現時点で頂いたデータによりますと、あくまで共済組合の加入状況によりますけれど、扶養している人がいる会計年度任用職員が300人程いるということですし、私が気になるのは単身の世帯等もでして、つまり「生活給」にしている方がどのくらい居るのかということです。ぜひその点をしっかりと実態把握をして頂きたいと、指摘いたします。

これまで会計年度任用職員の問題については、何度か質問、質疑し、指摘してまいりました。会計年度任用職員は今や行政サービスになくてはならない存在となっている一方で、当事者団体では「直営ではなく外部委託になったら真っ先に仕事が無くなるのでは?」という不安もあげられはじめています。旭川市の場合も懸念はないのでしょうか。これまで以上に雇用の調整弁にしようとしてはいないでしょうか。人口流出が旭川市の課題となる中、民間企業と共に、より待遇を良くし旭川市の雇用を確保する必要があると考えます。

 

専門職も多い会計年度任用職員は、専門性によってはより待遇の良い都市に移ることも考えられ、必要な職種により良い人財が集まらないことも考えられます。現在、2023年総務省調査によると、道内では「一斉公募」をせず「毎回公募を行わず再度任用する」とした道内自治体が6自治体あります。小樽市、赤平市、名寄市、根室市、滝川市、伊達市です。

先日、公務非正規問題議員ネット(仮称)で理由を聞き取り調査した所、「地域の実情に合わせて」「人手が潤沢でない」との理由も挙げられていました。

当事者のアンケートからも浮き彫りになっていますし、今後の取り組むべき待遇改善として、安定した雇用環境の構築が必要と考えますが、市の認識を伺います。

 

 

◎答弁

会計年度任用職員の任用に当たりましては、平等取扱いの原則や成績主義、また、国の非常勤職員の取扱い等も踏まえますと、現状では公募の手続は必要なものと考えており、本市におきましても、多くの職で応募者数が公募数を上回り、制度の趣旨に基づいた運用が図られております。

一方で、給食調理指導員や給食調理員では、通年で随時募集を行うも、必要な採用数に満たない状況が続いておりますことから、こうした職種では、今年4月から、応募状況の継続的な不足を確認した上で、公募の省略を年度ごとに判断できる取扱いとしております。

会計年度任用職員は、正職員とともに本市の行政サービスに欠かすことのできない役割を担っていただいており、今後におきましても、社会動向等も踏まえながら適正な制度の運用に努めてまいります。

 

 

◆江川あや

「公募」という制度は、毎年度人事評価で雇止めとなる可能性がある会計年度任用職員にとってなんの合理性もないと考えます。

「平等取扱いの原則や成績主義、また、国の非常勤職員の取扱い等も踏まえますと、現状では公募の手続は必要なもの」とおっしゃいますが、公共サービスの重要な担い手である会計年度任用職員の雇用をよりよいものにするためには、その待遇改善は当然として、仕事が恒常的に存在しているにも関わらず、その仕事につく人を有期雇用の反復更新をし、回数を区切って公募にかけるなど不安定な任用手法には改善が必要で、公募という「採用活動」を行うことは人事課にとっても余計な手間ではないでしょうか。

会計年度任用職員制度は、1年ごとに面談と能力実証を経て、その結果「公募」となることも想定される制度です。それを、わざわざ年度を区切り、該当者を雇い止めし、公募にかける必然性はどこにあるのでしょうか。

「当該非常勤の職と同一の職務内容の職が 翌年度設置される場合、同一の者が、平等取扱のいの原則や成績主義の下、 客観的な能力の実証を経て再度任用されることはありうるものであること。」とされている総務省マニュアルを鑑みるとその主旨をくみ取るべきであると指摘をいたします。

道内他都市の動向をみても、今後、給与や公募廃止等で、人財がより待遇の良い都市に流れていくことが予想されます。規制緩和の影響は至る所で出てきており、状況を変えようと継ぎ接ぎの制度を何とか地方から運用の面で変えていかなければならないと私は受け止めています。

