森下佳奈さんの控訴審を支える会のご案内(2023年5月17日)

森下佳奈さんの控訴審を支える会のご案内

 

森下佳奈さんは2012年4月、北九州市戸畑区役所の子ども・家庭相談コーナー相談員(嘱託員)に採用されました。

しかし、複雑で深刻な相談者の担当となったうえ、直属上司から個室で2時間にわたる激しい叱責などを受け、さらに業務内容が量的、質的に過重となり、精神的負担が増大した結果、13年1月頃うつ病エピソードを発病し、同年3月に退職しました。その後、15年5月に自殺(自死)しました。

これに対して、ご遺族(両親)が公務上災害の認定と補償請求について市に問い合わせたところ、非正規公務員には本人も遺族にも認定請求の権利が無いとの回答でした。これに対して17年8月に遺族補償請求訴訟を起こしました。

その後2つの訴訟となり、一つ目の災害補償請求については最高裁で敗訴確定となりました。ただ、原告であるお母さんが野田聖子総務大臣(当時)に手紙を書いたことで、見直す通知を総務省が発出、北九州市も条例施行規則を改正し、非常勤職員にも災害補償請求権が認められることになりました。

 

<今回福岡地裁の判決(骨子)>

二つ目の訴訟は、自殺は公務に起因するハラスメントを問うものでした。

しかし判決は、「亡佳奈が戸畑区役所の公務を離れて2年以上が経過し、区役所での公務によるストレスが退職後も継続していたとは認められないことや、(特別支援教育)相談センターで2年就労し、センターでの業務負荷が症状の遷延に影響していたとうかがえるほか、センター退職と経済的不安によるストレスが大きな負荷要因となったものと考えられる」

「これらを踏まえると、戸畑区役所での公務と本件自殺との間に相当因果関係を肯定することはできないから、原告らの主張は採用することができない」という内容です。

 

<福岡高裁に控訴>

3月、判決を不服として控訴しました。「控訴理由書」の要点は次のとおりです。

疾病の症状が自殺に至るまで継続していたのだから、公務に原因があったか論じる必要がある。発病と自殺との間に2年以上という時間的経過があるということだけで、出発点である原因について何ら判断せずに因果関係は無いと論じるなど、論理的にもあり得ない。控訴審においては、公務起因性の判断について適切な判断を望む。

 

佳奈さんを支える会の開催

3月に大分県のご両親に会いに行きました。生前の佳奈さん、職場での出来事、そして裁判のことなど、いろいろ話しました。森下さんご夫妻は今でも佳奈さんと共に生きているということを強く感じ、あえて「佳奈さんを」という名前にしました。

控訴審の期日が決まり、6月13日(火)午後2時30分(福岡高裁10階1015号法廷)になりました。そこで、控訴審の傍聴など応援をするための会を下記のとおり開催します。(文責・白石孝)

 

 

◆日 時 5月17日(水)午後5時~7時 ※4時30分から議員会館入口で入館証交付

◆会 場 参議院議員会館・地階B102会議室 / Zoomは事前にお申し込みください

◆内 容

①控訴理由書と控訴審について(佃佑世弁護士)

②原告森下眞由美さんから(佳奈さんのお母さん森下眞由美さん)

③講演「人権保障なき雇用‐非正規公務員の現状」上林陽治(立教大学特任教授)

④非正規当事者からの発言

⑤今後の取り組みについてのお願い(白石孝)

 

 

<呼びかけ>上林陽治、田代尚子、山岸薫、白石孝ほか

090-2302-4908/musicasia3791@gmail.com

 

 

(参考資料)

「命の重さも違うんですか」『NHK生活情報ブログ』2019年05月28日 (火)

「自殺の北九州市非常勤職員 遺族の”パワハラ”補償訴えを棄却」『NHK福岡 NEWS WEB』01月20日 20時15分

 

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