研究職の雇用安定を求める有志「STOP! 研究者の”使い捨て”」

リンク先より、研究職の大量雇い止めをやめさせる署名への賛同をよろしくお願いいたします。本記事はリンク先からの転載です。(2022年10月12日記)

(参考)

川村雅則「無期転換逃れ問題の整理──安心して働き続けられる社会の実現に向けて」

川村雅則「無期転換逃れ問題の整理──無期転換はどこまで進んだのか」

 

国産研究の停滞、途絶、流出の防止を求めます! 国の責任で国立の大学・研究機関の大量雇止めをやめさせてください!

https://chng.it/F8SSXnfqLS

国産研究の停滞、途絶、流出の防止を求めます! 国の責任で国立の大学・研究機関の大量雇止めをやめさせてください!

https://chng.it/F8SSXnfqLS

2023年3月末に、国産の研究ノウハウと成果が喪失または流出する危機が迫っているのをご存じでしょうか?大勢の研究者が、労働契約の更新を拒否され、仕事を失う「雇止め」の危機にさらされているのです。対象は、国立の大学・研究機関で働く任期付研究者で、最大約4,500人にのぼります。日本の科学研究力を弱め、「国益」を損なう事態に、多くの研究者が警告を発しています。

なぜ、こんなことが起きるのでしょう。2013年の労働契約法18条の改正により、同一の使用者のもとで働き、有期労働契約(期間の定めのある雇用)が更新されて通算5年を超えた時、労働者が申し込みをすれば、無期労働契約(期間の定めのない雇用)に転換することが使用者に義務づけられました(無期転換ルール)。その後、2014年に研究者については、無期転換を申し込む権利の発生が通算5年でなく10年とする特例が設けられました。

ところが、一部の大学・研究機関は、無期転換ルールを逃れるため、雇止めを強行しようとしています。これは、雇用の安定を目的とした立法趣旨に反する脱法行為です。

とりわけ理化学研究所や東北大学、大阪大学などは、2014年以降に、10年の雇用上限の起算点を13年にさかのぼって設けるなど、無期転換権を労働者に与えないための就業規則の不利益変更を押し付け、違法な雇止めを強行しようとしています。

雇止めは、研究者の雇用の喪失と家族も含めた生活苦をもたらすだけでなく、研究力の低下、海外への頭脳流出を促します。多額の資金を確保して、順調に進められている研究プロジェクトチームのリーダーが雇止めとなり、チームも解散となり、研究が中断するケースも多々あります。

文部科学省は、研究の活性化のためには、「研究者の流動性と安定性のバランスが大事」と述べています。研究者が自らの研究成果をさらにステップアップさせるために、大学や研究機関を移る「流動性」は必要でしょう。しかし、研究の内容や進捗にかかわらず、任期付研究者を行き場のないまま失職させてしまっては、研究者は「流動」せず、それまでの研究投資も無駄になってしまいます。

こうした状況は、若手の科学技術分野への参入を敬遠する傾向を加速させ、日本社会にとって大きな損失となります。

この問題は国会でも議論されています。末松信介文部科学大臣(当時)は、「無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で雇止めをしたならば、これは、労働契約法の趣旨に照らして全く望ましくない」と答弁しています(2022年3月28日参議院決算委員会)。ところが同時に、「法人の自主性・自立性のもとに業務運営は行われることが基本」と述べ、傍観者的な態度を示しました。

後藤茂之厚生労働大臣(当時)も、「労働契約法等に照らして問題のある事案を把握した場合には都道府県労働局において適切な啓発指導等を行う」としたものの、「最終的には司法において判断される」という答弁でした。

しかし、文部科学省は2018年の事務系職員の大量雇い止めの際には、「対応状況に関する調査」を2年連続で実施し、労働契約法の趣旨にのっとった対応を求める「通知」を出すなど、法人側を指導しました。今回の研究者の雇い止めの危険に対しても、厚生労働省と連携し、違法、脱法行為を許さない厳正な対応を求めるべきです。

そもそも、今回の研究者の無期転換申請権の期間を「10年超」にした特例は、労使の代表と公益代表の三者からなる労働政策審議会の審議を一切経ることなく策定されました。これは労働立法の国際的な原則(三者構成主義)に反するやり方です。日本学術会議が、研究者に固有の労働形態に見合った特例的な労働契約のあり方の検討を呼びかけていますが、検討の際は、当事者の代表を含む、3者構成主義に則り、適正な制度を創設するべきです。

政府は「骨太方針2022」で、「人への投資」や「技術・研究開発の基盤強化」を掲げています。その政策方針にそって、以下の対応をとるよう、要請します。

 

【要請事項】

1.国立の大学・研究機関において、2023年3月末に行われることが危惧される無期雇用転換を逃れるための研究者の雇止めを、国の責任でやめさせること。

2.国立の大学・研究機関で雇止めの危機にさらされている約4500人の雇用の状況を、国の責任で把握し、雇用期間が終了する際は、そのキャリアパスを確保するための対策を講じること。

3.研究者の安定的雇用の保障と流動性の確保を両立させる新しい雇用のあり方を検討すること。その際、公労使の三者構成主義に則ること。

 

どうか皆さん、この署名にサインしてください。そして、周りの人に署名を呼びかけてください。

 

【賛同者一覧】(五十音順)

一般社団法人 科学・政策と社会研究室代表理事 榎木英介

国公労連

仙台中央法律事務所弁護士 野呂圭

東京大学教職員組合執行委員長 岡田泰平

東北大学教授・東北大学職員組合執行委員長 片山知史

東北大学准教授 黒瀬一弘

東北大学准教授 田嶋玄一

弘前大学職員労働組合執行委員長 永瀬範明

北海学園大学教授 川村雅則

理化学研究所労働組合執行委員長 金井保之

 

 

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