ぜひ地方からボトムアップで変えて行ってほしいと申し上げて、この項目を終わります。

 

 

 

令和4(2022)年第4回定例会(12⽉12⽇)一般質問

○図書館の選書のあり方、人材の育成

◆江川あや

何度目かの図書館の自由に関する質問ですが、今回は資料収集を入り口にして伺いたいと思います。

1931年にインドのランガナタンが提唱した図書館学の5原則という法則があります。図書は利用するためのもの、いずれの読者にも全てその人の図書を、いずれの図書にも全てその読者を、図書館利用者の時間を節約せよ、図書館は成長する有機体であるとあり、図書館を構成するのは、場所だけではなく、資料、利用者、職員の3つが調和のある成長を取るべきであるということが示されます。

そのため、時代や求めに応じて図書館は変化します。例えば、旭川市図書館でもようやく電子書籍が導入されることとなっておりますが、電子書籍は追加であって、紙の書籍の代わりになるものではありません。全く別の読者を持っているということです。有機体、いわゆる生物でありつつ、図書館は、資料を収集し、整理し、保存し、提供することが最も重要です。そして、そのために選書の基準もあります。

まずは、旭川市図書館の選書基準について伺います。

 

◎答弁

旭川市図書館の選書につきましては、平成9年に施行した旭川市図書館資料収集方針に基づき行っております。

その基本方針としては、市民各層の広範な要求、地域の実情及び社会的動向を十分配慮し、広く市民の文化、教養、調査研究、趣味、娯楽等に資する資料を収集すると定めており、複数の専門職員による検討を経て決定してございます。

 

◆江川あや

複数の専門職員で検討を行うということで、流れとしては、無記名の購入図書への投票、その後に、蔵書構成をチェックしながらの週1回2時間弱の会議という流れかと思います。図書館にとってはとても重要な会議なんですけれども、様々な業務を担う人手が少なくなっていく中で、検討をするというこの専門職の人数を確保するのも大変な状況かと思います。

そうだとしても、資料の選定は図書館の自由に深く関わってまいります。図書館の自由に関する宣言の解説書が今年の5月に改訂されました。どのような解説が加えられたのでしょうか、伺います。

 

◎答弁

図書館の自由に関する宣言は、公益社団法人日本図書館協会が1954年に提言したもので、国民の知る権利を保障するために図書館が果たす責務が示されており、資料収集及び資料提供の自由、利用者の秘密厳守、検閲への反対の4項目で構成されております。

1979年に、この宣言が改訂されたことを受け、解説書が発行され、その後、図書館を取り巻く状況の変化に伴い、1987年と2004年に改版されました。今年5月には、新たな課題や様々な事例等に対応するために、3度目の改版が発刊されました。改版での主な変更点は、知る自由には情報へのアクセス権も含まれることが明示されたことや、電子書籍やデジタルアーカイブ及びネット情報に関わる問題が提起されたこと、捜査への対応で令状主義の原則が確認されたことなどでございます。

 

◆江川あや

知る自由には情報へのアクセス権が含まれるということ、そして、ネット媒体、ネット情報ですから、電子媒体に関するようなこと、それから、令状主義の原則ということで、知る自由を保障する図書館司書が非正規化して、正規職員であっても定期人事異動で長期間での知識、専門性の継続というところがなかなか難しいという、そういった課題を抱え始めているということが今回の解説書の厚みからもよく分かります。かなり、解説というような書籍になってきているということですね。

では、これまで、選書において課題となったことは例えばどのようなことがあるでしょうか。

 

◎答弁

近年、本市の図書館で課題となった事例としては、少年事件の加害者に関する内容を扱った資料や差別的とされる表現が用いられた資料等について、収集を行うべきか、また、収集する場合、何らかの利用制限を行うべきかについて館内で検討を行ったところでございます。

 

◆江川あや

人権に関わることが中心だということが分かります。

例えば、全国的に議論となった作品では、「はだしのゲン」ですとかを学校図書館でどう扱うかということであったり、「ハリーポッター」シリーズの中の1冊に差別表現が含まれていたということで、回収するか否か、回収に応じるか否かというようなことが話題に上がりました。

公序良俗に関係することも含めて、これは、全て思想善導というような言葉に関係してくる内容になってきます。旭川市に関してはどのように対応したんでしょうか。

 

◎答弁

本市の対応につきましては、図書館は国民の知る自由を保障する機関であることから、多様な対立する意見のある問題については、それぞれの観点に立つ資料を幅広く収集するとの資料収集方針に基づき、市民が自身の意見を考える材料を提供しております。

そのため、課題があるとされる資料についても、原則、提供の制限は行わず、何らかの制限が必要となった場合にあっても必要最小限とし、制限後も、状況の変化に応じ、適宜、見直すこととしてございます。

 

◆江川あや

制限は、基本的には行わないということが確認できました。

例えば、現在話題になっている宗教〔注:旧統一教会〕なんかに関しても同様で、様々な観点から資料提供をするということ、それで市民が自らの判断をするようにというふうにしているわけです。

ところが、一方で、こういう本は公共の場にふさわしくないのではないでしょうかということを言う人もいますし、また、こういう本はとてもいい本だからぜひ置いてほしいというふうに寄贈をくださるような方もいます。先ほど述べた思想善導という考え方につながる、無意識に思っているということです。

つまり、良書というのは人によって様々に判断ができるということなんです。いわゆる良書の考え方について、旭川市ではどのように考えているのでしょうか。

 

◎答弁

世間一般的に読んでためになる本、いわゆる良書についての考え方についてでございますが、本市図書館におきましては、資料収集方針において、収集した資料がどのような思想や主張を持っていようとも、それを図書館及び図書館職員が支持することを意味するものではないことを前提とすると示しており、特定の資料を良書とすることはなく、多様な思想、信条を表現した資料をバランスよく収集するよう努めてございます。

 

◆江川あや

特定の資料を良書とはしないということで、憲法に保障された知る自由、学ぶ権利というのをしっかりと守ってくださっているということが理解できます。

この考え方は、本来、社会教育施設全てが学びの保障のために持っている考え方です。これは、倫理規範として実は図書館だけがしっかりと掲げているんですね。それは、図書館が戦前から良書をそろえることによって思想善導してきたという苦い歴史を持っているためでして、焚書や検閲以前に最も気をつけなければならない部分だというふうに自らを戒めているということでもあるわけです。

さて、選書の方法に関して、図書館は本を購入するということで地域振興にも貢献することも役割の一つと言えます。本屋さんを守るということですね。どのような取組をしているでしょうか。

 

◎答弁

図書館の資料は、一般書、児童書、雑誌、新聞、視聴覚資料等に分類されますが、これらの購入に際しては、地域振興の観点から、可能な限り地元の書店、取扱店に依頼をしているところでございます。

 

◆江川あや

でき得る限りということで、本来であれば全て地元の書店から購入するのが理想です。例えば、図書館専門の書店から購入しているにしても、中継ぎをお願いする際に、旭川市内にある書店に均等に発注をかけるというような必要があるのではないでしょうか。その辺りも配慮すべきことだと思います。

また、店頭に赴いて書籍を買うことを旭川市では見計らいと言ったりするんですけれども、店頭買いとも見計らいとも言いますが、そういったことも実は専門職の人手がないとなかなか行けないということで、そういった人手が必要なところも定期的にぜひ行っていただきたいと思います。

さて、選書をする際には、図書館の構成要素の一つとして、専門職の専門的な知識と適切な人員の確保が必要不可欠となると考えますが、見解をお示しください。

 

◎答弁

選書を行う職員につきましては、人文学をはじめ、自然科学や社会科学などの様々な分野の基本資料や、時代のニーズや地域特有の課題に対応する資料の知識に加え、長期的な蔵書構築の視点などが不可欠でございます。

そのため、資料の選択に関する高い専門性を持つ人材を今後もしっかりと育成していくことが重要であると考えてございます。

 

 

 

○社会教育施設における知る権利・学ぶ権利の保障

◆江川あや

おっしゃるとおり、高い専門性を持つ人材の育成を長期的視野で本来は考えるべきだと思います。大変重要なことです。そして、資料の選択に関しては、経験と積み上げられた知識以外には、正直、ないと思います。

2022年3月28日に行われた図書館で働く女性非正規雇用職員セミナーでは、提言が出されました。図書館は、図書館が好き、本が好きといった動機で、給与や待遇があまり重視されずに選ばれる職場でもあります。だからこそ、図書館が、本が好きというようなそういう気持ちに支えられて、非正規であっても長期的な勤務が継続されてきました。会計年度任用職員の制度は、図書館は職務の経験と知識の蓄積が必要であるという、こういう専門職の仕事内容に鑑みられていないと、提言は、します。それは、国民の、市民の知る権利、学ぶ権利の保障が脅かされることにもつながります。

11月28日の日本図書館協会、社会教育施設で働く非正規雇用職員のセミナーの中で、思想、信条の自由を守ることに関して、倫理規範のある図書館以上に倫理規範を表に掲げていないほかの社会教育施設は、思想善導とまでは言わずとも、無意識下の中で危機的な状況にあるのだということが話題に上がりました。

思い返せば、原発ですとか、水道ですとか、教科書ですとか、現在の政策に関わって、別な角度、様々な角度から学ぼうとする勉強会や講演会や映画なんかで教育委員会などの後援名義を断られるということが続いています。旧統一教会の関与が疑われる勉強会は、政府の方針だからか、後援されるのに対して不思議だなと思っていたことが、今回、そのセミナーの意見交換の中でなるほどと理解ができたわけです。

本来、社会教育施設は、市民の自由な学びを思想、信条にかかわらず応援する立場であるはずです。それは憲法に保障された知る権利、学ぶ権利です。そこで、教育長に、本市の社会教育施設に関する見解を確認しておきたいと思います。図書館に限らず、社会教育施設において、知る権利、学ぶ権利についてどう守っていくのか、教育長の見解を決意を込めて伺います。

 

◎答弁

社会教育施設における知る権利、学ぶ権利についてどのように守っていくかというようなお尋ねであります。

社会教育法におきまして、地方公共団体は、「すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならない。」というふうに示されているところであります。

本市では、公民館をはじめ、図書館、科学館、博物館などの多様な社会教育施設において、これまでも、市民それぞれの自由な意思に基づき選択ができるように、様々な学習の機会や情報の提供を行っており、生涯学習の理念であります学習の成果を人づくりや地域づくりに生かすことのできる社会の実現に取り組んできたところであります。

人生100年時代の到来やソサエティ5.0に代表されるような社会の大きな変化を迎えているという中では、豊かな人生を送ることができる環境を整備して、それを利用した方がまたさらに地域において活動をするというようなことで、地域の持続的な発展につながるということが求められると考えているところであります。

そのような中にありまして、社会教育施設でありますけれども、市民の広く多様な学習意欲に応え得るように、生涯にわたる学びに必要な情報を得る機会や学ぶ場を不当な差別的取扱いをすることなく提供していくことで、市民の自由で主体的な学習を支援してまいりたいというふうに考えております。

 

◆江川あや

生涯にわたる学びに必要な情報を得る機会や学ぶ場を、不当な差別をすることなくという御答弁ですね。

差別という言葉は、実は、捉え方によっては区別というふうにされて、片側の思想や信条に疑問を持つ学びは保障できないというようなことにならないのかという点が不安なんですね。権利の保障ということをしっかりとしていただけるのかという点で、ああ、不安を抱かなきゃいけない時代になったのかしらと一瞬不安になるなというところです。

どのような思想、信条にも偏らずに、主体的な学びを保障していただきたいと1点指摘させていただきまして、この項目の質問を終わります。

 

 

○旭川市における会計年度任用職員の任用実態

◆江川あや

次に、生きがいを持って働けるようにどういうふうに考えていくのかということで、会計年度任用職員制度について取り上げたいと思います。

世間では、増税ということで、この物価高の中で、あら、4月1日だったかしらというような言葉が話題ですけれども、納税の背景には、働いていたりとか消費活動をしたりとか、そういう日々の営み、生活の営みというのがあります。大人になったらどんな職業に就きたいと聞かれない子どもは恐らくいないでしょう。そのぐらい、働くということは身近な話題です。ただ、子どもが考えている働くということと、大人が置かれている働くということでは、大きなギャップがあるようにも感じます。

総務省の統計では、平成28年度の64.3万人から、新制度となった令和2年度では69.4万人と、非正規公務員、非正規職員が5.1万人増えています。行政改革によって正規職員が減る中で、その数を補うようにして非正規職員が増えているという実態が総務省の調査からも明らかです。

住民サービスを担う基礎自治体として、市民の数が減っていくからといって行政サービスの人手が不要となるわけはなく、経済的に利益が生じない特徴を持つ行政サービスの重要性は逆に増していると言えます。不安定な期限付の職員のままで重い責任を担わされ、基礎的なサービスを市民に提供するということは誰の得になるのでしょうか。

旭川市役所においては、正規、非正規含めて多くの職員が、業務を通じ、毎日の市民生活を支えています。その人員配置の考え方を示し、そして、旭川市役所の正規職員と非正規職員の人数の推移について、平成28年度と令和2年度で比較してお示しください。

また、旭川市役所において、非正規職員が担うことによって支えられている職種にはどのようなものがあるでしょうか、併せてお答えください。

 

◎答弁

広範にわたります本市の業務を担う職員につきましては、業務内容や性質などを踏まえた人員につきまして、各部からの意見を聞き取りながら全庁的な調整を図り、人員配置を適宜行っているところでございます。

平成28年度と令和2年度の4月1日時点での職員数の比較で申し上げますと、平成28年度は、正職員3千12人、臨時及び嘱託職員合わせまして1千990人であり、また、令和2年度は、正職員2千985人、会計年度任用職員は1千801人となっております。

また、非常勤の一般職として位置づけられた会計年度任用職員の職種につきましても多岐にわたっておりますが、その主なものを申し上げますと、事務補助員をはじめといたしまして、専門補助員、給食調理員、学校用務員、福祉、子育ての支援員や相談員、司書、保育士など50弱ほどの職種において市民サービスを支えております。

 

◆江川あや

総務省の調査では、正職員が減って、その分だけ非正規職員が増えているんですけれども、旭川市においては、正規、非正規双方ともに減っているということで、総職員数で216人減ということかと思います。

市民が減っているから市役所の職員も減るよというのは、そういうふうにしていくと、提供する市民サービスは広げたいのに対応し切れないだろうという懸念を感じるわけです。一人一人の負担が増えてしまっているのではないかということですね。

そして、非正規の職員は50弱ほどの多種な職に就いていて、正規職員とともに行政を支えているということが分かります。では、旭川市の業務として、住民サービスの根幹となる専門職にはどのような職種があるのでしょうか。

また、専門職のうち、会計年度任用職員はどのぐらいの割合となっているんでしょうか。

 

◎答弁

資格所持を要件として任用している専門的な職といたしましては、医師、歯科医師といった医療職のほか、獣医師や薬剤師などの医事職、あるいは、保健師、看護師の保健看護職、保育士や図書館司書、大型等自動車運転手などがございます。

また、今年度当初におきまして、所持資格を採用の要件としている正職員が約700人、会計年度任用職員は約300人でございまして、専門職全体に占める会計年度任用職員の割合はおよそ3割となっております。

 

◆江川あや

医療職、医事職、保健看護職、そして保育士や図書館司書、自動車運転手さんということで、そういった専門職が専門職全体では3割、そして、1年ごと、かつ、ある一定の年限ごとにその職種の公募に応募をしなくてはならないということです。

会計年度任用職員とはどういうような制度と旭川市は認識しているのでしょうか、伺います。

 

◎答弁

会計年度任用職員は、令和元年度まで各自治体において様々な分野で任用されていた臨時職員や嘱託職員について、任用等に関する制度が不明確であり、任用条件等の取扱いに違いがありましたことから、任用要件の厳格化と非正規職員の処遇改善のため、地方公務員法の改正により、会計年度までを任期として任用される一般職の非常勤職員として令和2年度から制度化された職でございます。

 

 

○会計年度任用職員の公募をめぐる問題

◆江川あや

任用要件の厳格化と、これが重要です、非正規職員の処遇改善のために制度化がされたということですね。

では、導入時の採用から今年度は3年となりました。新年度の任用に向けて大規模な公募を行うと聞いておりますが、その理由は何なんでしょうか、公募を行うまでの期間の定めは法的にあるんでしょうか、また、旭川市の期間設定の理由をお示しください。

 

◎答弁

会計年度任用職員につきましては、公募を原則として会計年度ごとの任用となっておりますが、勤務実績に基づき、2回までを上限として公募を省略することで3年間の任用を可能としております。

制度開始から3年目となる本年4月1日時点で1千203人の会計年度任用職員が2回の公募省略を経たことを大きな要因として、次年度へ向けた公募を行うものでございます。

なお、公募省略の上限につきましては、関係法令には明記されてはおりませんが、国の取扱いも踏まえ、2回と定めたものでございます。

 

◆江川あや

関係法令には明記はされていない、けれども、国の取扱いを踏まえて2回にしたと。

公募省略の上限等で、今年度末で公募を行う職種はどのような職種があって、何人となって、そして、それは旭川市の正規、非正規を合わせた全職員の何%なのかをお示しください。

 

◎答弁

令和5年度の会計年度任用職員の任用に当たりましては、事務補助員や看護師、給食調理員、施設管理人など42の職種で、今年度当初の全職員数4千778人の約26%に相当する約1千250人について、引き続き勤務を希望される方、あるいは、新たに希望される方を含め、広く公募を予定しているところでございます。

 

◆江川あや

全職員の26%、会計年度任用職員の中で言うとおよそ8割ということで、担当課も、今回の採用に関しては、予算、そして事務処理等を含めて相当大変なことだと思います。

そして、さきに御答弁をいただきましたように、公募省略は2回までとは関係法令には明記をされていないということなんです。若いときの苦労は買ってでもせよと言いますけれども、この苦労は誰にも特にならない苦労だと思います。関係法令に明記されていないにもかかわらず、旭川市では国の取扱いを踏まえて公募を要さない任用を2回としているということですが、2回としていない自治体はあるのでしょうか、あるとしたらどこなのか、そして、旭川市で検討しなかった理由はなぜでしょうか。

 

◎答弁

他の自治体における会計年度任用職員の公募の状況につきまして個別の調査は行ってはおりませんが、国が実施いたしました令和3年度会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査によりますと、都道府県、市町村、一部事務組合等2千927団体のうち、毎回公募を行わず再度任用する部門、職種がある団体は529団体、18.1%であり、毎回を含む公募を行い再度任用している団体は2千398団体、81.9%となっております。

本市におきましては、業務を通じた経験を生かし、任用を継続いただきたい方がいる一方で、新たに業務に就きたい方もいることから、国の通知も踏まえながら公募を要さない任用を2回と定めたところでございます。

 

◆江川あや

新たに業務に就きたい方ということで、その点は理解はできるんです。ですが、そういった人たちというのは、今年だけチャンスがあること、来年の春だけチャンスがあるということを望むのではなくて、毎年チャンスが定期的にあるということを望みますし、その点が重要だと思います。例えば、就職氷河期世代のロストジェネレーションを考えるとよく分かるんですけど、私は、実は就職氷河期の最後のほうの年なんですね。私の同級生たちは、あと数年すればチャンスが来るよ、新卒の間にチャンスが来るよというふうに言われながら、非正規で待っているうちに1年だけ新卒から出てしまったんですよ。経験は同じなのに1年先に社会に出たということで、新卒じゃないという線が引かれました。年齢を重ねてライフステージも変わり、ようやく目が向けられた直後に新型感染症の流行が始まって、再びチャンスが消えました。3年に一度では、必ずチャンスが回ってこないという学年度が出てきます。その点も考慮した採用計画、定期的にきちっと考えるということが必要だと指摘をさせていただきます。

さて、例えば、今よりも待遇がよい違う部署に応募したい人にとってはチャンスの年だと言えますが、人気の部署に希望が偏ることがこれまでもあったかと思います。令和4年決算審査特別委員会で私は質疑をさせていただきましたが、これまで、公募となった際に希望を取るものの、実質的に1か所しか受験できないということがありました。どのように改善したんでしょうか。

 

◎答弁

令和5年度の任用に向けた公募に当たりましては、最大で3か所、希望する職種、配置先を記載した採用申込書を受理した後、それぞれの担当課で選考を行い、複数内定となった場合等には人事課が調整することで、可能な限り応募者と職場双方の希望に応じた任用を行うよう現在準備を進めているところでございます。

 

◆江川あや

いずれも、その点だけは選考を行ってくださるということで、その点、すぐ改善していただけた点、評価させていただきたいと思います。ぜひ、年限に関しても改善をお願いしたいです。

10月24日、総務省宛てに、会計年度任用職員に対する3年公募の中止を通知してくださいという要請文が提出され、11月9日に公務非正規女性全国ネットワークによる集会が行われ、課題が提示されました。どのように受け止めているでしょうか。

 

◎答弁

総務省への要請につきましては、来年度の採用に向け、国をはじめ、多くの自治体で公募が実施されることにつきまして、現在、会計年度任用職員として勤務している方などからの懸念が反映されたものと認識しております。

本市におきましても大規模な公募は初めてとなりますが、公募状況等も踏まえながら、処遇改善など、会計年度任用職員が継続的に勤務いただけるよう今後も検討を進めてまいります。

 

◆江川あや

認識のとおり、勤務している方などからの懸念が反映されたものだと思います。

特に、公募となることで、専門職によっては、担当している仕事に関わること、例えば、相談を受けて、相談者の方とかだと、その方がどうなるんだろうかというようなこと、そういったような懸念も抱きます。加えて、公募が定期的に行われることによって、自らの専門性を否定される機会が定期的に設けられているということにもつながるわけで、精神的な負担も大きいわけです。

その中で、今年、後に続く後輩のことを考えた一人の図書館司書が署名活動を始めました。その非正規図書館員に関する署名は、2か月弱で5万人を超える署名が集まり、その後、待遇アンケート等で、図書館、学校図書館、大学図書館のそれぞれの課題点が出され、11月7日、総務省、文部科学省へと提出されました。

提出の際の意見交換の記録では、学校図書館においては、文部科学省のほうから、財政措置については使途を特定しない一般財源として措置されていることから、各自治体が適切な予算措置を取るように求めていると、そう、自治体の姿勢が問われたわけです。

旭川市は、専門職に関してどのような見解を持ち、政策の中でどのような位置づけと考えているのでしょうか。

 

◎答弁

会計年度任用職員の専門職につきましては、本市の様々な職場において、業務の内容を踏まえた上で必要な資格を条件とした募集や選考、採用を行い、採用後は、市民への対応や相談支援等、専門職としての知識や経験を生かしながら、業務を進めていく上でなくてはならない重要な職として正職員とともにしっかりと業務に携わっております。

また、正職員につきましても、培った専門性を発揮しながら業務に努めております。専門職、資格職として活躍できる領域が限定される点においては課題もあるところでございますが、業務の継続性に配慮しながら、本人の希望やスキルなどを踏まえた配置転換などを行うなどにより、行政職員として幅広い経験や視野を養い、市民サービス向上につなげてまいりたいというふうに考えております。

 

 

○会計年度任用職員制度のあり方について

◆江川あや

会計年度任用職員の専門職は、業務を進める上でなくてはならない重要な職という認識をお示しいただいた点は少しは救いなんですけれども、それならば、なぜ正規職員として雇用する方向性を少なくとも少しでも模索していただけないのかなというところが悲しいところです。

正規職員としては幅広い経験や視野が必要なために人事異動があることも理解はできますし、専門職だからといって、資格を持っているからその職に向いているかというと、そうではないというのも実感していますので、そういったところは取扱いが難しいことは分かります。しかし、交付税の算出基準に加えられているという点も踏まえて考える必要はあります。

さて、会計年度任用職員制度は、もともと処遇改善が目的の制度です。非正規公務員の調査の中では、職場の人間関係というのも懸念の一つに挙げられました。コロナ禍による懇親会の自粛なども含めまして、各職場における人間関係の構築に苦慮しているという話も聞こえてきます。職場研修だけではなくて、お互いに働く同僚であるということを認識できる職場になるような、そんな取組も進めてほしいと思います。

住民サービスの入り口を担うのは、多くが会計年度任用職員とも言えます。また、専門的な知識で住民を支え、市民を支え、サービスを提供するのが特に専門職です。そして、継続性が失われたときに不利益を被るのは市民です。見解を伺いたいと思います。

 

◎答弁

多くの職場で市民対応や事務に当たっている職員、あるいは、資格や知識を生かし、業務を担っていただいている専門職員である会計年度任用職員は、本市の行政サービスに不可欠な職でございます。

今回、広く採用の機会を確保する必要もあり、公募が行われることになりますが、公募選考を経た継続任用も想定されます。一方で、専門職につきましては、現在勤務いただいている方の意向、あるいは、新たに専門職として勤務を考えている方の状況、また、民間での就労状況等から、職種によりましては採用に課題が生じることも懸念されるところでございます。

今後につきましても、公募の状況や、各職場、職員の声にも耳を傾け、次年度以降の任用に反映すべきところはしっかりと反映いたしまして、勤務条件やワーク・ライフ・バランスなど、処遇改善の検討も進めながら、正職員と会計年度任用職員がそれぞれの立場から役割をしっかりと果たせるよう取り組んでまいります。

 

◆江川あや

行政サービスに不可欠な職ということですね。

職種によっては採用に課題が生じることも懸念されるという御答弁で、加えて、全国組織でも、公募ではなく、公募の省略による継続の要望が出され、さらに、関係法令にも明記されていない3年一斉公募に関して、いま一度、立ち止まり、見直すべきと考えます。いかがでしょうか。

 

◎質問

会計年度任用職員の任用に当たりましては、経験を有する方に継続的に勤務していただくことで各職場において業務の維持向上が期待できる一方で、公募を原則とし、単年度ごとの任用という制度趣旨から、新たにその職を希望される方に広く門戸を開く必要もあるところでございます。

今回、本市を含む多くの自治体で制度開始以来初めて迎える大規模な公募となりますが、その状況や国の制度運用の動向等も踏まえながら、会計年度任用職員の皆さんがやりがいを持って働き続けることができ、より市民サービスの充実につながるよう今後も検討を進めてまいります。

 

◆江川あや

門戸を開くのであれば、やはり、毎年、定期的に門戸を開いていただきたいということを再度申し上げます。

そして、多くの自治体で大規模公募ということで、実は旭川市を離れるきっかけになるのも来年なんですね。そういった懸念もあるわけです。検討を進めるということですので、ぜひ、要請文で求められていた点の検討を進めていただきたいなと思います。

特に、自治体に関わる要請としては、再任用の推奨、名簿登録制の推奨、そして、職務の実態に合った定めのない短時間公務員制度の早期導入ということが今回要請されていました。良質な行政サービスを安定的に市民に提供するためにも、生きがいを持って働くためにも、市役所というのは旭川市においてかなり大きな職場だと思っていますので、雇用の安定性をここから進めていく必要があると思います。強く処遇改善を求めまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

 

 

 

 

Print Friendly, PDF & Email
>北海道労働情報NAVI

北海道労働情報NAVI

労働情報発信・交流を進めるプラットフォームづくりを始めました。

CTR IMG